JP5484039B2 - 高純度シリカの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シリカ含有鉱物粉末を原料とする高純度シリカの製造方法に関する。
高純度シリコンは、半導体デバイス、触媒担体等に用いられている。
高純度シリコンの製造方法として、例えば、金属シリコンから製造された高純度のシリコン塩化物(トリクロロシラン)を原料として用いる方法が提案されている(特許文献1)。
特許文献1に記載の方法によると、非常に高純度のシリコンを得ることができる。しかし、この方法は、工程が煩雑でかつ高コストであるという問題がある。このような事情下において、高純度のシリコンを、低コストかつ大量に製造することのできる技術が望まれている。
これを解決すべく、二酸化ケイ素を含有しかつ多孔質で微細構造を有する原料を精製して高純度シリカを製造し、次いで、この高純度シリカを原料としてシリコンを生成し、得られたシリコンにレーザを照射することなどによって、高純度シリコンを製造する方法が提案されている(特許文献2)。
特開2006−001804号公報 特開2006−188367号公報
特許文献2に記載の方法によると、従来技術に比して、低コストでかつ簡易に、高純度のシリコンを得ることができる。シリコンの原料となる高純度シリカを、より低コストでかつ簡易に得ることができれば、好都合である。
そこで、本発明は、高純度シリカを、簡易にかつ低コストで製造することのできる方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、シリカ含有鉱物粉末に含まれている不純物(例えば、Al、Fe)を、アルカリ性スラリーの形態下で析出させた後、pHを3.0未満に調整して、不純物(例えば、炭素分)を析出させること、及び、このようにpHを3.0未満に調整する工程の前の時点でイオン交換処理及び活性炭処理を行ない、不純物(例えば、ホウ素(B)、有機物等)を除去することによって、前記の目的を達成することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[6]を提供するものである。
[1] (A)シリカ含有鉱物粉末とアルカリ水溶液を混合して、pHが11.5以上のアルカリ性スラリーを調製し、上記シリカ含有鉱物粉末中のSiを液分中に溶解させた後、上記アルカリ性スラリーを固液分離して、Siを含む液分と、固形分を得るアルカリ溶解工程と、(B)前工程で得られたSiを含む液分と酸を混合して、pHを3.0未満に調整して、液分中の不純物を析出させた後、固液分離を行い、Siを含む液分と、固形分を得る不純物回収工程と、(C)工程(B)で得られた液分とアルカリ源を混合して、pHが4.0以上、10.3以下である水溶液を調製し、上記液分中のSiをゲルとして析出させた後、固液分離を行い、SiOを含む固形分と、液分を得るシリカ回収工程と、(D)工程(A)と工程(B)の間設けられる工程であって、前工程で得られた液分に対してイオン交換処理及び活性炭処理を行い、不純物を回収する不純物回収工程、を含むことを特徴とする高純度シリカの製造方法。
[2] 工程(B)において、前記Siを含む液分と酸の混合が、前記Siを含む液分を酸に添加することによって行われる、前記[1]に記載の高純度シリカの製造方法。
[3] 工程(D)において、上記イオン交換処理が、キレート樹脂またはイオン交換樹脂を用いて行なわれ、上記イオン交換処理で回収される不純物が、ホウ素、リン、アルミニウム、及び鉄からなる群より選ばれる一種以上であり、上記活性炭処理で回収される不純物が、有機物である、前記[1]又は[2]に記載の高純度シリカの製造方法。
[4] (E)工程(C)で得られたSiOを含む固形分と酸溶液を混合して、pHが3.0未満の酸性スラリーを調製し、上記固形分中に残存する不純物を溶解させた後、上記酸性スラリーを固液分離して、SiOを含む固形分と、不純物を含む液分を得る酸洗浄工程、を含む、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の高純度シリカの製造方法。
[5] 工程(A)と工程(B)の間に、(B’)工程(A)で得られた液分と酸を混合して、pHを10.3を超え、11.5未満に調整し、液分中の不純物を析出させた後、固液分離を行い、Siを含む液分と、固形分を得る不純物回収工程、を含む、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の高純度シリカの製造方法。
[6] 工程(A)の前に、(A’)シリカ含有鉱物粉末を500〜1000℃で0.5〜2時間焼成して、有機物を除去する原料焼成工程、を含む、前記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の高純度シリカの製造方法。
本発明の高純度シリカの製造方法によると、簡易な操作によって、高純度シリカを得ることができる。具体的には、シリカ含有鉱物粉末を原料として用い、必要に応じてこの原料を焼成した後に、アルカリ水溶液と混合して、pHが11.5以上であるスラリーを調製し、次いで、このスラリーを固液分離して得られるSiを含む液分をpH3.0未満の酸性に調整した後、析出した不純物を固液分離で除去し、次いで、得られた液分にアルカリ源を加えてpH3.0以上に戻して、液分中のSiをゲルとして析出させるという操作と、前記のpH3.0未満へのpHの調整の前の時点でイオン交換処理及び活性炭処理を行い、不純物を除去するという操作を組み合わせるだけで、高純度シリカを得ることができる。
また、上述のとおり操作が簡易であり、処理効率が高いことなどに起因して、従来技術に比して低い製造コストで高純度シリカを得ることができる。
さらに、本発明の製造方法により得られる高純度シリカは、シリカの含有率が高く、また鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、リン(P)、ニッケル(Ni)、炭素分(C)などの不純物の含有率が低いという特長がある。
本発明の高純度シリカの製造方法の実施形態の一例を示すフロー図である。 珪質頁岩の一例についてのCu−Kα線による粉末X線の回折強度を示すグラフである。 珪質頁岩の一例についてのオパールCTの半値幅を示すグラフである。
以下、本発明の高純度シリカの製造方法を詳しく説明する。
なお、以下の工程(A’)〜工程(E)中、工程(A)、(B)、(C)及び(D)は、本発明において必須の工程であり、工程(A’)、(B’)及び(E)は、本発明において必須ではなく、任意で追加可能な工程である。
[工程(A’);原料焼成工程]
工程(A’)は、シリカ含有鉱物粉末を500〜1000℃で0.5〜2時間焼成し、有機物を除去する工程である。
シリカ含有鉱物としては、珪藻土、珪質頁岩等が挙げられる。シリカ含有鉱物は、アルカリに対する溶解性が高いことが望ましい。
ここで、珪藻土とは、珪藻が海底や湖底に沈積し、長い年月の間に体内の原形質その他の有機物が分解し、非晶質シリカを主体とした珪藻殻が集積して堆積したものである。
珪質頁岩とは、珪質の生物遺骸等に由来する頁岩である。すなわち、海域には、珪質の殻を有する珪藻などのプランクトンが生息するが、このプランクトンの死骸が海底中に堆積すると、死骸中の有機物の部分は徐々に分解され、珪質(SiO;シリカ)の殻のみが残る。この珪質の殻(珪質堆積物)が、時間の経過や温度・圧力の変化などに伴い、続成作用により変質して、硬岩化することにより珪質頁岩となる。なお、珪質堆積物中のシリカは、続成作用によって、非晶質シリカから、結晶化してクリストバライト、トリデイマイトへ、さらに石英へと変化する。
珪藻土は、主に非晶質シリカであるオパールAからなる。珪質頁岩は、オパールAより結晶化が進んだオパールCTまたはオパールCを主に含む。オパールCTとは、クリストバライト構造とトリディマイト構造からなるシリカ鉱物である。オパールCとは、クリストバライト構造からなるシリカ鉱物である。このうち、本発明では、オパールCTを主とする珪質頁岩が好ましく用いられる。
さらに、Cu−Kα線による粉末X線回折において、石英の2θ=26.6degのピーク頂部の回折強度に対するオパールCTの2θ=21.5〜21.9degの回折強度は、石英を1とした場合の比率で0.2〜2.0の範囲が好ましく、0.4〜1.8の範囲がより好ましく、0.5〜1.5の範囲が更に好ましい。該値が0.2に満たない場合には、反応性に富むオパールCTの量が少ないため、シリカの収量が低下する。一方、該値が2.0を超える場合には、オパールCTの量が石英よりはるかに多くなり、このような珪質頁岩は資源的に少なく、経済性に劣る。
なお、石英に対するオパールCTの回折強度の比率は、以下の式で求める。
石英に対するオパールCTの回折強度の比率=(26.6degのピーク頂部の回折強度)/(21.5〜21.9degのピーク頂部の回折強度)
また、珪質頁岩のCu−Kα線による粉末X線回折において、オパールCTの2θ=21.5〜21.9degのピークの半値幅は0.5°以上が好ましく、0.75°以上がより好ましく、1.0°以上がさらに好ましい。該値が0.5°未満では、オパールCTの結晶の結合力が増大し、アルカリとの反応性が低下して、シリカの収量が減少する。ここで、半値幅とは、ピーク頂部の回折強度の1/2に位置する回折線の幅をいう。
本発明で用いる珪質頁岩は、シリカ含有率が70質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましい。このような珪質頁岩を用いることにより、より高純度のシリカを低コストで製造することができる。
シリカ含有鉱物粉末は、例えば、珪質頁岩等のシリカ含有鉱物を粉砕装置(例えば、ジョークラッシャー、トップグラインダーミル、クロスビーターミル、ボールミル等)で粉砕することによって得ることができる。
[工程(A);アルカリ溶解工程]
工程(A)は、シリカ含有鉱物粉末とアルカリ水溶液を混合して、pHが11.5以上のアルカリ性スラリーを調製し、上記シリカ含有鉱物粉末中のSiを液分中に溶解させた後、上記アルカリ性スラリーを固液分離して、Siを含む液分と、固形分を得る工程である。
シリカ含有鉱物粉末とアルカリ水溶液を混合してなるアルカリ性スラリーのpHは、11.5以上、好ましくは12.5以上、より好ましくは13.0以上となるように調整される。該pHが11.5未満であると、シリカを十分に溶解させることができず、シリカが固形分中に残存してしまうため、得られるシリカの収量が減少する。
pHを上記数値範囲内に調整するためのアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等が用いられる。
スラリーの固液比(アルカリ水溶液1リットルに対するシリカ含有鉱物粉末の質量)は、好ましくは150〜350g/リットル、より好ましくは200〜300g/リットルである。該固液比が150g/リットル未満では、スラリーの固液分離に要する時間が増大するなど、処理効率が低下する。該固液比が350g/リットルを超えると、シリカ等を十分に溶出させることができないことがある。
スラリーは、通常、所定時間(例えば、30〜90分間)攪拌される。
攪拌後のスラリーは、フィルタープレス等の固液分離手段を用いて、固形分と液分に分離される。液分は、Si及び他の成分(Al、Fe等の不純物)を含むものであり、次の工程(B)で処理される。
なお、本工程においてアルカリ性スラリーを得る際の液温は、35〜100℃に保持されることが好ましく、35〜80℃に保持されることが、エネルギーコストの観点から、より好ましい。液温を上記範囲内とすることにより、処理効率を高めることができる。
[工程(B’);不純物回収工程]
本工程は、前工程(工程(A)または工程(D))で得られた液分と酸を混合して、pHを10.3を超え、11.5未満に調整し、液分中のSi以外の不純物(例えば、Al及びFe)を析出させた後、固液分離を行い、Siを含む液分と、固形分を得る工程である。
なお、本工程で回収されずに液分中に残存する不純物は、工程(B)または工程(D)以降の工程で回収される。
本工程において、酸との混合後の液分のpHは、10.3を超え、11.5未満、好ましくは10.4以上、11.0以下、特に好ましくは10.5以上、10.8以下である。該pHが10.3以下であると、不純物(例えば、Al及びFe)と共にSiも析出してしまう。一方、該pHが11.5以上では、十分に析出せずに液分中に残存する不純物(例えば、Al及びFe)の量が多くなる。
pHを上記数値範囲内に調整するための酸としては、硫酸、塩酸、シュウ酸等が用いられる。
pH調整後、フィルタープレス等の固液分離手段を用いて、固形分と液分に分離する。
このうち、固形分(ケーキ)は、不純物(例えば、Al及びFe)を含むものである。
液分は、Siを含むものであり、次の工程(工程(B)または工程(D))で処理される。
なお、本工程においてpH調整を行う際の液温は、35〜100℃に保持されることが好ましく、35〜85℃に保持されることが、エネルギーコストの観点から、より好ましい。液温を上記範囲内とすることにより、処理効率を高めることができる。
[工程(B);不純物回収工程]
本工程は、前工程(工程(D)または工程(B’))で得られたSiを含む液分と、酸を混合して、pHを3.0未満に調整し、液分中の不純物を析出させた後、固液分離を行い、Siを含む液分と、固形分を得る工程である。
シリカゾル(具体的には、SiO)は、pH3.0〜10.3でゲル化する性質を有する。そのため、工程(B)は、pHが3.0〜10.3である領域を通過しないか、あるいは、極めて短時間で通過することが望ましい。具体的には、工程(B)は、(i)前工程(工程(D)または工程(B’))で得られた液分を酸に添加する方法、(ii)前工程(工程(D)または工程(B’))で得られた液分と酸を一時に混合する方法、のいずれかによって行なうことが好ましい。中でも、前記(i)の方法は、pHが3.0〜10.3である領域を通過しないので、特に好ましい。
本工程において、前工程で得られたSiを含む液分と、酸との混合後のpHは、3.0以下、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.0以下である。pHが3.0を超えると、不純物の析出量が少なくなり、本工程における不純物の回収量が少なくなる。
pHを上記数値範囲内に調整するための酸としては、硫酸、塩酸、シュウ酸等が用いられる。
pH調整後、フィルタープレス等の固液分離手段を用いて、不純物からなる固形分と、Siを含む液分に分離する。
液分は、Siを含むものであり、次の工程(C)で処理される。
本工程においてpH調整を行う際の液温は、35〜100℃に保持されることが好ましく、35〜85℃に保持されることが、エネルギーコストの観点から、より好ましい。液温を上記範囲内とすることにより、処理効率を高めることができる。
[工程(C);シリカ回収工程]
本工程は、工程(B)で得られた液分とアルカリ源を混合して、pHが4.0以上、10.3以下である水溶液を調製し、上記液分中のSiをゲルとして析出させた後、固液分離を行い、SiOを含む固形分と、液分を得る工程である。
本工程において、工程(B)で得られた液分とアルカリ源との混合後の液分のpHは、3.0以上、10.3以下、好ましくは4.0以上、8.0以下、より好ましくは5.0以上、7.0以下である。該pHが3.0未満または10.3を超えると、十分にシリカが析出せずに液分中に残存するため、得られるシリカの収量が減少する。なお、該pHが7.0以下であると、アルカリ源の使用量が多くならず、薬剤コストの観点から好ましい。
アルカリ源としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等が挙げられる。また、アルカリ源の形態は、固体でもよいし、水溶液でもよい。
pH調整後、フィルタープレス等の固液分離手段を用いて、固形分と液分とに分離する。
固形分は、Si(具体的には、SiO)を含むものである。
なお、本工程においてpH調整を行う際の液温は、35〜100℃に保持されることが好ましく、35〜80℃に保持されることが、エネルギーコストの観点から、より好ましい。液温を上記範囲内とすることにより、良好な固液分離性を有する固形分が得られ、処理効率を高めることができる。
[工程(D);不純物回収工程]
本工程は、工程(A)と工程(B)の間設けられる工程であって、前工程で得られた液分に対してイオン交換処理及び活性炭処理を行い、不純物を回収する工程である。また、該工程は、工程(A)と工程(B)の間に加えて、さらに、工程(B)と工程(C)の間に設けてもよい。
本工程で回収される不純物は、ホウ素(B)、リン(P)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、及び炭素(C)からなる群より選ばれる一種以上である。
イオン交換処理は、キレート樹脂、イオン交換樹脂等のイオン交換媒体を用いて行なうことができる。
イオン交換媒体の種類は、除去対象元素に対する選択性を考慮して、適宜定めればよい。例えば、ホウ素を除去する場合、グルカミン基を有するキレート樹脂や、N−メチルグルカミン基を有するイオン交換樹脂等を用いることができる。
イオン交換媒体の形態は、特に限定されるものではなく、ビーズ状、繊維状、クロス状等が挙げられる。イオン交換媒体への液分の通液方法もなんら限定されるものではなく、例えばカラムにキレート樹脂またはイオン交換樹脂を充填して連続的に通液する方法などを用いることができる。
イオン交換処理及び活性炭処理を行う際の液温は、各処理に用いる材料の耐用温度以下であれば、特に限定されない。
イオン交換処理に用いるイオン交換媒体が、塩基性領域で交換能が高い場合には、工程(D)を工程(B)と工程(C)の間に設けるとよい。
工程(D)を工程(B)と工程(C)の間に設ける場合、工程(B)による不純物の回収によって、液分中の不純物の量が少なくなっているので、工程(D)におけるイオン交換媒体(例えば、キレート樹脂、イオン交換樹脂等)の負荷が低減され、イオン交換媒体の取替え頻度が減少するなどの利点がある。
[工程(E);酸洗浄工程]
工程(C)で得られたシリカ(SiO)を含む固形分は、Al、Fe、B、P、Ni等の不純物が低減された高純度シリカである。
工程(C)で得られたシリカを含む固形分に対して、適宜、工程(E)(酸洗浄工程)を行うことができる。酸洗浄工程を行うことにより、より高純度のシリカを得ることができる。
工程(E)は、工程(C)で得られたSiOを含む固形分と酸溶液を混合して、pHが3.0未満の酸性スラリーを調製し、上記固形分中に残存する不純物(例えば、Al、Fe)を溶解させた後、上記酸性スラリーを固液分離して、SiOを含む固形分と、不純物(例えば、Al、Fe)を含む液分を得る工程である。
本工程における酸性スラリーのpHは、3.0未満、好ましくは2.0以下である。酸性スラリーのpHを上記範囲内に調整して酸洗浄を行うことにより、工程(C)で得られた固形分中にわずかに残存するアルミニウム分、鉄分等の不純物を溶解して液分中へ移行させることができ、固形分中のシリカ含有率を上昇させることができるため、さらに高純度のシリカを得ることができる。
pHを上記数値範囲内に調整するための酸としては、硫酸、塩酸、シュウ酸等が用いられる。
pH調整後、フィルタープレス等の固液分離手段を用いて、固形分と液分に分離する。
なお、本工程においてpH調整を行う際の液温は、35〜100℃に保持されることが好ましく、35〜80℃に保持されることが、エネルギーコストの観点から、より好ましい。液温を上記範囲内とすることにより、処理効率を高めることができる。
本発明の製造方法によって最終的に得られたシリカを含む固形分は、適宜、乾燥処理及び/又は焼成処理を行うことができる。乾燥処理及び/又は焼成処理の条件は、例えば、100〜1000℃で1〜5時間である。
本発明で得られるシリカは、シリカの含有率が高く、またアルミニウム、鉄、ホウ素、リン、ニッケル等の不純物の含有量が低いものである。
本発明の高純度シリカ中のSiOの含有率は、好ましくは99.0質量%以上である。また、本発明の高純度シリカ中のAl、Fe、B、P、及びNiの含有率は、各々、好ましくは3000ppm以下、500ppm以下、0.1ppm以下、0.4ppm以下、及び0.3ppm以下である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
珪質頁岩(成分組成;SiO:80質量%、Al:10質量%、Fe:5質量%、B:150ppm、P:330ppm、Ni:10ppm)を、ボールミルを用いて粉砕し、珪質頁岩粉末(最大粒径:0.5mm)を得た。
原料として使用した珪質頁岩について、Cu−Kα線による粉末X線の回折強度、オパールCTの半値幅を、粉末X線回折装置(株式会社リガク製、RINT2000)を用いて測定した。回折強度を図2に、半値幅を図3にそれぞれ示す。使用した珪質頁岩は、石英の2θ=26.6degのピーク頂部の回折強度に対するオパールCTの2θ=21.5〜21.9degのピーク頂部の回折強度の比率が、0.68であった。また、オパールCTの半値幅は、1.4°であった。
次いで、得られた珪質頁岩粉末250gと、2.5N水酸化ナトリウム水溶液1000gを混合して、60分間混合撹拌し、pHが13.5であるスラリーを得た。
このスラリーを減圧下でブフナー漏斗で固液分離し、液分700gを得た。
次いで、得られた液分に対して98%硫酸を添加して、pHを10.5に調整した後、減圧下でブフナー漏斗で固液分離し、Fe、Al等を含む含水固形分10gと、Siを含む液分700gを得た。
得られたシリカゾル溶液に対して、キレート樹脂(ピュロライト社製 PUROLITE S−108)を用いてホウ素(B)の除去を行った。キレート処理後の液中のホウ素(B)の濃度をICP発光分析装置を用いて測定した。その結果を表1に示す。
次いで、シリカゾル溶液に対して、活性炭(関東化学社製、商品名:活性炭素(粉末))を用いて、有機物の除去を行った。
次いで、キレート処理後のシリカゾル溶液を10%硫酸中に滴下し、pHが1.0になるように調整した後、減圧下でブフナー漏斗で固液分離し、炭素分等を含む含水固形分10gと、Siを含む液分1400gを得た。
得られたシリカゾル溶液に2.5Mの水酸化ナトリウム溶液を添加して、pHを7.0に調整し、ゲルを析出させた。
得られた粗製シリカに対して、10%硫酸溶液を添加し、pHが0.5のスラリーとした。このスラリーを固液分離した後に、蒸留水を用いて、得られた固形分を水洗した。その後、105℃で1日乾燥させ、精製シリカ150gを得た。
なお、各反応中の液温は、40℃に保持した。
得られた粗製シリカ及び精製シリカ中のホウ素(B)の濃度を測定した。その結果を表2に示す。
得られた精製シリカは、乾燥後に、SiO:99.9質量%、Al:800ppm、Fe:5ppm、B:0.025ppm、P:0.4ppm以下、Ni:0.2ppmの成分組成を有していた。
参考例1
実施例1と同様にして得られた珪質頁岩粉末250gと、2.5N水酸化ナトリウム水溶液1000gを混合して、60分間混合撹拌し、pHが13.5であるスラリーを得た。
このスラリーを減圧下でブフナー漏斗で固液分離し、液分700gを得た。
次いで、得られた液分に対して98%硫酸を添加して、pHを10.5に調整した後、減圧下でブフナー漏斗で固液分離し、Fe、Al等を含む含水固形分10gと、Siを含む液分700gを得た。
得られたシリカゾル溶液を10%硫酸中に滴下し、pHが1.0になるように調整した後、減圧下でブフナー漏斗で固液分離し、炭素分等を含む含水固形分10gと、Siを含む液分1400gを得た。
得られたシリカゾル溶液に対して、キレート樹脂(ピュロライト社製 PUROLITE S−108)を用いてホウ素(B)の除去を行った。キレート処理後の液中のホウ素(B)の濃度をICP発光分析装置を用いて測定した。その結果を表1に示す。
次いで、シリカゾル溶液に対して、活性炭(関東化学社製、商品名:活性炭素(粉末))を用いて、有機物の除去を行った。
次いで、得られたシリカゾル溶液に2.5Mの水酸化ナトリウム溶液を添加して、pHを7.0に調整し、ゲルを析出させた。
得られた粗製シリカに対して、10%硫酸溶液を添加し、pHが0.5のスラリーとした。このスラリーを固液分離した後に、蒸留水を用いて、得られた固形分を水洗した。その後、105℃で1日乾燥させ、精製シリカ150gを得た。
なお、各反応中の液温は、40℃に保持した。
得られた粗製シリカ及び精製シリカ中のホウ素(B)の濃度を測定した。その結果を表2に示す。
得られた精製シリカは、乾燥後に、SiO:99.9質量%、Al:750ppm、Fe:6ppm、B:0.1ppm、P:0.4ppm以下、Ni:0.2ppmの成分組成を有していた。
[比較例1]
イオン交換処理及び活性炭処理を施さない以外は実施例1と同様にして、粗製シリカ及び精製シリカを作製した。これらの粗製シリカ及び精製シリカに関して、実施例1と同様にしてホウ素(B)の濃度の測定を行った。結果を表2に示す。
得られた精製シリカは、乾燥後に、SiO:99.9質量%、Al:900ppm、Fe:8ppm、B:0.3ppm、P:0.4ppm以下、Ni:0.2ppmの成分組成を有していた。
Figure 0005484039
Figure 0005484039
実施例の結果から、本発明の製造方法により得られたシリカは、シリカの含有率が高いと共に、不純物の一つであるホウ素の含有率が少ないことがわかる。一方、比較例1では、イオン交換処理及び活性炭処理を行っていないため、不純物の一つであるホウ素の含有率が大きいことがわかる。

Claims (6)

  1. (A)シリカ含有鉱物粉末とアルカリ水溶液を混合して、pHが11.5以上のアルカリ性スラリーを調製し、上記シリカ含有鉱物粉末中のSiを液分中に溶解させた後、上記アルカリ性スラリーを固液分離して、Siを含む液分と、固形分を得るアルカリ溶解工程と、
    (B)前工程で得られたSiを含む液分と酸を混合して、pHを3.0未満に調整して、液分中の不純物を析出させた後、固液分離を行い、Siを含む液分と、固形分を得る不純物回収工程と、
    (C)工程(B)で得られた液分とアルカリ源を混合して、pHが4.0以上、10.3以下である水溶液を調製し、上記液分中のSiをゲルとして析出させた後、固液分離を行い、SiOを含む固形分と、液分を得るシリカ回収工程と、
    (D)工程(A)と工程(B)の間設けられる工程であって、前工程で得られた液分に対してイオン交換処理及び活性炭処理を行い、不純物を回収する不純物回収工程、
    を含むことを特徴とする高純度シリカの製造方法。
  2. 工程(B)において、前記Siを含む液分と酸の混合が、前記Siを含む液分を酸に添加することによって行われる、請求項1に記載の高純度シリカの製造方法。
  3. 工程(D)において、上記イオン交換処理が、キレート樹脂またはイオン交換樹脂を用いて行なわれ、上記イオン交換処理で回収される不純物が、ホウ素、リン、アルミニウム、及び鉄からなる群より選ばれる一種以上であり、上記活性炭処理で回収される不純物が、有機物である、請求項1又は2に記載の高純度シリカの製造方法。
  4. (E)工程(C)で得られたSiOを含む固形分と酸溶液を混合して、pHが3.0未満の酸性スラリーを調製し、上記固形分中に残存する不純物を溶解させた後、上記酸性スラリーを固液分離して、SiOを含む固形分と、不純物を含む液分を得る酸洗浄工程、を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の高純度シリカの製造方法。
  5. 工程(A)と工程(B)の間に、(B’)工程(A)で得られた液分と酸を混合して、pHを10.3を超え、11.5未満に調整し、液分中の不純物を析出させた後、固液分離を行い、Siを含む液分と、固形分を得る不純物回収工程、を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の高純度シリカの製造方法。
  6. 工程(A)の前に、(A’)シリカ含有鉱物粉末を500〜1000℃で0.5〜2時間焼成して、有機物を除去する原料焼成工程、を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の高純度シリカの製造方法。
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