JP2009094497A - p型熱電材料及びその製造方法 - Google Patents

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Giichi Todaka
義一 戸高
Minoru Umemoto
実 梅本
Harusuke Niwa
陽亮 丹羽
Koichi Tsuchiya
浩一 土谷
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貴大 川合
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Abstract

【課題】資源的に豊富な材料で構成されるとともに、軽量なMgSi系のp型熱電材料を提供する。
【解決手段】p型熱電材料は、Naが添加されたMgSiから成り、Na原子の置換がMgSiのMgサイトで行われている。p型熱電材料のNaの添加量は0.5at%より多く4.2at%以下である。p型熱電材料は、Mg粉末、Si粉末及び粒塊状のNaをそれぞれ所定の割合で混合した混合物をMgの融点以上、かつMgSiの融点未満に温度を調整した雰囲気に保持して、液相のMg及びNaと固相のMgSiが共存する固相−液相反応法を用いて製造される。
【選択図】図2

Description

本発明は、p型熱電材料及びその製造方法に関する。
従来、熱エネルギーと電気エネルギーとの相互変換が可能な熱電変換素子が知られている。この熱電変換素子は、p型及びn型の二種類の熱電材料(熱電変換材料)を用いて構成されており、この二種類の熱電材料を電気的に直列に接続し、熱的に並列に配置した構成とされている。この熱電変換素子は、両端子間に電圧を印加すれば、正孔の移動及び電子の移動が起こり、両面間に温度差が発生する(ペルチェ効果)。また、この熱電変換素子は、両面間に温度差を与えれば、やはり正孔の移動及び電子の移動が起こり、両端子間に起電力が発生する(ゼーベック効果)。このため、熱電変換素子をパーソナルコンピュータのCPU、冷蔵庫、カーエアコン等の冷却用の素子として用いたり、ごみ焼却炉等から生ずる廃熱を利用した発電装置用の素子として用いたりすることが検討されている。また、自動車のエンジンの廃熱を利用して発電することも考えられている。
従来、熱電変換素子を構成する熱電材料として、BiTeやPbTe等が実用化されている。また、自動車の廃熱回収に使用するには軽量で資源的に豊富な材料が望まれている。
高性能の中高温用熱電材料としてMgSi(比重は約2)が知られている。MgSiはn型の熱電材料である。MgSiにCuやAgをドープ(添加)することによりp型の熱電材料が得られるとの記載がある(特許文献1参照。)
また、温度範囲が適切な熱電半導体素子として、所定の熱電半導体の組成を有する原料合金からなる母材にドーパントが所定方向に周期的にデルタドーピングされた熱電半導体素子が提案されている(特許文献2参照。)。特許文献2には、母材としてマグネシウムシリサイト(MgSi)を用いた場合、p型熱電素子を形成するアクセプターとしてB,Al,Ga,Zn,Fe,Pt,Na,Liを用いることができるとの記載がある。
また、低比抵抗(低電気抵抗率)で高いパワーファクターを有するn型の熱電材料として、Mg−Si化合物半導体にAlを添加した熱電材料が提案されている(特許文献3参照。)。この熱電材料は、Mg−Si化合物半導体にAlを添加した場合、MgSiのMg原子の一部とAl原子が置換することによってn型熱電半導体のキャリアである電子がAl原子より放出され、半導体中のキャリア濃度が増加することにより熱電材料の比抵抗が低下する。Mg原子の一部がAl原子で置換されることにより、MgSiの熱電能が低下する(ゼーベック係数の絶対値が小さくなる)が、比抵抗が低下することでパワーファクターが向上するとしている。
特開2004−18274号公報 特開2006−269818号公報 特開2002−368291号公報
ところが、MgSiにCuを添加してもp型にはならず、Agを添加した場合はp型になるが、軽量化の点で不利である。また、特許文献2には母材としてMgSiを用いた場合、p型熱電素子を形成するアクセプターとしてNaを用いることができるとの記載があるが、熱電材料としての効果や式量がわかる化学組成式を裏付ける具体的な記載はない。また、熱電材料として実用化されているBiTeやPbTeを構成する元素であるBi、Te及びPbの密度はそれぞれ、Bi(9.8)、Te(6.25)及びPb(11.34)であり、Mg及びSiの密度Mg(1.74)及びSi(2.34)に比較して大きく、軽量化の点で不利である。
また、特許文献3ではMg−Si化合物半導体にAlを添加した熱電材料が提案されているが、n型の熱電材料であり、Alを添加することでp型の熱電材料が得られることを示唆するものではない。
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は資源的に豊富な材料で構成されるとともに、軽量なMgSi系のp型熱電材料を提供することにある。
過去にMgSiにGeをドープした熱電材料を作製する際、NaClをフラックスとして使用して直接融解にて作製した場合、得られた熱電材料がp型の特性を示すことが知られている。NaClはMgの飛散防止のためにフラックスとして使用されているが、試料作製の際NaClが分解してNaがMgSiと反応を起こしていると推定されるため、MgSiへのNa単体での添加を検討した。その結果、Na原子の置換がMgSiのMgサイトで行われているMgSi系熱電材料がp型となることを見いだし、本願発明に至った。
前記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、Naが添加されたMgSiから成り、Na原子の置換がMgSiのMgサイトで行われている。ここで、「MgSiのMgサイト」とは、MgSiの結晶構造におけるMgの位置を意味し、MgSiのSiサイトとは、MgSiの結晶構造におけるSiの位置を意味する。したがって、Na原子の置換がMgSiのMgサイトで行われているとは、Na原子がMg原子と置換されていることを意味する。
ドーパント元素としてNaが添加されても、Na原子の置換がMgSiのSiサイトで行われている場合はn型熱電材料になる。しかし、この発明では、Na原子の置換がMgSiのMgサイトで行われているため、Naがアクセプターとしての役割を果たしてp型の熱電材料となる。また、この発明のp型熱電材料を構成する元素のいずれもが、地球上に存在する割合の多い元素であり、資源的に豊富な材料から製造できる。また、各構成元素は軽量であり、熱電材料も軽量となる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記Naの添加量は0.5at%より多く4.2at%以下である。この発明では、少ないNaの添加量でMgSi系のp型熱電材料が得られる。
請求項3に記載の発明は、p型熱電材料の製造方法であって、Mg粉末、Si粉末及び粒塊状のNaをそれぞれ所定の割合で混合した混合物をMgの融点以上、かつMgSiの融点未満に温度を調整した雰囲気に保持して、液相のMg及びNaと固相のMgSiが共存する固相−液相反応法を用いる。ここで、「所定の割合で混合する」とは、目的の熱電材料の化学組成式が、例えば、Mg66.7−xSi33.3Naで表される場合、Mg、Si及びNaをMg:Si:Na=66.7−x:33.3:xの原子比で混合することを意味する。
また、「粒塊状のNa」とは、粉末より大きく粉末状のMg及びSiと均一に混合し易い大きさの固体のNaを意味し、例えば、0.5mm〜数mmの大きさが好ましい。以下、この明細書では同様の意味で使用する。
MgSiの製造方法としてMg粉末及びSi粉末を所定の割合でボールミルにより所定時間処理するメカニカルアロイング処理を使用する方法がある。しかし、Mg粉末及びSi粉末にNaを混合したものにメカニカルアロイング処理、及び溶製法を施すことは難しい。この発明では、液相のMg及びNaと固相のMgSiが共存する状態で2Mg+Si→MgSiの反応が進むとともにNaがMgSiのMgと置換固溶化して、Na原子の置換がMgSiのMgサイトで行われているp型熱電材料を製造することができる。
固相−液相反応で熱電材料を製造する際、原料のMg、Si及びNaを均一に混合した状態で高温高圧に保持する必要がある。Mg及びSiは容易に粉末状態になるが、Naは粉末にできないため、処理し易い大きさ、例えば、0.5mm〜数mm程度の大きさに切断して使用する。そして、Mg、Si及びNaをMg:Si:Na=66.7−x:33.3:xの原子比で混合した混合物をMgの融点以上、かつMgSiの融点未満に温度を調整した雰囲気に保持して、液相のMg及びNaと固相のMgSi及びSiが共存する固相−液相反応法を行えば、化学組成がMg66.7−xSi33.3Naで表されるp型熱電材料を製造することができる。
請求項4に記載の発明は、Na及びAlが添加されたMgSiから成り、Na原子の置換がMgSiのMgサイトで行われており、Al原子は一部がMgSiのMgサイトで置換されており、一部が格子間位置の状態となっている。ドーパント元素としてNa及びAlが添加されても、Na原子の置換がMgSiのSiサイトで行われ、Al原子の置換がMgSiのMgサイトで行われている場合はn型熱電材料になる。しかし、この発明では、Na原子の置換がMgSiのMgサイトで行われているため、Naがアクセプターとしての役割を果たしてp型の熱電材料となる。また、Al原子は一部がMgSiのMgサイトで置換されており、一部が格子間位置の状態となっているため、n型熱電材料の性質が弱まり、熱電材料全体としてp型になる。また、Alも地球上に存在する割合が多く、軽量の元素である。したがって、この発明においても、資源的に豊富な材料から軽量のp型熱電材料を製造できる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記Naの添加量は0.5at%より多く4.2at%以下であり、前記Alの添加量は0.03at%以上0.07at%以下である。この発明では、少ないNa及びAlの添加量でMgSi系のp型熱電材料が得られる。
請求項6に記載の発明は、p型熱電材料の製造方法であって、Mg粉末、Si粉末、Al粉末及び粒塊状のNaをそれぞれ所定の割合で混合した混合物をAlの融点以上、かつMgSiの融点未満に温度を調整した雰囲気に保持して、液相のMg、Al及びNaと固相のMgSiが共存する固相−液相反応法を用いる。この発明では、液相のMg、Al及びNaと固相のMgSiが共存する状態で2Mg+Si→MgSiの反応が進むとともにNaがMgSiのMgと置換固溶化して、Na原子の置換がMgSiのMgサイトで行われているp型熱電材料を製造することができる。また、Al原子は一部がMgSiのMgサイトで置換され、一部が格子間位置の状態となる。
固相−液相反応で熱電材料を製造する際、原料のMg、Si、Al及びNaを均一に混合した状態で高温高圧に保持する必要がある。Mg、Si及びAlは容易に粉末状態になるが、Naは粉末にできないため、処理し易い大きさ、例えば、0.5mm〜数mm程度の大きさに切断して使用する。そして、Mg、Si、Na及びAlをMg:Si:Na:Al=66.7−(x+y):33.3:x:yの原子比で混合した混合物をAlの融点以上、かつMgSiの融点未満に温度を調整した雰囲気に保持して、液相のMg、Al及びNaと固相のMgSi及びSiが共存する固相−液相反応法を行えば、化学組成がMg66.7−x−ySi33.3NaAlで表されるp型熱電材料を製造することができる。
本発明によれば、資源的に豊富な材料で構成されるとともに、軽量なMgSi系のp型熱電材料を提供することができる。
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を説明する。
p型熱電材料はMg−Si系熱電材料であり、Naが添加されたMgSiから成り、Na原子の置換がMgSiのMgサイトで行われた構成となっている。p型熱電材料は化学組成式がMg66.7−xSi33.3Naで表される。
この熱電材料の製造方法として、Mg粉末、Si粉末及び粒塊状のNaをそれぞれ所定の割合で混合した混合物をMgの融点以上、かつMgSiの融点未満に温度を調整した雰囲気に保持して、液相のMg及びNaと固相のMgSi及びSiが共存する固相−液相反応法を用いる方法がある。
Naは大気との反応性が極めて高いので、不活性Arガス中及び真空中で素材を取り扱い、固相−液相反応法によりNaが添加されたMgSiを作製する。不活性ガス雰囲気でMg粉末、Si粉末及び粒塊状のNaをそれぞれ所定の割合で混合し、その後、真空中、高温高圧下(例えば、873〜995K、50MPa)で放電プラズマ処理を行うことにより固相−液相反応が行われる。
<実施例>
以下、実施例により詳細に説明する。但し、それらは例示であって、本発明を限定するものではない。
<固相−液相反応法によるp型熱電材料の作製>
Naは大気との反応性が極めて高いので、不活性Arガス雰囲気のグローブボックス内で、Mg、Si及びNaを取り扱った。Naを取り扱う際にNaと接触するスプーン、スパチュラ等の器具は水分を除去するためオーブンで100℃以上に加熱してグローブボックス内に入れた後、室温まで冷却して使用した。
Naは棒状のものから1mm程度の大きさに切り出した粒塊状のNaを秤量して使用し、Mg及びSiは市販のMg粉末及びSi粉末を使用した。なお、Mg粉末の平均粒径は180μm、Si粉末の平均粒径は45μmであった。Mg粉末、Si粉末及びNa粒塊をそれぞれ所定の割合で混合した後、放電プラズマ燒結装置(SPS装置)を用いて固相−液相反応法を行った。
燒結条件は、300秒で室温から873K迄昇温し、873Kに900秒保持した後、180秒かけて995K迄昇温し、995Kで300秒保持した後、420秒かけて773K迄降温した後、加圧及び加熱を停止する。SPS雰囲気はArガス5.0Paで、加圧は50MPaで行った。Mgの融点は651℃(924K)、沸点は1097℃(1370K)、Naの融点は97.8℃(370.8K)、沸点は881℃(1054K)、Siの融点は1414℃(1687K)、MgSiの融点は1102℃(1375K)である。したがって、995Kでは、Na及びMgは溶融状態となり、Si及びMgSiは溶融しない。また、995KはMgの沸点及びNaの沸点より低い。したがって、液相のMg及びNaと固相のSi及びMgSiが共存する状態となる。そして、Si付近では、固相−液相反応により、2Mg+Si→MgSiの反応が進むとともに、MgSiのMgサイトでNaの置換固溶化が起こる。所定時間反応させた後、冷却してp型熱電材料を得た。p型熱電材料として直径25mm、厚さ5mmのペレット状のものが得られた。
Mg66.7−xSi33.3Naで表される組成式において、xの値が1.0及び1.5に成るように原料を秤量して、一部がNaで置換固溶化された熱電材料(合金)を作製した(実施例1と2)。MgとSiの比率を変えないで、MgとSiの合計を100at%とした場合に、Naの添加量が0.5at%と1.0at%とした熱電材料も作成した(実施例3と4)。また、比較のため、Naの添加量を0at%とした熱電材料と、Mgの比率が多くなる場合にNaの添加量を1at%とした熱電材料も作成した(比較例1と2)。各例における合金の組成とMg、Si及びNaの仕込み組成を表1に示す。
Figure 2009094497
<X線回折>
作製した試料のX線回折(XRD)を行った結果、MgSiに基づくピークと、Siに基づくピークが確認された。しかし、Naのピークは確認されなかった。
<電気的性質の測定>
試料の電気的特性をULVAC理工(株)製の熱電能測定装置ZEM−1により測定した。この装置は、試料全体を加熱する加熱炉、計測機器、パソコン及び真空排気装置から構成されており、熱起電力E0及び電気抵抗率ρを測定することができる。
測定用試料は、角柱状のサンプルに切り出した。サンプルの各面を研磨して測定試料とした。この試料を高温端、低温端電極間に固定し、プローブを接触させた。一組のプローブで高温端温度Th、低温端温度Tc及びプローブ間電圧を測定した。
ゼーベック係数αは次式(1)から求められる。
α=E0/ΔT…(1)
但し、E0はプローブ間の熱起電力、ΔTはプローブ間の温度差(Th−Tc)である。
電気抵抗率ρは典型的な測定方法である四端子法により測定した。すなわち、定常電流(例えば、10mA)により生じた電圧降下を電圧端子間、この場合プローブ間で測定した。試料の断面積Aを使い、次式(2)で電気抵抗率ρを求めた。
ρ=(R・A)/L…(2)
但し、Lはプローブ間距離、Rは試料の抵抗値であり、R=V1/(V2/R1)で与えられる。但し、V1はプローブ間電圧、V2は基準抵抗器電圧、R1は基準抵抗値である。
実施例1〜実施例4、比較例1及び比較例2で得られた試料に関する電気抵抗率ρの温度依存性の測定結果を図1に示す。また、実施例1〜実施例4、比較例1及び比較例2で得られた試料に関するゼーベック係数αの温度依存性の測定結果を図2に示す。また、ゼーベック係数α及び電気抵抗率ρから計算したパワーファクターP(=α/ρ)の温度依存性を図3に示す。
図2から、実施例1〜実施例3の試料はゼーベック係数αの値が正でp型熱電材料であり、比較例1及び比較例2の試料はゼーベック係数αの値が負でn型熱電材料であることが確認された。また、実施例4の試料はゼーベック係数αの値が負であり、p型熱電材料ではないが、0に近い。このことから、Naが添加されたMgSiから成る熱電材料は、Na原子の置換がMgSiのMgサイトで行われている場合はp型となり易く、Na原子の置換がMgSiのSiサイトで行われている場合はn型となると考えられる。また、実施例3からNaの添加が0.5at%よりも多くなれば、p型の半導体になりやすいと考えられる。
この考えを裏付けるため、Naの置換サイト安定性を検討した。具体的にはMgSiにNaを添加した場合について、Mgサイト置換、Siサイト置換及び格子間位置の状態に対して、Mg原子数64個(Mgサイト置換の場合は63個)、Si原子数32個(Siサイト置換の場合は31個)、Na原子数1個(約1at%)のモデルについて状態密度(Density Of State:DOS)を第一原理計算により計算した。図4にMgサイト置換の場合の結果を示す。なお、縦軸は状態数、横軸はエネルギーレベルを示し、例えば、図4のグラフにおいて、−3eVのレベルの状態数は約70ということになる。また、Eはフェルミエネルギーであり、このエネルギーレベル以下の状態に電子が詰まっている。そして、フェルミエネルギーE上のDOSの傾きが負の場合はゼーベック係数が正の値をとり、熱電材料はp型の特性を示す。Mgサイト置換の場合は、図4に示すように、フェルミエネルギーE上のDOSの傾きが負になった。一方、格子間位置、Siサイト置換のモデルの場合は、フェルミエネルギーE上のDOSの傾きが正になった。
また、総原子数96個、Mg原子数60個、Si原子数32個、Na原子数4個(約4.2at%)のモデルについても同様に状態密度を計算した。その結果、Mgサイト置換の場合は、フェルミエネルギーE上のDOSの傾きが負になった。一方、格子間位置、Siサイト置換の場合は、フェルミエネルギーE上のDOSの傾きが正になった。即ち、Naが添加されたMgSiから成り、Na原子の置換がMgSiのMgサイトで行われている場合はp型熱電材料となることが確認できた。
また、Naの添加量が1.0at%と、Naの添加量が4.2at%の場合の状態密度のグラフを作成し比較すると、Naの添加量が4.2at%の方が、グラフ全体が高エネルギー側にシフトしていた。したがって、Naの添加量が多い方が、p型の傾向が強くなると考えられる。p型熱電材料を得るという視点では、Naの添加量は0.5at%より多く4.2at%以下が好ましい。
実施例1と実施例2より、図2に示すように、Naが添加されたMgサイト置換のMgSiのゼーベック係数の値は、Naの添加量が1.0at%の場合と1.5at%の場合とで殆ど変わらなかった。しかし、図1に示すように、電気抵抗率はNaの添加量が少ない場合の方が小さくなった。したがって、前記実験結果からは、Naの添加量を増やしても、パワーファクターは大きくならないため、Naの添加量は1at%〜2at%で良いと思われる。
MgSiは理論的には真性半導体である。しかし、固相−液相反応法を用いて製作したMgSiはn型の半導体になった。この理由としては、Siが析出することでSiが少なくなり、電子がホールに比べて多くなるためと考えられる。したがって、Naを添加してNa原子の置換がMgSiのMgサイトで行われているMgSi系熱電材料においても、固相−液相反応法で熱電材料を製作する際にSiの析出が抑制されれば電気抵抗が下がるため、得られる熱電材料はp型が強くなると考えられる。
そこで、Na添加試料とNa非添加試料のSi析出量に違いがあるか否かを観察した。観察には光学顕微鏡を使用した。具体的には、直径20mm、厚さ5mmの試料から電気的性質測定用のサンプルを切り出した残りの切断面の3箇所を、200倍の倍率で写真撮影し、その3枚の写真から析出Si粒子の平均個数及び平均粒径を求めた。結果を表2に示す。
Figure 2009094497
表2に示すように、Na原子の置換がMgSiのMgサイトで行われている実施例1及び実施例2の場合は、Naが添加されていないMgSi(比較例2)に比較して析出Si粒子の平均粒径が小さかった。また、Naの添加量が1.0at%の場合が、1.5at%の場合より平均粒径及び平均個数とも小さかった。また、Na原子の置換がMgSiのSiサイトで行われている比較例1の場合は、平均粒径及び平均個数ともNaが添加されていないMgSi(比較例2)とほぼ同じであった。
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)熱電材料はNaが添加されたMgSiから成り、Na原子の置換がMgSiのMgサイトで行われている。ドーパント元素としてNaが添加されても、Na原子の置換がMgSiのSiサイトで行われている場合はn型熱電材料になる。しかし、熱電材料はNa原子の置換がMgSiのMgサイトで行われているため、Naがアクセプターとしての役割を果たしてp型の熱電材料となる。また、このp型熱電材料を構成する元素のいずれもが、地球上に存在する割合の多い元素であり、資源的に豊富な材料から製造できる。また、各構成元素は軽量であり、熱電材料も軽量となる。
(2)p型熱電材料は、化学組成式がMg66.7−xSi33.3Na(0.5<x≦4.2)で表される。このp型熱電材料は、軽量で資源的に豊富な材料から製造することができる。
(3)Naが添加されたMgSiから成り、Na原子の置換がMgSiのMgサイトで行われている熱電材料において、Naの添加量を1at%〜2at%とした場合、少ないNaの添加量でMgSi系のp型熱電材料を得ることができる。
(4)MgSiのMgサイトにNaが置換固溶化されたp型熱電材料の製造方法として、Mg粉末、Si粉末及び粒塊状のNaをそれぞれ所定の割合で混合した混合物をMgの融点以上、かつMgSiの融点未満に温度を調整した雰囲気に保持して、液相のMg及びNaと固相のMgSi及びSiが共存する固相−液相反応法を用いる。MgSiの製造方法としてMg粉末及びSi粉末を所定の割合でボールミルにより所定時間処理するメカニカルアロイング処理を使用する方法がある。しかし、Mg粉末及びSi粉末にNaを混合したものにメカニカルアロイング処理及び溶製法を施すことは難しい。この実施形態では、液相のMg及びNaと固相のMgSi及びSiが共存する状態で2Mg+Si→MgSiの反応が進むとともにNaがMgSiのMgと置換固溶化して、Na原子の置換がMgSiのMgサイトで行われているp型熱電材料を製造することができる。
(5)固相−液相反応法を行う場合、Mg粉末、Si粉末及びNa粒塊をそれぞれ所定の割合で混合した後、放電プラズマ燒結装置(SPS装置)を用いて固相−液相反応法を行う。したがって、混合した材料を所定の高圧、高温状態に容易に加熱保持することができる。
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態を説明する。この実施形態では、MgSi系の熱電材料においてNaが添加されている点は第1の実施形態と同じであるが、従来は添加することによりn型となるAlが添加されているにも拘わらずp型の熱電材料が構成されている点が第1の実施形態と異なっている。第1の実施形態と同様の部分は詳しい説明を省略する。
p型熱電材料は、Na及びAlが添加されたMgSiから成り、Na原子の置換がMgSiのMgサイトで行われており、Al原子は一部がMgSiのMgサイトで置換されており、一部が格子間位置の状態となっている。p型熱電材料は化学組成式がMg66.7−x−ySi33.3NaAlで表される。
この熱電材料の製造方法として、Mg粉末、Si粉末、Al粉末及び粒塊状のNaをそれぞれ所定の割合で混合した混合物をAlの融点以上、かつMgSiの融点未満に温度を調整した雰囲気に保持して、液相のMg、Al及びNaと固相のMgSi及びSiが共存する固相−液相反応法を用いた。この熱電材料は、第1の実施形態の熱電材料に構成元素としてAlが加えられているが、Alの融点は660℃(933K)でMgの融点651℃(924K)より少し高いため、前記混合物をAlの融点以上、かつMgSiの融点未満に保持する。
不活性ガス雰囲気でMg粉末、Si粉末、Al粉末及び粒塊状のNaをそれぞれ所定の割合で混合し、その後、真空中、高温高圧下(例えば、873〜995K、50MPa)で放電プラズマ処理を行うことにより固相−液相反応が行われる。
<実施例>
以下、実施例により詳細に説明する。但し、それらは例示であって、本発明を限定するものではない。
<固相−液相反応法によるp型熱電材料の作製>
Al粉末が加わる他は、第1の実施形態と同じ条件でp型熱電材料を作製した。
Mg66.7−x−ySi33.3NaAlで表される組成式において、xの値が1.0でyの値が0.03及びxの値が1.0でyの値が0.07に成るように原料を秤量して、一部がNa及びAlで置換固溶化された熱電材料(合金)を作製した(実施例5と6)。また、比較のため、xの値が1.0でyの値が0.1とした熱電材料とx及びyの値を零とした熱電材料とを作製した(比較例3と4)。各例における合金の組成とMg、Si及びNaの仕込み組成を表3に示す。
Figure 2009094497
<電気的性質の測定>
作製した試料の電気的性質を第1の実施形態と同様にして測定し、電気抵抗率ρ及びゼーベック係数αを求めた。
実施例5、実施例6、比較例3及び比較例4で得られた試料に関する電気抵抗率ρの温度依存性の測定結果を図5に、ゼーベック係数αの温度依存性の測定結果を図6に示す。
図6から、実施例5及び実施例6の試料は、少なくとも300K〜700Kの範囲ではゼーベック係数αの値が正でp型熱電材料であり、比較例3及び比較例4の試料はゼーベック係数αの値が負でn型熱電材料であることが確認された。このことから、Na及びAlが添加されたMgSiから成る熱電材料は、Alの添加量によってp型になる場合とn型になる場合とがあり、実施例6からAlの添加が0.07at%よりも少なくなれば、p型の半導体になり易いと考えられる。
Na及びAlの添加されたMgSiから成る熱電材料が、Alの添加量によってp型の熱電材料になったり、n型の熱電材料になったりする理由として次のことが考えられる。Alのみを添加した場合にはAl原子はMgサイトに置換され易く、添加されたAl原子の殆どがMgサイトに置換されてn型の熱電材料となる。しかし、Na及びAlの両方が添加された場合は、NaがMgサイトに置換されることにより、Al原子は一部がMgサイトに置換されずに格子間位置の状態になり、熱電材料は全体としてNa原子のMgサイト置換の影響が大きな場合、即ちAlの添加量が少ない場合にp型熱電材料になると考えられる。
この考えを裏付けるため、Alの置換サイト安定性を検討した。先ず、Mg原子数64個、Si原子数32個をベースに、Na原子数及びAl原子数を各1個(添加濃度約1at%に相当)のモデルについて状態密度(Density Of State:DOS)を第一原理計算により計算した。但し、Na原子はMgサイト置換に固定し、Al原子がMgサイト置換(Mg原子数62個でSi原子数32個)、Siサイト置換(Mg原子数63個でSi原子数31個)及び格子間位置の状態(Mg原子数63個でSi原子数32個)に対して置換エネルギーを計算した。また、Na原子及びAl原子がMgサイト置換の場合の状態密度を計算した。置換エネルギーの計算結果を表4に示し、状態密度の計算結果を図7に示す。
Figure 2009094497
表4に示すように、置換エネルギーはAl原子がMgサイト置換の場合に最も小さく、エネルギー的に安定となるため、Al原子はMgサイトに置換すると考えられる。しかし、図7のグラフにおいて、フェルミエネルギーE上のDOSの傾きが、正・負どちらとも言えない状態であり、十分にp型が安定とは言い切れない。
p型熱電材料が得られた実施例5及び実施例6の試料はAlの添加量が0.03at%及び0.07at%であり、Alの添加量が約1at%のモデルに比べて非常に少ない。
Alの添加量が0.03at%や0.07at%のモデルでシミュレーションを行いたいが、計算量が膨大になるため困難である。そこで、MgSiにNaの添加量を1at%とし、Alの添加量が約2at%及び約4at%に相当するAlの添加量が多いモデル、即ちMg原子数64個、Si原子数32個をベースに、Na原子数が1個Mgサイト置換され、Al原子数が2個及び4個Mgサイト置換されたモデルについてシミュレーションを行った。Na原子が1個Mgサイト置換されたMg65.7Si33.3Na1.0のMgサイトへ、Al原子を1個、2個及び4個置換する場合に要するエネルギーと、格子間位置へAlが固溶する場合に要するエネルギーとの差を計算した。計算結果を表5に示す。また、Na原子を1個Mgサイトに置換し、Al原子を1個Mgサイトに置換した場合の状態密度の計算結果を図7に、Na原子を1個Mgサイトに置換し、Al原子を4個Mgサイトに置換した場合の状態密度の計算結果を図8示す。
Figure 2009094497
ここで、δE[Interstitial]とは、Mg65.7Si33.3Na1.0の格子間位置へAlがxat%固溶する場合に要するエネルギーを意味する。また、δE[Mg]とは、Mg65.7Si33.3Na1.0のMgサイトへAlをxat%at置換する場合に要するエネルギーを意味する。
表5から、Alの添加量を増やした場合に、Al原子はMgサイト置換の状態がより安定となることが確認できる。したがって、Al添加量を減らした場合には、Al原子のMgサイト置換の状態と格子間位置の状態の位置エネルギーの差が小さくなると予想される。
図7及び図8から、Alの添加量を増やした場合(Mgサイト置換を増やした場合)、フェルミエネルギーEの位置が高エネルギー側へシフトする傾向が見られる(バンド幅が変わっているようにも見える。)。
これらの結果から、Alの添加量を減らした場合には、Al原子のMgサイト置換の状態と格子間位置の状態の位置エネルギーの差が小さくなることと、フェルミエネルギーEの位置が低エネルギー側にシフトし、フェルミエネルギーE上のDOSの傾きが負になることとが予想される。そして、フェルミエネルギーE上のDOSの傾きが負になる場合は、熱電材料はp型になる。したがって、実施例5及び実施例6で作製された試料は、Al原子の一部がMgサイト置換の状態で、一部が格子間位置の状態で固溶化していると考えられる。また、Al量を少なくする方が、p型が安定となる。
この第2の実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(6)熱電材料はNa及びAlが添加されたMgSiから成り、Na原子の置換がMgSiのMgサイトで行われており、Al原子は一部がMgSiのMgサイトで置換されており、一部が格子間位置の状態となっている。したがって、n型熱電材料の性質が弱まり、熱電材料全体としてp型になる。また、Alも地球上に存在する割合が多く、軽量の元素であり、資源的に豊富な材料から軽量のp型熱電材料を製造できる。
(7)化学組成がMg66.7−x−ySi33.3NaAl(但し、0.5<x≦4.2、0.03≦y≦0.07)で表される熱電材料はp型熱電材料となり、少ないNa添加量及びAl添加量でMgSi系のp型熱電材料を得ることができる。
(8)Na及びAlが添加されたMgSiから成るp型熱電材料の製造方法として、Mg粉末、Si粉末、Al粉末及び粒塊状のNaをそれぞれ所定の割合で混合した混合物をAlの融点以上、かつMgSiの融点未満に温度を調整した雰囲気に保持して、液相のMg、Al及びNaと固相のMgSiが共存する固相−液相反応法を用いる。MgSiの製造方法としてMg粉末及びSi粉末を所定の割合でボールミルにより所定時間処理するメカニカルアロイング処理を使用する方法がある。しかし、Mg粉末、Si粉末及びAl粉末にNaを混合したものにメカニカルアロイング処理及び溶製法を施すことは難しい。この実施形態では、液相のMg、Al及びNaと固相のMgSi及びSiが共存する状態で2Mg+Si→MgSiの反応が進むとともにNaがMgSiのMgと置換固溶化され、Al原子は一部がMgSiのMgサイトで置換され、一部が格子間に侵入した状態で固溶化されてMgSi系のp型熱電材料を製造することができる。
(9)固相−液相反応法を行う場合、Mg粉末、Si粉末、Al粉末及びNa粒塊をそれぞれ所定の割合で混合した後、放電プラズマ燒結装置(SPS装置)を用いて固相−液相反応法を行う。したがって、混合した材料を所定の高圧、高温状態に容易に加熱保持することができる。
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば次のように構成してもよい。
○ Naが添加されたMgSi系のp型熱電材料を放電プラズマ燒結装置により固相−液相反応法で製造する場合、加熱条件は前記実施形態の条件に限らない。例えば、Mg粉末、Si粉末及び粒塊状のNaをそれぞれ所定の割合で混合した混合物をMgの融点以上まで加熱する際、途中でMgの融点未満の高温(例えば、873K)に保持せず、所定の昇温勾配でMgの融点以上まで加熱してもよい。また、混合物をMgの融点以上で保持する時間や昇温勾配等を適宜変更してもよい。
○ Naが添加されたMgSi系のp型熱電材料を固相−液相反応法において製造する場合、Mg粉末、Si粉末及び粒塊状のNaをそれぞれ所定の割合で混合した混合物をMgの融点以上、かつMgSiの融点未満に温度を調整した雰囲気に保持して、液相のMg及びNaと固相のMgSi及びSiが共存する状態を所定時間継続できればよい。したがって、必ずしも高圧下で反応させる必要はないため、放電プラズマ燒結装置を使用せずに、他の装置を使用してもよい。
○ Na及びAlが添加されたMgSi系のp型熱電材料を放電プラズマ燒結装置により固相−液相反応法で製造する場合、加熱条件は前記実施形態の条件に限らない。例えば、Mg粉末、Si粉末、Al粉末及び粒塊状のNaをそれぞれ所定の割合で混合した混合物をAlの融点以上まで加熱する際、途中でAlの融点未満の高温(例えば、873K)に保持せず、所定の昇温勾配でAlの融点以上まで加熱してもよい。また、混合物をAlの融点以上で保持する時間や昇温勾配等を適宜変更してもよい。
○ Na及びAlが添加されたMgSi系のp型熱電材料を固相−液相反応法において製造する場合、Mg粉末、Si粉末、Al粉末及び粒塊状のNaをそれぞれ所定の割合で混合した混合物をAlの融点以上、かつMgSiの融点未満に温度を調整した雰囲気に保持して、液相のMg、Al及びNaと固相のMgSi及びSiが共存する状態を所定時間継続できればよい。したがって、必ずしも高圧下で反応させる必要はないため、放電プラズマ燒結装置を使用せずに、他の装置を使用してもよい。
○ Naに代えてアルカリ金属としてLi又はKが添加されたMgSiから成り、アルカリ金属原子の置換がMgSiのMgサイトで行われているp型熱電材料としてもよい。Li及びKはNaより軽量のため、得られるp型熱電材料はより軽量となる。また、Liは地球上に存在する割合はそれほど多くないが、Kは地球上に存在する割合がNaと同程度であるため、Naに代えてKを添加した場合も、資源的に豊富な材料で構成されるとともに、軽量なMgSi系のp型熱電材料を提供することができる。
○ MgSi系へのNa添加は、Mg66.7Si33.3で表される組成式に代えて、Mg65.7Si33.3で表される組成式で行われてもよい。
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(1)Na、Li及びKのいずれかのアルカリ金属が添加されたMgSiから成り、前記アルカリ金属原子の置換がMgSiのMgサイトで行われていることを特徴とするp型熱電材料。
第1の実施形態の各熱電材料の電気抵抗率と温度との関係を示すグラフ。 各熱電材料のゼーベック係数と温度との関係を示すグラフ。 各熱電材料のパワーファクターと温度との関係を示すグラフ。 NaがMgサイト置換されたMgSiの状態密度を示すグラフ。 第2の実施形態の各熱電材料の電気抵抗率と温度との関係を示すグラフ。 各熱電材料のゼーベック係数と温度との関係を示すグラフ。 1個のNa原子及び1個のAl原子がMgサイト置換されたMgSiの状態密度を示すグラフ。 1個のNa原子及び4個のAl原子がMgサイト置換されたMgSiの状態密度を示すグラフ。

Claims (6)

  1. Naが添加されたMgSiから成り、Na原子の置換がMgSiのMgサイトで行われていることを特徴とするp型熱電材料。
  2. 前記Naの添加量は0.5at%より多く4.2at%以下である請求項1に記載のp型熱電材料。
  3. Mg粉末、Si粉末及び粒塊状のNaをそれぞれ所定の割合で混合した混合物をMgの融点以上、かつMgSiの融点未満に温度を調整した雰囲気に保持して、液相のMg及びNaと固相のMgSiが共存する固相−液相反応法を用いることを特徴とするp型熱電材料の製造方法。
  4. Na及びAlが添加されたMgSiから成り、Na原子の置換がMgSiのMgサイトで行われており、Al原子は一部がMgSiのMgサイトで置換されており、一部が格子間位置の状態となっていることを特徴とするp型熱電材料。
  5. 前記Naの添加量は0.5at%より多く4.2at%以下であり、前記Alの添加量は0.03at%以上0.07at%以下である請求項4に記載のp型熱電材料。
  6. Mg粉末、Si粉末、Al粉末及び粒塊状のNaをそれぞれ所定の割合で混合した混合物をAlの融点以上、かつMgSiの融点未満に温度を調整した雰囲気に保持して、液相のMg、Al及びNaと固相のMgSiが共存する固相−液相反応法を用いることを特徴とするp型熱電材料の製造方法。
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