JP6640680B2 - 炭化珪素単結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、炭化珪素単結晶の製造方法に関する。
炭化珪素単結晶は、その高硬度性、高熱伝導性、高温耐熱性から、成形砥石、セラミックス部品等の材料として使用されている。また、炭化珪素は、シリコンと比較すると、バンドギャップは約3倍、絶縁破壊電界強度は約10倍という物性を有するので、シリコンに代わるパワー半導体用基盤の材料として注目されている。
炭化珪素単結晶の製造方法として、原料である炭化珪素粉末を2000℃以上の高温条件下において昇華させ、炭化珪素を単結晶成長させる昇華再結晶法がよく知られており、工業的に広く使用されている。この昇華再結晶法における原料で炭化珪素粉末に関して、様々な工夫がなされている。
例えば、特許文献1には、表面部及びその近傍に他の部分に充填される粒子よりも大径の粒径500μmから1000μmの炭化珪素粉末が充填されるように、炭化珪素粉末をるつぼ内に充填することが開示されている。
また、特許文献2には、粒径が50μmから200μmと小径の炭化珪素粉末を、粒径が300μmから700μmと大径の炭化珪素粉末で覆うように、炭化珪素粉末をるつぼ内に充填することが開示されている。
特開2000−7492号公報 特開2009−51702号公報
上記特許文献1及び2に開示された技術では、炭化珪素粒子が小径であれば、昇華速度が速く、且つ昇華が安定するので好ましいが、小径粒子だけを用いれば、昇華よりも焼結が優勢になるので、大径粒子を混在させている。
しかしながら、粒径の異なる炭化珪素粒子を混在させると、原料が不均一になり工程が不安化になりやすく、又、小径粒子が昇華し、昇華速度が低下する。
よって、昇華速度の低下の要因として、単に粒度範囲を規定するだけでは不十分であり、別の要因があると考えられる。
本発明は、原料である炭化珪素粉末の昇華速度の向上を図ることが可能な炭化珪素単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、容器内に原料となる炭化珪素粉末を充填し、前記炭化珪素粉末を昇華させて、炭化珪素単結晶を製造する方法において、前記炭化珪素粉末の安息角は25°以上45°以下であることを特徴する。
安息角が25°未満であれば、容器内に原料となる炭化珪素粉末を充填したとき、炭化珪素粉末間の隙間が小さ過ぎ、昇華速度が遅くなる。一方、安息角が45°を超えると、容器内に原料となる炭化珪素粉末を充填したとき、炭化珪素粉末間に大きな空洞が生じ、容器の充填量が減って、昇華速度が遅くなるからである。なお、安息角は、JIS R9301−2−2:1999「アルミナ粉末−第2部:物性測定方法−2:安息角」に記載されている測定方法に準じて測定すればよい。
本発明によれば、安息角が25°以上45°以下であるので、容器内に原料である炭化珪素粉末を充填したとき、炭化珪素粉末間に適度の空洞が生じ、昇華速度が良好になる。
本発明において、前記炭化珪素粉末の安息角は30°以上40°以下であることが好ましい。
この場合、特に、粒子同士の接触点が多いために粒子が焼結したり、凹凸が粗大なために粒子の比表面積が小さくなったりすることによる昇華速度の低下を抑制することができ、特に昇華速度が大きくなる。
また、本発明において、前記炭化珪素粉末の軽装かさ密度は0.8g/cm以上1.5g/cm以下であることが好ましい。
この場合、容器内に原料である炭化珪素粉末を充填したとき、炭化珪素粉末間に適度の空洞が生じ、昇華速度が良好になる。なお、軽装かさ密度は、JIS R9301−2−3:1999「アルミナ粉末−第2部:物性測定方法−3:軽装かさ密度及び重装かさ密度」に記載されている軽装かさ密度の測定方法に準じて測定すればよい。
また、本発明において、前記炭化珪素粉末の粒度範囲は、45μm以上3350μm未満であることが好ましい。
炭化珪素粉末の粒度が45μm未満であると、安息角が25°以上45°以下であっても、粒子同士が接触する接触点の数が極めて大きくなり、容易に焼結し、焼結が過度に進むおそれがある。一方、炭化珪素粉末の粒度が3350μm以上であると、安息角が25°以上45°以下であっても、粒子が粗大となり比表面積が小さくなるので、十分な昇華速度が得られないからである。
以下、本発明の実施形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法について説明する。
まず、炭化珪素単結晶の製造方法で原料として用いる炭化珪素粉末の製造方法について説明する。ここでは、固相反応を利用した方法について説明するが、液相反応などを利用した方法であってもよい。
炭化珪素粉末の製造方法は、珪素を含む無機珪酸質原料及び炭素を含む炭素質原料を混合して、炭化珪素製造用原料を得る工程と、この炭化珪素製造用原料を2500℃以上で焼成し、炭化珪素からなる塊状物を得る工程と、不活性ガスを導入して、この塊状物を常温まで空冷する工程と、空冷した塊状物を粉砕する工程と、得られた粉砕物を分級し、所望の炭化珪素粉末を得る工程とを含む。
無機珪酸質原料としては、珪石などの結晶質シリカ、シリカフューム、シリカゲル等の非晶質シリカが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。無機珪酸質原料の平均粒径は、焼成時の環境、原料の状態(結晶質、非晶質)、炭素質原料との反応性などによって、適宜選ばれる。ただし、焼成時の反応性が良く、炉の制御が容易となるので、無機珪酸質原料として非晶質シリカを用いることが好ましい。
炭素質原料としては、例えば、天然黒鉛、人工黒鉛等の結晶性カーボン、カーボンブラック、コークス、活性炭等の非晶質カーボンが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。炭素質原料の平均粒径は、焼成時の環境、原料の状態(結晶質、非晶質)、及び無機珪酸質原料との反応性などによって、適宜選ばれる。
無機珪酸質原料と炭素質原料とを混合して、炭化珪素粉末用の原料を調整する。この際の混合方法は任意であり、湿式混合、乾式混合の何れであってもよい。混合の際の炭素質原料と無機珪酸質原料の混合モル比(C/Si)は、焼成時の環境、炭化珪素粉末用の原料の粒径、反応性などを考慮して、最適なものを選択する。ここでいう「最適」とは、焼成によって得られる炭化珪素の収量を向上させ、且つ、無機珪酸質原料及び炭素質原料の未反応の残存量を小さくさせることを意味する。
得られた混合粉末(炭化珪素粉末用の原料)を2500℃以上で焼成して、塊状の炭化珪素を得る。
焼成方法は、特に限定されないが、外部加熱による方法、通電加熱による方法等が挙げられる。外部加熱の方法としては、例えば、流動層炉、バッチ式の炉などを用いる方法が挙げられる。通電加熱による方法としては、例えば、アチソン炉を用いる方法が挙げられる。アチソン炉としては、一般的なものを用いればよい。
焼成雰囲気は、還元雰囲気であることが好ましい。還元性が弱い雰囲気下で焼成すると、炭化珪素の収率が低下するためである。
なお、本明細書中、「アチソン炉」とは、上方が開口した箱型の間接抵抗加熱炉をいう。ここで、間接抵抗加熱とは、被加熱物に電流を直接流すのではなく、電流を流して発熱させた発熱体によって炭化珪素を得るものである。また、このようなアチソン炉の具体的構成の一例は、特開2013−112544号公報に記載されている。
このような炉を用いることにより、式(1)に示した反応が生じ、炭化珪素(SiC)からなる塊状物が得られる。
SiO+3C→SiC+2CO ・・・(1)
アチソン炉の発熱体の種類は、電気を通すことができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、黒鉛粉、カーボンロッド等が挙げられる。
発熱体を構成する物質の形態は、特に限定されず、例えば、粉状、塊状等が挙げられる。発熱体は、アチソン炉の通電方向の両端に設けられた電極芯を結ぶように全体として棒状の形状になるように設けられる。ここでの棒状の形状とは例えば、円柱状、角柱状等が挙げられる。
通電後、炉内に炭化珪素からなる塊状物が生成する。
炉内が常温になるまで、アルゴンガス等の不活性ガスを導入して空冷を行う。そして、得られた炭化珪素からなる塊状物(インゴット)を粉砕する。粉砕方法は、特に限定されないが、例えば、粉砕機としてトップグラインダ、ディスクミル、ジョークラッシャー等を用いた粉砕方法が挙げられる。
その後、所望の粒度範囲に応じたふるいを用いて、粉砕物を分級する。分級は、ふるいを用いた方法が最も簡便であり、好ましい。ただし、分級は、ふるいを用いた方法に限定されず、乾式、湿式の何れでもよい。また、乾式の分級として、気流を用いた例えば遠心式の分級方法を用いることもできる。
次に、この原料を用いて、昇華再結晶法により炭化珪素単結晶を製造する方法について説明する。
まず、原料である炭化珪素粉末を例えば黒鉛製のるつぼ内に充填し、このるつぼを加熱装置内に配設する。ただし、炭化珪素粉末が中に充填される容器は、黒鉛製のるつぼに限定されず、昇華再結晶法で単結晶炭化珪素を製造する際に使用されるものであればよい。
そして、るつぼをアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気とした減圧下で、るつぼ内の原料が2000〜2500℃となるように加熱する。ただし、るつぼの蓋の下面の炭化珪素単結晶が成長する部分は、これより100℃程度温度が低くなるようにしておく。
この加熱を数時間から数十時間持続させる。これにより、原料である炭化珪素粉末が昇華して昇華ガスとなり、蓋の下面に到達して単結晶化し、この単結晶が成長することにより炭化珪素単結晶の塊状物を得ることができる。
アチソン炉などで焼成して得られた塊状物を粉砕して得られる炭化珪素粒子の形状は、粉砕方法が異なれば異なり、安息角も異なる。例えば、トップグラインダ、ディスクミルを用いて粉砕されて得られた炭化珪素粉末は、ボールミルを用いて粉砕されたものと比較して、角部が大きく且つ角部が多く、崩れ易くなるので、安息角が小さくなる。
さらに、粉砕方法が同じであっても、粒度が異なれば、形状が異なり、安息角も異なる。例えば、トップグラインダ、ディスクミルを用いて粉砕されて得られた炭化珪素粉末においては、粒度が小さいほど一般的に角部が小さく且つ角部が少なく、崩れ易くなるので、安息角が小さくなる。さらに、粒度範囲が広がるほど、崩れ難くなるので、安息角は大きくなる。
このように、粉砕方法又は粒度範囲によって、安息角が異なる炭化珪素粒子を得ることができる。
本発明において、昇華再結晶法により炭化珪素単結晶を製造する際の原料である炭化珪素粉末の安息角は、25°以上45°以下である。さらに、安息角は、28°以上42°以下であることが好ましく、30°以上40°以下であることがより好ましい。なお、安息角は、JIS R9301−2−2:1999「アルミナ粉末−第2部:物性測定方法−2:安息角」に記載されている測定方法に準じて測定すればよい。
安息角が25°未満であれば、るつぼに炭化珪素粉末を充填したとき、充填された炭化珪素粉末が密に充填され粒子同士の接触点が増えるため、昇華中に粒子同士が焼結し、昇華ガスが発生する充填物の表面積が小さくなるので、昇華速度が遅くなる。
一方、安息角が45°を超えるような粒子は粗大な凹凸を多く持つが、凹凸が粗大なものばかりであると、すなわち粒子が粗大な結晶からなっているということであり、微細な結晶からなる粒子と比べて粒子の比表面積としては小さくなり、昇華速度が遅くなる。
安息角が25°以上45°以下であれば、るつぼに炭化珪素粉末を充填したとき、炭化珪素粉末間に適度の空洞が生じ、昇華速度が良好になる。
これは、同じ粒度でも安息角が大きい粒子のほうが、粒子同士の表面の凹凸で互いに引っかかりやすく、るつぼ内に不規則な形状の空隙を残した状態で充填されるからである。また、安息角の大きい粒子は表面に凹凸を有するため、粒子の比表面積が大きく、粒子表面から発生する昇華ガスの発生量が多くなりやすい。なお、昇華再結晶法においては、原料の表面に存在する数μmから十数μm程度の細孔は、昇華初期に原料内の昇華再結晶により閉塞するため、必ずしも昇華ガスの発生量に寄与しない。
さらに、安息角が28°以上42°以下、さらには、30°以上40°以下であると、前述した接触点、比表面積の観点から特に好ましい粒子形状となり、昇華速度が速くなる。
さらに、アチソン炉で炭化珪素粉末を焼成する際、燃焼状態の木材チップを添加し、炉表面の一酸化炭素を空気と素早く燃焼させることが好ましい。これにより、一酸化炭素が炉の外周で燃焼し除去されるため、炉の外周部の一酸化炭素分圧が下がり、炉の径方向における一酸化炭素分圧の勾配が一定化する。その結果、炭化珪素単結晶が放射状に成長し、これを粉砕したときに針状のものが得やすくなると考えられる。このようにして得られた炭化珪素粉末は、針状のものが多くなり、安息角が25°以上45°以下の範囲に収まりやすい。
さらに、本発明において、昇華再結晶法により炭化珪素単結晶を製造する際の原料である炭化珪素粉末の軽装かさ密度は、0.8g/cm以上1.5g/cm以下であることが好ましい。さらに、軽装かさ密度は、0.9g/cm以上1.5g/cm以下、特に、1.0g/cm以上1.4g/cm以下であることがより好ましい。なお、軽装かさ密度は、JIS R9301−2−3:1999「アルミナ粉末−第2部:物性測定方法−3:軽装かさ密度及び重装かさ密度」に記載されている軽装かさ密度の測定方法に準じて測定すればよい。
軽装かさ密度が0.8g/cm未満であれば、るつぼに炭化珪素粉末を充填したとき、炭化珪素粉末間に大きな空洞が生じ、るつぼ内の充填量が減って、昇華速度が遅くなるからである。
一方、軽装かさ密度が1.5g/cmを超えると、るつぼに炭化珪素粉末を充填したとき、炭化珪素粉末間の隙間が小さ過ぎ、昇華速度が遅くなるからである。
軽装かさ密度が0.8g/cm以上1.5g/cm以下であれば、るつぼに炭化珪素粉末を充填したとき、炭化珪素粉末間に適度の空洞が生じ、昇華速度が良好になる。
また、炭化珪素粉末の粒度範囲は、45μm以上3350μm未満であることが好ましい。炭化珪素粉末の粒度が45μm未満であると、安息角が25°以上45°以下であっても、粒子同士が接触する接触点の数が極めて大きくなり、容易に焼結し、焼結が過度に進むおそれがある。一方、炭化珪素粉末の粒度が3350μm以上であると、安息角が25°以上45°以下であっても、粒子が粗大となり比表面積が小さくなるので、十分な昇華速度が得られない。
なお、粒子の粒度範囲がA以上B未満であるとは、粒子粉末の粒度分布のD5がA以上であり、D95がB未満であるということを意味する。すなわち、目開きAのふるいでふるった時のふるい下の重量が5%未満、且つ、目開きBのふるいでふるった時のふるい上の重量が5%以下であることを意味する。
以下、本発明の実施例を説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されない。
(実施例1)
まず、無機珪酸質原料として非晶質のシリカ粉末を、炭素質原料としてカーボンブラック(アモルファスカーボン)を用意した。そして、これらの原料を2軸ミキサーを用いて、炭素と珪素のモル比(C/SiO)が3.0となるように混合して、炭化珪素粉末製造用の原料を得た。
そして、この原料を、中心温度を2500℃以上としたアチソン炉で12時間焼成した。これにより、炭化珪素の塊状物を得た。アチソン炉の内寸は、長さ2500mm、幅1000mm、高さ850mmであった。
焼成の際、加熱開始から2時間毎に、木材チップに着火して燃焼状態にしたもの約200gを炉の上部に供給し、炉内で発生し外部に漏出した一酸化炭素が大気中の酸素と接触して速やかに燃焼するようにした。なお、木材チップは、市販品を目開き10mmのふるいを用いて、粒度が10mm以上に限定したものを用いた。
得られた円筒形状の塊状物を、まず、目開き3mmのふるいを用いて都度ふるい下を除きながら、トップグラインダを用いて全量3mm以下に粉砕を粉砕し、その後ディスクミルを用いて2mm以下に粉砕し、炭化珪素粉末を得た。得られた炭化珪素粉末は結晶質であった。
そして、得られた炭化珪素粉末を、目開き500μm及び1700μmのふるいを用いて、粒度が500μm以上1700μm未満の範囲に限定した。そして、この炭化珪素粉末の安息角を求めた。
ここで、安息角は、JIS R9301−2−2:1999「アルミナ粉末−第2部:物性測定方法−2:安息角」に記載されている測定方法に準じて測定した。具体的には以下の通りである。
安息角測定用の土台として、研磨仕上げしたステンレス製であって、一辺300mm、厚さ6mmの正方形板を用意した。この土台には、互いに45°で交わる4本の直線を放射状に刻んだ。
直線の交点の真上に、足部内径6mm、開口部角度60°のステンレス製の漏斗を、足部の先端と土台との距離が40mmとなるよう垂直に設置し、固定した。そして、炭化珪素粉末を、約60g/分の速度で、漏斗の側面を伝わせるように、粉末の山の先端が漏斗の先端に達するまで流し入れた。
流し入れ終わった時の粉末の広がりの大きさを測定するため、土台上の4本の直線と粉末の広がり(飛び散った粒子は除外する)が交わる部分それぞれ(直線それぞれに2箇所ずつ)に印をつけ、4本の直線それぞれについて印間の距離を測定したて、粉末の広がり直径を得た。
JIS R9301−2−2に記載のアルミナ粉末と比べ、炭化珪素粉末は土台の板上で不規則に跳ねて飛散しやすいので、3回測定を行い、その平均の広がり直径を安息角の計算に用いた。
粉末の広がり直径をD(mm)、漏斗足部の内径をd(=6mm)、粉末の高さをh(=40mm)とすると、安息角θは以下の式(2)で算出される。
θ=tan−1[(2h/(D−d)] ・・・(2)
炭化珪素粉末の安息角は、31°であった。
さらに、炭化珪素粉末の軽装かさ密度を求めた。ここで、軽装かさ密度は、JIS R9301−2−3:1999「アルミナ粉末−第2部:物性測定方法−3:軽装かさ密度及び重装かさ密度」に記載されている軽装かさ密度の測定方法と同様にして測定した。炭化珪素粉末の軽装かさ密度は、1.18g/cmであった。
次に、炭化珪素粉末150gを、内寸が直径100mm、高さ200mmであって、側面厚み5mm、底面厚み8mmの黒鉛製のるつぼ内に充填した。この際、炭化珪素粉末の回収を容易にするために、直径100mm、厚さ2mm、重量約2.8gのカーボン紙をるつぼ内の底面に敷いた。また、厚さ5mmのカーボン製の蓋でるつぼに蓋をした。るつぼの蓋に種結晶は付着させなかった。
るつぼを加熱装置内に配置し、アルゴン雰囲気且つ1Torr(133Pa)の圧力下とした状態で、加熱した。この加熱は、るつぼの底面中心部を測定する放射温度計によって測定される温度を、初めは10℃/分の昇温速度で上昇させ、2200℃となった後、その状態を10時間保持した。
その後、るつぼ内を常温まで空冷した。るつぼの蓋の下面には炭化珪素単結晶の塊状物が生成されていた。そして、るつぼの底に残っていた炭化珪素粉末を回収した。このとき、るつぼの内壁面に固着していた炭化珪素粉末は、一度昇華したものとして回収しなかった。
加熱前の炭化珪素粉末とカーボン板との重量の和から加熱後に回収した炭化珪素粉末とカーボン板との重量の和を差し引いた重量を昇華した炭化珪素粉末の重量として求めた。
るつぼを用いた加熱を3回行い、昇華した炭化珪素粉末の重量の平均値を求めた。そして、この平均値を加熱時間である10時間で除することによって、昇華速度を求めた。昇華速度は、1.48g/hであった。
(実施例2〜8)
実施例2〜8では、実施例1で塊状物を粉砕して得られた炭化珪素粉末を、用いるふるいを変えて、粒度を表1に記載した範囲に限定した。表1に示すように、安息角は25°から41°であり、軽装かさ密度は1.01g/cmから1.33g/cmであった。
この炭化珪素粉末を、実施例1と同様に、るつぼに充填して、加熱した。昇華速度は、表1に示すように、1.07g/hから1.40g/hであった。
(実施例9,10)
アチソン炉での焼成時間を2500℃以上、保持時間を18時間とし、実施例1と同様に塊状物を粉砕して得られた炭化珪素粉末を、用いるふるいを変えて、粒度を表1に記載した範囲に限定した。実施例1、2と同様の粒度に調整した。表1に示すように、安息角は、それぞれ28°,26°であり、軽装かさ密度は1.30g/cm,1.38g/cmであった。
この炭化珪素粉末を、実施例1と同様に、るつぼに充填して、加熱した。昇華速度は、表1に示すように、それぞれ1.22g/h,1.16g/hであった。
(実施例11)
実施例1と同様にして得られた炭化珪素粉末を、目開き45μm及び1700μmのふるいを用いて、粒度が45μm以上1700μm未満の範囲に限定した。安息角は32°であるが、軽装かさ密度は1.52g/cmであり、1.5g/cmを超えていた。
この炭化珪素粉末を、実施例1と同様に、るつぼに充填して、加熱した。昇華速度は、表1に示すように、1.03g/hであり、実施例1〜10と比較すると劣っていた。
これは、るつぼに炭化珪素粉末を充填したとき、炭化珪素粉末間の隙間が小さ過ぎたため、昇華速度が遅くなったと考えられる。
(実施例12)
実施例1と同様にして得られた炭化珪素粉末を、目開き45μm及び4750μmのふるいを用いて、粒度が45μm以上4750μm未満の範囲に限定した。表1に示すように、安息角は34°であり、軽装かさ密度は1.41g/cmであった。
この炭化珪素粉末を、実施例1と同様に、るつぼに充填して、加熱した。昇華速度は、表1に示すように、1.04g/hであり、実施例1〜10と比較すると劣っていた。
これは、4750μm付近の大きな径の粗大な炭化珪素粉末が存在するので軽装かさ密度は大きくなったが、炭化珪素粉末間に大きな隙間が生じたため、昇華速度が遅くなったと考えられる。
(比較例1〜4)
比較例1〜4では、焼成の際に、木材チップを添加しなかったことを除いて、実施例1と同様に、アチソン炉を用いて炭化珪素粉末の焼成を行った。そして、得られた塊状物をボールミルで粉砕して、炭化珪素粉末を得た。
そして、得られた炭化珪素粉末を、用いるふるいを変えて、粒度を表1に記載した範囲に限定した。表1に示すように、安息角は16°から23°であり、軽装かさ密度は1.28g/cmから1.61g/cmであった。
この炭化珪素粉末を、実施例1と同様に、るつぼに充填して、加熱した。昇華速度は、表1に示すように、0.42g/hから0.95g/hであり、実施例1〜12と比較して劣っていた。
これは、得られた塊状物をボールミルで粉砕したので、角の凸部が除去され丸まったためと、焼成の際に木材チップを添加しなかったので、針状の炭化珪素粉末が少なくなったためとによって、るつぼに充填された炭化珪素粉末が詰り過ぎ、昇華速度が遅くなったためであると考えられる。
(比較例5,6)
比較例5,6では、市販の炭化珪素粉末を、用いるふるいを変えて、粒度を表1に記載した範囲に限定した。表1に示すように、安息角はそれぞれ23°、21°であり、軽装かさ密度は1.45g/cm、1.53g/cmであった。
この炭化珪素粉末を、実施例1と同様に、るつぼに充填して、加熱した。昇華速度は、表1に示すように、それぞれ0.81g/h、0.75g/hであり、実施例1〜12と比較して劣っていた。
これは、炭化珪素粉末の安息角が小さく、且つ軽装かさ密度が大きいので、るつぼに充填された炭化珪素粉末が詰り過ぎ、昇華速度が遅くなったとためである考えられる。
(比較例7,8)
比較例7,8では、実施例1と同様に、アチソン炉を用いて炭化珪素粉末の焼成を行った。そして、得られた塊状物を強化ナイロン製ハンマーで粉砕して、炭化珪素粉末を得た。
そして、得られた炭化珪素粉末を、用いるふるいを変えて、粒度を表1に記載した範囲に限定した。表1に示すように、安息角はそれぞれ46°、48°であり、軽装かさ密度は1.07g/cm、1.03g/cmであった。
この炭化珪素粉末を、実施例1と同様に、るつぼに充填して、加熱した。昇華速度は、表1に示すように、それぞれ0.91g/h、0.88g/hであり、実施例1〜12と比較して劣っていた。
これは、得られた塊状物をハンマーで粉砕したので、元々割れ易い方向に沿って割れたため、炭化珪素粉末が極度に針状化したことによって、るつぼに充填された炭化珪素粉末の間に大きな空洞が生じ過ぎ、昇華速度が遅くなったためであると考えられる。

Claims (4)

  1. 容器内に原料となる炭化珪素粉末を充填し、前記炭化珪素粉末を昇華させて、単結晶炭化珪素を製造する方法において、
    前記炭化珪素粉末の安息角は25°以上45°以下であることを特徴する炭化珪素単結晶の製造方法。
  2. 前記炭化珪素粉末の安息角は30°以上40°以下であることを特徴する請求項1に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  3. 前記炭化珪素粉末の軽装かさ密度は0.8g/cm以上1.5g/cm以下であることを特徴する請求項1又は2に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  4. 前記炭化珪素粉末の粒度範囲は、45μm以上3350μm未満であることを特徴する請求項1から3の何れか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
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