JP6356447B2 - 白色ポリエステルフィルム - Google Patents
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また、フィルム内部に微細なボイドを含有させ、それにより高反射性にしようとすると、延伸性が低下する傾向にある。
1.表面にポリエステル層(A)を有する白色ポリエステルフィルムであって、
上記ポリエステル層(A)は、炭酸カルシウム粒子を含有するポリエステル樹脂組成物からなり、
上記炭酸カルシウム粒子は、上記ポリエステル層(A)中の含有量が1質量%以上、31質量%未満であり、50%体積粒径D50が0.4〜1.0μmであり、
該ポリエステル層(A)がボイドを含有しボイド体積率が10体積%以上80体積%以下であるか、または、該白色ポリエステルフィルムが、ボイドを含有しボイド体積率が30体積%以上80体積%以下であるポリエステル層(B)を有し、
上記白色ポリエステルフィルムは、厚みが50〜350μmであり、上記ポリエステル層(A)表面における広角X線回折測定で得られるブラッグ角25°〜27°の結晶面法線の、フィルム面法線に対する一致度が0.8未満であり、反射率が95%以上である、白色ポリエステルフィルム。
2.上記炭酸カルシウム粒子は、90%体積粒径D90、50%体積粒径D50、10%体積粒径D10としたときに(D90−D10)/D50が2.0未満である、上記1に記載の白色ポリエステルフィルム。
3.上記白色ポリエステルフィルムが、ボイドを含有しボイド体積率が30体積%以上80体積%以下であるポリエステル層(B)を有し、その少なくとも片面に、ボイドを含有しボイド体積率が30体積%未満であるかボイドを含有しない上記ポリエステル層(A)を積層した構成である、上記1または2に記載の白色ポリエステルフィルム。
このような本発明の白色ポリエステルフィルムは、優れた折り曲げ加工性を有することから、例えば折り曲げ加工が施される反射板用途等に好適に用いることができる。
本発明の白色ポリエステルフィルムは、表面にポリエステル層(A)を有する。単層である場合は、白色ポリエステルフィルムはポリエステル層(A)からなる。このとき、本発明の白色ポリエステルフィルムを反射板用として用いるに際しては、ポリエステル層(A)が好ましくはボイドを含有し、反射性を具備して反射層としての役割を果たす。また、本発明の白色ポリエステルフィルムは、ボイドを含有するポリエステル層(B)の少なくとも片面にポリエステル層(A)を積層した構成であってもよい。このとき、本発明の白色ポリエステルフィルムを反射板用として用いるに際しては、ポリエステル層(B)が反射性を有して反射層となればよく、ポリエステル層(A)はフィルムの延伸性を向上するための支持層や、フィルムの表面に任意の機能を付与するための表面層であることができる。このとき、ポリエステル層(A)もボイドを含有し、反射性を有していても良い。
[ポリエステル層(A)]
本発明におけるポリエステル層(A)は、ポリエステル樹脂に炭酸カルシウム粒子を含有するポリエステル樹脂組成物からなる。
本発明においてポリエステル層(A)におけるポリエステル樹脂のポリエステルとしては、ジカルボン酸成分とジオール成分とからなるポリエステルを用いる。ジカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、および、これらのエステル形成性誘導体に由来する成分を挙げることができる。ジオール成分としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、および、これらのエステル形成性誘導体に由来する成分を挙げることができる。これらのポリエステルの中で、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
共重合ポリエチレンテレフレートである場合、共重合成分としては、例えば、イソフタル酸成分、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分を挙げることができる。イソフタル酸成分および2,6−ナフタレンジカルボン酸成分を用い、合計の共重合量を4〜15モル%とした共重合ポリエチレンテレフタレートは、上記観点において特に好ましいポリエステルである。
本発明における炭酸カルシウム粒子は、50%体積粒径D50が0.4〜1.0μmである。また、ポリエステル層(A)中の含有量は、1質量%以上、31質量%未満である。このようなD50および含有量の態様とすることで、フィルム中のボイド数をより多くすることができ、より高い反射率が得られる。D50が小さすぎると粒子が凝集しやすくなり、結果ボイド数が低減して反射率が低くなる。他方、大きすぎると、含有量を高くすることが困難となり、結果としてボイド数が低減して反射率が低くなる。含有量は、少なすぎるとボイド数が低減して反射率が低くなる。他方、多すぎると延伸し難くなり、ボイドが形成され難くなり、反射率が低くなる。かかる観点から、D50は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは0.6μm以上であり、また、好ましくは0.9μm以下、より好ましくは0.8μm以下である。また、含有量は、好ましくは2質量%以上、より好ましくは4質量%以上であり、また、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
(ア)ポリエステル樹脂の合成時のエステル化の段階もしくはエステル交換反応終了後に添加する方法。
(イ)得られたポリエステル樹脂に添加し、溶融混練する方法。
(ウ)上記(ア)または(イ)の方法においてポリエステル樹脂に炭酸カルシウム粒子を多量添加したマスターペレットを製造し、これと希釈ポリマーとしてのポリエステル樹脂とを混練してポリエステル樹脂に所定量の炭酸カルシウム粒子を含有させる方法。
(エ)上記(ウ)のマスターペレットをそのまま使用する方法。
本発明における炭酸カルシウム粒子は、表面処理剤により表面処理が施されていることが好ましい。それにより、炭酸カルシウム粒子表面のCa活性を失活させ、ガスマークの発生をより抑制することができる。かかる表面処理剤としては、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、あるいはこれらの誘導体などのリン化合物、および、ステアリン酸などの脂肪酸、シランカップリング剤等が挙げられる。本発明においては、中でもリン化合物による表面処理が好ましく、かかるリン化合物としては、具体的には、リン酸、亜リン酸、リン酸トリメチルエステル、リン酸トリブチルエステル、リン酸トリフェニルエステル、リン酸モノあるいはジメチルエステル、亜リン酸トリメチルエステル、メチルホスホン酸、メチルスルホン酸ジエチルエステル、フェニルホスホン酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステルなどが好ましく挙げられる。中でもリン酸、亜リン酸およびそれらのエステル成形誘導体が好ましい。本発明においては、リン酸トリメチルで表面処理されていることが最も好ましい。これらリン化合物は、単独で用いることができ、また2種以上を併用してもよい。
ポリエステル層(A)は、本発明の目的を阻害しない範囲において、ボイドを含有していてもよい。そうすることで反射率をより高くすることができる。ボイドは、ポリエステル樹脂中に上述の炭酸カルシウム粒子を含有させてフィルムを製造することでも形成できるし、さらにボイドの量を多くしたい場合には、以下のようなボイド形成剤を用いればよい。
なお、上記ボイド体積率を得るにあたって、ボイド形成剤の含有量は適宜調整すればよい。
本発明の白色ポリエステルフィルムは、上記ポリエステル層(A)を、ボイドを含有するポリエステル層(B)の少なくとも片面に積層した構成であることができる。この場合は、反射性はポリエステル層(B)で付与することができる。本発明においては、反射性と製膜性とを両立するために、ポリエステル層(B)を有する態様が好ましく、ポリエステル層(B)で主に反射性を付与し、ポリエステル層(A)は上述した比較的ボイド体積率が低い態様とし、かかるポリエステル層(A)で主に延伸性を付与する態様が好ましい。
ポリエステル層(B)のポリエステル樹脂としては、上述したポリエステル層(A)のポリエステル樹脂と同様のものを用いることができる。好ましい態様およびその効果についても同様である。
ポリエステル層(B)のボイド形成剤としては、ポリエステル層(B)を形成するポリエステル樹脂に非相溶な樹脂であれば、上述したポリエステル層(A)のボイド形成剤と同様のものを用いることができる。好ましい態様およびその効果についても同様である。
また、ポリエステル層(B)におけるボイド形成剤の含有量についても、ポリエステル層(A)と同様に、ボイド体積率が所望の範囲となるように調整すればよい。
本発明のポリエステル層(A)およびポリエステル層(B)には、本発明の目的を阻害しない限りにおいて、他の樹脂、酸化防止剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤等の他の添加剤を本発明の目的が阻害されない範囲内で、必要に応じて配合してもよい。
蛍光増白剤を用いる場合、白色ポリエステルフィルムに対する濃度として、好ましくは0.05〜0.5質量%、さらに好ましくは0.01〜0.3質量%の範囲で配合するとよく、波長350nm付近の光の反射率を向上することができ、輝度をより高くできる。含有量が少なすぎるとかかる効果が奏され難くなり、他方、高すぎるとフィルムが着色してしまう。蛍光増白剤としては、例えばOB−1(イーストマン社製)、Uvitex−MD(チバガイギー社製)、JP−Conc(日本化学工業所製)を用いることができる。
本発明の白色ポリエステルフィルムは、ポリエステル層(A)からなる単層フィルムであってもよいが、ポリエステル層(B)を有し、該ポリエステル層(B)の少なくとも片面にポリエステル層(A)を積層した積層フィルムであってもよく、反射性と製膜性との両立がより容易になる観点から好ましい。このとき、ポリエステル層(A)が主に支持層としての機能を果たし、ポリエステル層(B)が主に反射層としての機能を果たす態様が好ましい。なお、ここで「主に」としているのは、ポリエステル層(A)も反射性を有したり、ポリエステル層(B)も延伸性を有したりするためである。また、さらに他の層を有してもよく、例えば表面にビーズを具備するためのビーズ層が挙げられる。
また、本発明の白色ポリエステルフィルムは、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤等の上述した他の添加剤を含有する塗布層を、少なくとも片面に有することもできる。
本発明の白色ポリエステルフィルムは、ポリエステル層(A)表面における広角X線回折測定で得られるブラッグ角25°〜27°の回折ピークに相当する結晶面法線の、フィルム面法線に対する一致度(以下、結晶配向度と称することがある。)が0.8未満であることが必要である。
該結晶配向度の好ましい範囲は0.5以上0.8未満、より好ましくは0.50以上0.70以下である。結晶配向度が低すぎると反射率が劣る。
かかる結晶配向度のフィルムを得る為には、フィルムの製造方法を後述するような製造方法とすればよい。
以下、本発明の白色ポリエステルフィルムを製造する方法の一例を説明する。以下の例では、白色ポリエステルフィルムとしてポリエステル層(A)(A層とする)と、ポリエステル層(B)(B層とする)とを有する積層白色ポリエステルフィルムの場合について記載するが、ポリエステル層(A)のみからなる単層フィルムも、かかる層を構成するポリエステル樹脂のTg等を考慮して、同様にして得られる。
かくして本発明の白色ポリエステルフィルムを得ることができる。
(熱収縮率)
本発明の白色ポリエステルフィルムの85℃30分間の熱収縮率は、MDおよびTDの直交する2方向ともに好ましくは0.7%以下、より好ましくは0.6%以下、特に好ましくは0.5%以下である。かかる範囲であると耐熱性に優れ、反射フィルムとして好ましい。
本発明の白色ポリエステルフィルムの厚み(総厚み)は、好ましくは50〜350μm、より好ましくは75〜325μm、さらに好ましくは100〜300μmである。薄すぎると反射率を高くすることが困難となる傾向にあり、他方、厚すぎる場合は、これ以上厚くしても反射率の上昇が望めず、生産性の観点から好ましくない。
本発明の白色ポリエステルフィルムは、その少なくとも一方の表面における反射率が、波長550nmの反射率で95.0%以上である。反射率は、97.5%以上であることが好ましく、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは98.5%以上である。反射率が低すぎると十分な画面の輝度を得ることができない。
通常は、反射率が95.0%以上となるようにボイドを有していると、折り曲げ加工がし難い。そこで本発明は、上述したような結晶配向度の態様を具備することによって、このように高反射率でありながら優れた折り曲げ性を具備するものである。
(1)フィルム厚み
フィルムサンプルをエレクトリックマイクロメーター(アンリツ製K−402B)にて、10点厚みを測定し、平均値をフィルムの厚みとした。
サンプルを三角形に切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂にて包埋した。そして、包埋されたサンプルをミクロトーム(ULTRACUT−S)で縦方向に平行な断面を50nm厚の薄膜切片にした後、透過型電子顕微鏡を用いて、加速電圧100kvにて観察撮影し、写真から各層の厚みを測定し、10箇所の平均厚みを求めた。
分光光度計(島津製作所製UV−3101)に積分球を取り付け、BaSO4白板の入射角8°における波長550nmの反射率を100%としたときの、得られた白色ポリエステルフィルムについての入射角8°における波長550nmの反射率を測定した。このとき、入射光に対してフィルムのMDを垂直に設置して得られた反射率をフィルムの任意の5箇所について実施し、その平均値をフィルムの反射率とした。
実施例に記載のとおり、縦方向2.9倍、横方向3.9倍に延伸して製膜し、安定に製膜できるか観察し、下記基準で評価した。
○:1時間以上安定に製膜できる
△:10分間以上1時間未満の間に切断が生ずる。
×:10分間以内に切断が発生し、安定な製膜ができない。
85℃に設定されたオーブン中でフィルムを無緊張状態で30分間保持し、加熱処理前後の標点間距離を測定し、下記式により熱収縮率(85℃熱収縮率)を算出した。
熱収縮率%=((L0−L)/L0)×100
L0:熱処理前の標点間距離
L :熱処理後の標点間距離
示差走査熱量測定装置(TA Instruments 2100 DSC)を用い、昇温速度20℃/分で測定して求めた。
島津製作所製レーザー散乱式粒度分布測定装置SALD−7000を用いて測定した。測定前のエチレングリコールへの分散は、粒子粉体を5質量%スラリー濃度相当になるよう計量して、ミキサー(たとえばNational MXV253型料理用ミキサー)で10分間攪拌し、常温まで冷却したのち、フローセル方式供給装置に供給した。そして、該供給装置中で、脱泡のために30秒間超音波処理(超音波処理の強度は超音波処理装置のつまみを、MAX値を示す位置から60%の位置)してから測定に供した。粒度分布測定結果より50%体積粒径(D50)を求め、これを平均粒径とした。また、同様にして10%体積粒径(D10)および90%体積粒径(D90)を求め、(D90−D10)/D50を算出した。
ボイド体積率を求める層のポリマー、添加粒子、その他各成分の密度と配合割合から計算密度を求めた。同時に、当該層を剥離する等して単離し、質量および体積を計測し、これらから実密度を算出し、計算密度と実密度とから下記式により求めた。
ボイド体積率=100×(1−(実密度/計算密度))
なお、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(2軸延伸後)の密度を1.39g/cm3、シクロオレフィンの密度を1.0g/cm3、炭酸カルシウムの密度を2.7g/cm3、硫酸バリウムの密度を4.5g/cm3、二酸化チタンの密度を4.3g/cm3とした。
また、ボイド体積率を測定する層のみを単離し、単位体積あたりの質量を求めて実密度を求めた。体積は、サンプルを面積3cm2に切り出し、そのサイズでの厚みをエレクトリックマイクロメーター(アンリツ製 K−402B)にて10点測定した平均値を厚みとし、面積×厚みとして算出した。質量は、電子天秤にて秤量した。
なお、粒子(凝集粒子含む)の比重としては、以下のメスシリンダー法にて求めた嵩比重の値を用いた。容積1000mlのメスシリンダーに絶乾状態の粒子を充填して、全体の重量を測定し、該全体の重量からメスシリンダーの重量を差引いて該粒子の重量を求め、該メスシリンダーの容積を測定し、該粒子の重量(g)を該容積(cm3)で割ることによって求められる。
X線回折装置(理学電機製ROTAFLEX RINT2500HL)および極点試料台(理学電機製多目的試料台)を用いた広角X線回折極点測定により、フィルムサンプルについて、評価する結晶面の法線ベクトルのフィルム厚み方向における方向余弦の積分平均値である<cos2φz>を求め、次式より結晶化度(100)を求めた。
f=2/3<cos2φz>−1/2
評価すべき結晶面は、以下の方法で求めた。得られたフィルムについて、X線回折装置を用いた広角X線回折θ-2θスキャン(反射法)(X線源CuKα、発散スリット1/2°、散乱スリット1/2°、受光スリット0.15mm、スキャンスピード1.000°/分)により回折強度の2θ依存性を測定し、ブラッグ角25°〜27°の間の最も大きな回折ピークについて、Pseudo Voightピークモデルを用いた多重ピーク分離法により、結晶面由来のピークと、アモルファス由来のハロー、バックグラウンドを分離した上で、ピーク位置を検出し、上述の極点測定においては該角度に光学系を固定して測定した。なお、本発明の実施例における結晶面は多くはポリエチレンテレフタレートの結晶格子における(100)面に由来するものと考えられ、ブラッグ角は約26°である。
なお、ポリエステル層(A)を表層に有する積層構成の場合は該表層を測定面とした。
フィルムサンプルをMD方向×TD方向=100mm×50mmにカットし、OLFA ROTARY CUTTERミシン目刃(ミシン目のカット部:2.5mm、ミシン目未カット部:1mm)を用い、ミシン目を隔てたサンプルが50mm×50mmになるようにTD方向に沿ってミシン目ラインを入れる。その後、TD方向にひかれたミシン目ラインを起点にMD方向に180°折り曲げた後、元の0°まで曲げを戻すことを1往復とし、5往復行った(MD方向の折り曲げ評価)。その際、1往復毎にミシン目ラインの未カット部の目視観察を行い、下記の基準で評価した。
◎:5往復で破断しない
○:5往復で一部破断
△:2〜4往復で一部破断
×:1往復で破断
次に、MD方向×TD方向=50mm×100mmのフィルムサンプルを準備し、ミシン目を隔てたサンプルが50mm×50mmになるようにMD方向に沿ってミシン目ラインを入れ、TD方向同様の折り曲げ試験(TD方向の折り評価)を行った。評価は各方向につき4回、計8回行い、◎、○、△、×の最も多い結果を採用した。
(ポリエステル樹脂Aの製造)
テレフタル酸ジメチル89質量部およびイソフタル酸ジメチル11質量部(得られるポリエステルの全酸成分100モル%に対して11モル%となる。IA11−PETとする。)とエチレングリコール70質量部の混合物に、テトラ−n−ブチルチタネート(Ti元素として0.0025質量部)を加圧反応が可能なSUS製容器に仕込み、0.07MPaの加圧を行い140℃〜240℃に昇温しながらエステル交換反応させた後常圧に戻し、リン酸トリメチル0.0087質量部を添加し、エステル交換反応を終了させた。
その後、重合触媒として酸化ゲルマニウム0.021質量部を加え、混合物を重合容器に移し、情報にて高真空のもと重縮合反応を行い、最終内温が290℃まで昇温し反応を終了させ、極限粘度0.71dl/g、融点225℃のポリエステル樹脂Aのペレットを得た。
表1に記載の構成である、リン酸トリメチルで表面処理されたカルサイト型合成炭酸カルシウム粒子と、ポリエステル樹脂として上記ポリエステル樹脂Aとを、タンデム型二軸混練押出機に、定量性を持つスクリューフィーダーより連続供給し、第1段目二軸混練機において樹脂温度230℃で混練処理した。次いで、これを溶融状態のまま第2段目単軸混練押出機に供給し、ストランド状に押出し、これをカッティングして、リン酸トリメチルで表面処理された合成炭酸カルシウム50質量%有するポリエステル樹脂組成物のペレットを得た。
上記で得られたポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂組成物Aとを、表1に示す炭酸カルシウム粒子濃度になるように配合し、ポリエステル層(A)を形成するための原料およびポリエステル層(B)を形成するための原料を得て、それぞれ270℃に加熱された2台の押出機に供給し、ポリエステル層(A)のポリマー、ポリエステル層(B)のポリマーをポリエステル層(A)とポリエステル層(B)がA/B/Aの層構成となるような3層フィードブロック装置を使用して合流させ、その積層状態を保持したままダイよりシート状に成形した。さらにこのシートを表面温度25℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フィルムを、表2に記載の温度で予熱し、表2に記載の温度にて加熱し長手方向(MD)に2.9倍に延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き、120℃に加熱された雰囲気中で長手方向に直交する方向(TD)に3.9倍に延伸した。その後テンター内で温度200℃で30秒間の熱固定を行い、150℃にて幅入率2%で横弛緩を行い、次いで130℃にてフィルムの両端を切出し弛緩率0.5%で縦弛緩し、室温まで冷やして二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの物性は表2の通りであった。
表1に記載の構成の合成炭酸カルシウム粒子(リン酸トリメチルで表面処理されたもの)をポリエステル層(A)に用い、ポリエステル層(B)のボイド形成剤を、ポリエステルに非相溶な樹脂(シクロオレフィン、ポリプラスチックス社製「TOPAS 6017S−04」)に変更した以外は、実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを作成し、評価を実施した。評価結果を表2に示す。
イソフタル酸ジメチルの添加量を調整して、ポリエステルの全酸成分100モル%に対するイソフタル酸成分の共重合量を4モル%としたポリエステル樹脂(IA4−PET)を用い、ポリエステル層(A)およびポリエステル層(B)の構成および製膜条件を表1および表2に示すとおりとした以外は、実施例2と同様にして二軸延伸フィルムを得た。
ポリエステル樹脂の組成を表1に記載した通りとし、ポリエステル層(A)およびポリエステル層(B)の構成および製膜条件を表1および表2に示すとおりとした以外は、実施例2と同様にして二軸延伸フィルムを得た。
なお表中、「NDC11−PET」は、2,6−ナフタレンジカルボキシレート(NDC)成分を11モル%共重合させたPET(ポリエチレンテレフタレート)、「CHDM11−PET」は、シクロヘキサジメタノール(CHDM)成分を11モル%共重合させたPETである。ここで共重合量は、ポリエステルの全酸成分100モル%に対する量である。
ポリエステル層(B)のボイド形成剤の種類および含有量を、表1に記載の通りとする以外は、実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを作成し、評価を実施した。評価結果を表2に示す。
ポリエステル層(A)において、合成炭酸カルシウム粒子(リン酸トリメチルで表面処理されたもの)の構成および厚み等の構成を表1に記載の通りとし、ポリエステル層(B)を積層せず、実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを作成し、評価した。評価結果を表2に示す。
炭酸カルシウム粒子として、表1に記載の構成の天然炭酸カルシウム粒子(リン酸トリメチルで表面処理されたもの)を用い、ポリエステル層(A)およびポリエステル層(B)の構成および製膜条件を表1および表2に示すとおりとした以外は、実施例2と同様にして二軸延伸フィルムを得た。
製膜条件を表2に示す通りとする以外は実施例2と同様にして二軸延伸フィルムを作成し、評価した。評価結果を表2に示す。
ポリエステル層(A)において、合成炭酸カルシウム粒子(リン酸トリメチルで表面処理されたもの)の構成および厚み等の構成を表1に記載の通りとし、ポリエステル層(B)を積層せず、実施例10と同様にして二軸延伸フィルムを作成し、評価した。評価結果を表2に示す。比較例3は、延伸性が低く、サンプルを得ることが困難であった。
Claims (3)
- 表面にポリエステル層(A)を有する白色ポリエステルフィルムであって、
上記ポリエステル層(A)は、炭酸カルシウム粒子を含有するポリエステル樹脂組成物からなり、
上記炭酸カルシウム粒子は、上記ポリエステル層(A)中の含有量が1質量%以上、31質量%未満であり、50%体積粒径D50が0.4〜1.0μmであり、
該ポリエステル層(A)がボイドを含有しボイド体積率が10体積%以上80体積%以下であるか、または、該白色ポリエステルフィルムが、ボイドを含有しボイド体積率が30体積%以上80体積%以下であるポリエステル層(B)を有し、
上記白色ポリエステルフィルムは、厚みが50〜350μmであり、上記ポリエステル層(A)表面における広角X線回折測定で得られるブラッグ角25°〜27°の結晶面法線の、フィルム面法線に対する一致度が0.8未満であり、反射率が95%以上である、白色ポリエステルフィルム。 - 上記炭酸カルシウム粒子は、90%体積粒径D90、50%体積粒径D50、10%体積粒径D10としたときに(D90−D10)/D50が2.0未満である、請求項1に記載の白色ポリエステルフィルム。
- 上記白色ポリエステルフィルムが、ボイドを含有しボイド体積率が30体積%以上80体積%以下であるポリエステル層(B)を有し、その少なくとも片面に、ボイドを含有しボイド体積率が30体積%未満であるかボイドを含有しない上記ポリエステル層(A)を積層した構成である、請求項1または2に記載の白色ポリエステルフィルム。
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