JP2006076864A - 炭化ケイ素多孔体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 所定の気孔率と強度を備える炭化ケイ素多孔体を提供する。
【解決手段】 炭化ケイ素粉末を含むスラリー状の混合粉体に1インチあたりのセル数が6〜20個である三次元網目状合成樹脂を含浸した後、上記三次元網目状合成樹脂を消失させて形成された炭化ケイ素多孔体。
【選択図】 なし
【解決手段】 炭化ケイ素粉末を含むスラリー状の混合粉体に1インチあたりのセル数が6〜20個である三次元網目状合成樹脂を含浸した後、上記三次元網目状合成樹脂を消失させて形成された炭化ケイ素多孔体。
【選択図】 なし
Description
本発明は、半導体装置の製造の分野において使用される炭化ケイ素多孔体及びその製造方法に関する。
炭化ケイ素焼結体は、強度などの機械的特性等が良好であることから、半導体装置の製造の分野において製造用部材として広く用いられている。そして炭化ケイ素焼結体の一態様として、炭化ケイ素多孔体が用いられている。例えば、特許文献1には、気孔率60%以上の多孔質炭化ケイ素構造体が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、ある用途においては炭化ケイ素多孔体の目が粗いことに起因して、炭化ケイ素多孔体の強度が不十分であることが問題になっていた。
特開平7−169559号公報
そのため、炭化ケイ素多孔体の強度の上昇を図るべく、目の細かい炭化ケイ素多孔体が求められていた。即ち、所定の気孔率と強度を備える炭化ケイ素多孔体が求められていた。
本発明は、以下の記載事項に関する:
〈1〉 炭化ケイ素粉末を溶媒中に分散し、スラリー状の混合粉体を製造する工程と、
上記混合粉体を成形型に流し込み、上記混合粉体に1インチあたりのセル数が6〜20個である三次元網目状合成樹脂を含浸し乾燥させてグリーン体を得る工程と、
上記グリーン体を大気雰囲気下500〜900℃で仮焼し、上記三次元網目状合成樹脂を焼失させて仮焼体を得る工程と、
上記仮焼体を不活性雰囲気下1800〜2300℃で焼成して炭化ケイ素多孔体を得る工程と、を有する炭化ケイ素多孔体の製造方法。
〈1〉 炭化ケイ素粉末を溶媒中に分散し、スラリー状の混合粉体を製造する工程と、
上記混合粉体を成形型に流し込み、上記混合粉体に1インチあたりのセル数が6〜20個である三次元網目状合成樹脂を含浸し乾燥させてグリーン体を得る工程と、
上記グリーン体を大気雰囲気下500〜900℃で仮焼し、上記三次元網目状合成樹脂を焼失させて仮焼体を得る工程と、
上記仮焼体を不活性雰囲気下1800〜2300℃で焼成して炭化ケイ素多孔体を得る工程と、を有する炭化ケイ素多孔体の製造方法。
〈2〉 上記スラリー状の混合粉体を製造する工程における上記炭化ケイ素粉末は、液状のケイ素化合物と、加熱により炭素を生成する液状の有機化合物と、重合又は架橋触媒と、を均一に混合して得られた混合物を固化することにより固化物を得る固化工程と、得られた固化物を非酸化性雰囲気下で加熱炭化した後、さらに非酸化性雰囲気下で焼結する焼結工程と、を有する製造方法により得られた炭化ケイ素粉末である上記〈1〉に記載の炭化ケイ素多孔体の製造方法。
〈3〉 上記仮焼体を得る工程において、上記グリーン体を500〜900℃で、6〜10時間加熱するものである上記〈1〉又は〈2〉に記載の炭化ケイ素多孔体の製造方法。
〈4〉 上記仮焼体を得る工程後、上記多孔体を得る工程前において、上記仮焼体を1800℃まで真空雰囲気で焼成するものである上記〈1〉〜〈3〉のいずれかに記載の炭化ケイ素多孔体の製造方法。
〈5〉 炭化ケイ素粉末を含むスラリー状の混合粉体に1インチあたりのセル数が6〜20個である三次元網目状合成樹脂を含浸した後、前記三次元網目状合成樹脂を消失させることにより製造されたものである炭化ケイ素多孔体。
〈6〉 圧力損失の傾きが1000以下である上記〈5〉記載の炭化ケイ素多孔体。
〈7〉 上記炭化ケイ素多孔体は、曲げ強度が15MPa以上である上記〈6〉記載の炭化ケイ素多孔体。
〈8〉 上記炭化ケイ素多孔体は、熱伝導率が30W/mk以上である上記〈5〉〜〈7〉のいずれかに記載の炭化ケイ素多孔体。
〈9〉 上記炭化ケイ素多孔体は、上記〈1〉〜〈4〉のいずれかに記載された製造方法により製造されたものである上記〈5〉〜〈8〉のいずれかに記載の炭化ケイ素多孔体。
本発明によれば、所定の気孔率と強度を備える炭化ケイ素多孔体が提供される。
本発明について実施形態を挙げて説明するが、本発明が以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。
〔炭化ケイ素焼結体の製造方法に用いられる成分〕
まず、本発明の実施形態にかかる炭化ケイ素多孔体の製造方法に用いられる成分について説明する。
(炭化ケイ素粉末)
炭化ケイ素粉末として、α型、β型、非晶質あるいはこれらの混合物等が挙げられる。また、高純度の炭化ケイ素焼結体を得るためには、原料の炭化ケイ素粉末として、高純度の炭化ケイ素粉末を用いることが好ましい。
このβ型炭化ケイ素粉末のグレードには特に制限はなく、例えば、一般に市販されているβ型炭化ケイ素を用いることができる。炭化ケイ素粉末の粒径は、高密度の観点からは、小さいことが好ましく、具体的には、0.01μm〜10μm程度、さらに好ましくは、0.05μm〜5μmである。粒径が、0.01μm未満であると、計量、混合等の処理工程における取扱いが困難となりやすく、10μmを超えると、比表面積が小さく、即ち、隣接する粉末との接触面積が小さくなり、高密度化し難くなるため好ましくない。
まず、本発明の実施形態にかかる炭化ケイ素多孔体の製造方法に用いられる成分について説明する。
(炭化ケイ素粉末)
炭化ケイ素粉末として、α型、β型、非晶質あるいはこれらの混合物等が挙げられる。また、高純度の炭化ケイ素焼結体を得るためには、原料の炭化ケイ素粉末として、高純度の炭化ケイ素粉末を用いることが好ましい。
このβ型炭化ケイ素粉末のグレードには特に制限はなく、例えば、一般に市販されているβ型炭化ケイ素を用いることができる。炭化ケイ素粉末の粒径は、高密度の観点からは、小さいことが好ましく、具体的には、0.01μm〜10μm程度、さらに好ましくは、0.05μm〜5μmである。粒径が、0.01μm未満であると、計量、混合等の処理工程における取扱いが困難となりやすく、10μmを超えると、比表面積が小さく、即ち、隣接する粉末との接触面積が小さくなり、高密度化し難くなるため好ましくない。
高純度の炭化ケイ素粉末は、例えば、少なくとも1種以上のケイ素化合物を含むケイ素源と、少なくとも1種以上の加熱により炭素を生成する有機化合物を含む炭素源と、重合又は架橋触媒と、を溶媒中で溶解し、乾燥した後に得られた粉末を非酸化性雰囲気下で焼成する工程により得ることができる。
前述のケイ素化合物を含むケイ素源(以下、「ケイ素源」という。)として、液状のものと固体のものとを併用することができるが、少なくとも1種は液状のものから選ばれなくてはならない。液状のものとしては、アルコキシシラン(モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−)及びテトラアルコキシシランの重合体が用いられる。アルコキシシランの中ではテトラアルコキシシランが好適に用いられ、具体的には、メトキシシラン、エトキシシラン、プロポキシシラン、ブトキシシラン等が挙げられるが、ハンドリングの点からは、エトキシシランが好ましい。また、テトラアルコキシシランの重合体としては、重合度が2〜15程度の低分子量重合体(オリゴマー)及びさらに重合度が高いケイ酸ポリマーで液状のものが挙げられる。これらと併用可能な固体状のものとしては、酸化ケイ素が挙げられる。前述の反応焼結法において酸化ケイ素とは、SiOの他、シリカゲル(コロイド状超微細シリカ含有液、内部にOH基やアルコキシル基を含む)、二酸化ケイ素(シリカゲル、微細シリカ、石英粉末)等を含む。これらケイ素源は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
これらケイ素源の中でも、均質性やハンドリング性が良好な観点から、テトラエトキシシランのオリゴマー及びテトラエトキシシランのオリゴマーと微粉末シリカとの混合物等が好適である。また、これらのケイ素源は高純度の物質が用いられ、初期の不純物含有量が20ppm以下であることが好ましく、5ppm以下であることがさらに好ましい。
高純度の炭化ケイ素粉末の製造に用いられる重合及び架橋触媒としては、炭素源に応じて適宜選択でき、炭素源がフェノール樹脂やフラン樹脂の場合、トルエンスルホン酸、トルエンカルボン酸、酢酸、しゅう酸、硫酸等の酸類が挙げられる。これらの中でも、トルエンスルホン酸が好適に用いられる。
反応焼結法に使用される原料粉末である高純度炭化ケイ素粉末を製造する工程における、炭素とケイ素の比(以下、C/Si比と略記)は、混合物をl000℃にて炭化して得られる炭化物中間体を、元素分析することにより定義される。化学量論的には、C/Si比が3.0の時に生成炭化ケイ素中の遊離炭素が0%となるばずであるが、実際には同時に生成するSiOガスの揮散により低C/Si比において遊離炭素が発生する。この生成炭化ケイ素粉末中の遊離炭素量が焼結体等の製造用途に適当でない量にならないように予め配合を決定することが重要である。通常、1気圧近傍で1600℃以上での焼成では、C/Si比を2.0〜2.5にすると遊離炭素を抑制することができ、この範囲を好適に用いることができる。C/Si比を2.55以上にすると遊離炭素が顕著に増加するが、この遊離炭素は結晶成長を抑制する効果を持つため、得ようとする結晶成長サイズに応じてC/Si比を適宜選択しても良い。但し、雰囲気の圧力を低圧又は高圧とする場合は、純粋な炭化ケイ素を得るためのC/Si比は変動するので、この場合は必ずしも前述のC/Si比の範囲に限定するものではない。
以上より、特に高純度の炭化ケイ素粉末を得る方法としては、本願出願人が先に出願した特開平9−48605号の単結晶の製造方法に記載の原料粉末の製造方法が挙げられる。即ち、高純度のテトラアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン重合体から選択される1種以上をケイ素源とし、加熱により炭素を生成する高純度有機化合物を炭素源とし、これらを均質に混合して得られた混合物を非酸化性雰囲気下において加熱焼成して炭化ケイ素粉末を得る炭化ケイ素生成工程と;得られた炭化ケイ素粉末を、1700℃以上2000℃未満の温度に保持し、該温度の保持中に、2000℃〜2100℃の温度において5〜20分間にわたり加熱する処理を少なくとも1回行う後処理工程と;を含み、前述の2工程を行うことにより、各不純物元素の含有量が0.5ppm以下である炭化ケイ素粉末を得る高純度炭化ケイ素粉末の製造方法等を利用することができる。この様にして得られた炭化ケイ素粉末は、大きさが不均一であるため、解粉、分級により前述の粒度に適合するように処理することが好ましい。
炭化ケイ素粉末を製造する工程において窒素を導入する場合は、まずケイ素源と、炭素源と、窒素源からなる有機物質と、重合又は架橋触媒と、を均質に混合するが、前述の如く、フェノール樹脂等の炭素源と、ヘキサメチレンテトラミン等の窒素源からなる有機物質と、トルエンスルホン酸等の重合又は架橋触媒とを、エタノール等の溶媒に溶解する際に、テトラエトキシシランのオリゴマー等のケイ素源と十分に混合することが好ましい。
(炭素源)
炭素源として用いられる物質は、酸素を分子内に含有し、加熱により炭素を残留する高純度有機化合物であることが好ましい。具体的には、フェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂やグルコース等の単糖類、蔗糖等の少糖類、セルロース、デンプン等の多糖類などの等の各種糖類が挙げられる。これらはケイ素源と均質に混合するという目的から、常温で液状のもの、溶媒に溶解するもの、熱可塑性あるいは熱融解性のように加熱することにより軟化するものあるいは液状となるものが主に用いられる。なかでも、レゾール型フェノール樹脂やノボラック型フェノール樹脂が好適である。特に、レゾール型フェノール樹脂が好適に使用される。
炭素源として用いられる物質は、酸素を分子内に含有し、加熱により炭素を残留する高純度有機化合物であることが好ましい。具体的には、フェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂やグルコース等の単糖類、蔗糖等の少糖類、セルロース、デンプン等の多糖類などの等の各種糖類が挙げられる。これらはケイ素源と均質に混合するという目的から、常温で液状のもの、溶媒に溶解するもの、熱可塑性あるいは熱融解性のように加熱することにより軟化するものあるいは液状となるものが主に用いられる。なかでも、レゾール型フェノール樹脂やノボラック型フェノール樹脂が好適である。特に、レゾール型フェノール樹脂が好適に使用される。
〔炭化ケイ素多孔体の製造方法〕
本発明の実施形態にかかる炭化ケイ素多孔体の製造方法は、炭化ケイ素粉末を溶媒中に分散し、スラリー状の混合粉体を製造する工程と、上記混合粉体を成形型に流し込み、また上記混合粉体に三次元網目状合成樹脂を含浸し乾燥させてグリーン体を得る工程と、上記グリーン体を大気雰囲気下500〜900℃で仮焼し、上記三次元網目状合成樹脂を焼失させて仮焼体を得る工程と、上記仮焼体を不活性雰囲気下1800〜2300℃で焼成して炭化ケイ素多孔体を得る工程と、を有する。以下工程毎に詳細に説明する。
本発明の実施形態にかかる炭化ケイ素多孔体の製造方法は、炭化ケイ素粉末を溶媒中に分散し、スラリー状の混合粉体を製造する工程と、上記混合粉体を成形型に流し込み、また上記混合粉体に三次元網目状合成樹脂を含浸し乾燥させてグリーン体を得る工程と、上記グリーン体を大気雰囲気下500〜900℃で仮焼し、上記三次元網目状合成樹脂を焼失させて仮焼体を得る工程と、上記仮焼体を不活性雰囲気下1800〜2300℃で焼成して炭化ケイ素多孔体を得る工程と、を有する。以下工程毎に詳細に説明する。
(イ)スラリー状の混合粉体を得る工程
まず、炭化ケイ素粉末と消泡剤を溶媒中に溶解又は分散させてスラリー状の混合粉体を製造する。次に、ミキサー、遊星ボールミルなどの攪拌混合手段を用いて、6時間〜48時間、特に12時間〜24時間に渡って攪拌混合を行う。攪拌混合が十分に行われていないと、グリーン体中に気孔が均一分散されなくなるからである。
まず、炭化ケイ素粉末と消泡剤を溶媒中に溶解又は分散させてスラリー状の混合粉体を製造する。次に、ミキサー、遊星ボールミルなどの攪拌混合手段を用いて、6時間〜48時間、特に12時間〜24時間に渡って攪拌混合を行う。攪拌混合が十分に行われていないと、グリーン体中に気孔が均一分散されなくなるからである。
ここで、炭化ケイ素粉末としては前述の炭化ケイ素粉末が挙げられる。溶媒としては、水、エチルアルコール等の低級アルコール類やエチルエーテル、アセトン等が挙げられる。溶媒としては不純物の含有量が低いものを使用することが好ましい。消泡剤としてはシリコーン消泡剤等が挙げられる。また、炭化ケイ素粉末からスラリー状の混合粉体を製造する際に有機バインダーを添加してもよい。有機バインダーとしては、解膠剤、粉体粘着剤等が挙げられ、解膠剤としては、導電性を付与する効果をさらに上げる点で窒素系の化合物が好ましく、例えばアンモニア、ポリアクリル酸アンモニウム塩等が好適に用いられる。粉体粘着剤としては、ポリビニルアルコールウレタン樹脂(例えば水溶性ポリウレタン)等が好適に用いられる。
(ロ)グリーン体を得る工程
得られたスラリー状の混合粉体を鋳込み成形用型に流し込む。次に、三次元網目状合成樹脂として、ウレタンフォーム樹脂を混合粉体に含浸する。ウレタンフォームとしては、網目(セル数)が1インチ当たり6〜20個であるものを用いることが好ましい。網目が6未満だと安定したウレタンフォームが得られないからである。また、網目が20を超えると圧力損失の傾きが大きくなるからである。ウレタンフォームとしては、例えば株式会社ブリヂストン社製商品名「エアバーライトスコット」を用いることが好ましい。その後、放置、脱型した後、40℃〜60℃の温度条件下で加熱乾燥又は自然乾燥して溶媒を除去する。このようにして規定寸法のグリーン体、即ちスラリー状の混合粉体から溶媒を除去して得られる多くの気孔が内在する反応焼結前の炭化ケイ素成形体が得られる。
得られたスラリー状の混合粉体を鋳込み成形用型に流し込む。次に、三次元網目状合成樹脂として、ウレタンフォーム樹脂を混合粉体に含浸する。ウレタンフォームとしては、網目(セル数)が1インチ当たり6〜20個であるものを用いることが好ましい。網目が6未満だと安定したウレタンフォームが得られないからである。また、網目が20を超えると圧力損失の傾きが大きくなるからである。ウレタンフォームとしては、例えば株式会社ブリヂストン社製商品名「エアバーライトスコット」を用いることが好ましい。その後、放置、脱型した後、40℃〜60℃の温度条件下で加熱乾燥又は自然乾燥して溶媒を除去する。このようにして規定寸法のグリーン体、即ちスラリー状の混合粉体から溶媒を除去して得られる多くの気孔が内在する反応焼結前の炭化ケイ素成形体が得られる。
(ハ)仮焼体を得る工程
得られたグリーン体を大気雰囲気下500℃〜900℃まで約10時間程度かけて昇温する。加熱温度が500℃未満だと脱脂が不十分になる。また脱脂は650℃前後で終了する。そのため、前述の加熱温度範囲内の一定の温度で加熱する。昇温速度は、配合物中のバインダーの急激な熱分解による爆裂を防止するため300℃/1hr以下とする。そして、一定の温度に達した後、大気雰囲気下その温度条件に約1時間保持することで仮焼体が得られる。
得られたグリーン体を大気雰囲気下500℃〜900℃まで約10時間程度かけて昇温する。加熱温度が500℃未満だと脱脂が不十分になる。また脱脂は650℃前後で終了する。そのため、前述の加熱温度範囲内の一定の温度で加熱する。昇温速度は、配合物中のバインダーの急激な熱分解による爆裂を防止するため300℃/1hr以下とする。そして、一定の温度に達した後、大気雰囲気下その温度条件に約1時間保持することで仮焼体が得られる。
(ニ)炭化ケイ素多孔体を得る工程
次に、得られた仮焼体を、真空雰囲気下で温度1800℃まで5〜7時間かけて昇温する。その後、不活性雰囲気下、即ちアルゴン又は窒素雰囲気下で1800〜2300℃で焼成する。加熱温度が1800℃〜2300℃の範囲から外れると強度が低下する。そのため、この温度範囲内の一定の温度まで加熱する。その際、強度が増加する観点からは、加熱温度を1900℃〜2200℃とすることが好ましい。そして、一定の温度に達した後、不活性雰囲気例えばアルゴン又は窒素雰囲気下その温度条件に1〜3時間保持する。同じ加熱温度であれば、(a)保持時間を長くする、(b)圧力(atm)を高くする、の少なくともいずれか一方の条件に設定することで炭化ケイ素多孔体中の窒素量が増加する。以上の工程により炭化ケイ素多孔体が得られる。尚、上記工程後、最終成形品の形状に合わせて、フライス加工機等を用いて適宜成形加工を行うことが好ましい。
次に、得られた仮焼体を、真空雰囲気下で温度1800℃まで5〜7時間かけて昇温する。その後、不活性雰囲気下、即ちアルゴン又は窒素雰囲気下で1800〜2300℃で焼成する。加熱温度が1800℃〜2300℃の範囲から外れると強度が低下する。そのため、この温度範囲内の一定の温度まで加熱する。その際、強度が増加する観点からは、加熱温度を1900℃〜2200℃とすることが好ましい。そして、一定の温度に達した後、不活性雰囲気例えばアルゴン又は窒素雰囲気下その温度条件に1〜3時間保持する。同じ加熱温度であれば、(a)保持時間を長くする、(b)圧力(atm)を高くする、の少なくともいずれか一方の条件に設定することで炭化ケイ素多孔体中の窒素量が増加する。以上の工程により炭化ケイ素多孔体が得られる。尚、上記工程後、最終成形品の形状に合わせて、フライス加工機等を用いて適宜成形加工を行うことが好ましい。
(炭化ケイ素多孔体)
上記の製造方法により得られる炭化ケイ素多孔体の主な物性について列記すると以下の通りである。例えば、空隙の直径は、30〜700μm、好ましくは40〜500μm、より好ましくは50〜300μmである。気孔率は30〜60%、好ましくは35〜55%である。曲げ強度は15MPa以上、好ましくは20MPa以上である。熱伝導率は30W/mk以上、好ましくは40W/mk以上である。圧力損失の傾き(θ)は、1000以下、好ましくは700以下である。かさ密度は1.5g/cm3以上、好ましくは1.8g/cm3である。不純物の総含有量は、5ppm未満、好ましくは3ppm未満、より好ましくは1ppm未満である。
上記の製造方法により得られる炭化ケイ素多孔体の主な物性について列記すると以下の通りである。例えば、空隙の直径は、30〜700μm、好ましくは40〜500μm、より好ましくは50〜300μmである。気孔率は30〜60%、好ましくは35〜55%である。曲げ強度は15MPa以上、好ましくは20MPa以上である。熱伝導率は30W/mk以上、好ましくは40W/mk以上である。圧力損失の傾き(θ)は、1000以下、好ましくは700以下である。かさ密度は1.5g/cm3以上、好ましくは1.8g/cm3である。不純物の総含有量は、5ppm未満、好ましくは3ppm未満、より好ましくは1ppm未満である。
上記炭化ケイ素多孔体の用途は特に限定されないが、上記の特性を備えることから、吸引チャック装置のチャックテーブル、または非接触式ベアリングや重量物を浮かせる浮動搬送装置として良好に使用できる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の主旨を超えない限り本実施例に限定されるものではない:
(実施例1)
炭化ケイ素多孔体の調製
前述の詳細な説明に記載された炭化ケイ素多孔体の製造方法に準じて、以下の条件下で炭化ケイ素多孔体を製造した:
混合粉体を得る工程:炭化ケイ素粉末として、中心粒径5μmの高純度炭化ケイ素粉末(特開平9―48605号に記載の製造方法に準じて製造された不純物含有量5ppm以下の炭化ケイ素/1.5重量%のシリカを含有)100部に対して、水40部と、解膠剤0.3部と、バインダー3部を添加し、さらに24時間ボールミルで分散混合し、粘度1ポイズのスラリー状の混合粉体を得た。
(実施例1)
炭化ケイ素多孔体の調製
前述の詳細な説明に記載された炭化ケイ素多孔体の製造方法に準じて、以下の条件下で炭化ケイ素多孔体を製造した:
混合粉体を得る工程:炭化ケイ素粉末として、中心粒径5μmの高純度炭化ケイ素粉末(特開平9―48605号に記載の製造方法に準じて製造された不純物含有量5ppm以下の炭化ケイ素/1.5重量%のシリカを含有)100部に対して、水40部と、解膠剤0.3部と、バインダー3部を添加し、さらに24時間ボールミルで分散混合し、粘度1ポイズのスラリー状の混合粉体を得た。
グリーン体を得る工程:スラリー状の混合粉体を直径300mm、厚み10mmの円板状の石膏型に鋳込んだ。そして、ウレタンフォームをスラリー状の混合粉体に含浸させた。その後、24時間、22℃で自然乾燥させてグリーン体を得た。
仮焼体を得る工程:得られたグリーン体を黒鉛製のるつぼ内に配置した。圧力−1atmの真空雰囲気下で600℃まで10時間かけて昇温し、600℃に1時間保持した。
炭化ケイ素多孔体を得る工程:真空雰囲気下、600℃から1800℃まで6時間かけて加熱を行った。その後、アルゴン雰囲気下で1900℃まで6時間かけて昇温した。さらに1900℃に2時間保持した。
成形工程:フライス加工機を用いて、直径300mm、厚み10mmの円板になるように表面加工を行った。
得られた炭化ケイ素多孔体について、後に説明する基準にしたがって、かさ密度、気孔率、吸水率、曲げ強度、熱伝導率及び圧力損失を調べた。用いたウレタンフォームの1インチ当たりのセル数、仮焼及び焼成工程における保持条件並びに得られた実験結果を表1に示す。
実施例2〜4、参考例1、2
実験条件を表1に示す条件に置き換えたことを除いて、実施例1と同様に実験を行った。得られた実験結果を表1に示す。
実験条件を表1に示す条件に置き換えたことを除いて、実施例1と同様に実験を行った。得られた実験結果を表1に示す。
〔評価基準〕
表1に掲げる項目について以下の基準に基づいて評価を行った:
かさ密度、気孔率及び吸水率は、JIS R1634に従って、アルキメデス法により測定した。
曲げ強度は、50mm×8mm×6mm寸法の試料を切り出し、スパン30、クロスヘッドスピード0.5mm/minの条件で3点曲げ強度試験を行うことにより求めた。
熱伝導率は、レーザーフラッシュ法で、熱拡散率、比熱を測定し、熱拡散率×比熱×密度の式から算出した。
表1に掲げる項目について以下の基準に基づいて評価を行った:
かさ密度、気孔率及び吸水率は、JIS R1634に従って、アルキメデス法により測定した。
曲げ強度は、50mm×8mm×6mm寸法の試料を切り出し、スパン30、クロスヘッドスピード0.5mm/minの条件で3点曲げ強度試験を行うことにより求めた。
熱伝導率は、レーザーフラッシュ法で、熱拡散率、比熱を測定し、熱拡散率×比熱×密度の式から算出した。
圧力損失は、直径30mm×厚さ10mmで切り出した試料を差圧計に配置し、窒素ガスを送り込み、そして圧力損失(LV)=所定流量における圧力損失、圧力損失の傾き(θ)=圧力損失/流量、の式から算出した。
Claims (9)
- 炭化ケイ素粉末を溶媒中に分散し、スラリー状の混合粉体を製造する工程と、 前記混合粉体を成形型に流し込み、前記混合粉体に1インチあたりのセル数が6〜20個である三次元網目状合成樹脂を含浸し乾燥させてグリーン体を得る工程と、
前記グリーン体を大気雰囲気下500〜900℃で仮焼し、前記三次元網目状合成樹脂を焼失させて仮焼体を得る工程と、
前記仮焼体を不活性雰囲気下1800〜2300℃で焼成して炭化ケイ素多孔体を得る工程と、を有することを特徴とする炭化ケイ素多孔体の製造方法。 - 前記スラリー状の混合粉体を製造する工程における前記炭化ケイ素粉末は、液状のケイ素化合物と、加熱により炭素を生成する液状の有機化合物と、重合又は架橋触媒と、を均一に混合して得られた混合物を固化することにより固化物を得る固化工程と、得られた固化物を非酸化性雰囲気下で加熱炭化した後、さらに非酸化性雰囲気下で焼結する焼結工程と、を有する製造方法により得られた炭化ケイ素粉末であることを特徴とする請求項1に記載の炭化ケイ素多孔体の製造方法。
- 前記仮焼体を得る工程において、前記グリーン体を500〜900℃で、6〜10時間加熱することを特徴とする請求項1又は2に記載の炭化ケイ素多孔体の製造方法。
- 前記仮焼体を得る工程後、前記多孔体を得る工程前において、前記仮焼体を1800℃まで真空雰囲気で焼成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の炭化ケイ素多孔体の製造方法。
- 炭化ケイ素粉末を含むスラリー状の混合粉体に1インチあたりのセル数が6〜20個である三次元網目状合成樹脂を含浸した後、前記三次元網目状合成樹脂を消失させることにより製造されたものであることを特徴とする炭化ケイ素多孔体。
- 圧力損失の傾きが1000以下であることを特徴とする請求項5記載の炭化ケイ素多孔体。
- 前記炭化ケイ素多孔体は、曲げ強度が15MPa以上であることを特徴とする請求項5又は6に記載の炭化ケイ素多孔体。
- 前記炭化ケイ素多孔体は、熱伝導率が30W/mk以上であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の炭化ケイ素多孔体。
- 前記炭化ケイ素多孔体は、請求項1〜4のいずれかに記載された製造方法により製造されたものであることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の炭化ケイ素多孔体。
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