JP2022136848A - 炭化ケイ素粉末およびその製造方法 - Google Patents

炭化ケイ素粉末およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アクセプター元素およびドナー元素を均一に含有し、抵抗率が低く、かつ十分な性能を有する炭化ケイ素単結晶を容易に製造できる炭化ケイ素粉末およびその製造方法を提供する。【解決手段】炭素質原料、無機ケイ酸質原料、ホウ素化合物および窒素化合物を混合してホウ素が5ppm以上500ppm以下、窒素が10ppm以上2000ppm以下含有される粉末原料を準備する工程と、粉末原料を2000℃以上3000℃以下の温度で焼成する工程と、焼成により得られた焼成物を粉砕する工程と、を含む。これにより、抵抗率が低く、かつ十分な性能を有する炭化ケイ素単結晶を製造するための原料となる炭化ケイ素粉末を製造できる。【選択図】図1

Description

本発明は、炭化ケイ素粉末およびその製造方法に関する。
SiCパワーデバイスでは、単結晶基板の抵抗率を低くすることにより、デバイスの抵抗値を下げることが重要である。n型SiC単結晶基板の抵抗率を下げる方法として、窒素濃度を増やすことが知られている。また、結晶の基底面転位等を抑制することを目的として、炭化ケイ素単結晶に、窒素等のドナー元素と共に、ホウ素等のアクセプター元素をドープすることが知られている(特許文献1参照)。
例えば特許文献1では、アクセプター元素およびドナー元素をドープさせるために、単結晶製造時に炭化ケイ素以外の原料を混合して昇華させている。しかしながら、単結晶製造時の原料に炭化ケイ素以外の原料を混合させると、原料間において昇華速度がばらつき、品質が安定しない問題があった(特許文献1、2参照)。
一方で、単結晶製造用の原料として粒子の全体にホウ素が含有されている炭化ケイ素粉末を製造する技術が知られている(特許文献3参照)。特許文献3には、無機ケイ酸質原料と炭素質原料とホウ素化合物とを混合した原料を2200℃以上で焼成する方法が記載されており、ホウ素化合物として窒化ホウ素が挙げられている。
特開2020-33230号公報 特開平9-157092号公報 特開2018-158871号公報
しかしながら、特許文献3記載の技術では、炭化ケイ素粉末に含有されるアクセプター元素であるホウ素の濃度を制御しているものの、ドナー元素の濃度は制御していない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、アクセプター元素およびドナー元素を均一に含有し、抵抗率が低く、かつ十分な性能を有する炭化ケイ素単結晶を容易に製造できる炭化ケイ素粉末およびその製造方法を提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じている。すなわち、本発明の炭化ケイ素粉末の製造方法は、炭素質原料、無機ケイ酸質原料、ホウ素化合物および窒素化合物を混合してホウ素が5ppm以上500ppm以下、窒素が10ppm以上2000ppm以下含有される粉末原料を準備する工程と、前記粉末原料を2000℃以上3000℃以下の温度で焼成する工程と、前記焼成により得られた焼成物を粉砕する工程と、を含むことを特徴とする。
これにより、抵抗率が低く、かつ十分な性能を有する炭化ケイ素単結晶を製造するための原料となる炭化ケイ素粉末を製造できる。また、窒素およびホウ素が均一に含有された炭化ケイ素単結晶を容易に製造できる原料が得られる。
(2)また、本発明の炭化ケイ素粉末の製造方法においては、前記粉砕された焼成物を、90質量%以上の粒度範囲が20μm以上1400μm以下となるように分級する工程をさらに含むことを特徴とする。これにより、昇華再結晶法で炭化ケイ素単結晶を製造する際に、カーボンインクルージョンやシリコンドロップレットの発生を抑えることができる原料が得られる。
(3)また、本発明の炭化ケイ素粉末においては、10ppm以上350ppm以下のホウ素と、200ppm以上3000ppm以下の窒素とを含むことを特徴とする。
このように炭化ケイ素粒子における窒素の濃度が200ppm以上であり、かつホウ素の濃度が350ppm以下であることで、これを原料として炭化ケイ素単結晶を製造したときに窒素添加による電気伝導率の向上が妨げられない。一方、炭化ケイ素粒子における窒素の濃度が3000ppm以下であり、かつホウ素の濃度が10ppm以上であることで、窒素により炭化ケイ素単結晶に生じる転移欠陥の発生を抑制できる。また、炭化ケイ素粒子に窒素およびホウ素が含まれているため、これらが均一に含有された炭化ケイ素単結晶を昇華再結晶法により製造できる。
(4)本発明の炭化ケイ素粉末において、篩の目開き寸法において20μm以上1400μm以下の粒度を有する粉末の割合が90質量%以上であることを特徴とする。これにより、昇華再結晶法で炭化ケイ素単結晶を製造する際に、カーボンインクルージョンやシリコンドロップレットの発生を抑えることができる原料として用いることができる。
本発明によれば、アクセプター元素およびドナー元素を均一に含有し、抵抗率が低く、かつ十分な性能を有する炭化ケイ素単結晶を容易に製造できる。
アチソン炉の構成を示す断面図である。 焼成物における各分析点の位置を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
[炭化ケイ素粉末の構成]
本発明の炭化ケイ素粉末(SiC)は、炭素(C)とケイ素(Si)の他に、アクセプター元素であるホウ素(B)およびドナー元素である窒素(N)を不純物として含む。これらの元素がドープされた炭化ケイ素粉末は、原料として炭化ケイ素単結晶の製造に用いられ、製造物にアクセプター元素およびドナー元素を均一に含有させるのに有効である。
炭化ケイ素粉末中の窒素およびホウ素の濃度は制御され、10ppm以上350ppm以下のホウ素と、200ppm以上3000ppm以下の窒素とを含んでいる。このような炭化ケイ素粉末を原料として使用すれば、アクセプター元素およびドナー元素を均一に含有し、抵抗率が低く、かつ十分な性能を有する炭化ケイ素単結晶を容易に製造できる。なお、パワーデバイスの性能には、オン抵抗、耐電圧およびスイッチング周波数等が挙げられる。
具体的には、炭化ケイ素粒子における窒素の濃度が200ppm以上であり、かつホウ素の濃度が350ppm以下であることで、これを原料として炭化ケイ素単結晶を製造したときに窒素添加による電気伝導率の向上が妨げられない。一方、炭化ケイ素粒子における窒素の濃度が3000ppm以下であり、かつホウ素の濃度が10ppm以上であることで、窒素により炭化ケイ素単結晶に生じる転移欠陥の発生を抑制できる。
また、炭化ケイ素粉末は、篩の目開き寸法において20μm以上1400μm以下の粒度を有する粉末の割合が90質量%以上であることが好ましい。これにより、昇華再結晶法によって炭化ケイ素単結晶を製造する際に、カーボンインクルージョンやシリコンドロップレットの発生を抑えられる。
[炭化ケイ素粉末の製造方法]
上記のように構成された炭化ケイ素粉末の製造方法を説明する。まず、炭素質原料、無機ケイ酸質原料、ホウ素化合物および窒素化合物を混合して粉末原料を準備する。粉末原料には、その際には、ホウ素が5ppm以上500ppm以下、窒素が10ppm以上2000ppm以下含有されるように各原料の投入量を計算し、秤量しておく。なお、これらの各元素はパワーデバイスとして求められる炭化ケイ素単結晶の純度を低下させない。
炭素質原料としては、例えば、天然黒鉛、人工黒鉛等の結晶性カーボン、カーボンブラック、コークス、活性炭等の非晶質カーボンが挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。炭素質原料の平均粒径は、焼成時の環境、原料の状態(結晶質、非結晶質)および炭素質材料との反応性等によって、適宜選ばれる。
無機ケイ酸質原料は、珪石等の結晶質シリカ、シリカフューム、シリカゲル等の非結晶シリカが挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。ただし、焼成時の反応性がよく、炉の制御が容易となることから、非晶質シリカを用いることが好ましい。また、無機ケイ酸質原料の平均粒径は、焼成時の環境、原料の状態(結晶質、非結晶質)、炭素質材料との反応性等によって、適宜選ばれる。
なお、炭素質原料と無機ケイ酸質原料との混合モル比(C/Si)は、焼成時の環境、炭化ケイ素粉末用原料の粒径、反応性等を考慮して選択することが好ましい。すなわち、焼成によって得られる炭化ケイ素の収量を向上させ、かつ、無機ケイ酸質原料および炭素質原料の未反応の残存量を小さくするように選択する。
ホウ素化合物は、パワーデバイスとして求められる炭化ケイ素単結晶の純度の観点において、窒素、炭素、ケイ素、酸素、水素、第1族元素、および第2族元素のうちいずれか1つまたは2つ以上を含有している化合物が好ましい。具体的には、炭化ホウ素、ホウ酸、窒化ホウ素、およびホウ酸ナトリウム等が挙げられる。これらは1種を単独でしようしてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
なお、上記のうちホウ酸およびホウ酸ナトリウムを用いることがさらに好ましい。これは、ホウ酸およびホウ酸ナトリウムが安価であることに加え、ホウ素が炭化ケイ素に取り込まれやすいためである。ホウ酸を用いた場合には、ホウ酸の還元反応が炭化ケイ素の生成温度付近で生じる。これにより、ホウ酸が炭化ホウ素に変化し、ホウ素が炭化ケイ素に均一に取り込まれやすくなる。また、ホウ酸ナトリウムを用いた場合には、ホウ酸ナトリウムの分解温度が炭化ケイ素の生成温度付近に近いため、ホウ素が炭化ケイ素に取り込まれやすくなる。
窒素化合物は、パワーデバイスとして求められる炭化ケイ素単結晶の純度の観点において、ホウ素、炭素、ケイ素、酸素、水素、第1族元素、および第2族元素のうちいずれか1つまたは2つ以上含有している化合物が好ましい。具体的には、窒化ケイ素および窒化ホウ素等が窒素化合物として挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
なお、上記のうち窒化ケイ素を用いることがさらに好ましい。窒化ケイ素を用いた場合には、窒化ケイ素が不活性雰囲気における分解温度が高く、揮散が少ないことから、窒素を効率よく炭化ケイ素に取り込みやすくなる。
また、ホウ素化合物の添加量は、粉末原料のホウ素濃度が5ppm以上500ppm以下となるように定められる。粉末原料のホウ素濃度は、10ppm以上350ppmにすることがさらに好ましい。また、窒素化合物の添加量は、粉末原料に含まれる窒素濃度が10ppm以上2000ppm以下となるように定められる。粉末原料の窒素濃度窒素化合物は、30ppm以上1700ppm以下にすることがさらに好ましい。
粉末原料におけるホウ素濃度を5ppm以上500ppm以下とすることで、製造された炭化ケイ素粉末中に含有されるホウ素が10ppm以上350ppm以下となる。これは焼成時のホウ素の揮発や偏在により濃度が変動するためである。また、粉末原料における窒素濃度を10ppm以上2000ppm以下とすることで、製造された炭化ケイ素粉末中に含有される窒素の濃度が200ppm以上3000ppm以下となる。これは焼成時に窒素が偏在することで濃度が変動するためである。
原料に含まれるホウ素および窒素の濃度が高いほど、製造された炭化ケイ素粉末のホウ素の濃度が高くなる。ただし、焼成工程において、ホウ素の一部が揮発する。そのため、原料中のホウ素濃度と、炭化ケイ素粉末中のホウ素濃度とは必ずしも一致せず、原料よりも炭化ケイ素粉末におけるホウ素濃度が低くなる傾向にある。
なお、各原料を混合する方法は任意の方法でよく、湿式混合や、乾式混合の何れであってもよい。例えば、ホバートミキサ、ハドルミキサ、ヘンシェルミキサを用いることができる。
次に、粉末原料を焼成する。焼成工程は、2000℃以上3000℃以下の温度で粉末原料を焼成して、粉末原料の焼成物を得る。焼成物は、SiCからなる塊状物である。焼成温度は、α-SiCの生成温度である2200℃以上、SiCの融点である2730℃以下がより好ましい。
焼成は、例えば、アチソン炉を用いたアチソン法により行うことができる。アチソン炉を用いることで、粉末原料を適切な温度で焼成でき、昇華再結晶に適した粒径の炭化ケイ素粉末を容易に得ることができる。図1は、アチソン炉の構成を示す断面図である。図1に示すように、アチソン炉1は上部開口した箱型の間接抵抗加熱炉である。間接抵抗加熱炉は、被加熱物に電流を直接流すのではなく、電流を通じて発熱させた発熱体によって加熱する。
発熱体2は、アチソン炉本体1a内部の通電方向の両端に設けられた電極芯4を結ぶ棒状となるように設けられる。発熱体2の材料は、電気を通す性質があればよく、例えば、黒鉛粉、カーボンロッド等である。発熱体2の形状は特に限定されず、粉状や塊状等が挙げられる。発熱体2は、アチソン炉の通電方向の両端に設けられた電極芯を結ぶように全体として棒状の形状になるように設けられる。ここでの棒状の形状とは、例えば、円柱状、角柱状等が挙げられる。発熱体2が、アチソン炉1の内側面に設けられた電極芯4から流れる電流によって発熱することで被加熱物を加熱する。
被加熱体は、粉末原料であり、アチソン炉の内部に充填されることで焼成される。発熱体2を境として、炉内の下側に充填される被加熱体を炉詰め原料3aとし、上側に充填される被加熱体をかぶせ原料3bと呼ぶ。なお、熱伝導の違いを考慮して、炉詰め原料3aとかぶせ原料3bとにおいて、粉末原料を構成する各原料の構成比が異なっていても良い。
アチソン炉を用いる場合、まず、アチソン炉本体1aに炉詰め原料3aを充填し、電極芯を直線状に結ぶように発熱体2を配置する。そして、発熱体2を覆うようにかぶせ原料3bを充填する。そして、適切な温度となるように、電極芯に電力を供給し、被加熱物を加熱することで、下記式(1)に示した反応が生じ、炉内に炭化ケイ素からなる塊状物が生成される。
SiO+3C→SiC+2CO…(1)
ホウ素(例えばホウ酸)は1500℃近傍でSiOの一部と反応し、ホウ素が取り込まれるため、ホウ素が均等に取り込まれた炭化ケイ素結晶が成長すると考えらえる(BとSiが置換する)。窒素(例えば窒化ケイ素)は炭化ケイ素が生成されはじめる1500℃近傍で窒素化合物が分解し、窒素が均等に取り込まれた炭化ケイ素結晶が成長すると考えらえる(NとCが置換する)。炭化ケイ素粒子は結晶子が集合したものであることが多いので、粗大粒子になるほどその傾向が強くなる。
通電後、炉内に炭化ケイ素からなる塊状の焼成物が生成する。そして、炉内が常温になるまで冷却を行う。そして、得られた炭化ケイ素からなる焼成物を粉砕する。粉砕方法は、トップグラインダー、ディスクグラインダー、ジェットミル、ボールミル等を用いて粉砕する方法が挙げられる。
その後、所望の粒度範囲になるように、粉砕物を分級することが好ましい。分級は、篩を用いた方法が最も簡便であり、好ましい。ただし、分級は、篩を用いた方法に限定されず、乾式、湿式の何れでもよい。また、乾式の分級として、気流を用いた例えば遠心式の分級方法を用いることもできる。
分級は、粒径が100μmを超える粒子が含まれるように行なうことが好ましく、更には、炭化ケイ素粉末の90質量%以上が、篩の目開き寸法による粒度範囲が20~1400μmとなるように行なうことがより好ましく、上記粒度範囲が30~1000μm となるように行なうことが最も好ましい。細かい粒子だとカーボンの微粉のためにカーボンインクルージョンが起こりやすく、粗い粒子だと比表面積が小さいため昇華速度が遅くなり、シリコンドロップレットが発生しやすくなる傾向がある。また、粉砕物を、塩酸などを用いて適宜酸洗浄することにより、粉砕によるコンタミネーションを除去してもよい。
こうして得られた本発明の炭化ケイ素粉末は、不純物としてホウ素と窒素を含有する炭化ケイ素粒子からなり、この炭化ケイ素粒子は、粒子全体にホウ素と窒素が含有されている。なお、ここで「全体にホウ素と窒素が含有されている」とは、粒子の表層から中心部に至るまで、ホウ素と窒素が含有されていることを意味する。
本発明の炭化ケイ素粉末の好ましい態様においては、炭化ケイ素粉末を構成する炭化ケイ素粒子の表層から中心部に至るまで、ホウ素と窒素がほぼ均一に含まれている。ここでほぼ均一とは、最も高い濃度の部分と最も低い濃度の部分との差異が、濃度の高い方を基準して70%以内となっていることを意味する。
[実施例]
炭化ケイ素粉末の製造方法を用いた各実施例、および各比較例について以下に説明する。ただし、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
まず、無機ケイ酸質原料、炭素質原料、ホウ素および窒素化合物を混合して粉末原料を調整した。具体的には、カーボンブラックに対する非晶質シリカの重量比が2となるように調整された700kgのカーボンブラックおよび非晶質シリカに対して、ホウ素化合物および窒素化合物をさらに添加したうえで、モルタルミキサーを用いて混合することで作製した。このようにして、実施例1~7、比較例1~3の粉末原料を準備した。
各実施例、および各比較例において、添加されたホウ素化合物および窒素化合物は、以下の表1に示す通りである。なお、表1に示すように、比較例1ではホウ素化合物、および窒素化合物を添加していない。
Figure 2022136848000002
なお、粉末原料を構成する各原料の粒径については以下の通りである。
無機ケイ酸質原料:非晶質シリカ 平均粒径 2mm以下
炭素質原料 :カーボンブラック 平均粒径 2mm以下
ホウ素化合物 :ホウ酸粉末 粒度範囲 10μm~1000μm
炭化ホウ素粉末 粒度範囲 1μm~45μm
四ホウ酸ナトリウム粉末 粒度範囲 10μm~1000μm
窒素化合物 :窒化ケイ素粉末 粒度範囲 1μm~45μm
ホウ素窒素化合物:窒化ホウ素粉末 粒度範囲 1μm~45μm
次に、アチソン炉を用いて、粉末原料を2600℃で6時間焼成することで、焼成物を得た。このとき、発熱体として黒鉛粉を用いた。次に、電極芯の上部と下部の2か所において、焼成物を回収した。さらに、各焼成物において、未反応原料側(分析点6)、発熱体に近い位置(分析点8)、その中心部(分析点7)の3点において、ステンレス匙を用いて削り取ることで、各部位におけるサンプルを採取した。つまり、各実施例および各比較例において、6つのサンプルを採取した。図2は、焼成物における各分析点の位置を示す断面図である。各サンプルについて、重量を測定し、ジョークラッシャーおよびボールミルを用いて粉砕することで、炭化ケイ素粉末を得た。
次に、各部位サンプルにおけるホウ素濃度、窒素濃度、および酸素濃度を測定した。ホウ素濃度については、湿式分析によって測定した。より具体的には、アルカリ融解法または加圧酸分解によって測定溶液を調整した後に、ICP発光分光分析装置「ULTIMA2」(堀場製作所社製)を用いてホウ素濃度を測定した。また、窒素濃度および酸素濃度については、酸素窒素水素同時分析装置「TCH-600」(LECO社製)を用いて測定した。
各実施例および各比較例における各分析点のホウ素および窒素の濃度ならびに評価結果を表2に示す。なお、表2に示される各分析点における濃度は、電極芯の上部および下部における濃度の平均値である。表2における「内側」とは、発熱体に近い位置の分析点8における濃度であり、「外側」とは発熱体から遠い位置の分析点6における濃度であり、「中心」とは他の分析点6、8の中心における分析点7を「中心」である。また、表2に示される加重平均の濃度は、測定された濃度に対し、濃度を測定したサンプルの重量によって重み付けを行なった平均値である。
Figure 2022136848000003
表2に示すように、ホウ素化合物および窒素化合物を添加していない比較例1では、各分析点間におけるホウ素濃度、および窒素濃度の測定値にバラつきがあり、ホウ素および窒素の濃度勾配が生じている。また、比較例2では、各分析点間における窒素濃度の測定値にバラつきがあり、窒素の濃度勾配が生じている。また、比較例3では、各分析点間におけるホウ素濃度の測定値にバラつきがあり、ホウ素の濃度勾配が生じている。
これに対して、炭化ケイ素粉末のホウ素濃度が350ppm以下であり、窒素濃度が3000ppm以下である実施例1~7では、各分析点におけるホウ素濃度および窒素濃度の測定値のばらつきが小さく、ホウ素および窒素が均一に含有されている。
以上のことから、炭化ケイ素粉末のホウ素濃度が350pm以下、窒素濃度が3000ppm以下となるように各原料の添加量を調整することで、ホウ素および窒素が均一に取り込まれた炭化ケイ素粉末を製造できることを確認できた。
1 アチソン炉
1a アチソン炉本体
2 発熱体
3a 炉詰め原料
3b かぶせ原料
4 電極芯
5 焼成物
6 外側部分における分析点
7 中心部分における分析点
8 内側部分における分析点

Claims (4)

  1. 炭素質原料、無機ケイ酸質原料、ホウ素化合物および窒素化合物を混合してホウ素が5ppm以上500ppm以下、窒素が10ppm以上2000ppm以下含有される粉末原料を準備する工程と、
    前記粉末原料を2000℃以上3000℃以下の温度で焼成する工程と、
    前記焼成により得られた焼成物を粉砕する工程と、を含むことを特徴とする炭化ケイ素粉末の製造方法。
  2. 前記粉砕された焼成物を、90質量%以上の粒度範囲が20μm以上1400μm以下となるように分級する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の炭化ケイ素粉末の製造方法。
  3. 10ppm以上350ppm以下のホウ素と、
    200ppm以上3000ppm以下の窒素とを含むことを特徴とする炭化ケイ素粉末。
  4. 篩の目開き寸法において20μm以上1400μm以下の粒度を有する粉末の割合が90質量%以上であることを特徴とする請求項3記載の炭化ケイ素粉末。
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