JP2006248807A - 炭化ケイ素表面リッチ層を備える炭化ケイ素焼結体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 炭化ケイ素表面リッチ層を簡易に設けることができる炭化ケイ素焼結体の製造方法を提供する。
【解決手段】
炭化ケイ素粉末を含むスラリーを鋳型に流し込みグリーン体を得る工程と、上記グリーン体を圧縮して仮成形体を得る工程と、上記仮成形体の表面に炭素源をコーティングし表面炭素層を形成する工程と、上記表面炭素層にケイ素蒸気を暴露し、上記炭素源とケイ素を反応させて炭化ケイ素表面リッチ層を形成する工程と、を備えることを特徴とする炭化ケイ素焼結体の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】
炭化ケイ素粉末を含むスラリーを鋳型に流し込みグリーン体を得る工程と、上記グリーン体を圧縮して仮成形体を得る工程と、上記仮成形体の表面に炭素源をコーティングし表面炭素層を形成する工程と、上記表面炭素層にケイ素蒸気を暴露し、上記炭素源とケイ素を反応させて炭化ケイ素表面リッチ層を形成する工程と、を備えることを特徴とする炭化ケイ素焼結体の製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、炭化ケイ素焼結体に関する。さらに詳しくは炭化ケイ素表面リッチ層を備える炭化ケイ素焼結体に関する。
半導体製造において、半導体製造用治具として炭化ケイ素焼結体が用いられている。かかる炭化ケイ素焼結体の製造において、最終工程で炭化ケイ素焼結体をフッ酸等の洗浄液に浸し、炭化ケイ素焼結体表面の酸化膜を取り除いていた。この場合、炭化ケイ素焼結体の表面に存在する未反応のケイ素がフッ酸中に溶解し、炭化ケイ素焼結体の表面に粗の部分が形成されていた。そのため、粗の部分に起因して、炭化ケイ素焼結体の耐食性と純度の低下が懸念されていた。
かかる課題を解決する手段としては、炭化ケイ素焼結体の表面に炭化ケイ素からなる外殻を設け、炭化ケイ素焼結体表面からのケイ素の溶出を防止する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、炭化ケイ素焼結体の表面に溶融ケイ素を供給するには細心の注意が必要であり、しかも表面処理後に苛性ソーダ処理等が必要であるため工程の簡略化が求められていた。
特開平7−53264号公報
以上より、炭化ケイ素表面リッチ層を簡易に設けることができる炭化ケイ素焼結体の製造方法が求められていた。
即ち、本発明は、以下の記載事項に関する:
(1)炭化ケイ素粉末を含むスラリーを鋳型に流し込みグリーン体を得る工程と、上記グリーン体を仮焼して仮成形体を得る工程と、上記仮成形体の表面に炭素源をコーティングし表面炭素層を形成する工程と、上記表面炭素層にケイ素蒸気を暴露し、上記炭素源とケイ素を反応させて炭化ケイ素表面リッチ層を形成する工程と、を備えることを特徴とする炭化ケイ素焼結体の製造方法。
(2)上記炭化ケイ素表面リッチ層は、アルゴン雰囲気下において形成されることを特徴とする上記(1)記載の炭化ケイ素焼結体の製造方法。
(3)上記炭化ケイ素表面リッチ層は、1420℃〜1800℃において形成されることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の炭化ケイ素焼結体の製造方法。
(4)上記炭化ケイ素粉末の粒度は、0.01〜10μmであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の炭化ケイ素焼結体の製造方法。
(1)炭化ケイ素粉末を含むスラリーを鋳型に流し込みグリーン体を得る工程と、上記グリーン体を仮焼して仮成形体を得る工程と、上記仮成形体の表面に炭素源をコーティングし表面炭素層を形成する工程と、上記表面炭素層にケイ素蒸気を暴露し、上記炭素源とケイ素を反応させて炭化ケイ素表面リッチ層を形成する工程と、を備えることを特徴とする炭化ケイ素焼結体の製造方法。
(2)上記炭化ケイ素表面リッチ層は、アルゴン雰囲気下において形成されることを特徴とする上記(1)記載の炭化ケイ素焼結体の製造方法。
(3)上記炭化ケイ素表面リッチ層は、1420℃〜1800℃において形成されることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の炭化ケイ素焼結体の製造方法。
(4)上記炭化ケイ素粉末の粒度は、0.01〜10μmであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の炭化ケイ素焼結体の製造方法。
本発明によれば、炭化ケイ素表面リッチ層を備える炭化ケイ素焼結体を提供することができる。
以下に実施形態を挙げて本発明を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されない。
本発明者らは鋭意研究した結果、炭化ケイ素焼結体の表面に炭素層を設けた後に、ケイ素蒸気を暴露することで、炭化ケイ素焼結体の表面に簡易に炭化ケイ素表面リッチ層が形成されることを見出した。
〔炭化ケイ素焼結体の製造方法に用いられる成分〕
まず、本発明の実施形態にかかる炭化ケイ素多孔体の製造方法に用いられる成分について説明する。
(炭化ケイ素粉末)
炭化ケイ素粉末として、α型、β型、非晶質あるいはこれらの混合物等が挙げられる。また、高純度の炭化ケイ素焼結体を得るためには、原料の炭化ケイ素粉末として、高純度の炭化ケイ素粉末を用いることが好ましい。
このβ型炭化ケイ素粉末のグレードには特に制限はなく、例えば、一般に市販されているβ型炭化ケイ素を用いることができる。炭化ケイ素粉末の粒径は、高密度の観点からは、小さいことが好ましく、具体的には、0.01μm〜10μm程度、さらに好ましくは、0.05μm〜5μmである。粒径が、0.01μm未満であると、計量、混合等の処理工程における取扱いが困難となりやすく、10μmを超えると、比表面積が小さく、即ち、隣接する粉末との接触面積が小さくなり、高密度化し難くなるため好ましくない。
まず、本発明の実施形態にかかる炭化ケイ素多孔体の製造方法に用いられる成分について説明する。
(炭化ケイ素粉末)
炭化ケイ素粉末として、α型、β型、非晶質あるいはこれらの混合物等が挙げられる。また、高純度の炭化ケイ素焼結体を得るためには、原料の炭化ケイ素粉末として、高純度の炭化ケイ素粉末を用いることが好ましい。
このβ型炭化ケイ素粉末のグレードには特に制限はなく、例えば、一般に市販されているβ型炭化ケイ素を用いることができる。炭化ケイ素粉末の粒径は、高密度の観点からは、小さいことが好ましく、具体的には、0.01μm〜10μm程度、さらに好ましくは、0.05μm〜5μmである。粒径が、0.01μm未満であると、計量、混合等の処理工程における取扱いが困難となりやすく、10μmを超えると、比表面積が小さく、即ち、隣接する粉末との接触面積が小さくなり、高密度化し難くなるため好ましくない。
高純度の炭化ケイ素粉末は、例えば、少なくとも1種以上のケイ素化合物を含むケイ素源と、少なくとも1種以上の加熱により炭素を生成する有機化合物を含む炭素源と、重合又は架橋触媒と、を溶媒中で溶解し、乾燥した後に得られた粉末を非酸化性雰囲気下で焼成する工程により得ることができる。
前述のケイ素化合物を含むケイ素源(以下、「ケイ素源」という。)として、液状のものと固体のものとを併用することができるが、少なくとも1種は液状のものから選ばれなくてはならない。液状のものとしては、アルコキシシラン(モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−)及びテトラアルコキシシランの重合体が用いられる。アルコキシシランの中ではテトラアルコキシシランが好適に用いられ、具体的には、メトキシシラン、エトキシシラン、プロポキシシラン、ブトキシシラン等が挙げられるが、ハンドリングの点からは、エトキシシランが好ましい。また、テトラアルコキシシランの重合体としては、重合度が2〜15程度の低分子量重合体(オリゴマー)及びさらに重合度が高いケイ酸ポリマーで液状のものが挙げられる。これらと併用可能な固体状のものとしては、酸化ケイ素が挙げられる。前述の反応焼結法において酸化ケイ素とは、SiOの他、シリカゲル(コロイド状超微細シリカ含有液、内部にOH基やアルコキシル基を含む)、二酸化ケイ素(シリカゲル、微細シリカ、石英粉末)等を含む。これらケイ素源は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
これらケイ素源の中でも、均質性やハンドリング性が良好な観点から、テトラエトキシシランのオリゴマー及びテトラエトキシシランのオリゴマーと微粉末シリカとの混合物等が好適である。また、これらのケイ素源は高純度の物質が用いられ、初期の不純物含有量が20ppm以下であることが好ましく、5ppm以下であることがさらに好ましい。
高純度の炭化ケイ素粉末の製造に用いられる重合及び架橋触媒としては、炭素源に応じて適宜選択でき、炭素源がフェノール樹脂やフラン樹脂の場合、トルエンスルホン酸、トルエンカルボン酸、酢酸、しゅう酸、硫酸等の酸類が挙げられる。これらの中でも、トルエンスルホン酸が好適に用いられる。
高純度炭化ケイ素粉末を製造する工程における、炭素とケイ素の比(以下、C/Si比と略記)は、混合物をl000℃にて炭化して得られる炭化物中間体を、元素分析することにより定義される。化学量論的には、C/Si比が3.0の時に生成炭化ケイ素中の遊離炭素が0%となるばずであるが、実際には同時に生成するSiOガスの揮散により低C/Si比において遊離炭素が発生する。この生成炭化ケイ素粉末中の遊離炭素量が焼結体等の製造用途に適当でない量にならないように予め配合を決定することが重要である。通常、1気圧近傍で1600℃以上での焼成では、C/Si比を2.0〜2.5にすると遊離炭素を抑制することができ、この範囲を好適に用いることができる。C/Si比を2.55以上にすると遊離炭素が顕著に増加するが、この遊離炭素は結晶成長を抑制する効果を持つため、得ようとする結晶成長サイズに応じてC/Si比を適宜選択しても良い。但し、雰囲気の圧力を低圧又は高圧とする場合は、純粋な炭化ケイ素を得るためのC/Si比は変動するので、この場合は必ずしも前述のC/Si比の範囲に限定するものではない。
以上より、特に高純度の炭化ケイ素粉末を得る方法としては、本願出願人が先に出願した特開平9−48605号の単結晶の製造方法に記載の原料粉末の製造方法が挙げられる。即ち、高純度のテトラアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン重合体から選択される1種以上をケイ素源とし、加熱により炭素を生成する高純度有機化合物を炭素源とし、これらを均質に混合して得られた混合物を非酸化性雰囲気下において加熱焼成して炭化ケイ素粉末を得る炭化ケイ素生成工程と;得られた炭化ケイ素粉末を、1700℃以上2000℃未満の温度に保持し、該温度の保持中に、2000℃〜2100℃の温度において5〜20分間にわたり加熱する処理を少なくとも1回行う後処理工程と;を含み、前述の2工程を行うことにより、各不純物元素の含有量が0.5ppm以下である炭化ケイ素粉末を得る高純度炭化ケイ素粉末の製造方法等を利用することができる。この様にして得られた炭化ケイ素粉末は、大きさが不均一であるため、解粉、分級により前述の粒度に適合するように処理することが好ましい。
炭化ケイ素粉末を製造する工程において窒素を導入する場合は、まずケイ素源と、炭素源と、窒素源からなる有機物質と、重合又は架橋触媒と、を均質に混合するが、前述の如く、フェノール樹脂等の炭素源と、ヘキサメチレンテトラミン等の窒素源からなる有機物質と、トルエンスルホン酸等の重合又は架橋触媒とを、エタノール等の溶媒に溶解する際に、テトラエトキシシランのオリゴマー等のケイ素源と十分に混合することが好ましい。
(炭素源)
炭素源として用いられる物質は、酸素を分子内に含有し、加熱により炭素を残留する高純度有機化合物であることが好ましい。具体的には、フェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂やグルコース等の単糖類、蔗糖等の少糖類、セルロース、デンプン等の多糖類などの等の各種糖類が挙げられる。これらはケイ素源と均質に混合するという目的から、常温で液状のもの、溶媒に溶解するもの、熱可塑性あるいは熱融解性のように加熱することにより軟化するものあるいは液状となるものが主に用いられる。なかでも、レゾール型フェノール樹脂やノボラック型フェノール樹脂が好適である。特に、レゾール型フェノール樹脂が好適に使用される。
炭素源として用いられる物質は、酸素を分子内に含有し、加熱により炭素を残留する高純度有機化合物であることが好ましい。具体的には、フェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂やグルコース等の単糖類、蔗糖等の少糖類、セルロース、デンプン等の多糖類などの等の各種糖類が挙げられる。これらはケイ素源と均質に混合するという目的から、常温で液状のもの、溶媒に溶解するもの、熱可塑性あるいは熱融解性のように加熱することにより軟化するものあるいは液状となるものが主に用いられる。なかでも、レゾール型フェノール樹脂やノボラック型フェノール樹脂が好適である。特に、レゾール型フェノール樹脂が好適に使用される。
〔炭化ケイ素焼結体の製造方法〕
炭化ケイ素焼結体の製造方法にかかる実施形態は、
炭化ケイ素粉末を含むスラリーを鋳型に流し込みグリーン体を得る工程と、
上記グリーン体を仮焼して仮成形体を得る工程と、
上記仮成形体の表面に炭素源をコーティングし表面炭素層を形成する工程と、
上記表面炭素層にケイ素蒸気を暴露し、上記炭素源とケイ素を反応させて炭化ケイ素表面リッチ層を形成する工程と、を備える。以下工程毎に説明する。
炭化ケイ素焼結体の製造方法にかかる実施形態は、
炭化ケイ素粉末を含むスラリーを鋳型に流し込みグリーン体を得る工程と、
上記グリーン体を仮焼して仮成形体を得る工程と、
上記仮成形体の表面に炭素源をコーティングし表面炭素層を形成する工程と、
上記表面炭素層にケイ素蒸気を暴露し、上記炭素源とケイ素を反応させて炭化ケイ素表面リッチ層を形成する工程と、を備える。以下工程毎に説明する。
(イ)まず炭化ケイ素粉末を含むスラリーを鋳型に流し込みグリーン体を得る。
炭化ケイ素粉末としては、分級機による篩の目を通りぬける最大粒径基準で、0.01〜10μmのものが好ましく、0.1〜10μmのものがさらに好ましい。炭化ケイ素表面リッチ層を設ける際に、ケイ素蒸気が浸透し易くなるからである。この場合上記粒径が0.1μm未満だとチキソトロピック性が悪く鋳込みが困難になり、10μmよりも大きくなると炭化ケイ素粉末が沈降しずらくなる傾向がある。さらに炭化ケイ素粉末の粒径が0.1〜10μmから外れると、成形後のかさ密度が不均一になり、また乾燥強度が低下する傾向がある。スラリーには、炭化ケイ素粉末に加えて、解膠剤、バインダーを加えることが好ましい。
炭化ケイ素粉末としては、分級機による篩の目を通りぬける最大粒径基準で、0.01〜10μmのものが好ましく、0.1〜10μmのものがさらに好ましい。炭化ケイ素表面リッチ層を設ける際に、ケイ素蒸気が浸透し易くなるからである。この場合上記粒径が0.1μm未満だとチキソトロピック性が悪く鋳込みが困難になり、10μmよりも大きくなると炭化ケイ素粉末が沈降しずらくなる傾向がある。さらに炭化ケイ素粉末の粒径が0.1〜10μmから外れると、成形後のかさ密度が不均一になり、また乾燥強度が低下する傾向がある。スラリーには、炭化ケイ素粉末に加えて、解膠剤、バインダーを加えることが好ましい。
(ロ)上記グリーン体を真空又は窒素、アルゴン等の非酸化性雰囲気において、1500℃〜1900℃、好ましくは1600℃〜1800℃で焼成して仮成形体を得る。また後の工程で仮成形体の形状が壊れない程度でグリーン体を圧縮することが好ましい。
(ハ)上記仮成形体を炭素源に含浸させる。そして上記仮成形体の表面に表面炭素層を形成する。炭素源としては、特に制限されないが、経済的観点からはカーボンブラックが好ましい。
(ニ)ケイ素源を坩堝に配置した後、1450℃〜1800℃、好ましくは1500℃〜1600℃に加熱してケイ素蒸気雰囲気を形成する。次に表面炭素層を備える仮成形体をケイ素蒸気に暴露する。そして上記炭素と上記ケイ素を反応させて炭化ケイ素表面リッチ層を形成する。上記炭化ケイ素表面リッチ層は、アルゴン雰囲気下において形成されることが好ましい。窒素雰囲気では窒化ケイ素になってしまうからである。また真空下ではケイ素の蒸発が促進され、断熱材、炉体に付着してしまうからである。
〔炭化ケイ素焼結体〕
本実施形態にかかる炭化ケイ素焼結体は、耐薬品性が良好である。例えばフッ酸と硝酸の混酸に対し不溶という物性を備える。また、本発明の実施形態にかかる炭化ケイ素焼結体の不純物の総含有量は、10ppm未満、好ましくは5ppm未満、より好ましくは3ppm未満、さらに好ましくは1ppm未満である。半導体工業分野への適用の観点からは、これらの化学的な分析による不純物含有量は参考値としての意味を有するに過ぎない。実用的には、不純物が均一に分布しているか、局所的に偏在しているかによっても、評価が異なってくる。従って、当業者は一般的に実用装置を用いて所定の加熱条件のもとで不純物がどの程度ウェハを汚染するかを種々の手段により評価している。なお、液状のケイ素化合物と、非金属系焼結助剤と、重合又は架橋触媒と、を均質に混合して得られた固形物を非酸化性雰囲気下で加熱炭化した後、さらに、非酸化性雰囲気下で焼成する焼成工程とを含む製造方法によれば、炭化ケイ素焼結体に含まれるケイ素、炭素、酸素以外の不純物の総含有量を1ppm未満にすることができる。本実施形態で得られる炭化ケイ素焼結体の窒素含有量は、150ppm以上である。
炭化ケイ素焼結体の密度は1.8g/cm3以上、好ましい態様において2.0〜3.1g/cm3である。曲げ強度は70MPa以上、好ましい態様において100MPa以上である。
本実施形態にかかる炭化ケイ素焼結体は、耐薬品性が良好である。例えばフッ酸と硝酸の混酸に対し不溶という物性を備える。また、本発明の実施形態にかかる炭化ケイ素焼結体の不純物の総含有量は、10ppm未満、好ましくは5ppm未満、より好ましくは3ppm未満、さらに好ましくは1ppm未満である。半導体工業分野への適用の観点からは、これらの化学的な分析による不純物含有量は参考値としての意味を有するに過ぎない。実用的には、不純物が均一に分布しているか、局所的に偏在しているかによっても、評価が異なってくる。従って、当業者は一般的に実用装置を用いて所定の加熱条件のもとで不純物がどの程度ウェハを汚染するかを種々の手段により評価している。なお、液状のケイ素化合物と、非金属系焼結助剤と、重合又は架橋触媒と、を均質に混合して得られた固形物を非酸化性雰囲気下で加熱炭化した後、さらに、非酸化性雰囲気下で焼成する焼成工程とを含む製造方法によれば、炭化ケイ素焼結体に含まれるケイ素、炭素、酸素以外の不純物の総含有量を1ppm未満にすることができる。本実施形態で得られる炭化ケイ素焼結体の窒素含有量は、150ppm以上である。
炭化ケイ素焼結体の密度は1.8g/cm3以上、好ましい態様において2.0〜3.1g/cm3である。曲げ強度は70MPa以上、好ましい態様において100MPa以上である。
本発明の原料粉体である炭化ケイ素粉体及び原料粉体を製造するためのケイ素源と非金属系焼結助剤、さらに、非酸化性雰囲気とするために用いられる不活性ガス、それぞれの純度は、各不純物元素含有量1ppm以下であることが好ましいが、加熱、焼結工程における純化の許容範囲内であれば必ずしもこれに限定するものではない。また、ここで不純物元素とは、1989年IUPAC無機化学命名法改訂版の周期律表における1族から16族元素に属し、かつ、原子番号3以上であり、原子番号6〜8及び同14〜16の元素を除く元素をいう。
本実施形態にかかる炭化ケイ素焼結体は、以上のような物性を備えることよりダミーウェハやサセプターなど半導体製造用治具として好適に用いられる。
以上、実施形態を挙げて説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。従って本発明の加熱条件を満たしうるものであれば、特に製造装置等に制限はなく、公知の加熱炉内や反応装置を使用することができる。
以上、実施形態を挙げて説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。従って本発明の加熱条件を満たしうるものであれば、特に製造装置等に制限はなく、公知の加熱炉内や反応装置を使用することができる。
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明はこれら実施例に何ら制限されない。実施例1〜4及び比較例1、2の実験条件及び実験結果をまとめて表1に示す。
(実施例1)
炭化ケイ素焼結体の調製
前述の詳細な説明に記載された炭化ケイ素焼結体の製造方法に準じて、以下の条件下で炭化ケイ素焼結体を製造した。
混合粉体を得る工程:炭化ケイ素粉末として、粒度2μmの高純度炭化ケイ素粉末(特開平9―48605号に記載の製造方法に準じて製造された不純物含有量5ppm以下の炭化ケイ素/1.5重量%のシリカを含有)100重量部に対して、水40重量部と、解膠剤0.4重量部と、バインダー5重量部を添加し、さらに24時間ボールミルで分散混合し、粘度1ポワーズのスラリー状の混合粉体を得た。
グリーン体を得る工程:スラリー状の混合粉体を直径300mm、厚み10mmの円板状の石膏型に鋳込んだ。その後、24時間、22℃で自然乾燥させてグリーン体を得た。
炭化ケイ素焼結体の調製
前述の詳細な説明に記載された炭化ケイ素焼結体の製造方法に準じて、以下の条件下で炭化ケイ素焼結体を製造した。
混合粉体を得る工程:炭化ケイ素粉末として、粒度2μmの高純度炭化ケイ素粉末(特開平9―48605号に記載の製造方法に準じて製造された不純物含有量5ppm以下の炭化ケイ素/1.5重量%のシリカを含有)100重量部に対して、水40重量部と、解膠剤0.4重量部と、バインダー5重量部を添加し、さらに24時間ボールミルで分散混合し、粘度1ポワーズのスラリー状の混合粉体を得た。
グリーン体を得る工程:スラリー状の混合粉体を直径300mm、厚み10mmの円板状の石膏型に鋳込んだ。その後、24時間、22℃で自然乾燥させてグリーン体を得た。
仮成形体を得る工程:上記グリーン体を1800℃、真空雰囲気下で焼成し仮焼体を得た。
表面炭素層を形成する工程:仮成形体をカーボンスラリーに含浸させ、表面炭素層を形成した。
炭化ケイ素表面リッチ層を形成する工程:ケイ素を坩堝に配置し、1540℃まで加熱してアルゴン雰囲気下においてケイ素蒸気を発生させた。そして、表面炭素層を備える成形体をケイ素蒸気に2時間暴露し、炭化ケイ素表面リッチ層を形成させた。
(実施例2〜4)
スラリー成分を表1に変えたことを除き実施例1と同様に実験を行った。
表面炭素層を形成する工程:仮成形体をカーボンスラリーに含浸させ、表面炭素層を形成した。
炭化ケイ素表面リッチ層を形成する工程:ケイ素を坩堝に配置し、1540℃まで加熱してアルゴン雰囲気下においてケイ素蒸気を発生させた。そして、表面炭素層を備える成形体をケイ素蒸気に2時間暴露し、炭化ケイ素表面リッチ層を形成させた。
(実施例2〜4)
スラリー成分を表1に変えたことを除き実施例1と同様に実験を行った。
(比較例1)
仮成形体をカーボンスラリーに含浸させ表面炭素層を形成しなかったことを除き実施例1と同様に実験を行った。
仮成形体をカーボンスラリーに含浸させ表面炭素層を形成しなかったことを除き実施例1と同様に実験を行った。
(比較例2)
窒素(N)雰囲気下でケイ素蒸気を暴露したことを除き実施例1と同様に実験を行った。
窒素(N)雰囲気下でケイ素蒸気を暴露したことを除き実施例1と同様に実験を行った。
(結果)
実施例1で得られた炭化ケイ素焼結体を切断し断面を観察したところ、図1(a)に示すように炭化ケイ素焼結体の本体1の表面に炭化ケイ素表面リッチ層2が形成されたことが確認された。また実施例1の炭化ケイ素焼結体について、後に説明する基準に基づく耐薬品性試験を行ったところ良好な結果が得られた。さらに耐薬品性試験を行った後に実施例1の炭化ケイ素焼結体を切断し断面を観察したところ、図1(b)に示すように外観に変化は見られなかった。実施例2〜4についても実施例1と同様に良好な実験結果が得られた。
一方、比較例1、2にあっては炭化ケイ素表面リッチ層が形成されず、また耐薬品性が不良(×)であった。比較例1、2において耐薬品性が不良(×)であった理由は以下のように考えることができる。比較例1においては、仮焼体に表面炭素層を設けることなく仮焼体表面にケイ素蒸気を暴露したため、ケイ素が表面に露出したためと推定される。比較例2においては、窒素雰囲気下で仮焼体表面にケイ素蒸気を暴露したため、表面に窒化ケイ素(SiN)が形成されたためと推定される。
実施例1で得られた炭化ケイ素焼結体を切断し断面を観察したところ、図1(a)に示すように炭化ケイ素焼結体の本体1の表面に炭化ケイ素表面リッチ層2が形成されたことが確認された。また実施例1の炭化ケイ素焼結体について、後に説明する基準に基づく耐薬品性試験を行ったところ良好な結果が得られた。さらに耐薬品性試験を行った後に実施例1の炭化ケイ素焼結体を切断し断面を観察したところ、図1(b)に示すように外観に変化は見られなかった。実施例2〜4についても実施例1と同様に良好な実験結果が得られた。
一方、比較例1、2にあっては炭化ケイ素表面リッチ層が形成されず、また耐薬品性が不良(×)であった。比較例1、2において耐薬品性が不良(×)であった理由は以下のように考えることができる。比較例1においては、仮焼体に表面炭素層を設けることなく仮焼体表面にケイ素蒸気を暴露したため、ケイ素が表面に露出したためと推定される。比較例2においては、窒素雰囲気下で仮焼体表面にケイ素蒸気を暴露したため、表面に窒化ケイ素(SiN)が形成されたためと推定される。
(耐薬品性試験)
炭化ケイ素焼結体を室温において、5%フッ化水素水溶液に1時間浸漬し、続いて、フッ化水素(HF)/硝酸(HNO3)/水(重量部)=1/2/10の水溶液に1時間浸漬した。その後、炭化ケイ素焼結体の表面観察を行い、以下の基準に従い評価した。
○:重量変化が−1%未満、目視で外観変化なし。
×:重量変化が−1%以上、目視で外観変化あり。
炭化ケイ素焼結体を室温において、5%フッ化水素水溶液に1時間浸漬し、続いて、フッ化水素(HF)/硝酸(HNO3)/水(重量部)=1/2/10の水溶液に1時間浸漬した。その後、炭化ケイ素焼結体の表面観察を行い、以下の基準に従い評価した。
○:重量変化が−1%未満、目視で外観変化なし。
×:重量変化が−1%以上、目視で外観変化あり。
1…炭化ケイ素焼結体の本体
2…炭化ケイ素表面リッチ層
2…炭化ケイ素表面リッチ層
Claims (4)
- 炭化ケイ素粉末を含むスラリーを鋳型に流し込みグリーン体を得る工程と、
前記グリーン体を仮焼して仮成形体を得る工程と、
前記仮成形体の表面に炭素源をコーティングし表面炭素層を形成する工程と、
前記表面炭素層にケイ素蒸気を暴露し、前記炭素源とケイ素を反応させて炭化ケイ素表面リッチ層を形成する工程と、
を備えることを特徴とする炭化ケイ素焼結体の製造方法。 - 前記炭化ケイ素表面リッチ層は、アルゴン雰囲気下において形成されることを特徴とする請求項1記載の炭化ケイ素焼結体の製造方法。
- 前記炭化ケイ素表面リッチ層は、1420℃〜1800℃において形成されることを特徴とする請求項1又は2記載の炭化ケイ素焼結体の製造方法。
- 前記炭化ケイ素粉末の粒度は、0.01〜10μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の炭化ケイ素焼結体の製造方法。
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KR20110074176A (ko) * | 2009-12-24 | 2011-06-30 | 엘지이노텍 주식회사 | 고순도 탄화규소 제품 제조 방법 |
JP2011168426A (ja) * | 2010-02-17 | 2011-09-01 | Bridgestone Corp | 炭化ケイ素セラミックス、および、該炭化ケイ素セラミックスを用いた半導体プロセス用治具 |
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2005
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