JP6778100B2 - 炭化珪素粉末及びこれを原料とする炭化珪素単結晶の製造方法 - Google Patents

炭化珪素粉末及びこれを原料とする炭化珪素単結晶の製造方法 Download PDF

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本発明は、炭化珪素粉末及びこれを原料とする炭化珪素単結晶の製造方法に関する。
炭化珪素単結晶は、その高硬度性、高熱伝導性、高温耐熱性から、成形砥石、セラミックス部品等の材料として使用されている。また、炭化珪素は、シリコンと比較すると、バンドギャップは約3倍、絶縁破壊電界強度は約10倍という物性を有するので、シリコンに代わるパワー半導体用基盤の材料として注目されている。
炭化珪素単結晶の製造方法として、原料である炭化珪素粉末を2000℃以上の高温条件下において昇華させ、炭化珪素を単結晶成長させる昇華再結晶法(改良レーリー法)がよく知られており、工業的に広く使用されている。しかし、単結晶成長させた炭化珪素に、積層欠陥、転位欠陥などの欠陥が発生し易いという問題があった。
このような欠陥を抑制するためには、原料となる炭化珪素粉末の不純物を低減させることが好ましい。そこで、高周波プラズマCVD法により炭化珪素を製造することにより、不純物の含有率を0.1ppmから0.5ppm以下に低減することが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
しかしながら、高周波プラズマCVD法は、高純度の炭化珪素を製造可能であるが、1回の製造量が少量であり、高コストとなるため、工業的な観点から使用しにくい。さらに、高周波プラズマCVD法で製造した炭化珪素粉末は、典型的には初期かさ密度が1.66g/cm、タップかさ密度が1.85g/cmであり、るつぼに充填した際に充填率が高く、単結晶の成長速度が遅くなる。
このため、大量かつ安価に製造できる炭化珪素の製造法としてアチソン法が用いられている。アチソン法で製造された炭化珪素粉末を、昇華再結晶法で炭化珪素単結晶を製造する際の原料とする場合、ブレーン比表面積、嵩密度などを調整することがある(例えば、特許文献4,5参照)。
特開平9−48605号公報 特開2009−173501号公報 特開2002−293525号公報 特開2015−44726号公報 特開2016−147790号公報
しかしながら、ホウ素、リン、アルミニウム、鉄、チタンなどの不純物の含有率が高い炭化珪素粉末を昇華再結晶法の原料とした場合、単結晶成長させた炭化珪素に欠陥が発生し、パワー半導体用基盤の材料として不適になることが多かった。
本発明は、昇華再結晶法で炭化珪素単結晶を製造する際の原料とした場合、得られる炭化珪素単結晶に発生する欠陥を抑制可能な炭化珪素粉末、及びこれを原料とする炭化珪素単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の炭化珪素粉末は、初期かさ密度が0.85g/cm以上1.75g/cm以下、タップかさ密度が0.9g/cm以上1.8g/cm以下、ブレーン比表面積が300cm/g以上400cm/g以下である炭化珪素粉末であって、44μmを超え2000μm以下の粒度範囲である前記炭化珪素粉末の割合が98.5%以上、44μm以下の粒度範囲である前記炭化珪素粉末の割合が1.5%以下であることを特徴とする。
本発明の炭化珪素粉末は、昇華再結晶法により炭化珪素単結晶を製造する際の原料として適している。これは、発明の詳細な説明の欄で述べるように、昇華再結晶法で炭化珪素単結晶を製造する際に、るつぼ内での炭化珪素ガスの発生量が適度となるので、単結晶の成長速度を確保したうえで、炭化珪素ガスの放出による微細な不純物や炭化珪素粉末の巻き上げが抑制され、パワー半導体用基盤の材料として適するほどに、炭化珪素単結晶に発生する欠陥を抑制できるからである。
本発明の炭化珪素粉末において、ホウ素、リン、アルミニウム、鉄及びチタンのそれぞれの含有率が、1.0ppm以下であることが好ましい。
この場合、炭化珪素ガスの放出によるホウ素、リン、アルミニウム、鉄及びチタンの巻き上げが抑制され、炭化珪素単結晶に発生する欠陥をさらに抑制できる。
また、本発明の炭化珪素粉末において、初期かさ密度とタップかさ密度との差が0.05g/cm以上0.1g/cm以下であることが好ましい。
この場合、炭化珪素粉末のるつぼ内での充填率が適度となり、単結晶の成長速度を確保することができる。
本発明の炭化珪素単結晶の製造方法は、本発明の炭化珪素粉末を原料として容器内に充填し、前記炭化珪素粉末を昇華させて、炭化珪素単結晶を製造することを特徴とする。
以下、本発明の実施形態に係る炭化珪素粉末について説明する。
本炭化珪素粉末は、昇華再結晶法により炭化珪素単結晶を製造する際の原料として適している。
本炭化珪素粉末は、初期かさ密度が0.85g/cm以上1.75g/cm以下であり、好ましくは1.0g/cm以上1.7g/cm以下、より好ましくは1.2g/cm以上1.60g/cm以下である。
初期かさ密度が0.85g/cm未満であれば、炭化珪素粉末の粒子が大き過ぎ、昇華再結晶法で製造する際のるつぼ内での充填率が小さくなり過ぎるので、炭化珪素ガスの発生量が少なくなり、単結晶の成長速度が遅くなる。一方、初期かさ密度が1.75g/cmを超えると、微粒子の炭化珪素粉末の割合が高くなり過ぎ、るつぼ内で炭化珪素ガスが流れ難くなるので、単結晶の成長速度が遅くなる。
本炭化珪素粉末は、タップかさ密度が0.9g/cm以上1.8g/cm以下であり、好ましくは1.0g/cm以上1.75g/cm以下、より好ましくは1.2g/cm以上1.7g/cm以下である。
タップかさ密度が0.9g/cm未満であれば、るつぼ内での充填率が小さくなり過ぎ、炭化珪素ガスの抜け道が多く形成され、多量のガスが放出され、微細な不純物又は炭化珪素粉末が巻き上がる。一方、タップかさ密度が1.8g/cmを超えると、微粒子の炭化珪素粉末が多くなり過ぎ、るつぼ内での炭化珪素ガスが流れる空隙が減少するので、ガスが流れにくくなり、内部圧力が高まった結果、急激にガスが噴出し、微細な不純物又は炭化珪素粉末が巻き上がる。これら巻き上げられた粉体などは、得られた炭化珪素単結晶の内に存在し、欠陥が発生する起点となる。
本炭化珪素粉末は、タップかさ密度と初期かさ密度との差が0.05g/cm以上0.1g/cm以下であることが好ましい、より好ましくは0.06g/cm以上0.09g/cm以下、さらにより好ましくは0.07g/cm以上0.09g/cm以下である。
高周波プラズマCVD法で製造した炭化珪素粉末は、タップかさ密度と初期かさ密度との差が0.2g/cm程度であり、このように差が大きいことは、炭化珪素粉末の粒子が球形から離れた歪な形状であることを示しており、るつぼ内での充填率が小さくなり過ぎるので、単結晶の成長速度が遅くなる。
なお、初期かさ密度及びタップかさ密度は、JIS R 1628:1999「ファインセラミックス粉末のかさ密度測定方法」に記載されている測定方法に準じて測定すればよい。
本炭化珪素粉末は、ブレーン比表面積が300cm/g以上400cm/g以下であり、好ましくは320cm/g以上380cm/g以下、より好ましくは340cm/g以上360cm/g以下である。
ブレーン比表面積が300cm/g未満であれば、炭化珪素粉末の表面積が小さく過ぎるので、炭化珪素ガスの発生量が少なく、単結晶の成長速度が遅くなる。一方、ブレーン比表面積が400cm/gを超えると、炭化珪素粉末の表面積が広過ぎるので、炭化珪素ガスが急激に発生して多量のガスが一気に放出され、微細な不純物な又は炭化珪素粉末が巻き上がる。
本炭化珪素粉末は、44μmを超え2000μm以下の粒度範囲であるものの割合が98.5%以上、44μm以下の粒度範囲であるものの割合が1.5%以下であり、好ましくは44μmを超え2000μm以下の粒度範囲であるもの割合が99%以上、44μm以下の粒度範囲であるものの割合が1.0%以下であり、より好ましくは44μmを超え2000μm以下の粒度範囲であるものの割合が99.5%以下、44μm以下の粒度範囲であるものの割合が0.5%以下である。
粒度範囲が44μm以下の微小な炭化珪素粉末の割合が1.5%を超えると、るつぼ内で発生する炭化珪素ガスに巻き上げられる炭化珪素粉末が増え過ぎ、得られる炭化珪素の単結晶内に炭化珪素粉末を起点とした欠陥が発生し、パワー半導体用基盤の材料として不適となる。
なお、粉末の粒度範囲がAを超えB未満であるとは、粉末の粒度分布のD5がAを超え、D95がB未満であるということを意味する。すなわち、目開きAのふるいでふるった時のふるい下の重量が5%未満、且つ、目開きBのふるいでふるった時のふるい上の重量が5%以下であることを意味する。
さらに、本炭化珪素粉末は、炭化珪素の純度が99.7%以上であることが好ましく、より好ましくは99.8%以上、さらに好ましくは99.9%以上である。
そして、本炭化珪素粉末は、不純物であるホウ素(B)、リン(P)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)及びチタン(Ti)のそれぞれの含有率が、1.0ppm以下であることが好ましく、より好ましくは0.8ppm以下、さらに好ましくは0.75ppm以下である。特に鉄の含有率は0.8ppm以下であることが好ましい。
また、本炭化珪素粉末は、不純物であるホウ素、リン、アルミニウム、鉄及びチタンのうち少なくとも何れか一つ、又は全ての含有率が0.5ppmを超えていてもよい。
炭化珪素の純度が低く、ホウ素、リン、アルミニウム、鉄及びチタンなどの不純物の含有率が高いと、るつぼ内で発生する炭化珪素ガスに巻き上げられる不純物の粉末が増え、得られる炭化珪素の単結晶内に不純物の粉末を起点とした欠陥が発生し、パワー半導体用基盤の材料として不適となる。ただし、不純物の含有率は低ければ低いほど好ましい。
本発明は、炭化珪素粉末に含有される不純物の含有率が多少高く、例えばホウ素、リン、アルミニウム、鉄及びチタンの何れか少なくとも一つの含有率が0.5ppm以上であっても、パワー半導体用基盤の材料に適した、欠陥の発生が抑制された炭化珪素単結晶が得られることに意義がある。
次に、本発明の実施形態に係る炭化珪素粉末の製造方法について説明する。この製造方法はアチソン炉を用いて原料を焼成するアチソン法である。
本炭化珪素粉末の製造方法は、珪素を含む無機珪酸質原料及び炭素を含む炭素質原料を混合して、混合原料を得る工程と、この混合原料を2500℃以上で焼成し、炭化珪素からなる塊状物を得る工程と、不活性ガスを導入して、この塊状物を常温まで空冷する工程と、空冷した塊状物を粉砕する工程と、得られた粉砕物を分級し、炭化珪素粉末を得る工程とを含む。
無機珪酸質原料としては、珪石などの結晶質シリカ、シリカフューム、シリカゲル等の非結晶シリカが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。無機珪酸質原料の平均粒径は、焼成時の環境、原料の状態(結晶質、非結晶質)、炭素質原料との反応性などによって、適宜選ばれる。ただし、焼成時の反応性が良く、炉の制御が容易となるので、無機珪素質原料として非晶質シリカを用いることが好ましい。
炭素質原料としては、例えば、天然黒鉛、人工黒鉛等の結晶性カーボン、カーボンブラック、コークス、活性炭等の非晶質カーボンが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。炭素質原料の平均粒径は、焼成時の環境、原料の状態(結晶質、非結晶質)、及び炭素質原料との反応性などによって、適宜選ばれる。
無機珪酸質原料と炭素質原料とを混合して、混合原料を調製する。この際の混合方法は任意であり、湿式混合、乾式混合の何れであってもよい。混合の際の炭素質原料と無機珪酸質原料の混合モル比(C/Si)は、焼成時の環境、炭化珪素粉末用原料の粒径、反応性などを考慮して、最適なものを選択する。ここでいう「最適」とは、焼成によって得られる炭化珪素の収量を向上させ、且つ、無機珪酸質原料及び炭素質原料の未反応の残存量を小さくさせることを意味する。
得られた混合原料及び発熱体用の原料をアチソン炉に充填して、2500℃以上で焼成して、塊状の炭化珪素を得る。アチソン炉としては、一般的なものを用いればよい。焼成雰囲気は、還元雰囲気であることが好ましい。還元性が弱い雰囲気下で焼成すると、炭化珪素の収率が低下するためである。
なお、本明細書中、「アチソン炉」とは、上方が開口した箱型の間接抵抗加熱炉をいう。ここで、間接抵抗加熱とは、被加熱物に電流を直接流すのではなく、電流を流して発熱させた発熱体によって炭化珪素を得るものである。また、このようなアチソン炉の具体的構成の一例は、特開2013−112544号公報に記載されている。
このような炉を用いることにより、式(1)に示した反応が生じ、炭化珪素(SiC)からなる塊状物が得られる。
SiO+3C→SiC+2CO ・・・(1)
アチソン炉の発熱体の種類は、電気を通すことができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、黒鉛粉、カーボンロッド等が挙げられる。
発熱体を構成する物質の形態は、特に限定されず、例えば、粉状、塊状等が挙げられる。発熱体は、アチソン炉の通電方向の両端に設けられた電極芯を結ぶように全体として棒状の形状になるように設けられる。ここでの棒状の形状とは例えば、円柱状、角柱状等が挙げられる。
通電後、炉内に炭化珪素からなる塊状物が生成する。
炉内が常温になるまで、アルゴンガス等の不活性ガスを導入して空冷を行う。そして、得られた炭化珪素からなる塊状物(インゴット)を粉砕する。粉砕方法は、特に限定されないが、例えば、粉砕機としてジョークラッシャー、トップグラインダ、ジェットミル、ボールミル、ディスクミル等を用いた粉砕方法が挙げられる。
その後、粒径範囲に応じたふるいを用いて、粉砕物を分級する。分級は、ふるいを用いた方法が最も簡便であり、好ましい。ただし、分級は、ふるいを用いた方法に限定されず、乾式、湿式の何れでもよい。また、乾式の分級として、気流を用いた例えば遠心式の分級方法を用いることもできる。
このように所定の粒径範囲に分級した炭化珪素粉末群、又は異なる粉砕方法で粉砕した粉末群などの複数の群を、適宜な割合で混合することにより、上述した条件を満たす本炭化珪素粉末を得ることができる。
次に、本発明の実施形態に係る炭化珪素粉末を用いた炭化珪素単結晶の製造方法について説明する。本製造方法は、上述した炭化珪素粉末を原料として、昇華再結晶法により炭化珪素単結晶を製造する方法である。
まず、原料である炭化珪素粉末を例えば黒鉛製のるつぼ内に充填し、このるつぼを加熱装置内に配設する。ただし、炭化珪素粉末が中に充填される容器は、黒鉛製のるつぼに限定されず、昇華再結晶法で炭化珪素単結晶を製造する際に使用されるものであればよい。
そして、るつぼをアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気とした減圧下で、るつぼ内の原料が2000〜2500℃となるように加熱する。ただし、るつぼの蓋の下面の炭化珪素単結晶が成長する部分は、これより100℃程度温度低くなるようにしておく。なお、蓋の下面に種結晶を設置しておいてもよい。
この加熱を数時間から数十時間持続させる。これにより、原料である炭化珪素粉末が昇華して昇華ガスとなり、蓋の下面に到達して単結晶化し、この単結晶が成長することにより炭化珪素単結晶の塊状物を得ることができる。
アチソン炉などで焼成して得られた塊状物を粉砕して得られる炭化珪素粒子の形状は、粉砕方法又は粒径が異なれば異なり、初期かさ密度、タップかさ密度、ブレーン比表面積なども異なる。
このように、粉砕方法、粒度範囲などを変えることによって、初期かさ密度、タップかさ密度、ブレーン比表面積が異なる炭化珪素粉末を得ることができる。そして、初期かさ密度、タップかさ密度、ブレーン比表面積、粒径範囲などが上述した範囲を満たすように、粉砕方法、粒度範囲などを変えて得た炭化珪素粉末を適宜な割合で混合すればよい。
以下、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されない。
なお、各実施例及び比較例において、不純物のうちホウ素の含有率は、寺島滋、岡井貴司、谷口政碩著、「テクニカルレター アルカリ融解/誘導結合プラズマ発光分析法による地質標準」、日本分析化学会、BUNSEKI KAGAKU Vol.47(1998) No.7、p.451−454に記載されたアルカリ融解法によるICP−AES分析により測定した。
不純物のうちリン、アルミニウム、鉄及びチタンの含有率は「JIS R 1616(2007) ファインセラミックス用炭化けい素微粉末の化学分析方法」に規定された加圧酸分析法によるICP−AES分析により測定した。
(実施例1)
まず、無機珪酸質原料として太平洋セメント株式会社製の非晶質のシリカ粉末を用意した。このシリカ粉末は、粒径が2mmであり、不純物を測定した結果、ホウ素を0.5ppm、リンを1.0ppm未満、アルミニウムを0.5ppm、鉄を0.5ppm、チタンを0.6ppm、それぞれ含有していた。炭素質原料として東海カーボン株式会社製のカーボンブラック(アモルファスカーボン、商品名シーストV)を用意した。
これらの原料を炭素と珪素のモル比割合(C:SiO)が3.1:1となるように混合して、混合原料を得た。
そして、この混合原料と発熱体用の原料とをアチソン炉に充填した。発熱体用の原料として、太平洋セメント製の黒鉛粉末を用いた。アチソン炉の中心に配した黒鉛粉末に電極を介して120kWの負荷をかけながら24時間通電した。これにより、炭化珪素の円筒形状の塊状物を得た。
得られた円筒形状の塊状物を、まず、ジョークラッシャー、トップグラインダ及びジェットミルを用いて2mm以下に粉砕した。次に、自動篩機を用いて、この粉砕物を、1mm以上2mm未満の粉体A、150μm以上1mm以下の粉体B、44μm以下の粉体Cに分離した。
そして、重量比で粉体Aを40%、粉体Bを54.7%、粉体Cを0.3%の割合で調整して炭化珪素粉末を得た。この炭化珪素粉末の初期かさ密度は1.60g/cm、タップかさ密度は1.66g/cm、ブレーン比表面積は390cm/g、粒度が44μm以下の粉末の割合は0.3%であった。なお、初期かさ密度、タップかさ密度及びブレーン比表面積は、上述した計測方法で計測した。これら計測結果などを表1にまとめた。
そして、この炭化珪素粉末を17%塩酸で酸洗浄を行い、その後、乾燥温度150℃で2日間乾燥した。この炭化珪素粉末の不純物の含有率を測定した。含有率の測定結果を表2をまとめた。
次に、この乾燥した炭化珪素粉末を黒鉛製のるつぼ内に充填した。るつぼの蓋の中心部に種結晶として研磨により珪素(Si)面が露出している単結晶板を設置し、この蓋でるつぼに蓋をした。
るつぼを加熱装置内に配置し、1Torr(133Pa)の圧力下とした状態で、加熱した。この加熱は、るつぼの底面中心部を測定する放射温度計によって測定される温度を、初めは10℃/分の昇温速度で上昇させ、2200℃となった後、その状態を10時間保持した。
その後、るつぼ内を常温まで空冷した。種結晶上に20mmの厚さの炭化珪素単結晶の塊状物が生成されていた。この炭化珪素単結晶の欠陥発生状況を、レーザーテック株式会社製のSiCウェハ欠陥検査装置を用いて検査した。評価結果を表1に示した。
この評価結果から分かるように、得られた炭化珪素単結晶には、少なくともパワー半導体用基盤の材料として不適となるほどには、積層欠陥、転位欠陥が発生していないことを確認した。
(実施例2)
実施例2では、実施例1で塊状物を粉砕して得られた炭化珪素粉末を、ジョークラッシャー、トップグラインダ及びボールミルを用いて2mm以下に粉砕した。次に、自動篩機を用いて、この粉砕物を、0.9mm以上1.5mm未満の粉体A、150μm以上0.5mm以下の粉体B、44μm以下の粉体Cに分離した。
そして、重量比で粉体Aを30%、粉体Bを69.9%、粉体Cを0.1%の割合で調整して炭化珪素粉末を得た。この炭化珪素粉末の初期かさ密度は1.35g/cm、タップかさ密度は1.43g/cm、ブレーン比表面積は370cm/g、粒度が44μm以下の粉末の割合は0.1%であった。
そして、この炭化珪素粉末を、実施例1と同様に酸洗浄及び乾燥を行った後、不純物の含有率を測定した。
次に、この炭化珪素粉末を原料として、実施例1と同様にして、20mmの厚さの炭化珪素単結晶の塊状物を得た。得られた炭化珪素単結晶には、少なくともパワー半導体用基盤の材料として不適となるほどには、積層欠陥、転位欠陥が発生していないことを確認した。
(実施例3)
実施例3では、実施例1で塊状物を粉砕して得られた炭化珪素粉末を、実施例2と同様に、ジョークラッシャー、トップグラインダ及びボールミルを用いて2mm以下に粉砕した。ただし、ボールミルの運転時間を、実施例2と比較して30分短縮した。次に、自動篩機を用いて、この粉砕物を、1.0mm以上2.0mm未満の粉体A、350μm以上1.0mm以下の粉体Bに分離した。
そして、重量比で粉体Aを50%、粉体Bを50%の割合で調整して炭化珪素粉末を得た。この炭化珪素粉末の初期かさ密度は1.05g/cm、タップかさ密度は1.14g/cm、ブレーン比表面積は350cm/g、粒度が44μm以下の粉末の割合は0%であった。
そして、この炭化珪素粉末を、実施例1と同様に酸洗浄及び乾燥を行った後、不純物の含有率を測定した。
次に、この炭化珪素粉末を原料として、実施例1と同様にして、20mmの厚さの炭化珪素単結晶の塊状物を得た。得られた炭化珪素単結晶には、少なくともパワー半導体用基盤の材料として不適となるほどには、積層欠陥、転位欠陥が発生していないことを確認した。
(比較例1)
比較例1では、実施例1で塊状物を粉砕して得られた炭化珪素粉末を、実施例1と同様にして2mm以下に粉砕した。このように粉砕されたままの炭化珪素粉末の初期かさ密度は1.20g/cm、タップかさ密度は1.23g/cm、ブレーン比表面積は360cm/g、粒度が44μm以下の粉末の割合は1.7%であった。
そして、この炭化珪素粉末を、実施例1と同様に酸洗浄及び乾燥を行った後、不純物の含有率を測定した。
次に、この炭化珪素粉末を原料として、実施例1と同様にして、20mmの厚さの炭化珪素単結晶の塊状物を得た。得られた炭化珪素単結晶には、少なくともパワー半導体用基盤の材料として不適となるほどの転位欠陥は発生していなかったが、積層欠陥が発生していたことを確認した。
(比較例2)
比較例2では、実施例1で塊状物を粉砕して得られた炭化珪素粉末を、実施例2と同様に、ジョークラッシャー、トップグラインダ及びボールミルを用いて2mm以下に粉砕した。ただし、ボールミルの運転時間を、実施例2と比較して2時間延長した。次に、自動篩機を用いて、この粉砕物を、600μm以上1.0mm未満の粉体A、150μm以上400μm以下の粉体B、44μm以下の粉体Cに分離した。
そして、重量比で粉体Aを25%、粉体Bを74.7%、粉体Cを0.3%の割合で調整して炭化珪素粉末を得た。この炭化珪素粉末の初期かさ密度は1.47g/cm、タップかさ密度は1.50g/cm、ブレーン比表面積は420cm/g、粒度が44μm以下の粉末の割合は0.3%であった。
そして、この炭化珪素粉末を、実施例1と同様に酸洗浄及び乾燥を行った後、不純物の含有率を測定した。
次に、この炭化珪素粉末を原料として、実施例1と同様にして、20mmの厚さの炭化珪素単結晶の塊状物を得た。得られた炭化珪素単結晶には、少なくともパワー半導体用基盤の材料として不適となるほどの積層欠陥は発生していなかったが、転位欠陥が発生していたことを確認した。
(比較例3)
比較例3では、実施例1で塊状物を粉砕して得られた炭化珪素粉末を、比較例2と同様に、ジョークラッシャー、トップグラインダ及びボールミルを用いて2mm以下に粉砕した。ただし、ボールミルの運転時間を、比較例2と比較して1時間延長した。このように粉砕されたままのの炭化珪素粉末の初期かさ密度は1.51g/cm、タップかさ密度は1.55g/cm、ブレーン比表面積は450cm/g、粒度が44μm以下の粉末の割合は2.5%であった。
そして、この炭化珪素粉末を、実施例1と同様に酸洗浄及び乾燥を行った後、不純物の含有率を測定した。
次に、この炭化珪素粉末を原料として、実施例1と同様にして、20mmの厚さの炭化珪素単結晶の塊状物を得た。得られた炭化珪素単結晶には、少なくともパワー半導体用基盤の材料として不適となるほどの積層欠陥及び転位欠陥が発生していたことを確認した。
(比較例4)
比較例4では、実施例1で塊状物を粉砕して得られた炭化珪素粉末を、比較例1と同様に、ジョークラッシャー、トップグラインダ及びジェットミルを用いて2mm以下に粉砕した。ただし、ジェットミルで粉砕を行う際、比較例1よりも粉砕エアを低圧に設定した。このように粉砕されたままのの炭化珪素粉末の初期かさ密度は0.79g/cm、タップかさ密度は0.82g/cm、ブレーン比表面積は340cm/g、粒度が44μm以下の粉末の割合は2.6%であった。
そして、この炭化珪素粉末を、実施例1と同様に酸洗浄及び乾燥を行った後、不純物の含有率を測定した。
次に、この炭化珪素粉末を原料として、実施例1と同様にして、20mmの厚さの炭化珪素単結晶の塊状物を得た。得られた炭化珪素単結晶には、少なくともパワー半導体用基盤の材料として不適となるほどの積層欠陥及び転位欠陥が発生していたことを確認した。

Claims (4)

  1. 初期かさ密度が0.85g/cm以上1.75g/cm以下、タップかさ密度が0.9g/cm以上1.8g/cm以下、ブレーン比表面積が300cm/g以上400cm/g以下である炭化珪素粉末であって、
    44μmを超え2000μm以下の粒度範囲である前記炭化珪素粉末の割合が98.5%以上、44μm以下の粒度範囲である前記炭化珪素粉末の割合が1.5%以下であることを特徴とする炭化珪素粉末。
  2. ホウ素、リン、アルミニウム、鉄及びチタンのそれぞれの含有率が、1.0ppm以下であることを特徴する請求項1に記載の炭化珪素粉末。
  3. 初期かさ密度とタップかさ密度との差が0.05g/cm以上0.1g/cm以下であることを特徴する請求項1又は2に記載の炭化珪素粉末。
  4. 請求項1から3の何れか1項に記載の炭化珪素粉末を原料として容器内に充填し、前記炭化珪素粉末を昇華させて、炭化珪素単結晶を製造することを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
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