JP2019151533A - 炭化ケイ素粉末 - Google Patents

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弘徳 石田
増田 賢太
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賢太 増田
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潔 野中
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Abstract

【課題】昇華再結晶法に使用したとき、製造される炭化ケイ素単結晶に取り込まれるカーボンの量を低減できる炭化ケイ素粉末を提供する。【解決手段】ふるい分級により45μm以上2000μm以下の範囲に分級され、遊離炭素量が0.8%以下、5μm以下のSiC粒子の含有率が0.5%以下である。炭化ケイ素粉末の粒径の範囲、遊離炭素量、微粒子の割合をこのように制御することで、炭化ケイ素粉末を昇華再結晶法による炭化ケイ素単結晶の製造の原料として使用したときに、昇華ガスのカーボン濃度を低減でき、製造される単結晶に取り込まれるカーボンの量を低減できる。【選択図】図5

Description

本発明は、昇華再結晶法によって成長される炭化ケイ素単結晶の原料となる炭化ケイ素粉末に関する。
炭化ケイ素(SiC)ウエハから製造される炭化ケイ素製パワー半導体は、従来のシリコンウエハから製造されるシリコン製パワー半導体と比べて、耐電圧性能が10倍であり、電力損失が2分の1であるなどの優れた特性を持つことから、現在主流であるシリコン製パワー半導体の代替品として注目されており、電気自動車の制御や、太陽光発電または風力発電用のパワーコンディショナーにおける電力制御といった用途への適用が進んでいる。炭化ケイ素ウエハは、炭化ケイ素単結晶を切断することによって、製造することができる。
炭化ケイ素単結晶の製造方法として、原料となる炭化ケイ素粉末を昇華させ、炭化ケイ素種結晶に再析出させ炭化ケイ素単結晶を成長させる昇華再結晶法(改良レーリー法)が知られており、工業的に広く使用されている。昇華再結晶法は、黒鉛るつぼに炭化ケイ素粉末を充填し、炭化ケイ素が昇華する温度に加熱する。昇温にともない、炭化ケイ素の昇華ガスが発生し、るつぼ上面に配置された種結晶に析出し炭化ケイ素単結晶が成長する。このとき、炭化ケイ素の昇華ガス中に含まれるカーボンの濃度が高いと、単結晶中にカーボンが取り込まれ欠陥となる。
カーボンの濃度が高くなる要因として、原料の炭化ケイ素粉末に含まれるカーボン濃度が高いことや炭化ケイ素粉末に含まれる微粒成分が多いことが挙げられる。原料の炭化ケイ素粉末に含まれるカーボン濃度が高いと、昇華ガス中に含まれるカーボンの濃度も高くなる。微粒成分は、炭化ケイ素昇華ガスの発生量の増大をもたらす。特に、黒鉛るつぼ内壁近傍から大量の昇華ガスが発生すると、黒鉛るつぼ表面のカーボン粒子を巻き込む。また、黒鉛るつぼに限らず、黒鉛部材の表面はカーボン微粒子が多く付着しているため、炭化ケイ素昇華ガスの発生量が意図せず増大すると、同様にカーボン粒子を巻き込む。
特許文献1は、坩堝内壁の劣化が抑制され、カーボンインクルージョンが低減された炭化珪素単結晶を製造できる炭化珪素単結晶製造用坩堝を提供するため、坩堝の内壁の少なくとも一部が、黒鉛が圧縮されてなる黒鉛シートで被覆されている炭化珪素単結晶製造用坩堝が開示されている。
特開2014−122140号公報
しかしながら、特許文献1は、坩堝自体の内壁の構造に注目しているが、原料の炭化ケイ素粉末の構成は考慮していない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、炭化ケイ素の昇華ガス中のカーボン濃度が高くならず、炭化ケイ素単結晶中にカーボンが取り込まれ難い、改良レーリー法に好適な炭化ケイ素粉末を提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するため、本発明の炭化ケイ素粉末は、ふるい分級により45μm以上2000μm以下の範囲に分級され、遊離炭素量が0.8%以下、5μm以下のSiC粒子の含有率が0.5%以下であることを特徴としている。
このように炭化ケイ素粉末の粒径の範囲、遊離炭素量、微粒子の割合を制御することで、炭化ケイ素粉末を昇華再結晶法による炭化ケイ素単結晶の製造の原料として使用したときに、製造される炭化ケイ素単結晶に取り込まれるカーボンの量を低減できる。
(2)また、本発明の炭化ケイ素粉末は、前記遊離炭素量が0.1%以下、前記5μm以下のSiC粒子の含有率が0.3%以下であることを特徴としている。これにより、製造される炭化ケイ素単結晶に取り込まれるカーボンの量をさらに低減できる。
本発明によれば、昇華再結晶法に使用したとき、炭化ケイ素の昇華ガス中のカーボン濃度が高くならず、炭化ケイ素単結晶中にカーボンが取り込まれ難い、炭化ケイ素粉末とすることができる。また、本発明の炭化ケイ素粉末を原料として昇華再結晶法で炭化ケイ素単結晶を作製すると、取り込まれるカーボンの量が低減された、欠陥が少ない炭化ケイ素単結晶を得ることができる。
(a)、(b)それぞれ炉、混合粉末および発熱体を示す側断面図および正断面図である。 炭化ケイ素塊状物およびその取り出し部位を表す概念図である。 実施例および比較例の取り出し部位および洗浄内容を示す表である。 (a)、(b)それぞれ実施例および比較例の炭化ケイ素粉末を使用して作製した炭化ケイ素単結晶およびその炭化ケイ素単結晶に取り込まれたカーボンを観察する方法を表す概念図である。 実施例および比較例の炭化ケイ素粉末の微粒子の量、遊離炭素量、および作製した炭化ケイ素単結晶に取り込まれたカーボンの有無の結果を示す表である。
本発明者らは、鋭意研究の結果、炭化ケイ素粉末の粒径の範囲、遊離炭素量、微粒子の割合を制御することで、昇華再結晶法に使用したとき、製造される炭化ケイ素単結晶に取り込まれるカーボンの量を低減できる炭化ケイ素粉末を発明した。以下に、本発明の実施形態について説明する。
[炭化ケイ素粉末の構成]
本発明の炭化ケイ素粉末は、ふるい分級により45μm以上2000μm以下の範囲に分級される。昇華再結晶法で使用する炭化ケイ素粉末は、一般的なセラミックスの焼結に使用されるものよりも粗い粉末が使用される。炭化ケイ素単結晶製造時にSiCを昇華させるため2200℃以上に加熱する。この温度では焼結と昇華が生じる。焼結が進行すると粉末が緻密化するため、SiC粒子間の間隙が小さくなり、昇華ガスの発生量の低下を引き起こす。そのため、粒径が45μm以上の粉末が用いられる。
また、粒径の上限が大きすぎると炭化ケイ素の昇華速度が小さくなり、炭化ケイ素単結晶の生産性が低下する。そのため、上限は2000μmとする。ここでいう、ふるい分級により45μm以上2000μm以下の範囲に分級されるとは、目開き2000μmのふるいを通過し、目開き45μmのふるい上に残ることを指す。なお、炭化ケイ素粉末は、昇華再結晶法に使用される黒鉛るつぼの形状や大きさ、昇華条件等に応じて、45〜2000μmの間で、適宜粒度が調整されたものが用いられる。
炭化ケイ素粉末は、遊離炭素量が0.8%以下であり、0.1%以下であることが好ましい。遊離炭素量は、JIS R 2011「炭素及び炭化けい素含有耐火物の化学分析方法」に基づいて測定される。遊離炭素量が0.8%より大きいと、昇華再結晶法に使用したとき、昇華ガスのカーボン濃度が高くなり、製造される炭化ケイ素単結晶に取り込まれるカーボンの量が大きくなる。
炭化ケイ素粉末は、5μm以下のSiC粒子の含有率が0.5%以下であり、0.3%以下であることが好ましい。5μm以下のSiC粒子の含有率は、JIS R 1629「ファインセラミックス原料のレーザ回折・散乱法による粒子径分布測定方法」に基づいて測定される。5μm以下のSiC粒子の含有率が0.5%より大きいと、昇華再結晶法に使用したとき、昇華ガスのカーボン濃度が高くなり、製造される炭化ケイ素単結晶に取り込まれるカーボンの量が大きくなる。
炭化ケイ素粉末の遊離炭素量が0.1%より大きく0.8%以下である場合、または、5μm以下のSiC粒子の含有率が0.3%より大きく0.5%以下である場合、昇華が開始される際に、昇華ガスのカーボン濃度が若干高くなるため、炭化ケイ素単結晶の種結晶側の端部にカーボンが含まれることがある。しかし、この部分は単結晶を切り出す際の切断代となり、単結晶基板として使用されないため問題とはならない。
このような粒径の範囲、遊離炭素量、微粒子の割合の炭化ケイ素粉末は、例えば、アチソン法により得られた炭化ケイ素の塊状物を粉砕することによって得ることができる。数十μm以上の粒径の粒子が得られる方法であれば、他の方法を用いてもよい。
[炭化ケイ素粉末の製造方法]
(基本的な工程)
次に、炭化ケイ素粉末の製造方法について説明する。ここでは、固相反応を利用した方法について説明するが、液相反応などを利用した方法であってもよい。
基本的な工程として、無機ケイ酸質原料と炭素質原料を混合して炭化ケイ素製造用原料を得る原料作製工程と、炭化ケイ素製造用原料を2200℃以上で焼成することにより、炭化ケイ素からなる塊状物を形成する焼成工程と、塊状物を粉砕することにより、炭化ケイ素粉末を得る粉末形成工程と、炭化ケイ素粉末に含まれる微粒子および遊離炭素量を低減する洗浄工程とを含む。
無機ケイ酸質原料としては、珪石などの結晶質シリカ、シリカフューム、シリカゲル等の非晶質シリカが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。無機ケイ酸質原料の平均粒径は、焼成時の環境、原料の状態(結晶質、非晶質)、炭素質原料との反応性などによって、適宜選ばれる。
炭素質原料としては、例えば、天然黒鉛、人工黒鉛等の結晶質カーボンや、カーボンブラック、コークス、活性炭等の非晶質カーボンが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。炭素質原料の平均粒径は、焼成時の環境、原料の状態(結晶質、非晶質)、及び炭素質材料との反応性などによって、適宜選ばれる。
固相反応で本願の炭化ケイ素粉末を製造する場合、式(1)の反応で炭化ケイ素が生成される。
SiO+3C→SiC+2CO…(1)
よって、C/Si=3(モル)となるように、無機ケイ酸質原料と炭素質原料が配合される。
次に、無機ケイ酸質原料と炭素質原料とを混合する。混合方法は特に指定されない。例えば、2軸ミキサー等によって混合すればよい。得られた混合粉末を2200℃以上、好ましくは2500℃以上で焼成して、塊状の炭化ケイ素を得る。焼成方法は、特に限定されないが、外部加熱による方法、通電加熱による方法等が挙げられる。外部加熱の方法としては、例えば、流動層炉、バッチ式の炉などを用いる方法が挙げられる。通電加熱による方法としては、例えば、アチソン炉を用いるアチソン法が挙げられる。アチソン法は、昇華再結晶法に適した粒径の炭化ケイ素粉末を容易に得ることができるので、好ましく採用される。
焼成雰囲気は、還元雰囲気であることが好ましい。還元性が弱い雰囲気下で焼成すると、炭化ケイ素の収率が低下するためである。この際、無機ケイ酸質原料の一つとして非晶質シリカを用いると、反応性が良いことから炉の制御が容易になるため、無機ケイ酸質原料には非晶質シリカを単独あるいは、一部に非晶質シリカ含む混合物を使うことが好適である。
なお、上記の「アチソン炉」とは、上方が開口した箱型の間接抵抗加熱炉をいう。ここで、間接抵抗加熱とは、被加熱物に電流を直接流すのではなく、電流を流して発熱させた発熱体によって炭化ケイ素を得るものである。以下に、アチソン炉の一例を説明する。
(アチソン炉の構成)
炭化ケイ素粉末の製造に用いるアチソン炉の構成を説明する。図1(a)、(b)は、それぞれ炉10、混合粉末20および発熱体30を示す側断面図および正断面図である。本発明の炭化ケイ素粉末の製造は、電極15a、15bつきの反応容器である炉10を用いて行うことができる。炉10は、鉛直上端面が大気開放され、内壁面に電極を有する。
炉本体11を形成する容器の形状は特に問わないが、発熱体30に通電するための電極15a、15bを有していることが必要である。電極15a、15bは、容器内側の対向する両端面に設けられていることが好ましく、炉本体11は平行な対向する二面を有することが好ましい。炉本体11には、直方形の形状の容器を用いるのが簡便で好ましい。炉本体11は、反応ガスが過剰に発生した際にその濃度を適度に保つためのガス抜け用の隙間としてスリットを有してもよい。
炉本体11の材質は特に問わないが、通電時に発熱体からの伝熱により壁面が高温になるため、混合粉末20と接触する部分には耐火性の高い材料を使うことが望ましい。例えば、高アルミナ質耐火れんが、珪酸カルシウムボード等が好適である。
アチソン炉10の発熱体30の種類は、電気を通すことができるものである限りにおいて、特に限定されるものではなく、例えば、黒鉛粉、カーボンロッド等が挙げられる。また、発熱体30を構成する物質の形態は、特に限定されず、例えば、粉状、塊状等が挙げられる。発熱体30は、アチソン炉10の通電方向の両端に設けられた電極15a、15bを結ぶように全体として棒状の形状になるように設けられる。ここでの棒状の形状とは、例えば、円柱状、角柱状等が挙げられる。
混合粉末20に発熱体30を埋設し終えたら、電極15a、15bに通電する。その結果、充填された発熱体30が通電により発熱する。次第に伝熱により発熱体30から周囲の混合粉末20に熱が伝わり、発熱体30の周囲の炭素質原料と無機ケイ酸質原料が溶融あるいは反応し、ガラス質の組織や反応によって生じた炭化ケイ素結晶が生じる。このようにして混合粉末20から炭化ケイ素結晶が得られる。
通電は、硬質な炭化ケイ素結晶の生じやすくするため、発熱体30周辺の温度が2200℃以上になるように電流等を調整する。また、2500℃以上に調整することが好ましい。
所定時間の通電の後、炉内が常温に冷めるのを待って炉本体11から取り出す。炭化ケイ素結晶は、ガラス質組織と共に発熱体30の周囲を殻として包むような状態となっており、未反応の混合粉末20、発熱体30およびガラス質組織との分離は容易に行うことができる。
得られた炭化ケイ素からなる塊状物(インゴット)を粉砕する。粉砕方法は、トップグラインダー、ディスクグラインダー、ジョークラッシャー、ローラーミル、ジェットミル、ボールミル等を用いて粉砕する方法が挙げられる。その後、目開き2000μmおよび45μmのそれぞれのふるいを用いて粉砕物をふるい分級する。
このようにして得られた炭化ケイ素粉末は、カーボンや微粒子が許容範囲より多く含まれる場合がある。微粒子は、ふるい分級された炭化ケイ素粉末の粒子の表面に付着する5μm以下の粒子を指す。微粒子は粉砕の際に発生し、粗大粒子に付着する。これを一般的な乾式のふるい分級で除去することは困難である。
カーボンが炭化ケイ素粉末に含まれる理由は、以下のようなものが考えられる。無機ケイ酸質原料と炭素質原料は所定量で配合された原料を用いるが、焼成中の反応の不均一により局所的に炭素質原料がわずかに余剰となり、それが残留することがある。また、発熱体近傍の炭化ケイ素の塊状物において、発熱体のカーボンが付着することもある。また、炭化ケイ素が生成された後、2500℃以上になった部分は炭化ケイ素が分解しSiとCとなり、Siは揮発するが、Cは残留する。このような理由によりカーボンが炭化ケイ素粉末に含まれる。これらの微粒子およびカーボンを、次の洗浄工程により除去し、炭化ケイ素粉末に含まれる微粒子および遊離炭素量を低減することができる。
(洗浄工程)
カーボンおよび微粒子は、例えば湿式洗浄により低減することができる。湿式洗浄には様々な方法がある。洗浄前の炭化ケイ素粉末の性状、最終的に必要な性状を考慮し適宜選択すればよい。
(1)化学的なアプローチ
炭化ケイ素粉末を溶媒(液体)に浸す。溶媒は、水、アルコール、石油類を用いることができる。水は、界面活性剤を加えたものを用いてもよい。界面活性剤は、粒子同士を分離する効果があり、微粒子の除去には好適である。酸もしくはアルカリを用いてもよい。酸を用いれば、同時に金属系の異物を除去することができる。アルカリを用いれば、遊離ケイ素を除去することができる。石油類のものは、(アチソン炉で焼成後の加工やハンドリングで混入する)有機成分を除去するのに最も好適である。
(2)物理的なアプローチ1
溶媒に浸すだけでもよいが、撹拌を行ってもよい。攪拌は、棒の先端に羽根がついた撹拌棒によってもよいし、炭化ケイ素粉末を浸した容器を回転させてもよい。溶媒に超音波を与えることも効果的である。溶媒にエアーを吹き込むことも効果的である。溶媒に浸すのではなく、溶媒を吹き付けたり、溶媒を流したりしてもよい。
(3)物理的なアプローチ2
炭化ケイ素粉末を加熱処理してもよい。カーボンの低減には500℃以上で炭化ケイ素粉末を加熱することが効果的である。さらに高温(1600℃以上)で加熱することで、微粒子の焼結が進行し粗大化するため、微粒子の低減には好ましい。なお、加熱処理の温度の上限は2000℃である。
上記のような洗浄工程を1つ以上行うことにより、炭化ケイ素粉末に含まれる微粒子および遊離炭素量を低減することができる。以上の工程により、炭化ケイ素粉末の粒径の範囲、遊離炭素量、微粒子の割合を制御することができ、昇華再結晶法に使用したとき、製造される単結晶に取り込まれるカーボンの量を低減できる炭化ケイ素粉末を製造できる。
[実施例および比較例]
(炭化ケイ素粉末の製造)
非晶質シリカとカーボンブラックを、2軸ミキサーによって炭素と珪酸のモル比(C/SiO)が3.0となるように混合して、炭化ケイ素製造用混合原料1000kgを得た。これを炉長1.5mのアチソン炉で焼成した。焼成条件は、中心温度2400℃以上とし、焼成時間は21時間とした。得られた炭化ケイ素塊状物について、図2のように長手方向について任意の4箇所を抽出した。
各部位について、ジョークラッシャーおよびボールミル粉砕を行い、ふるい分級により45〜2000μmの炭化ケイ素粉末を得た。そして、得られた炭化ケイ素粉末を以下の洗浄方法のいずれか1つ以上を用いて洗浄した。図3は、実施例および比較例の取り出し部位および洗浄内容を示す表である。
(洗浄方法)
(撹拌)
水が10L入った容器に炭化ケイ素粉末1kgを入れ、120rpmで全量が巻き上げられるようにし10分間、撹拌羽根で撹拌した。10分後、水のみを排出した。再度水を10L入れ、同様に10分間撹拌した。これを5回繰り返した。その後、100℃で乾燥させた。
(超音波)
水が10L入った容器に炭化ケイ素粉末を1kg入れ、超音波の発振子を入れ、38kHzにて24時間超音波を与えた。その後、100℃で乾燥させた。
(大気焼成)
アルミナるつぼに所定量の炭化ケイ素粉末を入れ、大気雰囲気下で1000℃で6時間加熱した。
(粒子径および遊離炭素の測定)
得られた実施例および比較例の各粉末について、遊離炭素量および5μm以下の粒子の含有率をそれぞれJIS R 2011「炭素及び炭化けい素含有耐火物の化学分析方法」、JIS R 1629「ファインセラミックス原料のレーザ回折・散乱法による粒子径分布測定方法」に基づいて測定した。
(粒度分布および純度の測定)
JIS R 1629で測定した実施例および比較例の各粉末の粒度分布は、いずれも45μm未満が1.0%未満、2000μmより大きいものが0.1%未満であった。実施例および比較例の各粉末について、純度をグロー放電質量分析法(GD−MS)を用いて測定した。実施例および比較例のいずれも、Si、C、N、Oを除く周期表でNa〜Srの不純物の合計は500ppm以下であった。遊離炭素量は、高々1.2%であったため、5μm以下の粒子のほとんどはSiC粒子と考えてよい。
(単結晶の製造)
得られた各粉末を内寸φ120×200mmの黒鉛るつぼに充填した。このるつぼのフタに直径25mm、厚み0.5mmの炭化珪素の単結晶(種結晶)を接着した。黒鉛るつぼを単結晶成長炉に静置して、3Torr(400Pa)のアルゴン雰囲気下において、炉底温度が2350℃となるように加熱を行った。直径25mm、厚さ5mmの単結晶を得た。これを径方向に垂直で中心を含むように0.3mmの板を切り出し、顕微鏡観察にて黒点(残留したカーボン)の有無を調べた。
図4(a)、(b)は、それぞれ、実施例および比較例の炭化ケイ素粉末を使用して作製した炭化ケイ素単結晶および炭化ケイ素単結晶に取り込まれたカーボンを観察する方法を表す概念図である。この観察により、種結晶にカーボンはないことが分かった。
実施例1〜3は、作製された炭化ケイ素単結晶の全域にカーボンが認められず良好であった。これは、いずれも遊離炭素量が0.1%以下、かつ、5μm以下のSiC粒子の含有率が0.3%以下であったためと考えられる。
実施例4〜7は、種結晶の析出面から1mmの厚さにカーボンの点在が認められた。これは、遊離炭素量が0.1%より大きく0.8%以下、または、5μm以下のSiC粒子の含有率が0.3%より大きく0.5%以下であったためと考えられる。しかし、種結晶の析出面から1mmの厚さの領域は、SiC基板として切り出すときに、切断刃が入る領域であり、基板として用いる領域ではないため問題とならない。
比較例1〜4は、全域にカーボンの点在が認められ、炭化ケイ素基板として用いることができない。これは、遊離炭素量が0.8%より大きい、または、5μm以下のSiC粒子の含有率が0.5%より大きいためと考えられる。
なお、例えば、実施例1、2と実施例6はいずれも洗浄内容が同じであったが、実施例6は実施例1、2と比べて微粒子の含有率および遊離炭素量が大きくなった。また、実施例5と比較例1、2、4も洗浄内容が同じであったが、比較例1、2、4は実施例5と比べて微粒子の含有率または遊離炭素量が大きくなった。これは、炭化ケイ素塊状物の切り出す部位や発熱体からの距離によって、炭化ケイ素の粉砕性やカーボン量が異なり、バラツキが出るためと考えられる。そのため、洗浄方法は、切り出す部位、洗浄前の炭化ケイ素粉末の性状、最終的に必要な性状等を考慮して、適宜選択する必要があることが分かった。
以上から、本発明の炭化ケイ素粉末は、昇華再結晶法に使用したとき、製造される炭化ケイ素単結晶に取り込まれるカーボンの量を低減できる炭化ケイ素粉末であることが分かった。
10 炉
11 炉本体
15a、15b 電極
20 混合粉末
30 発熱体

Claims (2)

  1. ふるい分級により45μm以上2000μm以下の範囲に分級され、
    遊離炭素量が0.8%以下、
    5μm以下のSiC粒子の含有率が0.5%以下であることを特徴とする炭化ケイ素粉末。
  2. 前記遊離炭素量が0.1%以下、
    前記5μm以下のSiC粒子の含有率が0.3%以下であることを特徴とする請求項1記載の炭化ケイ素粉末。
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