JPH0948605A - 炭化ケイ素単結晶製造用高純度炭化ケイ素粉体の製造方法及び単結晶 - Google Patents

炭化ケイ素単結晶製造用高純度炭化ケイ素粉体の製造方法及び単結晶

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JPH0948605A
JPH0948605A JP7241856A JP24185695A JPH0948605A JP H0948605 A JPH0948605 A JP H0948605A JP 7241856 A JP7241856 A JP 7241856A JP 24185695 A JP24185695 A JP 24185695A JP H0948605 A JPH0948605 A JP H0948605A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶欠陥の数が少ない優れた炭化ケイ素
単結晶を製造する原料としての、不純物含有量が0.5
ppm以下で、好適な粒径を有する炭化ケイ素粉体の製
造方法を提供する。 【解決手段】 高純度テトラエトキシシラン等をケイ素
源とし、ノボラック型フェノール樹脂等を炭素源とし、
これらの混合物を非酸化性雰囲気下において加熱焼成し
て炭化ケイ素粉体を得る炭化ケイ素生成工程と、得られ
た炭化ケイ素粉体を、1700℃以上2000℃未満の
温度に保持し、該温度の保持中に、2000℃〜210
0℃の温度において5〜20分間にわたり加熱する処理
を少なくとも1回行う後処理工程とを含み、平均粒径が
10μm〜500μmで、且つ、各不純物元素の含有量
が0.5ppm以下である炭化ケイ素粉体を得ることを
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Siに比べて禁制
帯幅が広く、絶縁破壊電界が大きいなどの特性を有し、
半導体デバイスの高性能化に有望と思われる炭化ケイ素
単結晶をより良好な特性にて育成するための高純度炭化
ケイ素粉体の製造方法及びこの製造方法により得られる
高純度炭化ケイ素粉体を原料とする炭化ケイ素単結晶に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、炭化ケイ素単結晶の製造方法とし
ては、高純度黒鉛容器を用い、炭化ケイ素の種結晶上に
炭化ケイ素粉体を2000℃以上の高温で昇華し、炭化
ケイ素単結晶を得る改良レーリー法(改良昇華再結晶
法)が知られている。
【0003】一方、炭化ケイ素粉体の製造方法として
は、一般的にケイ砂と石油コークスを原料とし、炭化ケ
イ素粉体を得るアチソン法が知られている。しかし、こ
の方法によれば、上記原料中に不純物が多く含まれてい
るために、得られた炭化ケイ素粉体を炭化ケイ素単結晶
製造に用いた場合、単結晶中に不純物が混入するだけで
なく、結晶欠陥も多発することが開示されている〔第5
1回応用物理学会学術公演予稿集29−W−1(199
0)〕。
【0004】また、特開平6−219896号にはn型
炭化ケイ素単結晶の育成に際し、不純物の含有割合が1
ppm以下の高純度炭化ケイ素粉体を原料として用いる
ことが記載されている。しかし、その製造方法について
は、一切記載されていない。このような高純度の炭化ケ
イ素粉体は市販されておらず、高純度の炭化ケイ素粉体
を得る方法としては、特開平5−24818号に開示さ
れており、これにより得られる高純度の炭化ケイ素粉体
の各不純物元素量は1ppm以下を達成している。この
方法によれば高純度の液状のケイ素源と、液状の炭素源
を原料として用いることにより、生成した炭化ケイ素の
純度を1ppm以下に保っているが、高純度原料は取り
扱いが困難であり、炭化ケイ素生成における中間プロセ
スでの不純物の混入に細心の注意が必要であるという問
題があり、高純度炭化ケイ素粉体を得るのは非常に困難
である。
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従
来より問題となっている結晶欠陥の数がより少なく、ま
た、電子特性上もより優れた炭化ケイ素単結晶を製造す
るための原料としての、前記の欠陥や特性不良の原因と
なる不純物含有量を0.5ppm以下に抑え、また昇華
法による単結晶育成条件下で比表面積の大幅な減少を起
こすことなく、安定した昇華速度を示す粒径を有する炭
化ケイ素粉体を得るための製造方法、及び、その製造方
法により得られた炭化ケイ素粉体を原料とした炭化ケイ
素単結晶を提供することである。
【0006】
【問題点を解決するための手段】本発明の炭化ケイ素単
結晶製造用高純度炭化ケイ素粉体の製造方法は、高純度
のテトラアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン重
合体、酸化ケイ素から選択される1種以上をケイ素源と
し、酸素を分子内に含有し、加熱により炭素を残留する
高純度有機化合物を炭素源とし、これらを均質に混合し
て得られた混合物を非酸化性雰囲気下において加熱焼成
して炭化ケイ素粉体を得る炭化ケイ素生成工程と、得ら
れた炭化ケイ素粉体を、1700℃以上2000℃未満
の温度に保持し、該温度の保持中に、2000℃〜21
00℃の温度において5〜20分間にわたり加熱する処
理を少なくとも1回行う後処理工程とを含み、前記2工
程を行うことにより、平均粒径が10μm〜500μm
で、且つ、各不純物元素の含有量が0.5ppm以下で
ある炭化ケイ素粉体を得ること、を特徴とする。
【0007】本発明の請求項2に係る炭化ケイ素単結晶
製造用高純度炭化ケイ素粉体の製造方法は、前記200
0℃〜2100℃の加熱処理を、断続的に2回以上行う
ことを特徴とする。
【0008】本発明の請求項3に係る炭化ケイ素単結晶
製造用高純度炭化ケイ素粉体の製造方法は、前記炭素源
が、常温で液状であるか、若しくは、加熱により軟化又
は液状となる物質であることを特徴とする。
【0009】本発明の請求項4に係る炭化ケイ素単結晶
製造用高純度炭化ケイ素粉体の製造方法は、前記混合物
が、前記炭化ケイ素生成工程における加熱焼成前に非酸
化性雰囲気下で500℃〜1000℃にて予め加熱炭化
されることを特徴とする。
【0010】本発明の請求項5に係る炭化ケイ素単結晶
製造用高純度炭化ケイ素粉体の製造方法は、前記混合物
を、前記炭化ケイ素生成工程における加熱焼成前に熱及
び/又は硬化触媒で硬化することを特徴とする。
【0011】本発明の請求項6に係る炭化ケイ素単結晶
製造用高純度炭化ケイ素粉体の製造方法は、前記混合物
に、ハロゲン化合物を0.5〜5重量%添加することを
特徴とする。
【0012】本発明の請求項7に係る炭化ケイ素単結晶
製造用高純度炭化ケイ素粉体の製造方法は、前記加熱焼
成における非酸化性雰囲気中に、1〜5容量%のハロゲ
ン又はハロゲン化水素を添加して焼成し、得られた炭化
ケイ素粉体中の不純物含有量が0.3ppm以下である
こと、を特徴とする。
【0013】本発明の請求項8に係る炭化ケイ素単結晶
製造用高純度炭化ケイ素粉体の製造方法は、前記混合物
の非酸化性雰囲気下での加熱焼成において、加熱焼成用
加熱炉内に、さらに、一定量の非酸化性雰囲気ガスを導
入することにより、焼成時に発生したSiO、COを含
む気体を、該ガスとともに該加熱炉外へ除去すること、
を特徴とする。
【0014】本発明の請求項9に係る炭化ケイ素単結晶
は、前記請求項1乃至8に記載された製造方法で作られ
た炭化ケイ素単結晶製造用高純度炭化ケイ素粉体を原料
として用い、種結晶上に昇華再結晶法で成長させた、欠
陥密度が5×102 個/cm 2 以下の六方晶又は一部に
菱面体晶を含む六方晶であることを特徴とする。
【0015】すなわち、本発明者らは高純度ケイ素源と
高純度炭素源を用いて、高純度炭化ケイ素粉体を製造す
るにあたって、原料の高純度化だけではなく、焼成温度
パターン(あるいは熱履歴)に着目して、鋭意検討を重
ねた結果、焼成過程において生成した炭化ケイ素粉体
を、さらに1700℃以上2000℃未満の温度に保持
する際に起こる粒子成長過程で不純物が粒子外周部に移
動すること、及び、2000℃〜2100℃にて5〜2
0分間加熱焼成処理を行うことにより更なる粒成長と表
面の昇華分解を生起せしめることで不純物の高効率除去
が達成され、安定した高純度炭化ケイ素粉体が得られる
ことを知見し、本発明に至ったものである。
【0016】以下に、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明において、ケイ素源としては、高純度のテトラア
ルコキシシラン、その重合体、酸化ケイ素から選択され
る1種以上を用いる。本発明において酸化ケイ素とは、
二酸化ケイ素、一酸化ケイ素を包含するものとする。ケ
イ素源としては、具体的には、テトラエトキシシランに
代表されるアルコキシシラン、その低分子量重合体(オ
リゴマー)、及び、さらに重合度が高いケイ酸ポリマー
等や、シリカゾル、微粉体シリカ等の酸化ケイ素化合物
が挙げられる。アルコキシシランとしては、メトキシシ
ラン、エトキシシラン、プロポキシシラン、ブトキシシ
ラン等が例示され、なかでも、ハンドリング性の観点か
ら、エトキシシランが好ましく用いられる。
【0017】ここでオリゴマーとは重合度2〜15程度
の重合体を指す。これらケイ素源のなかでも、均質性や
ハンドリング性が良好な観点から、テトラエトキシシラ
ンのオリゴマー及びテトラエトキシシランのオリゴマー
と微粉体シリカとの混合物等が好適である。また、これ
らのケイ素源は高純度の物質が用いられ、初期の不純物
含有量が20ppm以下であることが好ましく、5pp
m以下であることがさらに好ましい。
【0018】炭素源として用いられる物質は、酸素を分
子内に含有し、加熱により炭素を残留する高純度有機化
合物であるが、具体的には、フェノール樹脂、フラン樹
脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂やグルコース等の単
糖類、蔗糖等の少糖類、セルロース、デンプン等の多糖
類などの等の各種糖類が挙げられる。これらはケイ素源
と均質に混合するという目的から、常温で液状のもの、
溶媒に溶解するもの、熱可塑性或いは熱融解性のように
加熱することにより軟化するもの或いは液状となるもの
が主に用いられるが、なかでも、レゾール型フェノール
樹脂やノボラック型フェノール樹脂が好適である。
【0019】本発明において、ケイ素源と炭素源の均質
混合物を得る際に、混合物を硬化させて固形物とするこ
とも必要に応じて行われる。例えば、前記の如く、液状
の炭素源を用いた場合は、ケイ素源と炭素源の均質混合
物を硬化して、その後の炭化ケイ素生成工程を施すもの
である。硬化の方法としては、加熱により架橋する方
法、硬化触媒により硬化する方法、電子線や放射線によ
る方法が挙げられる。硬化触媒としては、炭素源がフェ
ノール樹脂やフラン樹脂の場合は、トルエンスルホン
酸、トルエンカルボン酸、酢酸、しゅう酸、塩酸、硫酸
等の酸類、ヘキサミンなどのアミン類などを用いること
ができる。炭素源として各種糖類を用いる場合は、加熱
時に酸素、オゾン或いは空気雰囲気中で不融化した後、
非酸化性雰囲気下での炭化工程に進むのが好ましい。
【0020】本発明においては、さらに純度を向上さ
せ、均一性を増すための手段として原料混合物にハロゲ
ン化合物を0.5〜5重量%添加することができる。原
料混合物にハロゲン化合物を添加することにより、炭化
ケイ素合成プロセスの中で不純物をハロゲン化し、焼成
プロセスで気化、飛散させて不純物を除去するものであ
る。この方法は、原料に混入した不純物の除去に特に有
効で、炭化ケイ素を基礎として5ppmまでの不純物で
あれば、処理後の不純物を0.5ppm以下に抑制する
ことができる。
【0021】ハロゲン化合物の添加時期は、原料を混合
する時点が最も適している。添加するハロゲン化合物と
しては、原料が液状又は水溶液状で混合されている場合
は、塩化アンモニウム、塩酸水溶液など不純物を含まな
い液状形態での添加が望ましい。また、炭素源として熱
可塑性フェノール樹脂やフラン樹脂を用い、固体状のケ
イ素源を用いる場合は、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエ
チレン、ポリクロロプレン等のハロゲンを含むポリマー
を添加することが好適である。
【0022】ハロゲン化合物を添加した場合の不純物除
去は、原料硬化固形物の炭化工程、あるいは、直接焼成
する場合には焼成工程、それぞれの昇温時にハロゲン化
合物が分解して不純物元素と反応し、排出されることに
より行われるが、ハロゲン化物の分解温度近傍で10〜
30分間反応をさせてから、その後の焼成工程の温度ま
で昇温を行うことが、不純物除去の効果の観点からさら
に好ましい。
【0023】また、炭化ケイ素生成工程における加熱焼
成の非酸化性雰囲気中に1〜5容量%のハロゲンあるい
はハロゲン化水素を添加する方法を用いれば、各不純物
元素の含有量を0.3ppm以下まで減少させることも
可能である。この方法は焼成工程以前のすべての工程に
おける不純物汚染に対して効果があり、20ppm以下
の汚染に対して十分な効果を発揮する。
【0024】本発明においては、原料混合固形物を必要
に応じて500〜1000℃に予め加熱する焼成工程
(予備加熱炭化焼成工程)をさらに加えることもでき
る。前記の如くハロゲン化合物を添加する場合には、原
料混合物を非酸化性雰囲気下で500〜600℃の温度
加熱で10〜30分間加熱し、その後、非酸化性雰囲気
下で800〜1000℃の温度で30分間〜2時間加熱
する、二段炭化(予備加熱炭化焼成工程)を行うことが
好ましい。この800〜1000℃での加熱は、30分
間以下であると前処理として不十分であり、2時間を超
えて加熱を継続しても効果の向上は見られない。また、
非酸化性雰囲気としては、窒素あるいは、アルゴンなど
を用いるが、経済的理由からは窒素が望ましい。
【0025】次に加熱焼成工程について詳述する。予備
炭化により得られた、あるいは未炭化の原料混合物又は
原料混合後に硬化された固形物が、炭化ケイ素生成工程
における非酸化性雰囲気中での加熱(炭化)焼成を経る
ことにより、即ち、予備炭化された固形物を加熱焼成す
るか、未炭化物をここで加熱炭化焼成することにより、
炭化ケイ素粉体が生成する。この非酸化性雰囲気として
は、高温においても非反応性であることから、アルゴン
を用いることが望ましい。焼成過程では、まず炭化ケイ
素生成のために、原料固形物を加熱炉内で生成に必要な
温度以上に加熱する必要がある。一般的には、1350
〜1800℃で行うが、より効率的な生成を行うために
は1600〜1800℃が望ましい。この炭化ケイ素生
成反応は、吸熱反応であるため生成物の温度測定には注
意をしなくてはならない。
【0026】また、焼成中に発生するSiO、COを含
む気体は不純物元素を大量に伴っているため、加熱炉中
に一定量の非酸化性雰囲気ガスを適切に導入することに
よりこれらの発生気体を反応容器系外へ絶えず排出し、
除去することが望ましい。
【0027】かくして生成した炭化ケイ素粒子を成長さ
せるために、その後、後処理工程において、ある程度の
高温に加熱し、その温度を保持することが好ましく、こ
れは1700℃以上2000℃未満で実施される。この
加熱の際、炭化ケイ素粒子の結晶子の増大及び粒子成長
に伴って、粒子表面近傍に不純物が移動することが不純
物分析の結果より明らかとなっている。
【0028】前記炭化ケイ素生成工程により得られた炭
化ケイ素粉体を、前記1700℃以上2000℃未満の
温度に保持しながら、さらに、2000℃〜2100℃
の温度において5〜20分間にわたり加熱する加熱処理
を少なくとも1回行うことにより、その表面近傍不純物
が更なる粒成長と一部昇華分解に伴って外部に除去さ
れ、目的とする純度を達成した炭化ケイ素粉体が得られ
ることになる。
【0029】炭化ケイ素粒子生成後の後処理工程におい
て行われるこの2000℃〜2100℃の温度における
5〜20分間の加熱処理は、前記の如き不純物の除去の
観点に加え、結晶粒径の制御の観点からも好ましい。即
ち、加熱によって更なる粒成長が起こり、所望の粒径を
有する粉体を得ることができるものである。このとき加
熱温度が2000℃未満であると不純物の除去が不十分
となり、2100℃を超えると炭化ケイ素の分解が進み
すぎ、均一なものが得られない虞があり好ましくない。
【0030】この後処理工程における2000℃〜21
00℃の加熱処理は、炭化ケイ素粒子生成後の1700
℃以上2000℃未満の温度保持中に、例えば、5〜2
0分間にわたって1回のみ行われてもよく、また、5〜
20分間にわたって昇温・保持後に雰囲気温度(即ち、
1700℃以上2000℃未満の温度)まで降温し、そ
の後、間隔をあけて同様の操作を任意の回数繰り返すこ
ともできる。この時、1回の工程における加熱、温度保
持時間は、5〜20分間であることが好ましく、5分間
未満であると効果が不十分であり、20分間を超えると
炭化ケイ素の分解が進みすぎる虞がある。また、この加
熱処理を数回繰り返して行う場合には、雰囲気温度から
2000℃〜2100℃の温度まで加熱して5〜20分
間その温度に保持した後、雰囲気温度まで降温し、その
温度を保持した後、再度前記の昇温、温度保持、降温を
前記1700℃以上2000℃未満の温度保持中に等間
隔で繰り返すことが好ましい。また、2000℃〜21
00℃の温度まで加熱して5〜20分間その温度に保持
した後、雰囲気温度まで降温する場合は、その温度を昇
温して保持した時間の2倍以上の時間にわたり雰囲気温
度で保持した後、再度前記の昇温、温度保持、降温を繰
り返すことが好ましい。この加熱処理を数回繰り返す場
合の、2000℃〜2100℃の温度に保持する時間の
合計は60分間以下であることが好ましい。この加熱処
理における加熱時間は、前記条件のなかで行われること
が好ましいが、温度を2000℃付近で加熱する場合に
は、加熱時間は長めに、また、2100℃付近で加熱す
る場合には、加熱時間は短めに行うことが好適である。
【0031】通常、雰囲気1気圧下では炭化ケイ素は温
度が2000℃を超えると分解が始まることが知られて
いるが、2000℃を超える場合には前記の如く加熱時
間及び加熱処理の間隔を制御することにより、目的純度
と目標粒径を達成することができる。
【0032】本発明の製造方法においては、本発明の前
記加熱条件を満たしうるものであれば、特に製造装置及
び連続製造、バッチ製造等の方法に制限はない。即ち、
この炭化ケイ素生成工程における加熱(炭化)焼成と、
後処理工程における加熱処理とは、1つの加熱炉内で、
温度及び時間などの加熱条件を制御しながら連続的に行
ってもよく、炭化ケイ素生成工程において生成した炭化
ケイ素粉体を、別の加熱炉に移して後処理工程に付して
もよい。
【0033】このように、炭化ケイ素生成工程を経て炭
化ケイ素粉体を形成した後に、非常に高温での加熱処理
(後処理工程)を置くことにより、炭化ケイ素生成工程
の中間段階で若干の純度の低下が生じたとしても、この
後処理により純化されて、0.5ppm以下の高純度が
安定的に得られると推定される。但し、中間段階での不
純物混入量が炭化ケイ素を基準として2ppmを超える
と、得られる炭化ケイ素粉末の不純物を0.5ppm以
下を保つことが難しくなるので、不純物混入防止のため
のプロセス管理は必要である。しかしながら、2000
〜2100℃の加熱処理を含まない場合に比べ、純度の
安定性、即ち、不純物含有量のばらつきは明らかに改良
され、不純物含有量のより少ない均一な炭化ケイ素粉体
が得られる。また、炭化ケイ素粉末の平均粒径も、通常
の焼成工程のみにより得られる5μm以下から、本発明
を方法を用いることにより10〜500μmに増大し、
粒度分布も従来品に比較して均一となる。
【0034】本発明の原料であるケイ素源と炭素源の純
度は、各不純物元素含有量1ppm以下であることが好
ましいが、焼成工程での純化の許容範囲内であれば必ず
しもこれに限定するものではない。また、ここで不純物
元素とは、1989年IUPAC無機化学命名法改訂版
の周期律表における1族から16族元素に属し、且つ、
原子番号3以上であり、原子番号6〜8及び同14〜1
6の元素を除く元素をいう。
【0035】本発明において、炭素とケイ素の比(以
下、C/Si比と略記)は、混合硬化固形物を炭化して
得られる炭化物中間体を、元素分析することにより定義
される。化学量論的には、C/Si比が3.0の時に生
成炭化ケイ素中の遊離炭素が0%となるはずであるが、
実際には同時に生成するSiOガスの揮散により低C/
Si比において遊離炭素が発生する。この生成炭化ケイ
素粉体中の遊離炭素量が単結晶製造用途に適当でない量
にならないように予め配合を決定することが重要であ
る。通常、1気圧近傍で1600℃以上での焼成では、
C/Si比を2.0〜2.5にすると遊離炭素を抑制す
ることができ、この範囲を好適に用いることができる。
C/Si比を2.5以上にすると遊離炭素が顕著に増加
するが、この遊離炭素は粒成長を抑制する効果を持つた
め、粒子形成の目的に応じて適宜選択しても良い。但
し、雰囲気の圧力を低圧又は高圧で焼成する場合は、純
粋な炭化ケイ素を得るためのC/Si比は変動するの
で、この場合は必ずしも前記C/Si比の範囲に限定す
るものではない。
【0036】本発明の製造方法により得られた炭化ケイ
素の平均粒径は10〜500μmであり、好ましくは3
0〜200μmである。平均粒径が10μm以下になる
と、単結晶を作るための炭化ケイ素の昇華温度(200
0〜5000℃)で焼結を起こし、昇華表面積が小さく
なり、単結晶の成長が遅くなる。また、500μm以上
になると、粒子自身の比表面積が小さくなるため、やは
り単結晶の成長が遅くなる。
【0037】本発明の高純度炭化ケイ素原料粉体を用い
て炭化ケイ素単結晶を得るためには、改良レーリー法等
の公知の方法を用いることができる。例えば、黒鉛容器
上蓋の部分に種結晶として、研磨によりSi面が現れて
いる単結晶板を設置し、この黒鉛容器中に前記の製造方
法で得られた炭化ケイ素粉体を充填し、昇華再結晶法に
より単結晶の育成を行う方法等を挙げることができる。
【0038】本発明の高純度炭化ケイ素原料粉体から得
られた単結晶が、従来の製造方法で得られたものに比べ
優位性があることを確認するために、改良レーリー法
(種結晶を有する昇華再結晶法)を用いて単結晶の育成
を試みた。
【0039】ここで炭化ケイ素単結晶の製造装置につい
て比べる。まず、炭化ケイ素単結晶の製造装置10の概
略図を図1に示す。炭化ケイ素単結晶の製造装置10の
中心には円筒型黒鉛容器12がおかれ、円筒型黒鉛容器
12内に原料となる炭化ケイ素粉体14Aを入れて、黒
鉛蓋16を閉じる。黒鉛蓋16の内側には、単結晶成長
のための種結晶14Bが配置される。円筒型黒鉛容器1
2の周囲には、容器12内の温度を安定させるため黒鉛
フェルト又は黒鉛発泡体の断熱材18が配置されてい
る。円筒型黒鉛容器12は中空支持枠22によって石英
チャンバー24中に石英チャンバー24のいずれの壁
面、蓋面、底面にも接することなく配置されている。石
英チャンバー24の上面には石英上蓋26A、下面には
底蓋26Bがそれぞれ設けられ、石英蓋26A、26B
それぞれの中央部には、温度測定用の石英の窓28A、
28Bが取り付けられている。石英チャンバーの側壁3
0は冷却水を流すことができるよう二重槽となってお
り、容器12内の温度制御は、石英チャンバー側壁二重
曹30の冷却水、及び、黒鉛容器を加熱する高周波コイ
ル32によって行われる。これらの装置全体がステンレ
スチャンバ(図示せず)内に設置されており、内圧の制
御やガス置換はこのステンレスチャンバで行われる。従
って、石英チャンバの上蓋と底蓋には開口部(図示せ
ず)が設けられ、ステンレスチャンバ内と石英チャンバ
内との雰囲気が同じになるようにされている。
【0040】本装置で用いられる黒鉛容器、黒鉛蓋、断
熱材は、得られる単結晶の純度保持の観点から高純度の
黒鉛原料を用いることが好ましく、黒鉛原料は高純度処
理されたものが用いられるが、具体的には、2500℃
以上の温度で予め十分ベーキングされ、育成温度で不純
物の発生がないものが望ましい。炭化ケイ素単結晶の製
造装置10を用いた単結晶の育成については、実施例に
て詳述する。
【0041】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明の主旨を超えない限り本実施例に限定さ
れるものではない。
【0042】炭化ケイ素粉体の製造 (実施例1)SiO2 含有量40%の高純度エチルシリ
ケートオリゴマー680gと含水率20%の高純度液体
レゾール型フェノール樹脂305gを混合し、触媒とし
て高純度p−トルエンスルホン酸の28%水溶液137
gを加えて硬化乾燥させ、均質な樹脂状固形物を得た。
これを窒素雰囲気下で900℃、1時間炭化した。得ら
れた炭化物のC/Si比は元素分析の結果2.40であ
った。
【0043】この炭化物中間体400gを炭素製容器に
入れ、アルゴン雰囲気下で1750℃まで昇温し、30
分間保管した後、1850℃まで昇温し、1時間保持し
た。この1時間の保持時間中に2030℃まで昇温して
5分間保持し、1850℃に降温する操作を、保持時間
開始後15分間の後、昇温を開始し、ほぼ等間隔で3回
行った。即ち、1850℃まで昇温し、15分間その温
度に保持した後に2030℃まで昇温して5分間保持
し、1850℃まで降温し、15分間の後、再び昇温を
行なうことを繰り返した。得られた粉体は黄緑色であっ
た。
【0044】得られた粉体の不純物分析は、粉体をフッ
素、硝酸、硫酸を含む混酸で、加圧熱分解した後、1C
P−質量分析法及びフレームレス原子吸光法で行った。
また粉体の平均粒径を粒度分布測定装置(TSUB−T
EC)にて測定した。ばらつきを検討するため、この操
作を5回繰り返した。3回目の不純物分析の結果を表1
に示す。また、不純物である鉄、銅、カルシウムの分析
値を図2に示す。図2に明らかなように、不純物はいず
れも0.5ppm以下であり、含有量のばらつきも少な
いことが確認された。得られた粉体の平均粒径は50〜
80μmであった。
【0045】(比較例1)1850℃の保温時間中に、
2030℃までの昇温、5分間温度保持及び降温の操作
を行なわなかったこと以外、実施例1と同様にして炭化
ケイ素粉体を作製した。ばらつきを検討するため、この
操作を5回繰り返した。3回目の不純物分析の結果を表
1に示す。また、不純物である鉄、銅、カルシウムの分
析値を図3に示す。図3に明らかなように、不純物の含
有量は最大で0.8ppmを超えており、含有量のばら
つきは0.3〜0.8ppmと幅が大きいことが確認さ
れた。得られた粉体の平均粒径は3〜10μmであっ
た。
【0046】(実施例2)実施例1において、トルエン
スルホン酸水溶液の添加量を80gとし、その代わりに
20%塩酸水溶液を60g加えたこと、炭化条件を50
0℃、20分間及び900℃、40分間の二段炭化を行
ったこと以外、実施例1と同様にして炭化ケイ素粉体を
作製した。得られた粉体を実施例1と同様にして評価し
た。その不純物分析結果を表1に示す。得られた粉体の
平均粒径は40〜75μmであった。
【0047】(実施例3)実施例1において、第1の加
熱焼成工程時のアルゴン雰囲気中に2%の塩素ガスを加
えたこと以外実施例1と同様にして炭化ケイ素粉体を作
製した。得られた粉体を実施例1と同様にして評価し
た。その不純物分析の結果を表1に示す。得られた粉体
の平均粒径は45〜70μmであった。
【0048】(実施例4)実施例3において、原料混合
時に最終生成物である炭化ケイ素換算で、鉄、銅、カル
シウム、ナトリウムがそれぞれ5、10、15、20p
pmになるようにこの金属を酸化物又は水酸化物の形態
で予め添加し、実施例1と同様にして炭化ケイ素粉体を
作製した。この時の不純物分析結果を表2に示す。
【0049】(比較例2)比較例1において、原料混合
時に最終生成物である炭化ケイ素換算で、鉄、銅、カル
シウム、ナトリウムがそれぞれ1、2、4、6ppmに
なるようにこの金属を酸化物又は水酸化物の形態で予め
添加した他は、比較例1と同様にして炭化ケイ素粉体を
作製した。この粉体の不純物分析結果を表2に示す。
【0050】(実施例5)実施例1において、1850
℃の保持温度、1時間の保持時間をそれぞれ1900
℃、3.5時間に変更し、3.5時間の保持時間の間で
2100℃、10分間の加熱焼成処理を、保持時間開始
10分後に昇温を開始し、20分の等間隔で6回行うこ
と以外、実施例1と同様にして炭化ケイ素粉体を作製し
た。得られた粉体を実施例1と同様にして評価した。そ
の不純物分析結果を表1に示す。本実施例で得られた粉
体の平均粒径は200〜300μmであった。
【0051】(比較例3)実施例5において、1900
℃の保持時間を6時間とし、2100℃、25分間の高
温処理を6回行った以外、実施例5と同様の実験を行っ
たところ、粉体の表面部分に異常粒成長した粗大粒が現
れた。この粗大粒の部分を取り出し、解砕したところ、
粒径が0.5から2.5mmの粉体が得られた。得られ
た粉体を下記の炭化ケイ素単結晶製造例(比較例8)に
おける単結晶育成用原料として用いた。
【0052】(実施例6)高純度のノボラック型熱可塑
性フェノール樹脂430gと粒径1μm以下の高純度S
iO2 552gをテフロンコートされた熱ロールで均質
に混合した、これに80gのヘキサミンをさらにロール
混合し、150℃で20分間硬化させる。得られた固形
物を窒素雰囲気下で900℃、1時間炭化し、炭化物中
間体を得た。得られた炭化物のC/Si比は2.45で
あった。
【0053】得られた炭化物中間体の1850℃での保
持時間を2.5時間とし、保持時間開始25分後より、
2030℃で8分間、加熱する操作を25分間隔で4回
繰り返したこと以外は実施例1と同様にして炭化ケイ素
粉末を作製し、実施例1と同様の評価を行った。不純物
の分析結果を表1に示す。得られた粉体の平均粒径は1
00〜150μmであった。
【0054】(比較例4)1850℃の保温時間中に、
2030℃までの昇温、8分間温度保持及び降温という
4回の操作を行わなかったこと以外、実施例6と同様に
して炭化ケイ素粉体を作製し、実施例1と同様の評価を
行った。不純物分析の結果を表1に示す。得られた粉体
の平均粒径は8〜20μmであった。
【0055】(実施例7)実施例6において、原料をロ
ール混合する際に40gのポリ塩化ビニルを加え、アル
ゴン雰囲気中で焼成する第1の加熱焼成工程の際に雰囲
気中に1容量%の塩素ガスを加えたこと以外、実施例6
と同様にして炭化ケイ素粉体を作製し、実施例1と同様
の評価を行った。不純物分析の結果を表1に示す。得ら
れた粉体の平均粒径は110〜180μmであった。
【0056】(比較例5)アチソン法で作製された#1
00の研磨用緑色炭化ケイ素粉体(屋久島電工社製、D
IASIC、平均粒径150μm)を不純物を含まない
高純度塩酸溶液でよく洗浄した後、乾燥後2000℃で
30分間純化処理を行った。得られた粉体の不純物分析
の結果を表1に示す。
【0057】(比較例6)市販のβ型炭化ケイ素粉体
(H.C.シュタルク社製,平均粒径2μm)を比較例
5と同様の方法で純化処理した。得られた粉体の不純物
分析結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】前記、粒径の測定結果及び表1に明らかな
ように、本発明の方法により得られた実施例1〜3及び
5〜7の炭化ケイ素粉体は、十分な平均粒径を有し、不
純物含有率も極めて低いものであった。一方、比較例1
及び4〜5の炭化ケイ素粉体は粒径も小さく、不純物含
有量の低減が十分行われていなかった。
【0061】また、表2に明らかなように、不純物を後
添加した場合においても、本発明の方法により得られた
実施例4の炭化ケイ素粉体は、不純物の除去が十分に行
われていたが、比較例2の炭化ケイ素粉体は原料への不
純物の添加量が少ないにもかかわらず、不純物は殆ど除
去されないか、又は、プロセス中に混入した不純物が加
わり、むしろ不純物量が増加しているものも見られた。
このことから、本発明の製造方法によれば、工程の途中
で混入した不純物をも効果的に除去することができ、最
終的に、不純物含有量の低い炭化ケイ素粉体が得られる
ことがわかった。
【0062】炭化ケイ素単結晶の製造 (実施例8〜11、比較例7〜10)前記実施例1、
3、5、7及び比較例1、3、5、6で作製した炭化ケ
イ素粉体を、前記図1に示す如き円筒型黒鉛容器12中
に粉体の上面が容器の約半分の位置にくるように充填す
る。次に上蓋16の部分に種結晶として、6H(000
1)面をカットして研磨によりSi面が現れている径が
約8mmで(形状は不揃い)厚みが0.5mm〜1mm
の単結晶板を設置する。この黒鉛容器を誘導炉に入れ十
分アルゴン置換を行った後、1気圧のアルゴン下で温度
を1600℃まで上昇させ、一旦、0.1Torr以下
までゆっくり減圧にし、10〜30分間保持した後、1
0Torrまで徐々にアルゴンを入れ、容器の底面が2
320℃になるまで高周波誘導加熱をした。この時の容
器の底面温度は2320℃であった。この条件で約5時
間単結晶の育成を行った。実施例1、3、5、7により
得られた単結晶をそれぞれ実施例8、9、10、11と
し、比較例1、3、5、6により得られた単結晶をそれ
ぞれ比較例7、8、9、10とし、これらの単結晶部分
の成長方向の長さを表3に示した。
【0063】得られた単結晶の種結晶とできるだけ異な
る部分、即ち、種結晶の影響が少ない部分をスライス
し、鏡面研磨した。これらを溶融アルカリを用いてエッ
チングして欠陥を観察したところ、欠陥はピット状の欠
陥と6角形の穴状の貫通欠陥があった。それぞれ区別し
てカウントし、それぞれ単結晶の中心から80%の面積
の部分の平均欠陥密度を計算した。本発明において欠陥
密度とは、これらピット状欠陥と貫通欠陥の合計から得
られた欠陥密度を指す。それぞれの結果を表3に示す。
ここで、比較例8及び10においては、単結晶長さがそ
れぞれ1mm及び2mm以下の単結晶が得られたが、比
較例8は結晶が小さく、スライスができず、比較例10
は、切断面の状態が非常に不均一であり、ピットの形
状、大きさともにさまざまであり、いずれも欠陥数のカ
ウントが不可能であった。
【0064】次に、ここで得られた単結晶の中から4種
類(実施例8、9、比較例7、9)を選んでフッ酸、硝
酸を含む混酸で加圧・熱分解し、得られた溶液を10倍
以上に濃縮してICP−質量分析及びフレームレス原子
吸光分析を用いて不純物分析を行った。その結果を表4
に示す。
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】表3に明らかなように、本発明の製造方法
によらない炭化ケイ素粉体を原料とした単結晶は、得ら
れた単結晶長さが不十分であり、不均一なものであるか
又は六方晶であっても貫通欠陥、ピット状欠陥が著しか
った。一方、本発明の方法により得られた高純度炭化ケ
イ素粉体を原料とした単結晶はいずれも、六方晶あるい
は六方晶が主成分であり一部に菱面体晶を含む結晶であ
って、単結晶長さも十分であり、貫通欠陥、ピット状欠
陥等の欠陥数も少なかった。
【0068】また、表4から明らかなように、高温での
加熱焼成処理を行わずに得た粉体を用いた比較例7及び
従来法であるアチソン法を用いて得た粉体を用いた比較
例8ともに不純物の含有量が多いが、一方、本発明の方
法により得られた高純度炭化ケイ素粉体を原料とした単
結晶はいずれも不純物の含有量が極めて少ないが、とい
うことが確認された。
【0069】
【発明の効果】本発明の炭化ケイ素粉体製造方法によれ
ば、結晶欠陥の数がより少なく、また、電子特性上もよ
り優れた炭化ケイ素単結晶を製造するための原料として
の、不純物含有量を0.5ppm以下に抑え、また昇華
法による単結晶育成条件下で比表面積の大幅な減少を起
こすことなく、安定した昇華速度を示す粒径を有する炭
化ケイ素粉体を得ることができ、また、その製造方法に
より得られた炭化ケイ素粉体を原料とした六方晶で、結
晶欠陥の数が少なく、結晶長さも十分な炭化ケイ素単結
晶を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】改良レーリー法を用いて単結晶を育成するため
の炭化ケイ素単結晶の製造装置を示す概略断面図であ
る。
【図2】実施例1の炭化ケイ素粉体の不純物の含有量を
示すグラフである。
【図3】比較例1の炭化ケイ素粉体の不純物の含有量を
示すグラフである。
【符号の説明】
10 炭化ケイ素単結晶の製造装置

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高純度のテトラアルコキシシラン、テト
    ラアルコキシシラン重合体、酸化ケイ素から選択される
    1種以上をケイ素源とし、 酸素を分子内に含有し、加熱により炭素を残留する高純
    度有機化合物を炭素源とし、 これらを均質に混合して得られた混合物を非酸化性雰囲
    気下において加熱焼成して炭化ケイ素粉体を得る炭化ケ
    イ素生成工程と、 得られた炭化ケイ素粉体を、1700℃以上2000℃
    未満の温度に保持し、該温度の保持中に、2000℃〜
    2100℃の温度において5〜20分間にわたり加熱す
    る処理を少なくとも1回行う後処理工程とを含み、 前記2工程を行うことにより、平均粒径が10μm〜5
    00μmで、且つ、各不純物元素の含有量が0.5pp
    m以下である炭化ケイ素粉体を得ること、 を特徴とする炭化ケイ素単結晶製造用高純度炭化ケイ素
    粉体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記2000℃〜2100℃の加熱処理
    を、断続的に2回以上行うことを特徴とする請求項1記
    載の炭化ケイ素単結晶製造用高純度炭化ケイ素粉体の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 前記炭素源が、常温で液状であるか、若
    しくは、加熱により軟化又は液状となる物質であること
    を特徴とする請求項1又は2記載の炭化ケイ素単結晶製
    造用高純度炭化ケイ素粉体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記混合物が、前記炭化ケイ素生成工程
    における加熱焼成前に非酸化性雰囲気下で500℃〜1
    000℃にて予め加熱炭化されることを特徴とする請求
    項1乃至3記載の炭化ケイ素単結晶製造用高純度炭化ケ
    イ素粉体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記混合物を、前記炭化ケイ素生成工程
    における加熱焼成前に熱及び/又は硬化触媒で硬化する
    ことを特徴とする請求項1乃至4記載の炭化ケイ素単結
    晶製造用高純度炭化ケイ素粉体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記混合物に、ハロゲン化合物を0.5
    〜5重量%添加することを特徴とする請求項1乃至3記
    載の炭化ケイ素単結晶製造用高純度炭化ケイ素粉体の製
    造。
  7. 【請求項7】 前記炭化ケイ素生成工程における加熱焼
    成における非酸化性雰囲気中に、1〜5容量%のハロゲ
    ン又はハロゲン化水素を添加して焼成し、得られた炭化
    ケイ素粉体中の不純物含有量が0.3ppm以下である
    こと、を特徴とする請求項1乃至3記載の炭化ケイ素単
    結晶製造用高純度炭化ケイ素粉体の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記混合物の非酸化性雰囲気下での加熱
    焼成において、加熱焼成用加熱炉内に、さらに、一定量
    の非酸化性雰囲気ガスを導入することにより、焼成時に
    発生したSiO、COを含む気体を、該ガスとともに該
    加熱炉外へ除去すること、を特徴とする請求項第1乃至
    7記載の炭化ケイ素単結晶製造用高純度炭化ケイ素粉体
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至8に記載された炭化ケイ素
    単結晶製造用高純度炭化ケイ素粉体の製造方法により製
    造された炭化ケイ素単結晶製造用高純度炭化ケイ素粉体
    を原料として用い、種結晶上に昇華再結晶法で成長させ
    た、欠陥密度が5×102 個/cm2 以下の六方晶又は
    一部に菱面体晶を含む六方晶であることを特徴とする炭
    化ケイ素単結晶。
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