JP2017026676A - 大型ディスプレイ用白色反射フィルム - Google Patents

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真人 浅井
倉垣 雅弘
Masahiro Kuragaki
雅弘 倉垣
真一郎 岡田
Shinichiro Okada
真一郎 岡田
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Abstract

【課題】優れた反射特性を有しながら熱撓みし難い白色反射フィルムを提供すること。【解決手段】炭酸カルシウム粒子を含有する熱可塑性樹脂組成物からなり、該炭酸カルシウム粒子は、平均粒径が0.1〜1.2μm、小粒径側から積算した10%体積粒径D10、50%体積粒径D50および90%体積粒径D90が(D90−D10)/D50≦1.6を満たし、含有量が前記熱可塑性樹脂組成物の質量に対して10〜70質量%である反射層Aを有し、フィルムの反射率が60%以上である、大型ディスプレイ用白色反射フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、反射板として好適に用いることのできる大型ディスプレイ用白色反射フィルムに関する。
面光源は、背面に反射板を配し、かかる反射板によって光源からの光を前面に反射させて光の取り出し効率を高め、輝度を向上している。
例えば、液晶表示装置(LCD)のバックライトユニットでは、液晶表示パネルの背面に光源および反射フィルムを備える直下型と、液晶表示パネルの背面に、背面に反射板を備えた導光板を配し、かかる導光板の側面に光源を備えるエッジライト型とがある。光源としては、従来はCCFLがよく用いられていたが、近年は少電力化や薄型化のために発光ダイオード(LED)が用いられ、エッジライト型LEDバックライトや直下型LEDバックライトが主流である。エッジライト型バックライトは、LCDをより薄型化できるメリットがあり、他方直下型LEDバックライトは、導光板を用いない点で低コストである。
面光源は、他にも屋内外を明るくするための照明用としても用いられている。
反射板としては、例えばポリエステル等の熱可塑性樹脂に無機粒子や非相溶樹脂を添加し、それを延伸製膜することで内部にボイドを形成したボイド含有フィルムがよく用いられている(特許文献1〜5)。
しかしながらこのような反射板は、光源や外部環境からの熱や湿度により変形して撓んでしまう場合がある(以下、かかる撓みを「熱撓み」と呼称する場合がある。)。反射板が撓んでしまうと面光源の輝度斑となり、例えばLCDにおいては画面の明るさ斑となる。
そこでかかる熱撓みの問題を解決すべく、特許文献6では粒子による凹凸面の上に金属層を形成した反射面とすることで、撓んでも輝度斑になり難くする思想が提唱されている。また、LCDの底面部材に突起部を形成して反射板を支持したり(特許文献7)、反射板に撓みを吸収するスリットを入れたり(特許文献8)することで、反射板の撓みを改善する検討がなされている。しかしながらこれらの加工はいずれもコストのかかることである。
特開2004−330727号公報 特開2011−11370号公報 特開2011−232369号公報 特開2013−88715号公報 特開2013−88716号公報 特開2002−100227号公報 特開2013−229185号公報 特開2014−22060号公報
大型のディスプレイは、バックシャーシに回路基板等を備えるために、窪みを有している。本発明者らは、かかる窪みに熱が滞留しやすく、かかる熱によって熱撓みの問題がさらに顕著になることを見出し、これに着目した。
上記背景技術に鑑み、本発明は、優れた反射特性を有しながら、大型のディスプレイに用いたとしても熱撓みし難い白色反射フィルムを提供することを課題とする。
本発明者らは、ボイド含有フィルムにおけるボイドの存在が、熱撓みをより生じ易くしていることに着目した。しかしながら、単にボイドを低減させることは、反射特性が低減する方向であり好ましくない。また、ボイド形成剤としての無機粒子の重さによっても、それが重いと熱撓みが生じ易くなることに着目した。
すなわち本発明は、上記課題を達成するために、以下の構成を採用するものである。
1.炭酸カルシウム粒子を含有する熱可塑性樹脂組成物からなり、該炭酸カルシウム粒子は、平均粒径が0.1〜1.2μm、小粒径側から積算した10%体積粒径D10、50%体積粒径D50および90%体積粒径D90が(D90−D10)/D50≦1.6を満たし、含有量が前記熱可塑性樹脂組成物の質量に対して10〜70質量%である反射層Aを有し、フィルムの反射率が60%以上である、大型ディスプレイ用白色反射フィルム。
2.上記熱可塑性樹脂組成物の熱可塑性樹脂が、共重合ポリエチレンテレフタレートである、上記1に記載の白色反射フィルム。
3.上記共重合ポリエチレンテレフタレートの共重合量が、該共重合ポリエチレンテレフタレートの全酸成分100モル%に対して1〜20モル%である、上記2に記載の白色反射フィルム。
4.白色反射フィルムの厚み100%に対する上記反射層Aの厚み比率が50%以上である、上記1〜3のいずれか1に記載の白色反射フィルム。
5.さらに熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物からなる支持層Bを有する、上記1〜4のいずれか1に記載の白色反射フィルム。
6.上記1〜5のいずれか1に記載の白色反射フィルムを用いた、面光源。
これに対して特許文献1は、粒度分布の標準偏差の小さな硫酸バリウムを用いており、硫酸バリウムは比重が重いため熱撓みが生じ易い態様である。また、特許文献2〜5は、炭酸カルシウム粒子を用い、その90%体積粒径D90と10%体積粒径D10との比D90/D10について開示があるものの、実際には本発明のように狭い粒度分布の領域までは検討がなされていない。さらにいずれも熱撓みの課題について認識がなく、そのような観点での検討はなされていない。
本発明によれば、優れた反射特性を有しながら、大型のディスプレイに用いたとしても熱撓みし難い白色反射フィルムを提供することができる。
本発明の白色反射フィルムは、特定の態様の炭酸カルシウム粒子を含有する熱可塑性樹脂からなる反射層Aを有する。
以下、本発明を構成する各構成成分について詳細に説明する。
[反射層A]
本発明における反射層Aは、炭酸カルシウム粒子を含有する熱可塑性樹脂組成物からなり、かかる炭酸カルシウム粒子がボイド形成剤として機能し層中にボイドを含有し、白色を呈するようにした層である。反射層Aは、かかるボイドにより反射機能を奏する。反射層Aの波長550nmにおける反射率は、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上である。これにより白色反射フィルムの反射率を好ましい範囲としやすくなる。
反射層Aは、上述のとおり層中にボイドを有するものであるが、かかるボイドの体積が反射層Aの体積に対して占める割合(ボイド体積率)は15体積%以上、70体積%以下であることが好ましい。このような範囲とすることで反射率の向上効果を高くすることができ、上記のような反射率が得やすくなる。また、延伸製膜性の向上効果を高くすることができる。ボイド体積率が低すぎる場合は、好ましい反射率が得難くなる傾向にある。このような観点から、反射層Aにおけるボイド体積率は、さらに好ましくは30体積%以上、特に好ましくは40体積%以上である。他方、高すぎる場合は、延伸製膜性の向上効果が低くなる傾向にある。このような観点から、反射層Aにおけるボイド体積率は、さらに好ましくは65体積%以下、特に好ましくは60体積%以下である。
ボイド体積率は、反射層Aにおける炭酸カルシウム粒子の大きさや量を調整することにより達成することができる。
(熱可塑性樹脂)
反射層Aを構成する熱可塑性樹脂としては、例えばポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、アクリルからなる熱可塑性樹脂を挙げることができる。中でも、機械的特性および熱安定性に優れた白色反射フィルムを得る観点から、ポリエステルが好ましい。
かかるポリエステルとしては、ジカルボン酸成分とジオール成分とからなるポリエステルを用いることが好ましい。このジカルボン酸成分としては、テレフタル酸成分、イソフタル酸成分、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、4,4’−ジフェニルジカルボン酸成分、アジピン酸成分、セバシン酸成分を挙げることができる。ジオール成分としては、エチレングリコール成分、1,4−ブタンジオール成分、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分、1,6−ヘキサンジオール成分を挙げることができる。これらのポリエステルのなかでも芳香族ポリエステルが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)はホモポリマーであってもよいが、フィルムを1軸あるいは2軸に延伸する際に結晶化が抑制されて延伸製膜性の向上効果が高くなる点から、共重合ポリエステル(共重合ポリエチレンテレフタレート)が好ましい。共重合成分としては、上記のジカルボン酸成分やジオール成分が挙げられるが、耐熱性が高く、延伸製膜性の向上効果が高いという観点から、イソフタル酸成分、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分が好ましい。共重合成分の含有割合は、ポリエステルの全ジカルボン酸成分100モル%を基準として、例えば1〜20モル%、好ましくは2〜18モル%、さらに好ましくは3〜15モル%、特に好ましくは7〜11モル%である。共重合成分の割合をこの範囲とすることによって、延伸製膜性の向上効果に優れる。また、熱寸法安定性に優れる。さらに、熱撓みの抑制効果をより向上できる。
かかる熱可塑性樹脂は、融点が好ましくは200〜280℃である。これにより熱撓みがより抑制し易くなる。低すぎると熱撓みの抑制効果が低くなる傾向にあり、高すぎると取扱いがし難くなる傾向にある。かかる観点から、より好ましくは205℃以上、さらに好ましくは210℃以上であり、また、より好ましくは275℃以下、さらに好ましくは265℃以下である。
なお、本発明における反射層Aを構成する熱可塑性樹脂としては、好ましい熱可塑性樹脂であるポリエステルと該ポリエステルとは異なる他の熱可塑性樹脂との混合物であってもよい。
(炭酸カルシウム粒子)
本発明においては、反射層Aがボイド形成剤として特定の態様を具備する炭酸カルシウム粒子を含有する。
本発明における炭酸カルシウム粒子は、平均粒径が0.1〜1.2μmであり、また、(D90−D10)/D50が1.6以下である。ここでD10、D50およびD90は、それぞれ炭酸カルシウム粒子の小粒径側から積算した10%体積粒径、50%体積粒径および90%体積粒径である。このような態様の炭酸カルシウム粒子を採用することによって、高い反射率を有しながら熱撓みを抑制することができる。すなわち、粗大ボイドが存在するとそれにより熱撓みが生じ易くなるところ、平均粒径が小さくかつ粒度分布がシャープな炭酸カルシウム粒子を採用することによって内部に比較的小さなボイド(ミクロボイド)が多数存在するフィルムの態様とし、粗大ボイドによる熱撓みを抑制するのである。粒度分布がブロードであると粗大粒子が存在することとなり、それにより粗大ボイドが形成され易い。また同時に、ボイドと熱可塑性樹脂との界面の量についてはその低減を抑制し、高い反射率を得ることができる。さらに、炭酸カルシウム粒子は比較的小さい比重であるため、粒子と熱可塑性樹脂の質量差(密度差)が小さいため、ボイド以外の部分で局所的な密度差が生じにくい。それによっても熱撓みが抑制される。
炭酸カルシウム粒子の平均粒径は、大きすぎると粗大ボイドが形成され易くなる傾向にあり、熱撓みが抑制できない。よって平均粒径は、好ましくは1.1μm以下、より好ましくは1.0μm以下、さらに好ましくは0.95μm以下、特に好ましくは0.9μm以下である。他方、小さすぎても粒子どうしが凝集してしまい粗大ボイドを形成する原因となるし、そのような炭酸カルシウム粒子を得ることは非常に困難である。かかる観点からは、平均粒径は、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくいは0.6μm以上である。
また、別の態様においては、炭酸カルシウム粒子の平均粒径は、大きすぎると熱撓みが抑制し難くなる反面、小さすぎても凝集により粗大ボイドを形成し易くなり、熱撓みが抑制し難くなる場合があり、熱撓み抑制と反射率向上のバランスの点、およびコストの点もあり、ある程度大きい方が好ましい場合もある。このような観点からは、炭酸カルシウム粒子の平均粒径は、好ましくは1.2μm以下、より好ましくは1.18μm以下、さらに好ましくは1.15μm以下であり、また、好ましくは0.6μm以上、より好ましくは0.8μm以上、さらに好ましくは1.01μm以上、特に好ましくは1.02μm以上、最も好ましくは1.05μm以上である。
(D90−D10)/D50は、上述の観点から小さい方が好ましく、より好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.4以下である。下限は理論的には0である。
反射層Aは炭酸カルシウム粒子を含有する熱可塑性樹脂組成物からなるものであるが、かかる熱可塑性樹脂組成物における炭酸カルシウム粒子の含有量は、かかる熱可塑性樹脂組成物の質量を基準として10〜70質量%である。これにより上述した好ましいボイド体積率とし易くなり、それにより高い反射率とすることができる。また、熱撓みが抑制される。さらに、延伸製膜性の向上効果を高くすることができる。含有量が少なすぎると反射率が低くなる。他方、含有率が多すぎるとボイドが多くなり過ぎ熱撓みが抑制できない。これら観点から含有量は、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上であり、また、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。
上記のような態様を満足させるために、本発明においては炭酸カルシウム粒子として、合成炭酸カルシウムからなる粒子(合成炭酸カルシウム粒子)を採用することが特に好ましい。炭酸カルシウム粒子としては、天然炭酸カルシウムからなる粒子(天然炭酸カルシウム粒子)と合成炭酸カルシウム粒子とがあり、通常は天然炭酸カルシウム粒子が用いられる。しかしながら、天然炭酸カルシウム粒子では上記態様を満足させることが困難な傾向にあり、本発明の課題を達成することが困難な傾向にある。
炭酸カルシウム粒子をポリエステル樹脂に含有させる方法としては、従来公知の各種の方法を用いることができる。その代表的な方法として、下記のような方法が挙げられる。
(ア)ポリエステル樹脂の合成時のエステル化の段階もしくはエステル交換反応終了後に添加する方法。
(イ)得られたポリエステル樹脂に添加し、溶融混練する方法。
(ウ)上記(ア)または(イ)の方法においてポリエステル樹脂に炭酸カルシウム粒子を多量添加したマスターペレットを製造し、これと希釈ポリマーとしてのポリエステル樹脂とを混練してポリエステル樹脂に所定量の炭酸カルシウム粒子を含有させる方法。
(エ)上記(ウ)のマスターペレットをそのまま使用する方法。
(表面処理)
本発明における炭酸カルシウム粒子は、表面処理剤により表面処理が施されていることが好ましい。それにより、炭酸カルシウム粒子表面のCa活性を失活させ、ガスマークの発生をより抑制することができる。かかる表面処理剤としては、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、あるいはこれらの誘導体などのリン化合物、および、ステアリン酸などの脂肪酸、シランカップリング剤等が挙げられる。本発明においては、中でもリン化合物による表面処理が好ましく、かかるリン化合物としては、具体的には、リン酸、亜リン酸、リン酸トリメチルエステル、リン酸トリブチルエステル、リン酸トリフェニルエステル、リン酸モノあるいはジメチルエステル、亜リン酸トリメチルエステル、メチルホスホン酸、メチルスルホン酸ジエチルエステル、フェニルホスホン酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステルなどが好ましく挙げられる。中でもリン酸、亜リン酸およびそれらのエステル成形誘導体が好ましい。本発明においては、リン酸トリメチルで表面処理されていることが最も好ましい。これらリン化合物は、単独で用いることができ、また2種以上を併用してもよい。
炭酸カルシウム粒子の表面処理方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用することができる。例えばリン化合物によって表面処理を施す場合は、リン化合物と炭酸カルシウム粒子とを物理的に混合する方法(物理的混合方法)を採用することが好ましい。かかる物理的混合方法としては特に限定されるものではなく、例えばロール転動ミル、高速回転式粉砕機、ボールミル、ジェトミルなどの各種の粉砕機を使用して、炭酸カルシウムを粉砕しながらリン化合物で表面処理する方法、あるいは容器自身が回転する容器回転型混合機、固定容器内に回転翼を有したり、あるいは気流を吹き込む容器固定型混合機等を使用して表面処理する方法を挙げることができる。具体的にはナウタミキサー、リボンミキサー、ヘンシェルミキサー等の混合機が好ましい。
またその際の処理条件は特に限定されるものではなく、炭酸カルシウム粒子のポリエステルに対する分散性、ポリエステルの高温滞留時の異物発生、発泡の観点から、処理温度は30℃以上が好ましく、さらには50℃以上、特には90℃以上が好ましい。処理時間は5時間以内とすることが好ましく、さらには3時間以内、特には2時間以内が好ましい。また、リン化合物は炭酸カルシウム粒子と同時に混合してもよく、また予め炭酸カルシウム粒子を仕込んだ後にリン化合物を添加してもよい。その際に、リン化合物は滴下させても、噴霧させてもよく、さらには水あるいはアルコール等に溶解もしくは分散させたものであってもよい。
また、本発明においては、炭酸カルシウム粒子の表面処理剤をポリエステルに添加、配合して、次いでそこに炭酸カルシウム粒子を添加して、炭酸カルシウムの表面処理を行なうこともできる。例えば、ポリエステルの製造、すなわち重合反応が完了するまでの任意の段階で、あるいは重合反応完了後から溶融混練を行なうまでの段階で、表面処理剤を添加することができる。
上記表面処理工程における表面処理剤の添加量は、炭酸カルシウム粒子表面のCa活性が十分に失活される量であればよいが、例えば炭酸カルシウム粒子の質量に対してリン元素の量が0.1質量%以上となる量である。他方、添加しすぎるとフィルム中にリン化合物が多量に残存してしまい、環境の観点から好ましくなく、また押出機内などにおいて炭酸カルシウム粒子同士が凝集してしまうのを抑制することができるという観点から、5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、0.5質量%以下が特に好ましい。
(その他の成分)
反射層A(反射層Aを構成する熱可塑性樹脂組成物)は、本発明の目的を阻害しない範囲において、その他の成分、例えば紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、ワックスを含有することができる。また、本発明の目的を阻害しない限りにおいて、上述した炭酸カルシウム粒子とは異なる粒子や樹脂(ポリオレフィン等)等のボイド形成剤を含有することができる。
[支持層B]
本発明の白色反射フィルムは、上述した反射層Aに、さらに熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物(熱可塑性樹脂に粒子等を添加したもの)からなる支持層Bを有することができる。かかる支持層Bにより延伸製膜性を向上したり、熱撓みをさらに抑制したりすることができる。好ましくは、反射層Aよりもボイドの少ない、あるいは、できるだけ耐熱性の高い組成となる支持層Bを反射層Aの少なくとも片面に設けることにより、熱による局所的な変形をさらに抑制でき、熱撓みをさらに抑制できる。
以下、本発明における支持層Bについて詳述する。
(熱可塑性樹脂)
本発明における支持層Bを構成する熱可塑性樹脂としては、上述した反射層Aを構成する熱可塑性樹脂と同様の熱可塑性樹脂を用いることができる。中でも、機械的特性および熱安定性に優れた白色反射フィルムを得る観点から、ポリエステルが好ましい。
かかるポリエステルとしては、上述の反射層Aにおけるポリエステルと同様のポリエステルを用いることができる。これらのポリエステルのなかでも、機械的特性および熱安定性に優れる白色反射フィルムを得る観点から、芳香族ポリエステルが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)はホモポリマーであってもよいが、フィルムを1軸あるいは2軸に延伸する際に結晶化が抑制されて延伸製膜性の向上効果が高くなる点から共重合ポリエステル(共重合ポリエチレンテレフタレート)が好ましい。かかる共重合成分としては、反射層Aの項で上記したジカルボン酸成分やジオール成分が挙げられるが、耐熱性が高く、延伸製膜性の向上効果が高いという観点から、イソフタル酸成分、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分が好ましい。共重合成分の含有割合は、ポリエステルの全ジカルボン酸成分100モル%を基準として、例えば1〜20モル%、好ましくは2〜18モル%、さらに好ましくは3〜17モル%、特に好ましくは12〜16モル%である。共重合成分の割合をこの範囲とすることによって、延伸製膜性の向上効果に優れる。また、熱寸法安定性に優れる。さらに、熱撓みの抑制効果をより向上できる。
かかる熱可塑性樹脂は、融点が好ましくは190〜280℃である。これにより熱撓みがより抑制し易くなる。低すぎると熱撓みの抑制効果が低くなる傾向にあり、高すぎると取扱いがし難くなる傾向にある。かかる観点から、より好ましくは195℃以上、さらに好ましくは200℃以上であり、また、より好ましくは275℃以下、さらに好ましくは270℃以下である。
なお、本発明における支持層Bを構成する熱可塑性樹脂としては、好ましい熱可塑性樹脂であるポリエステルと該ポリエステルとは異なる他の熱可塑性樹脂との混合物であってもよい。
(その他の成分)
支持層Bは、上記の熱可塑性樹脂に、本発明の目的を阻害しない範囲において任意成分を含有した熱可塑性樹脂組成物からなるものであってもよい。かかる任意成分としては、例えば紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、ワックス等を挙げることができる。
また、支持層Bは、本発明の目的を阻害しない範囲において、反射層Aにおいて挙げたボイド形成剤を任意成分として含有していてもよく、そのような態様とすることで反射率の向上効果を高くすることができる。その反面、支持層Bにおけるボイド形成剤の含有量を少なくするか、ボイド形成剤を含有しないと、延伸製膜性の向上効果を高くすることができる。これらの観点から、支持層Bにおけるボイド体積率(支持層Bの体積に対する支持層Bにおけるボイドの体積の割合)は、0体積%以上、15体積%未満であることが好ましく、さらに好ましくは5体積%以下、特に好ましくは3体積%以下である。特に本発明においては、反射特性と延伸製膜性の向上効果を同時に高めることができることから、上述した反射層Aにおける好ましいボイド体積率と、かかる支持層Bにおける好ましいボイド体積率とを同時に採用することが特に好ましい。
[層構成]
本発明において白色反射フィルムの厚み(反射層Aのみからなる場合は反射層Aの厚み)は、155〜350μmであることが好ましい。これにより反射率の向上効果を高くすることができる。また、熱撓み抑制の向上効果を高くできる。薄すぎると反射率の向上効果が低く、また、熱撓み抑制の向上効果が低く、他方厚すぎることは非効率である。このような観点から、より好ましくは160μm以上、さらに好ましくは170μm以上、特に好ましくは180μm以上であり、また、より好ましくは340μm以下、さらに好ましくは330μm以下、特に好ましくは320μm以下である。
反射層Aは、白色反射フィルム全体の厚みを100%とした際の厚み比率(複数有する場合は合計厚みの比率)が、好ましくは50%以上であればよく、より好ましくは50〜95%、さらに好ましくは60〜90%、特に好ましくは70〜90%である。また、支持層Bを有する場合、その厚み比率(複数有する場合は合計厚みの比率)は、好ましくは5〜50%、より好ましくは10〜40%、さらに好ましくは10〜30%である。これにより、反射特性や延伸製膜性等の各特性のバランスをより良くすることができる。また、これらのバランスをより良くしながら熱撓み抑制の向上効果をより高くできる。
本発明における支持層Bの厚み(フィルム中に複数有する場合は合計厚み)は、2〜80μmであることが好ましい。これにより、延伸製膜性の向上効果を高くでき、また、熱撓みの抑制効果を高くできる。さらに熱収縮を小さくできる。支持層Bが薄すぎると、延伸製膜性の向上効果が低くなる傾向にある。また、熱撓みの抑制効果が低くなる傾向にある。他方、厚すぎても上記効果はそれほど変わらず、非効率である。これら観点から、支持層Bの厚み(合計厚み)は、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上であり、また、より好ましくは70μm以下、さらに好ましくは65μm以下である。
また、反射層Aの反射面側に支持層Bを有する場合は、該支持層Bの厚みが反射率に影響する。すなわち、反射層Aの反射面側の支持層Bの厚みが厚すぎる場合は、反射率の向上効果が低くなる傾向にある。他方、薄すぎると反射層Aの炭酸カルシウム粒子脱落の抑制効果や、反射層Aの炭酸カルシウムによる装置や他部材の傷付きを抑制する効果が低くなる傾向にある。これら観点から、支持層Bの厚み(1層の厚み)は、好ましくは1〜40μmであり、より好ましくは2.5μm以上、さらに好ましくは5μm以上であり、また、より好ましくは35μm以下、さらに好ましくは32.5μm以下である。
白色反射フィルムの積層構成は、反射層AをA、支持層BをBと表わした際に、B/Aの2層構成、A/B/AやB/A/Bの3層構成、B/A/B/AやB/A/B’/Aの4層構成(ここでB’は支持層Bと同様の構成の支持層B’を表わす。)、また同様にAとBとを有する5層以上の多層構成を挙げることができる。特に好ましくはB/Aの2層構成、A/B/A、B/A/Bの3層構成である。最も好ましくはB/A/Bの3層構成であり、延伸製膜性により優れる。また、表裏の支持層Bが近い厚み範囲であると、カール等の問題が生じ難い。
本発明においては、反射層Aと支持層B以外に、本発明の目的を損なわない限りにおいて他の層を有していてもよい。例えば、帯電防止性や導電性、紫外線耐久性等の機能を付与するための層(好ましくは塗布層)を有していてもよい。また、反射光に拡散性を付与するため、もしくは導光板とのギャップを確保するための、ビーズを含有するビーズ層を、反射面側の少なくとも片面の最表面に有することもできる。
[フィルムの製造方法]
以下、本発明の白色反射フィルムを製造する方法の一例を説明する。
本発明の白色反射フィルムを製造するに際しては、反射層Aは溶融押出法により形成されることが好ましい。また、白色反射フィルムが反射層Aと支持層Bとの積層構成である場合は、反射層Aと支持層Bとを共押出法により積層して製造することが好ましい。これにより延伸製膜性の向上効果を高められる。また、反射層Aと支持層Bとは、共押出法により直接積層されていることが好ましい。このように共押出法で積層することによって、反射層Aと支持層Bとの界面密着性を高くすることができる上、フィルムを貼り合わせたり、フィルムの製膜後に改めて支持層Bを形成したりするための工程を経る必要が無いため、安価に、容易に量産できる。
以下に、反射層Aを構成する熱可塑性樹脂および支持層Bを構成する熱可塑性樹脂としてポリエステルを採用し、積層方法として共押出法を採用した場合の製法について説明するが、本発明はかかる製法に限定はされず、また下記を参考に他の態様についても同様に製造することができる。その際、押出工程を含まない場合は、以下の「溶融押出温度」は、例えば「溶融温度」と読み替えればよい。なお、ここで、用いるポリエステルの融点をTm(単位:℃)、ガラス転移温度をTg(単位:℃)とする。
まず、反射層Aを形成するための熱可塑性樹脂組成物(ポリエステル組成物)として、ポリエステルと、炭酸カルシウム粒子と、他の任意成分を混合したものを用意する。また、支持層Bを形成するための熱可塑性樹脂組成物(ポリエステル組成物)として、ポリエステルと、他の任意成分を混合したものを用意する。ここで支持層Bについては、他の任意成分を添加せずに熱可塑性樹脂(ポリエステル)を用いても良い。これらポリエステル組成物は、乾燥して十分に水分を除去して用いる。
次に、乾燥したポリエステル組成物を、それぞれ別の押出機に投入し、溶融押出する。溶融押出温度は、Tm以上が必要であり、Tm+40℃程度とすればよい。
またこのとき、フィルムの製造に用いるポリエステル組成物、特に反射層Aに用いるポリエステル組成物は、線径15μm以下のステンレス鋼細線よりなる平均目開き10〜100μmの不織布型フィルターを用いて濾過を行うことが好ましい。この濾過を行うことで、通常は凝集して粗大凝集粒子となりやすい粒子の凝集を抑え、粗大異物の少ないフィルムを得ることができる。そして、凝集した粒子を抑制することによりミクロボイド形成し易くなり、熱撓みがより抑制される。なお、不織布の平均目開きは、好ましくは20〜50μm、さらに好ましくは15〜40μmである。濾過したポリエステル組成物は、溶融した状態でフィードブロックを用いた同時多層押出法(共押出法)により、ダイから多層状態で押し出し、未延伸積層シートを製造する。ダイより押し出された未延伸積層シートを、キャスティングドラムで冷却固化し、未延伸積層フィルムとする。
次いで、この未延伸積層フィルムをロール加熱、赤外線加熱等で加熱し、製膜機械軸方向(以下、縦方向または長手方向またはMDと呼称する場合がある。)に延伸して縦延伸フィルムを得る。この延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行うのが好ましい。縦延伸後のフィルムは、続いてテンターに導かれ、縦方向と厚み方向とに垂直な方向(以下、横方向または幅方向またはTDと呼称する場合がある。)に延伸して、二軸延伸フィルムとする。
延伸温度としては、ポリエステル(好ましくは反射層Aを構成するポリエステル)のTg以上、Tg+30℃以下の温度で行うことが好ましく、延伸製膜性により優れ、またボイドが好ましく形成されやすい。また、延伸倍率としては、縦方向、横方向ともに、好ましくは2.5〜4.3倍、さらに好ましくは2.7〜4.2倍である。延伸倍率が低すぎるとフィルムの厚み斑が悪くなる傾向にあり、またボイドが形成されにくい傾向にあり、他方高すぎると製膜中に破断が発生し易くなる傾向にある。なお、縦延伸を実施しその後横延伸を行うような逐次2軸延伸の際には、2段目(この場合は、横延伸)は1段目の延伸温度よりも10〜50℃程度高くする事が好ましい。これは1段目の延伸で配向した事により1軸フィルムとしてのTgがアップしている事に起因する。
また、各延伸の前にはフィルムを予熱することが好ましい。例えば横延伸の予熱処理はポリエステル(好ましくは反射層Aを構成するポリエステル)のTg+5℃より高い温度から始めて、徐々に昇温するとよい。横延伸過程での昇温は連続的でも段階的(逐次的)でもよいが通常逐次的に昇温する。例えばテンターの横延伸ゾーンをフィルム走行方向に沿って複数に分け、ゾーン毎に所定温度の加熱媒体を流すことで昇温する。
二軸延伸後のフィルムは、続いて、熱固定、熱弛緩の処理を順次施して二軸配向フィルムとするが、溶融押出から延伸に引き続いて、これらの処理もフィルムを走行させながら行うことができる。
二軸延伸後のフィルムは、クリップで両端を把持したままポリエステル(好ましくは反射層Aを構成するポリエステル)の融点をTmとして(Tm−10℃)〜(Tm−100℃)で、定幅または10%以下の幅減少下で0.01〜100秒間熱処理して、熱固定し、熱収縮率を低下させるのがよい。かかる熱処理温度が高すぎるとフィルムの平面性が悪くなる傾向にあり、厚み斑が大きくなる傾向にある。他方低すぎると熱収縮率が大きくなる傾向にある。また、これにより熱撓みの抑制効果をより向上できる。
また、熱収縮量を調整するために、把持しているフィルムの両端を切り落し、フィルム縦方向の引き取り速度を調整し、縦方向に弛緩させることができる。弛緩させる手段としてはテンター出側のロール群の速度を調整する。弛緩させる割合として、テンターのフィルムライン速度に対してロール群の速度ダウンを行い、好ましくは0.1〜2.5%、さらに好ましくは0.2〜2.3%、特に好ましくは0.3〜2.0%の速度ダウンを実施してフィルムを弛緩(この値を「弛緩率」という)して、弛緩率をコントロールすることによって縦方向の熱収縮率を調整する。また、これにより熱撓みの抑制効果をより向上できる。フィルム横方向については、両端を切り落すまでの過程で幅減少させて、所望の熱収縮率を得ることができる。
なお、二軸延伸に際しては、上記のような縦−横の逐次二軸延伸法以外にも、横−縦の逐次二軸延伸法でもよい。また、同時二軸延伸法を用いて製膜することができる。同時二軸延伸法の場合、延伸倍率は、縦方向、横方向ともに例えば2.7〜4.3倍、好ましくは2.8〜4.2倍である。
かくして本発明の白色反射フィルムを得ることができる。
[白色反射フィルムの特性]
(反射率、正面輝度)
本発明の白色反射フィルムの反射率は、60%以上である。好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、最も好ましくは97%以上である。反射率が上記範囲であることによって、液晶表示装置や照明等に用いた場合には、高い輝度を得ることができる。かかる反射率は、反射層Aのボイド体積率を高くする等好ましい態様としたり、反射層Aの厚みを厚くしたり、支持層Bにボイド形成剤を含有させたり、反射層Aよりも反射面側の支持層Bの厚みを薄くしたり等各層の態様を好ましい態様としたりすることにより達成できる。
また、正面輝度は、後述する測定方法により求められるが、2000cd/m以上が好ましく、3000cd/m以上がより好ましく、4000cd/m以上がさらに好ましく、4400cd/m以上が特に好ましい。
なお、ここで反射率や正面輝度は、白色反射フィルムの反射面として用いる面についての値である。
(熱撓み)
本発明は熱撓みの抑制が目的である。熱撓みとは、例えばテレビやモニター等の製品において液晶ディスプレイ等の表示装置を駆動するための電気回路や、バックライトユニット(光源)から発生する熱、あるいは使用環境からの熱や湿度によって、製品に備わる白色反射フィルムに撓み(歪み)が生じてしまう現象である。白色反射フィルムに熱撓みが発生すると輝度斑の原因となり、画質の低下に直結する問題となる。
[用途]
本発明の白色反射フィルムは、大型ディスプレイ用である。ここで大型ディスプレイとは、30インチ以上、好ましくは32インチ以上、より好ましくは40インチ以上、さらに好ましくは42インチ以上の液晶ディスプレイをいう。このような大型ディスプレイは、バックシャーシに電気回路等を組み込むための窪み(仕切り)が設けてある。そのため、かかる窪みに上述した原因等により発生する熱が局所的に滞留し、熱撓みがより生じ易くなる。ディスプレイのサイズが大きくなるほど、輝度を確保するために必要な光源の数が多くなるため、回路等も複雑することから滞留する熱は多くなり、熱撓みがより生じ易くなる傾向にある。そのため、従来の技術ではこのような大型ディスプレイにおける熱撓みの抑制は困難であった。対して本発明は、このような大型ディスプレイにおいても、良好に熱撓みを抑制できるものである。
以下、実施例により本発明を詳述する。なお、各特性値は以下の方法で測定した。
(1)光線反射率
分光光度計(島津製作所製UV−3101PC)に積分球を取り付け、BaSO白板を100%とした時の反射率を波長550nmで測定し、この値を反射率とした。なお、測定は、反射面として使用する側(光源側)となる表面において測定した。
(2)粒子の平均粒径
島津製作所製レーザー散乱式粒度分布測定装置SALD−7000を用いて測定した。測定前のエチレングリコールへの分散は、粒子粉体を5質量%スラリー濃度相当になるよう計量して、ミキサー(たとえばNationalMXV253型料理用ミキサー)で10分間攪拌し、常温まで冷却したのち、フローセル方式供給装置に供給した。そして、該供給装置中で脱泡のために30秒間超音波処理(超音波処理の強度は超音波処理装置のつまみを、MAX値を示す位置から60%の位置)してから測定に供した。粒度分布測定結果より50%体積粒径(D50)を求め、これを平均粒径とした。また、同様にして10%体積粒径(D10)および90%体積粒径(D90)を求めた。
(3)粒子の含有量
フィルムを500℃の温度で6時間焼却し、その前後での重量を測定し、残差灰分の重さを粒子の含有量とした。なお、積層体における各層の粒子の含有量は、各層を分離してから前記操作を行うことで求めた。
(4)フィルム厚みおよび層構成
白色反射フィルムをミクロトームにてスライスして断面出しを行い、かかる断面について日立製作所製S−4700形電界放出形走査電子顕微鏡を用いて、倍率500倍にて観測し、フィルム全体、反射層A、支持層Bの厚みをそれぞれ求めた。厚みの測定はn=7で任意位置を測定し平均値として求めた。各層の厚み(μm)を求めた上で各層の厚み比を算出した。
(5)ボイド体積率の算出
ボイド体積率を求める層のポリマー、添加粒子、その他各成分の密度と配合割合から計算密度を求めた。同時に、当該層を剥離する等して単離し、質量および体積を計測し、これらから実密度を算出し、計算密度と実密度とから下記式により求めた。
ボイド体積率=100×(1−(実密度/計算密度))
なお、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(2軸延伸後)の密度を1.39g/cm、炭酸カルシウム粒子の密度を2.7g/cm、硫酸バリウム粒子の密度を4.5g/cmとした。
また、ボイド体積率を測定する層のみを単離し、単位体積あたりの質量を求めて実密度を求めた。体積は、サンプルを面積3cmに切り出し、そのサイズでの厚みをエレクトリックマイクロメーター(アンリツ製 K−402B)にて10点測定した平均値を厚みとし、面積×厚みとして算出した。質量は、電子天秤にて秤量した。
なお、他の粒子(凝集粒子含む)の比重としては、以下のメスシリンダー法にて求めた嵩比重の値を用いた。容積1000mlのメスシリンダーに絶乾状態の粒子を充填して、全体の重量を測定し、該全体の重量からメスシリンダーの重量を差引いて該粒子の重量を求め、該メスシリンダーの容積を測定し、該粒子の重量(g)を該容積(cm)で割ることによって求められる。
(6)融点、ガラス転移温度
示差走査熱量測定装置(TA Instruments 2100 DSC)を用い、昇温速度20℃/分で測定を行った。
(7)正面輝度
LG社製のエッジライト型LED液晶テレビ(LG42LE5310AKR)(42インチ)から反射フィルムを取り出し、それに代えて実施例で得られた各種反射フィルムを、反射面側が画面側となるように設置し、もともと備わっていた拡散フィルムおよびプリズムシートを配してバックライトユニットの状態にて輝度計(大塚電子製Model MC−940)を用いて、輝度を測定した。
(8)延伸製膜性
実施例に記載のフィルムを、テンターを用いた連続製膜法にて製膜したときの製膜安定性を観察し、下記基準で評価した。
◎:8時間以上安定に製膜できる。
○:3時間以上8時間未満安定に製膜できる。
△:3時間未満で1度切断が生じた。
×:3時間未満で複数回切断が発生し、安定な製膜ができない。
(9)熱撓み評価
LG社製のエッジライト型LED液晶テレビ(LG42LE5310AKR)(42インチ)を分解して、それに元から備わる反射フィルムを取り出し、代わりに実施例の白色反射フィルムを配置し、テレビを組み立て、その状態でテレビを白色表示で点灯させたまま50℃×80%の環境に72時間保管し、その前後の輝度斑を評価した。
[輝度斑評価1]
目視にて輝度斑を判断し、以下の基準で評価した
○・・・全く輝度斑が見られない
△・・・かろうじて輝度斑が認識される
×・・・顕著な輝度斑が見られる
[輝度斑評価2]
輝度計(コニカミノルタ社製CA−2000)にて画面内を平均的に任意の10点につき輝度を測定し、画面内の(最高輝度−最低輝度)/平均輝度の値を評価した。上述の値が5%以下である場合を熱撓みによる輝度斑が少なく良好な状態であると判定できる。好ましくは4%以下、さらに好ましくは3%以下である。
<製造例1:イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート1の合成>
テレフタル酸ジメチル136.5質量部、イソフタル酸ジメチル13.5質量部(得られるポリエステルの全酸成分100モル%に対して9モル%となる)、エチレングリコール98質量部、ジエチレングリコール1.0質量部、酢酸マンガン0.05質量部、酢酸リチウム0.012質量部を精留塔、留出コンデンサを備えたフラスコに仕込み、撹拌しながら150〜240℃に加熱しメタノールを留出させエステル交換反応を行った。メタノールが留出した後、リン酸トリメチル0.03質量部、二酸化ゲルマニウム0.04質量部を添加し、反応物を反応器に移した。ついで撹拌しながら反応器内を徐々に0.3mmHgまで減圧するとともに292℃まで昇温し、重縮合反応を行い、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート1を得た。このポリマーの融点は235℃であった。
<製造例2:イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート2の合成>
テレフタル酸ジメチル129.0質量部、イソフタル酸ジメチル21.0質量部(得られるポリエステルの全酸成分100モル%に対して14モル%となる)に変更した他は、上記製造例1と同様にして、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート2を得た。このポリマーの融点は215℃であった。
<製造例3:粒子マスターチップ1の作成>
上記で得られたイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート1の一部、およびボイド形成剤として平均粒径0.9μm、(D90−D10)/D50が1.4の合成炭酸カルシウム粒子を用いて、神戸製鋼社製NEX−T60タンデム式押出機にて、得られるマスターチップの質量に対して合成炭酸カルシウム粒子の含有量が60質量%となるように混合し、樹脂温度260℃にて押し出し、合成炭酸カルシウム粒子含有の粒子マスターチップ1を作成した。なお、かかる合成炭酸カルシウム粒子はリン酸トリメチルエステルにより表面処理されている。
<製造例4:粒子マスターチップ2の作成>
イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート1の代わりに、上記で得られたイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート2を用いる以外は上記製造例3と同様にして合成炭酸カルシウム粒子含有の粒子マスターチップ2を作成した。
<製造例5:ビーズ層に用いる粒子1の作成>
テレフタル酸ジメチル150質量部、エチレングリコール98質量部、ジエチレングリコール1.0質量部、酢酸マンガン0.05質量部、酢酸リチウム0.012質量部を精留塔、留出コンデンサを備えたフラスコに仕込み、撹拌しながら150〜240℃に加熱しメタノールを留出させエステル交換反応を行った。メタノールが留出した後、リン酸トリメチル0.03質量部、二酸化ゲルマニウム0.04質量部を添加し、反応物を反応器に移した。次いで撹拌しながら反応器内を徐々に0.3mmHgまで減圧するとともに292℃まで昇温し、重縮合反応を行い、ポリエチレンテレフタレート3を得た。得られたポリエチレンテレフタレート3をストランドダイから押出し、冷却後に断裁することによってペレット状とした。ストランドの形状を調整した結果、このペレットの形状はほぼ直方体の形状で、形状の平均が4mm×3mm×2mmのものであった。次いで、この得られたペレットをオーブン内で170℃で3時間加熱することによって乾燥結晶化させ、株式会社マツボー製のアトマイザーミル TAP−1を用いて液体窒素で冷却しながら粉砕を行うことで平均粒径60μmのポリエステル粒子を得た。さらにこのポリエステル粒子を風力分級することによって平均粒径43μmの粒子1(非球状粒子)を得た。
[実施例1]
(白色反射フィルムの製造)
上記で得たイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート1と粒子マスターチップ1を反射層(A層)の原料として、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート2と粒子マスターチップ2を支持層(B層)の原料としてそれぞれ用い、それぞれの層が表1に記載した構成となるように混合し、押出機に投入し、A層は平均目開き30μmの不織布型フィルターを通して溶融押出し温度255℃にて、B層は平均目開き30μmの不織布型フィルターを通して溶融押出し温度230℃にて、表1に示すごとくB層/A層/B層の層構成となるように3層フィードブロック装置を使用して合流させ、その積層状態を保持したままダイスよりシート状に成形した。このときB層/A層/B層の厚み比が2軸延伸後に10/80/10となるように各押出機の吐出量で調整した。さらにこのシートを表面温度25℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フィルムとした。この未延伸フィルムを73℃の予熱ゾーン、つづけて75℃の予熱ゾーンを通して、92℃に保たれた縦延伸ゾーンに導き、縦方向に3.0倍に延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いて、フィルムの両端をクリップで保持しながら115℃の予熱ゾーンを通して130℃に保たれた横延伸ゾーンに導き、横方向に3.6倍に延伸した。その後テンター内で155℃で10秒間の熱処理、200℃で10秒間の熱固定、155℃で10秒間の熱処理を連続的に行い、次いで幅入れ率2%、幅入れ温度130℃で横方向の幅入れを行い、次いでフィルム両端を切り落し、縦弛緩率2.5%で熱弛緩し、室温まで冷やして、厚み300μmのフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
[実施例2〜9、11、比較例1〜6]
粒子の態様、フィルムの構成を表1に示すとおりとする以外は、実施例1と同様にして白色反射フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。なお、用いた合成炭酸カルシウム粒子はリン酸トリメチルエステルにより表面処理されている。
実施例11は、フィルムの層厚みを188μmとした。
[比較例7]
ボイド形成剤として、平均粒径0.9μm、(D90−D10)/D50が1.4の硫酸バリウム粒子を用いる以外は、製造例3,4と同様に粒子マスターチップを作成し、フィルムの構成を表1に示すとおりとする以外は、実施例1と同様にして白色反射フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。なお、かかる硫酸バリウムは風力分級を繰り返すことで得た。
[実施例10]
実施例1と同様にして得られた二軸延伸フィルムの片面の上に、ダイレクトグラビアコーティング装置にて、下記のビーズ層を形成するための塗液1に示す組成からなる塗液を、wet厚み15g/mの塗布量で塗布した後、オーブン内にて100℃で乾燥してビーズ層を有する白色反射フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。なお、評価においてはビーズ層側を反射面として用いた。
<塗液1、固形分濃度30質量%>
・粒子:上記製造例5で得られた粒子1(非球状粒子)・・・7.5質量%
・アクリル樹脂(熱可塑性樹脂):DIC社製アクリディックA−817BA(固形分濃度50質量%)・・・30質量%
・架橋剤:日本ポリウレタン工業社製コロネートHL(イソシアネート系架橋剤、固形分濃度75質量%)・・・10質量%
・希釈溶媒:酢酸ブチル・・・52.5質量%
なお、塗液1における各成分の固形分比率は以下の通りとなる。
・粒子:25質量%
・アクリル樹脂(熱可塑性樹脂):50質量%
・架橋剤:25質量%
Figure 2017026676
本発明の白色反射フィルムは、優れた反射特性を有しながら、大型のディスプレイに用いたとしても、電気回路や光源から発生する熱や、使用環境からの熱や湿度によって生じる熱撓みを抑制することができる。それにより、白色反射フィルムが撓んでしまうことで生じる輝度斑を抑制することができるため、産業上の利用可能性は高い。

Claims (6)

  1. 炭酸カルシウム粒子を含有する熱可塑性樹脂組成物からなり、該炭酸カルシウム粒子は、平均粒径が0.1〜1.2μm、小粒径側から積算した10%体積粒径D10、50%体積粒径D50および90%体積粒径D90が(D90−D10)/D50≦1.6を満たし、含有量が前記熱可塑性樹脂組成物の質量に対して10〜70質量%である反射層Aを有し、フィルムの反射率が60%以上である、大型ディスプレイ用白色反射フィルム。
  2. 上記熱可塑性樹脂組成物の熱可塑性樹脂が、共重合ポリエチレンテレフタレートである、請求項1に記載の白色反射フィルム。
  3. 上記共重合ポリエチレンテレフタレートの共重合量が、該共重合ポリエチレンテレフタレートの全酸成分100モル%に対して1〜20モル%である、請求項2に記載の白色反射フィルム。
  4. 白色反射フィルムの厚み100%に対する上記反射層Aの厚み比率が50%以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の白色反射フィルム。
  5. さらに熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物からなる支持層Bを有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の白色反射フィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の白色反射フィルムを用いた、面光源。
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