JP2014015339A - 炭化珪素粉末の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 縦型反応炉において炭化珪素を製造するにあたり、シリカ粉末及び炭素質材料粉末からなる粉末状原料を用いて連続的に炭化珪素を製造する方法を提供する。
【解決手段】上部に原料供給口1を、下部に反応生成物取出口5を有する縦型反応炉に、シリカ粉末と炭素質材料粉末との混合原料を連続的あるいは間欠的に供給し、該混合原料を上記縦型反応炉の反応領域3に到達させて炭化反応を行わせ、反応生成物を連続的あるいは間欠的に取り出す炭化珪素の製造方法において、前記縦型反応炉に供給する混合原料のJIS R 1628により測定される嵩密度を50〜350g/Lに調整する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、炭化珪素粉末の新規な製造方法に関するものである。詳しくは、縦型反応炉において、従来、困難とされていた、粉末状の原料を使用し、炭化珪素粉末を工業的に製造することを可能とした炭化珪素粉末の製造方法を提供するものである。
近年、エネルギー利用効率の向上が世界的課題となっており、電力損失の少ない次世代パワーデバイスの開発が求められている。パワーデバイスに用いられる半導体材料としてはシリコンが用いられてきたが、より一層の高性能化を図るために次世代の半導体材料が求められており、炭化珪素及び窒化ガリウムが有望視されている。中でも、高い動作負荷容量が期待される分野においては炭化珪素が有望視されており、炭化珪素を用いたパワーデバイスの実現のために、高純度で欠陥の少ない炭化珪素単結晶が必要とされている。
炭化珪素単結晶は、高純度の黒鉛製容器に入れた高純度炭化珪素粉末を2000℃以上の高温で加熱・昇華させ、低温部に設置された種結晶上に再結晶化させることで炭化珪素単結晶を得る改良レーリー法(改良昇華再結晶法)により製造されている。
上記炭化珪素単結晶の原料となる炭化珪素粉末の製造方法としては、シリカ還元法、アチソン法、直接炭化法、気相合成法等が知られているが、工業的には、原料が安価で反応収率も良く、反応制御が容易なシリカ還元法もしくはアチソン法により製造されている。
そのうち、シリカ還元法は、上部に原料供給口を、下部に反応生成物取出口を有する縦型反応炉を使用し、原料であるシリカ粉末と炭素質材料粉末を連続的或いは間歇的に供給して、炭化珪素粉末を連続的に製造することが可能であるため、工業的に好ましい方法である。また、上記原料を粉末の状態で使用することができれば、得られる炭化珪素も粉末で得られるため、単結晶製造の際に昇華させやすく、反応炉や原料からの金属不純物の混入を抑制すれば、炭化珪素単結晶製造用として好適な高純度炭化珪素粉末を得ることが可能と考えられる。
しかしながら、該方法で炭化珪素を連続製造するためには、反応時に生成するガスの通気を確保するために、例えば、特許文献1、2において開示されているように、シリカ粉末と炭素質材料粉末との混合原料を造粒体に成形する必要があった。
また、上記方法によれば、造粒体の間隙をガスが流通し易くなる反面、反応時の生成ガスであるSiOガス及びCOガスが、流通するガスに同伴されて系外に取り除かれるという現象を生じる。この現象は、目的物である炭化珪素のSi源及びC源を過剰に排出していることとなり、反応収率を低下させるという問題があった。
また、特許文献3においては、造粒体を使用せず、粉末の状態で原料を供給して反応を行うと、短時間で炉が閉塞し、連続した製造が困難であることも記載されている。
特開昭54−33899号公報 特公昭55−40527号公報 特開昭63−166709号公報
従って、本発明の目的は、従来、製造が困難とされていた、粉末状の原料、即ち、造粒等の成形を行わず、シリカ粉末と炭素質材料粉末とを混合した粉末状態の原料を使用し、縦型反応炉による炭化珪素粉末の製造を可能とした方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、縦型反応炉において、反応時の生成ガスであるSiOガス及びCOガスが、流通するガスに同伴されて系外に取り除かれる現象を抑制することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するため、鋭意検討を行った。
その結果、前記縦型反応炉を使用した炭化珪素の製造方法において、混合原料として特定の嵩密度に調整されたシリカ粉末と炭素質材料粉末との混合原料を使用することにより、原料が粉末状であっても閉塞を起こさずに炭化珪素を連続的に製造可能であること、更には、縦型反応炉内の炭化反応が起こる反応領域より上部に位置する原料層のガスとの接触面積が増大することにより、反応時に生成するSiOガス及びCOガスをその表面に効率よく捕捉でき、原料の損失をも効果的に防止し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、上部に原料供給口を、下部に反応生成物取出口を有する縦型反応炉に、シリカ粉末と炭素質材料粉末との混合原料を連続的あるいは間欠的に供給し、該混合原料を上記縦型反応炉の反応領域に到達させて炭化反応を行わせ、反応生成物を連続的あるいは間欠的に取り出す炭化珪素の製造方法において、前記縦型反応炉に供給する混合原料の嵩密度を50〜350g/Lに調整することを特徴とする炭化珪素粉末の製造方法である。
尚、本発明において、上記嵩密度は、JIS R 1628(初期嵩密度)に記載の方法に従って測定した値である。
本発明の製造方法においては、前記原料供給口から反応領域に至るまでの間の温度が1200℃以下に調整された領域を形成することが、反応時に生成するSiOガス及びCOガスをより効率よく補足することができ好ましい。
また、前記混合原料の嵩密度が、混合前のシリカ粉末及び炭素質材料粉末の嵩密度より算出される嵩密度より高い嵩密度、具体的には、1.3〜6.0倍の嵩密度を有するように、混合原料の嵩密度を調整することが、混合原料、特にシリカ粉末の吹き上がりを防止し、縦型反応炉において均一な間隙を全層にわたって維持することができ好ましい。
更に、反応性を考慮すれば、前記原料シリカ粉末の平均一次粒子径は50nm以下、前記炭素質材料の平均一次粒子径は100nm以下であることが好ましい。
更にまた、前記のシリカ粉末と炭素質材料粉末との平均粒子径の比(シリカ粉末の平均粒子径/炭素質材料粉末の平均粒子径)は、0.1〜10であることが、混合粉末におけるシリカ粉末と炭素質材料粉末が良好に分散するため好ましい。
本発明の炭化珪素粉末の製造方法によれば、縦型反応炉で炭化珪素を製造する方法において、シリカ粉末と炭素質材料粉末との混合原料を、成形することなく、粉末状のまま使用しても、閉塞を起こさずに長時間連続して炉の運転を行うことができ、炭化珪素を粉末として、工業的規模で製造することが可能となる。
また、炉の反応領域に至るまでの原料層において、該反応領域にて反応時に生成するSiOガス及びCOガスをより効率よく補足することができ、原料の歩留まりが良く、炭化珪素を高収率で製造することができる。
本発明において好適に使用される代表的な縦型反応炉を示す概念図
本発明で用いる縦型反応炉は、特に制限されず、反応条件に耐え得る公知の構造を有するものが特に制限なく使用される。例えば、図1に代表的な縦型炉の概略図を示す。
即ち、本発明に使用される縦型反応炉は、図1に示すように、反応容器6の上部に原料供給口1を、下部に反応生成物取出口5を有する。原料供給口1は、シリカ粉末と炭素質材料粉末との混合原料を投入する開口部を有し、該開口部には、開閉可能なバルブが設けられている。また、反応生成物取出口5は、反応生成物である炭化珪素粉末を取り出すための開口部を有し、該開口部には、開閉可能なバルブが設けられている。
また、前記反応容器6は、胴部の周囲に発熱体7を有し、その加熱により反応容器の内部に反応領域3を形成する。また、前記混合原料は、粉末状で原料供給口1より反応容器6に供給され、充填された状態で反応領域に移動し、炭化反応により炭化珪素を生成する。そして、生成した炭化珪素粉末は、反応生成物取出口5より取り出される。上記混合原料の供給、反応生成物の取り出しは、連続的に、或いは、断続的に行われる。
上記縦型反応炉において、混合原料が反応領域3に到達するまでの原料層2の温度を調整するため、かかる原料層2が位置する反応容器の胴部の周囲に、発熱体7や、図には示されていないが、冷却体を設けてもよい。また、反応領域から反応生成物取出口5に至るまでの生成物層4は、自然冷却により取り出すこともできるが、該生成物層4が位置する反応容器の胴部の周囲に、冷却体を設けることが好ましい。
図中8は断熱材であり、反応容器6の外周を覆うことで熱が外部に伝導することを抑制することができる。また、図中9は非酸化性ガス封入口であり、これを設けることにより、反応雰囲気を制御するための非酸化性ガス、例えばヘリウム、アルゴン、窒素等の不活性ガスや、一酸化炭素、水素等の還元性ガスを適宜導入することが可能となる。
また、図中10はガス排気口であり、非酸化性ガス封入口9から導入されたガスの他、必要に応じて、炭化処理により生成したSiOガス、COガスの一部を排気することが可能である。図中11はブスバーであり、発熱体7に電力を供給するための導電性部材である。
本発明において、反応容器6の形状や寸法は特別に制限されるものではなく、炭化処理時の反応速度やガス冷却速度等を考慮し、適宜決定すればよい。
また、縦型反応炉の材質に関しては、特に制限されるものではないが、通常、炭化珪素粉末を製造する際には、後述するように、1400℃以上の高温になるため、耐熱性の低い金属は使用できず、また混合原料に含まれる炭素と反応するため酸化物系材料も不適であるため、炭素質材料を用いることが好ましい。
本発明に用いられるシリカ粉末は、石英、クリストバライト、トリジマイト等の結晶質シリカ、湿式シリカ、乾式シリカ、ゾルゲル法シリカ等の非晶質シリカ等のシリカを主成分とする粉末であれば、特に限定されず、これらを単独で、或いは、2種以上を組み合わせて使用することができる。そのうち、特に、高純度の珪酸化合物、例えば、四塩化珪素や環状シロキサン等を原料として火炎法によって製造される「乾式シリカ」と呼ばれるシリカは、他のシリカと比較して純度が非常に高く原料由来の不純物を低減できることから本発明のシリカ粉末として好適に用いることが出来る。かかる乾式シリカは、嵩密度が小さく、後述する混合原料の嵩密度を本発明の範囲内に調整するために好適に使用することができる。
本発明において、シリカ粉末の粒子サイズは特に限定されないが、平均粒子径が、2〜50nmが好ましく、5〜40nmがより好ましく、10〜30nmが、反応性の面においても好ましい。即ち、シリカ粉末の平均粒子径が50nm以下と微細であれば、炭素質材料との接触面積が増加して反応性が高くなり、平均粒子径が2nm以上であれば、取り扱いが容易な嵩密度となるからである。
また、シリカ粉末の粒子形状は、特に限定されず、例えば球状、多角形状、不定形状、針状及び板状等の形状が制限なく用いられるが、炭素質材料粉末との均一な混合性を確保する観点から、球状、多角形状、不定形状等のアスペクト比の小さい形状であることが好ましい。
更に、シリカ粉末に含まれる不純物の濃度は、特に限定されるものではないが炭化珪素単結晶製造用の炭化珪素粉末を製造することを考慮する場合には10ppm以下であることが好ましく、1ppm以下がより好ましく、さらに好ましくは0.5ppm以下である。
シリカ粉末の嵩密度は、20〜300g/L、特に、30〜200g/Lの範囲内のものが好適に用いられる。嵩密度がこの範囲内であれば、混合原料の嵩密度を本発明の範囲内に調整し易く、また、取り扱いや入手も容易である。
本発明の炭素質材料は特に限定されるものではなく、カーボンブラック、活性炭、カーボンファイバー等の非晶質炭素粉末、ダイヤモンド、グラフェン等の結晶性炭素粉末、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェン等のナノカーボン、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ポリイミド、ポリアクリロニトル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等の樹脂のモノマーやプレポリマーを熱分解して得た炭素粉末の他、しょ糖、セルロース、タール等も用いることができ、これら2種類以上を混合して用いても良い。特に、工業的に品質制御されており、非晶質であるためシリカ粉末との反応性の高いカーボンブラックが好適に使用できる。
上記炭素質材料粉末の粒子形状は、特に限定されず、例えば球状、多角形状、不定形状、針状及び板状等の形状が制限なく用いられるが、シリカ粉末との均一な混合性を確保する観点から、球状、多角形状、不定状等のアスペクト比の小さい形状であることが好ましい。
また、前記炭素質材料粉末の粒子サイズは、平均粒子径5〜100nmが好ましく、10〜80nmがより好ましく、20〜60nmが特に好ましい。
更に、前記炭素質材料粉末の平均粒子径は、100nm以下とすることにより、炭素質材料が完全に炭化珪素粉末化し易く、また、平均粒子径が5nm以上とすることにより、取り扱いが容易となる。
炭素質材料粉末に含まれる不純物の濃度としては、炭化珪素単結晶製造用の炭化珪素粉末を製造することを考慮すると50ppm以下が好ましく、10ppm以下がより好ましく、さらに好ましくは5ppm以下である。
炭素質材料粉末の嵩密度については、シリカ粉末と同様に、取り扱い、入手の容易性から、20〜400g/Lの範囲内のものが好適に用いられる。
本発明における最大の特徴は、前記シリカ粉末及び炭素質材料粉末との混合原料の嵩密度を、50〜350g/L、好ましくは70〜320g/L、より好ましくは100〜300g/Lに調整することにある。
即ち、上記混合原料の嵩密度が50g/L未満の場合、炭化反応進行時に生成するSiOガスやCOガスにより混合原料が噴出する現象が生じ、上記混合原料の嵩密度が350g/Lを超える場合、低温部にある原料層が式(1)のように生成したシリカによって閉塞し、雰囲気制御用のガスや反応で生成したCOガスの排気が困難となり、さらに原料の滑らかな流れが阻害され、連続製造が困難となる。
2SiO → SiO+Si (1)
従って、該混合原料の嵩密度が50〜350g/Lの範囲内であれば、反応炉内に流通させる非酸化性ガスや反応時に生成したガスにより原料層を流動層に近い状態で維持することができ、原料表面で生成するシリカの影響を受ける(原料同士が固まる)ことがなく、閉塞問題が生じないものと考えられる。
尚、該特許文献3に記載の内容で再現した粉末状混合原料の嵩密度は、およそ500g/Lであり、かかる場合は、前記したように、低温部にある原料層が生成したシリカによって閉塞するという問題を生じる。
さらに、前記縦型反応炉において、原料供給口から反応領域に至るまでの間に、温度を1200℃以下に調整された領域を形成することが好ましい。即ち、該領域を形成することで、SiOガスからのシリカ生成率が向上し、SiOガスの揮散によるSi源の系外への放出を抑制し、結果として反応収率を向上させることができる。
上記領域の長さは、該領域温度にもよるが、0.5〜2mの範囲とした場合が効果的であり好ましい。
上記の1200℃以下に調整された領域においては、反応により生成したCOガスも冷却され、下記(2)式の様にCを生成させ、Cを捕捉する効果もある。
2CO → C+CO (2)
このように、原料供給口から反応領域に至るまでの間に1200℃以下の領域を形成することで目的とする生成物のSi源及びC源を回収でき、回収物は混合原料とともに再び反応領域に到達するので、原料を有効に利用できる。
炭化処理の後、シリカ粉末が残留した場合にはふっ化水素酸等で処理して取り除くことができ、炭素質材料が残留した場合には、酸化性雰囲気中にて600〜800℃で熱処理することで取り除くことができる。また、焼結体用、単結晶製造用として用いる場合には、炭化珪素粉末に炭素を混合して用いるため、本発明により製造された粉末に含まれる炭素は、熱処理等によって除去せずとも使用可能である。
得られた炭化珪素粉末に含まれる不純物濃度は数ppm程度と高純度であり、炭化珪素粒子径も微細であることから、炭化珪素単結晶製造用として好適である。
以上の通り、シリカ粉末と炭素質材料粉末との混合原料の嵩密度を50g/L〜350g/Lの範囲内とすることで、該原料を成形することなく、縦型反応炉で連続的に炭化珪素粉末を製造することが可能となる。
また、原料供給口から反応領域に至るまでの間の原料層においてSiOガス及びCOガスからSi源及びC源を回収できるため、炭化珪素粉末を高い反応収率で製造できる。
本発明において、シリカ粉末と炭素質材料粉末との平均粒子径の比(シリカ粉末の平均粒子径/炭素質材料粉末の平均粒子径)としては、0.1〜10が好ましく、0.2〜5がより好ましく、0.3〜3がさらに好ましい。即ち、シリカ粉末と炭素質材料粉末との平均粒子径の比を0.1〜10とすることで、混合粉末におけるシリカ粉末と炭素質材料粉末の分散性が向上し、シリカ粉末と炭素質材料との反応性が高くなる。
また、シリカ粉末と炭素質材料粉末との混合方法は、特に制限されないが、前記混合原料の嵩密度が、混合前のシリカ粉末及び炭素質材料粉末の嵩密度より算出される嵩密度より高い嵩密度、具体的には、1.3〜6.0倍、特に、2.5〜5.0倍の嵩密度を有するように、混合原料の嵩密度を調整することが、混合原料、特にシリカ粉末の吹き上がりを防止し、縦型反応炉において均一な間隙を全層にわたって維持することができ好ましい。
混合後の嵩密度を上昇せしめるための好適な混合方法を例示すれば、振動ミル、ビーズミル、ボールミル等の剪断力の大きい混合機を使用することが好適であり、特に、振動ミルが好適である。
本発明において、シリカ粉末と炭素質材料粉末との混合比は、特に制限されるものではないが、C/SiOモル比が2.5〜4.0となるように混合することが好ましい。即ち、シリカ粉末及び炭素質材料粉末との混合比が上記範囲内であれば、シリカ粉末もしくは炭素質材料粉末が未反応物となっても残存量は少なく、炭化珪素粉末の品質を高度に維持することができる。
本発明において、混合原料には、炭化反応に影響を及ぼさない他の添加物、例えば、炭化処理の反応性を向上させるための触媒や、不純物元素を除去するための吸着材、あるいは炭化珪素単結晶用として用いるために必要な成分を含む物質等、任意の成分を必要に応じて添加してもよい。
本発明において、該混合原料を炭化珪素粉末とするための還元炭化処理温度は公知の条件が特に制限なく採用される。一般には、非酸化性雰囲気中において、1200〜2000℃の温度が好適に採用され、特に、1400〜2000℃が好ましく、より好ましくは1550〜1900℃、さらに好ましくは1650〜1800℃の温度範囲である。該炭化処理の温度を1400℃より高くすることにより、炭化反応は進行し、かかる温度が高くなるほど反応は短時間で終了できる。また、2000℃以下とすることにより、得られる炭化珪素の粒成長が抑制し易く、比表面積が大きくて昇華し易い微細な炭化珪素粉末が得られるため好ましい。
前記縦型反応炉においては、加熱体7の出力を調整して、反応領域における温度を上記範囲に調整する。
また、該還元炭化処理において、反応容器内の雰囲気を非酸化性雰囲気に保つためには、例えば、ヘリウム、アルゴン、窒素等の不活性ガスや、一酸化炭素、水素等の還元性ガス等の1種類またはこれらを混合したガスを反応容器内に充満させるか、流通させれば良い。上記操作は、前記非酸化性ガス封入口9、ガス排気口10により行われる。
本発明によって製造した炭化珪素粉末は、研磨剤、半導体製造用部材、焼結体用として幅広く使用できるが、微細で高純度であることから、炭化珪素単結晶用原料として好適に使用できる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
平均一次粒子径20nm、嵩密度50g/L、不純物濃度1ppm以下のヒュームドシリカ((株)トクヤマ製、レオロシールQS−09)と、平均一次粒子径50nm、嵩密度400g/L、不純物濃度10ppm以下のカーボンブラック(三菱化学(株)製、カーボンブラック750B)とを、C/SiOモル比が3.0となるように量り取り、これを振動ミル(中央化工機商事、ニューライトミル)で10分間混合した。その結果、該混合原料の嵩密度は、270g/Lであった。
次いで、該混合原料を、縦型反応炉(反応炉:高さ4000mm、直径1000mm、内部黒鉛製反応筒:直径200mm、長さ2500mm、均熱長さ:400mm)の上部原料供給口より投入し、下部生成物取出口より炭化処理した粉末を回収した。
また、反応領域における炭化処理温度は1750℃であり、該反応領域滞留時間は1時間であった。更に、前記原料供給口から反応領域に至るまでの間は1000℃となるように調整した。
反応炉内の雰囲気制御のために、アルゴンガスを、非酸化性ガス封入口より5L/minの流速で流通させ、ガス排気口より排気した。
上記炭化処理は連続的に行うことができ、シリカの生成による炉内の閉塞問題は生じなかった。
前記縦型反応炉の生成物取出口より炭化珪素を粉末状で取り出し、該炭化珪素粉末について炭化処理した粉末について、XRF分析により酸素量を調べることで、未反応シリカの割合を算出したところ、1質量%以下であった。
得られた炭化珪素粉末を大気中において700℃で1時間熱処理することで未反応炭素カーボンを除去し、重量減少を測定することで未反応炭素の割合を算出したところ、4.5質量%であった。
未反応カーボン除去された炭化珪素粉末についてX線回折測定を行ったところ、β-SiCを主相とすると炭化珪素粉末であることが確認された。また、炭化珪素粉末について、FE−SEM観察により一次粒子径を測定したところ100nm程度であり、粒度分布計により測定した平均粒子径は3.3μmであった。
また、炭化珪素粉末中の不純物濃度は、炭化珪素粉末をフッ化水素酸、硝酸、硫酸の混酸に入れ、加圧加熱分解し、ICP発光分光分析により調べた。その結果、該炭化珪素粉末中の不純物濃度は、5ppm以下であった。
原料投入量と得られた炭化珪素粉末の量から計算した反応収率は、95%であった。
実施例2
振動ミルによる混合時間を3分とした以外、実施例1と同様にした。その結果、混合原料の嵩密度は、80g/Lとなった。
得られた炭化珪素粉末中の未反応炭素は11質量%、反応収率は88%であった。また、炭化珪素粉末の平均一次粒子径は90nm、平均粒子径は3.3μmであった。
実施例3
振動ミルによる混合時間を15分とした以外、実施例1と同様にした。その結果、混合原料の嵩密度は、340g/Lとなった。
得られた炭化珪素粉末中の未反応炭素は4.6質量%、反応収率は95%であった。また、炭化珪素粉末の平均一次粒子径は140nm、平均粒子径は3.4μmであった。
実施例4
原料供給口から反応領域に至るまでの間を1300℃とした以外は、実施例1と同様にした。その結果、得られた炭化珪素粉末の諸性質は変わらず、未反応炭素が14質量%、反応収率は85%であった。
実施例5
平均一次粒子径が45nmのシリカ粉末を用いた以外、実施例1と同様にした。その結果、該混合原料の嵩密度は、280g/Lであった。
得られた炭化珪素粉末中の未反応シリカは1.2質量%、未反応炭素は5.5質量%、反応収率は94%であった。
炭化珪素粉末の平均一次粒子径は110nm、平均粒子径は3.5μmであった。
実施例6
平均一次粒子径が70nmのシリカ粉末を用いた以外、実施例1と同様にした。
該混合原料の嵩密度は、290g/Lであった。
得られた炭化珪素粉末中の未反応シリカは1.5質量%、未反応炭素は6.4質量%、反応収率は93%であった。
炭化珪素粉末の平均一次粒子径は110nm、平均粒子径は3.5μmであった。
実施例7
平均一次粒子径が70nmのカーボンブラックを用いた以外、実施例1と同様にした。混合後に得られた混合原料の嵩密度は、280g/Lであった。
得られた炭化珪素粉末中の未反応炭素は7.2質量%、反応収率は92%であった。また、炭化珪素粉末の平均一次粒子径は150nm、平均粒子径は3.6μmであった。
実施例8
平均一次粒子径が90nmのカーボンブラックを用いた以外、実施例1と同様にした。混合後に得られた混合原料の嵩密度は、290g/Lであった。
得られた炭化珪素粉末中の未反応炭素は7.4質量%、反応収率は92%であった。
炭化珪素粉末の平均一次粒子径は180nm、平均粒子径は3.7μmであった。
実施例9
平均一次粒子径が150nmのカーボンブラックを用いた以外、実施例1と同様にした。混合後に得られた該混合原料の嵩密度は、310g/Lであった。
得られた炭化珪素粉末中の未反応炭素は8.2質量%、反応収率は91%であった。また、炭化珪素粉末の平均一次粒子径は250nm、平均粒子径は3.9μmであった。
実施例10
平均一次粒子径が10nmのシリカ粉末、150nmの炭素質材料粉末を用いた以外、実施例1と同様にした。混合後に得られた混合原料の嵩密度は、280g/Lであった。
得られた炭化珪素粉末中の未反応炭素は9.1質量%、反応収率は90%にであった。また、炭化珪素粉末の平均一次粒子径は250nm、平均粒子径は3.8μmであった。
比較例1
振動ミルによる混合時間を20分とした以外は、実施例1と同様にした。混合後に得られた混合原料の嵩密度は、380g/Lであった。
その結果、反応の進行とともに原料層における混合原料が固着し、ガスの流通が妨げられる程の閉塞は起きなかったが、混合原料の自重降下が妨げられ、連続製造は出来なかった。
比較例2
平均一次粒子径が10nmのシリカ粉末、平均一次粒子径40nm、嵩密度30g/L、不純物濃度10ppm以下のカーボンブラック((株)ライオン、ファーネスカーボン、カーボンECP)を使用し、振動ミルによる混合時間を2分間とした以外は、実施例1と同様にした。混合後に得られた混合原料の嵩密度は、40g/Lであった。
その結果、加熱帯温度が1600℃に到達すると、反応により生成したSiOガス及びCOガスにより混合原料が吹き上げられ、炭化珪素粉末の連続製造は困難であった。
表1に、実施例1〜5、比較例1及び2の原料、炭化処理条件、未反応物、炭化珪素粉末についてまとめた。
Figure 2014015339
以上説明したように、本発明によれば、縦型反応炉で炭化珪素を製造する方法において、シリカ粉末と炭素質材料粉末との混合粉末原料を、成形することなく、粉末状のまま使用でき、より安価で収率良く、炭化珪素を工業的規模で連続的に製造することができる。
1;原料供給口
2;原料層
3;反応領域
4;生成物層
5;生成物取出口
6;反応容器
7;発熱体
8;断熱材
9;非酸化性ガス封入口
10;ガス排気口
11;ブスバー

Claims (5)

  1. 上部に原料供給口を、下部に反応生成物取出口を有する縦型反応炉に、シリカ粉末と炭素質材料粉末との混合原料を連続的あるいは間欠的に供給し、該混合原料を上記縦型反応炉の反応領域に到達させて炭化反応を行わせ、反応生成物を連続的あるいは間欠的に取り出す炭化珪素の製造方法において、前記縦型反応炉に供給する混合原料の嵩密度を50〜350g/Lに調整することを特徴とする炭化珪素粉末の製造方法。
  2. 前記縦型反応炉において、原料供給口から反応領域に至るまでの間に、温度が1200℃以下に調整された領域を形成する請求項1記載の炭化珪素粉末の製造方法。
  3. 前記混合原料の嵩密度が、混合前のシリカ粉末及び炭素質材料粉末の嵩密度より算出される嵩密度より高い嵩密度を有する請求項1記載の炭化珪素粉末の製造方法。
  4. 前記原料シリカ粉末の平均一次粒子径が50nm以下、前記炭素質材料の平均一次粒子径が100nm以下である請求項1に記載の炭化珪素粉末の製造方法。
  5. 前記のシリカ粉末と炭素質材料粉末との平均粒子径の比(シリカ粉末の平均粒子径/炭素質材料粉末の平均粒子径)が、0.1〜10であることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素粉末の製造方法。
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