JP6262911B1 - 合成樹脂の溶解剤 - Google Patents
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[1](a)シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと、
(b)アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩からなる群より選択される1種以上と、
(c)硫酸と、
(d)任意成分としてのノルマルプロピルブロマイドと
を含み、(a)、(b)、(c)及び(d)の合計100重量部に対して、(a)が0重量部超99.95重量部以下であり、(b)及び(c)の合計が0.05重量部以上60重量部以下であり、(d)が0重量部以上99.95重量部未満であるが、但し、(a)及び(d)の合計が40重量部以上99.95重量部以下である、合成樹脂の溶解剤。
[2]更に、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタンからなる群より選択される1種以上の(e)有機溶剤を含み、(a)、(b)、(c)及び(d)の合計100重量部に対して、(e)が0重量部超300重量部以下である、[1]の溶解剤。
[3]更に、無機増粘剤、多糖類系増粘剤、アクリル系増粘剤及びパラフィン系増粘剤からなる群より選択される1種以上の(f)増粘剤を含む、[1]又は[2]の溶解剤。
[4]前記合成樹脂が、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂又はポリイミド樹脂である、[1]〜[3]のいずれかの溶解剤。
合成樹脂の溶解剤(以下、単に「溶解剤」ともいう。)は、(a)シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと、(b)アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩からなる群より選択される1種以上と、(c)硫酸と、(d)任意成分としてのノルマルプロピルブロマイドと、を含み、(a)、(b)、(c)及び(d)の合計100重量部に対して、(a)が0重量部超99.95重量部以下であり、(b)及び(c)の合計が0.05重量部以上60重量部以下であり、(d)が0重量部以上99.95重量部未満であるが、但し、(a)及び(d)の合計が40重量部以上99.95重量部以下である。溶解剤に含まれる(a)、(b)、(c)及び(d)は、有機溶剤中毒予防規則(有機則)に非該当であるため、人体への悪影響の程度が低いと考えられている。そのため、溶解剤は、低毒性であり、安全性に優れる。
(a)シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(以下、「(a)」ともいう。)は、有機則に非該当であることに加えて、特定化学物質障害予防規則(特化則)にも非該当であるため、より低毒性であり、より安全性に優れる成分であると考えられる。(a)は、(Z)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンとも表される。
(b)アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩からなる群より選択される1種以上(以下、「(b)」ともいう。)は、溶解剤に合成樹脂の溶解力を付与する成分である。また、(b)は、有機則に非該当であることに加えて、特化則にも非該当であるため、より低毒性であり、より安全性に優れる成分であると考えられる。
(c)硫酸(以下、「(c)」ともいう。)は、溶解剤に合成樹脂の溶解力を付与する成分である。
溶解剤は、任意成分として(d)ノルマルプロピルブロマイド(以下、「(d)」ともいう。)を含む。(d)は、有機則に非該当であることに加えて、特化則にも非該当であるため、人体への悪影響がより小さく、より低毒性であり、安全性により優れた成分である。
溶解剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、(e)有機溶剤、(f)増粘剤及び(g)添加剤からなる群より選択される1種以上の更なる成分を含むことができる。これらの具体例は、合成樹脂の溶解剤の添加剤として当業者に知られており、市販品を用いることができる。
(e)有機溶剤(以下、「(e)」ともいう。)は、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタンからなる群から選択される1種以上である。溶解剤が1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを含む場合、表面張力が低下する傾向があり、溶解剤が2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタンを含む場合、沸点が上がり、作業性が高まる傾向がある。なお、(e)は、特化則及び有機則に非該当であり、人体への悪影響がより小さいと考えられる。
増粘剤は、溶解剤の粘度を高める成分である。これにより、合成樹脂に対して、溶解剤が留まりやすくなり、溶解剤に浸漬できないような、基材に付着した合成樹脂に対する溶解性が効率的に高まる。このような増粘剤として、無機増粘剤(例えば、シリカ、セピオライト、ベントナイト、モンモリロナイト等)、多糖類系増粘剤、アクリル系増粘剤及びパラフィン系増粘剤等が挙げられる。増粘剤は、無機増粘剤が好ましく、シリカが特に好ましい。
添加剤は、(a)〜(f)以外の成分であり、防錆剤、界面活性剤、紫外線吸収剤及び酸化防止剤等の添加剤が挙げられる。これらは、合成樹脂の溶解剤の添加剤として慣用の成分を用いることができる。
溶解剤は、(a)、(b)、(c)及び(d)の合計100重量部に対して、(a)が0重量部超99.95重量部以下であり、(b)及び(c)の合計が0.05〜60重量部であり、(d)が0重量部以上99.95重量部未満であるが、但し、(a)及び(d)の合計が40重量部以上99.95重量部以下である。このような範囲であれば、合成樹脂に対する溶解性を十分に発揮することができる。
溶解剤は、原料成分である(a)、(b)、(c)、任意成分である(d)並びに(e)及び(f)等の更なる成分を混合することにより製造することができる。
合成樹脂には、合成樹脂の未硬化物、合成樹脂の硬化物、及び、合成樹脂に配合される添加剤を含む合成樹脂組成物の硬化物が含まれる。また、合成樹脂の硬化物には、合成樹脂の硬化反応が促進することにより硬化する硬化物のほかに、エラストマーのような弾性を有する硬化物、及び、反応希釈剤等の合成樹脂に配合された添加剤が揮発し、粘度が上昇することによって固化した固化物も含まれる。
溶解剤は、合成樹脂と接触させることにより、合成樹脂が溶解する。溶解剤と合成樹脂との接触時間は、所望の効果を達成できる時間であれば特に制限されないが、1分間〜30時間が好ましく、30分間〜24時間であることが特に好ましい。また、溶解剤と合成樹脂とを接触させるときの溶解剤の温度は、好ましくは5〜120℃であり、より好ましくは20℃〜40℃である。
使用した成分は以下のとおりである。
(a)シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233Z、セントラル硝子株式会社製)
(bc−1)直鎖アルキルベンゼンスルホン酸、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸の塩、及び、硫酸の混合物(硫酸0.1〜1.5質量%)(ライポンLH−200、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)
(bc−2)分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸及び硫酸の混合物(硫酸1〜10質量%)(ライポンLH−900、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)
(d)ノルマルプロピルブロマイド(ICL JAPAN株式会社製)
(e−1)1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(ソルカン365mfc、ソルベイジャパン株式会社製)
(e−2)2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン(ダフニーアルファクリーナーMX、出光興産株式会社製)
ガラス製100mLビーカー中、シリコーンゴム栓(アラム株式会社、製品コード:400101)0.4gを、各組成物10gに浸漬させて、以下の基準で評価した。結果を表1〜表4に示す。
◎:1時間未満で溶解した、〇:1時間以上〜24時間未満で溶解した、×:24時間で溶解しなかった
表3より、(a)及び(d)の含有量の合計が同じであるとき、組成物が(a)及び(d)を含む場合は(実施例17〜20)、組成物が(a)のみを含む場合(実施例3)と同様のシリコーンゴムの溶解性を有していた。表4より、組成物が(e)を含む場合であっても、シリコーンゴムの溶解性に優れていた。
硬化したセメダイン8000シリコーンシーラント(セメダイン株式会社製)0.5g、又は、硬化したシリコーン系液状ガスケットである液状ガスケット1211(株式会社スリーボンド製)0.5g、(a)85重量部と(bc−1)15重量部から構成される組成物10gに浸漬させたところ、浸漬後1時間未満でいずれも溶解することができた。しかし、各シリコーンシーラント及びシリコーン系液状ガスケットの硬化物を(a)のみの単独溶剤に浸漬させた場合は、溶解することはできなかった。
(試験対象物)
ウレタン塗料として、2液型の特殊ウレタン樹脂加熱発泡性耐火塗料である、ハイブリッド・ベースコートSC902(ナリファイア社(英国)製)を用いた。
ウレタン塗料のA液(主剤)とB液(硬化剤)を、A液:B液=8.26g:1.0gで混合した。混合後、SUS304板(株式会社岩田製作所製)35mm×15mm×0.1mmに厚さ2mm程度となるように塗布した後、24時間自然乾燥させて、試験サンプル(ウレタン樹脂の硬化物が付着したSUS304板)を得た。
50mlビーカー中の(a)の85重量部と(bc−1)の15重量部からなる合計100重量部の組成物10gに試験サンプルを浸漬させたところ、浸漬後24時間で溶解することができた。(a)のみの単一な溶剤に試験サンプルを浸漬させても168時間以内に溶解することはできなかった。
SUS304板(株式会社岩田製作所製)35mm×15mm×0.1mmに窓用シリコーン補修剤(株式会社大創産業製、シリコーン樹脂100%)0.1gを塗布し、常温で24時間放置させた。その後、ホットプレート(設定温度100℃)にて2時間加熱し、シリコーン樹脂サンプル(シリコーン樹脂の硬化物が付着したSUS304板)を作成した。このシリコーン樹脂サンプルが床面に対して垂直になるように適当な壁面に貼り付けた。この状態のシリコーン樹脂サンプルに対し、(a)85重量部と(bc−1)15重量部からなる合計100重量部に、(f)増粘剤としてのフュームドシリカ(AEROSIL(登録商標) RY 200、日本アエロジル株式会社製)5重量部を添加した組成物1gを薬さじを用いて塗布したところ、塗布後30分でシリコーン樹脂の硬化物が溶解し、スクレーパーでSUS板から除去できた。
Claims (4)
- (a)シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと、
(b)アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩からなる群より選択される1種以上と、
(c)硫酸と、
(d)任意成分としてのノルマルプロピルブロマイドと
を含み、(a)、(b)、(c)及び(d)の合計100重量部に対して、(a)が0重量部超99.95重量部以下であり、(b)及び(c)の合計が0.05重量部以上60重量部以下であり、(d)が0重量部以上99.95重量部未満であるが、但し、(a)及び(d)の合計が40重量部以上99.95重量部以下である、合成樹脂の溶解剤。 - 更に、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタンからなる群より選択される1種以上の(e)有機溶剤を含み、(a)、(b)、(c)及び(d)の合計100重量部に対して、(e)が0重量部超300重量部以下である、請求項1に記載の溶解剤。
- 更に、無機増粘剤、多糖類系増粘剤、アクリル系増粘剤及びパラフィン系増粘剤からなる群より選択される1種以上の(f)増粘剤を含む、請求項1又は2に記載の溶解剤。
- 前記合成樹脂が、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂又はポリイミド樹脂である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の溶解剤。
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