JP5094614B2 - 高純度シリカの製造方法 - Google Patents
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Description
太陽光発電に用いる太陽電池の主なものとしては、シリコン系太陽電池が挙げられる。このシリコン系太陽電池に用いられるシリコンとして、例えば、半導体デバイス用シリコンの規格外品が用いられている。
シリコンの製造方法として、例えば、金属シリコンから製造された高純度のシリコン塩化物(トリクロロシラン)を原料として用いる方法が提案されている(特許文献1)。
特許文献1に記載の方法によると、非常に高純度のシリコンを得ることができる。しかし、この方法は、半導体デバイス用に用いうる程度の非常に高純度のシリコンを得る方法であるため、工程が煩雑でかつ高コストであるという問題がある。また、特許文献1等の方法では、金属シリコンを抽出するための原料として、SiO2含有量の高い珪石が使用される。この珪石は、硬質であるため、粉砕や化学処理の効率が低いという問題がある。このような事情下において、太陽電池用として好適な純度を有するシリコンを、低コストに製造することのできる技術が望まれている。
一方、珪質頁岩を原料として高純度シリカを製造し、該高純度シリカにレーザ処理等を施すことにより高純度シリコンを製造する方法が提案されている(特許文献2)。
そこで、本発明は、高純度のシリカを、簡易にかつ低コストで製造することのできる方法を提供することを目的とする。
[1] (A)珪質頁岩の粉状物を準備する粉状物準備工程と、(B)工程(A)で準備した珪質頁岩の粉状物と、アルカリ水溶液を混合して、pHが11.5以上のアルカリ性スラリーとし、上記珪質頁岩の粉状物中のSi、Al、Feを液分中に溶解させた後、該アルカリ性スラリーを固液分離して、Si、Al、Feを含む液分と、固形分を得るアルカリ溶解工程と、(C)工程(B)で得られた液分と酸を混合してpHを10.3以上11.5未満とし、液分中のAl、Feを析出させた後、固液分離を行い、Siを含む液分と、Al、Feを含む固形分を得る不純物回収工程と、(D)工程(C)で得られた液分と酸を混合してpHを9.0以上10.3未満とし、液分中のSiを析出させた後、固液分離を行い、高純度シリカとして回収しうるSiO2を含む固形分と、液分を得るシリカ回収工程と、を含むことを特徴とする高純度シリカの製造方法。
[2] さらに、(E)工程(D)で得られたSiO2を含む固形分と酸溶液を混合して、pHが1.5以下の酸性スラリーとし、前記固形分中に残存するアルミニウム分、鉄分を溶解させた後、前記酸性スラリーを固液分離して、SiO2を含む固形分と、液分を得る酸洗浄工程を含む上記[1]に記載の高純度シリカの製造方法。
[3] 上記工程(E)で得られたSiO2を含む固形分に対し、さらに、上記工程(B)〜(E)と同じ操作を1回以上繰り返して行う上記[2]に記載の高純度シリカの製造方法。
[4] 上記高純度シリカ中のSiO2の含有率が、99.0質量%以上である上記[1]〜[3]のいずれかに記載の高純度シリカの製造方法。
また、本発明の製造方法により得られる高純度シリカは、シリカの含有率が高く、また鉄、アルミニウム、ホウ素、リン、ニッケルなどの不純物(特に、太陽電池の忌避成分であるホウ素、リン、ニッケル)の含有率が低いため、太陽電池用シリコンの原料として好適に用いることができる。
また、本発明の高純度シリカの製造方法によると、原料である珪質頁岩が高い比表面積を有するため、高い粉砕性を得ることができ、また、各処理工程において高い反応性を得ることができる。よって、高い処理効率で高純度シリカを得ることができる。
さらに、珪質頁岩は、日本海域における埋蔵量が豊富であるため、原料調達に要するコストを低減することができる。また、上述のとおり操作が簡易であり、高温での熱処理を必要としないこと、及び、処理効率が高いことなどに起因して、従来技術に比して低コストで高純度シリカを得ることができ、太陽電池等に用いるシリカの製造コストの低減を図ることができる。
[工程(A);粉状物準備工程]
本工程は、珪質頁岩の粉状物を準備する工程である。
ここで、珪質頁岩とは、珪質の生物遺骸等に由来する頁岩である。すなわち、海域には、珪質の殻を有する珪藻などのプランクトンが生息するが、このプランクトンの死骸が海底中に堆積すると、死骸中の有機物の部分は徐々に分解され、珪質(SiO2;シリカ)の殻のみが残る。この珪質の殻(珪質堆積物)が、時間の経過や温度・圧力の変化などに伴い、続成作用により変質して、硬岩化することにより珪質頁岩となる。
珪質堆積物中のシリカは、続成作用によって、非晶質のシリカから、結晶化してクリストバライト、トリデイマイトへ、さらに石英へと変化する。
さらに、Cu−Kα線による粉末X線回折において、石英の2θ=26.6degのピーク頂部の回折強度に対するオパールCTの2θ=21.5〜21.9degの回折強度は、石英を1とした場合の比率で0.2〜2.0の範囲が好ましく、0.4〜1.8の範囲がより好ましく、0.5〜1.5の範囲が更に好ましい。該値が0.2に満たない場合には、反応性に富むオパールCTの量が少ないため、シリカの収量が低下する。一方、該値が2.0を超える場合には、オパールCTの量が石英よりはるかに多くなり、このような珪質頁岩は資源的に少なく、経済性に劣る。
なお、石英に対するオパールCTの回折強度の比率は、以下の式で求める。
石英に対するオパールCTの回折強度の比率=26.6degのピーク頂部の回折強度/21.5〜21.9degのピーク頂部の回折強度
また、上記珪質頁岩のCu−Kα線による粉末X線回折において、オパールCTの2θ=21.5〜21.9degのピークの半値幅は0.5°以上が好ましく、0.75°以上がより好ましく、1.0°以上がさらに好ましい。該値が0.5°未満では、オパールCTの結晶の結合力が増大し、アルカリとの反応性が低下して、シリカの収量が減少する。ここで、半値幅とは、ピーク頂部の回折強度の1/2に位置する回折線の幅をいう。
本発明で用いる珪質頁岩は、シリカ含有率が70質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましい。このような珪質頁岩を用いることにより、より高純度のシリカを低コストで製造することができる。
珪質頁岩の粉状物は、例えば、珪質頁岩を粉砕装置(例えば、ジョークラッシャー、トップグラインダーミル、クロスビーターミル、ボールミル等)で粉砕することによって得ることができる。
さらにこれら珪質頁岩としては、北海道北部に産出する、稚内層珪質頁岩が好適に使用できる。稚内層珪質頁岩は、粉砕性及びアルカリ可溶性に優れており、本発明において、粉状物を得る観点及び良好な反応性を得る観点から好ましい。
本工程は、工程(A)で準備した珪質頁岩の粉状物と、アルカリ水溶液を混合して、pHが11.5以上のアルカリ性スラリーとし、上記珪質頁岩の粉状物中のSi、Al、Feを液分中に溶解させた後、該アルカリ性スラリーを固液分離して、Si、Al、Feを含む液分と、固形分を得る工程である。
本工程において、スラリーのpHは、11.5以上、好ましくは12.5以上、より好ましくは13.0以上となるように調整される。該pHが11.5未満であると、シリカを十分に溶解させることができず、シリカが固形分中に残存してしまうため、得られるシリカの収量が減少する。
pHを上記数値範囲内に調整するためのアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等が用いられる。
スラリーの固液比(溶液1リットル中の珪質頁岩の粉状物の質量)は、好ましくは150〜350g/リットル、より好ましくは200〜300g/リットルである。該固液比が150g/リットル未満では、スラリーの固液分離に要する時間が増大するなど、処理効率が低下する。該固液比が350g/リットルを超えると、シリカ等を十分に溶出させることができないことがある。
スラリーは、通常、所定時間(例えば、30〜90分間)攪拌される。
攪拌後のスラリーは、フィルタープレス等の固液分離手段を用いて、固形分と液分に分離される。液分は、Si、Al、Feを含むものであり、次の工程(C)で処理される。
なお、本工程においてアルカリ性スラリーを得る際の液温は、35〜100℃に保持されることが好ましく、35〜80℃に保持されることが、エネルギーコストの観点から、より好ましい。液温を上記範囲内とすることにより、処理効率を高めることができる。
本工程は、工程(B)で得られた液分と酸を混合して、pHを10.3以上11.5未満とし、液分中のAl、Feを析出させた後、固液分離を行い、Siを含む液分と、Al、Feを含む固形分を得る工程である。
本工程において、酸との混合後の液分のpHは、10.3以上11.5未満、好ましくは10.4以上11.0以下、特に好ましくは10.5以上10.8未満である。該pHが10.3未満であると、Al、Feと共にSiも析出してしまうため、得られるシリカの純度が低下する。一方、該pHが11.5以上では、Al、Feが十分に析出せずに液分中に残存するため、得られるシリカ中の不純物が多くなり、シリカの純度が低下する。
pHを上記数値範囲内に調整するための酸としては、硫酸、塩酸等が用いられる。
pH調整後、フィルタープレス等の固液分離手段を用いて、固形分と液分に分離する。
このうち、固形分(ケーキ)は、Al、Fe等を含むものである。
液分は、Siを含むものであり、次の工程(D)で処理される。
なお、本工程においてpH調整を行う際の液温は、35〜100℃に保持されることが好ましく、35〜85℃に保持されることが、エネルギーコストの観点から、より好ましい。液温を上記範囲内とすることにより、処理効率を高めることができる。
本工程は、工程(C)で得られた液分と酸を混合して、pHを9.0以上10.3未満とし、液分中のSiを析出させた後、固液分離を行い、Si(具体的にはSiO2)を含む固形分と、液分を得る工程である。
本工程において、液分のpHは、9.0以上10.3未満、好ましくは9.2以上10.0未満である。該pHが9.0未満では、シリカの収量は増大せずに、酸の使用量が多くなるため、薬剤コストの観点から好ましくない。一方、該pHが10.3以上では、十分にシリカが析出せずに液分中に残存するため、得られるシリカの収量が減少する。
pHを上記数値範囲内に調整するための酸としては、硫酸、塩酸等が用いられる。
pH調整後、フィルタープレス等の固液分離手段を用いて、固形分と液分とに分離する。
固形分は、Si(具体的には、SiO2)を含むものである。
なお、本工程においてpH調整を行う際の液温は、35〜100℃に保持されることが好ましく、35〜80℃に保持されることが、エネルギーコストの観点から、より好ましい。液温を上記範囲内とすることにより、良好な固液分離性を有する固形分が得られ、処理効率を高めることができる。
本工程で得られたシリカを含む固形分に対して、適宜、次の工程である酸洗浄工程を行うことができる。酸洗浄工程を行うことにより、より高純度のシリカを得ることができる。
また、本工程で得られたシリカを含む固形分には、上記特定のpH域における3段階のpH調整(具体的には、上記工程(B)〜(D);アルカリ溶解工程、不純物回収工程、シリカ回収工程)と同じ操作を1回以上(通常は1回)、繰り返し行うことができる。工程(B)〜(D)を繰り返すことによって、さらに高純度のシリカを得ることができる。
なお、工程(B)〜(D)と同じ操作を繰り返し行う場合、酸洗浄工程は、1回目の処理工程の終了時と、2回目の処理工程の終了時の両方あるいはいずれか一方のみに行うことができる。
すなわち、次の(1)〜(3)のいずれのパターンでも行うことができる。
(1)工程(A)→工程(B)→工程(C)→工程(D)→酸洗浄工程→工程(B)→工程(C)→工程(D)→酸洗浄工程
(2)工程(A)→工程(B)→工程(C)→工程(D)→工程(B)→工程(C)→工程(D)→酸洗浄工程
(3)工程(A)→工程(B)→工程(C)→工程(D)→酸洗浄工程→工程(B)→工程(C)→工程(D)
中でも、シリカの純度を高める観点から、上記(1)が好ましい。
本工程または次の工程(E)で最終的に得られたシリカを含む固形分は、適宜、乾燥処理及び/又は焼成処理を行うことができる。乾燥処理及び/又は焼成処理の条件は、例えば、100〜800℃で1〜5時間である。
本工程は、工程(D)で得られたSiO2を含む固形分と酸溶液を混合して、pHが1.5以下の酸性スラリーとし、前記固形分中に残存するアルミニウム分、鉄分を溶解させた後、前記酸性スラリーを固液分離して、SiO2を含む固形分と、液分を得る工程である。
本工程における酸性スラリーのpHは、1.5以下、好ましくは1.2以下である。酸性スラリーのpHを上記範囲内に調整して酸洗浄を行うことにより、工程(D)で得られた固形分中にわずかに残存するアルミニウム分、鉄分等の不純物を溶解して液分中へ移行させることができ、固形分中のシリカ含有率を上昇させることができるため、さらに高純度のシリカを得ることができる。
pHを上記数値範囲内に調整するための酸としては、硫酸、塩酸等が用いられる。
pH調整後、フィルタープレス等の固液分離手段を用いて、固形分と液分に分離する。
なお、本工程においてpH調整を行う際の液温は、35〜100℃に保持されることが好ましく、35〜80℃に保持されることが、エネルギーコストの観点から、より好ましい。液温を上記範囲内とすることにより、処理効率を高めることができる。
本発明の高純度シリカ中のSiO2の含有率は、好ましくは99.0質量%以上、より好ましくは99.5質量%以上、特に好ましくは99.6質量%以上である。また、本発明の高純度シリカ中のAl2O3、Fe2O3、B、P、及びNiの含有率は、各々、好ましくは3000ppm以下、500ppm以下、0.2ppm以下、0.5ppm以下、及び0.3ppm以下である。
特に、工程(B)〜工程(E)と同じ操作を1回以上繰り返し行うことによって、特に高純度のシリカを得ることができる。該シリカ中のSiO2の含有率は、好ましくは99.8質量%以上、より好ましくは99.9質量%以上、特に好ましくは99.95質量%以上である。また、上記シリカ中、Al2O3、Fe2O3、B、P、及びNiの含有率は、各々、好ましくは500ppm以下、20ppm以下、0.2ppm以下、0.5ppm以下、及び0.2ppm以下である。
本発明の製造方法によると、不純物の少ない高純度シリカを、簡易な操作でかつ低コストで得ることができる。
[実施例1]
北海道北部地域産の稚内層珪質頁岩(成分組成;SiO2:80質量%、Al2O3:10質量%、Fe2O3:5質量%、B:1000ppm、P:330ppm、Ni:10ppm)を、ボールミルを用いて粉砕し、珪質頁岩の粉状物(最大粒径:0.5mm)を得た。
原料として使用した北海道北部地域産の稚内層珪質頁岩について、Cu−Kα線による粉末X線の回折強度、オパールCTの半値幅を、粉末X線回折装置(株式会社リガク製、RINT2000)を用いて測定した。回折強度を図2に、半値幅を図3にそれぞれ示す。使用した北海道北部地域産の稚内層珪質頁岩は、石英の2θ=26.6degのピーク頂部の回折強度に対するオパールCTの2θ=21.5〜21.9degのピーク頂部の回折強度の比率が、0.68であった。また、オパールCTの半値幅は、1.4°であった。
次いで、得られた粉状物250gに、2.5N水酸化ナトリウム水溶液1000gを混合して、60分間混合撹拌し、pHが13.5であるスラリーを得た。
このスラリーを減圧下でブフナー漏斗で固液分離し、液分800gを得た。
次いで、得られた液分に対して98%硫酸を添加して、pHを10.5に調整した後、減圧下でブフナー漏斗で固液分離し、鉄、アルミニウム等を含む含水固形分50gと、Siを含む液分800gを得た。
次に、得られた液分に対して98%硫酸を添加して、pHを9.5に調整した後、減圧下でブフナー漏斗で固液分離し、シリカ(SiO2)を含む含水固形分330gと、液分430gを得た。
得られたシリカを含む含水固形分に対して、98%硫酸溶液を添加し、pH1.0のスラリーとした。このスラリーを固液分離し、シリカを含む含水固形分Aを310g得た。
なお、各反応中の液温は、70℃に保持した。
得られた含水固形分Aは、乾燥後に、SiO2:99.68質量%、Al2O3:2800ppm、Fe2O3:48ppm、B:0.13ppm、P:0.5ppm未満、Ni:0.18ppmの成分組成を有していた。
実施例1で得られたシリカを含む含水固形分Aに対し、再度、3段階のpH調整(アルカリ溶解工程、不純物回収工程、シリカ回収工程)と、酸洗浄を行い、シリカを含む含水固形分Bを得た。
具体的には、シリカを含む固形分A 310gに対し、1.0N水酸化ナトリウム水溶液700gを加えて、60分間混合撹拌し、pHが13.5であるスラリーを得た。
このスラリーを減圧下でブフナー漏斗で固液分離し、液分900gを得た。
次いで、得られた液分に対し98%硫酸を添加し、pHを10.5に調整した後、減圧下でブフナー漏斗で固液分離し、固形分10gと、Siを含む液分880gを得た。
得られた液分に対し98%硫酸を添加し、pHを9.5に調整した後、減圧下でブフナー漏斗で固液分離し、シリカを含む含水固形分280gと、液分600gを得た。
得られたシリカを含む固形分に対し、98%硫酸溶液を添加し、pH1.0のスラリーとした。このスラリーを固液分離して、シリカを含む含水固形分Bを260g得た。
なお、実施例1と同様、各反応において液温は70℃に保持した。
得られた含水固形分Bは、乾燥後に、SiO2:99.92質量%、Al2O3:380ppm、Fe2O3:7.7ppm、B:0.19ppm、P:0.5ppm未満、Ni:0.11ppmの成分組成を有していた。
実施例1で用いたものと同じ北海道北部地域産の稚内層珪質頁岩を、ボールミルで粉砕し、珪質頁岩の粉状物(最大粒径:0.5mm)を得た。次に、得られた粉状物250gを600℃で3時間焼成した。
得られた焼成物243gに49%硫酸250gを混合して3時間撹拌した。撹拌後、減圧下でブフナー漏斗で固液分離し、含水固形分240gを得た。
次に、得られた含水固形分240gに10%フッ酸500gを混合して3時間撹拌した。撹拌後、減圧下でブフナー漏斗で固液分離し、含水固形分200gを得た。
次いで、含水固形分200gに対して18%塩酸600gを混合して3時間撹拌した。撹拌後、減圧下でブフナー漏斗で固液分離し、含水固形分C 160gを得た。なお、各反応中の液温は、70℃に保持した。
得られた含水固形分Cは、乾燥後に、SiO2:98.20質量%、Al2O3:4000ppm、Fe2O3:433ppm、B:3.0ppm、P:84.6ppm、Ni:1.0ppmの成分組成を有していた。
一方、フッ酸処理による比較例1では、本発明に比して、シリカの含有率が低く、アルミニウム等の不純物がいずれも高濃度で含まれることがわかる。また、フッ酸処理では、薬剤費が高くなるとともに、薬剤を取り扱う上で注意が必要である。また、フッ素を除くための排水処理を必要とし、全体としてフッ酸処理はコスト高である。
Claims (4)
- (A)珪質頁岩の粉状物を準備する粉状物準備工程と、
(B)工程(A)で準備した珪質頁岩の粉状物と、アルカリ水溶液を混合して、pHが11.5以上のアルカリ性スラリーとし、上記珪質頁岩の粉状物中のSi、Al、Feを液分中に溶解させた後、該アルカリ性スラリーを固液分離して、Si、Al、Feを含む液分と、固形分を得るアルカリ溶解工程と、
(C)工程(B)で得られた液分と酸を混合してpHを10.3以上11.5未満とし、液分中のAl、Feを析出させた後、固液分離を行い、Siを含む液分と、Al、Feを含む固形分を得る不純物回収工程と、
(D)工程(C)で得られた液分と酸を混合してpHを9.0以上10.3未満とし、液分中のSiを析出させた後、固液分離を行い、高純度シリカとして回収しうるSiO2を含む固形分と、液分を得るシリカ回収工程と、
を含むことを特徴とする高純度シリカの製造方法。 - さらに、(E)工程(D)で得られたSiO2を含む固形分と酸溶液を混合して、pHが1.5以下の酸性スラリーとし、前記固形分中に残存するアルミニウム分、鉄分を溶解させた後、前記酸性スラリーを固液分離して、SiO2を含む固形分と、液分を得る酸洗浄工程を含む請求項1に記載の高純度シリカの製造方法。
- 上記工程(E)で得られたSiO2を含む固形分に対し、さらに、上記工程(B)〜(E)と同じ操作を1回以上繰り返して行う請求項2に記載の高純度シリカの製造方法。
- 上記高純度シリカ中のSiO2の含有率が、99.0質量%以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の高純度シリカの製造方法。
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