JP2017025210A - 溶剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 地球温暖化係数(GWP)およびオゾン破壊係数(ODP)が極めて低いZ−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと、安定化剤とを少なくとも含む溶剤組成物であって、空気共存下においても安定な溶剤組成物、ならびに該溶剤組成物を用いた物品の洗浄方法を提供する。【解決手段】 Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと安定化剤とを少なくとも含む溶剤組成物であって、該安定化剤が、ヒドロキシル基を有するアミン化合物または、ヒドロキシル基を有するアミド化合物である、溶剤組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、地球温暖化係数(GWP)およびオゾン破壊係数(ODP)が極めて低いZ−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(以下、「1233zd(Z)」と称することがある。)を含む安定化された溶剤組成物、および該溶剤組成物を用いた物品の洗浄方法に関する。
クロロフルオロカーボン(CFC)類、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)類等の含フッ素飽和化合物は、物品表面の汚れを除去する洗浄剤、物品表面に塗膜を形成するための塗布用溶剤、水に濡れた物品表面を乾燥するための水切り剤などに使用されてきた。含フッ素飽和化合物の中でも、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン(CFC−113)、3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HCFC−225ca)および1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(HCFC−225cb)は、優れた溶解性、乾燥性、不燃性および安定性などの特徴を有するため、広く使用されてきた。
CFC類は、化学的に安定な構造を有するため、大気寿命が長く、大気中に拡散すると成層圏にまで到達する。成層圏に到達したCFC類は紫外線により分解され、塩素ラジカルを発生し、オゾン層破壊することが問題となっている。HCFC類もCFC類と同様に分子内に塩素原子を有し、オゾン層への影響を及ぼすことから、先進国において2020年に生産が全廃されることになっている。
HCFCに代わる溶剤として、分子内に塩素を含まないハイドロフルオロカーボン(HFC)類やハイドロフルオロエーテル(HFE)類が開発されている。HFC類やHFE類は、オゾン破壊係数がゼロであり、化学的安定性に優れている等の利点を有するが、地球温暖化係数(GWP)が大きく、地球温暖化の問題が残されていた。そのため、地球環境への影響が小さい代替溶剤が望まれている。
HCFC類、HFC類、HFE類の溶剤に代わる溶剤として、分子内に二重結合を有するフルオロオレフィン類が開発されている。フルオロオレフィン類は、OHラジカルとの反応性が高いため大気中での寿命が短く、オゾン破壊係数や地球温暖化係数が極めて小さいという、優れた環境性能を有している。
フルオロオレフィン類は、HFC類等の含フッ素飽和化合物よりも安定性が低いことが知られている。フルオロオレフィン類を溶剤として使用中に分解すると、溶剤が酸性化(pHが低下)し、洗浄物品や洗浄機部材を損傷してしまう問題があった。このため、フルオロオレフィン類を安定化させるための安定化剤が開発されてきた。
特許文献1には、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)等のHFO類に対して、1,2−エポキシブタン、グリシジルメチルエーテル等を安定剤として添加することにより、使用、取扱い、および保管中に安定な組成物を開示している。
フルオロオレフィン類は、空気(酸素)共存下における安定性が低いことが知られている。特許文献2には、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)等のHFO類に対して、炭素数1〜4でアルコール価数1〜4の脂肪族アルコールを安定化剤として添加することにより、空気共存下で安定な冷媒組成物を開示している。
フルオロオレフィン類の中には、室温で空気中における安定性が低いものが知られている。特許文献3には、1,1―ジクロロ―2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CFO−1214ya)が空気中で室温に保管すると数日で分解して酸性化するが、フェノール類、エーテル類、エポキサイド類およびアミン類等を安定化剤として添加することにより、安定化することを開示している。
衣類用のドライクリーニング溶剤として、HCFC類やHFC類等の含フッ素飽和化合物が広く使用されてきた。ドライクリーニング溶剤には、洗浄性能や衣類の風合いを向上させるために、種々の界面活性剤や添加剤が使用されている。例えば、特許文献3には、1,1―ジクロロ―2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CFO−1214ya)と、フェノール類、エポキサイド類およびアミン類からなる群より選ばれる少なくとも1種の安定剤とを含む溶剤組成物をドライクリーニング溶剤として用いて、ウール生地の衣類を洗浄できることを開示している。
特許文献3において、フルオロオレフィンの種類によって安定化の技術が異なるので、先行技術文献に記載された技術を適用したとしても、特定のフルオロオレフィンに対する安定化効果は予想できない旨が記載されている。一方、特許文献1〜3には、Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの安定性、安定化剤を添加した条件での安定化効果に関する具体的な記載はない。
特表2010−531924号 国際公開第2010/098447号 国際公開第2014/073372号
本発明は、地球温暖化係数(GWP)およびオゾン破壊係数(ODP)が極めて低いZ−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと、所定の安定化剤とを少なくとも含む溶剤組成物であって、空気共存下においても安定な溶剤組成物、ならびに該溶剤組成物を用いた物品の洗浄方法を提供することを課題とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、ヒドロキシル基を有するアミンおよび、ヒドロキシル基を有するアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の安定化剤と、Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンとを少なくとも含む溶剤組成物が、空気共存下においても安定であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の各発明を含む。
[発明1]
Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと安定化剤とを少なくとも含む溶剤組成物であって、
該安定化剤が、ヒドロキシル基を有するアミン化合物または、ヒドロキシル基を有するアミド化合物である、溶剤組成物。
[発明2]
安定化剤が、下記一般式[1]で表される化合物または下記一般式[2]で表される化合物である、請求項1に記載の溶剤組成物。
Figure 2017025210
(一般式[1]中、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、(CR6b CR7b O)、(CR6c CR7c O)または(CR6d CR7d O)10を表す。Rは水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基またはCOR11を表す。Rは炭素数1〜6のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の炭素原子の一部または全部が芳香族環に置換されていてもよい。R6a〜R6dおよびR7a〜R7dはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基または炭素数2〜30のアルケニル基を表す。R〜R10はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基または炭素数2〜30のアルケニル基を表す。R11は炭素数1〜30のアルキル基または炭素数2〜30のアルケニル基を表す。nは0〜9の整数を表す。aは1〜50の整数を表し、b〜dはそれぞれ独立に0〜50の整数を表し、a+b+c+d=50を満たす。RおよびR〜R10のうち少なくとも一つは水素原子を表す。Rが複数存在する場合、互いに同じまたは異なる種類であってもよく、R、R6a〜R6d、R7a〜R7dおよびR〜R10についても同様である。
一般式[2]中、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、(CR6b CR7b O)または(CR6c CR7c O)を表す。Rは水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基またはCOR11を表す。Rは炭素数1〜6のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の炭素原子の一部または全部が芳香族環に置換されていてもよい。R6a〜R6cおよびR7a〜R7cはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基または炭素数2〜30のアルケニル基を表す。R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基または炭素数2〜30のアルケニル基を表す。R11およびR12はそれぞれ独立に炭素数1〜30のアルキル基または炭素数2〜30のアルケニル基を表す。nは0〜9の整数を表す。aは1〜50の整数を表し、b〜cはそれぞれ独立に0〜50の整数を表し、a+b+c=50を満たす。RおよびR〜Rのうち少なくとも一つは水素原子を表す。Rが複数存在する場合、互いに同じまたは異なる種類であってもよく、R、R6a〜R6c、R7a〜R7cおよびR〜Rについても同様である。)
[発明3]
安定化剤が、下記式(A)〜(N)で表される化合物より選ばれる少なくとも1種である、発明1に記載の溶剤組成物。
Figure 2017025210
Figure 2017025210
Figure 2017025210
(式(A)中、x、yおよびzはそれぞれ独立に1以上の整数を表し、x+y+z=13を満たす。
式(K)中、R13は炭素数8〜18の脂肪族炭化水素基を表す。
式(L)中、vおよびwはそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、v+w=5を満たす。
式(N)中、R14は炭素数12〜18の脂肪族炭化水素基を表す。)
[発明4]
安定化剤が、アミンまたはアミドと、アルキレンオキシドとを反応させて得られる生成物であって、
反応温度が0〜200℃であり、アミンおよびアミドの総量1モルに対してアルキレンオキシドを1〜50モル用いて反応させる、発明1に記載の溶剤組成物。
[発明5]
アミンが、アンモニア、C1〜20第一級アミン、C1〜20第二級アミン、ポリアルキレンポリアミン、芳香族アミン、複素環式アミン、尿素およびグリシンからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
アミドが、カルボン酸アミド、カルボン酸C2〜20一級アミド、カルボン酸C2〜20二級アミド、およびラクタム類からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
アルキレンオキシドが、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシドおよび2,3−ブチレンオキシドからなる群より選ばれる少なくとも1種である、
発明4に記載の溶剤組成物。
[発明6]
Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンおよび安定化剤の総量に対して500ppm〜1質量%の水をさらに含む、発明1〜5の何れかに記載の溶剤組成物。
[発明7]
安定化剤の含有量が、Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンに対して0.01〜10質量%である、発明1〜6の何れかに記載の溶剤組成物。
[発明8]
発明1〜7の何れかに記載の溶剤組成物を用いる、物品を洗浄する方法。
[発明9]
発明1〜7の何れかに記載の溶剤組成物を用いる、衣類をドライクリーニングする方法。
[発明10]
発明1〜7の何れかに記載の溶剤組成物を用いる、衣類の帯電を防止する方法。
[発明11]
Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを安定化する方法であって、
Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと安定化剤とを配合し、
該安定化剤が、ヒドロキシル基を有するアミン化合物または、ヒドロキシル基を有するアミド化合物である、方法。
[発明12]
安定化剤が、下記一般式[1]で表される化合物または下記一般式[2]で表される化合物である、発明11に記載の方法。
Figure 2017025210
(一般式[1]中、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、(CR6b CR7b O)、(CR6c CR7c O)または(CR6d CR7d O)10を表す。Rは水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基またはCOR11を表す。Rは炭素数1〜6のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の炭素原子の一部または全部が芳香族環に置換されていてもよい。R6a〜R6dおよびR7a〜R7dはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基または炭素数2〜30のアルケニル基を表す。R〜R10はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基または炭素数2〜30のアルケニル基を表す。R11は炭素数1〜30のアルキル基または炭素数2〜30のアルケニル基を表す。nは0〜9の整数を表す。aは1〜50の整数を表し、b〜dはそれぞれ独立に0〜50の整数を表し、a+b+c+d=50を満たす。RおよびR〜R10のうち少なくとも一つは水素原子を表す。Rが複数存在する場合、互いに同じまたは異なる種類であってもよく、R、R6a〜R6d、R7a〜R7dおよびR〜R10についても同様である。
一般式[2]中、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、(CR6b CR7b O)または(CR6c CR7c O)を表す。Rは水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基またはCOR11を表す。Rは炭素数1〜6のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の炭素原子の一部または全部が芳香族環に置換されていてもよい。R6a〜R6cおよびR7a〜R7cはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基または炭素数2〜30のアルケニル基を表す。R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基または炭素数2〜30のアルケニル基を表す。R11およびR12はそれぞれ独立に炭素数1〜30のアルキル基または炭素数2〜30のアルケニル基を表す。nは0〜9の整数を表す。aは1〜50の整数を表し、b〜cはそれぞれ独立に0〜50の整数を表し、a+b+c=50を満たす。RおよびR〜Rのうち少なくとも一つは水素原子を表す。Rが複数存在する場合、互いに同じまたは異なる種類であってもよく、R、R6a〜R6c、R7a〜R7cおよびR〜Rについても同様である。)
[発明13]
安定化剤が、下記式(A)〜(N)で表される化合物より選ばれる少なくとも1種である、発明11に記載の方法。
Figure 2017025210
Figure 2017025210
Figure 2017025210
(式(A)中、x、yおよびzはそれぞれ独立に1以上の整数を表し、x+y+z=13を満たす。
式(K)中、R13は炭素数8〜18の脂肪族炭化水素基を表す。
式(L)中、vおよびwはそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、v+w=5を満たす。
式(N)中、R14は炭素数12〜18の脂肪族炭化水素基を表す。)
[発明14]
安定化剤が、アミンまたはアミドと、アルキレンオキシドとを反応させて得られる生成物であって、
反応温度が0〜200℃であり、アミンおよびアミドの総量1モルに対してアルキレンオキシドを1〜50モル用いて反応させる、発明11に記載の方法。
[発明15]
アミンが、アンモニア、C1〜20第一級アミン、C1〜20第二級アミン、ポリアルキレンポリアミン、芳香族アミン、複素環式アミン、尿素およびグリシンからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
アミドが、カルボン酸アミド、カルボン酸C2〜20一級アミド、カルボン酸C2〜20二級アミドおよびラクタム類からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
アルキレンオキシドが、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシドおよび2,3−ブチレンオキシドからなる群より選ばれる少なくとも1種である、
発明14に記載の方法。
[発明16]
Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンおよび安定化剤の総量に対して500ppm〜1質量%の水をさらに配合する、発明11〜15の何れか一項に記載の方法。
[発明17]
安定化剤の配合量が、Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンに対して0.01〜10質量%である、発明11〜16の何れか一項に記載の方法。
本明細書において、炭素数1〜30のアルキル基のうち、炭素数4〜30のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状または環状の炭素鎖を有していてもよく、該炭素鎖を形成しているいずれかの炭素原子が芳香族環に置換されていてもよい。
炭素数2〜30のアルケニル基のうち、炭素数4〜30のアルケニル基においては、直鎖状、分岐鎖状または環状の炭素鎖を有していてもよく、該炭素鎖を形成しているいずれかの炭素原子が芳香族環に置換されていてもよい。炭素数2〜30のアルケニル基における多重結合の位置および数は特に限定されない。
脂肪族炭化水素基は直鎖状、分岐鎖状または環状の炭素鎖を有していてもよく、該炭素鎖を形成している炭素原子と炭素原子の間に多重結合を有していてもよく、その位置および数は限定されない。
後述の参考例に示されるように、Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンは空気および水と接触しない条件下で、110℃で3日間放置しても、実質的に分解が認められず、非常に安定な化合物である。しかし、後述の実施例および比較例に示されるように、空気条件下で、Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンに水を加えて加熱すると、酸分が発生してpHが低下する。一般に、溶剤のpH低下は、洗浄装置や金属製物品の腐食、ソープの失活、物品(特に綿、パルプ、レーヨン等の衣類)の脆化等を引き起こし得るため、好ましくない現象である。当業者は無機系や有機系の溶剤不溶の汚れを落とすために、積極的に水を加えることもあるが、当業者が所望せずとも物品(衣類)に付着した水性汚れ等に由来して、水分が洗浄槽内に入ることもある。このように、水分を含むことによるZ−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンのpH低下を防止する技術は非常に重要である。
特許文献3における安定剤選定と同様に、種々の安定化剤に期待される安定化効果が、Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンとの配合においても同様に発揮されるかどうかは、机上で予想することは極めて困難である。本発明において開示されるように、Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンに対し、pH低下を防止する安定化効果のある化合物を見出した。
なお、特許文献3には、本発明の溶剤組成物を衣類の洗浄に用いる場合に奏する効果、例えば、仕上がりの風合いへの影響や静電気防止効果等の具体的な記載は見当たらない。
本発明によれば、地球温暖化係数(GWP)およびオゾン破壊係数(ODP)が極めて低いZ−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと、所定の安定化剤とを少なくとも含む溶剤組成物であって、空気共存下においても安定な溶剤組成物、ならびに前記溶剤組成物を用いた物品の洗浄方法を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施の形態および実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。
(溶剤組成物)
本発明の溶剤組成物には、Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと安定化剤とが少なくとも含まれる。本発明の溶剤組成物における安定化剤の含有量は、Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンのpH低下が抑制できれば特に限定されず、Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンに対して0.01〜10質量%であってもよい。中でも、Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンのpH低下防止に加え、優れた洗浄力、クリーニングの良好な仕上がり等の種々の効果を奏することから、0.1〜2質量%が好ましい。
Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンは地球温暖化係数(GWP)およびオゾン破壊係数(ODP)が極めて低いフルオロオレフィンであり、公知の方法で容易に合成することができる。
なお、Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの地球温暖化係数(GWP)は1未満であり、オゾン破壊係数(ODP)は0.00034未満である(Chemosphere 2015, vol.129, pp.135-141)。
安定化剤は、分子内にヒドロキシル基を少なくとも有するアミン化合物、または、分子内にヒドロキシル基を少なくとも有するアミド化合物を用いる。以下、これらのアミン化合物およびアミド化合物を総称して、「本発明に係る含窒素アルコール化合物」と称することがある。本発明に係る含窒素アルコール化合物は種々の異性体であってもよい。本発明に係る含窒素アルコール化合物は単種類を用いてもよく、2種以上を併用することもできる。本発明に係る含窒素アルコール化合物が本発明の溶剤組成物に含まれることで、Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンのpH低下が抑制される。これは、空気条件下で水分が存在する系において、特に効果的である。
本発明に係る含窒素アルコール化合物の分子量は特に限定されない。本発明に係る含窒素アルコール化合物は分子量が100〜2000であってもよく、160〜1600が好ましい。この範囲内であれば、Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンのpH低下を良好に抑制することができ、また、Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンに対する良好な溶解性を示す。
本発明に係る含窒素アルコール化合物は、分子内にヒドロキシル基を有し、かつ、窒素原子数が1〜10のアミン、または、分子内にヒドロキシル基を有し、かつ、窒素原子数が1〜10のアミドが好ましく、分子内にヒドロキシル基を有し、かつ、窒素原子数が1〜4のアミン、または、分子内にヒドロキシル基を有し、かつ、窒素原子数が1〜4のアミドが特に好ましい。
本発明に係る含窒素アルコール化合物は、下記一般式[1]で表される化合物または下記一般式[2]で表される化合物であってもよい。
Figure 2017025210
一般式[1]中、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、(CR6b CR7b O)、(CR6c CR7c O)または(CR6d CR7d O)10を表す。
は水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基またはCOR11を表す。
は炭素数1〜6のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の炭素原子の一部または全部が芳香族環に置換されていてもよい。
6a〜R6dおよびR7a〜R7dはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基または炭素数2〜30のアルケニル基を表す。
〜R10はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基または炭素数2〜30のアルケニル基を表す。
11は炭素数1〜30のアルキル基または炭素数2〜30のアルケニル基を表す。
nは0〜9の整数を表す。
aは1〜50の整数を表し、b〜dはそれぞれ独立に0〜50の整数を表し、a+b+c+d=50を満たす。
およびR〜R10のうち少なくとも一つは水素原子を表す。
が複数存在する場合、互いに同じまたは異なる種類であってもよく、R、R6a〜 R6d、R7a〜R7dおよびR〜R10についても同様である。
Figure 2017025210
一般式[2]中、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、(CR6b CR7b O)または(CR6c CR7c O)を表す。
は水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基またはCOR11を表す。
は炭素数1〜6のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の炭素原子の一部または全部が芳香族環に置換されていてもよい。
6a〜R6cおよびR7a〜R7cはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基または炭素数2〜30のアルケニル基を表す。
〜Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基または炭素数2〜30のアルケニル基を表す。
11およびR12はそれぞれ独立に炭素数1〜30のアルキル基または炭素数2〜30のアルケニル基を表す。
nは0〜9の整数を表す。
aは1〜50の整数を表し、b〜cはそれぞれ独立に0〜50の整数を表し、a+b+c=50を満たす。
およびR〜Rのうち少なくとも一つは水素原子を表す。
が複数存在する場合、互いに同じまたは異なる種類であってもよく、R、R6a〜R6c、R7a〜R7cおよびR〜Rについても同様である。
上記1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基は、それぞれ炭素数12〜20のものが好ましい。
は炭素数1〜3のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜3のアルキレン基が特に好ましい。
本発明に係る含窒素アルコール化合物は、下記式(A)〜(N)で表される化合物であってもよく、これらは特に好ましい化合物として例示される:
(A) N−ステアリル−N,N’,N’−トリス(ポリオキシエチレン)−1,3−ジアミノプロパン、
Figure 2017025210
(式(A)中、x、yおよびzはそれぞれ独立に1以上の整数を表し、x+y+z=13を満たす。)
(B) エチレンジアミン−N,N’−ジエタノール、
Figure 2017025210
(C) エチレンジアミン−N,N,N’,N’−テトラ−2−プロパノール、
Figure 2017025210
(D) トリエチレンテトラミン−N−2−プロパノール、
Figure 2017025210
(E) キシレンジアミン−N−2−プロパノール、
Figure 2017025210
(F) アルキロールアマイド、
Figure 2017025210
(G) オレイン酸トリエタノールアミンエステル、
Figure 2017025210
(H) ラウリルアミン−N,N−ジエタノール、
Figure 2017025210
(I) ステアリルアミン−N,N−ジエタノール、
Figure 2017025210
(J) オレイルアミン−N,N−ジエタノール、
Figure 2017025210
(K) ビス(2−ヒドロキシエチル)大豆アミン、
Figure 2017025210
(式(K)中、R13は炭素数8〜18の脂肪族炭化水素基を表す。)
(L) オレイン酸ジアルコールアミド、
Figure 2017025210
(式(L)中、vおよびwはそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、v+w=5を満たす。)
(M) ステアリルアミノプロピルアミノエタノール、
Figure 2017025210
(N) 1,3−プロピレンジアミン−N−C12−18−アルキル−N’−エタノール。
Figure 2017025210
(式(N)中、R14は炭素数12〜18の脂肪族炭化水素基を表す。)
これらの化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に係る含窒素アルコール化合物は、アミンまたはアミドと、アルキレンオキシドとを反応させて得られる生成物であってもよい。
アミンとしては、アンモニア、C1〜20第一級アミン、C1〜20第二級アミン、ポリアルキレンポリアミン、芳香族アミン、複素環式アミン、尿素およびグリシンからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
1〜20第一級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、アリルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、大豆アミン等の炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を有する第一級アミンが挙げられるが、これらに限定されない。
1〜20第二級アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジアリルアミン、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ビス(2−エチルヘキシル)アミン、ジオレイルアミン、ジステアリルアミン、ジラウリルアミン等の炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を有する第一級アミンが挙げられるが、これらに限定されない。
ポリアルキレンポリアミンとしては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ステアリル−1,3−プロパンジアミン、メタキシレンジアミン、プロピレンジアミン等が挙げられるが、これらに限定されない。
芳香族アミンとしては、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、トルイジン、アニシジン、ベンジジン、カテコールアミン、ベンジルアミン、α―メチルベンジルアミン、フェネチルアミン、キシレンジアミン、ジフェニルアミン等が挙げられるが、これらに限定されない。
複素環式アミンとしては、モルホリン、N−メチルモルホリン、ピリジン、ピペラジン、ピペリジン、ピロリジン、ピロール、ピラゾール、イミダゾリン、イミダゾール等が挙げられるが、これらに限定されない。
アミドとしては、カルボン酸アミド、カルボン酸C2〜20一級アミド、カルボン酸C2〜20二級アミドおよびラクタム類からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
カルボン酸アミドとしては、アセトアミド等のC1〜20CONH(C1〜20は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を表す。)で表される化合物が挙げられるが、これに限定されない。
カルボン酸C2〜20一級アミドとしては、C1〜20CONHC2〜20(C1〜20は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を表し、C2〜20は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を表す。)で表される化合物が挙げられるが、これに限定されない。
カルボン酸C2〜20一級アミドとしては、C1〜20CON(C2〜20(C1〜20は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を表し、C2〜20は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を表し、2つのC2〜20は互いに同じ又は異なる種類であってもよい。)で表される化合物が挙げられるが、これに限定されない。
ラクタム類としては、α−ラクタム、β−ラクタム、γ−ラクタム、δ−ラクタムなどが挙げられるが、これらに限定されない。
アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシドおよび2,3-ブチレンオキシドからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。中でも、エチレンオキシド、プロピレンオキシドが好ましい。
アミンまたはアミドと、アルキレンオキシドとの反応温度は、基質の種類、触媒の有無等に依存するが、0〜200℃であってもよく、120〜180℃が好ましく、150〜180℃が特に好ましい。0℃未満では反応が非常に遅くて生産的ではなく、200℃超では生成物が黄色に着色しやすいので好ましくない。
この反応において、触媒を用いても良い。触媒は、塩基性のものを用いてもよく、無機塩基が好ましく、金属水酸化物、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが特に好ましい。触媒の使用量はアミンに対して0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜1質量%がさらに好ましい。これよりも少ないと実質的に触媒効果が小さく、これよりも多いと資材が無駄になることがある。反応後は酢酸などの酸を用いて中和処理をしてもよいし、そのまま本発明の溶剤組成物に供してもよい。
この反応において、溶媒は特に必要ないが、所望により用いることもできる。この場合には、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族の炭化水素系溶媒が好ましい。ヒドロキシル基、アミノ基等を有する溶媒は基質として反応することがあるので、好ましくない。また、水も同様に好ましくないため、溶媒に含まれ得る水分は脱水処理を施す等により除去しておくことが好ましい。
反応器の材質はこの反応に耐え得るものであれば特に制限はない。ステンレススチール製が好ましい。また、反応器は、吹き込み管や、攪拌機、冷却器などを備えていてもよい。反応器は吹き込み管、攪拌機、冷却器を備えたステンレススチール製のオートクレーブを用いることが好ましい。副反応が進行したり、原料や生成物が酸化されて着色することを抑制するため、反応器内部は、予め窒素やアルゴン等の不活性ガスで十分に置換することが好ましい。
反応圧力は特に制限はないが、常圧〜0.3MPaが好ましく、0.15〜0.2MPaが特に好ましい。反応熱や異常な副反応で急激に圧力が上昇する場合は、安全弁からガスを抜いて、安全に操業すべきである。
この反応は発熱反応なので、アミンまたはアミドや、触媒を先に仕込み、反応状況を観察しながらアルキレンオキシドを吹き込むことが好ましい。吹き込み速度は特に限定されないが、吹き込み速度が速すぎると、著しく反応温度が上昇して、生成物が着色することがあるので、好ましくない。また、吹き込み速度が遅すぎると、生産性が悪くなるのは言うまでも無い。通常は、反応温度が好ましい領域に入るように速度調節することが好ましい。アルキレンオキシドの仕込みが完了した後、所望により温度を維持して攪拌を継続する熟成を行ってもよい。
この反応においてアミンまたはアミドと、アルキレンオキシドの仕込み比率は特に限定されない。アミンおよびアミドの総量1モルに対して、アルキレンオキシドは1〜50モルが好ましく、1〜30モルが特に好ましい。
この反応終了後の生成物に、蒸留、昇華、洗浄等の操作を施して本発明に係る含窒素アルコール化合物を精製しても良いが、精製せずにそのまま本発明の溶剤組成物に供することもできる。また、反応終了後の生成物に含まれ得るアルキレンオキシドは、生成物中から除去しても良いし、そのまま本発明の溶剤組成物に供してもよい。後述するように、アルキレンオキシドは受酸剤、酸化防止剤などとして用いることができるため、本発明の溶剤組成物にアルキレンオキシドを配合させたい場合には、上述の反応において、アルキレンオキシドを過剰量仕込んでもよい。
本発明の溶剤組成物は、例えば、空気中に開放された洗浄機における物品の洗浄工程において、物品に付着したフラックス、加工油、ほこり等を除去するための洗浄剤として使用しても、該溶剤組成物に含まれる各成分が分解し難い、安定な溶剤組成物である。本発明の溶剤組成物は、水を含んでも該溶剤組成物に含まれる各成分の安定性が低下し難く、物品の洗浄用途に好適に使用できる。
(その他の成分)
本発明の溶剤組成物は、受酸剤、酸化防止剤などをさらに含んでいてもよい。この受酸剤、酸化防止剤などとしては、ニトロ化合物、エポキシ化合物、フェノール類、イミダゾール類、ヒドロキシル基不含有のアミン類、炭化水素類等が挙げられる。ニトロ化合物の例として、脂肪族及び/または芳香族誘導体などが挙げられる。脂肪族系ニトロ化合物として、例えば、ニトロメタン、ニトロエタン、1−ニトロプロパン、2−ニトロプロパン等が挙げられる。芳香族ニトロ化合物として、例えば、ニトロベンゼン、o−、m−又はp−ジニトロベンゼン、トリニトロベンゼン、o−、m−又はp−ニトロトルエン、o−、m−又はp−エチルニトロベンゼン、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−又は3,5−ジメチルニトロベンゼン、o−、m−又はp−ニトロアセトフェノン、o−、m−又はp−ニトロフェノール、o−、m−又はp−ニトロアニソール等が挙げられる。
エポキシ化合物としては、例えば、エチレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、グリシドール、エピクロルヒドリン、グリシジルメタアクリレート、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル等のモノエポキシ系化合物、ジエポキシブタン、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントルグリシジルエーテル等のポリエポキシ系化合物等が挙げられる。含窒素アルコール製造時における未反応のエポキシ化合物を分離せずに、添加することも可能である。
フェノール類としては、水酸基以外にアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、ハロゲン等各種の置換基を含むフェノール類も含むものである。例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、チモール、p−t−ブチルフェノール、o−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、p−メトキシフェノール、オイゲノール、イソオイゲノール、ブチルヒドロキシアニソール、フェノール、キシレノール等の1価のフェノールあるいはt−ブチルカテコール、2,5−ジ−t−アミノハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン等の2価のフェノール等が挙げられる。
イミダゾール類としては、炭素数1以上18以下の直鎖もしくは炭素数3以上18以下の分岐鎖を有するアルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基をN位の置換基とする、1−メチルイミダゾール、1−n−ブチルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール、1−ベンジルイミダゾール、1−(β−オキシエチル)イミダゾール、1−メチル−2−プロピルイミダゾール、1−メチル−2−イソブチルイミダゾール、1−n−ブチル−2−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1,4−ジメチルイミダゾール、1,5−ジメチルイミダゾール、1,2,5−トリメチルイミダゾール、1,4,5−トリメチルイミダゾール、1−エチル−2−メチルイミダゾール等が挙げられる。これらの化合物は単独で使用されてもよく、2種以上の化合物が併用されてもよい。
ヒドロキシル基不含有のアミン類としては、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジアリルアミン、トリエチルアミン、N−メチルアニリン、ピリジン、モルホリン、N−メチルモルホリン、トリアリルアミン、アリルアミン、α―メチルベンジルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ジベンチルアミン、トリベンチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ベンジルアミン、ジベンジルアミン、ジフェニルアミン等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上の化合物が併用されてもよい。
炭化水素類としては、α―メチルスチレンやp−イソプロペニルトルエン、イソプレン類、プロパジエン類、テルペン類等が挙げられる。
本発明の溶剤組成物における受酸剤、酸化防止剤などの含有量は特に限定されないが、Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンおよび安定化剤の総量に対して0.01〜20質量%の範囲が好ましい。
溶剤組成物の性能を改善する目的で、本発明の溶剤組成物は、界面活性剤をさらに含んでいてもよい。この界面活性剤としては、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート等のソルビタン脂肪族エステル類;ポリオキシエチレンのソルビットテトラオレエート等のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンモノラウレート等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;ポリオキシエチレンオレイン酸アミド等のポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸アミド類等のノニオン系界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は、単独で使用されてもよく、2種以上組み合わせて使用されてもよい。
溶剤組成物の性能を改善する目的で、ノニオン系界面活性剤に加えて、カチオン系界面活性剤および/またはアニオン系界面活性剤を本発明の溶剤組成物に含有させてもよい。
本発明の溶剤組成物における界面活性剤の含有量は特に限定されないが、Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンおよび安定化剤の総量に対して0.01〜20質量%の範囲が好ましい。
本発明の溶剤組成物は、水をさらに含んでいてもよい。水を含有させると、後述の物品の洗浄用途、衣類のドライクリーニング用途などにおいて、水溶性汚れの除去に効果的である。もちろん、このことは、他の用途、目的において本発明の溶剤組成物に水を含有させることを妨げるものではない。
水の含有量は特に限定されない。Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンおよび安定化剤の総量に対して、下限は特に限定されず、0ppm(質量比)超であってもよく、水溶性汚れの除去効果が発揮されやすいことから500ppm以上が好ましい。上限は特に限定されず、衣類の洗浄における動物性繊維のフェルト化が抑制されることから1質量%以下が好ましい。このことは、1質量%超の水を含有させることを妨げるものではない。
(物品の洗浄方法)
本発明の溶剤組成物を用いた物品(被洗浄物)の洗浄方法は、本発明の溶剤組成物を用いる以外の条件等は特に限定されない。例えば、手拭き洗浄、スプレー洗浄、浸漬洗浄、揺動洗浄、超音波洗浄、蒸気洗浄、およびこれらを組み合わせた方法などを採用してもよい。これらの方法は加熱をしながら行ってもよい。また、いずれかの洗浄方法による洗浄後に、別の洗浄方法を採用してもよく、その順序も特に限定されない。洗浄装置、洗浄条件なども特に限定されず、適宜選択することができる。本発明の溶剤組成物はpH低下が実質的に起こらず長期間にわたって繰り返し使用することができる。
本発明の溶剤組成物を用いる洗浄用途としては、IC、電子部品、精密機械部品、光学部品、航空機用部材などの各種の物品(被洗浄物)に付着したフラックス、加工油、ワックス、離型剤、ほこり、塵、削りかすなどの洗浄除去が挙げられる。また、本発明の溶剤組成物は、金属、樹脂、ガラス、セラミックス、エラストマー、ゴム、繊維、めっき加工品およびそれらの複合材料など、様々な材質の物品(被洗浄物)の洗浄に適用できる。さらに、本発明の溶剤組成物は、天然繊維製や合成繊維製などの布類などから各種衣類の汚れを除去するための洗浄に使用できる。
(衣類のドライクリーニング方法)
本発明の溶剤組成物は、ウール、シルク、綿、麻等に例示される天然繊維や、レーヨン、アセテート、ナイロン、アクリル、ポリエステル等の化学繊維で織られた衣類(背広、シャツ、セーター、ジャケット、スカート、ズボン、ジャンパー、手袋、マフラー、ストール等)の汚れやシミの除去に優れるため、衣類のドライクリーニング用途に好適である。
後述の実施例においても示されるように、本発明の溶剤組成物を用いて、(財)洗濯科学協会製の湿式人工汚染布(5cm×5cm)の洗濯試験をJIS L 0860(ドライクリーニングに対する染色堅ろう度試験方法)に準拠して行うと、本発明の溶剤組成物を用いることで、白色度(回折格子ダブルモノクロメーターで測定したL値(白色:100、黒色:0))は、Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン単独で用いる場合よりも向上する。Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン単独でも良好な洗浄力を有するが、本発明の溶剤組成物はさらに優れた洗浄力を有する。また、本発明の溶剤組成物にノニオン系界面活性剤、可溶化剤および水を配合させることで、さらに白色度を向上させることができるため、これらを配合させることが好ましい。
本発明の溶剤組成物は、前述の汚れやシミの除去といった衣類のドライクリーニング用洗剤(溶剤)に要求される基本性能を備えるだけでなく、ドライクリーニング後の衣類の仕上がりの風合いが良好であるという優れた特徴をも有する。
この風合いは、当業者による見た目や感触等の主観的な評価だけでなく、定量的に評価されることが多く、特に、KESシステムにおける純曲げ試験の評価結果が重視される。KESシステムを用いて、試験布の曲げ硬さ(B)と回復性(2HB)を測定することによって曲げ戻り性(2HB/B)が導かれる(斎藤、堤、原田;日本繊維製品消費科学誌,30巻7号pp.289-292 (1989)参照)。この曲げ戻り性(2HB/B)が大きいほど、当業者らは「セット性」が良いと判断する。セット性が良いとは、クリーニング後の衣類(衣料)が、型崩れすることなく、新品のように仕上がることを指す。曲げ戻り性(2HB/B)の値が5%以上変化すると、当業者は明らかな風合いの変化を感じることができる。したがって、未処理の原布に本発明に係る含窒素アルコール化合物を付着させて調製した試験布の試験結果と、未処理の原布の試験結果とを比較して、2HB/B(曲げ戻り性)が5%以上増加する本発明に係る含窒素アルコール化合物を用いることが好適であり、10%以上増加する洗剤(溶剤)を用いることがより好ましい。また、増加率の大きい本発明に係る含窒素アルコール化合物は単位量あたりの効能が高いといえるので、本発明に係る含窒素アルコール化合物の使用量を減らすことで、当業者が所望する曲げ戻り性を付与することもできる。ここで、曲げ硬さ(B)が著しく変動すると、生地の元来の風合いが変化するので、曲げ硬さの変動を最小限で、回復性(2HB)が大きい本発明に係る含窒素アルコール化合物が好ましい。
加えて、布は、一般的に、経糸方向(縦方向)と緯糸方向(横方向)によって性質が異なるので、両方向において、曲げ硬さ(B)の変化が小さく、回復性(2HB)が大きくなる洗剤(溶剤)を用いることが特に好ましい。
KESシステムにおける純曲げ試験においては、洗剤(溶剤)として本発明の溶剤組成物を用い、原布を、本発明の溶剤組成物中に浸漬し、本発明に係る含窒素アルコール化合物が原布の質量に対して0.2質量%付着するように絞った後、乾燥することによって、試験布を調製する。この試験布に純曲げ試験を行うと、曲げ硬さ(B)がほとんど変化せずに、回復性(2HB)が著しく増加する効果が得られる。特に、曲げ戻り性が、原布に対して、5%以上増加するため、明らかにセット性がよくなったと判断される。また、当業者による感覚試験においても良好な結果が得られる。このことは、後述の実施例においても示される。
以上のことからも、本発明の溶剤組成物は、衣類(衣料)のドライクリーニング用途に好適である。
(衣類の帯電を防止する方法)
本発明の溶剤組成物を用いた衣類の帯電を防止する方法は、本発明の溶剤組成物を用いることであり、それ以外の条件等は特に限定されない。一般的に、衣類のクリーニング後、布の表面電気抵抗が小さくなっていることが好ましい。表面電気抵抗が小さければ小さいほど、静電気の帯電が防止されるので、静電気の帯電による種々の悪影響(放電ショック、衣類のまとわり付き、埃の付着)が抑制される。原布と比較して、処理後、表面電気抵抗低下するものが好ましい。本発明の溶剤組成物を用いて、上記と同様の試験布を調製して表面電気抵抗を測定すると、原布の測定結果よりも表面電気抵抗が低下するため、帯電しにくいことが示される。このことは後述の実施例においても示される。このように、本発明の溶剤組成物を用いることで、衣類の帯電を防止することができる。
(Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを安定化する方法)
本発明のZ−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを安定化する方法は、本発明の溶剤組成物を用いることであり、それ以外の条件等は特に限定されない。上述のように、空気条件下で、Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンは水の存在下で加熱すると、酸分が発生してpHが低下することがあるが、安定化剤として本発明に係る含窒素アルコール化合物を用いることで、Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンのpH低下が抑制される。
[調製例]
以下に示すように、安定化剤A〜Nをそれぞれ調製した。
(安定化剤A)
N−ステアリル−1,3プロパンジアミン(製品名:リポミンDAHTフレーク、ライオン株式会社製、分子量:326)424gを2Lの撹拌付加圧反応釜に仕込み、触媒として2.0gの水酸化カリウムを入れ、反応容器内の空気を窒素で置換した後、密閉し、反応容器内温度を170〜180℃に保ちながら、744gのエチレンオキサイドを2時間かけて徐々に注入し反応させて、式(A)で表される化合物を得た。反応終了後、反応生成物を室温に冷却し、分離精製することなく、「安定化剤A」とした。
Figure 2017025210
(式(A)中、x、yおよびzはそれぞれ独立に1以上の整数を表し、x+y+z=13を満たす。)
(安定化剤B)
2Lの撹拌付加圧反応釜にエチレンジアミン(分子量:60)を500g入れ、反応容器内の空気を窒素で置換した後、密閉し、反応容器内温度を60〜80℃に保ちながら、エチレンオキサイド733gを2時間かけて注入し反応させて、式(B)で表される化合物を得た。反応終了後、反応生成物を室温に冷却し、分離精製することなく、「安定化剤B」とした。
Figure 2017025210
(安定化剤C)
2Lの撹拌付加圧反応釜に240gのエチレンジアミン(分子量:60)を入れ、反応容器内の空気を窒素で置換した後、密閉し、反応容器内温度を60〜80℃に保ちながら、プロピレンオキサイド928gを4時間かけて注入し反応させて、式(C)で表される化合物を得た。反応終了後、反応生成物を室温に冷却し、分離精製することなく、「安定化剤C」とした。
Figure 2017025210
(安定化剤D)
2Lの撹拌付加圧反応釜にトリエチレンテトラミン(分子量:146)730gを入れ、反応容器内の空気を窒素で置換した後、密閉し、反応容器内温度を60〜80℃に保ちながら、プロピレンオキサイド290gを1時間かけて注入し反応させて、式(D)で表される化合物を得た。反応終了後、反応生成物を室温に冷却し、分離精製することなく、「安定化剤D」とした。
Figure 2017025210
(安定化剤E)
2Lの撹拌付加圧反応釜にメタキシレンジアミン(分子量:136)を680g入れた後、触媒として4gの水酸化ナトリウムを加え、反応容器内の空気を窒素で置換した後、密閉し、反応容器内温度を170〜180℃に保ちながら、プロピレンオキサイド290gを1時間かけて注入し反応させて、式(E)で表される化合物を得た。反応終了後、反応生成物を室温に冷却し、分離精製することなく、「安定化剤E」とした。
Figure 2017025210
(安定化剤F)
2Lの撹拌機付脱水反応釜にラウリン酸(分子量:200)400gとジエタノールアミン(分子量:105)420gを入れ、窒素気流注入下、温度170℃で3時間脱水反応を行って式(F)で表される化合物を得た。反応終了後、反応生成物を室温に冷却し、分離精製することなく、「安定化剤F」とした。
Figure 2017025210
(安定化剤G)
2Lの撹拌機付脱水反応釜にオレイン酸(分子量:283)423gとトリエタノールアミン(分子量:149)224gを入れ、窒素気流中下、加熱して温度170℃で2時間脱水反応を行って式(G)で表される化合物を得た。反応終了後、反応生成物を室温に冷却し、分離精製することなく、「安定化剤G」とした。
Figure 2017025210
(安定化剤H)
2Lの撹拌付加圧反応釜に724gのラウリルアミン(製品名:リポミン12D、ライオン株式会社製、分子量:185)を入れた後、反応容器中の空気を窒素で置換し、密閉後加熱し、反応容器内温度を160〜170℃に保ちながら、345gのエチレンオキサイドを注入し、冷却しつつ温度160〜170℃で2時間反応させて式(H)で表される化合物を得た。反応終了後、反応生成物を室温に冷却し、分離精製することなく、「安定化剤H」とした。
Figure 2017025210
(安定化剤I)
2Lの撹拌付加圧反応釜に807gのステアリルアミン(製品名:リポミン18D、ライオン株式会社製、分子量:270)を入れ、反応容器中の空気を窒素で置換し、密閉後加熱し、反応容器内温度を160〜170℃に保ちながら、エチレンオキサイド264gを2時間かけて注入し反応させて、式(I)で表される化合物を得た。反応終了後、反応生成物を室温に冷却し、分離精製することなく、「安定化剤I」とした。
Figure 2017025210
(安定化剤J)
2Lの撹拌付加圧反応釜に801gのオレイルアミン(製品名:リポミンO、ライオン株式会社製、分子量:268)を入れ、反応容器内の空気を窒素で置換し、密閉後加熱し、反応容器内温度を160〜170℃に保ちながら、エチレンオキサイド264gを2時間かけて注入し反応させて、式(J)で表される化合物を得た。反応終了後、反応生成物を室温に冷却し、分離精製することなく、「安定化剤J」とした。
Figure 2017025210
(安定化剤K)
2Lの攪拌機付オートクレーブ中に大豆アミン(製品名:ニッサンアミンSB、日油株式会社、分子量:約270)828gを入れ、オートクレーブ内の空気を窒素で置換し、密閉後加熱し、反応容器内温度を160〜170℃に保ちながら、エチレンオキサイド352gを2時間かけて注入し反応させて、ビス(2−ヒドロキシエチル)大豆アミンを得た。反応終了後、反応生成物を室温に冷却し、分離精製することなく、「安定化剤K」とした。
(安定化剤L)
2Lの攪拌機付オートクレーブ中にオレイン酸アミド(製品名:アーモスリップHTパウダー、ライオン株式会社製、分子量:281)562gと、触媒として2.3gの水酸化ナトリウムを入れ、オートクレーブ内の空気を窒素で置換し、密閉後加熱し、反応容器内温度を160〜170℃に保ちながら、エチレンオキサイド440gを2時間かけて注入し反応させて、式(L)で表される化合物を得た。反応終了後、反応生成物を室温に冷却し、分離精製することなく、「安定化剤L」とした。
Figure 2017025210
(式(L)中、vおよびwはそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、v+w=5を満たす。)
(安定化剤M)
2Lの攪拌機付オートクレーブ中にN−ステアリル−1,3−プロパンジアミン(製品名:リポミンDAHTフレーク、ライオン株式会社製、分子量:326)978gを入れ、オートクレーブ内の空気を窒素で置換し、密閉後加熱し、反応容器内温度を160〜170℃に保ちながら、エチレンオキサイド132gを2時間かけて注入し反応させて、式(M)で表される化合物を得た。反応終了後、反応生成物を室温に冷却し、分離精製することなく、「安定化剤M」とした。
Figure 2017025210
(安定化剤N)
2Lの撹拌付オートクレーブ中にN−C12−18−アルキル−1,3−プロパンジアミン(製品名:リポミンDAT、ライオン株式会社製、分子量:約275)887gを入れ、オートクレーブ内の空気を窒素で置換し、密閉後加熱し、反応容器内温度を160〜170℃に保ちながら、エチレンオキサイド359gを2時間かけて注入し反応させて、式(N)で表される化合物を得た。反応終了後、反応生成物を室温に冷却し、分離精製することなく、「安定化剤N」とした。
Figure 2017025210
(式(N)中、R14は炭素数12〜18のアルキル基を表す。)
(熱安定性試験)
[実施例1]
容量50mLのステンレス容器にZ−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(30g)、超純水(1g)、安定化剤A(Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと超純水の混合物に対して1.0vol%)を導入した。試料を調製する際、ステンレス容器内の空気を除去することなく、試験中に試料と空気が接触できる状態とした。試料を導入したステンレス容器を120℃の恒温空気槽の中に静置し、48時間加熱した。加熱後、ステンレス容器を室温まで冷却し、さらに氷水浴で冷却してから開封した。有機物をガスクロマトグラフィー(FID)で分析して純度変化を測定した後、30mLの超純水で有機物を洗浄して、水相のpHをpHメーターで測定した結果を表1に示す。
[実施例2]
安定化剤Aの添加量をZ−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと超純水の混合物に対して0.5vol%とした以外は、実施例1と同様の方法で試験した。結果を表1に示す。
[実施例3〜8]
安定化剤Aの代わりに安定化剤C、FまたはGを用いた以外は、実施例1または2と同様の方法で試験した。ただし、表1に示すように、実施例3、5および7では、安定化剤の添加量がZ−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと超純水の混合物に対して1.0vol%であり、一方、実施例4、6および8では、安定化剤の添加量がZ−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと超純水の混合物に対して0.5vol%である。結果を表1に示す。
[比較例1]
安定化剤Aを添加しない以外は、実施例1と同様の方法で試験した。結果を表1に示す。
Figure 2017025210
表1に示すように、空気共存下において水を添加した比較例1においては、Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンのpHが試験前の5.811から4.457まで低下した。一方、安定化剤を添加した実施例1〜8においては、Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンのpH低下が抑制された。
[参考例1]
容量100mLのステンレス容器(SUS316製)に金属製試験片(SUS316製)を入れた。真空ポンプを用いて、ステンレス容器内に残存する空気を除去した後、Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(50g)をステンレス容器へ導入した。参考例においては、実施例1〜8および比較例1と異なり、ステンレス容器に超純水を導入しなかった。試料を導入したステンレス容器をオイルバスに漬けて、110℃に加熱し、3日間保持した。加熱後、ステンレス容器を室温まで冷却し、さらに氷水浴で冷却してから開封した。有機物を超純水と混合し、酸性成分を抽出し、イオンクロマトグラフを用いて酸性成分(フッ化物イオンおよび塩化物イオン)を測定した。加熱後のZ−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンに含まれるフッ化物イオンおよび塩化物イオンはいずれも0.1ppm(質量比)以下であり、分解は認められなかった。
参考例1の結果は、空気および水が共存しない条件において、Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの安定性が良好であることを示している。比較例1および参考例1の試験結果から、Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む溶剤組成物は空気共存下において水と接触すると安定性が低下することが示されている。表1に示した実施例1〜8の結果は、安定化剤を添加したことによって、Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む溶剤組成物の安定性が顕著に向上したことを示している。
(KES−FB2純曲げ試験)
[実施例9]
調製例で合成した安定化剤BとZ−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを混合し、安定化剤Bの含有量がZ−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンに対して0.2質量%となる溶剤組成物を調製した。調製した溶剤組成物の中に、ウールサージ布(寸法:22cm×22cm、質量:12.5g)を浸し、溶剤組成物から取り出し、ローラー絞り機を用いて絞り率100%(質量25g±0.5%)となるように加圧を調節して絞った。溶剤組成物に対してウールサージを浸漬および絞る、という操作は合計で2回実施した(2DIP、2NIP)。前記操作後のウールサージを金属網の上において平干しで一晩風乾した。乾燥後、恒温恒湿室(温度:20℃、湿度:65%)の中で24時間静置したウールサージ布を20cm×20cmにカットすることにより、試験布を調製した。
上記試験布を用いて、上記恒温恒湿室内でKES−FB2純曲げ試験を行った。試験機としてカトーテック株式会社製KES−FBシステム(風合い計測システム)を用いて、試験布の縦(経糸)と横(緯糸)の両方向について、試験布のB(曲げ硬さ)、2HB(回復性)特性を測定し、その測定値から2HB/B(曲げ戻り性)を算出した。
[実施例10〜17、比較例2]
安定化剤Bを安定化剤C、D、E、F、H、I、LおよびMに代えた以外は、実施例9と同様の方法で試験を実施した。また、安定化剤を加えないZ−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを用いて、実施例9と同様の方法で試験を実施し、比較例2とした。
実施例9〜17および比較例2の試験結果を表2(縦方向)および表3(横方向)に示す。表2および表3において、安定化剤を添加していない比較例2の数値を基準値として、安定化剤を添加した実施例9〜17の数値を相対値で示した。
Figure 2017025210
Figure 2017025210
表2および表3に示すように、実施例9〜17のいずれの安定化剤を添加した条件においても、ウールサージの曲げ戻り性が向上した。この結果は、安定化剤を添加することにより、ウールサージのセット性を高めたことを示している。
(KES−FB4表面試験)
[実施例18〜26、比較例3]
実施例9〜17および比較例2と同様の方法で、実施例18〜26および比較例3の試験布を調製した。
カトーテック株式会社製KES−FBシステム(風合い計測システム)を用いて、試験布の表面特性として、MIU(平均摩擦係数)、MMD(摩擦係数の変動平均)およびSMD(表面粗さ)を測定した。
試験結果を表4(縦方向)および表5(横方向)に示す。表4および表5において、安定化剤を添加していない比較例3の数値を基準値として、安定化剤を添加した実施例18〜26の数値を相対値で示した。
Figure 2017025210
Figure 2017025210
表4および表5に示すように、実施例18〜26のいずれの安定化剤を添加した条件においても、安定化剤無添加条件と比較して摩擦係数は同等以上の結果であった。
(表面電気抵抗の測定)
[実施例27〜35、比較例4]
実施例9〜17および比較例2と同様の方法で、実施例27〜35および比較例4の試験布を調製した。
表面抵抗測定装置(カネボウ式摩擦帯電圧測定装置EST−8)を用いて、加圧電圧1000Vのときの試験布の表面電気抵抗(Ω)を測定した。結果を表6に示す。表6において、安定化剤を添加していない比較例4の数値を基準値として、安定化剤を添加した実施例27〜35の数値を相対値で示した。
Figure 2017025210
表6に示すように、実施例27〜35のいずれの安定化剤を添加した条件においても、安定化剤無添加条件と比較して表面電気抵抗が低下した。安定化剤F、HおよびLは、表面電気抵抗を顕著に低下させた。この結果は、安定化剤を添加することにより、ウールサージ表面の電気抵抗を顕著に低下させ、帯電防止性能を大きく向上させたことを示している。
実施例9〜35において、いずれの安定化剤を添加した条件で調製した試験布の風合いを、目視および手触りで評価した結果、いずれも良好な結果であった。
(衣類のドライクリーニング試験)
[実施例36〜39、参考例2]
実施例36〜39および参考例2において、JIS L 0860(ドライクリーニングに対する染色堅ろう度試験方法)に準拠して、溶剤組成物の洗浄性能を評価した。溶剤組成物に、湿式人工汚染布((財)洗濯科学協会製、L値:62.136)を浸漬し、20℃、ステンレス球存在下で30分間洗浄した。洗浄後の布を乾燥させ、回折格子ダブルモノクロメーター(日立製作所製、型番:C−2000S)を用いて、L値(白色度;0(黒色)〜100(白色))を求めた。ここで、溶剤組成物としては、Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(200mL)と安定化剤(5g)とを混合して調製したものを用い、該安定化剤としては、実施例36では安定化剤Cを、実施例37では安定化剤Hを、実施例38では安定化剤Iを、実施例39では安定化剤Lをそれぞれ用いた。また、参考例2では、溶剤組成物としてZ−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンのみを用いた。これらの結果を表7に示す。
Figure 2017025210
[実施例40〜43、参考例3]
溶剤組成物として、Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(200mL)、安定化剤(5g)、水(0.2mL)、可溶化剤(プロピレングリコールモノメチル、2.5g)およびノニオン系界面活性剤(ポリオキシエチレントリデシルエーテル、2.5g)を混合して調製したものを用いる以外は、実施例36〜39および参考例1と同様にして洗浄性能を評価した。ここで、安定化剤としては、実施例40では安定化剤Cを、実施例41では安定化剤Hを、実施例42では安定化剤Iを、実施例43では安定化剤Lをそれぞれ用いた。また、参考例3では、安定化剤を用いず、上述のZ−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、水、可溶化剤およびノニオン系界面活性剤を混合して調製したものを溶剤組成物として用いた。結果を表8に示す。
Figure 2017025210
表7および表8に示すように、参考例2のZ−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン単独で用いた場合でも、L値の向上が確認されたが、安定化剤を配合した実施例36〜43のいずれの溶剤組成物においても、参考例2の場合よりもL値が向上することが確認された。

Claims (17)

  1. Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと安定化剤とを少なくとも含む溶剤組成物であって、
    該安定化剤が、ヒドロキシル基を有するアミン化合物または、ヒドロキシル基を有するアミド化合物である、溶剤組成物。
  2. 安定化剤が、下記一般式[1]で表される化合物または下記一般式[2]で表される化合物である、請求項1に記載の溶剤組成物。
    Figure 2017025210
    (一般式[1]中、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、(CR6b CR7b O)、(CR6c CR7c O)または(CR6d CR7d O)10を表す。Rは水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基またはCOR11を表す。Rは炭素数1〜6のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の炭素原子の一部または全部が芳香族環に置換されていてもよい。R6a〜R6dおよびR7a〜R7dはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基または炭素数2〜30のアルケニル基を表す。R〜R10はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基または炭素数2〜30のアルケニル基を表す。R11は炭素数1〜30のアルキル基または炭素数2〜30のアルケニル基を表す。nは0〜9の整数を表す。aは1〜50の整数を表し、b〜dはそれぞれ独立に0〜50の整数を表し、a+b+c+d=50を満たす。RおよびR〜R10のうち少なくとも一つは水素原子を表す。Rが複数存在する場合、互いに同じまたは異なる種類であってもよく、R、R6a〜R6d、R7a〜R7dおよびR〜R10についても同様である。
    一般式[2]中、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、(CR6b CR7b O)または(CR6c CR7c O)を表す。Rは水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基またはCOR11を表す。Rは炭素数1〜6のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の炭素原子の一部または全部が芳香族環に置換されていてもよい。R6a〜R6cおよびR7a〜R7cはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基または炭素数2〜30のアルケニル基を表す。R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基または炭素数2〜30のアルケニル基を表す。R11およびR12はそれぞれ独立に炭素数1〜30のアルキル基または炭素数2〜30のアルケニル基を表す。nは0〜9の整数を表す。aは1〜50の整数を表し、b〜cはそれぞれ独立に0〜50の整数を表し、a+b+c=50を満たす。RおよびR〜Rのうち少なくとも一つは水素原子を表す。Rが複数存在する場合、互いに同じまたは異なる種類であってもよく、R、R6a〜R6c、R7a〜R7cおよびR〜Rについても同様である。)
  3. 安定化剤が、下記式(A)〜(N)で表される化合物より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の溶剤組成物。
    Figure 2017025210
    Figure 2017025210
    Figure 2017025210
    (式(A)中、x、yおよびzはそれぞれ独立に1以上の整数を表し、x+y+z=13を満たす。
    式(K)中、R13は炭素数8〜18の脂肪族炭化水素基を表す。
    式(L)中、vおよびwはそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、v+w=5を満たす。
    式(N)中、R14は炭素数12〜18の脂肪族炭化水素基を表す。)
  4. 安定化剤が、アミンまたはアミドと、アルキレンオキシドとを反応させて得られる生成物であって、
    反応温度が0〜200℃であり、アミンおよびアミドの総量1モルに対してアルキレンオキシドを1〜50モル用いて反応させる、請求項1に記載の溶剤組成物。
  5. アミンが、アンモニア、C1〜20第一級アミン、C1〜20第二級アミン、ポリアルキレンポリアミン、芳香族アミン、複素環式アミン、尿素およびグリシンからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
    アミドが、カルボン酸アミド、カルボン酸C2〜20一級アミド、カルボン酸C2〜20二級アミドおよびラクタム類からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
    アルキレンオキシドが、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシドおよび2,3−ブチレンオキシドからなる群より選ばれる少なくとも1種である、
    請求項4に記載の溶剤組成物。
  6. Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンおよび安定化剤の総量に対して500ppm〜1質量%の水をさらに含む、請求項1〜5の何れか一項に記載の溶剤組成物。
  7. 安定化剤の含有量が、Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンに対して0.01〜10質量%である、請求項1〜6の何れか一項に記載の溶剤組成物。
  8. 請求項1〜7の何れか一項に記載の溶剤組成物を用いる、物品を洗浄する方法。
  9. 請求項1〜7の何れか一項に記載の溶剤組成物を用いる、衣類をドライクリーニングする方法。
  10. 請求項1〜7の何れか一項に記載の溶剤組成物を用いる、衣類の帯電を防止する方法。
  11. Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを安定化する方法であって、
    Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと安定化剤とを配合し、
    該安定化剤が、ヒドロキシル基を有するアミン化合物または、ヒドロキシル基を有するアミド化合物である、方法。
  12. 安定化剤が、下記一般式[1]で表される化合物または下記一般式[2]で表される化合物である、請求項11に記載の方法。
    Figure 2017025210
    (一般式[1]中、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、(CR6b CR7b O)、(CR6c CR7c O)または(CR6d CR7d O)10を表す。Rは水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基またはCOR11を表す。Rは炭素数1〜6のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の炭素原子の一部または全部が芳香族環に置換されていてもよい。R6a〜R6dおよびR7a〜R7dはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基または炭素数2〜30のアルケニル基を表す。R〜R10はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基または炭素数2〜30のアルケニル基を表す。R11は炭素数1〜30のアルキル基または炭素数2〜30のアルケニル基を表す。nは0〜9の整数を表す。aは1〜50の整数を表し、b〜dはそれぞれ独立に0〜50の整数を表し、a+b+c+d=50を満たす。RおよびR〜R10のうち少なくとも一つは水素原子を表す。Rが複数存在する場合、互いに同じまたは異なる種類であってもよく、R、R6a〜R6d、R7a〜R7dおよびR〜R10についても同様である。
    一般式[2]中、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、(CR6b CR7b O)または(CR6c CR7c O)を表す。Rは水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基またはCOR11を表す。Rは炭素数1〜6のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の炭素原子の一部または全部が芳香族環に置換されていてもよい。R6a〜R6cおよびR7a〜R7cはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基または炭素数2〜30のアルケニル基を表す。R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基または炭素数2〜30のアルケニル基を表す。R11およびR12はそれぞれ独立に炭素数1〜30のアルキル基または炭素数2〜30のアルケニル基を表す。nは0〜9の整数を表す。aは1〜50の整数を表し、b〜cはそれぞれ独立に0〜50の整数を表し、a+b+c=50を満たす。RおよびR〜Rのうち少なくとも一つは水素原子を表す。Rが複数存在する場合、互いに同じまたは異なる種類であってもよく、R、R6a〜R6c、R7a〜R7cおよびR〜Rについても同様である。)
  13. 安定化剤が、下記式(A)〜(N)で表される化合物より選ばれる少なくとも1種である、請求項11に記載の方法。
    Figure 2017025210
    Figure 2017025210
    Figure 2017025210
    (式(A)中、x、yおよびzはそれぞれ独立に1以上の整数を表し、x+y+z=13を満たす。
    式(K)中、R13は炭素数8〜18の脂肪族炭化水素基を表す。
    式(L)中、vおよびwはそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、v+w=5を満たす。
    式(N)中、R14は炭素数12〜18の脂肪族炭化水素基を表す。)
  14. 安定化剤が、アミンまたはアミドと、アルキレンオキシドとを反応させて得られる生成物であって、
    反応温度が0〜200℃であり、アミンおよびアミドの総量1モルに対してアルキレンオキシドを1〜50モル用いて反応させる、請求項11に記載の方法。
  15. アミンが、アンモニア、C1〜20第一級アミン、C1〜20第二級アミン、ポリアルキレンポリアミン、芳香族アミン、複素環式アミン、尿素およびグリシンからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
    アミドが、カルボン酸アミド、カルボン酸C2〜20一級アミド、カルボン酸C2〜20二級アミドおよびラクタム類からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
    アルキレンオキシドが、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシドおよび2,3−ブチレンオキシドからなる群より選ばれる少なくとも1種である、
    請求項14に記載の方法。
  16. Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンおよび安定化剤の総量に対して500ppm〜1質量%の水をさらに配合する、請求項11〜15の何れか一項に記載の方法。
  17. 安定化剤の配合量が、Z−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンに対して0.01〜10質量%である、請求項11〜16の何れか一項に記載の方法。
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