JP2005225929A - 耐久性に優れたつや消し塗膜の形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】用いる塗料粘度の上昇が小さく、平滑性に優れるつや消し塗膜の形成方法、および、それから得られる、爪や物品等の衝突による傷がつきにくい、耐久性に優れたつや消し塗膜を提供する。
【解決手段】平均粒子径が2〜20μm、50μmふるい上残量が3質量%以下である珪藻土を含んでいることを特徴とするつや消し塗料組成物であり、珪藻土は、融剤焼成珪藻土であることが好ましく、また、珪藻土は、塗料組成物樹脂固形分に対して0.1〜30質量%であることが好ましい。さらに、シリカ粒子を含んでいてよい。
【解決手段】平均粒子径が2〜20μm、50μmふるい上残量が3質量%以下である珪藻土を含んでいることを特徴とするつや消し塗料組成物であり、珪藻土は、融剤焼成珪藻土であることが好ましく、また、珪藻土は、塗料組成物樹脂固形分に対して0.1〜30質量%であることが好ましい。さらに、シリカ粒子を含んでいてよい。
Description
本発明は、つや消し塗膜の形成方法、および、これから得られる耐久性に優れたつや消し塗膜に関する。
建築物の内外装の壁や天井には高級感や落ち着きのある空間を得るために、つや消し塗膜が形成されていることがある。このつや消し塗膜を形成するために用いられる塗料は、バインダー成分と、つや消し剤として、例えば、体質顔料、樹脂粒子あるいはリン酸系処理炭酸カルシウムとを含んだものを挙げることができる。(例えば、特許文献1、特許文献2および特許文献3を参照。)
このような塗料は、つや消し剤の含有量が非常に多くなると得られる塗料粘度が上昇してしまい、塗布時にはそれを補うために溶剤による希釈を必要とすることがしばしばある。ところが希釈することによってダレ性が低下したり、塗料の下地隠蔽性が低下したり、あるいは、溶剤の配合が多いため乾燥に時間を要したりして、結果として塗布作業性が低下することがあった。
このような塗料は、つや消し剤の含有量が非常に多くなると得られる塗料粘度が上昇してしまい、塗布時にはそれを補うために溶剤による希釈を必要とすることがしばしばある。ところが希釈することによってダレ性が低下したり、塗料の下地隠蔽性が低下したり、あるいは、溶剤の配合が多いため乾燥に時間を要したりして、結果として塗布作業性が低下することがあった。
また、得られたつや消し塗膜は、樹脂成分が少ないために脆く、また、表面があまり平滑でないために日常の生活において爪や物品等が当たると塗膜の凹凸に引っ掛かり、その引っ掛かった部分の塗膜が削り取られて傷になってしまうことがあった。
特開2003−49111号公報
特開2003−119426号公報
特開2003−147275号公報
本発明は、用いる塗料粘度の上昇が小さく、平滑性に優れるつや消し塗膜の形成方法、および、それから得られる、爪や物品等の衝突による傷がつきにくい、耐久性に優れたつや消し塗膜を提供することを目的とする。
本発明は、平均粒子径が2〜20μm、かつ、50μmふるい上残量が3質量%以下である珪藻土を含んでいる塗料を基材に塗布することを特徴とするつや消し塗膜の形成方法であり、珪藻土は、融剤焼成珪藻土であることが好ましく、また、珪藻土の含有量は、塗料組成物樹脂固形分に対して0.1〜30質量%であることが好ましい。
ここで、塗料は、さらに、シリカ粒子を含んでいることが好ましい。
また、塗料は水性型塗料であり、揮発性有機化合物の含有量が1質量%以下であることが好ましい。
なお、つや消し塗膜は、例えば、60度光沢値が50以下および85度光沢値が70以下である。
また、本発明は、上記のつや消し塗膜の形成方法によって得られることを特徴とする耐久性に優れたつや消し塗膜である。
さらに、本発明は、上記のつや消し塗膜の形成方法で用いられることを特徴とする塗料である。
本発明のつや消し塗膜の形成方法は、つや消し剤として所定の珪藻土を含む塗料を用いるので、爪や物品等の衝突による傷がつきにくく、平滑性に優れているにも関わらず、つや消し効果の高い塗膜を得ることができる。これは、詳細な機構は不明であるが、従来と同等のつや消し効果を得る場合と比較して、つや消し剤の使用量が少なく、塗膜に含まれる樹脂量が多くなることで、塗膜表面が樹脂によってなめらかになり、かつ、粘弾性の高い塗膜を形成することができるためであると考えられる。
また、本発明の耐久性に優れたつや消し塗膜は、上記のつや消し塗膜の形成方法から得られるものであり、耐久性のみならず平滑性も良好である。
さらに、本発明の塗料は、従来品に見られる塗料粘度の上昇が小さい。これは、つや消し剤として用いるゲル法シリカ粒子が塗料作製中においてもその構造を保持しているため、塗料中の各種成分の吸着量が変化しないことによると考えられる。従って、この塗料は塗布時に多量の希釈を必要としないため塗布作業性が良好である。また、塗料が水性型であり、VOC(揮発性有機化合物)含有量を1質量%以下とすることによって、環境に対しても配慮したものとすることができる。
本発明のつや消し塗膜の形成方法は、平均粒子径が2〜20μm、かつ、50μmふるい上残量が3質量%以下である珪藻土を含む塗料を基材に塗布することを特徴とするものである。
本発明のつや消し塗膜の形成方法において用いられる塗料は、バインダー成分および珪藻土を含んでいる。上記バインダー成分としては、例えば、樹脂を含んでいる。上記樹脂としては特に限定されず、具体的には、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。さらに、上記バインダー成分として、硬化剤を含んでいてよい。上記硬化剤としては特に限定されず、上記樹脂の有する反応性官能基を硬化可能な官能基を有する硬化剤を挙げることができ、具体的には、上記樹脂が水酸基を有している場合はアミノ樹脂や(ブロック化)ポリイソシアネート化合物等を、また、上記樹脂がカルボン酸基を有している場合はエポキシ基を有する樹脂やカルボジイミド基を有する化合物等を、また上記樹脂がカルボニル基を有している場合はヒドラジド化合物等を挙げることができる。
上記珪藻土としては、例えば、800〜1200℃で焼成して有機物を燃焼させたものである。上記珪藻土の平均粒子径は、2〜10μmである。上記範囲外である場合は、得られるつや消し効果が不充分であったり、塗膜の平滑性が低下したりする。好ましくは3〜10μmである。また、上記珪藻土の50μmふるい上残量は3質量%以下である。3質量%を超えると、得られる塗膜の平滑性が低下する。好ましくは1質量%以下である。
上記珪藻土は、色再現性の観点から、融剤焼成して得られたものであることが好ましい。上記融剤焼成とは、上記焼成する際に、ナトリウムイオン等の各種金属イオン性物質等を添加して同時に焼成することを意味するものであり、白色度の高いものである。
上記珪藻土として市販されているものとしては、例えば、シリカシリーズ(中央シリカ社製)、セライトシリーズ(セライト社製)等を挙げることができる。
上記塗料に含まれる上記珪藻土の含有量は、塗料樹脂固形分に対して0.1質量%以上、30質量%以下であることが好ましい。上記範囲外である場合、つや消し効果および塗膜の平滑性が両立しなくなる恐れがある。好ましくは1質量%以上、25質量%以下である。
なお、上記含有量は所望の光沢値を得るために上記珪藻土の平均粒子径に応じて上記範囲内において適宜調整されてよく、珪藻土の平均粒子径が6μmである場合、60度光沢値が50以下であり、かつ、85度光沢値が70以下であるつや消し塗膜を得るためには、例えば、その含有量は、塗料樹脂固形分に対して3質量%以上であればよく、また、60度光沢値が30以下でありかつ85度光沢値が40以下であるつや消し塗膜を得るためには、その含有量は、塗料樹脂固形分に対して8質量%以上であればよい。
上記塗料は、さらに、シリカ粒子を含むことによって、つや消し効果のより高い、平滑性がさらに良好な塗膜を得ることができる。シリカ粒子を含む場合、上記塗料中の上記シリカ粒子の含有量は、塗料樹脂固形分に対して2〜20質量%であることが好ましい。2質量%未満であるとつや消し効果の高い塗膜を得ることができない恐れがあり、また、20質量%を超えると塗料粘度が上昇し、塗布時に塗料に多量の希釈を必要とするため、結果的に塗布作業性が低下する恐れがある。
上記塗料が上記シリカ粒子を含む場合、上記珪藻土の質量/上記シリカ粒子の質量の比は5/5以上、8/2以下で含まれていることが好ましい。上記比が上記範囲外であると塗料粘度の上昇、つや消し効果および得られる塗膜の平滑性とのバランスを保つことが困難となる恐れがある。
本発明のつや消し塗料組成物における上記珪藻土と上記シリカ粒子との合計含有量は、塗料樹脂固形分に対して2質量%以上、35質量%以下である。上記合計含有量が2質量%未満であると、上記シリカ粒子の添加効果が不充分になる恐れがあり、35質量%を超えると、塗膜の造膜性および平滑性が低下する恐れがある。
上記シリカ粒子としては特に限定されず、例えば、一次粒子の成長を抑制した状態で凝集させゲル化させて得られるゲル法シリカ粒子およびゾルゲル法等で得られる球状シリカ粒子等を挙げることができる。少量でのつや消し効果を得るという観点ではゲル法シリカ粒子が好ましい。上記ゲル法シリカ粒子としては、例えば、一次粒子の成長を抑制した状態で凝集させ、3次元網目構造を形成させることによって形成された凝集体であり、その凝集構造は塗料中に分散することによっても破壊されにくいものであり、そのため、高いつや消し効果を得ることができる。このようなゲル法シリカ粒子で市販されているものとしては、例えば、NIPGELシリーズ(東ソー・シリカ社製)、サイロイドCシリーズ(グレースジャパン社製)、サイリシアシリーズ(富士シリシア社製)等を挙げることができる。
なお、上記塗料は、有機溶剤型塗料であっても水性型塗料であっても構わないが、環境に対する配慮の観点から、水性型塗料であることが好ましく、特に、VOC含有量が1質量%以下であるものが好ましい。上記VOC含有量の測定方法としては、例えば、水素炎イオン化検出器(FID検出器)付きガスクロマトグラフィによる分析等、当業者によってよく知られている方法を挙げることができる。
なお、本明細書において、VOC、すなわち揮発性有機化合物とは、常圧において揮発性を有する有機化合物を意味する。
上記塗料が水性型塗料の場合、上記バインダー成分がエマルション樹脂を含んでいることが好ましい。上記エマルション樹脂は、含まれる有機溶剤量を最小限にするという観点から、例えば、モノマー混合液を乳化重合することによって得られたものであることが好ましい。
上記塗料は、上記成分の他に、必要に応じて着色顔料、体質顔料、顔料分散剤、消泡剤、増粘剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を含むことができる。
上記着色顔料としては特に限定されず、例えば、黄色酸化鉄、酸化鉄、カーボンブラックおよび二酸化チタン等の無機顔料;アゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料および金属錯体顔料等の有機顔料等を挙げることができる。また、上記体質顔料は炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、クレーおよびタルク等を挙げることができる。
上記塗料が水性型塗料である場合は、さらに、凍結防止剤や造膜助剤等を含むことができるが、上記凍結防止剤や造膜助剤はVOCに該当するものが多く、環境に対する配慮の観点から、これらを含まないことが好ましい。
本発明のつや消し塗膜の形成方法における基材としては建造物および構造物の外壁、内壁および天井等を形成するものであり、例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム等およびその表面処理物の金属基材、セメント類、石灰類、石膏類等のセメント系基材、ポリ塩化ビニル類、ポリエステル類、ポリカーボネート類、アクリル類等のプラスチック系基材等を挙げることができる。また、これらはシーラー等の下塗りが形成されていてもよい。
また、本発明のつや消し塗膜の形成方法における塗布方法としては特に限定されず、例えば、刷毛塗り、ローラー塗布、スプレー塗布等を挙げることができる。塗布後、常温にて放置または強制的に加熱を行い乾燥させて塗膜を得ることができる。なお、塗布量、塗布膜厚および乾燥時間は、塗料の種類や適用する基材に応じて任意に設定することができる。
なお、上記つや消し塗膜は、60度光沢値が50以下であり、かつ、85度光沢値が70以下であることが好ましい。上記光沢値を得る方法としては特に限定されないが、例えば、ガラス板上に乾燥膜厚が50μmとなるようにアプリケータで塗布した後、JIS K 5600に定められた標準条件において1日放置させて得られる塗膜を測定する方法を挙げることができる。上記測定方法としては特に限定されず、当業者によってよく知られている光沢計による測定方法を挙げることができる。さらに好ましくは、60度光沢値が40以下であり、かつ、85度光沢値が50以下である。
本発明の耐久性に優れたつや消し塗膜は、上記のつや消し塗膜の形成方法によって得られることを特徴とするものである。従って、平滑性に優れ、爪や物品等の衝突による傷がつきにくい。
本発明の塗料は、上記のつや消し塗膜の形成方法において用いられることを特徴とするものである。従って、塗料粘度の上昇が小さく、塗布時に多量の希釈を必要としないため、ダレ性の低下も小さく、結果として塗布作業性も低下しない。また、得られるつや消し塗膜は平滑性に優れ、爪や物品等の衝突による傷がつきにくい。上記塗料は、具体的には、上記つや消し塗膜の形成方法のところで述べたものを挙げることができる。
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。なお、以下において「部」とあるのは「質量部」を意味する。
製造例1 エマルション樹脂の製造
滴下漏斗、温度計、窒素導入管、還流冷却器および撹拌機を備えたセパラブルフラスコにイオン交換水34.5部、ペレックスSS−H(花王社製アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム)0.3部を仕込み、窒素雰囲気のもとで80℃に昇温した。スチレン14部、2−エチルへキシルアクリレート57部、メチルメタクリレート22部、エチレングリコールジメタクリレート4部、ジアセトンアクリルアミド1部およびメタクリル酸2部からなる、酸価が13であるモノマー混合液に、ドデシルメルカプタン0.6部を加えた後、これを、ペレックスSS−H1.2部をイオン交換水50部に溶解させた乳化剤水溶液中に加え、ミキサーを用いて乳化させてプレエマルジョンを調製した。このようにして得られたプレエマルションと過硫酸アンモニウム0.3部をイオン交換水13部に溶解させた開始剤水溶液を別個の滴下漏斗から同時に滴下した。前者は120分間、後者は150分間にわたって均等に滴下を開始した。滴下終了後、同温度でさらに120分間反応を継続した。冷却後、用いたメタクリル酸の10モル%に相当するアンモニア水で中和した。中和物を200メッシュの金網で濾過し、固形分50%のエマルション樹脂を得た。
滴下漏斗、温度計、窒素導入管、還流冷却器および撹拌機を備えたセパラブルフラスコにイオン交換水34.5部、ペレックスSS−H(花王社製アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム)0.3部を仕込み、窒素雰囲気のもとで80℃に昇温した。スチレン14部、2−エチルへキシルアクリレート57部、メチルメタクリレート22部、エチレングリコールジメタクリレート4部、ジアセトンアクリルアミド1部およびメタクリル酸2部からなる、酸価が13であるモノマー混合液に、ドデシルメルカプタン0.6部を加えた後、これを、ペレックスSS−H1.2部をイオン交換水50部に溶解させた乳化剤水溶液中に加え、ミキサーを用いて乳化させてプレエマルジョンを調製した。このようにして得られたプレエマルションと過硫酸アンモニウム0.3部をイオン交換水13部に溶解させた開始剤水溶液を別個の滴下漏斗から同時に滴下した。前者は120分間、後者は150分間にわたって均等に滴下を開始した。滴下終了後、同温度でさらに120分間反応を継続した。冷却後、用いたメタクリル酸の10モル%に相当するアンモニア水で中和した。中和物を200メッシュの金網で濾過し、固形分50%のエマルション樹脂を得た。
製造例2 顔料分散ペーストの製造
タイペークCR−50(石原産業社製二酸化チタン)200部、SP−600N(ダイセル社製ヒドロキシセルロース系増粘剤)1部、SNデフォーマ1070(サンノプコ社製消泡剤)1部、ディスパービック190(ビックケミー社製顔料分散剤)15部およびイオン交換水53部を混合した後、ガラスビーズを用いディスパーにて分散し、顔料分散ペーストを得た。
タイペークCR−50(石原産業社製二酸化チタン)200部、SP−600N(ダイセル社製ヒドロキシセルロース系増粘剤)1部、SNデフォーマ1070(サンノプコ社製消泡剤)1部、ディスパービック190(ビックケミー社製顔料分散剤)15部およびイオン交換水53部を混合した後、ガラスビーズを用いディスパーにて分散し、顔料分散ペーストを得た。
製造例3 エマルション塗料材料の製造
製造例1で得られたエマルション樹脂を290部、製造例2で得られた顔料分散ペースト150部、SNデフォーマ1070を5部、アジピン酸ジヒドラジド5%水溶液14部、アデカノールUH−420(旭電化社製ウレタン系増粘剤)を6部およびイオン交換水35部を混合して、エマルション塗料材料を得た。このエマルション塗料材料の25℃における粘度をストーマ粘度計にて測定したところ、90KUであった。
製造例1で得られたエマルション樹脂を290部、製造例2で得られた顔料分散ペースト150部、SNデフォーマ1070を5部、アジピン酸ジヒドラジド5%水溶液14部、アデカノールUH−420(旭電化社製ウレタン系増粘剤)を6部およびイオン交換水35部を混合して、エマルション塗料材料を得た。このエマルション塗料材料の25℃における粘度をストーマ粘度計にて測定したところ、90KUであった。
製造例4 体質顔料分散ペーストの製造
重炭(丸尾カルシウム社製重炭酸カルシウム)120部、SP−600N(ダイセル社製ヒドロキシセルロース系増粘剤)0.1部、SNデフォーマー769(サンノプコ社製消泡剤)1部、ディスパービック191(ビックケミー社製顔料分散剤)18部およびイオン交換水79部を混合した後、ガラスビーズを用いディスパーにて分散し、体質顔料分散ペーストを得た。
重炭(丸尾カルシウム社製重炭酸カルシウム)120部、SP−600N(ダイセル社製ヒドロキシセルロース系増粘剤)0.1部、SNデフォーマー769(サンノプコ社製消泡剤)1部、ディスパービック191(ビックケミー社製顔料分散剤)18部およびイオン交換水79部を混合した後、ガラスビーズを用いディスパーにて分散し、体質顔料分散ペーストを得た。
実施例1
製造例3で得られたエマルション塗料材料100部およびセライトNo.219(セライト社製融剤焼成珪藻土、平均粒子径6μm、50μmふるい上残量が0.2質量%以下)を3部加えて、ディスパーにて均一になるまで撹拌混合することによって、つや消し塗料を得た。この塗料のVOC含有量をFID検出器付きHP−5890(ヒューレットパッカード社製ガスクロマトグラフィ)にて分析し、検出された揮発成分のピーク面積の合計を予め作成したトルエン標準サンプルの検量線式に代入して求めたところ、0.1質量%であった。
JIS K 5600の標準条件下で、ガラス板上にアプリケータを用いて、乾燥膜厚が50μmとなるように塗布した後、そのまま1日放置して、光沢試験板を得た。
製造例3で得られたエマルション塗料材料100部およびセライトNo.219(セライト社製融剤焼成珪藻土、平均粒子径6μm、50μmふるい上残量が0.2質量%以下)を3部加えて、ディスパーにて均一になるまで撹拌混合することによって、つや消し塗料を得た。この塗料のVOC含有量をFID検出器付きHP−5890(ヒューレットパッカード社製ガスクロマトグラフィ)にて分析し、検出された揮発成分のピーク面積の合計を予め作成したトルエン標準サンプルの検量線式に代入して求めたところ、0.1質量%であった。
JIS K 5600の標準条件下で、ガラス板上にアプリケータを用いて、乾燥膜厚が50μmとなるように塗布した後、そのまま1日放置して、光沢試験板を得た。
また、同条件下でJIS A 5403準拠のフレキシル板にニッペウルトラシーラーIII(日本ペイント社製カルボン酸基含有スチレン−アクリル樹脂系水性シーラー)を塗布量100g/m2でウールローラーを用いて塗布して16時間放置した後、得られたつや消し塗料を塗布量120g/m2でウールローラーを用いてインターバル3時間として2回塗り重ね塗布した。その後20℃の恒温室で3日間養生することによって工程試験板を得た。
実施例2および3
セライトNo.219を各々5部、10部としたこと以外は実施例1と同様にして、各つや消し塗料を得た。これらの塗料のVOC含有量を実施例1と同様にして分析したところ、いずれも0.1質量%であった。
さらに、実施例1と同様にして各試験板を得た。
セライトNo.219を各々5部、10部としたこと以外は実施例1と同様にして、各つや消し塗料を得た。これらの塗料のVOC含有量を実施例1と同様にして分析したところ、いずれも0.1質量%であった。
さらに、実施例1と同様にして各試験板を得た。
実施例4
セライトNo.219に代えて、セライトNo.281(セライト社製融剤焼成珪藻土、平均粒子径6μm、50μmふるい上残量が3質量%以下)を5部としたこと以外は実施例1と同様にして、つや消し塗料を得た。この塗料のVOC含有量を実施例1と同様にして分析したところ0.1質量%であった。
さらに、実施例1と同様にして各試験板を得た。
セライトNo.219に代えて、セライトNo.281(セライト社製融剤焼成珪藻土、平均粒子径6μm、50μmふるい上残量が3質量%以下)を5部としたこと以外は実施例1と同様にして、つや消し塗料を得た。この塗料のVOC含有量を実施例1と同様にして分析したところ0.1質量%であった。
さらに、実施例1と同様にして各試験板を得た。
実施例5
さらに、NIPGEL AZ−460(東ソー・シリカ社製ゲル法シリカ粒子、平均粒子径3.8μm、粒子径40μm以上の粒子の含有量は0.1質量%以下)を2部加えたこと以外は実施例1と同様にして、つや消し塗料を得た。この塗料のVOC含有量を実施例1と同様にして分析したところ0.1質量%であった。
さらに、実施例1と同様にして各試験板を得た。
さらに、NIPGEL AZ−460(東ソー・シリカ社製ゲル法シリカ粒子、平均粒子径3.8μm、粒子径40μm以上の粒子の含有量は0.1質量%以下)を2部加えたこと以外は実施例1と同様にして、つや消し塗料を得た。この塗料のVOC含有量を実施例1と同様にして分析したところ0.1質量%であった。
さらに、実施例1と同様にして各試験板を得た。
比較例1〜3
セライトNo.219に代えて、各々、シリカ#600S(中央シリカ社製融剤焼成珪藻土、平均粒子径17μm、50μmふるい上残量が10質量%以上)5部、NIPSILE E−200A(東ソー・シリカ社製沈降法シリカ粒子、平均粒子径が2.8μm、粒子径が40μm以上の粒子の含有量が0.1質量%以下)を4部、製造例4で得られた体質顔料ペーストを60部としたこと以外は実施例1と同様にして、各々つや消し塗料を得た。これらの塗料のVOC含有量を実施例1と同様にして分析したところ0.1質量%であった。
さらに、実施例1と同様にして各試験板を得た。
セライトNo.219に代えて、各々、シリカ#600S(中央シリカ社製融剤焼成珪藻土、平均粒子径17μm、50μmふるい上残量が10質量%以上)5部、NIPSILE E−200A(東ソー・シリカ社製沈降法シリカ粒子、平均粒子径が2.8μm、粒子径が40μm以上の粒子の含有量が0.1質量%以下)を4部、製造例4で得られた体質顔料ペーストを60部としたこと以外は実施例1と同様にして、各々つや消し塗料を得た。これらの塗料のVOC含有量を実施例1と同様にして分析したところ0.1質量%であった。
さらに、実施例1と同様にして各試験板を得た。
評価試験
実施例1〜5および比較例1〜3によって得られたつや消し塗料および試験板に対して、以下の評価試験を行った。なお、配合および評価結果を表1に示した。
実施例1〜5および比較例1〜3によって得られたつや消し塗料および試験板に対して、以下の評価試験を行った。なお、配合および評価結果を表1に示した。
(1)塗料粘度の上昇値
各つや消し塗料の25℃における粘度をストーマ粘度計にて測定し、(得られた粘度値)−(製造例3で得られたエマルション塗料材料の粘度の値)から粘度の上昇値を求めた。上昇値が20KU以内を合格とした。
各つや消し塗料の25℃における粘度をストーマ粘度計にて測定し、(得られた粘度値)−(製造例3で得られたエマルション塗料材料の粘度の値)から粘度の上昇値を求めた。上昇値が20KU以内を合格とした。
(2)光沢値
得られた光沢試験板に対して、マイクロトリグロス(ビックケミー社製光沢計)を用いて60度光沢値と85度光沢値とを測定した。
得られた光沢試験板に対して、マイクロトリグロス(ビックケミー社製光沢計)を用いて60度光沢値と85度光沢値とを測定した。
(3)平滑性
得られた工程試験板の塗膜の平滑性を、指で触って評価した。評価基準は以下の通りとした。
○:引っ掛かりがなく、なめらかである
×:引っ掛かりがあり、ざらざらしている
得られた工程試験板の塗膜の平滑性を、指で触って評価した。評価基準は以下の通りとした。
○:引っ掛かりがなく、なめらかである
×:引っ掛かりがあり、ざらざらしている
(4)耐傷つき性
得られた工程試験板に対して、その塗膜表面に対して90度となるように爪を立てた後、5回往復させて引っ掻いた。得られた引っ掻き跡を目視にて評価した。評価基準は以下の通りとした。
○:引っ掻き跡が目立たない
×:引っ掻き跡がはっきりと確認できる
得られた工程試験板に対して、その塗膜表面に対して90度となるように爪を立てた後、5回往復させて引っ掻いた。得られた引っ掻き跡を目視にて評価した。評価基準は以下の通りとした。
○:引っ掻き跡が目立たない
×:引っ掻き跡がはっきりと確認できる
表1の結果から明らかなように、本発明の所定の珪藻土を含む塗料を用いたつや消し塗膜の形成方法は、用いる塗料の粘度の上昇が小さく、得られたつや消し塗膜は平滑性に優れていることがわかった。また、引っ掻き跡もつきにくいことがわかった(実施例1〜5)。
しかしながら、所定の珪藻土を含まない塗料を用いたつや消し塗膜の形成方法によって得られた塗膜は、用いる塗料の粘度が大幅に上昇したり(比較例2)、得られる塗膜の平滑性が低下したり(比較例1)、引っ掻き跡もつきやすいことがわかった(比較例3)。
本発明のつや消し塗料は、建築物の内外装に対して好適である。
Claims (9)
- 平均粒子径が2〜20μm、かつ、50μmふるい上残量が3質量%以下である珪藻土を含んでいる塗料を基材に塗布することを特徴とするつや消し塗膜の形成方法。
- 前記珪藻土は、融剤焼成珪藻土である請求項1に記載のつや消し塗膜の形成方法。
- 前記珪藻土の含有量は、塗料組成物樹脂固形分に対して0.1〜30質量%である請求項1または2に記載のつや消し塗膜の形成方法。
- 前記塗料は、さらに、シリカ粒子を含んでいる請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載のつや消し塗膜の形成方法。
- 前記塗料は水性型塗料である請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載のつや消し塗膜の形成方法。
- 前記水性型塗料は、揮発性有機化合物の含有量が1質量%以下である請求項5に記載のつや消し塗膜の形成方法。
- 前記つや消し塗膜は、60度光沢値が50以下および85度光沢値が70以下である請求項1〜6のうちのいずれか1つに記載のつや消し塗膜の形成方法。
- 請求項1〜7のうちのいずれか1つに記載のつや消し塗膜の形成方法によって得られることを特徴とする耐久性に優れたつや消し塗膜。
- 請求項1〜7のうちのいずれか1つに記載のつや消し塗膜の形成方法で用いられることを特徴とする塗料。
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JP2004034377A JP2005225929A (ja) | 2004-02-12 | 2004-02-12 | 耐久性に優れたつや消し塗膜の形成方法 |
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- 2004-02-12 JP JP2004034377A patent/JP2005225929A/ja active Pending
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