JP2017025254A - 木質建材用の塗料組成物および木質建材 - Google Patents
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Abstract
Description
以上の知見に基づいてなされた態様は以下の通りである。
平均粒径が4〜14μmの非晶質のシリカ粒子(A)と、
平均粒径が4〜15μmのポリウレタン粒子により主として構成される粒子状樹脂組成物(B)と、
を含有する木質建材用の塗料組成物が提供される。
塗料組成物は無溶剤塗料組成物である第1の態様の木質建材用の塗料組成物が提供される。
塗料組成物の粘度(25℃)は60〜100KUである第1の態様または第2の態様の木質建材用の塗料組成物が提供される。
シリカ粒子(A)は、表面処理されたシリカ粒子である第1〜第3の態様のいずれかの木質建材用の塗料組成物が提供される。
表面処理は有機化合物により行われる第4の態様の木質建材用の塗料組成物が提供される。
シリカ粒子(A)は、塗料組成物の全量を基準にして、1質量%〜10質量%である第1〜第5の態様のいずれかの木質建材用の塗料組成物が提供される。
粒子状樹脂組成物(B)のガラス転移温度(Tg℃)は−10℃以下である第1〜第6の態様のいずれかの木質建材用の塗料組成物が提供される。
粒子状樹脂組成物(B)は、塗料組成物の全量を基準にして、1質量%〜30質量%である第1〜第7の態様のいずれかの木質建材用の塗料組成物が提供される。
シリカ粒子(A)と粒子状樹脂組成物(B)との混合割合はシリカ粒子(A)の質量を基準にして、シリカ粒子(A):粒子状樹脂組成物(B)=1:10〜10:1である第1〜第8の態様のいずれかの木質建材用の塗料組成物が提供される。
反応性モノマー(C)を含有した第1〜第9の態様のいずれかの木質建材用の塗料組成物が提供される。
第1〜第10の態様のいずれかの塗料組成物を木質基材上に塗布および硬化してなる木質建材が提供される。
本明細書における「平均粒径」とは、JIS Z 8825(2013)で規定されている「粒子径解析レーザ回折・散乱法」を用いて測定された粒度分布のd50値のことを指す。d50値とは任意の分散媒中での体積基準の粒度分布から、小粒径側からの積算粒径分布が50%となる粒径のことである。
また、本明細書における「粒子状」とは、上記の手法によりd50値を測定可能な程度に多数の粒子として存在する状態のことを指す。
また、本明細書における「〜」は所定の値以上かつ所定の値以下のことを指す。
本実施形態に係る木質建材用の塗料組成物は、木質基材(木質建材基板)上に塗布されるものであり、塗布後の塗膜を硬化することにより木質建材を得る。本実施形態に係る塗料組成物は、シリカ粒子(A)と粒子状樹脂組成物(B)とを少なくとも含有する。以下、各成分について説明する。
本実施形態において用いられるシリカ粒子は非晶質である。非晶質のシリカ粒子であれば、塗料組成物を塗料として使用する際の安全性が高い上、シリカ粒子に対して表面処理をし易くなる。
木質基材への塗布前にシリカ粒子が沈降してしまうと、木質基材への塗布の際に、塗膜にシリカ粒子が含まれにくくなってしまう。また、塗布後硬化前に塗膜内においてシリカ粒子が沈降してしまうと、シリカ粒子がもたらす艶消しの効果が低減してしまう。しかしながら、本実施形態のように非晶質のシリカ粒子を使用すれば、上記の内容を改善することが可能となる。
なお、表面処理方法には特に限定はないが、有機ケイ素化合物やワックスなどによる有機化合物を用いた処理、シランカップリング剤などの無機化合物を用いた処理が挙げられる。粘度を上昇させないようにする観点から云えば、有機処理(すなわち有機化合物を用いた処理)を行うことが好ましい。
本実施形態における木質建材用の塗料組成物には、粒子状樹脂組成物(B)が含有されている。そして当該粒子状樹脂組成物(B)は、平均粒径が4〜15μmのポリウレタン粒子により主として構成される。これは、当該塗料組成物に含有される粒子状の樹脂組成物のうち、平均粒径が4〜15μmのポリウレタン粒子が最も多い割合を占めることを意味する。つまり、仮に他の粒子状樹脂が当該塗料組成物に含まれていたとしても、本実施形態においては他の粒子状樹脂に比べてポリウレタン粒子が最多数となる。
そのため、上記の「主として構成」の意味は、「塗料組成物に含有される粒子状樹脂組成物に対し、平均粒径が4〜15μmのポリウレタン粒子が50質量%を超える程度に含有されているもの」とするのが好ましい。また、塗料組成物に含有される粒子状樹脂組成物が全て上記のポリウレタン粒子であることがさらに好ましい。そのため本実施形態においては粒子状樹脂組成物のことをポリウレタン粒子と称することもある。
しかも、当該知見に加え、当該構成を採用することにより、後述の実施例の項目が示すように、特許文献1に記載の塗膜よりも耐傷性が大幅に向上するという格別な効果をも本発明者により見出されたのである。
ちなみに、ここで言うKU値は、25℃の測定対象をストーマー粘度計で測った時の粘度を表わす単位である。
本実施形態における木質建材用の塗料組成物は、反応性モノマー(C)を含有するのが好ましい。この構成により、塗膜の硬度(架橋密度)を上げることが可能となり、ひいては耐汚染性を向上させられる。なお、架橋密度向上の方法としては、例えば、多官能の反応性モノマーを使用すること、多官能の反応性モノマーを使用しない場合でも、例えば窒素パージ下(酸素がない状態)で硬化することにより樹脂の架橋密度を上げることが挙げられる。
イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、トリデシルアクリレート、イソミリスチルアクリレート、アルキルアクリレート(C12〜C13)、セチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシ−ジエチレングリコールアクリレート、メトキシ−トリエチレングリコールアクリレート、メトキシ−ポリエチレングリコールアクリレート(n≒9)、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メトキシトリプロピレングリコールアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシ−ポリエチレングリコールアクリレート、パラクミルフェノールEO変性アクリレート、ノニルフェノールEO付加物アクリレート(n≒1)、ノニルフェノールEO付加物アクリレート(n≒2)、ノニルフェノールEO付加物アクリレート(n≒4)、ノニルフェノールEO付加物アクリレート(n≒8)ノニルフェノールEO付加物アクリレート(n≒16〜17)、ノニルフェノールPO変性アクリレート(n≒2.5)、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイロキシエチル−コハク酸、2−アクリロイロキシエチル−フタル酸、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンテレフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンテレフタレート、2−アクリロイロキシエチル−ヘキサヒドロフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、トリフルオロエチルアクリレート、テロラフルオロプロピルアクリレート、オクタルフルオロペンチルアクリレート、パーフロロオクチルエチルアクリレート、ω−カルボキシ−カプロラクトン(n≒2)モノアクリレート、アクリル酸ダイマー(n≒1.4)、N−ビニル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、アクリロイルモルフォリン、N−イソプロピルアクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、カプロラクトンアクリレート、ネオペンチルグリコールアクリル酸安息香酸エステル、トリブロモフェニルアクリレート、EO変性トリブロモフェニルアクリレートなどが挙げられる。
2−アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、PEG200#ジアクリレート(EO部がn≒4)、テトラエチレングリコールジアクリレート、PEG300#ジアクリレート(EO部がn≒6)、PEG400#ジアクリレート(EO部がn≒9)、PEG600#ジアクリレート(EO部がn≒13〜14)、ネオペンチルグリコールジアクリレート、PO付加ネオペンチルグリコールジアクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、EO変性トリメチロールプロパンジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、ビスフェノールFのEO変性ジアクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジアクリレート、水添加ビスフェノールAのEO付加物ジアクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジアクリレート、ペンタエリストールジアクリレートモノステアレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ジンクジアクリレート、トリメチロールプロパンアクリル酸安息香酸エステル。
トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(PO=2)、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(PO=3)、グリセリンPO付加トリアクリレート、2−アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンテレフタレート、PO付加グリコールトリアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、EO付加ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエリル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、EO付加ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート。
本実施形態における塗料組成物は、光重合開始剤を含有するのが好ましい。光重合開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン型、ベンゾイン型、アセトフェノン型、チオキサントン型、アシルホスフィンオキサイド型の光重合開始剤等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、反応性の点からは、アセトフェノン型の2,2−ジメトキシー2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、長波長まで吸収端が伸びているアシルホスフィンオキサイド型のモノアシルホスフィンオキサイド、ビスアシルホスフィンオキサイドが好ましい。
本実施形態における木質建材用の塗料組成物は、もちろん本実施形態の効果を損なわない範囲内ではあるが、添加剤を含有しても構わない。添加剤の具体例としては、消泡剤、レベリング剤、分散剤、沈降防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等が挙げられる。これらの配合量は、本実施形態の効果を損なわない範囲で適宜変更することができる。
本実施形態における木質建材用の塗料組成物としては、シンナーやアルコール等の溶剤で希釈して塗布する高分子タイプで粘性が高い溶剤塗料組成物、また、揮発性溶剤で希釈する必要がない低分子タイプで粘性が低い無溶剤塗料組成物の双方を作製することが可能である。ただし、健康や環境面、揮発性溶剤が残留する危険を考慮すると、無溶剤塗料組成物であることが望ましい。
上記の木質建材用の塗料組成物による塗膜を木質基材上に形成し、木質建材を製造する方法として、以下の工程を行う。
・上記のシリカ粒子(A)と上記の粒子状樹脂組成物(B)とを含有する当該塗料組成物を木質基材上に塗布する塗布工程
・塗布された塗料組成物を硬化する硬化工程
以下、木質基材および各工程の内容について説明する。
本実施形態における塗料組成物を塗布する対象として選択される木質基材は、突き板貼りや紙貼り、シート貼り基材であってもよく、無垢材であってもよい。また、当該木質基材は、素材感や風合い感(外観、肌触り感)を損なわない範囲内で、必要に応じて従来公知の目止処理、着色処理等を予め表面に施すことができる。また、下塗り塗料、さらには中塗り塗料を塗布することもできる。なお、当該下塗り塗料および当該中塗り塗料は、一般に塗料を塗布する際に適用されている手段、例えば、エアスプレー、エアレススプレー、静電塗装、ロールコーター、およびフローコーター等により塗布することができる。
木質基材への塗料組成物の塗布量は、固形分換算で好ましくは5〜40g/m2である。塗布量が下限値以上ならば、得られる木質建材の耐汚染性を高く維持できる。一方、塗布量が上限値以下ならば、木質基材の素材感や風合い感等の意匠性(美観)および触感を共に高く維持できる。
塗料組成物を木質基材に塗布した後、塗膜を硬化する方法としては、有電極または無電極ランプによる紫外線(UV)照射や電子線(EB)照射を用いることができるが、先にも述べたように、UV照射を用いる方が、作業性が向上する。
なお、UV照射により塗膜を硬化する場合、UVランプの出力は、好ましくは24〜240mW/cm2である。UV照射量は、好ましくは80〜500mJ/cm2である。
硬化後の塗膜の膜厚は、木質基材を防汚できる程度の厚みであれば特に限定されないが、通常5〜150μm、好ましくは20〜100μmである。
なお、このような膜厚の被膜を形成する際は、1回の塗装で、所望の厚みの被膜を形成してもよいし、特に所望とする効果に応じ、2回(必要によりそれ以上)の塗装で、所望の厚みの被膜を形成してもよい。
なお、上記に記載した工程以外であっても、必要に応じて、木質建材を製造する際に公知の工程を行っても構わない。
本実施形態によれば、主として以下の効果を奏する。
それに加え、光沢を改善する際に、艶消しの機能を奏するシリカ粒子の含有量を増大させたとしても、比較的低い粘度の塗料組成物を得ることができる。その結果、低粘度の当該塗料組成物に、反応性モノマーや添加物、しかもそれらの中でも比較的粘度が高いものを添加しても、粘度の増加を抑えつつ、機能面および美観面において優れた木質建材を得ることが可能となる。
しかも、当該知見に加え、当該構成を採用することにより、後述の実施例の項目が示すように、特許文献1に記載の塗膜よりも耐傷性が大幅に向上する。
実施例および比較例で用いた原料は次のとおりである。
(A1):「ACEMATT 3300」エボニックデグサ社製 乾式法で製造し、表面を有機処理された平均粒径10μmのシリカ粒子
(A2):「CP4−8991」グレースジャパン社製 有機処理された平均粒径4.5〜6μmのシリカ粒子
(A3):「SYLOID 7000」グレースジャパン製 有機処理された平均粒径5μmのシリカ粒子
(B1):「アートパールC−600透明」根上工業株式会社製 外観:白色粉末、吸油量:80、平均粒径:10μm、ガラス転移点(Tg):−13℃、分解開始温度:320℃
(B2):「アートパールAK−600TR」根上工業株式会社製 外観:淡色粉末、吸油量:110、平均粒径:10μm、ガラス転移点(Tg):−34℃、分解開始温度:340℃
(B3):「アートパールAK−800TR」根上工業株式会社製 外観:淡色粉末、吸油量:110、平均粒径:6μm、ガラス転移点(Tg):−34℃、分解開始温度:340℃
(C1):1,9−ノナンジオールジアクリレート 粘度mPa.s/25℃:8〜21
(C2):EO変性ビスフェノールAジアクリレート 粘度mPa.s/25℃:1050〜1350
(C3):トリプロピレングリコールジアクリレート 粘度mPa.s/25℃:8〜16
(C4):EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート 粘度mPa.s/25℃:40〜80
(C5):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 粘度mPa.s/25℃:4000〜7000
(D1):「Irgacure 754」チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製 オキシ−フェエル−アセチックアシッド−2−[2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ]−エチルエステル、および、2−オキシ−フェニル−アセチックアシッド−[2−ヒドロキシ−エトキシ]−エチルエステルの混合物
(D2):1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
比較例に用いた原料は以下の通りである。
(E1A):「ミズカシルP−78F」水澤化学工業株式会社製 シリカ粒子 平均粒径:18μm
(E2A):「サイロスフェアC−1500」富士シリシア化学工業株式会社製 球状シリカゲル 平均粒径:10μm
(E3A):「ガンツパールGB−10s」アイカ工業株式会社製 シリカ粒子 平均粒径:18μm
(E4B):「ETERPEARL GP3200」長興材料工業株式会社製 シリコン粒子 平均粒径:2μm
(E5B):「シャリーヌR−200」日信化学株式会社製 アクリル変性シリコン粒子 平均粒径:1〜4μm
(E6B):「フロービーズLE−2080」住友精化株式会社製 球状PE(ポリエチレン粒子 平均粒径:10μm
(E7B):「セラフロア950(CERAFLOUR 950)」BYK−Chemie GmbH製 変性PE(ポリエチレン)粒子 平均粒径:9μm
上記原料を下記表1(実施例)および表2(比較例)に示す配合で混合することにより、実施例および比較例に係る塗料組成物を調製した。なお、各表の数値は添加量を示し、塗料組成物全体を100質量部としたときの質量部である。
実施例1では、(A1)成分を5質量部、(B1)成分を15質量部、(C1)成分を15質量部、(C2)成分を10質量部、(C3)成分を10質量部、(C5)成分を40質量部、(D1)成分を2質量部、(D2)成分を3質量部、添加して撹拌することにより、塗料組成物を調製した。
実施例2では、反応性モノマー(C)のうち(C2)成分を(C4)成分へと変更した以外は、実施例1と同様とした。
実施例3では、(B1)成分を(B3)成分へと変更し、反応性モノマー(C)のうち(C2)成分を(C4)成分へと変更した以外は、実施例1と同様とした。
実施例4では、(A1)成分を(A3)成分へと変更し、反応性モノマー(C)のうち(C2)成分を(C4)成分へと変更した以外は、実施例1と同様とした。
実施例5では、(A1)成分を(A3)成分へと変更し、(B1)成分を(B2)成分へと変更し、反応性モノマー(C)のうち(C2)成分を(C4)成分へと変更した以外は、実施例1と同様とした。
比較例1では、(A1)成分を(A2)成分へと変更し、(B1)成分の代替として(E5B)(アクリル変性シリコン粒子)を用いた以外は、実施例2と同様とした。
比較例2では、(A1)成分を(A2)成分へと変更し、(B1)成分の代替として(E4B)(シリコン粒子)を用いた以外は、実施例2と同様とした。
比較例3では、(B1)成分を用いず、(E3A)(シリカ粒子 平均粒径:18μm)を新たに加えた以外は、実施例2と同様とした。
比較例4では、(A1)成分の代替として(E1A)(シリカ粒子 平均粒径:18μm)を用いた以外は、実施例1と同様とした。
比較例5では、(A1)成分の代替として(E1A)(シリカ粒子 平均粒径:18μm)を用い、(B1)成分の代替として(E6B)(球状PE(ポリエチレン)粒子 平均粒径:10μm)を用いた以外は、実施例1と同様とした。
比較例6では、(A1)成分の代替として(E2A)(球状シリカゲル 平均粒径:10μm)を用い、(B1)成分の代替として(E7B)(変性PE(ポリエチレン)粒子 平均粒径:9μm)を用いた以外は、実施例1と同様とした。
比較例7では、(B1)成分の代替として(E6B)(球状PE(ポリエチレン)粒子 平均粒径:10μm)を用いた以外は、実施例1と同様とした。
次に、得られた木質建材に対し、以下に示す評価を行った。
得られた塗料組成物の粘度値(KU値25℃)を測定した。
塗装を施した試験板に対し、鏡面光沢度の測定方法(JIS P 8142)に基づき、60度の鏡面光沢度を測定した。
(3−1)表面仕上がり(ローピング)テスト
塗装を施した試験板の表面を目視により観察した。各表に記載の符号の意味は以下の通りである。なお、各中塗止め板の結果のうち悪い結果に合わせて以下の符号を記載した。例えば片方の中塗止め板の結果が×であれば、各表における結果の記載は×とした。以降、同様とする。
○:ローピング(細かい凹凸)が認められない。
○△:ローピング(細かい凹凸)が僅かに認められるが許容範囲である。
△:ローピング(細かい凹凸)が認められるが許容範囲である。
×:明らかなローピング(細かい凹凸)が認められる
塗装を施した試験板に対し、外観的に塗装感があるか目視で観察した。各表に記載の符号の意味は以下の通りである。
○:外観的に塗装感が認められない。
○△:外観的に塗装感が僅かに認められるが許容範囲である。
△:外観的に塗装感が認められるが許容範囲である。
×:外観的に明らかな塗装感が認められる。
塗装を施した試験板に対し、斜めに見たときの蛍光灯の映り込み具合を目視により観察した。後掲の各表に記載の符号の意味は以下の通りである。
○:ランプの形が見えない。
○△:ランプの形が僅かに見えるが許容範囲である。
△:ランプの形が見えるが許容範囲である。
×:ランプの形が明らかに見える。
塗装を施した試験板に対し、長手方向(縦方向)に出やすい光沢ムラの有無について目視で評価した。後掲の表に記載の符号の意味は以下の通りである。
○:光沢ムラが見えない。
○△:光沢ムラが僅かに見えるが許容範囲である。
△:光沢ムラが見えるが許容範囲である。
×:光沢ムラが明らかに見える。
(4−1)手触り感(すべり感)テスト
塗装を施した試験板に対し、手により凹凸感とすべり性を評価した。後掲の表に記載の符号の意味は以下の通りである。
○:凹凸が滑らかで、さらっとした触感がある。
△:均一な凹凸感を感じる。
×:ザラザラとした不均一な凹凸感がある。
塗装を施した試験板に対し、手により硬軟感を以下の基準により評価した。後掲の表に記載の符号の意味は以下の通りである。
○:柔らかい触感がある。
△:やや硬い触感がある。
×:硬い触感がある。
(5−1)耐酸試験
塗装を施した試験板に対し、合板の日本農林規格(最終改正:平成26年2月25日農林水産省告示第303号 以下「JAS」と記載する。)の51頁に記載されている「(20)耐酸試験」に従って試験を行った。
塗装を施した試験板に対し、JASの42頁に記載されている「(10)耐アルカリ試験」に従い、炭酸ソーダを用いて試験を行った。
塗装を施した試験板に対し、JASの51頁に記載されている「(21)耐シンナー試験」に従って試験を行った。
○:試験前後において硬化層に変化が認められない。
○△:試験前後において硬化層に僅かに変化が認められるが許容範囲である。
△:試験前後において硬化層に変化が認められるが許容範囲である。
×:試験前後において硬化層に明らかな変化が認められる。
40℃ガラス板上に2ミルアプリケータにて塗料組成物を上記の木質基材に塗布し、充分に硬化させて塗膜を施した。この塗膜を爪で擦り、傷や擦りつやの有無を評価した。後掲の表に記載の符号の意味は以下の通りである。
○:傷がまったくない。
△:僅かに傷、擦りツヤが見える。
×:傷、擦りツヤがはっきり見える。
(7−1)合板の日本農林規格で定める汚染A試験
塗装を施した試験板に対し、合板の日本農林規格 (最終改正:平成26年2月25日農林水産省告示第303号)の汚染試験に記載されている防汚A試験に従い、黒マジック、赤クレヨン、青インキを用いて試験を行った。
塗装を施した試験板に対し、株式会社パイロットコーポレーション製万年筆用インク「ブルーブラック」を滴下した。その際、滴下したインクが揮発しないよう、時計皿を用い、滴下したインクの箇所を被覆した。4時間後に水洗し、痕跡の有無を目視した。
○:痕跡が認められない。
○△:僅かに痕跡が認められるが許容範囲である。
△:痕跡が認められるが許容範囲である。
×:明らかな痕跡が認められる。
塗膜の滑りやすさを調べるべく、塗装を施した試験板に対し、新東科学株式会社製のポータブル摩擦計ミューズTYPE:94i−IIを用いて、静摩擦係数を5回測定し、その平均値を求めた。
実施例1〜5および比較例1〜11について、それぞれの評価結果を下記表3(実施例)および表4(比較例)に示す。
比較例1および比較例2では、触感は適度だったものの、それに比べ、光沢の度合いが比較的高くぎらついていた。その一方で仕上がりは悪い状態であり、各項目間のバランスが良好とは言い難く、美観面においても優れた木質建材とは言い難い状況であった。
また、同じく特許文献1に記載のものに該当する比較例5では塗膜は比較的滑りにくくなっているものの、言い方を変えると、光沢の度合いが比較的高くぎらついているにもかかわらず塗膜は比較的滑りにくい状況であり、見た目に関するバランスが取れていなかった。それに加え、先にも述べたように触感自体がさほど良好ではないにもかかわらず、光沢の度合いが比較的高くぎらついており、少なくとも光沢の度合いと触感との間のバランスが良好とは言い難かった。そして、耐傷性という機能面において、実施例に比べて難があった。
また、他の比較例の試験板の場合、塗膜の滑りやすさを論ずるまでもなく、各項目間のバランスに難があった。
Claims (11)
- 平均粒径が4〜14μmの非晶質のシリカ粒子(A)と、
平均粒径が4〜15μmのポリウレタン粒子により主として構成される粒子状樹脂組成物(B)と、
を含有する木質建材用の塗料組成物。 - 前記塗料組成物は無溶剤塗料組成物である請求項1に記載の木質建材用の塗料組成物。
- 前記塗料組成物の粘度(25℃)は60〜100KUである請求項1または2に記載の木質建材用の塗料組成物。
- 前記シリカ粒子(A)は、表面処理されたシリカ粒子である請求項1〜3のいずれかに記載の木質建材用の塗料組成物。
- 前記表面処理は有機化合物により行われる請求項4に記載の木質建材用の塗料組成物。
- 前記シリカ粒子(A)は、前記塗料組成物の全量を基準にして、1質量%〜10質量%である請求項1〜5のいずれかに記載の木質建材用の塗料組成物。
- 前記粒子状樹脂組成物(B)のガラス転移温度(Tg℃)は−10℃以下である請求項1〜6のいずれかに記載の木質建材用の塗料組成物。
- 前記粒子状樹脂組成物(B)は、前記塗料組成物の全量を基準にして、1質量%〜30質量%である請求項1〜7のいずれかに記載の木質建材用の塗料組成物。
- 前記シリカ粒子(A)と前記粒子状樹脂組成物(B)との混合割合は前記シリカ粒子(A)の質量を基準にして、シリカ粒子(A):粒子状樹脂組成物(B)=1:10〜10:1である請求項1〜8のいずれかに記載の木質建材用の塗料組成物。
- 反応性モノマー(C)を含有した請求項1〜9のいずれかに記載の木質建材用の塗料組成物。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の前記塗料組成物を木質基材上に塗布および硬化してなる木質建材。
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