JP6707407B2 - 炭化ケイ素粉末の製造方法 - Google Patents

炭化ケイ素粉末の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6707407B2
JP6707407B2 JP2016127746A JP2016127746A JP6707407B2 JP 6707407 B2 JP6707407 B2 JP 6707407B2 JP 2016127746 A JP2016127746 A JP 2016127746A JP 2016127746 A JP2016127746 A JP 2016127746A JP 6707407 B2 JP6707407 B2 JP 6707407B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
chloride
silicon carbide
silica
content
chlorine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016127746A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018002502A (ja
JP6707407B6 (ja
Inventor
増田 賢太
賢太 増田
一坪 幸輝
幸輝 一坪
潔 野中
潔 野中
石田 弘徳
弘徳 石田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taiheiyo Cement Corp
Original Assignee
Taiheiyo Cement Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Taiheiyo Cement Corp filed Critical Taiheiyo Cement Corp
Priority to JP2016127746A priority Critical patent/JP6707407B6/ja
Publication of JP2018002502A publication Critical patent/JP2018002502A/ja
Publication of JP6707407B2 publication Critical patent/JP6707407B2/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6707407B6 publication Critical patent/JP6707407B6/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)

Description

本発明は、炭化ケイ素粉末の製造方法に関し、具体的には、パワー半導体などの電子材料の原料に適用可能な高純度の炭化ケイ素粉末を得る製造方法に関する。
炭化ケイ素(SiC)は研磨・研削材、セラミックス焼結体及び導電性材料等の工業用材料として従来から幅広く使用されている。特に、最近では、省エネルギー志向の強まりや脱原発による自然再生エネルギーの活用への期待等の社会的背景により、パワー半導体等に用いられる単結晶材料として、高純度の炭化ケイ素が求められている。
炭化ケイ素を工業的に量産する技術としては、ケイ素(Si)を含むケイ酸質原料(例えば硅砂)と炭素(C)を含む炭素質原料(例えば石油コークス)を原料とし、アチソン炉において1600℃以上で加熱することで、直接還元反応によって炭化ケイ素を製造する方法が知られている。この従来から行なわれているアチソン炉による製造では、原料中の不純物含有量が高く、不純物の制御が難しいため、高純度の炭化ケイ素を製造することはできなかった。
そこで、炭化ケイ素粉末の不純物を除去する技術として、酸で除去する技術や塩化ナトリウムなどのアルカリ金属の塩化物を添加する技術が知られている。酸で除去する技術は、フッ酸と硝酸を一定の割合で混合した混酸に、炭化ケイ素粉末を浸漬させることで、酸に不純物を溶解して除去する技術である(例えば、特許文献1参照)。不純物を酸に溶解させるため、不純物が酸に接触する必要がある。このため、本技術は、炭化ケイ素の粒子表面に存在する不純物を除去することはできるが、粒子内部に取りこまれた不純物を除去することはできず、十分に純化することができない。
一方、塩化ナトリウムなどの塩化物を添加する技術は、塩化物から発生する塩素ガスにより、炭化ケイ素の原料であるシリカやカーボンに含まれる不純物元素の塩化物を生成させ、この塩化物を揮散させることで、炭化ケイ素中の不純物量を低減する技術である(例えば、非特許文献1参照)。本技術において、塩化物の添加量は、原料中の不純物量に応じて決定される。純度の高い炭化ケイ素を得るには、大量の塩化物が必要であり、その結果大量の塩素ガスを発生させ、作業環境的に問題があるため、塩化物の添加量が限定的となり、純度の低減に限界があった。
一方、近年において、パワー半導体の高性能化に伴い、炭化ケイ素粉末の更なる高純度化が要求されている。そこで、更に高純度の炭化ケイ素を製造する方法として、シリカとカーボンの混合物を含む固形分と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物を含む水溶液を混合し、得られた混合物に対して固液分離を行い、得られた固形分(シリカとカーボンの混合物、及びアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物を含むもの)を加熱するといった製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この製造方法によると、従来よりも高純度の炭化ケイ素粉末が得られる。
特開2000−281328号公報 特開2014−125407号公報
日本学術振興会高温セラミックス材料第124委員会編、「SiC系セラミックス新材料 最近の展開」、(株)内田老鶴圃、2001年2月28日、p121
しかしながら、特許文献2に記載の製造方法では、シリカより吸着能が高いカーボンが介在し、塩化物を均一に存在させることができず、その結果、塩化物の添加量を増やさざるを得ず、上記問題の解決には至らなかった。塩化物の代わりに塩酸を添加した場合も同様である。
そこで、本発明の目的は、アルカリ金属の塩化物又は塩酸の添加により炭化ケイ素粉末の不純物を除去する工程を含む炭化ケイ素粉末の製造方法において、塩化物又は塩酸の添加量が少量であっても、不純物を効率良く除去でき、高純度の炭化ケイ素粉末を製造可能な製造方法を提供することにある。
本発明の炭化ケイ素粉末の製造方法は、不純物を含み空隙率が10〜50%のアモルファスの多孔質シリカのみを、アルカリ金属の塩化物水溶液又は塩酸に浸漬して塩化物含有アモルファスシリカを得る第1工程、及び
前記第1工程において得られた塩化物含有アモルファスシリカと、炭素質原料とを混合し、加熱する第2工程、を含み、
前記第1工程において、アモルファスの多孔質シリカ中の塩素が下記式(1)で表される塩素含有量以上且つ前記塩素含有量の1.5倍以下となるように前記アルカリ金属の塩化物水溶液又は塩酸に浸漬することを特徴とする。
[ただし、Cは、前記アモルファスの多孔質シリカ中における、第3周期〜第4周期であり、かつ2(2A族)〜13(3B)族の金属不純物元素であって、含有量が多い順に上位所定順位までの元素それぞれの含有量(mg/kg)を示し、kは、前記各金属不純物元素の塩化物中における金属不純物元素に対する塩素の質量比を示し、Σは、前記金属不純物元素の各kCの値を加算することを示す。]
ここで、第3周期、第4周期、2(2A族)、13(3B)族は、長周期型周期表における周期、族である。
本発明の炭化ケイ素粉末の製造方法においては、所定の空隙率のアモルファスの多孔質シリカを用いるため、その内部の空隙に塩化物又は塩酸を含浸させることができ、原料中に均一に塩化物又は塩酸を分散させることができる。そのため、微量の塩化物又は塩酸でも効果的に不純物を除去することができる。また、塩化物又は塩酸が微量であることから、それらに起因する多量の白煙を抑えることができ、環境にも配慮した焼成が可能となる。さらに、カーボン含有シリカに塩化ナトリウムを混合するといった特開2014−125407号公報に記載の発明とは異なり、シリカより吸着能が高いカーボンが介在しないため、塩化物又は塩酸がシリカ粒子に均一に存在するようになり、上記公報に記載の発明よりもさらに少量で効果を発揮する。
本発明の炭化ケイ素粉末の製造方法は、空隙率が10〜50%のアモルファスの多孔質シリカを、アルカリ金属の塩化物水溶液又は塩酸に浸漬して塩化物含有アモルファスシリカを得る第1工程、及び前記塩化物含有アモルファスシリカと、炭素質原料とを混合し、加熱する第2工程、を含み、前記第1工程において、アモルファスの多孔質シリカ中の塩素が下記式(1)で表される塩素含有量以上となるように前記アルカリ金属の塩化物水溶液又は塩酸に浸漬することを特徴とする。
式(1)中、Cは、前記アモルファスの多孔質シリカ中における、第3周期〜第4周期であり、かつ2(2A族)〜13(3B)族の金属不純物元素であって、含有量が多い順に上位所定順位までの元素それぞれの含有量(mg/kg)を示し、kは、前記各金属不純物元素の塩化物中における金属不純物元素に対する塩素の質量比を示し、Σは、前記金属不純物元素の各kCの値を加算することを示す。
以下に、本発明の製造方法の各工程について説明する。
[第1工程]
第1工程においては、空隙率が10〜50%のアモルファスの多孔質シリカ(以下、単に「多孔質シリカ」とも呼ぶ。)をアルカリ金属の塩化物水溶液(以下、単に「塩化物水溶液」とも呼ぶ。)又は塩酸に浸漬して塩化物含有アモルファスシリカを得る。まず、本工程で用いる各成分について説明する。
(アモルファスの多孔質シリカ)
アモルファスの多孔質シリカは、空隙率が10〜50%のものを用いる。空隙率が10〜50%のものを用いることで、当該空隙に十分な量の塩化物水溶液又は塩酸を含浸させることができ、原料中に塩化物などを均一に分散させることができる。ひいては、塩化物水溶液などが微量であっても不純物を十分に除去することができる。多孔質シリカの空隙率が10%未満では含浸させられる塩化物水溶液又は塩酸の量が少なくなり、結果として炭化ケイ素の不純物除去効果が得られなくなる。50%を超えると塩化物水溶液の量が多くなり、所定量以上の塩化物水溶液などが含浸されてしまい、作業環境の悪化を招く。当該空隙率は、12.5〜40%が好ましく、15〜35%がより好ましい。
多孔質シリカのBET比表面積は400〜50000cm/gが好ましく、600〜25000cm/gであることがより好ましい。当該BET比表面積が400〜50000cm/gであると、多孔質シリカ内部の空隙が微細であるため、塩化物水溶液などを多孔質シリカ内部に効果的かつ均一に含浸させることができる。
(アルカリ金属の塩化物の水溶液又は塩酸)
アルカリ金属の塩化物としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、が挙げられ、中でも、塩化ナトリウム、塩化カリウムを用いることが好ましい。これら塩化物水溶液又は塩酸に多孔質シリカを浸漬すると、当該多孔質シリカの空隙に塩化物水溶液又は塩酸が含浸する。
以上の塩化物水溶液又は塩酸は、多孔質シリカの塩素が上記式(1)により算出した塩素含有量となるように濃度や浸漬時間などの条件を調整する。このように塩化物水溶液又は塩酸を多孔質シリカに付与することにより、不純物を除去するに必要十分な量の塩化物(塩素イオン)をアモルファスの多孔質シリカの空隙に含浸させることができる。
上記式(1)中、Cは多孔質シリカ中における、第3周期〜第4周期であり、かつ2(2A族)〜13(3B)族の金属不純物元素であって、含有量が多い順に上位所定順位までの元素それぞれの含有量(mg/kg)である。当該金属不純物元素は、Mg、Al、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、又はGaである。
上記含有量が多い順に上位所定順位までの元素それぞれの含有量(mg/kg)において、所定順位としては、10番目までとすることが好ましく、8番目までとすることがより好ましく、5番目までとすることがさらに好ましい。
原料として用いる多孔質シリカ中における金属不純物元素及びその含有量が既知であれば、含有量が多い順に上位所定順位の各元素とその含有量に基づきそれぞれの含有濃度をCを求めることができる。一方、当該金属不純物元素及びその含有量が未知の場合は、多孔質シリカをフッ酸と硝酸の混酸で溶解させた後、ICP−AES分析法により測定し、含有量が多い順に上位所定順位の各元素とその含有量に基づきそれぞれの含有濃度Cを求めることができる。
kは、各金属不純物元素を除去するに必要な塩素含有量を算出するための係数であり、前記各金属不純物元素の塩化物中における金属不純物元素に対する塩素の質量比を示す。つまり、多孔質シリカ中における所定の金属不純物元素の含有量(mg/kg)を表すCにkを乗ずることで、多孔質シリカ中の金属不純物元素を除去するに必要十分な塩素含有量(mg/kg)が算出される。
具体的には、kは、(塩素の原子量×金属不純物元素の塩化物1分子中の塩素原子数)/金属不純物元素の原子量の式で算出される。例えば、塩化アルミニウムの場合、k=35.45×3/26.98=3.94であり、塩化カルシウムの場合、k=35.45×2/40.08=1.77である。
本発明においては、多孔質シリカ中の塩素が下記式(1)で表される塩素含有量以上となるようにアルカリ金属の塩化物水溶液又は塩酸に浸漬するのであるが、当該多孔質シリカ中の塩素の上限は、式(1)により算出した塩素含有量の1.5倍が好ましく、1.2倍がより好ましい。1.5倍の塩素含有量を超えると、発生する塩素が増えるため環境負荷の問題が生じることがある。
本発明においては、以上のような多孔質シリカと、上記のようにして濃度が調整された塩化物水溶液又は塩酸とを準備した後、当該多孔質シリカを塩化物水溶液又は塩酸に浸漬して塩化物含有アモルファスシリカを得る。多孔質シリカを塩化物水溶液又は塩酸に浸漬する際の浸漬時間としては、1〜3時間とすることが好ましく、アルカリ金属の塩化物水溶液又は塩酸の温度は常温(例えば、20℃)以上あればよい。
(炭素質原料)
炭素質原料としては、例えば、天然黒鉛、人工黒鉛等の結晶質カーボンや、カーボンブラック、コークス、活性炭等のアモルファスカーボンが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。炭素質原料の平均粒径は、焼成時の環境や原料の状態(結晶質、非晶質)、および前述の多孔質シリカとの反応性によって適宜選ばれる。
[第2工程]
第2工程においては、前記塩化物含有アモルファスシリカと前記炭素質原料とを混合して、炭化ケイ素製造用の原料を調製する。この際、原料の混合方法は任意であり、湿式混合と乾式混合のいずれも採用することができる。混合の際の塩化物含有アモルファスシリカと炭素質原料の混合モル比(C/Si)は、焼成時の環境、炭化ケイ素製造用原料の粒径や反応性を考慮して、最適なものを選択する。ここでいう「最適」とは、焼成によって得られる炭化ケイ素の収量を向上させ、また、残存する未反応の塩化物含有アモルファスシリカや炭素質原料の残存量を小さくすることを意味する。
得られた混合粉末(炭化ケイ素製造用の原料)をアチソン炉内に投入し、2,500℃以上で焼成することによって、塊状の炭化ケイ素を得ることができる。
焼成雰囲気は、還元雰囲気であることが好ましい。還元性が弱い雰囲気下で焼成すると、炭化ケイ素の収率が低くなるからである。
アチソン炉を用いることで、下記反応式(1)で示される反応が生じ、炭化ケイ素からなる塊状物が得られる。
SiO+3C → SiC+2CO 反応式(1)
アチソン炉内の発熱体を発熱させると発熱体の近傍の原料から炭化ケイ素が生成し、外側へと成長していく。アチソン炉の中心部と外側とで炭化ケイ素の態様が異なり、中心部ほどα−SiCが多く、外側ほどβ−SiCが多い。本発明においては、当該中心部のα−SiCの割合を大きくすることができる。
アチソン炉内の発熱体の種類は、電気を通すことができるものである限りにおいて、特に限定されるものではなく、例えば、黒鉛粉、カーボンロッド等が挙げられる。
発熱体を構成する物質の形態は、特に限定されず、例えば、粉状、塊状等が挙げられる。アチソン炉内において、発熱体は炭化ケイ素製造用原料の中心部付近に配置されることが好ましいが、成長するインゴットの形状に合わせて適宜配置することができる。例えば、発熱体は、アチソン炉の通電方向の両端に設けられた電極芯を結ぶように全体として棒状の形状になるように設けられる。ここでの棒状の形状とは、例えば、円柱状、角柱状等が挙げられる。発熱体の電気抵抗は、電源の能力に応じて決定される。
通電後、炉内に炭化ケイ素からなる塊状物が生成する。次いで、炉内が常温になるまで空冷を行った後、得られた炭化ケイ素からなる塊状物を粉砕する。粉砕方法は、扱いが容易なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、粉砕機としてボールミル、ディスクグラインダー等を用いて粉砕する方法が挙げられる。
最後に、所望の粒径に応じたふるいを用いて分級する。例えば、目開き2000μm、100μmのふるいを用いることで、粒径100〜2000μmの範囲に分級することができる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
水ガラス(水ガラス3号 富士化学株式会社製(SiO/NaO(モル比)=3.2))300kgを12.5vol%の硫酸(濃硫酸(98%) 辰巳産業株式会社製)1300Lに滴下し、アモルファスシリカを得た。このアモルファスシリカをさらに12.5vol%の硫酸720Lに6時間浸漬し、金属元素不純物を除去した後、工業用水3000Lで水洗した後、乾燥機にて80時間乾燥を行い、高純度のアモルファスの多孔質シリカを40kg合成した。この多孔質シリカの空隙率は15%、BET比表面積は710cm/g、化学成分は表1の通りであった。この多孔質シリカの不純物量と本発明に係る式(1)より、多孔質シリカ1kg中に塩素含有量が7.6mgとなるように2.0質量%の塩化ナトリウム水溶液(塩化ナトリウム:工業用、純度99.5% マナック株式会社製)に1時間浸漬した。浸漬後、乾燥機にて80時間乾燥して、塩化物含有アモルファスシリカを合成した。
上記塩化物含有アモルファスシリカとアモルファスカーボン(シーストV 東海カーボン株式会社製)を質量割合で2/1となるように混合した原料と発熱体用黒鉛をアチソン炉に充填し、1500℃〜2500℃で24時間通電して、塊状の炭化ケイ素を得た。得られた炭化ケイ素の塊状物を左部位、中央部位、右部位ごとに回収してトップグラインダーで2mm以下までそれぞれ粉砕し、部位ごとの炭化ケイ素粉末を得た。得られた炭化ケイ素粉末の不純物の含有率を、「JIS R 1616」に記載された加圧酸分析法によるICP−AES分析により測定した。その結果を表5に示す。
[実施例2]
実施例1で用いた多孔質シリカの不純物量と本発明に係る式(1)より、実施例1のアモルファスシリカ1kg中に塩素含有量が7.6mgとなるように塩酸(工業用(35wt%)東亜合成株式会社)の5質量%水溶液に1時間浸漬した。浸漬後、乾燥機にて80時間乾燥して、塩化物含有アモルファスシリカを合成した。
上記塩化物含有アモルファスシリカを用いて、実施例1同様の方法で、高純度炭化ケイ素粉末を得た。得られた炭化ケイ素粉末の不純物の含有率を、「JIS R 1616」に記載された加圧酸分析法によるICP−AES分析により測定した。その結果を表5に示す。
[実施例3]
空隙率が35%、BET比表面積が5m/gの市販アモルファスシリカ(小野田化学工業社製)を、アモルファスシリカの不純物量と本発明に係る式(1)より、アモルファスシリカ1kg中に塩素含有量が900mgとなるように25質量%の塩化ナトリウム水溶液に1時間浸漬した。浸漬後、120℃で乾燥機にて80時間乾燥させて、塩化物含有アモルファスシリカを得た。本実験で使用した市販アモルファスシリカの不純物量が上位5元素の含有濃度について表2に示す。
この塩化物含有アモルファスシリカとアモルファスカーボンを質量割合で2/1となるように混合した原料と発熱体用黒鉛をアチソン炉に充填し、1500℃〜2500℃で24時間通電して、塊状の炭化ケイ素を得た。得られた炭化ケイ素の塊状物を左部位、中央部位、右部位ごとに回収してトップグラインダーで2mm以下まで粉砕し、炭化ケイ素粉末を得た。得られた炭化ケイ素粉末の不純物の含有率を、「JIS R 1616」に記載された加圧酸分析法によるICP−AES分析により測定した。その結果を表5に示す。
[比較例1]
実施例1で合成したアモルファスシリカ(塩化物を含まない)と、アモルファスカーボンを質量割合で2/1となるように混合した原料と、発熱体用黒鉛をアチソン炉に充填し、1500℃〜2500℃で24時間通電して、塊状の炭化ケイ素を得た。得られた炭化ケイ素の塊状物をトップグラインダーで2mm以下ケイ素粉砕し、炭化ケイ素粉末を得た。得られた炭化ケイ素粉末の不純物の含有率を、「JIS R 1616」に記載された加圧酸分析法によるICP−AES分析により測定した。その結果を表5に示す。
[比較例2]
市販の天然シリカ粉(KCLA−2 共立マテリアル社製)を10質量%の塩化ナトリウム水溶液(塩化ナトリウム:工業用、純度99.5% マナック株式会社製)に1時間浸漬させた後、120℃で乾燥機にて80時間乾燥させた。なお、市販天然シリカの不純物濃度は表3の通りであった。得られた天然シリカを分析した結果、シリカ1kgに対し、塩素が7.6mgしか含まれず、本発明に係る式(1)より算出された目標量である塩素31.6mgを含有させることができなかった。この天然シリカとアモルファスカーボンを質量割合で2/1となるように混合した原料と発熱体用黒鉛をアチソン炉に充填し、1500℃〜2500℃で24時間通電して、塊状の炭化ケイ素を得た。得られた炭化ケイ素の塊状物を左部位、中央部位、右部位ごとに回収してトップグラインダーで2mm以下までそれぞれ粉砕し、部位ごとの炭化ケイ素粉末を得た。得られた炭化ケイ素粉末の不純物の含有率を、「JIS R 1616」に記載された加圧酸分析法によるICP−AES分析により測定した。その結果を表5に示す。
[比較例3]
実施例1のアモルファスシリカ1kg中に塩素含有量が5.0mgとなるように塩酸の5質量%水溶液に1時間浸漬した。浸漬後、乾燥機にて80時間乾燥して、塩化物含有アモルファスシリカを合成した。この塩化物含有アモルファスシリカを使って、比較例2と同様の方法で、炭化ケイ素の塊状物を得た。得られた炭化ケイ素の塊状物を左部位、中央部位、右部位ごとに回収してトップグラインダーで2mm以下までそれぞれ粉砕し、部位ごとの炭化ケイ素粉末を得た。得られた炭化ケイ素粉末の不純物の含有率を、「JIS R 1616」に記載された加圧酸分析法によるICP−AES分析により測定した。その結果を表5に示す。
[比較例4]
水ガラス140kgにアモルファスカーボンを27kg加えて混合し、カーボン含有水ガラスを得た。得られたカーボン含有水ガラス167kgを硫酸濃度12.5vol%の硫酸1300Lに滴下し、カーボン含有アモルファスシリカを合成した。このカーボン含有アモルファスシリカをさらに12.5vol%の硫酸720Lに6時間浸漬し、金属元素不純物を除去した後、工業用水3000Lで水洗した後、乾燥機にて80時間乾燥を行い、高純度のカーボン含有アモルファスシリカを49.5kg合成した。なお、得られたカーボン含有アモルファスシリカの不純物量は表4の通りであった。不純物量と本発明に係る式(1)より、カーボン含有アモルファスシリカ1kg中に塩素含有量が35.2mgとなるように10質量%の塩化ナトリウム水溶液に1時間浸漬した。浸漬後、乾燥機にて80時間乾燥して、塩化物およびカーボン含有アモルファスシリカを合成した。
上記塩化物およびカーボン含有アモルファスシリカと発熱体用黒鉛をアチソン炉に充填し、1500℃〜2500℃で24時間通電して、塊状の炭化ケイ素を得た。得られた炭化ケイ素の塊状物を左部位、中央部位、右部位ごとに回収してトップグラインダーで2mm以下までそれぞれ粉砕し、部位ごとの炭化ケイ素粉末を得た。得られた炭化ケイ素粉末の不純物の含有率を、「JIS R 1616」に記載された加圧酸分析法によるICP−AES分析により測定した。その結果を表5に示す。
実施例1〜3の炭化ケイ素粉末は、比較例1、2と比較して、不純物元素の含有量が少ないことが分かる。また、塩化物量が少ない多孔質シリカを用いた比較例3の炭化ケイ素粉末は、実施例1〜3と比較して不純物元素の含有量が多いことが分かる。さらに、比較例4は、カーボン含有シリカに塩化ナトリウムを混合するといった特開2014−125407号公報に記載の発明に係る炭化ケイ素粉末であるが、実施例1〜3は、当該比較例4よりも高純度な炭化ケイ素粉末を製造可能であることが分かる。

Claims (1)

  1. 不純物を含み空隙率が10〜50%のアモルファスの多孔質シリカのみを、アルカリ金属の塩化物水溶液又は塩酸に浸漬して塩化物含有アモルファスシリカを得る第1工程、及び
    前記第1工程において得られた塩化物含有アモルファスシリカと、炭素質原料とを混合し、加熱する第2工程、を含み、
    前記第1工程において、アモルファスの多孔質シリカ中の塩素が下記式(1)で表される塩素含有量以上且つ前記塩素含有量の1.5倍以下となるように前記アルカリ金属の塩化物水溶液又は塩酸に浸漬することを特徴とする炭化ケイ素粉末の製造方法。

    [ただし、Cは、前記アモルファスの多孔質シリカ中における、第3周期〜第4周期であり、かつ2(2A族)〜13(3B)族の金属不純物元素であって、含有量が多い順に上位所定順位までの元素それぞれの含有量(mg/kg)を示し、kは、前記各金属不純物元素の塩化物中における金属不純物元素に対する塩素の質量比を示し、Σは、前記金属不純物元素の各kCの値を加算することを示す。]
JP2016127746A 2016-06-28 2016-06-28 炭化ケイ素粉末の製造方法 Active JP6707407B6 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016127746A JP6707407B6 (ja) 2016-06-28 2016-06-28 炭化ケイ素粉末の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016127746A JP6707407B6 (ja) 2016-06-28 2016-06-28 炭化ケイ素粉末の製造方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2018002502A JP2018002502A (ja) 2018-01-11
JP6707407B2 true JP6707407B2 (ja) 2020-06-10
JP6707407B6 JP6707407B6 (ja) 2020-07-08

Family

ID=60945890

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016127746A Active JP6707407B6 (ja) 2016-06-28 2016-06-28 炭化ケイ素粉末の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6707407B6 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109607540B (zh) * 2019-01-31 2021-08-10 兰溪致德新能源材料有限公司 利用溶胶凝胶法制备纳米碳化硅的工艺
CN115893418A (zh) * 2023-01-04 2023-04-04 烟台先进材料与绿色制造山东省实验室 一种小分子有机酸水热改性碳化硅粉体的方法、改性碳化硅粉体、改性碳化硅浆料和应用

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010181801A (ja) * 2009-02-09 2010-08-19 Hitachi Maxell Ltd コーティング組成物、それを用いた反射防止フィルム及び反射防止フィルムの製造方法
JP6037823B2 (ja) * 2012-12-27 2016-12-07 太平洋セメント株式会社 高純度の炭化ケイ素の製造方法
JP6277887B2 (ja) * 2013-12-20 2018-02-14 カシオ計算機株式会社 描画装置
JP2016055583A (ja) * 2014-09-12 2016-04-21 東レフィルム加工株式会社 導電性積層体およびそれを用いたタッチパネル

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018002502A (ja) 2018-01-11
JP6707407B6 (ja) 2020-07-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6230106B2 (ja) 炭化珪素単結晶の製造方法
JP5999715B2 (ja) 炭化珪素粉末の製造方法
WO2008075789A1 (ja) 熱電変換材料、その製造方法および熱電変換素子
JP2019182737A (ja) 六方晶窒化ホウ素粉末およびその製造方法
JP6707407B2 (ja) 炭化ケイ素粉末の製造方法
KR102172862B1 (ko) 무연탄을 이용한 고순도 흑연 성형품의 제조방법
JP6809912B2 (ja) 炭化珪素粉末、その製造方法、及び炭化珪素単結晶の製造方法
US20240190711A1 (en) Silica material and method of manufacture and silicon derived therefrom
JP2013163620A (ja) 高純度黒鉛粉末の製造方法
US20210057734A1 (en) Lithium-Ion Battery Anode Material Based on Spherical Natural Graphite Containing Silicates
KR20150043590A (ko) 플러렌의 제조방법
JP2013112544A (ja) 高純度炭化珪素ウィスカー、及びその製造方法
JP5797086B2 (ja) 高純度炭化珪素粉末の製造方法
JP6792412B2 (ja) 炭化珪素粉末の製造方法
JP6337389B2 (ja) 炭化珪素粉粒体の製造方法
RU2424341C2 (ru) Шихта для выплавки чистого металлического кремния
JP6749230B2 (ja) 炭化珪素の製造方法
JP6802719B2 (ja) 炭化珪素粉末
JP2015086100A (ja) 炭化珪素の製造方法
JP6527430B2 (ja) 炭化珪素の製造方法
JP7483192B2 (ja) 複合粒子およびその製造方法
JP5033948B2 (ja) 窒化アルミニウム粉末の製造方法ならびに窒化アルミニウム焼結体の製造方法
JP2004039372A (ja) 窒素とホウ素を含有し導電性を有するダイヤモンド粒状体及びこれを用いた流動床電極
KR970001524B1 (ko) 탄화규소(SiC) 분말의 제조방법
JPH06279021A (ja) 二ホウ化チタン微粉末の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190301

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191017

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191112

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200107

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200508

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200520

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6707407

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250