JP6792412B2 - 炭化珪素粉末の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、炭化珪素粉末及びその製造方法に関し、特に、炭化珪素単結晶の製造に用いる炭化珪素粉末及びその製造方法に関する。
炭化珪素粉末は、その高硬度性、高熱伝導性、高温耐熱性から、成形砥石、セラミックス部品等の材料として使用されている。特許文献1及び特許文献2に開示されているように、炭化珪素のセラミックス製品は、粉末にバインダーを加えて顆粒とし、それを所定の形状に成形して黒鉛るつぼ内に設置し、2000℃以上で焼成して加工することで得られる。また、炭化珪素のセラミックス製品は、黒鉛るつぼ内に炭化珪素粉末を充填し、加圧しながら焼成(ホットプレス焼成)して加工することで得られる。
また、炭化珪素は、シリコンと比較すると、バンドギャップは約3倍、絶縁破壊電界強度は約10倍という物性を有するので、シリコンに代わるパワー半導体用基板の材料として注目されている。この炭化珪素基板は。炭化珪素単結晶のインゴットから切り出すことで製造される。
炭化珪素単結晶の製造方法として、原料である炭化珪素粉末を2000℃以上の高温条件下において昇華させ、炭化珪素を単結晶成長させる昇華再結晶法がよく知られており、工業的に広く使用されている。
特開平9−278524号公報 特開昭57−166365号公報
パワー半導体用基板の材料として使用される炭化珪素単結晶のインゴットは、ドーパントとなるアルミニウム、チタンなどの金属元素の含有量が低いことが望まれる。
しかしながら、炭化珪素粉末を用いて炭化珪素単結晶を成長させてインゴットを製造する際に、炭化珪素粉末を例えば2000℃以上の高温にまで加熱すると、炭化珪素粉末中の不純物である遷移金属が昇華する。この昇華した遷移金属が、炉内に留まり成長中の炭化珪素単結晶に付着して混入してしまい、製造された炭化珪素単結晶のインゴットの純度が下がってしまうという問題があった。
また、昇華した遷移金属が成長装置に付着して成長装置が汚染されてしまうため、その後に成長装置に投入され、処理、生成される炭化珪素単結晶に遷移金属が混入してしまい、純度が下がってしまうという問題があった。
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、炭化珪素単結晶を成長させることによる炭化珪素単結晶からなる製品の生成において、不純物による成長装置への汚染を防止し、かつ遷移金属の混入による当該生成された炭化珪素単結晶からなる製品の純度の低下を防止することが可能な炭化珪素粉末の生成方法を提供することを目的とする。
発明の炭化珪素粉末の製造方法は、炭化珪素粉末を塩化物イオンが含まれる溶液に浸漬する溶液浸漬ステップと、前記炭化珪素粉末が浸漬された前記溶液の導電率を測定して前記導電率が所定の導電率以下か否かを判定する判定ステップと、を含み、前記判定ステップにおいて前記溶液の導電率が所定の導電率以下でないと判定された場合には、当該浸漬された炭化珪素粉末と前記溶液とを分離し、前記炭化珪素粉末を水に浸漬する水浸漬ステップを実行し、その後再度前記判定ステップを実行し、前記判定ステップにおいて前記溶液の導電率が所定の導電率以下と判定された場合には、当該浸漬された炭化珪素粉末と前記溶液とを分離し、前記炭化珪素粉末を乾燥させる乾燥ステップを実行することを特徴とする。
炭化珪素粉末生成工程の一例のフロー図である。 炭化珪素単結晶成長実験に用いる実験装置の断面図である。
以下、本発明の実施形態に係る炭化珪素粉末の生成方法及び当該生成された炭化珪素(SiC)粉末を用いた炭化珪素(SiC)単結晶の成長について説明する。なお、以下の説明において、ppmという単位は、重量比を表すもの、すなわちppmwとして説明する。
炭化珪素粉末は、例えば、珪素を含む無機珪酸質原料及び炭素を含む炭素質原料を混合して炭化珪素製造用原料を調整し、この炭化珪素製造用原料を2500℃以上の温度でアチソン炉などを用いて焼成し、得られた炭化珪素からなる塊状物を粉砕して得られたものである。
無機珪酸質原料としては、例えば、珪石等の結晶質シリカ、またはシリカフューム、シリカゲル等の非晶質シリカが挙げられる。無機珪酸質原料の平均粒径は、焼成時の環境、原料の状態(結晶質であるか非晶質であるか)、及び炭素質原料との反応性によって適宜決定される。
炭素質原料としては、例えば、天然黒鉛、人工黒鉛等の結晶質カーボン、またはカーボンブラック、コークス、活性炭等の非晶質カーボンが挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。炭素原料の平均粒径は、焼成時の環境、原料の状態(結晶質であるか非晶質であるか)、及び無機珪酸質原料との反応性によって適宜決定される。
上記無機珪酸質原料と炭素質原料とを混合する方法としては、湿式混合及び乾式混合のいずれの混合方法も採用可能である。なお、この混合時の無機珪酸質原料と炭素質原料との混合比は、炭化珪素製造用原料の焼成の際の環境、炭化珪素製造用原料の粒径や反応性を考慮して、最適なものを選択する。ここでいう「最適」とは、焼成によって得られる炭化珪素の収率を最大化し、また、未反応の無機珪酸質原料や炭素質原料の残存量を最小化することを意味する。
炭化珪素粉末は、前述した製造方法で製造したものに限定されず、例えば、固相反応でなく、液相反応などを利用して製造したものであってもよい。上記炭化珪素からなる塊状物を粉砕して得られる炭化珪素粉末の平均粒径は、10μm以上2000μm以下がとするのが好ましく、45μm以上1000μm以下とするのがより好ましい。
この粉砕後の炭化珪素粉末には、不純物としてチタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)等の遷移金属が含まれている。
本発明の炭化珪素粉末は、上記生成前の炭化珪素粉末に塩素(Cl)を含ませて生成する。具体的には、生成前の炭化珪素粉末を所望の粒度に分級した後に、Clイオンを含む溶液に浸漬することで、当該生成前の炭化珪素粉末にClを含ませる。使用するClイオンを含む溶液としては、HClが好ましい。なお、完成品におけるアルカリ金属または第2族元素の含有量が不問である場合には、NaCl溶液またはCaCl溶液等の塩化物イオンを含む他の溶液を用いてもよい。
図1に、炭化珪素(SiC)粉末に塩素(Cl)を含ませて、当該炭化珪素粉末における塩素(Cl)の量を調整するSiC粉末生成工程の一例のフロー図を示す。まず、HCl溶液等のClイオンを含む溶液入れた容器を用意し、当該溶液の中にSiC粉末を浸漬させる(ステップS1)。
溶液としてHClを用いる場合、当該HCl溶液は、溶液中のClの濃度が1N以上であるのが好ましい。1N以上の溶液を用いた場合、粉砕及び分級においてSiC粉末中に混入する金属不純物を溶解させて、SiC粉末の純度を向上させることが可能である。
次に、当該溶液を攪拌する(ステップS2)。この攪拌は、攪拌翼を用いて行ってもよい。また、溶液をポンプで循環させることで行ってもよい。
次に、溶液の導電率を測定し、当該測定された導電率が所定値以下か否かを判定する(ステップS3)。溶液の導電率は、溶液中のイオン量、ここではClの量と相関する。所定の導電率は、溶液を分離して乾燥させた後のSiC粉末が保持すべきCl量から逆算される。言い換えれば、乾燥させた後のSiC粉末が保持すべきCl量に基づいて、溶液中のClイオン量が求められ、当該イオン量における溶液の導電率が所定の導電率として導き出される。
この所定の導電率は、事前に数通りの導電率の溶液に浸漬し、所定の方法で溶液と分離した後に乾燥したSiC粉末のCl量を測定しておくことで決定しておく。例えば、当該測定値に基づいて検量線を作成し、そこから乾燥させたSiC粉末のCl量が所定値となる際の溶液の導電率を求めることとしてもよい。乾燥したSiC粉末のCl量は、例えば、当該SiC粉末をグロー放電質量分析法(GD−MS:Glow Discharge Mass Spectrometry)により測定することで得られてもよい。
従って、導電率が所定値以下であるかを判定することで、溶液内が所定のCl濃度となったかを判定し、溶液を分離して乾燥した後にSiC粉末が保持するClの量が所定量となるかどうかを判定可能である。この導電率の測定には、例えば、株式会社堀場製作所製の導電率計(電気伝導率計):D-70/ES-70シリーズ、またはH1シリーズ等を用いることが可能である。
ステップS3において、導電率が所定の値以下でない場合、SiC粉末と溶液とを分離し、SiC粉末を水に浸漬する(ステップS4)。このステップは、SiC粉末が保水する溶液を薄めるために行うものであるため、SiC粉末を浸漬する水は、導電率が小さい水、すなわち不純物の少ない純度の高い水であるのが好ましい。従って、ステップS3において使用する水としては、純度の高いイオン交換水や蒸留水が好ましい。
ステップS3において、導電率が所定の値以下である場合、SiC粉末を溶液から分離し乾燥する(ステップS5)。ステップS3において導電率が所定の値以下になったということは、乾燥した際にSiC粉末に含まれるCl量が所定値になるということである。このステップS5における乾燥の後、本発明のSiC粉末が完成する。
なお、ステップS4及びS5において、SiC粉末と溶液との分離は、分離後にSiC粉末に溶液が残留する状態となるように行う。例えば、SiC粉末と溶液との分離は、デカンテーション、フィルタープレスまたは濾過等で行ってもよい。ステップS5においては、SiC粉末に溶液が残留する状態で乾燥することによって、ClがSiC粉末表面に残留する。すなわち、物理吸着によってClがSiC粉末の粒子に保持される。
ステップS5の乾燥においては、SiC粉末に付着している溶液の水分だけ飛ばし、溶液に含有されているClをSiC粉末中に残留させるため、例えば、乾燥バットにSiC粉末を入れて乾燥させる方式を用いるのが好ましい。
なお、SiC粉末を揺する等、SiC粉末を動かして乾燥させる方法は好ましくない。なんとなれば、SiCは非常に硬度が高いため、SiC粉末を動かすことで、乾燥処理時にSiC粉末と接触する装置または容器内の部材が削れてしまい、SiC粉末に当該部材由来の不純物が混入してしまうからである。
なお、上記所定値は、SiC粉末と溶液とを分離した際のSiC粉末の保水量によって変化する。例えば、保水量はSiC粉末の粒度によって異なる。具体的には、SiC粉末の粒度が粗いものは保水量が少なく、細かいものは保水量が多くなる。また、保水量はSiC粉末と溶液との分離方法によっても異なる。具体的には、デカンテーションで分離する場合にはSiC粉末の保水量は多くなり、フィルタープレスで分離する場合には保水量は少なくなる。
上述のように、SiC粉末を生成することによって、単純な方法で所望量のClを含有しかつ遷移金属等の不純物の少ないSiC粉末を生成することが可能である。
以下、上述のように形成されたSiC粉末を用いて、SiC単結晶を成長させる方法を示す。まず、上述のように塩素(Cl)を含ませたSiC粉末を生成した後に、当該SiC粉末を、SiC単結晶成長用の種結晶が取り付けられている容器内に入れて加熱装置の加熱雰囲気内に配設し、これを加熱する。この加熱装置としては、例えば電気炉等の加熱炉を用いればよい。加熱炉は、加熱炉の加熱雰囲気内のガスを系外に排出するための排出機構を備えている。排出機構は例えば排出ポンプである。また、容器としては、例えば黒鉛るつぼを使用する。
この加熱工程においては、容器内の混合物が2100℃となるように加熱する。この加熱を数時間から数十時間持続させる。この加熱過程においては、雰囲気ガスの排出が常時排出されるのが好ましい。なお、加熱過程における混合物の反応によりガスが雰囲気内に発生し始める時点、例えば、容器内の混合物の温度が500℃を超えた時点から、排出機構により雰囲気ガスを排出することとしてもよい。
この排出により、加熱炉内の雰囲気は減圧される。加熱過程における混合物の反応により雰囲気内に発生するガスの排出を考慮して、雰囲気ガスの圧力が所定の範囲となるように、排出機構を制御してもよいが、このような制御をしなくてもよい。
さらに、加熱装置の雰囲気内に系外から、窒素ガス、アルゴンガス、空気などを供給してもよい。ただし、供給ガスは製造されるSiC単結晶インゴット等のSiC製品の品質に悪影響を与えないものに限定される。
単結晶成長前のSiC粉末内に含まれる不純物である遷移金属は、上記加熱過程においてSiC粉末を2000℃以上に加熱すると、ほとんどが蒸発する。この蒸発した遷移金属の多くは雰囲気ガスの排出流に乗って、加熱炉外に排出される。しかし、蒸発した遷移金属の一部は、炉内に残留し、成長中のSiC単結晶に混入する。また、炉内に残留した遷移金属は、周囲にある黒鉛るつぼ等の容器を含む黒鉛部品に達すると当該黒鉛部品に付着する。
上述のように、本発明のSiC粉末には、塩素が含まれている。この塩素は、上記加熱過程において、2000℃以下の温度において炉内に飛散する。この飛散した塩素は、炉内に残留している遷移金属及び上記した黒鉛部品に付着した遷移金属と反応して塩化物となる。
炉内の高温故に、当該塩化物は気化して雰囲気ガスの排出流に乗って加熱炉外に排出される。このことにより、SiC粉末から蒸発して炉内に残留している遷移金属及び黒鉛部品に付着した遷移金属を除去することが可能となる。
例えば、チタン(Ti)を例に説明する。チタンは、上述のように、2000℃以上に加熱されることによって、蒸発して炉内雰囲気に放出され、その一部が黒鉛部品に付着する。炉内に残留しているチタン及び黒鉛部品に付着したチタンとSiC粉末から炉内に飛散したClとは、以下の式(1)に示した反応によって、塩化チタン(IV)(TiCl)となる。
Ti+2Cl→TiCl(1)
塩化チタンは(IV)は、非常に低温(136.4℃)で気化(ガス化)するため、2000℃以上の炉内ではすぐにガス化する。このガス化した塩化チタンである塩化チタンガスは、雰囲気ガスの排出流に乗って加熱炉外に排出される。炉内に残留している遷移金属及び黒鉛部品に付着した他の遷移金属も同様に塩素と結合することでガス化し、雰囲気ガスの排出流に乗って加熱炉外に排出される。
上述のように、炉内に残留している遷移金属がSiC粉末から飛散した塩素と結合してガス化し、雰囲気ガスの排出流に乗って加熱炉外に排出されることで、成長させているSiC単結晶に不純物が混入することが防止される。
また、加熱処理中に黒鉛部品に付着した遷移金属がSiC粉末から飛散した塩素と結合してガス化し、雰囲気ガスの排出流に乗って加熱炉外に排出されることで、加熱処理の終了後に黒鉛部品が遷移金属に汚染されることが防止される。これにより、1のロットの加熱処理の終了後に、次のロットの加熱処理によって生成されるSiC単結晶への不純物の混入を防止することが可能となる。
なお、原料となるSiC粉末に含ませる塩素は、当該SiC粉末の不純物としての遷移金属(Ti、V、Cr、Ni、Mn、Fe、Zn)の含有量が100ppm以下の場合において、黒鉛部品に付着した遷移金属を十分除去する観点から0.1ppm以上であるのが好ましい。また、反応性に富む高温となった塩素による排気系の配管及びポンプ等の排出機構の腐食を防止する観点から10ppm以下であるのが好ましく、2ppm以下であるのがさらに好ましい。
以下、本発明の実施例のSiC粉末の生成及びこれを用いてSiC単結晶を成長させる実験について説明する。以下の例においては、SiC粉末中のCl含有量が、0.05ppm、0.1ppm、0.2ppm、1ppm、2ppm、10ppm、及び20ppmとなっている7種類のSiC粉末を生成した。
[SiC粉末の製造]
まず、SiC粉末をアチソン法によって生成した。具体的には、まず、非晶質合成シリカ粉末及びカーボンブラックを理論反応量の割合となるようにして混合した。本実施例の場合には、非晶質合成シリカ:カーボンブラック=2:1となるように混合した。
非晶質合成シリカ粉末としては、太平洋セメント株式会社製の試薬を用いた。この非晶質合成シリカ粉末は、ホウ素(B)を1.0ppm、リン(P)を1.0ppm、アルミニウム(Al)を0.5ppm、鉄(Fe)を1.0ppm、チタン(Ti)を1.0ppm、それぞれ含有していた。また、この非晶質のシリカ粉末の平均粒径は2mm以下である。
カーボンブラックとしては、東海カーボン株式会社製の「シースト600」を用いた。このカーボン粉末は、ホウ素(B)を1.0ppm、リン(P)を1.0ppm、アルミニウム(Al)を43ppm、鉄(Fe)を34ppm、チタン(Ti)を2.3ppm、それぞれ含有していた。また、このカーボンブラックの平均顆粒径は、2mm以下である。
次に、この非晶質合成シリカ粉末とカーボンブラックの混合物をアチソン炉に充填し、2500℃以上で24時間焼成した。得られたSiCインゴットを、ジョークラッシャー及びボールミル粉砕機で粉砕した。粉砕して得られたSiC粉末を分級することで、粒径が45〜2000μmのSiC粉末を作製した。
上述のアチソン法によって作成されたSiC粉末に塩素を含ませるべく、上記図1に関して説明したSiC粉末に塩素(Cl)を含ませて、当該SiC粉末における塩素(Cl)の量を調整するSiC粉末生成工程を行った。
具体的には、まず、ステップS1において、SiC粉末を2Nの塩酸に3時間浸漬した。その後、ステップS2において、攪拌翼によって溶液を攪拌した。その後、ステップS3において、溶液の導電率を測定して、溶液が所定の導電率以下であるかを測定した。本実施例において、所定の導電率は、乾燥後のSiC粉末のCl含有量が上記値となるように設定した。
ステップS3において、溶液が所定の導電率以上の場合、その後、ステップS4においてSiC粉末を溶液から分離しイオン交換水に浸漬し、再度ステップS3を行った。ステップS3において、溶液が所定の導電率以下となった場合には、その後、ステップS5において、SiC粉末を溶液から分離し、乾燥させた。この乾燥は、乾燥バットにSiC粉末を入れて乾燥させることで行った。
本実施例においては、乾燥後の各SiC粉末が含んでいるCl量が所定量であるかを、GD−MS測定を行って確認した。また、乾燥後の各SiC粉末が含んでいるTi、V、Cr、Ni、Mn、Fe、Znの量もGD−MS測定によって確認した。測定の結果、各SiCのTi、V、Cr、Ni、Mn、Fe、Znの総含有量は5ppmであった。
上述のように、Cl含有量のみが異なるSiC粉末を、7種類生成した。
[SiC単結晶成長実験]
上述のように生成された各々異なった量のClを含むSiC粉末を用いて、SiC単結晶を成長させる実験を行った。
−実験装置−
図2に、実験装置10の断面図を示す。炉体11は、電気炉の炉体である。炉体11の内面には断熱材13が設けられている。ヒータ15は、断熱材13の内面に設けられている黒鉛ヒータである。黒鉛るつぼ17は、断熱材13の内面によって形成される空間内に配されている。黒鉛るつぼ17は、容器部17A及び蓋部17Bを有している。なお、黒鉛るつぼ17は、実験前においてTi、V、Cr、Ni、Mn、Fe、Znの総含有量が3ppm未満のものであった。
排気管19は、炉体11内の空間と炉体11外の空間とを連通させるように設けられているSUS304からなるステンレス鋼管である。排気ポンプ21は、炉体11の外部に配されておりかつ排気管19に接続されており、排気管19を介して炉体11内の気体を排気することが可能である。
試験片23は、排気管19と同じ材質であるSUS304からなり、長さ50mm×幅50mmで厚さが3mmの板材である。試験片23は、実験時に排気管19内に配される。試験片23は、その表面、すなわち長さ及び幅によって規定される面が試験面23Sになっている。
試験片23を排気管19内に配して実験し、その後取り出して試験面23Sの表面粗さを測定することにより、試験面23Sが腐食されることによる表面粗さの変化から、排気管19の内面が腐食されているか否かを判断可能である。なお、当該試験面23Sは、実験前においてその表面粗さがRa<0.01μmとなっている。
−実験手順−
実験においては、まず、SiC粉末300ccを黒鉛るつぼ17に収容した。この際、SiC粉末のかさ(体積)に対し、黒鉛るつぼの内容積は10倍以内とした。黒鉛るつぼの蓋部17Bの内側面には、種結晶として研磨されたSiC単結晶板(図示せず)を設置した。また、試験片23を排気管19内に配置した。この際、排気管19の流体の流れと平行な面が試験面23Sとなるように試験片23を配置した。
次に、この黒鉛るつぼ17を炉体11内に配置し、炉内をアルゴン(Ar)雰囲気で圧力を1kPaとして、黒鉛るつぼの容器部17Aの底部の温度が2,300℃、黒鉛るつぼの上部(蓋部17B)の温度が2,100℃となるように加熱した。本実験において、加熱時間は48時間とした。この加熱によって、黒鉛るつぼ17中のSiC粉末が昇華して、種結晶に達し、種結晶表面にSiC単結晶が成長する。なお、この加熱の際、ポンプ21を用いて、排気管19を介して、炉体11内の気体を常時排出した。
上記実験を、Cl量の異なるSiC粉末毎に行って、以下の評価を行った。なお、実験ごとに、黒鉛るつぼ17及び試験片23は新しいものに交換した。
−実験結果及び評価−
上述の実験の後、各Cl量のSiC粉末について、実験後の黒鉛るつぼ17に付着している遷移金属(Ti、V、Cr、Ni、Mn、Fe、Zn)の量、試験後に排気管19から取り出された試験片23の試験面23Sの表面粗さRa、及び生成されたSiC単結晶に含まれるTi、V、Cr、Ni、Mn、Fe、Znの量を測定して評価を行った。
実験後の黒鉛るつぼに付着して残留している遷移金属(Ti、V、Cr、Ni、Mn、Fe、Zn)の量は、実験後の黒鉛るつぼを加圧酸分解により溶液化した後に、高周波誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)発光分光分析によって測定した。
また、実験後の試験面23Sの表面粗さは、触針式表面粗さ測定機等の表面粗さ測定器によって測定した。
また、実験後によって生成されたSiC単結晶に含まれるTi、V、Cr、Ni、Mn、Fe、Znの量は、GD−MS測定によって測定した。
実験結果を以下に示す。なお、結果は、加熱前のSiC粉末に含まれるCl量が少ない順に試料番号No.1〜7として示している。
上記表に示すように、黒鉛るつぼに残留している遷移金属の量は、No.1のみが6ppmとなりSiC粉末に含まれるCl量が0.1ppm以上のNo.2〜No.7は、3ppm未満であった。なお、上述のように、実験前に黒鉛るつぼに含まれている遷移金属の量は3ppm以下である。
この結果より、SiC粉末に含まれるCl量が0.1ppm以上であれば、加熱処理後に黒鉛るつぼに付着して残留する遷移金属はないかもしくは無視できる程僅かであることがわかった。よって、SiC粉末に含まれるCl量が0.1ppm以上であれば、成長させるSiC単結晶に対する黒鉛るつぼに残留する遷移金属の混入を防止できることがわかった。
また、試験片の表面粗さRaは、SiC粉末に含まれるCl量が2ppm以下であるNo.1〜No.5が検出限界未満の0.01未満となり、Cl量が10ppmであるNo.6では0.01、Cl量がそれ以上20ppmであるNo.7では0.03であった。なお、上述のように、実験前の試験面の表面粗さRaは、0.01未満である。
この結果より、SiC粉末に含まれるCl量が10ppm以下、特に2ppm以下であれば、配管の腐食は起こらないことがわかった。
また、SiC単結晶内の遷移金属量は、SiC粉末内のCl量が0.05であるNo.1のみ3ppmとなり、Cl量が0.1以上のNo.2〜No.7では、1ppm未満となった。
この結果より、SiC粉末に含まれるCl量が0.1ppm以上であれば、加熱処理においてSiC粉末から炉体内に放出されて炉体内に留まり、SiC単結晶に混入して残る遷移金属はないかもしくは無視できるほど僅かであることがわかった。よって、SiC粉末に含まれるCl量が0.1ppm以上であれば、SiC単結晶の成長中におけるSiC単結晶への遷移金属の混入を防止し、SiC単結晶の純度を高めることが可能であることが分かった。
上記結果によれば、黒鉛るつぼへの遷移金属の汚染を防止し、排気管等の排気機構を損傷せず、かつ生成された炭化珪素単結晶への遷移金属の混入を防止して炭化珪素単結晶の純度を高めることができる炭化珪素粉末は、Clの含有量が重量比で0.1〜10ppm、好ましくは0.1〜2ppmの炭化珪素粉末であることがわかった。
また、上記実施例においては、無機珪酸質原料と炭素質原料とを混合し焼成した後に粉砕することによって生成された炭化珪素粉末を、塩化物イオンを含む溶液に浸漬することで塩素を含む炭化珪素粉末を生成した。しかし、これ以外の方法で塩素を含む炭化珪素粉末を生成してもよい。例えば、焼成前の無機珪酸質原料または炭素質原料に、塩化ナトリウム等の塩化物や塩酸を混合した後に焼成を行って、塩素を含む炭化珪素粉末を生成してもよい。
10 実験装置
11 炉体
13 断熱材
15 ヒータ
17 黒鉛るつぼ
19 排気管
21 排気ポンプ
23 試験片

Claims (1)

  1. 炭化珪素粉末を塩化物イオンが含まれる溶液に浸漬する溶液浸漬ステップと、
    前記炭化珪素粉末が浸漬された前記溶液の導電率を測定して前記導電率が所定の導電率以下か否かを判定する判定ステップと、を含み、
    前記判定ステップにおいて前記溶液の導電率が所定の導電率以下でないと判定された場合には、当該浸漬された炭化珪素粉末と前記溶液とを分離し、前記炭化珪素粉末を水に浸漬する水浸漬ステップを実行し、その後再度前記判定ステップを実行し、
    前記判定ステップにおいて前記溶液の導電率が所定の導電率以下と判定された場合には、当該浸漬された炭化珪素粉末と前記溶液とを分離し、前記炭化珪素粉末を乾燥させる乾燥ステップを実行することを特徴とする炭化珪素粉末の製造方法。
JP2016211654A 2016-10-28 2016-10-28 炭化珪素粉末の製造方法 Active JP6792412B2 (ja)

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