JP6037823B2 - 高純度の炭化ケイ素の製造方法 - Google Patents
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Description
炭化ケイ素を工業的に量産する技術としては、ケイ素(Si)を含むケイ酸質原料(例えば硅砂)と炭素(C)を含む炭素質原料(例えば石油コークス)を原料とし、アチソン炉において1600℃以上で加熱することで、直接還元反応によって炭化ケイ素を製造する方法が知られている。
この従来から行なわれているアチソン炉による製造では、原料中の不純物含有量が高く、不純物の制御が難しいため、高純度の炭化ケイ素を製造することはできなかった。
また、特許文献1には、超高純度Si粉末および超高純度C粉末の焼結により混練容器および混練棒を得た後、前記混練容器の内周面および前記混練棒の外周面に気相反応法により超高純度SiC膜を形成し、得られた前記混練容器および前記混練棒を用いて炭化珪素を生成する炭化珪素の製造方法が記載されている。該方法によれば、比較的高純度の炭化ケイ素を製造することができる。
そこで、本発明は、簡易にかつ低コストで、高純度の炭化ケイ素を製造することのできる方法を提供することを目的とする。
[1] (F)シリカとカーボンの混合物を含む固形分と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物を含む水溶液を混合して、スラリーを調製した後、該スラリーを固液分離して、シリカとカーボンの混合物、及びアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物を含む固形分と、液分を得る塩化物混合工程と、(G)工程(F)で得られたシリカとカーボンの混合物、及びアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物を含む固形分を加熱して、炭化ケイ素を得る加熱工程と、を含む炭化ケイ素の製造方法であって、工程(F)の前に、(B)液分中のSi濃度が10質量%以上のケイ酸アルカリ水溶液とカーボンを混合して、カーボン含有ケイ酸アルカリ水溶液を得るカーボン混合工程と、(C)工程(B)で得られたカーボン含有ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸を混合して、液分中のC及びSiをシリカとカーボンからなる粒子として析出させ、粒子含有液状物を得た後、該粒子含有液状物を固液分離して、シリカとカーボンからなる粒子の集合体であるシリカとカーボンの混合物を含む固形分と、不純物を含む液分を得るシリカ回収工程と、を含み、上記炭化ケイ素中、ホウ素(B)、及びリン(P)のそれぞれの含有率が1ppm以下であり、かつ、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、及びチタン(Ti)のそれぞれの含有率が5ppm以下であることを特徴とする炭化ケイ素の製造方法。
[2] 工程(C)において、カーボン含有ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸の混合が、カーボン含有ケイ酸アルカリ水溶液を鉱酸に添加することによって行われる、前記[1]に記載の炭化ケイ素の製造方法。
[3] 工程(C)において、カーボン含有ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸をpH1.0以下に保ちながら混合する、前記[1]または[2]に記載の炭化ケイ素の製造方法。
[4] (D)工程(C)で得られたシリカとカーボンの混合物を含む固形分と酸を混合して、pHが3.0未満の酸性スラリーを調製し、上記固形分中に残存する不純物を溶解させた後、上記酸性スラリーを固液分離して、シリカとカーボンの混合物を含む固形分と、不純物を含む液分を得る酸洗浄工程と、を含む前記[1]〜[3]のいずれかに記載の炭化ケイ素の製造方法。
[5] (E)工程(D)で得られたシリカとカーボンの混合物を含む固形分と水を混合して、スラリーを調製し、上記固形分中に残存する不純物を溶解させた後、上記スラリーを固液分離して、シリカとカーボンの混合物を含む固形分と、不純物を含む液分を得る水洗浄工程と、を含む前記[4]に記載の炭化ケイ素の製造方法。
なお、以下の工程(A1)〜工程(F)中、工程(F)及び(G)は、本発明において必須の工程である。他の工程は、本発明において必須ではなく、任意で追加可能な工程である。なお、工程(A)は、シリカ含有鉱物を原料として、工程(B)で用いられるケイ酸アルカリ水溶液を調製する場合に追加される工程である。
[工程(A1);原料水洗工程]
工程(A1)は、シリカ含有鉱物(岩石状又は粉末状)を水洗して、粘土分及び有機物を除去する工程である。水洗後のシリカ含有鉱物は、通常、フィルタープレス等を用いて、さらに脱水させる。
シリカ含有鉱物としては、珪藻土、珪質頁岩等が挙げられる。シリカ含有鉱物は、アルカリに対する溶解性が高いことが望ましい。
ここで、珪藻土とは、珪藻が海底や湖底に沈積し、長い年月の間に体内の原形質その他の有機物が分解し、非晶質シリカを主体とした珪藻殻が集積して堆積したものである。
珪質頁岩とは、珪質の生物遺骸等に由来する頁岩である。すなわち、海域には、珪質の殻を有する珪藻などのプランクトンが生息するが、このプランクトンの死骸が海底中に堆積すると、死骸中の有機物の部分は徐々に分解され、珪質(SiO2;シリカ)の殻のみが残る。この珪質の殻(珪質堆積物)が、時間の経過や温度・圧力の変化などに伴い、続成作用により変質して、硬岩化することにより珪質頁岩となる。なお、珪質堆積物中のシリカは、続成作用によって、非晶質シリカから、結晶化してクリストバライト、トリデイマイトへ、さらに石英へと変化する。
さらに、Cu−Kα線による粉末X線回折において、石英の2θ=26.6degのピーク頂部の回折強度に対するオパールCTの2θ=21.5〜21.9degの回折強度は、石英を1とした場合の比率で、好ましくは0.2〜2.0、より好ましくは0.4〜1.8、特に好ましくは0.5〜1.5である。該値が0.2未満の場合には、反応性に富むオパールCTの量が少ないため、シリカの収量が低下する。一方、該値が2.0を超える場合には、オパールCTの量が石英よりはるかに多い珪質頁岩は資源的に少ないことから、経済性が悪くなる。
なお、石英に対するオパールCTの回折強度の比率は、以下の式で求める。
石英に対するオパールCTの回折強度の比率=(21.5〜21.9degのピーク頂部の回折強度)/(26.6degのピーク頂部の回折強度)
また、珪質頁岩のCu−Kα線による粉末X線回折において、オパールCTの2θ=21.5〜21.9degの間に存在するピークの半値幅は、好ましくは0.5°以上、より好ましくは0.75°以上、特に好ましくは1.0°以上である。該値が0.5°未満の場合には、オパールCTの結晶の結合力が増大し、アルカリとの反応性が低下して、シリカの収量が減少する。ここで、半値幅とは、ピーク頂部の回折強度の1/2に位置する回折線の幅をいう。
本発明で用いる珪質頁岩の中のシリカ(SiO2)の含有率は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上である。該含有率が70質量%以上であると、より高純度のシリカを低コストで製造することができる。
シリカ含有鉱物は、例えば、珪質頁岩等のシリカ含有鉱物を粉砕装置(例えば、ジョークラッシャー、トップグラインダーミル、クロスビーターミル、ボールミル等)で粉砕することによって得ることができる。
[工程(A2);原料焼成工程]
工程(A2)は、シリカ含有鉱物を300〜1000℃で0.5〜2時間焼成(加熱)し、有機物を除去する工程である。
なお、工程(A1)と工程(A2)の双方を実施する場合、その順序は特に限定されない。
工程(A)は、シリカ含有鉱物とアルカリ水溶液を混合して、pHが11.5以上のアルカリ性スラリーを調製し、液分中のSi濃度が10質量%以上となるように、上記シリカ含有鉱物中のSiを液分中に溶解させた後、上記アルカリ性スラリーを固液分離して、ケイ酸アルカリ水溶液と、固形分を得るアルカリ溶解工程である。
ここで、本明細書中、ケイ酸アルカリ水溶液とは、化学式中にシリカ(SiO2)を含む物質を含有するアルカリ性の水溶液をいう。
シリカ含有鉱物とアルカリ水溶液を混合してなるアルカリ性スラリーのpHは、11.5以上、好ましくは12.5以上、より好ましくは13.0以上である。該pHが11.5未満であると、シリカを十分に溶解させることができず、シリカが固形分中に残存してしまうため、得られるシリカの収量が減少する。
pHを上記数値範囲内に調整するためのアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等が用いられる。
スラリーの固液比(アルカリ水溶液1リットルに対するシリカ含有鉱物の質量)は、好ましくは100〜500g/リットル、より好ましくは200〜400g/リットルである。該固液比が100g/リットル未満では、スラリーの固液分離に要する時間が増大するなど、処理効率が低下する。該固液比が400g/リットルを超えると、シリカ等を十分に溶出させることができないことがある。
スラリーは、通常、所定時間(例えば、30〜90分間)攪拌される。
攪拌後のスラリーは、フィルタープレス等の固液分離手段を用いて、固形分と液分に分離される。液分は、Si及び他の成分(Al、Fe等の不純物)を含むケイ酸アルカリ水溶液であり、次の工程(B1)または工程(C)で処理される。液分中に含まれるSiの濃度は、10質量%以上、好ましくは10〜20質量%、より好ましくは12〜18質量%、特に好ましくは13〜16質量%である。Siの濃度が10質量%未満であると、後述する工程(C)においてゲル状のカーボン含有シリカが析出する場合があり、固液分離に時間がかかるとともに、得られるシリカとカーボンの混合物の量が低下する。
なお、工程(A)においてアルカリ性スラリーを得る際の液温は、エネルギーコストの観点から、好ましくは5〜100℃、より好ましくは10〜80℃、特に好ましくは10〜40℃である。液温を上記範囲内に保持することにより、処理効率を高めることができる。
工程(B1)は、工程(A)で得られたケイ酸アルカリ水溶液と酸を混合して、pHを10.3を超え、11.5未満であり、かつ液分中のSi濃度が10質量%以上のアルカリ性スラリーを調製し、液分中のSi以外の不純物(例えば、Al及びFe)を析出させた後、上記アルカリ性スラリーを固液分離して、ケイ酸アルカリ水溶液と、固形分を得る工程である。
なお、工程(B1)で回収されずに液分中に残存する不純物は、工程(C)以降の工程で回収される。
工程(B1)において、酸との混合後の液分のpHは、10.3を超え、11.5未満、好ましくは10.4〜11.0、より好ましくは10.5〜10.8である。該pHが10.3以下であると、不純物(例えば、Al及びFe)と共にSiも析出してしまう。一方、該pHが11.5以上では、十分に析出せずに液分中に残存する不純物の量が多くなる。
また、酸と混合後の液分中に含まれるSiの濃度は、10質量%以上、好ましくは10〜20質量%、より好ましくは12〜18質量%、特に好ましくは13〜16質量%である。Siの濃度が10質量%未満であると、後述する工程(C)においてゲル状のカーボン含有シリカが析出する場合があり、固液分離に時間がかかるとともに、得られるシリカとカーボンの混合物の量が低下する。
pHを上記数値範囲内に調整するための酸としては、硫酸、塩酸、シュウ酸等が用いられる。
pH調整後、フィルタープレス等の固液分離手段を用いて、固形分と液分に分離する。
このうち、固形分(ケーキ)は、不純物(例えば、Al及びFe)を含むものである。
液分は、Siを含むものであり、後述する工程(C)で処理される。
なお、工程(B1)においてpH調整を行う際の液温は、エネルギーコストの観点から、好ましくは5〜100℃、より好ましくは10〜80℃、特に好ましくは10〜40℃である。液温を上記範囲内に保持することにより、処理効率を高めることができる。
工程(B)は、液分中のSi濃度が10質量%以上のケイ酸アルカリ水溶液とカーボンを混合して、カーボン含有ケイ酸アルカリ水溶液を得る工程である。
工程(B)において用いられるケイ酸アルカリ水溶液は、特に限定されないが、具体的には前工程(工程(A)または工程(B1))で得られたケイ酸アルカリ水溶液、及び水ガラス等が挙げられる。
本発明で用いられる水ガラスは、市販のものを使用することができ、JIS規格により規定される1号、2号、3号の他に各水ガラスメーカーで製造販売されているJIS規格外の製品も使用することができる。
ケイ酸アルカリ水溶液中に含まれるSiの濃度は、10質量%以上、好ましくは10〜20質量%、より好ましくは12〜18質量%、特に好ましくは13〜16質量%である。Si濃度が10質量%未満であると、工程(C)においてゲル状のカーボン含有シリカが析出する場合があり、固液分離に時間がかかるとともに、得られるシリカとカーボンの混合物の量が低下する。
Si濃度が20質量%を超えると、ケイ酸アルカリ水溶液のハンドリング(輸送等)が悪化するとともに、不純物の除去が不十分となる場合がある。
本発明で用いられるカーボンは特に限定されるものではないが、例えば石油コークス、石炭ピッチ、カーボンブラック、各種有機樹脂等が挙げられる。
カーボンの粒度は好ましくは5mm以下であり、より好ましくは2mm以下である。粒度が5mmを超える場合、不純物の除去が不十分となる場合がある。
なお、工程(B)の前に、カーボンを上記の粒度範囲にまで粉砕する工程を含んでもよい。
混合方法は特に限定されるものではないが、好ましくはケイ酸アルカリ水溶液にカーボンを加える方法である。
工程(B)においてカーボンを混合することによって、得られるシリカとカーボンの混合物中のカーボン由来の不純物を大幅に低減することができる。また、後述する工程(C)において、内部にカーボンが均一に取り込まれたシリカとカーボンからなる粒子を析出することができる。
イオン交換処理及び/又は活性炭処理で回収される不純物は、ホウ素(B)、リン(P)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、ナトリウム(Na)、チタン(Ti)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、及びマグネシウム(Mg)からなる群より選ばれる一種以上である。
イオン交換処理は、キレート樹脂、イオン交換樹脂等のイオン交換媒体を用いて行なうことができる。
イオン交換媒体の種類は、除去対象元素に対する選択性を考慮して、適宜定めればよい。例えば、ホウ素を除去する場合、グルカミン基を有するキレート樹脂や、N−メチルグルカミン基を有するイオン交換樹脂等を用いることができる。
イオン交換媒体の形態は、特に限定されるものではなく、ビーズ状、繊維状、クロス状等が挙げられる。イオン交換媒体への液分の通液方法もなんら限定されるものではなく、例えばカラムにキレート樹脂またはイオン交換樹脂を充填して連続的に通液する方法などを用いることができる。
イオン交換処理及び/又は活性炭処理を行う際の液温は、各処理に用いる材料の耐用温度以下であれば、特に限定されない。
工程(C)は、工程(B)で得られたカーボン含有ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸を混合して、液分中のC及びSiをシリカとカーボンからなる粒子(非ゲル状のカーボン含有沈降性シリカ)として析出させ、粒子含有液状物を得た後、該液状物を固液分離して、シリカとカーボンからなる粒子の集合体であるシリカとカーボンの混合物を含む固形分と、不純物を含む液分を得る工程である。
なお、シリカとカーボンからなる粒子は、カーボン含有ケイ酸アルカリ水溶液と、鉱酸との混合と同時に生成する。
工程(C)において用いられる鉱酸は、例えば硫酸、塩酸、硝酸等が挙げられ、硫酸を用いることが薬剤コストの低減の観点から好ましい。
鉱酸の濃度は、好ましくは1体積%以上、より好ましくは5〜20体積%、特に好ましくは10〜15体積%である。鉱酸の濃度が、1体積%未満の場合には、シリカとカーボンからなる粒子とゲル状のカーボン含有シリカの両方が生成するおそれがある。このゲル状のカーボン含有シリカが生成すると、最終生成物中の不純物の濃度が高くなる。また、該濃度が20体積%を超えるとコストの面から好ましくない。
カーボン含有ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸の混合方法は、特に限定されるものではないが、シリカとカーボンからなる粒子のみを生成させる観点から、カーボン含有ケイ酸アルカリ水溶液を鉱酸に添加する方法が好ましい。具体的には、カーボン含有ケイ酸アルカリ水溶液を鉱酸に滴下する方法や、カーボン含有ケイ酸アルカリ水溶液を、1.0mmφ以上、好ましくは4.0mmφ以上のチューブ等から、鉱酸中に直接押し出す方法等が挙げられる。
また、混合する際のpHは好ましくは1.0以下、より好ましくは0.9以下である。pHが1.0を超えるとゲル状のカーボン含有シリカが析出する場合があり、固液分離に時間がかかるとともに、得られるシリカとカーボンの混合物の量が低下する。
また、カーボン含有ケイ酸アルカリ水溶液の鉱酸中への流出速度は限定されないが、混合する際にpHが1.0を超え、かつ、流出速度が大きい場合には、シリカとカーボンからなる粒子が生成しない、あるいはシリカとカーボンからなる粒子とゲル状のカーボン含有シリカの両方が生成するおそれがある。
工程(C)において、カーボン含有ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸を混合する際のシリカとカーボンからなる粒子の析出温度は、特に限定されるものではないが、好ましくは10〜80℃、より好ましくは15〜40℃、特に好ましくは20〜30℃であり、通常、常温(例えば10〜40℃)である。80℃を超えると、エネルギーコストが上昇するとともに、設備の腐食が生じ易くなる。
上記カーボン含有ケイ酸アルカリ水溶液中のC及びSiをシリカとカーボンからなる粒子として析出させた後、フィルタープレス等の固液分離手段を用いて、シリカとカーボンからなる粒子の集合体であるシリカとカーボンの混合物を含む固形分と、不純物を含む液分に分離する。得られたシリカとカーボンの混合物はゲル状ではなく、粒子状であるため、固液分離に要する時間を短くすることができる。
工程(C)で得られた固形分に含まれるシリカとカーボンの混合物は、Al、Fe、Mg、Ca、Ti、B、P等の不純物が低減されたシリカとカーボンの混合物である。
上記シリカとカーボンからなる粒子は、粒子内にシリカとカーボンの各々が全体的に分布しており、かつ、ホウ素(B)及びリン(P)の各々の含有率が1ppm以下のものである。
上記シリカとカーボンからなる粒子は、粒子内にシリカとカーボンの各々が全体的に分布しているため、焼成時の反応性が高く、焼成によって容易に高純度の炭化ケイ素を得ることができる。
具体的には、粒子内の好ましくは90体積%以上、より好ましくは95体積%以上、さらに好ましくは98体積%以上、特に好ましくは100体積%の領域において、シリカの含有率が90質量%以下であり、かつカーボンの含有率が10質量%以上であることが好ましい。
また、粒子内の任意の地点において、シリカの含有率は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは60〜90質量%、さらに好ましくは60〜80質量%、特に好ましくは60〜70質量%であり、また、カーボンの含有率は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは10〜40質量%、さらに好ましくは20〜40質量%、特に好ましくは30〜40質量%である。
また、粒子の製造の容易性の観点から、粒子の中心部から縁辺に向かって、カーボンの含有率が傾斜状に徐々に小さくなっている粒子が好ましい。具体的には、粒子の中心部のカーボンの含有率が30〜40質量%であり、中心部と縁辺の間の中間領域のカーボンの含有率が、20〜30質量%であり、縁辺または縁辺の近傍のカーボンの含有率が10〜20質量%である粒子が好ましい。
また、上記シリカとカーボンからなる粒子は不純物(B、P等)の含有率が低いため、高純度の炭化ケイ素(SiC)の原料として好適に用いることができる。
上記シリカとカーボンからなる粒子の大きさは特に限定されるものではないが、通常、粒子の長径が500μm以下、好ましくは400μm以下、より好ましくは300μm以下である。
過酸化水素を混合することで、不純物(特にTi)が低減されたシリカとカーボンの混合物を得ることができる。
混合方法は特に限定されるものではなく、(1)カーボン含有ケイ酸アルカリ水溶液と過酸化水素を混合し、次いで得られた混合物と鉱酸を混合する方法、(2)鉱酸と過酸化水素を混合し、次いで得られた混合物とカーボン含有ケイ酸アルカリ水溶液を混合する方法、(3)カーボン含有ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸を混合し、次いで得られた混合物と過酸化水素を混合する方法、(4)カーボン含有ケイ酸アルカリ水溶液と、鉱酸と、過酸化水素を同時に混合する方法が挙げられる。中でも、工程の上流側で不純物の低減を図るという観点から、好ましくは(1)または(2)の方法である。
過酸化水素の添加量は、炭素(C)とシリカ(SiO2)の合計質量(100質量%)に対して、好ましくは0.1〜15質量%、より好ましくは0.1〜10質量%、特に好ましくは0.1〜5質量%である。過酸化水素の添加量が0.1質量%未満では、不純物(例えばTi)の低減効果が十分ではなく、15質量%を超えると、不純物の低減効果が飽和状態となる。
工程(D)は、工程(C)で得られたシリカとカーボンからなる粒子の集合体であるシリカとカーボンの混合物を含む固形分と酸を混合して、pHが3.0未満の酸性スラリーを調製し、上記固形分中に残存する不純物(例えば、Al、Fe)を溶解させた後、上記酸性スラリーを固液分離して、シリカとカーボンからなる粒子の集合体であるシリカとカーボンの混合物を含む固形分と、不純物(例えば、Al、Fe)を含む液分を得る工程である。
工程(C)で得られたシリカとカーボンからなる粒子の集合体であるシリカとカーボンの混合物を含む固形分は、Al、Fe、Mg、Ca、Ti、B、P等の不純物が低減されたシリカとカーボンの混合物である。工程(C)で得られたシリカとカーボンの混合物を含む固形分に対して、工程(D)(酸洗浄工程)を行うことにより、より不純物が低減されたシリカとカーボンの混合物を得ることができる。
工程(D)における酸性スラリーのpHは、3.0未満、好ましくは2.0以下である。酸性スラリーのpHを上記範囲内に調整して酸洗浄を行うことにより、工程(C)で得られた固形分にわずかに残存するアルミニウム分、鉄分等の不純物を溶解して液分中へ移行させることができ、固形分中のC及びSiO2の含有率を上昇させることができるため、さらに不純物が低減されたシリカとカーボンの混合物を得ることができる。
pHを上記数値範囲内に調整するための酸としては、硫酸、塩酸、シュウ酸等が用いられる。
pH調整後、フィルタープレス等の固液分離手段を用いて、固形分と液分に分離する。
なお、工程(D)においてpH調整を行う際の液温は、特に限定されるものではないが、エネルギーコストの観点から、好ましくは10〜80℃、より好ましくは15〜40℃、特に好ましくは20℃〜30℃であり、通常、常温(例えば10〜40℃)である。液温を上記範囲内とすることにより、処理効率を高めることができる。
また、酸洗浄工程後の液分を回収し、工程(C)に用いられる鉱酸、および工程(D)に用いられる酸として再利用してもよい。
混合方法は特に限定されるものではなく、(1)工程(C)で得られたシリカとカーボンの混合物を含む固形分と過酸化水素を混合し、次いで得られた混合物と酸を混合する方法、(2)酸と過酸化水素を混合し、次いで得られた混合物と工程(C)で得られたシリカとカーボンの混合物を含む固形分を混合する方法、(3)工程(C)で得られたシリカとカーボンの混合物を含む固形分と酸を混合し、次いで得られた混合物と過酸化水素を混合する方法、(4)工程(C)で得られたシリカとカーボンの混合物を含む固形分と、酸と、過酸化水素を同時に混合する方法が挙げられる。中でも、工程の上流側で不純物の低減を図るという観点から、好ましくは(1)または(2)の方法である。
過酸化水素の添加量は、炭素(C)とシリカ(SiO2)の合計質量(100質量%)に対して、好ましくは0.1〜15.0質量%、より好ましくは0.1〜10.0質量%、特に好ましくは0.1〜5.0質量%である。過酸化水素の添加量が0.1質量%未満では不純物(例えばTi)の低減効果が十分ではなく、15.0質量%を超えると、不純物(例えばTi)の低減効果が飽和状態となる。
工程(E)は、工程(D)で得られたシリカとカーボンからなる粒子の集合体であるシリカとカーボンの混合物を含む固形分と水を混合して、スラリーを調製し、上記固形分中に残存する不純物を溶解させた後、上記スラリーを固液分離して、シリカとカーボンからなる粒子の集合体であるシリカとカーボンの混合物を含む固形分と、不純物を含む液分を得る工程である。
水洗浄を行うことにより、工程(D)で得られた固形分にわずかに残存するナトリウム、硫黄等の不純物を溶解して液分中へ移行させることができ、固形分中のC及びSiO2の含有率を上昇させることができるため、さらに不純物が低減されたシリカとカーボンの混合物を得ることができる。
水洗浄後、フィルタープレス等の固液分離手段を用いて、固形分と液分に分離する。
本工程で得られた固形分に対して、水洗浄工程をさらに行ってもよい。
また、水洗浄工程後の液分を回収し、工程(A1)、工程(A)、工程(C)、工程(D)、及び工程(E)に用いられる水として再利用してもよい。
また、得られたシリカとカーボンの混合物を含む固形分をアルカリ溶液(例えば水酸化ナトリウム)に溶解させ、工程(B)のケイ酸アルカリ水溶液として用い、工程(B)〜工程(E)を複数回繰り返すことによって、より不純物が低減されたシリカとカーボンの混合物を得ることができる。
工程(F)は、シリカとカーボンの混合物を含む固形分と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物を含む水溶液を混合して、スラリーを調製した後、該スラリーを固液分離して、シリカとカーボンの混合物、及びアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物を含む固形分と、液分を得る塩化物混合工程である。
工程(F)で用いられるシリカとカーボンの混合物を含む固形分は、炭化ケイ素の製造に通常用いられるケイ酸質原料(例えば、ケイ砂、ケイ石粉、シリカフューム、非晶質シリカ)と炭素質原料(例えば、石油コークス、石炭ピッチ、カーボンブラック等)の混合物を用いることができる。また、高純度の炭化ケイ素を得る観点から、上述した工程(C)〜(E)のいずれかの工程で得られる、シリカとカーボンからなる粒子の集合体であるシリカとカーボンの混合物を含む固形分を用いることが好ましい。
工程(E)において、得られたシリカとカーボンの混合物を含む固形分は、通常、水を40〜60質量%含んでいる。工程(F)において、シリカとカーボンの混合物を含む固形分とアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物を含む水溶液と混合して、スラリーを調製し、該スラリーを固液分離することで、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物を含む水溶液を、通常、40〜60質量%含む、シリカとカーボンからなる粒子の集合体であるシリカとカーボンの混合物を含む固形分を得ることができる。
工程(F)において、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物を含む水溶液を用いることで、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物を、シリカとカーボンの混合物中に均一に混合することができる。また、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物の量の調節を容易に行うことかできる。
混合後、スラリーはフィルタープレス、遠心分離機等の固液分離手段を用いて、固形分と液分に分離される。
工程(F)において用いられるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物としては、例えば、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化ルビジウム、塩化セシウム、塩化カルシウム、及び塩化マグネシウム等が挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも入手容易性等の観点から塩化ナトリウム(NaCl)が好ましい。
工程(F)において用いられる、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物を含む水溶液に含まれる、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物の量は、シリカとカーボンの混合物を含む固形分中の不純物(具体的には、Al、Fe、Ti等)の合計のモル量に対して、好ましくは1.0モル当量以上、より好ましくは1.0〜200モル当量、特に好ましくは1.5〜150モル当量となる量である。
本発明の製造方法で得られるシリカとカーボンの混合物中の、C及びSiO2の合計含有率は、好ましくは99.0質量%以上、より好ましくは99.5質量%以上、特に好ましくは99.9質量%以上である。Al、Fe、Ti、B、Pの含有率は、各々、好ましくは5ppm以下、5ppm以下、1ppm以下、1ppm以下、1ppm以下である。
また、上記シリカとカーボンの混合物は、シリカとカーボンからなる粒子の集合体であり、該粒子は加熱(焼成)時の反応性が高く、加熱によって容易に高純度の炭化ケイ素を得ることができる。
さらに、本発明の製造方法で得られるシリカとカーボンの混合物は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物を含むため、加熱(焼成)によって炭化ケイ素(SiC)を製造する際に、混合物中の不純物(例えば、Al、Fe、Ti)が塩化物として揮発し、より高純度の炭化ケイ素(SiC)を製造することができる。
工程(G)は、工程(F)で得られたシリカとカーボンからなる粒子の集合体であるシリカとカーボンの混合物、及びアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物を含む固形分を加熱(焼成)して、高純度の炭化ケイ素を得る工程である。
工程(G)における加熱温度は、好ましくは1,500〜3,000℃、より好ましくは1,600〜2,500℃である。また、シリカとカーボンの混合物の、カーボン(C)及びシリカ(SiO2)の配合モル比(C/SiO2)は2〜5が好ましい。
なお、シリカとカーボンの混合物を加熱して炭化ケイ素を得る際に、シリカ又はカーボンが炭化ケイ素にならずに残存することを防ぐ目的で、シリカとカーボンの両方またはいずれか一方を加えてもよい。
加熱方法は特に限定されるものではないが、安価にかつ大量に炭化ケイ素を得るという観点から、アチソン炉を用いて加熱する方法が好ましい。
アチソン炉を用いて炭化ケイ素を製造する方法とは、具体的には、発熱体の周りに炭化ケイ素製造用原料を充填し、該発熱体を通電加熱することで、発熱体の周囲において直接還元反応が起こり、炭化ケイ素(SiC)の塊状物が生成される方法である。
一般的に、得られる炭化ケイ素の塊状物に含まれる不純物の量は、発熱体からの距離が離れるにつれて多くなる。そのため、従来、生成された炭化ケイ素の塊状物のうち、発熱体の近傍に存在する良品のみが高純度の炭化ケイ素をして使用されていた。
工程(F)で得られたシリカとカーボンの混合物及びアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物を含む固形分を用いれば、アチソン炉を用いて炭化ケイ素を製造する方法において、従来の炭化ケイ素製造用原料では良品として使用することができなかった、発熱体から離れた部位で生成された炭化ケイ素も不純物量が少なく、良品として使用することができ、炭化ケイ素の製造収率を挙げることができる。
ここで、炭化ケイ素中の不純物とは、ケイ素(Si)、炭素(C)、酸素(O)、及び窒素(N)を除く成分をいう。ケイ素(Si)、炭素(C)は炭化ケイ素自体の成分であり、不純物には含まれない。酸素(O)、及び窒素(N)も不純物には含まれない。
不純物の例としては、ホウ素(B)、リン(P)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)等が挙げられる。
本発明の製造方法によって得られる炭化ケイ素中のホウ素(B)、及びリン(P)のそれぞれの含有率は、好ましくは1ppm以下である。また、炭化ケイ素中のアルミニウム(Al)、鉄(Fe)、チタン(Ti)のそれぞれの含有率は、好ましくは5ppm以下、より好ましくは3ppm以下、特に好ましくは1ppm以下である。
[実施例1]
水ガラス溶液(富士化学(株)製:SiO2/Na2O(モル比)=3.20)140kgに、水35kgを加えて混合し、Si濃度10質量%の水ガラス溶液を得た。
得られた水ガラス溶液にカーボン(東海カーボン社製:平均粒径1mm)を27kg加えて混合し、カーボン含有水ガラス溶液を得た。
得られたカーボン含有水ガラス溶液153.8kgを硫酸濃度10.7体積%の硫酸(水384.8lに濃硫酸46.5lを混合したもの)464.8kg中に滴下し、常温(25℃)下でシリカとカーボンからなる粒子(カーボン含有沈降性シリカ)を析出させた後、遠心分離機を用いて固液分離し、シリカとカーボンからなる粒子の集合体であるシリカとカーボンの混合物を含む固形分90.0kgと、不純物を含む液分528.6kgを得た。なお、pHは滴下終了時まで1.0以下に保った。
得られたシリカとカーボンの混合物を含む固形分に対して、常温(25℃)下で硫酸濃度10.7体積%の硫酸を464.8kg添加してpHが3.0未満のスラリーとした。このスラリーを固液分離した後に、得られた固形分を、蒸留水を用いて水洗した。水洗の後、固液分離した固形分に含まれる不純物の理論モル量に対して、NaClが1.5モル当量となるようにNaCl水溶液を140L添加してスラリーとした。このスラリーを固液分離して、NaCl水溶液を40.5質量%含む、シリカとカーボンの混合物90.0kgを得た。その後、得られた固形分を105℃で1日乾燥させ、シリカとカーボンとNaClの混合物49.5kgを得た。
なお、上記水洗の後、固液分離した固形分に含まれる不純物の理論モル量は、「JIS R 1616」に記載された加圧酸分析法によるICP−AES分析によって分析し算出した。
上述した方法で得られたシリカとカーボンとNaClの混合物(C/SiO2のモル比:3.0)865kg、及び発熱体用黒鉛(太平洋セメント(株)製の試供品)をアチソン炉に収容した後、通電加熱(1500〜2500℃で20時間)して、炭化ケイ素の塊状物155kgを得た。得られた炭化ケイ素の塊状物を、トップグラインダーを用いて粉砕し、1級炭化ケイ素を95kg、準1級炭化ケイ素を60kg得た。なお、1級炭化ケイ素とは、得られた炭化ケイ素の塊状物の中でも、発熱体の近傍のα-SiC(硬質でグリーン色)を主体とした部分を粉砕したものである。また、準1級炭化ケイ素とは、得られた炭化ケイ素の塊状物の中でも、上記1級炭化ケイ素が存在する領域のさらに外側周辺のβ-SiC(軟質でライトグリーン色)を主体とした部分を粉砕したものである。
得られた1級炭化ケイ素、及び準1級炭化ケイ素中の不純物(Al、Fe、Ti、B、及びP)の含有率を、「JIS R 1616」に記載された加圧酸分析法によるICP−AES分析に基づいて測定した。
また、得られた炭化ケイ素を、Alの含有率が3ppm未満であり、Feの含有率が8ppm未満であり、Tiの含有率が3ppm未満であり、Bの含有率が1ppm未満であり、かつ、Pの含有率が1ppm未満であるものを良品として評価を行った。結果を表1に示す。
水洗の後、固液分離した固形分に含まれる不純物の理論モル量に対して、NaClが150モル当量となるようにNaCl水溶液を添加する以外は、実施例1と同様にして、NaCl水溶液を40.5質量%含む、シリカとカーボンの混合物90.0kgを得た。その後、得られた固形分を105℃で1日乾燥させ、シリカとカーボンとNaClの混合物49.5kgを得た。
上述した方法で得られたシリカとカーボンとNaClの混合物(C/SiO2のモル比:3.0)865kg、及び発熱体用黒鉛(太平洋セメント(株)製の試供品)をアチソン炉に収容した後、通電加熱(1500〜2500℃で20時間)して、炭化ケイ素の塊状物156kgを得た。得られた炭化ケイ素の塊状物を、トップグラインダーを用いて粉砕し、1級炭化ケイ素を96kg、準1級炭化ケイ素を60kg得た。
得られた1級炭化ケイ素、及び準1級炭化ケイ素中の不純物(Al、Fe、Ti、B及びP)の含有率を、実施例1と同様に測定した。
また、得られた炭化ケイ素を、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
水ガラス溶液(富士化学(株)製:SiO2/Na2O(モル比)=3.20)140kgに、水35kgを加えて混合し、Si濃度10質量%の水ガラス溶液を得た。
得られた水ガラス水溶液66.2kgを硫酸濃度10.7体積%の硫酸(水165.6lに濃硫酸20lを混合したもの)200kg中に滴下し、常温(25℃)下で沈降性シリカを析出させた後、遠心分離機を用いて固液分離し、SiO2を含む固形分(沈降性シリカ)28.9kgと、不純物を含む液分237.3kgを得た。なお、pHは滴下終了時まで1.0以下に保った。
得られたSiO2を含む固形分に対して、常温(25℃)下で硫酸濃度10.7体積%の硫酸を200kg添加してpHが3.0未満のスラリーとした。このスラリーを固液分離した後に、得られた固形分を、蒸留水を用いて水洗した。その後、水洗した固形分を105℃で1日乾燥させ、高純度シリカ14.5kgを得た。
得られた高純度シリカにカーボン(東海カーボン社製、平均粒径:1mm、2mm以下の粒度の粒子の割合:90質量%以上)を8.2kg加えて混合し、高純度シリカとカーボンの混合物22.7kgを得た。
また、上述した方法で得られた高純度シリカとカーボンの混合物(C/SiO2のモル比:3.5)865kg、及び発熱体用黒鉛(太平洋セメント(株)製の試供品)をアチソン炉に収容した後、通電加熱(1500〜2500℃で20時間)して、炭化ケイ素の塊状物108kgを得た。得られた炭化ケイ素の塊状物を、トップグラインダーを用いて粉砕し、1級炭化ケイ素を65kg、準1級炭化ケイ素を43kg得た。
得られた1級炭化ケイ素、及び準1級炭化ケイ素中の不純物(Al、Fe、Ti、B及びP)の含有率を、実施例1と同様に測定した。また、得られた炭化ケイ素を、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
[比較例2]
水洗した後、NaCl水溶液を使用せずに、固液分離を行う以外は実施例1と同様にして、シリカとカーボンとの混合物49.5kgを得た。
上述した方法で得られたシリカとカーボンの混合物(C/SiO2のモル比:3.0)865kg、及び発熱体用黒鉛(太平洋セメント(株)製の試供品)をアチソン炉に収容した後、通電加熱(1500〜2500℃で20時間)して、炭化ケイ素の塊状物154kgを得た。得られた炭化ケイ素の塊状物を、トップグラインダーを用いて粉砕し、1級炭化ケイ素を95kg、準1級炭化ケイ素を59kg得た。
得られた1級炭化ケイ素、及び準1級炭化ケイ素中の不純物(Al、Fe、Ti、B及びP)の含有率を、実施例1と同様に測定した。
また、得られた炭化ケイ素を、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
また、本発明の製造方法により得られた炭化ケイ素は、準1級炭化ケイ素も1級炭化ケイ素と同等の高純度であることから、良品として用いることができ、製品収率を向上させることができる。
Claims (5)
- (F)シリカとカーボンの混合物を含む固形分と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物を含む水溶液を混合して、スラリーを調製した後、該スラリーを固液分離して、シリカとカーボンの混合物、及びアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物を含む固形分と、液分を得る塩化物混合工程と、
(G)工程(F)で得られたシリカとカーボンの混合物、及びアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物を含む固形分を加熱して、炭化ケイ素を得る加熱工程と、を含む炭化ケイ素の製造方法であって、
工程(F)の前に、(B)液分中のSi濃度が10質量%以上のケイ酸アルカリ水溶液とカーボンを混合して、カーボン含有ケイ酸アルカリ水溶液を得るカーボン混合工程と、
(C)工程(B)で得られたカーボン含有ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸を混合して、液分中のC及びSiをシリカとカーボンからなる粒子として析出させ、粒子含有液状物を得た後、該粒子含有液状物を固液分離して、シリカとカーボンからなる粒子の集合体であるシリカとカーボンの混合物を含む固形分と、不純物を含む液分を得るシリカ回収工程と、を含み、
上記炭化ケイ素中、ホウ素(B)、及びリン(P)のそれぞれの含有率が1ppm以下であり、かつ、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、及びチタン(Ti)のそれぞれの含有率が5ppm以下であることを特徴とする炭化ケイ素の製造方法。 - 工程(C)において、カーボン含有ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸の混合が、カーボン含有ケイ酸アルカリ水溶液を鉱酸に添加することによって行われる、請求項1に記載の炭化ケイ素の製造方法。
- 工程(C)において、カーボン含有ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸をpH1.0以下に保ちながら混合する、請求項1または2に記載の炭化ケイ素の製造方法。
- (D)工程(C)で得られたシリカとカーボンの混合物を含む固形分と酸を混合して、pHが3.0未満の酸性スラリーを調製し、上記固形分中に残存する不純物を溶解させた後、上記酸性スラリーを固液分離して、シリカとカーボンの混合物を含む固形分と、不純物を含む液分を得る酸洗浄工程と、を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭化ケイ素の製造方法。
- (E)工程(D)で得られたシリカとカーボンの混合物を含む固形分と水を混合して、スラリーを調製し、上記固形分中に残存する不純物を溶解させた後、上記スラリーを固液分離して、シリカとカーボンの混合物を含む固形分と、不純物を含む液分を得る水洗浄工程と、を含む請求項4に記載の炭化ケイ素の製造方法。
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