JP5495344B2 - 白色反射フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、白色反射フィルムに関する。特に、液晶表示装置に用いられる白色反射フィルムに関する。
液晶表示装置(LCD)のバックライトユニットには、液晶表示パネルの背面に光源およびさらにその背面に反射フィルムを備える直下型と、液晶表示パネルの背面に、背面に反射板を備えた導光板を配し、かかる導光板の側面に光源を備えるエッジライト型とがある。従来、大型のLCDに用いられるバックライトユニットとしては、画面の明るさおよび画面内の明るさの均一性に優れるといった観点から、直下型(主には直下型CCFL)が主に用いられ、エッジライト型は、ノート型PC等比較的小型のLCDによく用いられていたが、近年、光源や導光板の発展により、エッジライト型のバックライトユニットでも明るさおよび画面内の明るさの均一性が向上し、比較的小型のもののみならず、大型のLCDにおいてもエッジライト型のバックライトユニットが用いられるようになってきた。またこれにより、LCDを薄くできるというメリットもある。
エッジライト型バックライトユニットにおいては、導光板と反射フィルムとが直接接触する構造となる。そのため、かかる構造において、導光板と反射フィルムとが貼り付いてしまうと、貼り付いた部分の輝度が異常となり、輝度の面内バラツキが生じてしまうという問題がある。そこで、導光板と反射フィルムとの間にギャップを有し、かかるギャップを一定に保つことが必要である。例えば、反射フィルムの表面にビーズを有することにより導光板と反射フィルムとの間のギャップを一定に保つことができ、これらの貼り付きを防ぐことができる。
しかしながらこのとき、比較的柔らかい素材からなる導光板が反射フィルムと接すると、反射フィルムや表面のビーズにより導光板が傷付けられるという問題がある。この対策として、例えば特許文献1、2のように、エラストマー系のビーズを用いた傷付き防止層を備える反射シートの報告がある。
さらに、反射フィルム表面のビーズが脱落してしまうと、白点欠点となってしまう問題がある。この対策としては、ビーズの平均粒子径や埋没率を調整してビーズの脱落を抑制し、白点欠点の発生を抑制する報告がある(特許文献3)。
特開2003−92018号公報 特表2008−512719号公報 特開2009−244509号公報
しかしながら、上記特許文献1,2のように用いるビーズが柔らかすぎると、形成される突起が十分な強度を有してなく、近年求められるギャップ確保が達成できず、例えば比較的大きな応力が加わってしまうと均一なギャップ確保ができずに、貼り付きが抑制できない場合がある。また、特許文献3のようにビーズの平均粒子径や埋没率を調整するだけでは、近年要求されるビーズ脱落の問題に対して不足である場合がある。
そこで本発明は、導光板との貼り付きを十分に抑制することができるとともに、導光板の傷付きを抑制し、また粒子脱落が抑制された白色反射フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を達成するために、以下の構成を採用するものである。
1.反射層Aと、ポリエステル樹脂を含み、平均粒径(d)が2μm以上、100μm以下である不活性粒子を含有する支持層Bとを有する白色反射フィルムであって、
支持層Bが、白色反射フィルムの少なくとも一方の最外層を形成し、該最外層を形成する支持層Bの反射層Aとは反対側の表面に上記不活性粒子により形成された突起を有し、
該表面における十点平均粗さ(Rz)が5〜100μmであり、高さ5μm以上の突起頻度が10〜1010個/mであり、
上記突起は、上記不活性粒子が、支持層Bを構成する上記ポリエステル樹脂により被覆厚み50nm以上、10μm以下で表面を被覆された構成である、
白色反射フィルム。
2.支持層B中の不活性粒子の含有量が、支持層Bの体積を基準として0.1〜20体積%である、上記1に記載の白色反射フィルム。
3.支持層B中の不活性粒子の平均粒径(d)と支持層Bの厚み(t)とが下記式(1)を満たす、上記1または2に記載の白色反射フィルム。
0.2≦d(μm)/t(μm)≦2.5 ・・・(1)
4.揮発有機溶剤量が10ppm以下である、上記1〜3のいずれか1に記載の白色反射フィルム。
5.エッジライト方式バックライトユニット用反射板として用いられる、上記1〜4のいずれか1に記載の白色反射フィルム。
本発明によれば、導光板との貼り付きを十分に抑制することができるとともに、導光板の傷付きを抑制し、また粒子脱落が抑制された白色反射フィルムを提供することができる。
本発明における突起の断面の一例を示す写真である。 本発明における密着斑評価に用いる構成体を示す模式図である。 本発明における導光板の傷つき評価および粒子の脱落評価の方法を示す模式図である。
本発明の白色反射フィルムは、反射層Aと支持層Bとを有する。
以下、本発明を構成する各構成成分について詳細に説明する。
[反射層A]
本発明における反射層Aは、熱可塑性樹脂とボイド形成剤とからなり、ボイド形成剤を含有させることによって層中にボイドを含有し、白色を呈するようにした層である。かかるボイド形成剤としては、詳細は後述するが、例えば無機粒子、該反射層Aを構成する熱可塑性樹脂とは非相溶の樹脂(以下、非相溶樹脂と呼称する場合がある。)を用いることができる。また、反射層Aの波長550nmにおける反射率は、好ましくは95%以上、さらに好ましくは96%以上、特に好ましくは97%以上である。これにより白色反射フィルムの反射率を好ましい範囲としやすくなる。
反射層Aは、上述のとおり層中にボイドを有するものであるが、かかるボイドの体積が反射層Aの体積に対して占める割合(ボイド体積率)は15体積%以上、70体積%以下であることが好ましい。このような範囲とすることで反射率の向上効果を高くすることができ、上記のような反射率が得やすくなる。また、製膜性の向上効果を高くすることができる。ボイド体積率が低すぎる場合は、好ましい反射率が得難くなる傾向にある。このような観点から、反射層Aにおけるボイド体積率は、さらに好ましくは30体積%以上、特に好ましくは40体積%以上である。他方、高すぎる場合は、製膜性の向上効果が低くなる傾向にある。このような観点から、反射層Aにおけるボイド体積率は、さらに好ましくは65体積%以下、特に好ましくは60体積%以下である。
ボイド体積率は、反射層Aにおけるボイド形成剤の種類や大きさ、量を調整することにより達成することができる。
(熱可塑性樹脂)
反射層Aを構成する熱可塑性樹脂としては、例えばポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、アクリルからなる熱可塑性樹脂を挙げることができる。中でも、機械的特性および熱安定性に優れた白色反射フィルムを得る観点から、ポリエステルが好ましい。
かかるポリエステルとしては、ジカルボン酸成分とジオール成分とからなるポリエステルを用いることが好ましい。このジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等に由来する成分を挙げることができる。ジオール成分としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール等に由来する成分を挙げることができる。これらのポリエステルのなかでも芳香族ポリエステルが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。ポリエチレンテレフタレートはホモポリマーであってもよいが、フィルムを1軸あるいは2軸に延伸する際に結晶化が抑制されて延伸性、製膜性が良好となる点から、共重合ポリマーが好ましい。共重合成分としては、上記のジカルボン酸成分やジオール成分が挙げられるが、耐熱性と製膜性の両立という観点から、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。共重合成分の割合は、ポリエステルの全ジカルボン酸成分100モル%を基準として、例えば1〜20モル%、好ましくは2〜18モル%、さらに好ましくは3〜15モル%、特に好ましくは7〜11モル%である。共重合成分の割合をこの範囲とすることによって、製膜性の向上効果に優れる。また、熱寸法安定性に優れる。
(ボイド形成剤)
反射層Aにおいて、ボイド形成剤として無機粒子を用いる場合、無機粒子としては、白色無機粒子が好ましい。この白色無機粒子としては、硫酸バリウム、二酸化チタン、二酸化珪素、炭酸カルシウムの粒子を例示することができる。これら無機粒子は、白色反射フィルムが適切な反射率を有するように平均粒子径や含有量を選択すればよく、これらは特に限定はされない。好ましくは、反射層Aや白色反射フィルムの反射率が本発明における好ましい範囲となるようにすればよい。また、反射層Aにおけるボイド体積率が本発明における好ましい範囲となるようにすればよい。これらのことを勘案して、無機粒子の平均粒子径は、例えば0.2〜3.0μm、好ましくは0.3〜2.5μm、さら好ましくは0.4〜2.0μmである。またその含有量は、反射層Aの質量を基準として20〜60質量%が好ましく、25〜55質量%がさらに好ましく、最も好ましくは31〜53質量%である。また、上述のような粒子態様を採用することにより、ポリエステル中で適度に分散させることが可能であり、粒子の凝集が起こり難く、粗大突起のないフィルムを得ることができ、また同時に、粗大粒子が起点となる延伸時の破断も抑制される。無機粒子は、どのような粒子形状でもあってもよく、例えば、板状、球状であってもよい。無機粒子は、分散性を向上させるための表面処理を行ってあってもよい。
ボイド形成剤として非相溶樹脂を用いる場合、非相溶樹脂としては、層を構成する熱可塑性樹脂と非相溶であれば特に限定されない。例えば、かかる熱可塑性樹脂がポリエステルである場合は、ポリオレフィン、ポリスチレンなどが好ましい。これらは粒子の態様でもよい。またその含有量は、無機粒子の場合と同様に、白色反射フィルムが適切な反射率を有するように、平均粒子径や含有量を選択すればよく、これらは特に限定はされない。好ましくは、反射層Aや白色反射フィルムの反射率が本発明における好ましい範囲となるようにすればよい。また、反射層Aにおけるボイド体積率が本発明における好ましい範囲となるようにすればよい。これらのことを勘案して、含有量は、反射層Aの質量を基準として10〜50質量%が好ましく、12〜40質量%が更に好ましく、最も好ましくは13〜35質量%である。
(その他の成分)
反射層Aは、本発明の目的を阻害しない限りにおいて、その他の成分、例えば紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、ワックス、ボイド形成剤とは異なる粒子や樹脂等を含有することができる。
[支持層B]
本発明における支持層Bは、ポリエステル樹脂からなり不活性粒子を含有する。
(ポリエステル樹脂)
支持層Bのポリエステル樹脂として用いられるポリエステルとしては、上述の反射層Aにおけるポリエステルと同様のポリエステルを挙げることができる。これらのポリエステルのなかでも、機械的特性および熱安定性に優れる白色反射フィルムを得る観点から、芳香族ポリエステルが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。ポリエチレンテレフタレートはホモポリマーであってもよいが、導光板の傷付き抑制の向上効果を高めることができるという観点から共重合ポリマーが好ましい。かかる共重合成分としては、上記のジカルボン酸成分やジオール成分が挙げられるが、同様に傷付き抑制の観点から、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。共重合成分の割合は、ポリエステルの全ジカルボン酸成分100モル%を基準として、好ましくは1モル%以上、より好ましくは1.5モル%以上、さらに好ましくは2モル%以上、特に好ましくは3モル%である。また、好ましくは20モル%以下、より好ましくは18モル%以下、さらに好ましくは15モル%以下、特に好ましくは12モル%以下である。共重合成分の割合を下限以上とすることによって、導光板の傷付き抑制の向上効果を特に高めることができる。他方、上限以下とすることによって、結晶配向等により適度な硬さを有しやすくなり、それにより貼り付き抑制の向上効果を高めることができる。
(不活性粒子)
支持層Bにおける不活性粒子としては、有機不活性粒子であってもよいし、無機不活性粒子であってもよいし、有機無機複合不活性粒子であってもよい。
有機不活性粒子としては、例えばポリスチレン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、スチレン−アクリル樹脂粒子、ジビニルベンゼン−アクリル樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、ポリイミド樹脂粒子、メラミン樹脂粒子等の高分子樹脂粒子が挙げられる。中でも、ギャップ確保のために特に適度な硬さを有する突起を形成しやすいという観点から、シリコーン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子が特に好ましい。
また、無機不活性粒子としては、(1)二酸化ケイ素(水和物、ケイ砂、石英等を含む);(2)各種結晶形態のアルミナ;(3)SiO成分を30質量%以上含有するケイ酸塩(例えば非晶質もしくは結晶質の粘土鉱物、アルミノシリケート(焼成物や水和物を含む)、温石綿、ジルコン、フライアッシュ等);(4)Mg、Zn、ZrおよびTiの酸化物;(5)CaおよびBaの硫酸塩;(6)Li、BaおよびCaのリン酸塩(1水素塩や2水素塩を含む);(7)Li、NaおよびKの安息香酸塩;(8)Ca、Ba、ZnおよびMnのテレフタル酸塩;(9)Mg、Ca、Ba、Zn、Cd、Pb、Sr、Mn、Fe、CoおよびNiのチタン酸塩;(10)BaおよびPbのクロム酸塩;(11)炭素(例えばカーボンブラック、グラファイト等);(12)ガラス(例えばガラス粉、ガラスビーズ等);(13)CaおよびMgの炭酸塩;(14)ホタル石;(15)スピネル型酸化物等が挙げられる。このうち、ギャップ確保のために特に適度な硬さを有する突起を形成しやすいという観点から、シリカ粒子が好ましく、特に凝集シリカ粒子が好ましい。
また、本発明においては不活性粒子として、有機物で被覆された無機粒子や無機物で被覆された有機粒子のような有機無機複合不活性粒子を用いることもできる。具体的には、有機無機複合粒子としては、例えばシリルアルキル基のような有機金属化合物基を側鎖または末端に持つ高分子とシリカのような無機化合物成分が共有結合で複合化した有機無機ハイブリッド材料からなる粒子や、不活性無機粒子の表面に架橋ポリスチレンのような有機高分子微粒子を融着被覆させた粒子や、または不活性有機高分子粒子の表面にアルミナのような不活性無機微粒子を固着被覆させた粒子などが挙げられる。
本発明においてより優れた効果を奏しやすいという観点から、不活性粒子として好ましいのは、無機粒子である。特に不活性粒子として無機不活性粒子を用いた際には、一般的には無機不活性粒子は硬いため、導光板に傷を付けやすく、よって本発明を採用することが特に有用である。
支持層Bにおける不活性粒子の平均粒径および含有量は、貼り付き抑制のために、後述する十点平均粗さRzや突起頻度を満足するような範囲を選択すればよい。
例えば平均粒径は、導光板とフィルムとの間隔を一定に保ち、これらが貼り付くことを抑制しやすくなるという観点から、2μm以上、100μmであることが好ましい。平均粒径が小さすぎると、Rzが小さくなる傾向にあり、白色反射フィルムが導光板に部分的に密着してしまう可能性が高くなる傾向にある。このような観点から、平均粒径は、好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上、特に好ましくは15μm以上である。他方、大きすぎる場合は、粒子が脱落し易くなる傾向にあり、脱落が生じるとバックライトユニットにおいては白点欠点となる。このような観点から、平均粒子径は、好ましくは80μm以下、さらに好ましくは75μm以下、特に好ましくは70μm以下、最も好ましくは65μm以下である。
また、含有量は、例えば支持層Bの体積を基準として、好ましくは0.1体積%以上、20体積%以下である。少なすぎるとギャップ確保の向上効果が低くなる傾向にある。よって、さらに好ましくは0.2体積%以上、特に好ましくは0.3体積%以上である。他方、多すぎると粒子脱落抑制の向上効果が低くなる傾向にある。よって、さらに好ましくは15体積%以下、特に好ましくは12体積%以下である。
(その他の成分)
支持層Bは、上記構成成分以外の成分を、本発明の目的を阻害しない範囲において含有していてもよい。かかる成分としては、例えば紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、ワックス、上記不活性粒子とは異なる粒子や樹脂等を挙げることができる。
また、支持層Bは、反射層Aにおいて挙げたボイド形成剤を含有していてもよく、そのような態様とすることで反射率の向上効果を高くすることができる。その反面、支持層Bにおけるボイド形成剤の含有量を少なくするか、ボイド形成剤を含有しないと、製膜性の向上効果を高くすることができる。これらの観点から、支持層Bにおけるボイド体積率(支持層Bの体積に対する支持層Bにおけるボイドの体積の割合)は、0体積%以上、15体積%未満であることが好ましく、さらに好ましくは5体積%以下、特に好ましくは3体積%以下である。特に本発明においては、反射特性と延伸性との向上効果を同時に奏することができることから、上述した反射層Aにおける好ましいボイド体積率と、かかる支持層Bにおける好ましいボイド体積率とを同時に採用することが特に好ましい。
(支持層Bの態様)
本発明においては、上述したようなポリエステル樹脂からなり、上述したような不活性粒子を含有する支持層Bが、白色反射フィルムの少なくとも一方の最外層を形成する。そして、かかる最外層を形成する支持層Bの、反射層Aとは反対側の表面には、上述した不活性粒子により形成された突起を有する。さらに、該突起は、上記不活性粒子が、支持層Bを構成するポリエステル樹脂により被覆された構成となっている。
ポリエステル樹脂が不活性粒子を被覆するに際しては、被覆厚みは50nm以上、10μm以下である。ここで被覆厚みとは、突起の頂点におけるポリエステル樹脂の厚みを指すこととする。被覆厚みが上記範囲にあることにより、導光板の傷付きを抑制することができる。また、突起が適度な硬さを有することとなり、それによりギャップ確保をすることができ、貼り付きを抑制できる。被覆厚みが薄すぎると、導光板の傷付きが抑制できないうえ、擦過により粒子の脱落が起きる可能性がある。また、ギャップ確保がし難くなる。他方、被覆厚みが厚すぎるということは、該突起を形成する粒子は支持層Bの内部奥深くに存在することとなり、したがって突起形状も曲率の大きな「緩い」ものとなる可能性があるため導光板との貼り付きを防ぎにくい。これら観点から、突起における不活性粒子のポリエステル樹脂による被覆厚みは、好ましくは200nm以上、より好ましくは1μm以上、また、好ましくは8μm以下、より好ましくは7.5μm以下である。
このように、本発明の白色反射フィルムは、白色反射フィルムの最表層に、不活性粒子が特定被覆厚みでポリエステル樹脂により被覆された構成である突起を有することにより、導光板と接して用いた際においては、該突起によって導光板が傷付けられるのを抑制することができる。また、粒子脱落を抑制することができる。また、ギャップ確保をすることができる。なお、このとき、かかる突起を具備する側の表面は、導光板側となるようにする。
さらに上記の突起は、導光板と反射フィルムとのギャップ確保の観点から、最外層を形成する支持層Bの反射層Aとは反対側の表面において、適度な高さを有し、また適度な頻度で存在することが必要である。
突起の高さとしては、最外層を形成する支持層Bの反射層Aとは反対側の表面において、十点平均粗さ(Rz)が5〜100μmであることが通常必要である。これと後述の突起頻度とにより、導光板とのギャップを十分に確保することができ、貼り付き抑制効果に優れる。Rzが小さすぎると貼り付き抑制効果に劣る。他方、Rzが大きすぎると、粒子脱落抑制効果に劣る。これら観点から、Rzは、好ましくは7μm以上、より好ましくは10μm以上、また、好ましくは75μm以下、より好ましくは50μm以下である。なお、かかるRzの態様は、上記突起により主に得られるものである。上記した突起の態様を具備しない突起によって主な高い突起が形成されてしまうと、導光板の傷付き抑制効果が得られないためである。
また、突起の頻度としては、最外層を形成する支持層Bの反射層Aとは反対側の表面において、高さ5μm以上の突起の単位面積あたりの個数が10〜1010個/mであることが通常必要である。これと前述のRzとにより、導光板とのギャップを十分に確保することができ、貼り付き抑制効果に優れる。突起頻度が少なすぎると貼り付き抑制効果に劣る。他方、突起頻度が多すぎると、粒子脱落の確率が向上したり、また反射率が低下したりする傾向にある。これら観点から、突起頻度は、好ましくは10個/m以上、より好ましくは5×10個/m以上であり、また、好ましくは2×10個/m以下、より好ましくは5×10個/m以下である。
さらに上記の突起は、導光板の傷付きをさらに抑制し、導光板と反射フィルムとが圧着された際においても十分なギャップ確保がしやすくなり、またフィルム表面から粒子が脱落し異物となり、画面欠陥により表示品位が低下することをさらに防止する目的ために、硬度が10〜10であることが好ましい。
硬度が硬すぎると、導光板に傷がつきやすくなる傾向にある。他方柔らかすぎると、ギャップ確保の効果が低くなる傾向にあり、また粒子脱落抑制の効果が低くなる傾向にある。かかる観点から、突起硬度のより好ましい値は5以上、さらに好ましくは10以上であり、また、より好ましくは500以下、さらに好ましくは200以下である。
上記突起硬度は、JIS Z2244に基づき、微小硬度計(例えば、エリオニクス社製ENT−1100a)で測定した値にて表わすことができる。バーコビッチ圧子(稜間角=115°の正三角錐状先端)を用い、押込み荷重(P)を500mgf(約4.9mN)とし、計測される最大押込み深さ(h[μm])の値から、下記式により硬度(H)を算出できる。
H=0.038×P/h
測定は、サンプルからランダムに抽出した突起(高さが5μm以上のものを選ぶことは好ましい測定法の一つである)について、たとえば30点以上のような多数のものについて行い、それらの平均値を突起の硬度とすることが好ましい。また、突起の高さは、レーザー顕微鏡により確認できる。
[層構成]
本発明における反射層Aの厚みは、80〜300μmであることが好ましい。これにより反射率の向上効果を高くすることができる。薄すぎると反射率の向上効果が低く、他方厚すぎることは非効率である。このような観点から、さらに好ましくは150〜250μmである。
また、支持層Bの厚み(複数有する場合は、導光板側となる最外層を形成する1層の厚み)は、10〜70μmであることが好ましい。これにより、上記好ましい不活性粒子の態様とあわせて、好ましいRzおよび突起頻度の態様としやすくなり、導光板とのギャップ確保がしやすくなる。また、反射率の向上効果および延伸性の向上効果を高くすることができる。薄すぎると好ましいRzが達成し難くなり、粒子脱落抑制効果が低下する傾向にある。また延伸性の向上効果が低くなる傾向にある。他方、厚すぎると反射率の向上効果が低くなる傾向にあり、また好ましいRzおよび突起頻度が得難くなる傾向にある。かかる観点から、さらに好ましくは20μm以上であり、また、さらに好ましくは60μm以下である。
本発明においては、上述の不活性粒子の被覆厚みおよびRzで表わされる突起高さを本発明で規定する範囲にし易くするために、支持層B中の不活性粒子の平均粒径(d)と、支持層Bの厚み(t)とが、下記式(1)を満たすことが好ましい。
0.2≦d(μm)/t(μm)≦2.5 ・・・(1)
この比率が小さすぎる場合は十分な高さの突起が生成し難くなり、導光板とのギャップ確保の向上効果が低くなる傾向にあり、一方大きすぎる場合は被覆厚みが不足し易くなる傾向にあり、粒子脱落抑制の向上効果が低くなる傾向にある。これら観点から、上記比率はより好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.6以上、また、好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.8以下である。
白色反射フィルムの積層構成は、反射層AをA、支持層BをBと表わした際に、B/Aの2層構成、B/A/Bの3層構成、B/A/B/Aの4層構成、またBを少なくともいずれか片方の最外層に配した5層以上の多層構成を挙げることができる。特に好ましくはB/Aの2層構成、B/A/Bの3層構成である。最も好ましくはB/A/Bの3層構成であり、カール等の問題が生じ難い。
反射層Aおよび支持層Bは、白色反射フィルム全体の厚みを100%とした際に、反射層Aの厚み比率が50〜90%であって、支持層Bの厚み比率が5〜50%、さらには5〜25%である態様が好ましく、各特性のバランスをより良くすることができる。ここで各層の厚み比率は、各層を複数有する場合は、それらの積算厚みどうしの比率をいう。
本発明においては、反射層Aと支持層B以外に、本発明の目的を損なわない限りにおいて他の層を有していてもよい。例えば、帯電防止性や導電性、紫外線耐久性等の機能を付与するための層を有していてもよい。
[フィルムの製造方法]
以下、本発明の白色反射フィルムを製造する方法の一例を説明する。
本発明の白色反射フィルムを製造するに際しては、溶融押出法等によって得られた反射層Aに、溶融樹脂コーティング法(溶融押出樹脂コーティング法を含む)、共押出法およびラミネート法等により支持層Bを形成し、積層構成を形成することが好ましい。なかでも、本発明の白色反射フィルムは、反射層Aと支持層Bとを共押出法により積層して製造されたものであることが特に好ましい。また、反射層Aと支持層Bとは、共押出法により直接積層されていることが好ましい。このように共押出法で積層することによって、反射層Aと支持層Bとの界面密着性を高くすることができる上、フィルムを貼り合せたり、フィルムの製膜後に改めて支持層Bを形成したりするための工程を経る必要が無いため、安価に、容易に量産できる。
以下に、反射層Aを構成する熱可塑性樹脂としてポリエステルを採用し、積層方法として共押出法を採用した場合について説明するが、本発明はかかる製法に限定はされず、また下記を参考に他の態様についても同様に製造することができる。その際、押出工程を含まない場合は、以下の「溶融押出温度」は、「溶融温度」と読み替えればよい。なお、ここで、用いるポリエステルの融点をTm(単位:℃)、ガラス転移温度をTg(単位:℃)とする。
まず、反射層Aを形成するためのポリエステル組成物として、ポリエステルと、ボイド形成剤と、他の任意成分を混合したものを用意する。また、支持層Bを形成するためのポリエステル組成物として、ポリエステルと、不活性粒子と、他の任意成分を混合したものを用意する。これらポリエステル組成物は、乾燥して十分に水分を除去して用いる。
次に、乾燥したポリエステル組成物を、それぞれ別の押出機に投入し、溶融押出する。溶融押出温度は、Tm以上が必要であり、Tm+40℃程度とすればよい。
またこのとき、フィルムの製造に用いるポリエステル組成物、特に反射層Aに用いるポリエステル組成物は、線径15μm以下のステンレス鋼細線よりなる平均目開き10〜100μmの不織布型フィルターを用いて濾過を行うことが好ましい。この濾過を行うことで、通常は凝集して粗大凝集粒子となりやすい粒子の凝集を抑え、粗大異物の少ないフィルムを得ることができる。なお、不織布の平均目開きは、好ましくは20〜60μm、さらに好ましくは15〜50μmである。濾過したポリエステル組成物は、溶融した状態でフィードブロックを用いた同時多層押出法(共押出法)により、ダイから多層状態で押し出し、未延伸積層シートを製造する。ダイより押し出された未延伸積層シートを、キャスティングドラムで冷却固化し、未延伸積層フィルムとする。
次いで、この未延伸積層フィルムをロール加熱、赤外線加熱等で加熱し、製膜機械軸方向(以下、縦方向または長手方向またはMDと呼称する場合がある。)に延伸して縦延伸フィルムを得る。この延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行うのが好ましい。縦延伸後のフィルムは、続いてテンターに導かれ、縦方向と厚み方向とに垂直な方向(以下、横方向または幅方向またはTDと呼称する場合がある。)に延伸して、二軸延伸フィルムとする。
延伸温度としては、ポリエステルのTg以上、Tg+30℃以下の温度で行うことが好ましく、製膜性に優れ、またボイドが好ましく形成されやすい。また、延伸倍率としては、縦方向、横方向ともに、好ましくは2.5〜4.3倍、さらに好ましくは2.7〜4.2倍である。延伸倍率が低すぎるとフィルムの厚み斑が悪くなる傾向にあり、またボイドが形成されにくい傾向にあり、他方高すぎると製膜中に破断が発生し易くなる傾向にある。
ここで、本発明においては、好適な不活性粒子被覆の態様とするために、高配向延伸条件を採用することが好ましい。高配向延伸条件とは、高い分子配向が形成され易い延伸条件のことをいい、例えば延伸温度を低くしたり、延伸倍率を高くしたり、あるいはこれらを組み合わせた延伸条件である。よって、低延伸倍率の際は低延伸温度条件とし、逆に高延伸温度の際は高延伸倍率とし、このような組み合わせとすることが好ましい。
また、適度な延伸速度を採用することも好ましい。これは、延伸速度が遅すぎると樹脂が緩和しやすくなる傾向にあるため、突起が形成され難い傾向にあり、被覆厚みが薄くなる傾向にあり、また、延伸速度が速すぎると延伸応力が高くなる傾向にあるため、不活性粒子が支持層B内に押し込まれやすくなる傾向にあり、被覆厚みが厚くなる傾向にあるためである。具体的には、縦方向の延伸速度としては、5〜1000%/秒であることが好ましく、200〜500%/秒が特に好ましい。また、横方向の延伸速度としては、0.2〜100%/秒であることが好ましく、3〜10%/秒が特に好ましい。
なお、縦延伸を実施しその後横延伸を行うような逐次2軸延伸の際には2段目(この場合は、横延伸)は1段目の延伸温度よりも10〜50℃程度高くする事が好ましい。これは1段目の延伸で配向した事により1軸フィルムとしてのTgがアップしている事に起因する。
また、各延伸の前にはフィルムを予熱することが好ましい。例えば横延伸の予熱処理はポリエステルのTg+5℃より高い温度から始めて、徐々に昇温するとよい。予熱温度を低くすることも、高配向延伸となるために好ましい。例えばTg+5℃を超え、Tg+30℃の範囲とすることが好ましい。横延伸過程での昇温は連続的でも段階的(逐次的)でもよいが通常逐次的に昇温する。例えばテンターの横延伸ゾーンをフィルム走行方向に沿って複数に分け、ゾーン毎に所定温度の加熱媒体を流すことで昇温する。
二軸延伸後のフィルムは、続いて、熱固定、熱弛緩の処理を順次施して二軸配向フィルムとするが、溶融押出から延伸に引き続いて、これらの処理もフィルムを走行させながら行うことができる。
二軸延伸後のフィルムは、クリップで両端を把持したまま(Tm−20℃)〜(Tm−100℃)で、定幅または10%以下の幅減少下で熱処理して、熱固定し、熱収縮率を低下させるのがよい。かかる熱処理温度が高すぎるとフィルムの平面性が悪くなる傾向にあり、厚み斑が大きくなる傾向にある。他方低すぎると熱収縮率が大きくなる傾向にある。
また、熱収縮量を調整するために、把持しているフィルムの両端を切り落し、フィルム縦方向の引き取り速度を調整し、縦方向に弛緩させることができる。弛緩させる手段としてはテンター出側のロール群の速度を調整する。弛緩させる割合として、テンターのフィルムライン速度に対してロール群の速度ダウンを行い、好ましくは0.1〜2.5%、さらに好ましくは0.2〜2.3%、特に好ましくは0.3〜2.0%の速度ダウンを実施してフィルムを弛緩(この値を「弛緩率」という)して、弛緩率をコントロールすることによって縦方向の熱収縮率を調整する。また、フィルム横方向は両端を切り落すまでの過程で幅減少させて、所望の熱収縮率を得ることができる。
なお、二軸延伸に際しては、上記のような縦−横の逐次二軸延伸法以外にも、横−縦の逐次二軸延伸法でもよい。また、同時二軸延伸法を用いて製膜することができる。同時二軸延伸法の場合、延伸倍率は、縦方向、横方向ともに例えば2.7〜4.3倍、好ましくは2.8〜4.2倍である。
かくして本発明の白色反射フィルムを得ることができる。
[反射フィルムの特性]
(反射率、輝度)
本発明の白色反射フィルムの、支持層B側から測定した反射率は、好ましくは96%以上、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは97.5%以上である。反射率が96%以上であることによって、液晶表示装置や照明等に用いた場合には、高い輝度を得ることができる。かかる反射率は、反射層Aのボイド体積率を高くする等好ましい態様としたり、反射層Aの厚みを厚くしたり、支持層Bの厚みを薄くしたり等各層の態様を好ましい態様としたりすることにより達成できる。
また支持層B側から測定した輝度は、後述する測定方法により求められるが、5400cd/m以上が好ましく、5450cd/m以上がさらに好ましく、5500cd/m以上が特に好ましい。
上記反射率および輝度は、白色反射フィルムにおいて、導光板と用いるに際しては、導光板側となる側の面における値である。
(揮発有機溶剤量)
本発明の白色反射フィルムは、後述の方法にて測定した揮発有機溶剤量が、好ましくは10ppm以下である。これにより、例えばエッジライト液晶ディスプレイにおいては反射フィルムと直接接触する導光板の耐久性が向上するなどのメリットを例示できる。かかる観点から、より好ましくは5ppm以下、さらに好ましくは3ppm以下であり、理想的には0ppmである。本発明においては、揮発有機溶剤量を少なくするために、支持層Bの形成において、有機溶剤を用いた溶液コーティング法を採用せずに、上述した方法を採用することが好ましい。
以下、実施例により本発明を詳述する。なお、各特性値は以下の方法で測定した。
(1)光線反射率
分光光度計(島津製作所製UV−3101PC)に積分球を取り付け、BaSO白板を100%とした時の反射率を波長550nmで測定し、この値を反射率とした。なお、測定は、支持層B側の表面において行った。表裏に異なる支持層Bを有する場合は、導光板側の支持層表面において測定した。
(2)ボイド形成剤(無機粒子)の平均粒子径
粒度分布計(堀場製作所製LA−950)にて、粒子の粒度分布を求め、d50での粒子径を平均粒子径とした。
(3)不活性粒子の平均粒径(d)
フィルムサンプルから物理的に少量単離した支持層B部分を、テトラエチレングリコール中に入れ、2時間加熱還流させてマトリックスポリエステル樹脂成分を溶解させ、液中に残存した粒子を濾取し洗浄、乾燥した。日立製作所製S−4700形電界放出形走査電子顕微鏡を用い、倍率1000倍にて、得られた粒子を100個任意に測定し、平均粒子径を求めた。なお、球状以外の場合は(長径+短径)/2にて求めた。
(4)フィルム厚みおよび層構成
白色反射フィルムをミクロトームにてスライスして断面出しを行い、かかる断面について日立製作所製S−4700形電界放出形走査電子顕微鏡を用いて、倍率500倍にて観測し、フィルム全体、反射層A、支持層Bの厚みをそれぞれ求めた。なお、フィルム全体および支持層Bの厚みは、不活性粒子が支持層表面より突出している部分を除いた部分の厚みとした。各層の厚み(μm)を求めた上で各層の厚み比を算出した。
(5)ボイド体積率の算出
ボイド体積率を求める層のポリマー、添加粒子、その他各成分の密度と配合割合から計算密度を求めた。同時に、当該層を剥離する等して単離し、質量および体積を計測し、これらから実密度を算出し、計算密度と実密度とから下記式により求めた。
ボイド体積率=100×(1−(実密度/計算密度))
以下にボイド体積率の求め方の一例を示す。
例えば、反射層Aを構成する成分が、ポリマーがポリエチレンテレフタレート(2軸)であって、密度1.39g/cm、含有割合48質量%と、添加粒子が硫酸バリウムであって、密度4.5g/cm、含有割合52質量%のとき、計算密度は以下のようになる。
1.39×0.48+4.5×0.52=3.01g/cm(計算上)
また、反射層Aのみを単離し、単位体積あたりの質量を求めて実密度を求めた。
実密度=単離した反射層の質量/単離した反射層の体積
反射層の体積は、サンプルを面積3cmに切り出し、そのサイズでの厚みをエレクトリックマイクロメーター(アンリツ製 K−402B)にて10点測定した平均値を厚みとし、面積×厚みとして算出した。
また、単離した反射層の質量を電子天秤にて秤量した。
仮に実密度1.29g/cmの場合
ボイド体積率=100×(1−(1.29(実密度)/3.01(計算上))
=57%となる
(6)融点、カラス転移温度
示差走査熱量測定装置(TA Instruments 2100 DSC)を用い、昇温速度20℃/分で測定を行った。
(7)不活性粒子の被覆厚み
ミクロトームを用いて、エポキシ包埋したフィルムから切片サンプルを切り出した。この際、突起がつぶれないように刃を入れる方向等について注意した。切片サンプルの切断面について、日立製作所製S−4700形電界放出形走査電子顕微鏡を用い、倍率3000倍にて観察した。
100個の粒子断面について写真撮影し、図1に示す通りに、写真内にてフィルム表面の水準線(a)、(a)と平行で突起頂点を通る直線(b)、(a)と平行で突起内の粒子最上部を通る直線(c)を引き、(b)(c)の間隔から突起頂点部の樹脂被覆部分の厚み(d)を測定し、その平均値を以って粒子の被覆厚みとした。
(8)十点平均粗さ(Rz)および突起頻度
フィルム表面の突起プロファイルを、三次元粗さ測定装置SE−3CKT(株式会社 小坂研究所製)にて、カットオフ0.25mm、測定長1mm、走査ピッチ2μm、走査本数100本で測定し、高さ倍率1000倍、走査方向倍率200倍にて突起プロファイルを記録した。得られた突起プロファイルにおいて、ピーク(Hp)の高い方から5点と谷(Hv)の低い方から5点をとり、次の式により10点平均粗さ(Rz、単位:nm)を求めた。尚、解析には三次元粗さ解析装置SPA−11(株式会社 小坂研究所製)を用いた。
また、得られた突起プロファイル(横軸:突起高さ、縦軸:突起個数の突起プロファイル)から、高さ5μm以上の突起個数(個/mm)を求め、突起頻度とした。
(9)導光板の傷付き評価(削れ性評価)および粒子脱落評価
図3のように、取っ手部分(図3の符号7)の端に長さ200mm×幅200mm×厚み3mmの鉄板(図3の符号8、重さ約200g)を固く貼り付け、その上に、評価面を上にした幅250mm×長さ200mmの反射フィルム(図3の符号9)を幅方向の両端からそれぞれ25mmの部分が鉄板からはみ出すようにして、(中央の200mm×200mmの部分が鉄板と重なるようにして)貼り付けた。この際、反射フィルムの評価面(支持層面)が外側になるようにした。また、反射フィルムの幅方向の両端で余った25mmの部分は、鉄板の裏側に折り返して、反射フィルムの端部(サンプリング時にナイフ等により刃を入れた部分)が導光板を削ってしまう影響を排除した。
次に、ドット面を上にした導光板(少なくとも400mm×200mmのサイズのもの)を水平な机上に固定し、上記で作成した鉄板に固定した反射フィルムを、評価面と導光板とが接触するように、反射フィルム側の面を下向きにして導光板の上に置き、さらにその上に500gの重り(図3の符号10)を載せて、距離200mmで(400mm×200mmの領域で鉄板に固定した反射フィルムを動かすことになる)1往復約5〜10秒の速度で15往復動かした。 その後、導光板表面において、その削れ具合と、反射フィルムから脱落した粒子の有無について、20倍のルーペを用いて観察し、以下の基準で評価した。
導光板上の擦られた400mm×200mmの全範囲において、15往復動かした後にルーペで観察できるキズがない場合は「削れない」(削れ評価○)とし、10往復動かした後は観察できるキズがなかったが、15往復動かした後に観察できるキズがある場合は「削れにくい」(削れ評価△)とし、10往復した後に観察できるキズがある場合は「削れる」(削れ評価×)とした。
また、15往復動かした後において、導光板上の擦られた400mm×200mmの全範囲において、ルーペで観察できる白色異物がなければ、「粒子が脱落しない」(脱落評価○)とした。また、観察できる白色異物があった際は、かかる白色異物を顕微鏡により観測し、不活性粒子であることを確認して、脱落した粒子が5つ以下であれば、「粒子がほとんど脱落しない」(脱落評価△)とし、6つ以上であれば、「粒子が脱落する」(脱落評価×)とした。
なお、上記評価にあたっては、ドットサイズの影響を極力抑えるべく、導光板において、極力ドットサイズの大きな領域を選択し、各評価サンプルで揃えて行った。
(10)密着斑評価(貼り付き評価)
LG社製のLED液晶テレビ(LG42LE5310AKR)からシャーシを取り出し、テレビ内部側が上向きとなるように水平な机上に置き、その上に、シャーシとほぼ同じ大きさの反射フィルムを、支持層面が上向きとなるように置き、さらにその上に、元々テレビに備えられていた導光板および光学シート3枚(拡散フィルム2枚、プリズム1枚)を置いた。次いで、その面内で、シャーシの凹凸の最も激しい部分を含む領域に、図2に示すごとく直径5mmの円状足を三本備える正三角形型の台を置き、その上に更に15kgの重りを乗せて、かかる三本の足に囲まれた領域を目視で観測し、異常に明るい部分がなければ「密着斑がなし」(密着斑評価○)とした。また、異常に明るい部分があった場合は、光学シート3枚の上にさらに、元々テレビに備わっていたDBEFシートを置き、同様に目視で観測し、異常に明るい部分が直らなければ、「密着斑があり」(評価×)とし、異常に明るい部分がなくなれば、「密着斑が殆どなし」(評価△)とした。なお、三つ足に囲まれた領域は、各辺の長さが10cmの略正三角形とした。
(11)揮発有機溶剤量
室温(23℃)において、1gのフィルムサンプルを10Lのフッ素樹脂製バッグに入れ、その中を純窒素でパージして密封した。次いで、直ちにかかるバッグの中の窒素から、0.2L/分の流量で、2本の分析用TENAX−TA捕集管にそれぞれ0.2L、1.0Lの窒素を採取し、これらを用いて、HPLCおよびGCMSにより、採取した窒素中に含まれる有機溶剤成分の質量を定量した。得られた値を窒素10L中の量に換算して、1gのフィルムサンプルから10Lの窒素中に揮発した有機溶剤の質量を求め、揮発有機溶剤量(単位:ppm、フィルムサンプルの質量基準)とした。なお、アルデヒド類は、アセトニトリルでアルデヒド誘導体化物を捕集管から溶出し、HPLCにより定量した。また、HPLCとGCMSとで値が異なる場合は、多く検出した方の値を採用した。
揮発有機溶剤量が10ppm以下の場合を評価○、10ppmを超える場合を評価×とした。
[製造例1:イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート1の合成]
テレフタル酸ジメチル136.5質量部、イソフタル酸ジメチル13.5質量部(得られるポリエステルの全酸成分100モル%に対して9モル%となる)、エチレングリコール98質量部、ジエチレングリコール1.0質量部、酢酸マンガン0.05質量部、酢酸リチウム0.012質量部を精留塔、留出コンデンサを備えたフラスコに仕込み、撹拌しながら150〜240℃に加熱しメタノールを留出させエステル交換反応を行った。メタノールが留出した後、リン酸トリメチル0.03質量部、二酸化ゲルマニウム0.04質量部を添加し、反応物を反応器に移した。ついで撹拌しながら反応器内を徐々に0.3mmHgまで減圧するとともに292℃まで昇温し、重縮合反応を行い、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート1を得た。このポリマーの融点は235℃であった。
[製造例2:イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート2の合成]
テレフタル酸ジメチル142.5質量部、イソフタル酸ジメチル7.5質量部(得られるポリエステルの全酸成分100モル%に対して5モル%となる)に変更した他は、上記製造例1と同様にして、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート2を得た。このポリマーの融点は245℃であった。
[製造例3:粒子マスターチップ1の作成]
上記で得られたイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート1の一部、およびボイド形成剤として平均粒径1.0μmの硫酸バリウム粒子を用いて、神戸製鋼社製NEX−T60タンデム式押出機にて、得られるマスターチップの質量に対して硫酸バリウム粒子の含有量が63質量%となるように混合し、樹脂温度260℃にて押し出し、硫酸バリウム粒子含有の無機粒子マスターチップ1を作成した。
[製造例4〜11:粒子マスターチップ2〜9の作成]
上記で得られたイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート2に、表1に示す不活性粒子を添加し、表1に示す含有量となるよう混合し、溶融温度235℃にて押し出し、粒子マスターチップ2〜9を作成した。
なお、シリコーン粒子としては、信越シリコーン社製、KMPシリーズを、アクリル粒子としては積水化成品社製、MBXシリーズを用いた。
[実施例1]
(白色反射フィルムの製造)
上記で得たイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート1と粒子マスターチップ1を反射層(A層)の原料として、硫酸バリウムの含有量が45重量%となるように混合して用い、一方、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート2と粒子マスターチップ2を支持層(B層)の原料として、表2に記載した含有量となるように混合して用い、押出機に投入し、B層/A層/B層の層構成となるように3層フィードブロック装置を使用して合流させ、その積層状態を保持したままダイスよりシート状に成形した。このときB層/A層/B層の厚み比が二軸延伸後に10/80/10となるように各押出機の吐出量で調整した。さらにこのシートを表面温度25℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フィルムとした。この未延伸フィルムを誘導加熱ロール群に導き73℃に予熱し、つづけて2組のニップロールの間をフィルム表面温度が95℃になるようフィルムの上下から赤外線ランプで照射しながら350%/秒の延伸速度で前後のロールの周速差を用いて縦方向に2.9倍に延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いて、フィルムの両端をクリップで保持しながら95℃の予熱ゾーンを通して110℃に保たれた横延伸ゾーンに導き、5.8%/秒の延伸速度となるようクリップの間隔を広げて横方向に3.6倍に延伸した。その後テンター内で185℃で熱固定を行い、幅入れ率2%、幅入れ温度130℃で横方向の幅入れを行い、次いでフィルム両端を切り落し、縦弛緩率2%で熱弛緩し、室温まで冷やして、厚み250μmの二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
[実施例2〜8、比較例1〜7]
B層に添加する不活性粒子の態様(粒子マスターチップ)、フィルムの層構成、延伸条件を表2、3に示す通りにした以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2、3に示す。
本発明の白色反射フィルムは、導光板との貼り付きを十分に抑制することができるとともに、導光板の傷付きを抑制し、また粒子脱落が抑制されているので、例えば液晶表示装置等に用いられるような、エッジライト型のバックライトユニットに用いられる反射フィルムとして好適に用いることができる。
4 シャーシ
5 反射フィルム、導光板、光学シートの積層物
601 正三角形型の台
602 重り
7 取っ手部分
8 鉄板
9 反射フィルム
10 重り
11 導光板
1101 ドット

Claims (5)

  1. 反射層Aと、ポリエステル樹脂を含み、平均粒径(d)が2μm以上、100μm以下である不活性粒子を含有する支持層Bとを有する白色反射フィルムであって、
    支持層Bが、白色反射フィルムの少なくとも一方の最外層を形成し、該最外層を形成する支持層Bの反射層Aとは反対側の表面に上記不活性粒子により形成された突起を有し、
    該表面における十点平均粗さ(Rz)が5〜100μmであり、高さ5μm以上の突起頻度が10〜1010個/mであり、
    上記突起は、上記不活性粒子が、支持層Bを構成する上記ポリエステル樹脂により被覆厚み50nm以上、10μm以下で表面を被覆された構成である、
    白色反射フィルム。
  2. 支持層B中の不活性粒子の含有量が、支持層Bの体積を基準として0.1〜20体積%である、請求項1に記載の白色反射フィルム。
  3. 支持層B中の不活性粒子の平均粒径(d)と支持層Bの厚み(t)とが下記式(1)を満たす、請求項1または2に記載の白色反射フィルム。
    0.2≦d(μm)/t(μm)≦2.5 ・・・(1)
  4. 揮発有機溶剤量が10ppm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の白色反射フィルム。
  5. エッジライト方式バックライトユニット用反射板として用いられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の白色反射フィルム。
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