JP7019362B2 - 炭化珪素粉末 - Google Patents

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本発明は、昇華再結晶法による炭化珪素単結晶の製造に用いられる炭化珪素粉末に関する。
炭化珪素(SiC)ウエハから製造される炭化珪素製パワー半導体は、従来のシリコンウエハから製造されるシリコン製パワー半導体と比べて、耐電圧性能が10倍であり、電力損失が2分の1であるなどの優れた特性を持つことから、現在主流であるシリコン製パワー半導体の代替品として注目されており、電気自動車の制御や、太陽光発電または風力発電用のパワーコンディショナーにおける電力制御といった用途への適用が進んでいる。炭化珪素ウエハは、炭化珪素単結晶を切断することによって、製造することができる。
炭化珪素単結晶を得るために、原料となる炭化珪素粉末を昇華させ、炭化珪素種結晶に再析出させ炭化珪素単結晶を成長させる昇華再結晶法が知られている。昇華法によって炭化珪素単結晶を製造する場合、黒鉛製のるつぼに、上部に種結晶、下部に原料をセットする。断熱材で周囲を包み、誘導加熱などの方法によって黒鉛るつぼを加熱して原料を加熱、原料を昇華させる。原料が昇華したガスは、主として、Si、Si、SiC、SiCから構成されていることが知られている。これらの昇華したガスは、容器内を拡散し、原料部分より温度を低くした種結晶部において固体となり、結晶成長して、単結晶を得る。
この昇華の過程において、珪素の溶液、蒸気、ガスは、単結晶成長に使われるだけではなく、黒鉛るつぼや、周囲の断熱材とも反応する。るつぼや断熱材と珪素が反応すると、そこで炭化珪素が析出する。るつぼや断熱材の構造が炭化珪素の疎な構造に変化すると、脆い構造となって、断熱材の断熱性能が低下したり、誘導加熱により炭化珪素析出部に局所的な発熱が起こり、るつぼ内の温度分布が不均一になったりする。
特許文献1では、断熱材を交換可能なものとすることによって、劣化した断熱材を交換し、断熱材を長持ちさせている。また、特許文献2では、黒鉛るつぼの一部を粗面にすることによって、るつぼを意図的に炭素源とし、炭化珪素の原料とする方法を提示している。特許文献3では、るつぼと断熱材の間に空隙を設け、そこに雰囲気ガスを流すことで昇華ガスを空隙から外に出し、断熱材の表面や内部での結晶析出を防止する方法を提示している。
特開2015-127267号公報 特開2017-065968号公報 特開2011-219295号公報
昇華再結晶法による炭化珪素単結晶の製造において、るつぼの熱伝導率低下や局所的な発熱、断熱材の断熱性能の低下などの劣化が起こると、製造される炭化珪素単結晶の性質に影響を与えるため、これらを交換等する必要が生じる。しかし、これらを頻繁に交換すると、製造コストが上昇する。ところが、特許文献1から特許文献3は、いずれも、るつぼや断熱材の炭化珪素化による劣化自体を抑制するものではない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、昇華再結晶法に使用したとき、るつぼや断熱材の炭化珪素化による劣化を抑制できる炭化珪素粉末を提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するため、本発明の炭化珪素粉末は、昇華再結晶法による炭化珪素単結晶の製造に用いられる炭化珪素粉末であって、遊離珪素および遊離二酸化珪素の重量の合計が、前記炭化珪素粉末の重量に対して0.6重量%以下であり、前記炭化珪素粉末の粒径の範囲が、44μm以上1400μm以下であることを特徴としている。
このように、遊離珪素および遊離二酸化珪素の重量の合計および粒径の範囲を制御することで、昇華再結晶法に使用したとき、るつぼや断熱材の炭化珪素化による劣化を抑制できる。
(2)また、本発明の炭化珪素粉末において、前記遊離珪素および遊離二酸化珪素の重量の合計は、前記炭化珪素粉末の重量に対して0.35重量%以下であることを特徴としている。これにより、るつぼや断熱材の炭化珪素化による劣化をさらに抑制できる。
(3)また、本発明の炭化珪素粉末において、粒径の範囲をAμm以上Bμm以下としたとき、B/A≦6であることを特徴としている。これにより、るつぼや断熱材の炭化珪素化による劣化を抑制するとともに炭化珪素単結晶の生産性を向上できる。
本発明によれば、昇華再結晶法に使用したとき、るつぼや断熱材の炭化珪素化による劣化を抑制できる。
(a)、(b)それぞれ炉、混合粉末および発熱体を示す側断面図および正断面図である。 炭化珪素粉末を黒鉛製のるつぼに入れて行った、加熱試験の模式図である。 実施例および比較例の炭化珪素粉末の製造条件、含まれる遊離珪素および遊離二酸化珪素の量、粒径の範囲にある粒子の割合、および、ふたの重量と熱伝導率の測定結果を示す表である。
本発明者らは、鋭意研究の結果、昇華再結晶法に使用する炭化珪素粉末について、昇華再結晶法の初期の段階で遊離した金属珪素やシリカ(SiO)が含まれていると、特に影響が大きいことを見出し、るつぼや断熱材の炭化珪素化による劣化を抑制できる炭化珪素粉末を完成させた。以下に、本発明の実施形態について説明する。
[炭化珪素粉末の構成]
本発明の炭化珪素粉末は、遊離珪素および遊離二酸化珪素の重量を合計した含有量が、炭化珪素粉末全体の重量に対して、0.6重量%以下である。このような範囲に遊離珪素および遊離二酸化珪素の合計の量を制御することで、炭化珪素粉末を昇華再結晶法に使用したとき、るつぼや断熱材の炭化珪素化による劣化を抑制できる。また、遊離珪素および遊離二酸化珪素の重量を合計した含有量は、炭化珪素粉末全体の重量に対して、0.35重量%以下であることが望ましい。
昇華法による炭化珪素単結晶の製造においては、原料の炭化珪素粉末に遊離珪素および遊離二酸化珪素が存在しないときでも、ガスとしてSiやSiの形で珪素は存在している。これらのガスは、るつぼや断熱材の炭素と反応し、劣化させる。これに対して、遊離珪素および遊離二酸化珪素は、加熱する際に液相のSiとなって、るつぼ内に拡散し、ガスの状態の場合よりも高濃度でるつぼや断熱材と反応する。そのため、遊離珪素および遊離二酸化珪素の存在は、ガスでSiが存在する場合よりも顕著にるつぼや断熱材の劣化に影響を与えやすい。
炭化珪素粉末に含有される遊離珪素および遊離二酸化珪素は、JIS R 1616「ファインセラミックス用炭化珪素微粉末の化学分析方法」に基づいた方法で分析することができる。本発明でいう遊離珪素および遊離二酸化珪素は固体表面に存在してるつぼなどを劣化させるものを指す。所定の粒径の範囲にした試料をさらに粉砕すると、粉末内部に内包される珪素および二酸化珪素が遊離珪素、遊離二酸化珪素として検出されてしまうため、試料は粉砕等の前処理を行わず、そのまま分析に供する。
炭化珪素粉末の粒径の範囲は、分級により、44μm以上1400μm以下の範囲に調整される。本明細書において、粒径の範囲をAμm以上Bμm以下とする場合、ふるい分級で最小目開き寸法をA、最大目開き寸法をBとすることとする。粒径の範囲の最小値を44μmより小さくすると、未反応のまま炭化珪素の塊状物に取り込まれた珪素および二酸化珪素が、遊離珪素および遊離二酸化珪素として表面に表れる場合がある。
また、炭化珪素粉末の粒径は、小さいほど比表面積が大きくなるため、炭化珪素単結晶成長における初期の炭化珪素粉末の昇華速度が速くなり、炭化珪素単結晶に欠陥を生じさせやすくなる。昇華速度は成長条件によって制御することはできるが、炭化珪素粉末の粒径が大きいほど制御がしやすく、炭化珪素単結晶の量産時の安定性に富む。炭化珪素粉末の粒径はあまりに大きいと炭化珪素の昇華速度それ自体が低くなり、炭化珪素単結晶の生産性が低下する。
また、炭化珪素粉末の全量に対し、最小目開き寸法Aと最大目開き寸法Bとの間の粒径を有する粉末の割合が80vol%以上とすることが望ましく、85vol%以上とすることがより望ましく、90vol%以上とすることがさらに望ましい。
また、最大目開きB/最小目開きA≦6とすることが望ましく、B/A≦5とすることがより望ましく、B/A≦4とすることがさらに望ましい。このような範囲とすれば、炭化珪素粒子の間隙に微小な炭化珪素粒子が存在することがないので、炭化珪素粒子の間隙が小さくなることがない。その結果、炭化珪素ガスの抜けがよくなり、炭化珪素単結晶の生産性が向上する。
[炭化珪素粉末の製造方法]
次に、炭化珪素粉末の製造方法について説明する。ここでは、固相反応を利用した方法について説明するが、液相反応などを利用した方法であってもよい。
固相反応を利用した炭化珪素粉末の製造方法の一例は、珪素を含む無機珪酸質原料と炭素を含む炭素質原料を混合して、炭化珪素製造用原料(混合粉末)を得る工程と、上記炭化珪素製造用原料を、2,500℃以上で焼成し、炭化珪素からなる塊状物を得る工程と、常温まで冷却する工程と、冷却した塊状物を粉砕した後、得られた粉砕物を分級し、炭化珪素粉末を得る工程を含む。
無機珪酸質原料としては、珪石などの結晶質シリカ、シリカフューム、シリカゲル等の非晶質シリカ、あるいは顆粒状等の金属シリコンが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。無機珪酸質原料の平均粒径は、焼成時の環境、原料の状態(結晶質、非晶質)、炭素質原料との反応性などによって、適宜選ばれる。
炭素質原料としては、例えば、天然黒鉛、人工黒鉛等の結晶質カーボンや、カーボンブラック、コークス、活性炭等の非晶質カーボンが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。炭素質原料の平均粒径は、焼成時の環境、原料の状態(結晶質、非晶質)、および炭素質材料との反応性などによって、適宜選ばれる。
上記の無機珪酸質原料と炭素質原料を混合して、炭化珪素粉末製造用の原料を調製する。この際、原料の混合方法は、任意であり、湿式混合と乾式混合のいずれも採用することができる。混合の際の無機珪酸質原料と炭素質原料の混合モル比(C/Si)は、焼成時の環境、炭化珪素製造用原料の粒径や反応性を考慮して、最適なものを選択する。ここでいう「最適」とは、焼成によって得られる炭化珪素の収量を向上させ、また、残存する未反応の無機珪酸質原料や炭素質原料の残存量を小さくすることを意味する。
得られた混合粉末(炭化珪素粉末製造用の原料)を2,500℃以上で焼成することによって、塊状の炭化珪素を得ることができる。焼成方法は、特に限定されるものではないが、外部加熱による方法、通電加熱による方法等が挙げられる。外部加熱による方法としては、例えば、流動層やバッチ式の炉を用いる方法が挙げられる。通電加熱による方法としては、例えば、アチソン炉を用いる方法が挙げられる。
焼成雰囲気は、還元雰囲気であることが望ましい。還元性が弱い雰囲気下で焼成すると、炭化珪素の収率が低くなるからである。この際、無機珪酸質原料の一つとして非晶質シリカを用いると、反応性が良いことから炉の制御が容易になるため、無機珪酸質原料には非晶質シリカを単独あるいは、一部に非晶質シリカ含む混合物を使うことが好適である。
なお、本明細書中、「アチソン炉」とは、間接抵抗加熱炉をいう。ここで、間接抵抗加熱とは、被加熱物に電流を直接流すのではなく、電流を流して発熱させた発熱体によって、被加熱物を加熱することである。アチソン炉を用いるアチソン法は、昇華再結晶法に適した粒径の範囲の炭化珪素粉末を容易に得ることができるので、好ましく採用される。アチソン炉としては、一般的なものを用いることができる。
アチソン炉の発熱体の種類は、電気を通すことができるものである限りにおいて、特に限定されるものではなく、例えば、黒鉛粉、カーボンロッド等が挙げられる。また、発熱体を構成する物質の形態は、特に限定されず、例えば、粉状、塊状等が挙げられる。発熱体は、アチソン炉の通電方向の両端に設けられた電極芯を結ぶように全体として棒状の形状になるように設けられる。ここでの棒状の形状とは、例えば、円柱状、角柱状等が挙げられる。
このように混合粉末を焼成することで、下記式(1)で示される反応が生じ、炭化珪素からなる塊状物が得られる。
SiO+3C → SiC+2CO…(1)
その後、炉内が常温になるまで冷却を行う。この際、冷却中の炭化珪素塊状物が晒される雰囲気を酸化雰囲気にし過ぎないよう調整することによって、遊離珪素、遊離二酸化珪素を低減することができる。この方法には、例えば、冷却中の炭化珪素塊状物に非酸化雰囲気ガスを接触させる方法がある。非酸化雰囲気ガスとしては、二酸化炭素、窒素、アルゴンなどを用いることができる。
また、アチソン炉を用いる場合は、通電により、炉内の発熱体の周囲に炭化珪素からなる塊状物が生成するので、通電後、炉の下部から非酸化雰囲気ガスを所定の導入速度で導入することで、冷却中の炭化珪素塊状物に非酸化雰囲気ガスを接触させることができる。このときの導入速度は、非酸化雰囲気ガスの種類および炉の大きさによって異なる。
非酸化雰囲気ガスは、二酸化炭素であることが望ましい。二酸化炭素を用いた場合には、以下の式(2)~(4)のような反応で遊離珪素、遊離二酸化珪素が低減していると考えられる。
Si(遊離珪素)+CO → SiO(g)+CO …(2)
SiO(遊離二酸化珪素)+C → SiO(g)+CO …(3)
SiO(g)+2CO → SiC+CO …(4)
酸素が豊富に存在する状態ではSiOが反応しにくいが、雰囲気を制御することによりSiO(g)を介して遊離珪素と遊離二酸化珪素の両方を低減することができる。また、非酸化雰囲気ガスとして窒素やアルゴンを用いた場合には、これとは異なる反応も起きていると考えられるが、いずれにしても、冷却中の炭化珪素塊状物に非酸化雰囲気ガスを接触させることで、遊離珪素、遊離二酸化珪素を低減することができる。なお、SiO(g)は、気体のSiOである。
得られた炭化珪素からなる塊状物(インゴット)を粉砕する。粉砕方法は、トップグラインダー、ディスクグラインダー、ジェットミル、ボールミル等を用いて粉砕する方法が挙げられる。この粉砕物を塩酸などを用いて適宜酸洗浄することにより粉砕によるコンタミネーションを除去し、炭化珪素粉末を得る。
その後、所望の粒径の範囲になるように、粉砕物を分級する。分級は、篩を用いた方法が最も簡便であり、好ましい。ただし、分級は、篩を用いた方法に限定されず、乾式、湿式の何れでもよい。また、乾式の分級として、気流を用いた例えば遠心式の分級方法を用いることもできる。このような工程により、遊離珪素および遊離二酸化珪素の含有量の少ない炭化珪素粉末を製造できる。
[実施例および比較例]
[実施例1]
非晶質珪酸質原料(非晶質シリカ)と炭素質原料(カーボンブラック)を、2軸ミキサーを用いて炭素と珪酸のモル比(C/SiO)が3.20となるように混合して、炭化珪素製造用原料(混合粉末)を得た。得られた炭化珪素製造用原料850kg、および発熱体(黒鉛粉)を、アチソン炉(アチソン炉の内寸:長さ2500mm、幅1000mm、高さ850mm)に収容した後、2500℃で13.5時間焼成を行った。その後、空冷による冷却を行う一方、炉の下部より二酸化炭素ガスを0.02Nm/minの速度で導入し、雰囲気制御を行い、塊状の炭化珪素粉末を得た。これをトップグラインダー、ディスクミルを用いて粉砕し、粒径の範囲を250~1000μmに分級した。
この粉末について、JIS R 1616「ファインセラミックス用炭化珪素微粉末の化学分析方法」に基づいた方法で遊離珪素、遊離二酸化珪素の分析を行った。
次に、上記の炭化珪素粉末を黒鉛製のるつぼに入れて、炭化珪素単結晶作製と同様の加熱試験を行った。図2は、その模式図である。まず、外寸φ210、内寸φ198(ふたの位置は内寸φ200)、高さ200mmの、黒鉛製のるつぼに炭化珪素粉末150.0gを充填した。これに、φ200、厚さ5mmの重量を予め測定した黒鉛製の板をふたとして乗せ、ひっくり返してふた側が下になるようにした。この全体をグラファイト製の断熱材で覆った。
そして、この全体を炉の中に静置して、3Torr(400Pa)のアルゴン雰囲気下において、誘導加熱にて炉の下部の温度が2200℃、炉の上部の温度が2100℃となるように加熱を行った。ここで、昇温時は炉の上部・下部ともに昇温速度が10℃/minとなるように制御し、炉の下部の温度が2200℃に到達した時点から3時間、炉の下部を2200℃、上部を2100℃の状態に保ち、加熱を行った。その後、炉を停止し、常温まで空冷してから、るつぼを取り出した。
るつぼ内で焼結した原料を取り出し、ふたの重量を再度測定した。さらに、このふたの熱伝導率の変化を、JIS A 1412「熱絶縁材の熱抵抗および熱伝導率の測定方法」に示される保護熱板法(GHP法)に基づいて測定した。このようにすることで、ふたの重量変化、および熱伝導率の変化からるつぼの変化を確認できる。
[実施例2]
実施例1と同様の方法で炭化珪素粉末を製造したが、冷却時に二酸化炭素を炉内に導入する速度を0.04Nm/minとした。
[実施例3]
実施例1と同様の方法で炭化珪素粉末を製造したが、冷却時に二酸化炭素を炉内に導入する速度を0.08Nm/minとした。
[実施例4]
実施例1と同様の方法で炭化珪素粉末を製造したが、冷却時に二酸化炭素の代わりに窒素を炉内に導入し、また、その導入速度は0.04Nm/minとした。
[実施例5]
実施例1と同様の方法で炭化珪素粉末を製造したが、冷却時に二酸化炭素の代わりに窒素を炉内に導入し、また、その導入速度は0.08Nm/minとした。
[実施例6]
実施例1と同様の方法で炭化珪素粉末を製造したが、冷却時に二酸化炭素の代わりにアルゴンを炉内に導入し、また、その導入速度は0.04Nm/minとした。
[実施例7]
実施例1と同様の方法で炭化珪素粉末を製造したが、粒径を44~212μmとした。
[実施例8]
実施例1と同様の方法で炭化珪素粉末を製造したが、粒径を500~1400μmとした。
[実施例9]
実施例1と同様の方法で炭化珪素粉末を製造したが、粒径を44~500μmとした。
[比較例1]
実施例1と同様の方法で炭化珪素粉末を製造したが、冷却時に二酸化炭素を炉内に導入することをしなかった。
[比較例2]
実施例1と同様の方法で炭化珪素粉末を製造したが、冷却時に二酸化炭素の代わりに窒素を炉内に導入し、また、その導入速度は0.02Nm/minとした。
[比較例3]
実施例1と同様の方法で炭化珪素粉末を製造したが、冷却時に二酸化炭素の代わりに空気を炉内に導入し、また、その導入速度は0.02Nm/minとした。
[比較例4]
実施例1と同様の方法で炭化珪素粉末を製造したが、冷却時に二酸化炭素の代わりに空気を炉内に導入し、また、その導入速度は0.08Nm/minとした。
[比較例5]
実施例1と同様の方法で炭化珪素粉末を製造したが、粒径を20~106μmとした。
図3は、実施例および比較例の炭化珪素粉末の製造条件、製造された炭化珪素粉末に含まれる遊離珪素および遊離二酸化珪素の量、粒径の範囲にある粒子の割合、および、ふたの重量と熱伝導率の測定結果を示す表である。
実施例1~9は、炭化珪素粉末に含まれる遊離珪素および遊離二酸化珪素の合計が、炭化珪素粉末の重量に対して0.6重量%以下であり、炭化珪素粉末の粒径の範囲が、44μm以上1400μm以下であったため、ふたの重量はほとんど増加しておらず、ふたの熱伝導率もほとんど変化しなかった。すなわち、実施例1~9の炭化珪素粉末は、昇華再結晶法に使用したとき、るつぼや断熱材の炭化珪素化による劣化を抑制できることが確認された。
また、実施例1~3、8、および9は、炭化珪素粉末に含まれる遊離珪素および遊離二酸化珪素の合計が、炭化珪素粉末の重量に対して0.35重量%以下であったため、ふたの重量の増加は小さく、ふたの熱伝導率の変化も特に小さかった。すなわち、実施例1~3、8、および9の炭化珪素粉末は、昇華再結晶法に使用したとき、るつぼや断熱材の炭化珪素化による劣化をさらに抑制できることが確認された。
実施例9は、B/A>6であったため、今回の実験結果の表には記載していないが、昇華速度が小さかった。粒度分布の幅が広いために、大きな粒子の間に小さな粒子が入り込んで空隙率が小さくなり、炭化珪素ガスの拡散が遅くなったこと、また、大きな粒子をつなぐように小さな粒子が焼結し、原料全体が固結したため、表面積が小さくなって表面からの昇華ガスの発生量が減少したことなどが原因と考えられる。
比較例1~5は、炭化珪素粉末に含まれる遊離珪素および遊離二酸化珪素の合計が、炭化珪素粉末の重量に対して0.6重量%より大きい値であったため、ふたの重量の増加は実施例に比べて大きく、ふたの熱伝導率も大きく低下していた。すなわち、比較例1~5の炭化珪素粉末は、昇華再結晶法に使用したとき、実施例1~9と比較して、るつぼや断熱材の炭化珪素化による劣化を抑制できていないことが確認された。
比較例1の炭化珪素粉末は、製造時の冷却する工程においてガスを導入しなかったため、冷却中の炭化珪素塊状物が晒される雰囲気は酸化雰囲気(大気雰囲気)であったと考えられる。そのため、炭化珪素粉末に含有される遊離珪素および遊離二酸化珪素の量を低減できなかったと推察される。
比較例3および4の炭化珪素粉末は、製造時の冷却する工程において空気を導入したため、冷却中の炭化珪素塊状物が晒される雰囲気は酸化雰囲気(大気雰囲気)であったと考えられる。そのため、炭化珪素粉末に含有される遊離珪素および遊離二酸化珪素の量を低減できなかったと推察される。また、比較例4の遊離珪素および遊離二酸化珪素の量から、空気を導入する量をある程度大きくすると、酸化雰囲気が強くなり、遊離珪素および遊離二酸化珪素の量が増加すると考えられる。
比較例2の炭化珪素粉末は、製造時の冷却する工程において窒素を導入したが、その量が少なかったため、冷却中の炭化珪素塊状物が晒される雰囲気を十分な非酸化雰囲気にできなかったと考えられる。そのため、炭化珪素粉末に含有される遊離珪素および遊離二酸化珪素の量を十分に低減できなかったと推察される。
比較例2に対して、二酸化炭素を同じ量導入した実施例1は、炭化珪素粉末に含有される遊離珪素および遊離二酸化珪素の量を十分に低減できたため、非酸化雰囲気ガスの中でも、二酸化炭素が望ましいことが確認された。また、窒素を用いた場合でも、実施例4および5のように炭化珪素粉末に含有される遊離珪素および遊離二酸化珪素の量を十分に低減できた試料もあるため、使用する非酸化雰囲気ガスに応じて、導入速度を適切な範囲に調整すればよいことも確認された。
比較例5の炭化珪素粉末は、製造時の冷却する工程において二酸化炭素を導入したが、冷却された炭化珪素を粉砕する工程において、粒径の範囲の下限値を小さくし過ぎたため、遊離珪素および遊離二酸化珪素の重量の合計が、炭化珪素粉末の重量に対して0.6重量%を超えてしまったと推察される。
以上から、本発明の炭化珪素粉末は、昇華再結晶法に使用したとき、るつぼや断熱材の炭化珪素化による劣化を抑制できることが分かった。
10 炉
11 炉本体
15a、15b 電極
20 混合粉末
30 発熱体

Claims (2)

  1. 昇華再結晶法による炭化珪素単結晶の製造に用いられる炭化珪素粉末であって、
    前記炭化珪素粉末の表面に存在する遊離珪素および遊離二酸化珪素の重量の合計が、前記炭化珪素粉末の重量に対して0.6重量%以下であり、
    前記炭化珪素粉末の粒径の範囲をAμm以上Bμm以下(A<B)としたとき、B/A≦6であり、
    前記Aは44以上であり、
    前記Bは1400以下であることを特徴とする炭化珪素粉末。
  2. 前記遊離珪素および遊離二酸化珪素の重量の合計が、前記炭化珪素粉末の重量に対して0.35重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の炭化珪素粉末。
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