JP2017027383A - 生タイヤモデルの作成方法及び生タイヤのシミュレーション方法 - Google Patents

生タイヤモデルの作成方法及び生タイヤのシミュレーション方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 実際の生タイヤの形状に近似させることができる【解決手段】 互いに接合された第1部材と第2部材とを少なくとも含む生タイヤの数値解析用の生タイヤモデルを、コンピュータを用いて作成するための方法、及び、生タイヤのシミュレーション方法である。作成方法では、第1部材及び第2部材の接合前の形状に基づいて、第1部材及び第2部材をそれぞれ有限個の要素でモデル化して第1部材モデル及び第2モデル部材をコンピュータに入力する工程S1と、コンピュータが、少なくとも第1部材モデルと第2部材モデルとを互いに接合させるとともに生タイヤの輪郭に近似するように変形させて、第1生タイヤモデルを定義する工程S2と、コンピュータが、第1部材モデルと第2部材モデルとの接合面での隙間がゼロとなるように、少なくとも第2部材モデルを修正して第2生タイヤモデルを定義する工程S4とを含む。【選択図】 図5

Description

本発明は、タイヤの開発に役立つ生タイヤモデルの作成方法及び生タイヤのシミュレーション方法に関する。
下記特許文献1では、タイヤの製造工程、特に加硫工程での生タイヤの変形状態を、コンピュータを用いて数値計算するシミュレーション方法が提案されている。下記特許文献1では、生タイヤを有限個の要素でモデル化した生タイヤモデルが用いられている。
特許第5297223号公報
上記特許文献1の生タイヤモデルは、実際の金型の断面形状に基づいて設定されている。他方、生タイヤは、例えば、複数のタイヤ部材を互いに接合させるとともに、トロイド状に変形させることによって成形されている。従って、上記特許文献1の生タイヤモデルは、実際の生タイヤを成形する工程に基づいて設定されてないため、実際の生タイヤの形状とは大きく異なる。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、実際の生タイヤの形状に近似させることができる生タイヤモデルの作成方法及び生タイヤのシミュレーション方法を提供することを主たる目的としている。
本発明は、互いに接合された第1部材と第2部材とを少なくとも含む生タイヤの数値解析用の生タイヤモデルを、コンピュータを用いて作成するための方法であって、前記第1部材及び前記第2部材の接合前の形状に基づいて、前記第1部材及び前記第2部材をそれぞれ有限個の要素でモデル化して第1部材モデル及び第2モデル部材を前記コンピュータに入力する工程と、前記コンピュータが、少なくとも前記第1部材モデルと前記第2部材モデルとを互いに接合させるとともに前記生タイヤの輪郭に近似するように変形させて、第1生タイヤモデルを定義する工程と、前記コンピュータが、前記第1部材モデルと前記第2部材モデルとの接合面での隙間がゼロとなるように、少なくとも前記第2部材モデルを修正して第2生タイヤモデルを定義する工程とを含むことを特徴とする。
本発明に係る前記生タイヤモデルの作成方法において、前記修正する工程に先立ち、前記第1生タイヤモデルから、前記接合面での隙間がゼロとなる前記第2部材モデルの目標輪郭形状を計算する工程をさらに含むのが望ましい。
本発明に係る前記生タイヤモデルの作成方法において、前記修正する工程は、少なくとも、前記第2部材モデルの輪郭形状が、前記目標輪郭形状に一致するように、前記第2部材モデルの前記要素を再定義する工程を含むのが望ましい。
本発明に係る前記生タイヤモデルの作成方法において、前記修正する工程は、前記第2部材モデルの前記接合面での前記要素の節点を、前記第1部材モデルの前記接合面での前記要素の節点と共有する位置に再定義する工程を含むのが望ましい。
本発明に係る前記生タイヤモデルの作成方法において、前記第1部材モデルは、コード材をモデル化したものであり、前記第2部材モデルは、ゴム材をモデル化したものであるのが望ましい。
本発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の第2生タイヤモデルを用いて、加硫工程を数値計算するシミュレーション方法であって、前記コンピュータに、前記生タイヤの外面を成形する第1成形面を有する外型を、有限個の要素でモデル化した外型モデルを入力する工程と、前記コンピュータに、前記生タイヤの内面を成形する第2成形面を有する内型を、有限個の要素でモデル化した内型モデルを入力する工程と、前記コンピュータに、前記外型モデルの前記第1成形面と、前記内型モデルの前記第2成形面とが壁となるように、接触を定義した境界条件を設定する工程と、前記コンピュータが、前記第2生タイヤモデルの外面が前記第1成形面に、前記第2生タイヤモデルの内面が前記第2成形面にそれぞれ接するように、前記第2生タイヤモデルを変形させる工程とを含むことを特徴とする。
本発明に係る前記生タイヤの変形シミュレーション方法において、前記内型モデルは、膨張変形可能に定義されており、前記第2生タイヤモデルを変形させる工程は、前記内型モデルを徐々に膨張させる工程を含むのが望ましい。
本願の第1の発明の生タイヤモデルの作成方法は、第1部材及び第2部材の接合前の形状に基づいて、第1部材及び第2部材をそれぞれ有限個の要素でモデル化して第1部材モデル及び第2モデル部材をコンピュータに入力する工程と、コンピュータが、少なくとも第1部材モデルと第2部材モデルとを互いに接合させるとともに生タイヤの輪郭に近似するように変形させて、第1生タイヤモデルを定義する工程とを含んでいる。
このような本願の第1の発明の生タイヤモデルの作成方法は、実際の生タイヤを成形する工程に基づいて、第1生タイヤモデルを定義している。従って、本願の第1の発明の生タイヤモデルの作成方法は、第1生タイヤモデルの形状を、実際の生タイヤの形状に近似させることができる。
ところで、第1部材モデルと、第2部材モデルとは、夫々個別にモデル化されているので、第1生タイヤモデルでは、それらの接合面が必ずしも完全に揃わない場合がある。本願の第1の発明の生タイヤモデルの作成方法は、コンピュータが、第1部材モデルと第2部材モデルとの接合面での隙間がゼロとなるように、少なくとも第2部材モデルを修正して第2生タイヤモデルを定義する工程とを含んでいる。これにより、第1部材モデルと第2部材モデルとの接合面で、力が正しく伝達される。従って、第2生タイヤモデルの変形により、第1部材モデルの要素又は第2部材モデルの要素の一方が、第1部材モデルの要素又は第2部材モデルの要素の他方に突き抜けるのを防ぐことができ、安定した変形計算を行うことができる。
本願の第2の発明の生タイヤの変形シミュレーション方法は、本願の第1の発明の第2生タイヤモデルの外面が外型モデルの第1成形面に、第2生タイヤモデルの内面が内型モデルの第2成形面にそれぞれ接するように、第2生タイヤモデルを変形させる工程を含んでいる。このような本願の第2の発明の生タイヤの変形シミュレーション方法は、加硫工程の生タイヤの形状を再現した第2生タイヤモデルを計算することができる。
しかも、第2生タイヤモデルは、第1部材モデルと第2部材モデルとの接合面での隙間がゼロとなるように修正されている。従って、本願の第2の発明の生タイヤの変形シミュレーション方法では、第1部材モデルと第2部材モデルとの接合面で、力が正しく伝達されるため、安定した変形計算を行うことができる。
本実施形態のコンピュータの一例を示す斜視図である。 評価対象の生タイヤを示す断面図である。 (a)、(b)は、生タイヤの成形方法を説明する断面図である。 生タイヤの加硫工程を説明する断面図である。 本実施形態の生タイヤモデルの作成方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 本実施形態の部材モデル入力工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 本実施形態の第1部材モデル入力工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 ケーシングモデル及びトレッドリングモデルの断面図である。 ケーシングモデルの分解図である。 トレッドリングモデルの部分拡大図である。 本実施形態の第2部材モデル入力工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 第1生タイヤモデル定義工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 ケーシングモデル定義工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 (a)、(b)は、接合面で節点が一致する場合の要素G(i)の再定義を説明する図である。 (a)、(b)は、接合面で節点が一致しない場合の要素G(i)の再定義を説明する図である。 トレッドリングモデル定義工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 本実施形態のシェーピング工程の処理手順を示すフローチャートである。 半径方向外側に膨出したケーシングモデルを示す断面図である。 トレッドリングモデルをケーシングモデル側に変形させた状態を説明する断面図である。 はみ出し部分を巻き上げた状態を説明する断面図である。 第1生タイヤモデルのビード部の拡大図である。 (a)は、第1生タイヤモデルの輪郭の一部を示す断面図、(b)は、(a)の目標輪郭形状を示す断面図である。 本実施形態の第2生タイヤモデル定義工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 目標輪郭形状に一致する第2部材モデルを示す断面図である。 本実施形態のシミュレーション方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 外型モデル、内型モデル、及び、第2生タイヤモデルを示す断面図である。 本実施形態の加硫シミュレーション工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 加硫工程の生タイヤの形状を再現した第2生タイヤモデルを示す断面図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本実施形態の生タイヤモデルの作成方法(以下、単に「作成方法」ということがある)は、評価対象の生タイヤをモデル化した数値解析用の生タイヤモデルを、コンピュータを用いて作成するための方法である。
図1は、本実施形態の作成方法、及び、生タイヤの変形シミュレーション方法(以下、単に「シミュレーション方法」ということがある。)を実行するコンピュータ1を示している。コンピュータ1は、本体1a、キーボード1b、マウス1c及びディスプレイ装置1dが含まれる。この本体1aには、演算処理装置(CPU)、ROM、作業用メモリー、磁気ディスクなどの記憶装置及びディスクドライブ装置1a1、1a2などが設けられている。なお、記憶装置には、本実施形態の作成方法、及び、シミュレーション方法を実行するための処理手順(プログラム)が予め記憶されている。
図2は、評価対象の生タイヤ2を示す断面図である。図2に示されるように、本実施形態の生タイヤ2は、互いに接合された第1部材9と、第2部材10とを少なくとも含んでいる。
本実施形態の第1部材9は、コード材9aである。本実施形態の第1部材9(コード材9a)は、カーカスプライ(本実施形態では、内側カーカスプライ6A、及び、外側カーカスプライ6B)と、ベルトプライ(本実施形態では、内側ベルトプライ7A、及び、外側ベルトプライ7B)と、ビードコア5とを含んでいる。なお、前記「内側」及び「外側」は、タイヤ赤道Cの位置で区別されるものとする。
内側カーカスプライ6A及び外側カーカスプライ6Bは、トレッド部2aからサイドウォール部2bを経てビード部2cのビードコア5にのびている。内側カーカスプライ6A及び外側カーカスプライ6Bは、タイヤ赤道Cに対して、例えば75〜90度の角度で配列されたカーカスコード(図示省略)を有している。カーカスコードは、トッピングゴム(図示省略)で被覆されている。カーカスコードとしては、例えば、有機繊維コード等が好適に採用される。
内側ベルトプライ7A及び外側ベルトプライ7Bは、内側カーカスプライ6A及び外側カーカスプライ6Bのタイヤ半径方向外側、かつ、トレッド部2aの内部に配されている。内側ベルトプライ7A及び外側ベルトプライ7Bは、タイヤ周方向に対して、例えば10〜40度の角度で傾斜して配列されたベルトコード(図示省略)が設けられている。ベルトコードは、トッピングゴム(図示省略)で被覆されている。内側ベルトプライ7A及び外側ベルトプライ7Bは、ベルトコードが互いに交差する向きに重ね合されている。なお、ベルトコードには、例えば、スチールコード、アラミド又はレーヨン等が好適に採用される。
ビードコア5は、例えば、スチール製のビードワイヤを所定回数螺旋巻きすることにより、断面略矩形状に形成したものを、ゴム被覆することにより形成される。
本実施形態の第2部材10は、ゴム材10aである。本実施形態の第2部材10(ゴム材10a)は、トレッド部2aにおいて外側ベルトプライ7Bの外側に配されるトレッドゴム11aと、サイドウォール部2bにおいてカーカスプライ6A、6Bの外側に配されるサイドウォールゴム11bと、ビード部2cに配されるクリンチゴム11cとを含んでいる。また、第2部材10は、ビードコア5からタイヤ半径方向外側にのびるビードエーペックスゴム11d、カーカス6の内面に配置されるインナーライナーゴム11e、及び、ビード部2cの半径方向内面に配置されるチェファーゴム11fを含んでいる。
図3(a)、(b)は、生タイヤ2の成形方法を説明する断面図である。本実施形態の生タイヤ2の成形方法では、従来の成形方法と同様に、先ず、円筒状のドラム(図示省略)に、第1接合体、第2接合体及び第3接合体が、互いに接合されて巻回される。これにより、円筒状のケーシング13(2点鎖線で示す)が形成される。
第1接合体は、図2に示した未加硫のインナーライナーゴム11eと、未加硫のチェファーゴム11fと、カーカスプライ6A、6Bとを接合したものである。第2接合体は、未加硫のクリンチゴム11cと未加硫のサイドウォールゴム11bとを接合したものである。第3接合体は、ビードコア5と未加硫のビードエーペックスゴム11dとを接合したものである。
次に、生タイヤ2の成形方法では、例えば、ケーシング13を形成するドラムよりも大きな径を有するドラム(図示省略)に、未加硫のトレッドゴム4a、内側ベルトプライ7A、及び、外側ベルトプライ7Bが互いに接合されて巻回される。これにより、円筒状のトレッドリング14が形成される。
次に、生タイヤ2の成形方法では、ビードコア5を把持するビード保持部15によって、ビードコア5、5の軸方向距離を減じながら、ケーシング13がトロイド状に膨出(シェーピング)される。ケーシング13の膨出は、例えば、ケーシング13の内腔面を形成するインナーライナーゴム11e側に、内圧P1を直接付与することによって実現される。
ケーシング13の外周面には、その半径方向外側に予め待機させたトレッドリング14の内周面が貼り付けられる。そして、図3(b)に示されるように、トレッドリング14の外周面14oに、ステッチングローラ(図示省略)が押し付けられることにより、ケーシング13の外周面とトレッドリング14の内周面とが密着される。
図3(b)に示されるように、内圧P1が付与されたケーシング13において、ビードコア5よりもタイヤ軸方向外側にはみ出したはみ出し部分13p(サイドウォールゴム11b及びクリンチゴム11cを含む)が、ビードコア5廻りで巻き上げられる。これにより、図2に示した生タイヤ2が形成される。なお、はみ出し部分13pの巻き上げは、例えば、はみ出し部分13pの内方に配置されたブラダー(図示省略)を膨張させることによって行われる。
図4は、生タイヤ2の加硫工程を説明する断面図である。加硫工程では、外型16、及び、内型17が用いられる。外型16は、生タイヤ2の外面を成形する第1成形面16sを有している。内型17は、生タイヤ2の内面を成形する第2成形面17sを有している。本実施形態の内型17は、弾性体からなるブラダーとして構成されているが、剛性中子でもよい。
加硫工程では、先ず、従来のタイヤの製造方法と同様に、生タイヤ2が外型16に投入される。次に、加硫工程では、内型17によって、外型16に投入された生タイヤ2が、外型16の第1成形面16sへ押圧されて加熱される。これにより、生タイヤ2が加硫成形され、タイヤ(図示省略)が製造される。
図5は、本実施形態の作成方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。本実施形態の作成方法では、先ず、図2に示した第1部材9及び第2部材10をそれぞれモデル化した第1部材モデル19及び第2部材モデル20を、コンピュータ1に入力する(部材モデル入力工程S1)。部材モデル入力工程S1では、第1部材9及び第2部材10の接合前の形状に基づいて、第1部材モデル19及び第2部材モデル20がモデル化される。図6は、本実施形態の部材モデル入力工程S1の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の部材モデル入力工程S1は、第1部材9(図2に示す)を、有限個の要素F(i)でモデル化した第1部材モデル19(図8に示す)を入力する(第1部材モデル入力工程S11)。図2に示されるように、第1部材9は、コード材9aである。本実施形態のコード材9aは、内側カーカスプライ6A、外側カーカスプライ6B、内側ベルトプライ7A、外側ベルトプライ7B、及び、ビードコア5を含んでいる。従って、第1部材モデル入力工程S11では、内側カーカスプライ6A、外側カーカスプライ6B、内側ベルトプライ7A、外側ベルトプライ7B、及び、ビードコア5がそれぞれモデル化される。図7は、本実施形態の第1部材モデル入力工程S11の処理手順の一例を示すフローチャートである。図8は、ケーシングモデル及びトレッドリングモデルの断面図である。図9は、ケーシングモデルの分解図である。
本実施形態の第1部材モデル入力工程S11では、先ず、図8及び図9に示されるように、内側カーカスプライ6A(図3(a)に示す)を、有限個の要素F(i)(i=1、2、…)でモデル化した内側カーカスプライモデル21を入力する(工程S111)。工程S111では、例えば、ドラム(図示省略)に巻回された内側カーカスプライ6A(図4に示す)の設計データ(例えば、CADデータ)が、コンピュータ1に入力される。この設計データには、カーカスコード(図示省略)の配列や、カーカスコードを被覆するトッピングゴム(図示省略)の輪郭に関する数値データが含まれている。そして、工程S111では、内側カーカスプライ6Aの設計データに基づいて、有限個の要素F(i)でモデル化(離散化)された内側カーカスプライモデル21が設定される。
要素F(i)は、数値解析法により取り扱い可能なものである。数値解析法としては、例えば、有限要素法、有限体積法、差分法、又は、境界要素法を適宜採用することができる。本実施形態では、有限要素法が採用されている。
要素F(i)としては、例えば、3次元のソリッド要素やビーム要素等を採用することができる。ソリッド要素は、精度がよく、接触面の設定が容易な6面体要素が好ましいが、複雑な形状を表現するのに適した4面体要素でもよく、これ以外にもソフトウェアで使用可能な3次元ソリッド要素が採用されてもよい。また、各要素F(i)には、要素番号、節点25の番号、節点25の座標値、及び、材料特性(例えば、密度、引張剛性、圧縮剛性、せん断剛性、曲げ剛性、又は、捩り剛性など)等の数値データが定義される。このような内側カーカスプライモデル21は、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態の第1部材モデル入力工程S11では、外側カーカスプライ6B(図3(a)に示す)を、有限個の要素F(i)(i=1、2、…)でモデル化した外側カーカスプライモデル22を入力する(工程S112)。工程S112では、内側カーカスプライモデル21を入力する工程S111と同様の処理手順に基づいて、外側カーカスプライモデル22が設定される。要素F(i)は、内側カーカスプライモデル21の要素F(i)と同様のものが採用されうる。この要素F(i)には、節点25の座標値、及び、外側カーカスプライ6Bの材料特性等を含む数値データが定義される。このような外側カーカスプライモデル22は、コンピュータ1に入力される。
図10は、トレッドリングモデルの部分拡大図である。次に、本実施形態の第1部材モデル入力工程S11では、図8及び図10に示されるように、内側ベルトプライ7A(図3(a)に示す)を、有限個の要素F(i)でモデル化した内側ベルトプライモデル23を入力する(工程S113)。工程S113では、例えば、ドラム(図示省略)に巻回された内側ベルトプライ7Aの設計データ(例えば、CADデータ)が、コンピュータ1に入力される。この設計データには、内側ベルトプライ7Aのベルトコード(図示省略)の配列や、ベルトコードを被覆するトッピングゴム(図示省略)の輪郭に関する数値データが含まれている。そして、工程S113では、内側ベルトプライ7Aの設計データに基づいて、有限個の要素F(i)でモデル化(離散化)された内側ベルトプライモデル23が設定される。
要素F(i)は、図9に示した内側カーカスプライモデル21の要素F(i)と同様のものが採用されうる。この要素F(i)には、節点25の座標値、及び、内側ベルトプライ7Aの材料特性等を含む数値データが定義される。このような内側ベルトプライモデル23は、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態の第1部材モデル入力工程S11では、外側ベルトプライ7B(図3(a)に示す)を、有限個の要素F(i)でモデル化した外側ベルトプライモデル24を入力する(工程S114)。工程S114では、内側ベルトプライモデル23を入力する工程S113と同様の処理手順に基づいて、外側ベルトプライモデル24が設定される。要素F(i)は、内側ベルトプライモデル23の要素F(i)と同様のものが採用されている。この要素F(i)には、節点25の座標値、及び、外側ベルトプライ7Bの材料特性等を含む数値データが定義される。このような外側ベルトプライモデル24は、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態の第1部材モデル入力工程S11では、図8及び図9に示されるように、ビードコア5(図3(a)に示す)を、有限個の要素F(i)でモデル化したビードコアモデル33を入力する(工程S115)。工程S115では、例えば、ドラム(図示省略)に巻回された内側カーカスプライ6A(図4に示す)の設計データ(例えば、CADデータ)が、コンピュータ1に入力される。この設計データには、ビードコア5のコード(図示省略)の配列や、コードを被覆するトッピングゴム(図示省略)の輪郭に関する数値データが含まれている。そして、工程S115では、ビードコア5の設計データに基づいて、有限個の要素F(i)でモデル化(離散化)されたビードコアモデル33が設定される。
要素F(i)は、内側カーカスプライモデル21の要素F(i)と同様のものが採用されうる。この要素F(i)には、節点25の座標値、及び、ビードコア5(図3(a)に示す)の材料特性等を含む数値データが定義される。このようなビードコアモデル33は、コンピュータ1に入力される。
図6に示されるように、本実施形態の部材モデル入力工程S1は、第2部材10(図2に示す)を、有限個の要素でモデル化した第2部材モデル20(図8に示す)を入力する(第2部材モデル入力工程S12)。図2に示されるように、本実施形態の第2部材10は、ゴム材10aである。本実施形態のゴム材10aは、トレッドゴム11aと、サイドウォールゴム11bと、クリンチゴム11cと、ビードエーペックスゴム11dと、インナーライナーゴム11eと、チェファーゴム11fを含んでいる。従って、第2部材モデル入力工程S12では、これらのゴム材10a(11a〜11f)がモデル化される。図11は、本実施形態の第2部材モデル入力工程S12の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の第2部材モデル入力工程S12では、先ず、図8及び図10に示されるように、トレッドゴム11a(図3(a)に示す)を、数値解析法により取り扱い可能な有限個の要素G(i)(i=1、2、…)でモデル化したトレッドゴムモデル27を入力する(工程S121)。本実施形態の工程S121では、例えば、ドラム(図示省略)に巻回された未加硫のトレッドリング14(図3(a)に示す)の設計データ(例えば、CADデータ)が、コンピュータ1に入力される。そして、この設計データに含まれる未加硫のトレッドゴム11aの輪郭に基づいて、有限個の要素G(i)でモデル化(離散化)される。これにより、工程S121では、未加硫のトレッドゴム11a(図3(a)に示す)をモデル化したトレッドゴムモデル27が設定される。要素G(i)の数値解析法としては、要素F(i)の数値解析法と同一のもの(本実施形態では、有限要素法)が採用される。
要素G(i)としては、例えば、3次元のソリッド要素が採用されている。ソリッド要素は、精度がよく、接触面の設定が容易な6面体要素が好ましいが、複雑な形状を表現するのに適した4面体要素でもよく、これ以外にもソフトウェアで使用可能な3次元ソリッド要素が採用されてもよい。また、各要素G(i)には、要素番号、節点26の番号、節点26の座標値、及び、未加硫のトレッドゴム11a(図3(a)に示す)の材料特性等の数値データが定義される。このようなトレッドゴムモデル27は、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態の第2部材モデル入力工程S12では、図8及び図9に示されるように、サイドウォールゴム11b(図3(a)に示す)を、有限個の要素G(i)(i=1、2、…)でモデル化したサイドウォールゴムモデル28を入力する(工程S122)。工程S122では、例えば、ドラム(図示省略)に巻回された未加硫のケーシング13(図3(a)に示す)の設計データ(例えば、CADデータ)が、コンピュータ1に入力される。そして、この設計データに含まれる未加硫のサイドウォールゴム11bの輪郭に基づいて、有限個の要素G(i)でモデル化(離散化)される。これにより、工程S122では、サイドウォールゴムモデル28が設定される。
要素G(i)は、図10に示したトレッドゴムモデル27の要素G(i)と同様のものが採用されている。この要素G(i)には、節点26の座標値、及び、未加硫のサイドウォールゴム11bの材料特性等を含む数値データが定義される。このようなサイドウォールゴムモデル28は、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態の第2部材モデル入力工程S12では、クリンチゴム11c(図3(a)に示す)をモデル化したクリンチゴムモデル29を入力する工程S123、及び、ビードエーペックスゴム11d(図3(a)に示す)をモデル化したビードエーペックスゴムモデル30を入力する工程S124が順次実施される。さらに、第2部材モデル入力工程S12では、インナーライナーゴム11e(図3(a)に示す)をモデル化したインナーライナーゴムモデル31を入力する工程S125、及び、チェファーゴム11f(図3(a)に示す)をモデル化したチェファーゴムモデル32を入力する工程S126が順次実施される。
工程S123〜工程S126は、サイドウォールゴムモデル28を入力する工程S122と同様に、図3(a)に示した未加硫のケーシング13の設計データのクリンチゴム11c、ビードエーペックスゴム11d、インナーライナーゴム11e、及び、チェファーゴム11fの輪郭に基づいて、有限個の要素G(i)で夫々モデル化(離散化)される。これにより、工程S123〜工程S126では、クリンチゴムモデル29、ビードエーペックスゴムモデル30、インナーライナーゴムモデル31、及び、チェファーゴムモデル32がそれぞれ設定される。
要素G(i)は、図10に示したトレッドゴムモデル27やサイドウォールゴムモデル28の要素G(i)と同様のものが採用されている。この要素G(i)には、節点26の座標値、及び、図3(a)に示した未加硫のクリンチゴム11c、ビードエーペックスゴム11d、インナーライナーゴム11e、又は、チェファーゴム11fの材料特性等を含む数値データがそれぞれ定義される。これらのゴムモデル29〜ゴムモデル32は、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態の作成方法では、コンピュータ1が、第1生タイヤモデルを定義する(第1生タイヤモデル定義工程S2)。第1生タイヤモデル定義工程S2では、少なくとも第1部材モデル19と第2部材モデル20とを互いに接合させるとともに、生タイヤ2の輪郭に近似するように変形させている。図12は、第1生タイヤモデル定義工程S2の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の第1生タイヤモデル定義工程S2は、先ず、円筒状のケーシング13(図3(a)に示す)をモデル化したケーシングモデル36(図8に示す)を設定する(ケーシングモデル定義工程S21)。図13は、ケーシングモデル定義工程S21の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態のケーシングモデル定義工程S21では、先ず、図9に示した内側カーカスプライモデル21、外側カーカスプライモデル22、クリンチゴムモデル29、サイドウォールゴムモデル28、ビードエーペックスゴムモデル30、インナーライナーゴムモデル31、チェファーゴムモデル32、及び、ビードコアモデル33の外面が壁となるように、接触を定義した境界条件が設定される(工程S211)。これらの境界条件は、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態のケーシングモデル定義工程S21では、内側カーカスプライモデル21、外側カーカスプライモデル22、インナーライナーゴムモデル31、及び、チェファーゴムモデル32を接合した第1接合モデル34aを設定する(工程S212)。
本実施形態の工程S212では、例えば、未加硫のケーシング13(図3(a)に示す)の設計データに基づいて、インナーライナーゴムモデル31、チェファーゴムモデル32、内側カーカスプライモデル21及び外側カーカスプライモデル22が配置される。そして、工程S212では、インナーライナーゴムモデル31、チェファーゴムモデル32、内側カーカスプライモデル21及び外側カーカスプライモデル22の各接合面において、各要素F(i)の節点25、又は、各要素G(i)の節点26が共有するように、要素F(i)及び要素G(i)が再定義される。
図14(a)、(b)は、接合面で節点が一致する場合の要素G(i)の再定義を説明する図である。図14(a)に示されるように、例えば、内側カーカスプライモデル21の接合面での節点25と、インナーライナーゴムモデル31の接合面での節点26とが一致している場合、図14(b)に示されるように、内側カーカスプライモデル21の節点25を、インナーライナーゴムモデル31の新たな節点26として定義する。なお、節点が一致するとは、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向において、各座標値が一致していることを示すものとする。
図15(a)、(b)は、接合面で節点が一致しない場合の要素G(i)の再定義を説明する図である。図15(a)に示されるように、例えば、内側カーカスプライモデル21の接合面での節点25と、インナーライナーゴムモデル31の接合面での節点26とが一致しない場合、図15(b)に示されるように、インナーライナーゴムモデル31の節点26に最も近い内側カーカスプライモデル21の節点25を、インナーライナーゴムモデル31の新たな節点26として定義する。
これにより、第1接合モデル34aは、インナーライナーゴムモデル31、チェファーゴムモデル32、内側カーカスプライモデル21及び外側カーカスプライモデル22の各接合面を完全に揃えて一体に接合することができるため、図3(a)に示した実際の生タイヤ2の第1接合体(即ち、未加硫のインナーライナーゴム11eと、未加硫のチェファーゴム11fと、カーカスプライ6A、6Bとを接合したもの)と同様に、各接合面に隙間が形成されるのを防ぐことができる。
次に、本実施形態のケーシングモデル定義工程S21では、図9に示されるように、クリンチゴムモデル29及びサイドウォールゴムモデル28を接合した第2接合モデル34bを設定する(工程S213)。
本実施形態の工程S213では、例えば、未加硫のケーシング13(図3(a)に示す)の設計データに基づいて、クリンチゴムモデル29及びサイドウォールゴムモデル28が配置される。次に、工程S213では、クリンチゴムモデル29及びサイドウォールゴムモデル28の接合面において、各要素G(i)の節点26が共有するように、要素G(i)が再定義される。なお、要素G(i)を再定義する手順については、工程S212の手順(図14及び図15に示す)と同一の手順が採用される。これにより、第2接合モデル34bは、クリンチゴムモデル29及びサイドウォールゴムモデル28の接合面を完全に揃えて一体に接合することができるため、図3(a)に示した実際の生タイヤ2の第2接合体(即ち、未加硫のクリンチゴム11cと未加硫のサイドウォールゴム11bとを接合したもの)と同様に、接合面に隙間が形成されるのを防ぐことができる。
次に、本実施形態のケーシングモデル定義工程S21では、図9に示されるように、ビードコアモデル33及びビードエーペックスゴムモデル30を接合した第3接合モデル34cを設定する(工程S214)。
本実施形態の工程S214では、例えば、未加硫のケーシング13(図3(a)に示す)の設計データに基づいて、ビードコアモデル33及びビードエーペックスゴムモデル30が配置される。そして、工程S214では、ビードコアモデル33及びビードエーペックスゴムモデル30との接合面において、各要素G(i)の節点26が共有するように、要素G(i)が再定義される。なお、要素G(i)を再定義する手順については、工程S212の手順(図14及び図15に示す)と同一の手順が採用される。これにより、第3接合モデル34cは、ビードコアモデル33及びビードエーペックスゴムモデル30の接合面を完全に揃えて一体に接合することができるため、図3(a)に示した実際の生タイヤ2の第3接合体(即ち、ビードコア5と未加硫のビードエーペックスゴム11dとを接合したもの)と同様に、接合面に隙間が形成されるのを防ぐことができる。
次に、本実施形態のケーシングモデル定義工程S21では、図8に示されるように、第1接合モデル34a及び第2接合モデル34bを接合する(工程S215)。工程S215では、先ず、未加硫のケーシング13(図3(a)に示す)の設計データに基づいて、第1接合モデル34a及び第2接合モデル34bが配置される。そして、工程S215では、第1接合モデル34aと第2接合モデル34bとの接合面38aに、固定条件を含む境界条件が設定される。
固定条件は、実際の生タイヤ2の各部材間の接着力に基づいて定義されている。また、第1接合モデル34aと第2接合モデル34bとの接合面38aでは、各要素F(i)の節点25(図9に示す)、又は、各要素G(i)の節点26(図9に示す)の共有が設定されていない。従って、図3(a)に示した実際の生タイヤ2の第1接合体及び第2接合体と同様に、第1接合モデル34a及び第2接合モデル34bの相対移動が許容される。
次に、本実施形態のケーシングモデル定義工程S21では、第1接合モデル34aと第3接合モデル34cとを接合する(工程S216)。工程S216では、先ず、未加硫のケーシング13(図3(a)に示す)の設計データに基づいて、第1接合モデル34a及び第3接合モデル34cが配置される。そして、工程S216では、第1接合モデル34a及び第3接合モデル34cの接合面38bに、固定条件を含む境界条件が設定される。これにより、第1部材モデル19と第2部材モデル20とを互いに接合させたケーシングモデル36が設定される。
固定条件は、実際の生タイヤ2の各部材間の接着力に基づいて定義されている。第1接合モデル34a及び第3接合モデル34cの接合面38bでは、各要素F(i)の節点25(図9に示す)、又は、G(i)の節点26(図9に示す)の共有が設定されていない。従って、図3(a)に示した実際の生タイヤ2の第1接合体及び第3接合体と同様に、第1接合モデル34a及び第3接合モデル34cの相対移動が許容される。ケーシングモデル36は、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態の第1生タイヤモデル定義工程S2は、円筒状のトレッドリング14をモデル化したトレッドリングモデルを設定する(トレッドリングモデル定義工程S22)。図16は、トレッドリングモデル定義工程S22の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態のトレッドリングモデル定義工程S22では、先ず、図10に示されるように、内側ベルトプライモデル23、外側ベルトプライモデル24、及び、トレッドゴムモデル27の外面が壁となるように、接触を定義した境界条件を設定する(工程S221)。これらの境界条件は、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態のトレッドリングモデル定義工程S22では、内側ベルトプライモデル23、外側ベルトプライモデル24、及び、トレッドゴムモデル27を接合する(工程S222)。
工程S222では、先ず、未加硫のトレッドリング14(図3(a)に示す)の設計データに基づいて、内側ベルトプライモデル23、外側ベルトプライモデル24、及び、トレッドゴムモデル27が配置される。そして、本実施形態の工程S222では、内側ベルトプライモデル23と外側ベルトプライモデル24との接合面、及び、外側ベルトプライモデル24とトレッドゴムモデル27との接合面において、各要素F(i)の節点25、及び、各要素G(i)の節点26が共有するように、要素F(i)及び要素G(i)が再定義される。なお、要素F(i)及び要素G(i)を再定義する手順については、工程S212の手順(図14及び図15に示す)と同一の手順が採用される。これにより、第1部材モデル19と第2部材モデル20とを互いに接合させたトレッドリングモデル39が設定される。このようなトレッドリングモデル39は、コンピュータ1に入力される。
このようなトレッドリングモデル39は、内側ベルトプライモデル23と外側ベルトプライモデル24との接合面、及び、外側ベルトプライモデル24とトレッドゴムモデル27との接合面を完全に揃えて一体に接合することができるため、図3(a)に示した生タイヤ2のトレッドリング14と同様に、各接合面に隙間が形成されるのを防ぐことができる。
次に、図8及び図12に示されるように、本実施形態の第1生タイヤモデル定義工程S2では、ケーシングモデル36のタイヤ半径方向の外面36oと、トレッドリングモデル39のタイヤ半径方向の内面39iとが壁となるように、接触を定義した境界条件が設定される(工程S23)。境界条件は、ケーシングモデル36の外面36oと、トレッドリングモデル39の内面39iとが接触しても、互いにすり抜けるのを防ぐためのものである。このような境界条件は、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態の第1生タイヤモデル定義工程S2では、コンピュータ1が、ケーシングモデル36の外面36oと、トレッドリングモデル39の内面39iとを接触させて、第1生タイヤモデル40を定義する(シェーピング工程S24)。図17は、本実施形態のシェーピング工程S24の処理手順を示すフローチャートである。
本実施形態のシェーピング工程S24では、先ず、図8に示されるように、ケーシングモデル36の外側に、トレッドリングモデル39を配置する(工程S241)。トレッドリングモデル39、及び、ケーシングモデル36の半径方向の位置は、図3(a)に示した実際のトレッドリング14、及び、膨出前のケーシング13の半径方向の位置に基づいて設定される。
次に、本実施形態のシェーピング工程S24では、コンピュータが、ケーシングモデル36を半径方向外側に膨出させる変形計算を実施する(工程S242)。図18は、半径方向外側に膨出したケーシングモデル36を示す断面図である。
工程S242では、先ず、ケーシングモデル36の内面36iに等分布荷重w1が定義される。この等分布荷重w1は、図3(a)に示したケーシング13を膨出させる高圧空気の圧力に相当するものである。なお、トレッドリングモデル39の各要素F(i)、G(i)の節点25、26は、移動不能に固定されている。
さらに、工程S242では、ケーシングモデル36のビード部36b、36bのタイヤ軸方向の距離が減じるように、ビード部36b、36bをタイヤ軸方向内側に移動させる。ビード部36b、36b間のタイヤ軸方向の距離は、図3(a)に示した膨出したケーシング13のビード部13b、13b間のタイヤ軸方向の距離に基づいて設定される。これにより、工程S242では、ケーシングモデル36を半径方向外側に膨出させる変形計算を実施することができる。このケーシングモデル36の膨出により、ケーシングモデル36の外面36oと、トレッドリングモデル39の内面39iとを接触させることができる。
ケーシングモデル36やトレッドリングモデル39等の変形計算は、図9及び図10に示した各要素F(i)、G(i)の形状及び材料特性などに基づいて、微小時間(単位時間Tx(x=0、1、…))ごとに実施される。このような変形計算は、例えば、JSOL社製のLS-DYNAなどの市販の有限要素解析アプリケーションソフトを用いて計算することができる。
次に、本実施形態のシェーピング工程S24では、ケーシングモデル36の外面36oと、トレッドリングモデル39の内面39iとが接触した後に、トレッドリングモデル39をケーシングモデル36側に変形させる(工程S243)。図19は、トレッドリングモデルをケーシングモデル側に変形させた状態を説明する断面図である。
図19に示されるように、工程S243では、トレッドリングモデル39の外面39oに、等分布荷重w2がさらに定義される。この等分布荷重w2は、図3(a)に示したトレッドリング14の外周面14oを押し付けるステッチングローラ(図示省略)の圧力に基づいて設定される。これにより、工程S243では、トレッドリングモデル39の内面39iが、ケーシングモデル36の外面36oに沿うように、トレッドリングモデル39の変形計算を実施することができる。
次に、本実施形態のシェーピング工程S24では、ケーシングモデル36の外面36oと、トレッドリングモデル39の内面39iとの接触面に、相対移動を防ぐ境界条件を設定する(工程S244)。このような境界条件は、各要素F(i)、G(i)の節点25、26(図9及び図10に示す)の共有を考慮することなく、ケーシングモデル36及びトレッドリングモデル39を一体化することができる。境界条件が設定された後、トレッドリングモデル39の外面39oに定義されていた等分布荷重w2が解除される。
次に、本実施形態のシェーピング工程S24では、ビードコアモデル33よりもタイヤ軸方向外側にはみ出したケーシングモデル36のはみ出し部分36pを、ビードコアモデル33の廻りで巻き上げる(工程S245)。図20は、はみ出し部分36pを巻き上げた状態を説明する断面図である。
工程S245では、ケーシングモデル36のはみ出し部分36pの内面に、等分布荷重w3が定義される。この等分布荷重w3は、図3(b)に示したはみ出し部分13pの内面を押し付けるブラダー12の圧力に基づいて設定される。これにより、工程S245では、はみ出し部分36pを巻き上げて、外側カーカスプライモデル22の外面又はトレッドゴムモデル27の外面に沿うように、はみ出し部分36p及びビードエーペックスゴムモデル30の変形計算を実施することができる。
次に、本実施形態のシェーピング工程S24では、ケーシングモデル36のはみ出し部分36pの接触面に、相対移動を防ぐ境界条件を設定する(工程S246)。工程S246では、はみ出し部分36pとトレッドゴムモデル27との接触面、はみ出し部分36pと外側カーカスプライモデル22との接触面、はみ出し部分36pとビードコアモデル33との接触面、及び、はみ出し部分36pとビードエーペックスゴムモデル30との接触面に、相対移動を防ぐ境界条件が設定される。このような境界条件は、各要素F(i)、G(i)の節点25、26(図9に示す)の共有を考慮することなく、ケーシングモデル36のはみ出し部分36p、トレッドゴムモデル27、ビードコアモデル33及びビードエーペックスゴムモデル30を一体にすることができる。
次に、本実施形態のシェーピング工程S24では、ケーシングモデル36に定義されている等分布荷重w1、及び、ケーシングモデル36のはみ出し部分36pに定義されている等分布荷重w3が解除される(工程S247)。これらの等分布荷重w1、w3の解除により、シェーピング工程S24では、第1部材モデル19と第2部材モデル20とを互いに接合させるとともに、図2に示した生タイヤ2の輪郭に近似するように変形させた第1生タイヤモデル40が定義される。このような第1生タイヤモデル40は、コンピュータ1に入力される。
このように、本実施形態の作成方法は、図3(a)、(b)に示した実際の生タイヤ2を成形する工程と同様の手順に従って、第1生タイヤモデル40を定義している。従って、本実施形態の作成方法は、第1生タイヤモデル40の形状を、実際の生タイヤ2(図2に示す)の形状に近似させることができる。また、本実施形態の作成方法では、第1部材モデル19及び第2部材モデル20(図8に示す)が夫々個別にモデル化されるため、実際の生タイヤ2を成形する工程と同様に、第1部材モデル19及び第2部材モデル20を柔軟に変形させることができる。従って、本実施形態の作成方法では、第1生タイヤモデル40の形状を、実際の生タイヤ2(図2に示す)の形状に、効果的に近似させることができる。
図21は、第1生タイヤモデル40のビード部40cの拡大図である。図21に示されるように、第1部材モデル19と、第2部材モデル20とは、夫々個別にモデル化されているため、第1生タイヤモデル40では、それらの接合面43(とりわけ、第1接合モデル34a、第2接合モデル34b、及び、第3接合モデル34cの第1、第2部材モデル19、20間の接合面)が必ずしも完全に揃わない場合がある。完全に揃わない接合面43の一例としては、外側カーカスプライモデル22とビードエーペックスゴムモデル30との接合面43a、内側カーカスプライモデル21とクリンチゴムモデル29との接合面43b、内側カーカスプライモデル21とインナーライナーゴムモデル31との接合面43c、ビードコアモデル33とビードエーペックスゴムモデル30との接合面43d、内側カーカスプライモデル21とサイドウォールゴムモデル28との接合面43e、及び、外側カーカスプライモデル22とトレッドゴムモデル27との接合面43f(図示省略)を含んでいる。
このような接合面43(例えば、接合面43a〜43f)では、第1部材モデル19と第2部材モデル20との間に隙間46が形成されるため、力を正しく(均一に)伝達することができず、第1部材モデル19の要素F(i)又は第2部材モデル20の要素G(i)の一方が、第1部材モデル19の要素F(i)又は第2部材モデル20の要素G(i)の他方に突き抜けて、計算の異常終了を招く場合がある。
本実施形態の作成方法では、後述の第2生タイヤモデル定義工程S4において、第1部材モデル19と第2部材モデル20との接合面43(例えば、接合面43a〜43f)での隙間46がゼロとなるように、第1生タイヤモデル40の少なくとも第2部材モデル20が修正される。
上述したように、第1部材モデル19は、コード材9a(図2に示す)をモデル化したものである。第2部材モデル20は、ゴム材10a(図2に示す)をモデル化したものである。このような第2部材モデル20は、第1部材モデル19に比べて剛性が小であるため、第1部材モデル19と比べて修正しやすい。従って、本実施形態では、第1生タイヤモデル40の第2部材モデル20が修正される。
本実施形態の作成方法では、図5に示されるように、後述の第2生タイヤモデル定義工程S4に先立ち、コンピュータ1が、第1生タイヤモデル40から、接合面43(例えば、接合面43a〜43f)での隙間がゼロとなる第2部材モデルの目標輪郭形状を計算する(工程S3)。図22(a)は、第1生タイヤモデル40の輪郭の一部を示す断面図である。図22(b)は、図22(a)の目標輪郭形状を示す断面図である。
工程S3では、先ず、図22(a)に示されるように、第1部材モデル19(本実施形態では、内側カーカスプライモデル21、外側カーカスプライモデル22、内側ベルトプライモデル23(図10に示す)及び外側ベルトプライモデル24(図10に示す))の輪郭19s、並びに、第2部材モデル20の輪郭20sがそれぞれ取得される。
次に、図22(b)に示されるように、第1生タイヤモデル40の第1部材モデル19(本実施形態では、内側カーカスプライモデル21、外側カーカスプライモデル22、内側ベルトプライモデル23(図示省略)及び外側ベルトプライモデル24(図示省略))の輪郭19sに沿うように、第2部材モデル20の輪郭20sが修正される。これにより、接合面43(例えば、接合面43a〜43f)での隙間46(図22(a)に示す)がゼロとなる第2部材モデルの目標輪郭形状44を計算することができる。第2部材モデル20の目標輪郭形状44は、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態の作成方法では、第2生タイヤモデル定義工程S4が実施される。上述したように、本実施形態の第2生タイヤモデル定義工程S4は、コンピュータ1が、第1部材モデル19と第2部材モデル20との接合面43(例えば、接合面43a〜43f)での隙間がゼロとなるように、第2部材モデル20を修正して第2生タイヤモデル45を定義する。図23は、本実施形態の第2生タイヤモデル定義工程S4の処理手順の一例を示すフローチャートである。
第2生タイヤモデル定義工程S4は、少なくとも、第2部材モデル20の輪郭形状が、目標輪郭形状44に一致するように、第2部材モデル20の要素G(i)を再定義する(工程S41)。本実施形態の工程S41では、図21に示した第2部材モデル20の要素G(i)を無効にした後に、第2部材モデル20の目標輪郭形状44(図22(b)に示す)に基づいて、第2部材モデル20が、要素G(i)で夫々モデル化(離散化)される。要素G(i)については、上述のとおりである。これにより、第2部材モデル20の輪郭形状が、目標輪郭形状44に一致する第2部材モデル20が定義される。図24は、目標輪郭形状44に一致する第2部材モデル20を示す断面図である。
次に、本実施形態の第2生タイヤモデル定義工程S4では、第2部材モデル20の接合面43(例えば、接合面43a〜43f)での要素G(i)の節点26を、第1部材モデル19の接合面での要素F(i)の節点25と共有する位置に再定義する(工程S42)。
工程S42では、図14(a)に示されるように、第2部材モデル20の接合面43での節点26と、第1部材モデル19の接合面43(例えば、接合面43a〜43f)での節点25とが一致している場合、図14(b)に示されるように、第1部材モデル19の節点25を、第2部材モデル20の新たな節点26として定義する。
他方、図15(a)に示されるように、第2部材モデル20の接合面43(例えば、接合面43a〜43f)での節点26と、第1部材モデル19の接合面43での節点25とが一致していない場合、図15(b)に示されるように、第2部材モデル20の節点26に最も近い第1部材モデル19の節点25を、第2部材モデル20の新たな節点26として定義する。
これにより、第1部材モデル19は、ケーシングモデル36の変形計算で生じた変形を維持しつつ、第1部材モデル19と第2部材モデル20との接合面43(例えば、接合面43a〜43f)を揃えることができる。しかも、第1部材モデル19と第2部材モデル20との接合面43において、要素F(i)の節点25と要素G(i)の節点26とが共有されるため、第1部材モデル19及び第2部材モデル20を一体に定義することができる。これにより、第1部材モデル19と第2部材モデル20との接合面43での隙間46(図21に示す)がゼロとなる第2生タイヤモデル45(図24に示す)が定義される。
このような第2生タイヤモデル45は、第1部材モデル19と第2部材モデル20との接合面43(例えば、接合面43a〜43f)を完全に揃えることができるため、接合面43で、力が正しく伝達される。従って、第2生タイヤモデル45の変形によって、第1部材モデル19の要素F(i)又は第2部材モデル20の要素G(i)の一方が、第1部材モデル19の要素F(i)又は第2部材モデル20の要素G(i)の他方に突き抜けるのを防ぐことができ、安定した変形計算を行うことができる。
本実施形態の第2生タイヤモデル定義工程S4では、第1部材モデル19と第2部材モデル20との接合面43での隙間がゼロとなるように、第2部材モデル20を修正されたが、このような態様に限定されるわけではない。例えば、第1部材モデル19のみが修正されても良いし、第1部材モデル19及び第2部材モデルの双方が修正されてもよい。
また、第1部材モデル19、19間の接合面43が完全に揃わない場合には、第1部材モデル19、19間の接合面43の隙間がゼロになるように、第1生タイヤモデル40(図21に示す)の第1部材モデル19、19の少なくとも一方が修正されるのが望ましい。完全に揃いにくい接合面43の一例としては、外側カーカスプライモデル22とビードコアモデル33との接合面(図示省略)、及び、外側カーカスプライモデル22と内側ベルトプライとの接合面(図示省略)が含まれる。なお、第1部材モデル19の修正は、第2生タイヤモデル定義工程S4の工程S41及び工程S42と同一の処理手順で実施されうる。
次に、第2生タイヤモデル45を用いた本実施形態の生タイヤの変形シミュレーション方法(以下、単に「シミュレーション方法」ということがある。)について説明する。本実施形態のシミュレーション方法では、図4に示した生タイヤ2の加硫工程が数値計算される。図25は、本実施形態のシミュレーション方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。図26は、外型モデル51、内型モデル52、及び、第2生タイヤモデル45を示す断面図である。
本実施形態のシミュレーション方法では、先ず、コンピュータ1に、図4に示した外型16を、有限個の要素G(i)でモデル化した外型モデル51を入力する(工程S5)。本実施形態の外型モデル51は、例えば、図4に示した外型16の第1成形面16sの輪郭を含む設計データに基づいて設定される。従って、外型モデル51には、第2生タイヤモデル45の外面45oを成形する第1成形面51sを有している。本実施形態の外型モデル51は、タイヤ周方向にのびる薄板状に設定されているが、このような態様に限定されるわけではない。
要素G(i)(図示省略)は、第2部材モデル20の要素G(i)と同様に、ソリッド要素が採用されている。この要素G(i)には、例えば、節点(図示省略)の座標値、及び、外型16(図4に示す)の材料特性等を含む数値データが定義される。このような外型モデル51は、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1に、図4に示した内型を、有限個の要素G(i)でモデル化した内型モデル52を入力する(工程S6)。本実施形態の内型モデル52は、例えば、図4に示した内型17の第2成形面17sの輪郭を含む設計データに基づいて設定される。従って、内型モデル52には、第2生タイヤモデル45の内面を成形する第2成形面52sを有している。
要素G(i)(図示省略)は、外型モデル51と同様に、ソリッド要素が採用されている。この要素G(i)には、例えば、節点(図示省略)の座標値、及び、内型17(図4に示す)の材料特性等を含む数値データが定義される。上述したように、本実施形態の内型17は、弾性体として構成されているブラダーである。従って、内型モデル52は、膨張変形可能に定義されている。なお、内型17が剛性中子(図示省略)として構成される場合、内型モデル52は、外型モデル51と同様に、膨張変形不能(剛体)として定義される。このような内型モデル52は、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1が、第2生タイヤモデル45の外面45oが第1成形面51sに、第2生タイヤモデル45の内面45iが第2成形面52sにそれぞれ接するように、第2生タイヤモデル45を変形させる(加硫シミュレーション工程S7)。図27は、本実施形態の加硫シミュレーション工程S7の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の加硫シミュレーション工程S7は、先ず、図26に示されるように、第2生タイヤモデル45の外面45oよりも外側に、外型モデル51を配置する(工程S71)。工程S71において、第2生タイヤモデル45の外面45oと、外型モデル51の第1成形面51s(2点鎖線で示す)とは、互いに離間している。
次に、本実施形態の加硫シミュレーション工程S7は、第2生タイヤモデル45の内面45iよりも内側に、内型モデル52を配置する(工程S72)。工程S72において、第2生タイヤモデル45の内面45iと、内型モデル52の第2成形面52s(2点鎖線で示す)とは、互いに離間している。
次に、本実施形態の加硫シミュレーション工程S7は、コンピュータ1に、外型モデル51の第1成形面51sと、内型モデル52の第2成形面52sとが壁となるように、接触を定義した境界条件を設定する(工程S73)。境界条件は、外型モデル51の第1成形面51sと第2生タイヤモデル45とのすり抜け、及び、内型モデル52の第2成形面52sと第2生タイヤモデル45とのすり抜けを防ぐためのものである。このような境界条件は、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態の加硫シミュレーション工程S7は、外型モデル51を元の位置に徐々に移動させつつ、内型モデル52を徐々に膨張させる(工程S74)。工程S74では、第2生タイヤモデル45の外面45oよりも外側に配置されていた外型モデル51を、元の外型16の位置に移動させている。これにより、工程S74では、外型モデル51の第1成形面51sに、第2生タイヤモデル45の外面45oを接触させることができる。この外型モデル51の第1成形面51sの接触により、第2生タイヤモデル45のビード部45c、45cのタイヤ軸方向の距離が減じられる。そして、外型モデル51の位置(座標値)が固定される。
工程S74では、内型モデル52の内面に、等分布荷重w4が定義される。等分布荷重w4は、図4に示した内型17を膨出させる高圧空気の圧力に相当するものである。これにより、工程S74では、内型モデル52を徐々に膨張させることができるため、内型モデル52の第2成形面52sに、第2生タイヤモデル45の内面45iを接触させることができる。
図28は、加硫工程の生タイヤの形状を再現した第2生タイヤモデル45を示す断面図である。内型モデル52の更なる膨張により、第2生タイヤモデル45の外面45oが、外型モデル51の第1成形面51sに沿って押し付けられる。これにより、加硫シミュレーション工程S7では、加硫工程の生タイヤ2の形状を再現した第2生タイヤモデル45を計算することができる。
第2生タイヤモデル45及び内型モデル52の変形計算、及び、外型モデル51の移動計算は、各要素F(i)、G(i)の形状、及び、材料特性などに基づいて、微小時間(単位時間Tx(x=0、1、…))ごとに実施される。このような変形計算は、上記した市販の有限要素解析アプリケーションソフトを用いて計算することができる。
上述したように、第2生タイヤモデル45は、図24に示されるように、第1部材モデル19と第2部材モデル20との接合面43での隙間がゼロとなるように修正されている。従って、本実施形態のシミュレーション方法では、第1部材モデル19と第2部材モデル20との接合面43で、力が正しく伝達されるため、安定した変形計算を行うことができる。
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、図25に示されるように、第2生タイヤモデル45(図28に示す)の変形状態が良好である否かが判断される(工程S8)。工程S8では、例えば、第1部材モデル19(図24に示す)の形状や、第2部材モデル20(図24に示す)の形状に基づいて、第2生タイヤモデル45の変形状態の良否が判断される。
この工程S8では、第2生タイヤモデル45の変形状態が良好であると判断された場合(工程S8で、「Y」)、第1生タイヤモデル40、又は、第2生タイヤモデル45に基づいて、生タイヤ2(図2に示す)が製造される(工程S9)。他方、第2生タイヤモデル45の変形状態が良好でないと判断された場合(工程S8で、「N」)、生タイヤ2の設計因子が変更され(工程S10)、生タイヤモデルを作成する工程S20(即ち、工程S1〜工程S4)、及び、シミュレーション方法(即ち、図5に示した工程S5〜工程S8)が再度実施される。このように、本実施形態のシミュレーション方法では、第2生タイヤモデル45の変形状態が良好になるまで、生タイヤ2(図2に示す)の設計因子が変更されるため、成形精度が優れるタイヤを効率よく設計することができる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図5に示した処理手順に従って、生タイヤの第1部材及び第2部材をモデル化した第1部材モデル及び第2モデル部材をコンピュータに入力し、互いに接合した第1部材モデル及び第2部材モデルを、生タイヤの輪郭に近似するように変形させて、第1生タイヤモデルが定義された(実施例及び比較例1)。
実施例では、図23に示した処理手順に従って、第1部材モデルと第2部材モデルとの接合面での隙間がゼロとなるように、第2部材モデルを修正して第2生タイヤモデルが定義された。他方、比較例1では、実施例のように、第2生タイヤモデルが定義されなかった。比較のために、実際の金型の断面形状に基づいて要素分割された生タイヤモデルが設定された(比較例2)。また、図2に示した生タイヤが製造された(実験例)
そして、図25及び図27に示した処理手順に従って、実施例の第2生タイヤモデル、比較例1の第1生タイヤモデル、及び、比較例2の生タイヤモデルの変形させる変形シミュレーションが実施された。共通仕様は、次のとおりである。
タイヤサイズ:275/30R20
シミュレーションソフトウェア:JSOL社製のLS-DYNA
実施例の第2生タイヤモデル、及び、比較例1の第1生タイヤモデルは、実際の生タイヤを成形する工程に基づいて設定されるため、比較例2の生タイヤモデルに比べて、実験例の生タイヤの形状に近似させることができた。
実施例の第2生タイヤモデルは、第1部材モデルと第2部材モデルとの接合面での隙間がゼロに修正されているため、変形シミュレーションにおいて安定した変形計算を行うことができた。他方、比較例1の第1生タイヤモデルは、第1部材モデルと第2部材モデルとの間で、要素の突き抜けが発生し、変形計算が異常終了した。従って、実施例の第2生タイヤモデルは、実際の生タイヤの形状に近似させつつ、安定した変形計算を行うことができた。
S1 第1部材モデル及び第2モデル部材を入力する工程
S2 第1生タイヤモデルを定義する工程
S4 第2生タイヤモデルを定義する工程

Claims (7)

  1. 互いに接合された第1部材と第2部材とを少なくとも含む生タイヤの数値解析用の生タイヤモデルを、コンピュータを用いて作成するための方法であって、
    前記第1部材及び前記第2部材の接合前の形状に基づいて、前記第1部材及び前記第2部材をそれぞれ有限個の要素でモデル化して第1部材モデル及び第2モデル部材を前記コンピュータに入力する工程と、
    前記コンピュータが、少なくとも前記第1部材モデルと前記第2部材モデルとを互いに接合させるとともに前記生タイヤの輪郭に近似するように変形させて、第1生タイヤモデルを定義する工程と、
    前記コンピュータが、前記第1部材モデルと前記第2部材モデルとの接合面での隙間がゼロとなるように、少なくとも前記第2部材モデルを修正して第2生タイヤモデルを定義する工程とを含む生タイヤモデルの作成方法。
  2. 前記修正する工程に先立ち、前記第1生タイヤモデルから、前記接合面での隙間がゼロとなる前記第2部材モデルの目標輪郭形状を計算する工程をさらに含む請求項1記載の生タイヤモデルの作成方法。
  3. 前記修正する工程は、少なくとも、前記第2部材モデルの輪郭形状が、前記目標輪郭形状に一致するように、前記第2部材モデルの前記要素を再定義する工程を含む請求項1記載の生タイヤモデルの作成方法。
  4. 前記修正する工程は、前記第2部材モデルの前記接合面での前記要素の節点を、前記第1部材モデルの前記接合面での前記要素の節点と共有する位置に再定義する工程を含む請求項1乃至3のいずれかに記載の生タイヤモデルの作成方法。
  5. 前記第1部材モデルは、コード材をモデル化したものであり、前記第2部材モデルは、ゴム材をモデル化したものである請求項1乃至4のいずれかに記載の生タイヤモデルの作成方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の第2生タイヤモデルを用いて、加硫工程を数値計算するシミュレーション方法であって、
    前記コンピュータに、前記生タイヤの外面を成形する第1成形面を有する外型を、有限個の要素でモデル化した外型モデルを入力する工程と、
    前記コンピュータに、前記生タイヤの内面を成形する第2成形面を有する内型を、有限個の要素でモデル化した内型モデルを入力する工程と、
    前記コンピュータに、前記外型モデルの前記第1成形面と、前記内型モデルの前記第2成形面とが壁となるように、接触を定義した境界条件を設定する工程と、
    前記コンピュータが、前記第2生タイヤモデルの外面が前記第1成形面に、前記第2生タイヤモデルの内面が前記第2成形面にそれぞれ接するように、前記第2生タイヤモデルを変形させる工程とを含む生タイヤの変形シミュレーション方法。
  7. 前記内型モデルは、膨張変形可能に定義されており、
    前記第2生タイヤモデルを変形させる工程は、前記内型モデルを徐々に膨張させる工程を含む請求項6記載の生タイヤの変形シミュレーション方法。
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