JP2004331849A - 洗浄剤組成物及び物品の洗浄方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】物品を傷めずに十分な洗浄力で洗浄でき、さらには環境や人体にやさしい洗浄剤組成物、及び該洗浄剤組成物を用いて物品に洗浄を行う物品の洗浄方法を提供する。
【解決手段】洗浄剤組成物であって、少なくとも、3〜6の炭素原子を有する1−ブロモアルカンと、シリコン系溶剤、フッ素系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤のうちの少なくとも何れか1つの洗浄用の溶剤とを含有するものであり、かつドライクリーニングを行うときに用いられるものであることを特徴とする洗浄剤組成物、及び該洗浄剤組成物を用いて物品に洗浄を行う物品の洗浄方法。
【選択図】 なし
【解決手段】洗浄剤組成物であって、少なくとも、3〜6の炭素原子を有する1−ブロモアルカンと、シリコン系溶剤、フッ素系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤のうちの少なくとも何れか1つの洗浄用の溶剤とを含有するものであり、かつドライクリーニングを行うときに用いられるものであることを特徴とする洗浄剤組成物、及び該洗浄剤組成物を用いて物品に洗浄を行う物品の洗浄方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドライクリーニング等の洗浄に適した洗浄剤組成物、及び該洗浄剤組成物を用いて衣類等の物品に洗浄を行う物品の洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば衣類等のドライクリーニングや機械部品等の洗浄を行う際に、洗浄剤として、パラフィン系炭化水素、ナフテン系炭化水素、芳香族系炭化水素等の混合物からなる石油系溶剤、パークロロエチレン等の塩素系溶剤、及びハイドロクロロフルオロカーボン類(以下、HCFCという)、ハイドロフルオロエーテル類(以下、HFEという)、ハイドロフルオロカーボン類(以下、HFCという)等のフッ素系溶剤等が主として用いられている。
【0003】
また、上記洗浄剤の他に、例えば特許文献1では、金属部品等の脱脂洗浄を行う際に用いる洗浄剤として1−ブロモプロパン組成物を開示しており、また特許文献2は、ドライクリーニング用の洗浄媒体として、1−ブロモアルカンに界面活性剤及び安定剤を含む洗浄剤組成物を開示している。
【0004】
しかしながら、上記に示した各種洗浄剤組成物のうち、例えば石油系溶剤は、比較的に安価で入手しやすいという利点を有するものの、石油系溶剤を用いて衣類等にドライクリーニングを行った場合にクリーニング後の衣類に石油系溶剤が残存しやすく、このように衣類に石油系溶剤が残存していると皮膚に火傷や肌荒れ等を生じさせやすくするといった問題があった。
【0005】
また、塩素系溶剤は、一般に上記石油系溶剤に比べて非常に高い洗浄力を示すものの、人体や環境への悪影響が指摘されている。例えば以前に使用されていた1,1,1−トリクロロエタンはオゾン層破壊を引き起こす物質であることから使用が禁止されており、またその他の塩素系溶剤についても環境に対する配慮が必要とされている。さらに、フッ素系溶剤は、上記の塩素系溶剤に比べて環境的に好ましい洗浄剤であるものの、塩素系溶剤よりも洗浄力が低いという欠点があった。
【0006】
一方、1−ブロモプロパン等の臭素系溶剤は、環境的に問題がなく、また洗浄力も高いため各種油性の汚れ等を清浄にする効果があるものの、例えば1−ブロモプロパンを用いて衣類等の物品にドライクリーニングを行った場合に、衣類に付いているボタン等の溶解、プリント柄の剥離、また染料の色落ち等を生じさせて衣類を傷めるといった問題があった。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−26897号公報
【特許文献2】
国際公開公報WO 01/53598号
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、物品を傷めずに十分な洗浄力で洗浄でき、さらには環境や人体にやさしい洗浄剤組成物を提供すること、及び該洗浄剤組成物を用いて物品に洗浄を行う物品の洗浄方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によれば、洗浄剤組成物であって、少なくとも、3〜6の炭素原子を有する1−ブロモアルカンと、シリコン系溶剤、フッ素系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤のうちの少なくとも何れか1つの洗浄用の溶剤とを含有するものであり、かつドライクリーニングを行うときに用いられるものであることを特徴とする洗浄剤組成物が提供される(請求項1)。
【0010】
このように、少なくとも、3〜6の炭素原子を有する1−ブロモアルカンと、シリコン系溶剤、フッ素系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤のうちの少なくとも何れか1つの洗浄用の溶剤とを含有し、かつドライクリーニングを行うときに用いられる洗浄剤組成物であれば、衣類等の物品にドライクリーニングを行う際にボタン等の装飾品の溶解や染料の色落ち等といった物品の傷みを生じさせず、十分な洗浄力で効果的にドライクリーニングを行うことのできる洗浄剤組成物とすることができる。特に、上記洗浄用の溶剤としてシリコン系溶剤及び/またはフッ素系溶剤を用いた場合であれば、洗浄剤組成物に塩素が含まれないようにする(または、微量にする)ことができるし、また火傷や肌荒れ等の人体への影響も無くすことができるので、環境や人体に対して非常に好適な洗浄剤組成物となる。
【0011】
また、本発明によれば、洗浄剤組成物であって、少なくとも、3〜6の炭素原子を有する1−ブロモアルカンと、シリコン系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤のうちの少なくとも何れか1つの洗浄用の溶剤とを含有するものであることを特徴とする洗浄剤組成物が提供される(請求項2)。
【0012】
このように、少なくとも、3〜6の炭素原子を有する1−ブロモアルカンと、シリコン系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤のうちの少なくとも何れか1つの洗浄用の溶剤とを含有する洗浄剤組成物であれば、物品の洗浄を物品を傷めずに十分な洗浄力で効果的に行うことのできる洗浄剤組成物とすることができる。特に、上記洗浄用の溶剤としてシリコン系溶剤を用いることによって、洗浄剤組成物に塩素が含まれず、また火傷や肌荒れ等を人体に引き起こすこともないので、環境や人体に対して非常に好適な洗浄剤組成物となる。
【0013】
このとき、前記フッ素系溶剤が、HCFC系溶剤、HFE系溶剤、HFC系溶剤、またはこれらの混合物であることが好ましく(請求項3)、また前記シリコン系溶剤が、揮発性メチルシロキサンであることが好ましく(請求項4)、さらに前記塩素系溶剤が、パークロロエチレンであることが好ましい(請求項5)。
【0014】
フッ素系溶剤、シリコン系溶剤、及び塩素系溶剤が、それぞれ上記に示したような物質からなるものであれば、1−ブロモアルカンとの相溶性が良く、1−ブロモアルカンと洗浄用の溶剤とを容易に混合することができるし、また物品を洗浄する際に装飾品の溶解、プリント柄の剥離、染料の色落ち等を適度に抑制できるので非常に安定した洗浄を行うことができる洗浄剤組成物となる。
【0015】
また、前記1−ブロモアルカンが、n−プロピルブロマイドであることが好ましい(請求項6)。
n−プロピルブロマイドは毒性が少なく安定した物質であり、本発明の洗浄剤組成物に含有される1−ブロモアルカンがn−プロピルブロマイドであれば、環境や人体にやさしい洗浄剤組成物となる。また、1−ブロモアルカンとしてn−プロピルブロマイドを用いることにより、前記洗浄用の溶剤との混合が容易であり、さらに十分な洗浄力を有しているので、非常に効果的な物品の洗浄を行うことのできる洗浄剤組成物となる。
【0016】
そして、本発明の洗浄剤組成物は、さらに界面活性剤及び/または安定剤を含有することができる(請求項7)。
このように本発明の洗浄剤組成物が界面活性剤を含有するものであれば、抱水性能(水の可溶化能)や、物品に対する柔軟性及び帯電防止性等に優れた洗浄剤組成物となる。また、洗浄剤組成物が安定剤を含有するものであれば、洗浄剤の物性を安定化させることができ、非常に品質の優れた洗浄剤組成物とすることができる。
【0017】
この場合、前記界面活性剤として、少なくとも、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、またはこれらが混合されたものを含むものであることが好ましく(請求項8)、また前記安定剤として、少なくとも、モノニトロ炭化水素、エポキシド、エーテル、ニトロメタン、ニトロエタン、1,2−ブチレンオキサイド、またはこれらが混合されたものを含むものであることが好ましい(請求項9)。
【0018】
本発明の洗浄剤組成物に含有される界面活性剤として、少なくとも、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、またはこれらが混合されたものを含むものであれば、洗浄剤組成物の抱水性能や、物品に対する柔軟性及び帯電防止性等を大きく向上させることができる。また、安定剤として上記に示したような物質を含むものであれば、洗浄剤組成物が分解したりせずに物性が一層安定化した高品質の洗浄剤組成物となる。
【0019】
そして、本発明によれば、上記本発明の洗浄剤組成物を用いて物品に洗浄を行う物品の洗浄方法を提供することができる(請求項10)。
このような本発明の物品の洗浄方法であれば、物品を傷めずに十分な洗浄力で効果的に洗浄することができるし、また環境や人体に対する悪影響を大幅に低減することができる。
【0020】
また、本発明によれば、洗浄剤を用いて物品に洗浄を行う物品の洗浄方法であって、前記洗浄剤として、少なくとも、3〜6の炭素原子を有する1−ブロモアルカンと、シリコン系溶剤、フッ素系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤のうちの少なくとも何れか1つの洗浄用の溶剤とを混合して、前記物品にドライクリーニングを行うことを特徴とする物品の洗浄方法が提供される(請求項11)。
【0021】
このように、洗浄剤として、少なくとも、3〜6の炭素原子を有する1−ブロモアルカンと、シリコン系溶剤、フッ素系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤のうちの少なくとも何れか1つの洗浄用の溶剤とを混合して衣類や織物等の物品にドライクリーニングを行うことによって、ボタン等の装飾品の溶解、プリント柄の剥離、また染料の色落ち等といった物品の傷みを生じさせずに、物品にドライクリーニングを十分な洗浄力で効果的に安定して行うことができる。特に、洗浄剤として、1−ブロモアルカンと、シリコン系溶剤及び/またはフッ素系溶剤の洗浄用の溶剤とを混合してドライクリーニングを行えば、洗浄剤に塩素が含まれないようにする(または、微量にする)ことができるので環境へ悪影響を及ぼすことがなく、また洗浄後の物品に石油系溶剤が残存することもないので火傷や肌荒れ等の人体に対する影響を示すこともない。
【0022】
さらに、本発明によれば、洗浄剤を用いて物品に洗浄を行う物品の洗浄方法であって、前記洗浄剤として、少なくとも、3〜6の炭素原子を有する1−ブロモアルカンと、シリコン系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤のうちの少なくとも何れか1つの洗浄用の溶剤とを混合して、前記物品の洗浄を行うことを特徴とする物品の洗浄方法も提供できる(請求項12)。
上記のようにして物品の洗浄を行うことによって、物品に傷みを与えずに十分な洗浄力による効果的な洗浄を安定して行うことができる。特に、洗浄剤として、1−ブロモアルカンとシリコン系溶剤とを混合して物品の洗浄を行えば、環境や人体に対して悪影響を及ぼさずに物品の洗浄を行うことができる。
【0023】
またこのとき、前記洗浄を行う物品に応じて、前記洗浄剤組成物に含有される1−ブロモアルカンと、洗浄用の溶剤の配合比を調整することが好ましい(請求項13)。
例えば、洗浄を行う物品の材質、形状、装飾品、色合い、汚れ具合等に応じて、洗浄剤組成物に含有される1−ブロモアルカンと洗浄用の溶剤との配合比を調整することによって、様々な物品に対して非常に適した洗浄条件で物品の洗浄を行う事が可能となるので、物品がどのようなものであってもそれに応じた組成とすることで傷みを生じさせることなく、物品の品質を保ちながら十分な洗浄力で効果的に洗浄を行うことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の洗浄剤組成物は、少なくとも、3〜6の炭素原子を有する1−ブロモアルカンと、シリコン系溶剤、フッ素系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤のうちの少なくとも何れか1つの洗浄用の溶剤とを含有し、かつドライクリーニングを行うときに用いられる洗浄剤組成物である。
【0025】
すなわち、本発明は、1−ブロモアルカンと他の洗浄用の溶剤を混合することによって、それぞれの溶剤が有する利点を生かし、欠点を相互に補い、高い洗浄力を維持したまま、環境性、有害性などの改善を図ることができる洗浄剤組成物を提供するものである。
【0026】
先ず、本発明の洗浄剤組成物が3〜6の炭素原子を有する1−ブロモアルカンを含有していることによって、物品に対して十分な洗浄力を有する洗浄剤組成物とすることができる。本発明において、洗浄剤組成物に含有させる1−ブロモアルカンとしては、毒性が少なく物性の安定しているn−プロピルブロマイドを用いることが特に好ましい。このようにn−プロピルブロマイドを含有させることにより、洗浄用の溶剤との混合が容易であり、また十分な洗浄力を安定して得ることができる。
【0027】
さらに、本発明の洗浄剤組成物は、シリコン系溶剤、フッ素系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤のうちの少なくとも何れか1つの洗浄用の溶剤を含有するものである。このように洗浄剤組成物にフッ素系溶剤、塩素系溶剤、シリコン系溶剤、及び石油系溶剤のうちの少なくとも1つの洗浄用の溶剤が含有されていれば、例えば衣類や織物等の物品に洗浄を行う際に、ボタン等の装飾品の溶解、プリント柄の剥離、また染料の色落ち等といった物品の傷みを抑制することができ、安定した洗浄を行うことが可能となる。
【0028】
このとき、シリコン系溶剤、フッ素系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤は、それぞれ単独で洗浄剤組成物に含有させても良いし、またこれらの洗浄用の溶剤を複数組合せて洗浄剤組成物に含有させても良い。
【0029】
特に、本発明では、上記洗浄用の溶剤としてシリコン系溶剤及び/またフッ素系溶剤を用いて洗浄剤組成物に含有させることが好ましい。塩素系溶剤は、前述のように環境への悪影響が指摘されており、また石油系溶剤は、引火性であるため洗浄装置等に防爆の設備が必要とされたり、前述したように人体に火傷や肌荒れ等を生じさる恐れがある。したがって、上記のように、洗浄用の溶剤として、一般に人体に無害なシリコン系溶剤やフッ素系溶剤を用いることにより、洗浄剤組成物に塩素が含まれないようにする(または、微量にする)ことができるので環境的に問題がなく、また火傷や肌荒れ等の人体への影響を引き起こすこともないので、環境や人体に対して非常に好適な洗浄剤組成物とすることができる。
【0030】
このような本発明の洗浄剤組成物に含有させるシリコン系溶剤、フッ素系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤は特に限定されるものではないが、例えば上記シリコン系溶剤としては、揮発性メチルシロキサンを用いることができる。この揮発性メチルシロキサンには、MM、MDM、MD2M等の直鎖シリコンやD3、D4、D5等の環状シリコンがあり、何れの物質を用いても良いが、本発明の洗浄剤組成物にシリコン系溶剤を含有させる場合、物質の安定性、1−ブロモアルカンとの相溶性の点からMD2Mの直鎖シリコンやD5の環状シリコンを用いることが特に好ましい。尚、上記に示したM及びDは、下記式に示したように、それぞれ1官能性の構造を有するM単位、2官能性の構造を有するD単位を簡略して表したものである。
【0031】
【化1】
【0032】
また、フッ素系溶剤としては、例えばHCFC系溶剤、HFE系溶剤、HFC系溶剤、またはこれらの混合物等を用いることができる。さらに、塩素系溶剤としてはパークロロエチレン等を使用することができる。一方、石油系溶剤としては、現在一般的に使用されているパラフィン系炭化水素、ナフテン系炭化水素、芳香族系炭化水素等の溶剤を用いることができる。
【0033】
洗浄剤組成物に含有させる洗浄用の溶剤が、上記に示したような物質から選択されたものであれば、1−ブロモアルカンとの相溶性が良く、1−ブロモアルカンと洗浄用の溶剤の混合を容易に行うことができるし、また物品に洗浄を行う際に装飾品の溶解、プリント柄の剥離、染料の色落ち等を抑制できるので、非常に安定したドライクリーニングを行うことができる洗浄剤組成物となる。
【0034】
このような本発明の洗浄剤組成物において、1−ブロモアルカンと洗浄用の溶剤との配合比は、洗浄対象となる物品(被洗浄物)の材質、形状、装飾品、色合い、汚れ具合等に応じて任意に調整することができ、洗浄剤組成物の洗浄力が所望のものとなるように容易に制御することができる。
【0035】
さらに、本発明の洗浄剤組成物は、界面活性剤及び/または安定剤を含有することができる。
本発明の洗浄剤組成物に含有させる界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、またはこれらが混合されたものを用いることができる。具体的には、アニオン界面活性剤としては、ジアルキルスルホコハク酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加物のアルキルエーテルサルフェート、アルカノールアミン塩のアルキルサルフェート等を用いることができ、非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等を用いることができ、またカチオン界面活性剤としては、ラウリルジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート、パルミチルジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート、ジメチルステアリル(ジヒドロキシエチル)アンモニウム−p−トルエンスルホネート、オレイルジメチルヒドロキシプロピルアンモニウムメチルサルフェート等の4級アンモニウム塩を用いることができる。
このような界面活性剤を洗浄剤組成物に例えば0.05〜2重量%程度で、好ましくは0.1〜1重量%程度で含有させることによって、洗浄剤組成物の抱水性能、物品に対する柔軟性及び帯電防止性等の特性を大きく向上させることができる。
【0036】
また、安定剤としては、モノニトロ炭化水素、エポキシド、エーテル、ニトロメタン、ニトロエタン、1,2−ブチレンオキサイド、またはこれらが混合されたもの等を用いることができる。このとき、安定剤の含有量は、洗浄する物質の材質や洗浄を行う際の洗浄条件等に応じて調節することができるが、洗浄剤組成物を安定化させる効果を得るとともに洗浄剤組成物が十分な洗浄力を維持するためには、安定剤を0.1〜10重量%程度、特に0.2〜5重量%程度で洗浄剤組成物に含有させることが好ましい。
【0037】
次に、上記のような本発明の洗浄剤組成物を用いて、物品にドライクリーニングを行う方法について図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明の洗浄方法に用いられる洗浄装置は特に限定されるものではなく、一般的に用いられているドライクリーニング装置を用いることができる。また、洗浄対象となる物品(被洗浄物)としては、スーツやドレス等の衣類、カーテンや毛布等の織物等がある。
【0038】
図1にドライクリーニングの概念図を示した。
本発明の物品の洗浄方法は、洗浄剤として、少なくとも、3〜6の炭素原子を有する1−ブロモアルカン(特に、n−プロピルブロマイド)と、シリコン系溶剤、フッ素系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤のうちの少なくとも何れか1つの洗浄用の溶剤とを混合して物品とともにドライクリーニング装置1の洗浄槽2に投入し、洗浄槽2内で物品にドライクリーニングすることによって物品の洗浄を行うものである。
【0039】
このような本発明の洗浄方法において、洗浄槽2内で物品にドライクリーニングを行う際の洗浄時間や洗浄温度等の洗浄条件は特に限定されるものではなく、通常のドライクリーニングが行われている条件、例えば0〜50℃程度の洗浄温度でおよそ1〜60分間の条件で物品にドライクリーニングを行うことによって、物品に付着している油性の汚れや水溶性の汚れ等を十分に清浄にすることができる。
【0040】
このとき、洗浄槽2に投入される洗浄剤は、例えば物品の材質、形状、装飾品、色合い、汚れ具合等に応じて、洗浄剤組成物に含有される1−ブロモアルカンと洗浄用の溶剤の配合比を任意に調整することができ、それによって物品がどのようなものであっても常に物品に最適な洗浄条件で洗浄を行うことが可能となる。したがって、物品を十分な洗浄力で効果的に洗浄できるとともに、物品に付いている装飾品の溶解、プリント柄の剥離、染料の色落ち等といった物品の傷みを生じさせずに物品の品質を安定して保ちながら洗浄を行うことができる。
【0041】
すなわち、1−ブロモアルカンと洗浄用の溶剤の配合比は特に限定されないが、例えばその配合比を1−ブロモアルカン:洗浄用の溶剤=(0.1〜99.9):(99.9〜0.1)とすることができる。一例として、セーター、ブラウス等白物、スーツ、コート等で汚れを落とすのに強い洗浄力が要求される場合等は、程度に応じて、1−ブロモアルカン(n−プロピルブロマイド)の配合量を50%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは90%以上に増加させる。この場合、ブラウス等もボタンを有するが、本発明では1−ブロモアルカン単独ではないので、これらのボタンが溶損することを防止できる。
一方、染色堅牢度の低い衣料、特殊ボタンを装着した衣料、特殊加工品等を洗浄する場合、程度に応じて、1−ブロモアルカンの配合量を90%以下、好ましくは75%以下、より好ましくは50%以下に抑え、それによって、生地を傷めずに十分な洗浄力で効果的に洗浄することができる。
【0042】
特に、本発明では、洗浄剤としてn−プロピルブロマイドとシリコン系溶剤及び/またはフッ素系溶剤とを混合して物品にドライクリーニングを行えば、洗浄剤に塩素が含まれないようにする(または、微量にする)ことができるので環境へ悪影響を及ぼさずに物品を十分な洗浄力で効果的に洗浄することができるし、また洗浄を行う際に引火の危険性がない上、洗浄された物品に石油系溶剤が残存することもないので火傷や肌荒れ等といった人体に対する影響を示すこともほとんどない。
【0043】
そして、上記のようにして物品にドライクリーニングを行った後、洗浄された物品は洗浄槽2から取り出され、また一方洗浄によって汚染した溶剤は、例えば蒸留器3等に通過させて洗浄剤と汚染物質とを分離し、その分離した洗浄剤を回収することによって再利用できる。つまり、この回収した洗浄剤を再び物品とともに洗浄層2に投入することによって洗浄剤のコストの低減を図ることができる。
【0044】
また、本発明によれば、本発明の洗浄剤組成物における別の態様として、少なくとも、3〜6の炭素原子を有する1−ブロモアルカンと、シリコン系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤のうちの少なくとも何れか1つの洗浄用の溶剤とを含有する洗浄剤組成物を提供することができる。
【0045】
この洗浄剤組成物は、前記と同様に、3〜6の炭素原子を有する1−ブロモアルカン、好ましくは毒性が少なく物性が安定しているn−プロピルブロマイドを含有していることによって、物品に対して十分な洗浄力を安定して有する洗浄剤組成物とすることができる。
【0046】
さらに、本発明の洗浄剤組成物は、前記に例示したようなシリコン系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤のうちの少なくとも何れか1つの洗浄用の溶剤を含有するものであるため、1−ブロモアルカン単独で物品に洗浄を行う際に問題となる装飾品の溶解、プリント柄の剥離、染料の色落ち等が生じるのを抑制することができ、非常に安定して物品を洗浄できる洗浄剤組成物となる。このとき、洗浄用の溶剤として、特に前記で例示した直鎖シリコンや環状シリコンのような揮発性メチルシロキサン等のシリコン系溶剤を洗浄剤組成物に含有させることにより、洗浄剤組成物に塩素が含まれないようにすることができるし、また洗浄後の物品に石油系溶剤が残存することもないので火傷や肌荒れ等の人体への影響を引き起こすこともない。したがって、環境や人体に対して非常に好適な洗浄剤組成物とすることができる。
【0047】
さらに、本発明の洗浄剤組成物は、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、またはこれらが混合された界面活性剤を含有することができ、洗浄剤組成物の抱水性能や、物品に対する柔軟性及び帯電防止性等を向上させることができる。また、本発明の洗浄剤組成物に安定剤として、モノニトロ炭化水素、エポキシド、エーテル、ニトロメタン、ニトロエタン、1,2−ブチレンオキサイド、またはこれらが混合されたものを含有させることもできる。
【0048】
そして、本発明では、上記態様の洗浄剤組成物を用いて物品に洗浄を行うことができる。
上記のような洗浄剤組成物は、衣類や織物等のドライクリーニングを行うときに使用できるだけでなく、例えば各種金属部品、精密機械部品、及びプラスチックやセラミックス製の様々な部品等を洗浄する際にも好適に用いることができるものである。
【0049】
このとき、洗浄組成物における3〜6の炭素原子を有する1−ブロモアルカンと、シリコン系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤のうちの少なくとも何れか1つの洗浄用の溶剤との配合比は、洗浄対象となる物品(被洗浄物)の材質、形状、汚れ具合等に応じて任意に調整することができる。
このように物品に洗浄を行う際に、1−ブロモアルカンと洗浄用の溶剤とを物品に応じて調整された配合比で混合して物品を洗浄することによって、常に物品に最適な洗浄条件で洗浄を行うことが可能となり、物品に溶解や色落ち等を生じさせずに、十分な洗浄力で効果的に物品の洗浄を行うことができる。
【0050】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1〜9)
先ず、1−ブロモアルカンとフッ素系溶剤とを含有する洗浄剤組成物を作製した後、得られた洗浄剤組成物に油性のマジックインクでマーキングしたペーパークロマトの一端を浸して放置したときの洗浄剤組成物の到達高さと油性汚れ(マーキング)の溶解状態を観察することによって、その洗浄剤組成物の洗浄力について評価を行った。
【0051】
1−ブロモアルカンとしてはn−プロピルブロマイド(以下、n−PBと略記する)を準備し、またフッ素系溶剤としてHCFC系溶剤であるアサヒクリンAK225(旭硝子株式会社製、HCFC−225)、HFE系溶剤であるHFE−S7(ダイキン工業株式会社製、HFE−347p−cf)、HFC系溶剤であるソルカン(日本ソルベイ株式会社製、HFC−365mfc)をそれぞれ用意した。そして、n−PBと、HCFC、HFE、またはHFCの各フッ素系溶剤とを混合割合(n−PB:フッ素系溶剤)が、75:25、50:50、25:75となるように混合して、それぞれのフッ素系溶剤で3種類ずつの計9種類の洗浄剤組成物を作製した(実施例1〜9)。実施例1〜9の洗浄剤組成物におけるn−PBとフッ素系溶剤の配合比を下記の表1に示す。
【0052】
このようにして作製した洗浄剤組成物(実施例1〜9)をそれぞれメスシリンダーに10mlずつ入れた後、各洗浄剤組成物にマジックインクにより1cm間隔でマーキング(油性の汚れ)が施されたペーパークロマト(東洋ろ紙製のFilter Paper ChromatoGraphy 50)の一端を浸して、室温にて100分間放置した。このとき、洗浄剤組成物の蒸発を防ぐためにメスシリンダーの口を塞いだ。
【0053】
その後、ペーパークロマトをメスシリンダーから取り出して、各洗浄剤組成物がペーパークロマトに染み込んだ高さ(ペーパークロマトの到達点)を測定し、またペーパークロマトに施されたマーキングの溶解状態を目視にて観察した。
【0054】
尚、今回の実験に使用したペーパークロマトの素材は、綿、麻、レーヨン等の天然植物性繊維の主材であるセルロース繊維である。したがって、上記で測定したペーパークロマトの到達点は、洗浄剤組成物とセルロース繊維の親和力、浸透力に正比例し、洗浄剤組成物の液密度に反比例するものと考えられ、洗浄剤組成物が衣類等に拡散する能力である拡散能力を示すものである。また、ペーパークロマトに施されたマーキングの溶解状態を観察することにより、洗浄剤組成物が汚れを落とすときの溶解力を調べることができる。そして、このように洗浄剤組成物の拡散能力及び溶解力を調べることによって、洗浄剤組成物の洗浄力を評価することができる。
【0055】
(比較例1〜6)
比較例として、n−PBが100%の洗浄剤(比較例1)、従来洗浄剤として用いられている上記のHCFC系溶剤であるアサヒクリンAK225(比較例2)、HFE系溶剤であるHFE−S7(比較例3)、HFC系溶剤であるソルカン(比較例4)、さらに塩素系溶剤であるパークロロエチレン100%の洗浄剤(比較例5)、日本石油株式会社製の石油系溶剤であるニューソルDX(比較例6)を使用して、各洗浄剤組成物の洗浄力について評価を行った。
【0056】
これらの洗浄剤(比較例1〜6)を、上記実施例1〜9と同様に、それぞれメスシリンダーに10mlずつ入れた後、各洗浄剤にマジックインクにより1cm間隔でマーキングが施されたペーパークロマトの一端を浸して、室温にて100分間放置した。その後、ペーパークロマトをメスシリンダーから取り出して、各洗浄剤におけるペーパークロマトの到達点を測定し、またペーパークロマトに施されたマーキングの溶解状態を目視にて観察した。
【0057】
以上のような実験を、実施例1〜9及び比較例1〜6の各洗浄剤組成物に対してそれぞれ7回ずつ行い、各洗浄剤組成物におけるペーパークロマトの到達点の平均値を下記表1に示し、また図2〜図5にペーパークロマトに施されたマーキングの溶解状態を観察した結果を示す。
【0058】
【表1】
【0059】
始めに、実施例1〜3で測定されたペーパークロマトの到達点を比較してみると、上記表1に示したように、n−PBとフッ素系溶剤との配合比が変化することによりペーパークロマトの到達点も変化しており、n−PBの配合比を増加させることによって、洗浄剤組成物の拡散能力を増大させることができることがわかる。この結果から、n−PBとフッ素系溶剤の配合比を調整することによって洗浄剤組成物が有する拡散能力を所望の大きさに制御することができ、例えばn−PBを75%程度で洗浄剤組成物に含有させることによって、本発明の洗浄剤組成物の拡散能力を比較例5の塩素系溶剤や比較例6の石油系溶剤と同程度の大きさに制御できることが確認できる。
【0060】
また、図2にHCFC系溶剤を用いた実施例1〜3の溶解状態を示したように、洗浄剤組成物におけるn−PBとフッ素系溶剤との配合比を調節することによって洗浄剤組成物が有する溶解力を制御でき、n−PBの配合比を大きくする程その溶解力を大きくすることができることがわかる。
【0061】
このようなn−PBとフッ素系溶剤の配合比を調整することによって拡散能力及び溶解力を制御できることは、上記HCFC系溶剤の場合だけでなく、HFE系溶剤を含有させた実施例4〜6及びHFC系溶剤を含有させた実施例7〜9に関しても、表1及び図3、図4に示した結果から同様に確認することができた。
【0062】
以上のように、n−PBとフッ素系溶剤を含有した本発明の洗浄剤組成物であれば、n−PBとフッ素系溶剤の配合比を変えることによりその洗浄剤組成物が有する拡散能力及び溶解力の大きさを制御することができる。すなわち、本発明の洗浄剤組成物は、物品の洗浄を行う際に、物品に応じて洗浄剤組成物の洗浄力を制御することが可能となり、物品を傷めずに十分な洗浄力で効果的に洗浄できるものとすることができることが上記の実験結果から確認することができる。
【0063】
それに対して、比較例1〜6の洗浄剤は、何れも一種類の溶剤で作製されているものであるため、物品を洗浄する際に物品に応じて洗浄力を調整することができないものである。そのため、例えばn−PBが100%である比較例1の洗浄剤は、上記表1にペーパークロマトの到達点を示したように拡散能力が非常に高く、また図2にマーキングの溶解状態を示したように溶解力も非常に大きいため、洗浄力は高いが、物品に付いている装飾品の溶解や染料の色落ち等といった問題を引き起こしやすいものであることがわかる。
【0064】
また、HCFC系溶剤が100%の比較例2は、上記表1及び図2に示したように、拡散能力及び溶解力がともに小さく、n−PBとHCFC系溶剤とを含有している実施例1〜3に比べて洗浄力に劣っていることがわかる。また同様に、HFE系溶剤が100%の比較例3及びHFC系溶剤が100%の比較例4も、図3、図4から明らかであるように、それぞれ実施例4〜6及び実施例7〜9の洗浄剤組成物に比べて洗浄力に劣っていることがわかる。また、比較例5の塩素系溶剤及び比較例6の石油系溶剤は、表1に示したように、拡散能力が比較的優れているものの、図5に示したように溶解力が小さく、例えば実施例1のような本発明の洗浄剤組成物と比べて洗浄力に劣るものであることが容易に確認できる。
【0065】
次に、上記で作製した実施例1〜6及び比較例1〜3、5、6の洗浄剤組成物を用いて綿赤色布及び綿ジーンズ生地に実際に洗浄を行った後、洗浄後の脱色液を透過率計で測定することによって、各洗浄剤組成物による脱色の程度(色落ち具合)を評価した。透過率計で測定された各洗浄剤組成物の透過率について、図6に綿赤色布を洗浄したときの測定結果を、また図7に綿ジーンズ生地を洗浄したときの測定結果を示す。
【0066】
図6及び図7に示したように、実施例1〜6の本発明の洗浄剤組成物は、比較例5の塩素系溶剤と同等またはそれよりも高い透過率を示しており、フッ素系溶剤の配合比が大きくなるほど物品を洗浄する際の物品の色落ちを低減できることがわかる。一方、n−PBが100%の比較例1の透過率は、綿赤色布及び綿ジーンズ生地を洗浄した場合とも小さく、物品の色落ちが大きいことがわかる。
【0067】
続いて、上記で作製した実施例6及び比較例1の洗浄剤組成物を用いて、衣服のボタン等の材料として広く使用されているアクリル樹脂のダメージ試験を行った。先ず、50mm×30mm×3mmの大きさに裁断したアクリル樹脂の小片を2枚用意し、このアクリル樹脂の小片をそれぞれ実施例6及び比較例1の洗浄剤組成物に室温(22℃)で4時間浸漬した。その後、各洗浄剤組成物からアクリル樹脂片を取り出して純水洗浄を行った後、目視観察を行って2枚のアクリル樹脂片のダメージの大きさ(溶解具合)を比較した。図8に、実施例6及び比較例1の洗浄剤組成物を用いてアクリル樹脂片のダメージ試験を行った結果を示す。
【0068】
図8に示したように、実施例6の洗浄剤組成物に浸漬したアクリル樹脂の場合、アクリル樹脂片の周辺部に観察される樹脂の溶解は小さく、またアクリル樹脂片の表面に形成された傷も少ないことから、アクリル樹脂が受けたダメージは小さいことがわかる。一方、比較例1の洗浄剤組成物に浸漬したアクリル樹脂片は、その周辺部で多くの溶解が見られ、またアクリル樹脂片の表面には多くの傷(クラック)が観察されることから、アクリル樹脂が受けたダメージは非常に大きいことがわかる。以上の結果から、実施例6の洗浄剤組成物は、比較例1の洗浄剤組成物に比べてアクリル樹脂の溶解を抑制し、アクリル樹脂が受けるダメージを低減していることがわかる。
【0069】
以上に示したように、本発明の洗浄剤組成物は、従来用いられているフッ素系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤のみの洗浄剤よりも高い洗浄力を示すと同時に、n−プロピルブロマイドの洗浄剤で問題となるような物品の色落ち、装飾品の溶解等を抑制できるので、物品を傷めずに十分な洗浄力で効果的に洗浄することができる。
【0070】
(実施例10〜15、比較例7、8)
次に、1−ブロモアルカンとシリコン系溶剤とを含有する洗浄剤組成物を作製し、その後上記の実施例1〜9と同様に、マジックインクでマーキングされたペーパークロマトの一端を浸して放置し、洗浄剤組成物の到達高さとマーキングの溶解状態を観察することによって各洗浄剤組成物の洗浄力を評価した。
【0071】
洗浄剤組成物を作製するに際し、1−ブロモアルカンとしてn−PBを準備し、またシリコン系溶剤として、D5の環状シリコン、及び菱重産業機械エンジニアリング株式会社製のダイヤシリコーン(MD2Mの直鎖シリコン)を用意した。そして、これらを混合割合(n−PB:シリコン系溶剤)が、75:25、50:50、25:75となるように混合して、環状シリコン及び直鎖シリコンのそれぞれで3種類ずつの計6種類の洗浄剤組成物を作製した(実施例10〜15)。下記表2に各洗浄剤組成物の配合比を示す。また、比較のため、D5の環状シリコン100%の洗浄剤(比較例7)、MD2Mのダイヤシリコーン(比較例8)を準備した。
【0072】
このようにして作製した洗浄剤組成物(実施例10〜15、比較例7、8)をそれぞれメスシリンダーに10mlずつ入れた後、前記と同様に、各洗浄剤組成物にペーパークロマトの一端を浸して室温にて100分間放置した。その後、ペーパークロマトをメスシリンダーから取り出して、各洗浄剤組成物におけるペーパークロマトの到達点を測定し、またペーパークロマトに施されたマーキングの溶解状態を目視にて観察した。
以上のような実験を6回行い、ペーパークロマトの到達点の平均値を下記表2に示し、またペーパークロマトに施されたマーキングの溶解状態を観察した結果を図9及び図10に示す。
【0073】
【表2】
【0074】
上記表2及び図9、図10に示した結果から、n−PBと環状シリコンとを含有する洗浄剤組成物も、n−PBと直鎖シリコンとを含有する洗浄剤組成物も、配合比を変えることにより拡散能力及び溶解力の大きさを制御することができるものであることが確認できる。すなわち、1−ブロモアルカンとシリコン系溶剤とを含有する洗浄剤組成物も、前記フッ素系溶剤を含有させた洗浄剤組成物と同様に、物品に応じて洗浄力を制御することが可能となり、物品を傷めずに十分な洗浄力で効果的に洗浄できる洗浄剤組成物とすることができることがわかる。
【0075】
それに対して、環状シリコンのみからなる比較例7及び直鎖シリコンのみからなる比較例8の洗浄剤組成物は、どちらも一種類の溶剤で作製されているものであるため、物品を洗浄する際に物品に応じて洗浄力を調整することができないものであり、また本発明の洗浄剤組成物に比べて、表2に示したように拡散能力が低く、また図9及び図10に示したように溶解力も小さいため、洗浄力に劣るものであることがわかる。
【0076】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0077】
例えば上記実施例では、1−ブロモアルカンとフッ素系溶剤とを含有する洗浄剤組成物、及び1−ブロモアルカンとシリコン系溶剤とを含有する洗浄剤組成物について説明を行っているが、本発明はこれらに限定されるものではなく、1−ブロモアルカンと塩素系溶剤を含有したもの、1−ブロモアルカンと石油系溶剤を含有したもの、及びこれらの洗浄用の溶剤を組合せて1−ブロモアルカンと含有させた洗浄剤組成物も同様な結果を得ることができ、上記本発明の効果を奏することができるものである。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の洗浄剤組成物は、物品を傷めずに十分な洗浄力で効果的に洗浄することのできる洗浄剤組成物であり、また環境に悪影響を与えず、人体に対して火傷や肌荒れ等を引き起こすことも少ないので、環境や人体にとって非常にやさしい洗浄剤組成物となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ドライクリーニングの一例を示す概念図である。
【図2】実施例1〜3及び比較例1、2の洗浄剤組成物にペーパークロマトを浸して放置したときの到達高さとマーキングの溶解状態を観察した結果を示す図である。
【図3】実施例4〜6及び比較例3の洗浄剤組成物にペーパークロマトを浸して放置したときの到達高さとマーキングの溶解状態を観察した結果を示す図である。
【図4】実施例7〜9及び比較例4の洗浄剤組成物にペーパークロマトを浸して放置したときの到達高さとマーキングの溶解状態を観察した結果を示す図である。
【図5】比較例5、6の洗浄剤組成物にペーパークロマトを浸して放置したときの到達高さとマーキングの溶解状態を観察した結果を示す図である。
【図6】実施例1〜6及び比較例1〜3、5、6の洗浄剤組成物を用いて綿赤色布に洗浄を行った後の各洗浄剤組成物の透過率を測定した測定結果を示すグラフである。
【図7】実施例1〜6及び比較例1〜3、5、6の洗浄剤組成物を用いて綿ジーンズ生地に洗浄を行った後の各洗浄剤組成物の透過率を測定した測定結果を示すグラフである。
【図8】実施例6及び比較例1の洗浄剤組成物を用いて、アクリル樹脂のダメージ試験を行った結果を示す図である。
【図9】実施例10〜12及び比較例7の洗浄剤組成物にペーパークロマトを浸したときの到達高さとマーキングの溶解状態を観察した結果を示す図である。
【図10】実施例13〜15及び比較例8の洗浄剤組成物にペーパークロマトを浸したときの到達高さとマーキングの溶解状態を観察した結果を示す図である。
【符号の説明】
1…ドライクリーニング装置、 2…洗浄槽、
3…蒸留器。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドライクリーニング等の洗浄に適した洗浄剤組成物、及び該洗浄剤組成物を用いて衣類等の物品に洗浄を行う物品の洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば衣類等のドライクリーニングや機械部品等の洗浄を行う際に、洗浄剤として、パラフィン系炭化水素、ナフテン系炭化水素、芳香族系炭化水素等の混合物からなる石油系溶剤、パークロロエチレン等の塩素系溶剤、及びハイドロクロロフルオロカーボン類(以下、HCFCという)、ハイドロフルオロエーテル類(以下、HFEという)、ハイドロフルオロカーボン類(以下、HFCという)等のフッ素系溶剤等が主として用いられている。
【0003】
また、上記洗浄剤の他に、例えば特許文献1では、金属部品等の脱脂洗浄を行う際に用いる洗浄剤として1−ブロモプロパン組成物を開示しており、また特許文献2は、ドライクリーニング用の洗浄媒体として、1−ブロモアルカンに界面活性剤及び安定剤を含む洗浄剤組成物を開示している。
【0004】
しかしながら、上記に示した各種洗浄剤組成物のうち、例えば石油系溶剤は、比較的に安価で入手しやすいという利点を有するものの、石油系溶剤を用いて衣類等にドライクリーニングを行った場合にクリーニング後の衣類に石油系溶剤が残存しやすく、このように衣類に石油系溶剤が残存していると皮膚に火傷や肌荒れ等を生じさせやすくするといった問題があった。
【0005】
また、塩素系溶剤は、一般に上記石油系溶剤に比べて非常に高い洗浄力を示すものの、人体や環境への悪影響が指摘されている。例えば以前に使用されていた1,1,1−トリクロロエタンはオゾン層破壊を引き起こす物質であることから使用が禁止されており、またその他の塩素系溶剤についても環境に対する配慮が必要とされている。さらに、フッ素系溶剤は、上記の塩素系溶剤に比べて環境的に好ましい洗浄剤であるものの、塩素系溶剤よりも洗浄力が低いという欠点があった。
【0006】
一方、1−ブロモプロパン等の臭素系溶剤は、環境的に問題がなく、また洗浄力も高いため各種油性の汚れ等を清浄にする効果があるものの、例えば1−ブロモプロパンを用いて衣類等の物品にドライクリーニングを行った場合に、衣類に付いているボタン等の溶解、プリント柄の剥離、また染料の色落ち等を生じさせて衣類を傷めるといった問題があった。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−26897号公報
【特許文献2】
国際公開公報WO 01/53598号
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、物品を傷めずに十分な洗浄力で洗浄でき、さらには環境や人体にやさしい洗浄剤組成物を提供すること、及び該洗浄剤組成物を用いて物品に洗浄を行う物品の洗浄方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によれば、洗浄剤組成物であって、少なくとも、3〜6の炭素原子を有する1−ブロモアルカンと、シリコン系溶剤、フッ素系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤のうちの少なくとも何れか1つの洗浄用の溶剤とを含有するものであり、かつドライクリーニングを行うときに用いられるものであることを特徴とする洗浄剤組成物が提供される(請求項1)。
【0010】
このように、少なくとも、3〜6の炭素原子を有する1−ブロモアルカンと、シリコン系溶剤、フッ素系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤のうちの少なくとも何れか1つの洗浄用の溶剤とを含有し、かつドライクリーニングを行うときに用いられる洗浄剤組成物であれば、衣類等の物品にドライクリーニングを行う際にボタン等の装飾品の溶解や染料の色落ち等といった物品の傷みを生じさせず、十分な洗浄力で効果的にドライクリーニングを行うことのできる洗浄剤組成物とすることができる。特に、上記洗浄用の溶剤としてシリコン系溶剤及び/またはフッ素系溶剤を用いた場合であれば、洗浄剤組成物に塩素が含まれないようにする(または、微量にする)ことができるし、また火傷や肌荒れ等の人体への影響も無くすことができるので、環境や人体に対して非常に好適な洗浄剤組成物となる。
【0011】
また、本発明によれば、洗浄剤組成物であって、少なくとも、3〜6の炭素原子を有する1−ブロモアルカンと、シリコン系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤のうちの少なくとも何れか1つの洗浄用の溶剤とを含有するものであることを特徴とする洗浄剤組成物が提供される(請求項2)。
【0012】
このように、少なくとも、3〜6の炭素原子を有する1−ブロモアルカンと、シリコン系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤のうちの少なくとも何れか1つの洗浄用の溶剤とを含有する洗浄剤組成物であれば、物品の洗浄を物品を傷めずに十分な洗浄力で効果的に行うことのできる洗浄剤組成物とすることができる。特に、上記洗浄用の溶剤としてシリコン系溶剤を用いることによって、洗浄剤組成物に塩素が含まれず、また火傷や肌荒れ等を人体に引き起こすこともないので、環境や人体に対して非常に好適な洗浄剤組成物となる。
【0013】
このとき、前記フッ素系溶剤が、HCFC系溶剤、HFE系溶剤、HFC系溶剤、またはこれらの混合物であることが好ましく(請求項3)、また前記シリコン系溶剤が、揮発性メチルシロキサンであることが好ましく(請求項4)、さらに前記塩素系溶剤が、パークロロエチレンであることが好ましい(請求項5)。
【0014】
フッ素系溶剤、シリコン系溶剤、及び塩素系溶剤が、それぞれ上記に示したような物質からなるものであれば、1−ブロモアルカンとの相溶性が良く、1−ブロモアルカンと洗浄用の溶剤とを容易に混合することができるし、また物品を洗浄する際に装飾品の溶解、プリント柄の剥離、染料の色落ち等を適度に抑制できるので非常に安定した洗浄を行うことができる洗浄剤組成物となる。
【0015】
また、前記1−ブロモアルカンが、n−プロピルブロマイドであることが好ましい(請求項6)。
n−プロピルブロマイドは毒性が少なく安定した物質であり、本発明の洗浄剤組成物に含有される1−ブロモアルカンがn−プロピルブロマイドであれば、環境や人体にやさしい洗浄剤組成物となる。また、1−ブロモアルカンとしてn−プロピルブロマイドを用いることにより、前記洗浄用の溶剤との混合が容易であり、さらに十分な洗浄力を有しているので、非常に効果的な物品の洗浄を行うことのできる洗浄剤組成物となる。
【0016】
そして、本発明の洗浄剤組成物は、さらに界面活性剤及び/または安定剤を含有することができる(請求項7)。
このように本発明の洗浄剤組成物が界面活性剤を含有するものであれば、抱水性能(水の可溶化能)や、物品に対する柔軟性及び帯電防止性等に優れた洗浄剤組成物となる。また、洗浄剤組成物が安定剤を含有するものであれば、洗浄剤の物性を安定化させることができ、非常に品質の優れた洗浄剤組成物とすることができる。
【0017】
この場合、前記界面活性剤として、少なくとも、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、またはこれらが混合されたものを含むものであることが好ましく(請求項8)、また前記安定剤として、少なくとも、モノニトロ炭化水素、エポキシド、エーテル、ニトロメタン、ニトロエタン、1,2−ブチレンオキサイド、またはこれらが混合されたものを含むものであることが好ましい(請求項9)。
【0018】
本発明の洗浄剤組成物に含有される界面活性剤として、少なくとも、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、またはこれらが混合されたものを含むものであれば、洗浄剤組成物の抱水性能や、物品に対する柔軟性及び帯電防止性等を大きく向上させることができる。また、安定剤として上記に示したような物質を含むものであれば、洗浄剤組成物が分解したりせずに物性が一層安定化した高品質の洗浄剤組成物となる。
【0019】
そして、本発明によれば、上記本発明の洗浄剤組成物を用いて物品に洗浄を行う物品の洗浄方法を提供することができる(請求項10)。
このような本発明の物品の洗浄方法であれば、物品を傷めずに十分な洗浄力で効果的に洗浄することができるし、また環境や人体に対する悪影響を大幅に低減することができる。
【0020】
また、本発明によれば、洗浄剤を用いて物品に洗浄を行う物品の洗浄方法であって、前記洗浄剤として、少なくとも、3〜6の炭素原子を有する1−ブロモアルカンと、シリコン系溶剤、フッ素系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤のうちの少なくとも何れか1つの洗浄用の溶剤とを混合して、前記物品にドライクリーニングを行うことを特徴とする物品の洗浄方法が提供される(請求項11)。
【0021】
このように、洗浄剤として、少なくとも、3〜6の炭素原子を有する1−ブロモアルカンと、シリコン系溶剤、フッ素系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤のうちの少なくとも何れか1つの洗浄用の溶剤とを混合して衣類や織物等の物品にドライクリーニングを行うことによって、ボタン等の装飾品の溶解、プリント柄の剥離、また染料の色落ち等といった物品の傷みを生じさせずに、物品にドライクリーニングを十分な洗浄力で効果的に安定して行うことができる。特に、洗浄剤として、1−ブロモアルカンと、シリコン系溶剤及び/またはフッ素系溶剤の洗浄用の溶剤とを混合してドライクリーニングを行えば、洗浄剤に塩素が含まれないようにする(または、微量にする)ことができるので環境へ悪影響を及ぼすことがなく、また洗浄後の物品に石油系溶剤が残存することもないので火傷や肌荒れ等の人体に対する影響を示すこともない。
【0022】
さらに、本発明によれば、洗浄剤を用いて物品に洗浄を行う物品の洗浄方法であって、前記洗浄剤として、少なくとも、3〜6の炭素原子を有する1−ブロモアルカンと、シリコン系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤のうちの少なくとも何れか1つの洗浄用の溶剤とを混合して、前記物品の洗浄を行うことを特徴とする物品の洗浄方法も提供できる(請求項12)。
上記のようにして物品の洗浄を行うことによって、物品に傷みを与えずに十分な洗浄力による効果的な洗浄を安定して行うことができる。特に、洗浄剤として、1−ブロモアルカンとシリコン系溶剤とを混合して物品の洗浄を行えば、環境や人体に対して悪影響を及ぼさずに物品の洗浄を行うことができる。
【0023】
またこのとき、前記洗浄を行う物品に応じて、前記洗浄剤組成物に含有される1−ブロモアルカンと、洗浄用の溶剤の配合比を調整することが好ましい(請求項13)。
例えば、洗浄を行う物品の材質、形状、装飾品、色合い、汚れ具合等に応じて、洗浄剤組成物に含有される1−ブロモアルカンと洗浄用の溶剤との配合比を調整することによって、様々な物品に対して非常に適した洗浄条件で物品の洗浄を行う事が可能となるので、物品がどのようなものであってもそれに応じた組成とすることで傷みを生じさせることなく、物品の品質を保ちながら十分な洗浄力で効果的に洗浄を行うことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の洗浄剤組成物は、少なくとも、3〜6の炭素原子を有する1−ブロモアルカンと、シリコン系溶剤、フッ素系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤のうちの少なくとも何れか1つの洗浄用の溶剤とを含有し、かつドライクリーニングを行うときに用いられる洗浄剤組成物である。
【0025】
すなわち、本発明は、1−ブロモアルカンと他の洗浄用の溶剤を混合することによって、それぞれの溶剤が有する利点を生かし、欠点を相互に補い、高い洗浄力を維持したまま、環境性、有害性などの改善を図ることができる洗浄剤組成物を提供するものである。
【0026】
先ず、本発明の洗浄剤組成物が3〜6の炭素原子を有する1−ブロモアルカンを含有していることによって、物品に対して十分な洗浄力を有する洗浄剤組成物とすることができる。本発明において、洗浄剤組成物に含有させる1−ブロモアルカンとしては、毒性が少なく物性の安定しているn−プロピルブロマイドを用いることが特に好ましい。このようにn−プロピルブロマイドを含有させることにより、洗浄用の溶剤との混合が容易であり、また十分な洗浄力を安定して得ることができる。
【0027】
さらに、本発明の洗浄剤組成物は、シリコン系溶剤、フッ素系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤のうちの少なくとも何れか1つの洗浄用の溶剤を含有するものである。このように洗浄剤組成物にフッ素系溶剤、塩素系溶剤、シリコン系溶剤、及び石油系溶剤のうちの少なくとも1つの洗浄用の溶剤が含有されていれば、例えば衣類や織物等の物品に洗浄を行う際に、ボタン等の装飾品の溶解、プリント柄の剥離、また染料の色落ち等といった物品の傷みを抑制することができ、安定した洗浄を行うことが可能となる。
【0028】
このとき、シリコン系溶剤、フッ素系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤は、それぞれ単独で洗浄剤組成物に含有させても良いし、またこれらの洗浄用の溶剤を複数組合せて洗浄剤組成物に含有させても良い。
【0029】
特に、本発明では、上記洗浄用の溶剤としてシリコン系溶剤及び/またフッ素系溶剤を用いて洗浄剤組成物に含有させることが好ましい。塩素系溶剤は、前述のように環境への悪影響が指摘されており、また石油系溶剤は、引火性であるため洗浄装置等に防爆の設備が必要とされたり、前述したように人体に火傷や肌荒れ等を生じさる恐れがある。したがって、上記のように、洗浄用の溶剤として、一般に人体に無害なシリコン系溶剤やフッ素系溶剤を用いることにより、洗浄剤組成物に塩素が含まれないようにする(または、微量にする)ことができるので環境的に問題がなく、また火傷や肌荒れ等の人体への影響を引き起こすこともないので、環境や人体に対して非常に好適な洗浄剤組成物とすることができる。
【0030】
このような本発明の洗浄剤組成物に含有させるシリコン系溶剤、フッ素系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤は特に限定されるものではないが、例えば上記シリコン系溶剤としては、揮発性メチルシロキサンを用いることができる。この揮発性メチルシロキサンには、MM、MDM、MD2M等の直鎖シリコンやD3、D4、D5等の環状シリコンがあり、何れの物質を用いても良いが、本発明の洗浄剤組成物にシリコン系溶剤を含有させる場合、物質の安定性、1−ブロモアルカンとの相溶性の点からMD2Mの直鎖シリコンやD5の環状シリコンを用いることが特に好ましい。尚、上記に示したM及びDは、下記式に示したように、それぞれ1官能性の構造を有するM単位、2官能性の構造を有するD単位を簡略して表したものである。
【0031】
【化1】
【0032】
また、フッ素系溶剤としては、例えばHCFC系溶剤、HFE系溶剤、HFC系溶剤、またはこれらの混合物等を用いることができる。さらに、塩素系溶剤としてはパークロロエチレン等を使用することができる。一方、石油系溶剤としては、現在一般的に使用されているパラフィン系炭化水素、ナフテン系炭化水素、芳香族系炭化水素等の溶剤を用いることができる。
【0033】
洗浄剤組成物に含有させる洗浄用の溶剤が、上記に示したような物質から選択されたものであれば、1−ブロモアルカンとの相溶性が良く、1−ブロモアルカンと洗浄用の溶剤の混合を容易に行うことができるし、また物品に洗浄を行う際に装飾品の溶解、プリント柄の剥離、染料の色落ち等を抑制できるので、非常に安定したドライクリーニングを行うことができる洗浄剤組成物となる。
【0034】
このような本発明の洗浄剤組成物において、1−ブロモアルカンと洗浄用の溶剤との配合比は、洗浄対象となる物品(被洗浄物)の材質、形状、装飾品、色合い、汚れ具合等に応じて任意に調整することができ、洗浄剤組成物の洗浄力が所望のものとなるように容易に制御することができる。
【0035】
さらに、本発明の洗浄剤組成物は、界面活性剤及び/または安定剤を含有することができる。
本発明の洗浄剤組成物に含有させる界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、またはこれらが混合されたものを用いることができる。具体的には、アニオン界面活性剤としては、ジアルキルスルホコハク酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加物のアルキルエーテルサルフェート、アルカノールアミン塩のアルキルサルフェート等を用いることができ、非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等を用いることができ、またカチオン界面活性剤としては、ラウリルジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート、パルミチルジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート、ジメチルステアリル(ジヒドロキシエチル)アンモニウム−p−トルエンスルホネート、オレイルジメチルヒドロキシプロピルアンモニウムメチルサルフェート等の4級アンモニウム塩を用いることができる。
このような界面活性剤を洗浄剤組成物に例えば0.05〜2重量%程度で、好ましくは0.1〜1重量%程度で含有させることによって、洗浄剤組成物の抱水性能、物品に対する柔軟性及び帯電防止性等の特性を大きく向上させることができる。
【0036】
また、安定剤としては、モノニトロ炭化水素、エポキシド、エーテル、ニトロメタン、ニトロエタン、1,2−ブチレンオキサイド、またはこれらが混合されたもの等を用いることができる。このとき、安定剤の含有量は、洗浄する物質の材質や洗浄を行う際の洗浄条件等に応じて調節することができるが、洗浄剤組成物を安定化させる効果を得るとともに洗浄剤組成物が十分な洗浄力を維持するためには、安定剤を0.1〜10重量%程度、特に0.2〜5重量%程度で洗浄剤組成物に含有させることが好ましい。
【0037】
次に、上記のような本発明の洗浄剤組成物を用いて、物品にドライクリーニングを行う方法について図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明の洗浄方法に用いられる洗浄装置は特に限定されるものではなく、一般的に用いられているドライクリーニング装置を用いることができる。また、洗浄対象となる物品(被洗浄物)としては、スーツやドレス等の衣類、カーテンや毛布等の織物等がある。
【0038】
図1にドライクリーニングの概念図を示した。
本発明の物品の洗浄方法は、洗浄剤として、少なくとも、3〜6の炭素原子を有する1−ブロモアルカン(特に、n−プロピルブロマイド)と、シリコン系溶剤、フッ素系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤のうちの少なくとも何れか1つの洗浄用の溶剤とを混合して物品とともにドライクリーニング装置1の洗浄槽2に投入し、洗浄槽2内で物品にドライクリーニングすることによって物品の洗浄を行うものである。
【0039】
このような本発明の洗浄方法において、洗浄槽2内で物品にドライクリーニングを行う際の洗浄時間や洗浄温度等の洗浄条件は特に限定されるものではなく、通常のドライクリーニングが行われている条件、例えば0〜50℃程度の洗浄温度でおよそ1〜60分間の条件で物品にドライクリーニングを行うことによって、物品に付着している油性の汚れや水溶性の汚れ等を十分に清浄にすることができる。
【0040】
このとき、洗浄槽2に投入される洗浄剤は、例えば物品の材質、形状、装飾品、色合い、汚れ具合等に応じて、洗浄剤組成物に含有される1−ブロモアルカンと洗浄用の溶剤の配合比を任意に調整することができ、それによって物品がどのようなものであっても常に物品に最適な洗浄条件で洗浄を行うことが可能となる。したがって、物品を十分な洗浄力で効果的に洗浄できるとともに、物品に付いている装飾品の溶解、プリント柄の剥離、染料の色落ち等といった物品の傷みを生じさせずに物品の品質を安定して保ちながら洗浄を行うことができる。
【0041】
すなわち、1−ブロモアルカンと洗浄用の溶剤の配合比は特に限定されないが、例えばその配合比を1−ブロモアルカン:洗浄用の溶剤=(0.1〜99.9):(99.9〜0.1)とすることができる。一例として、セーター、ブラウス等白物、スーツ、コート等で汚れを落とすのに強い洗浄力が要求される場合等は、程度に応じて、1−ブロモアルカン(n−プロピルブロマイド)の配合量を50%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは90%以上に増加させる。この場合、ブラウス等もボタンを有するが、本発明では1−ブロモアルカン単独ではないので、これらのボタンが溶損することを防止できる。
一方、染色堅牢度の低い衣料、特殊ボタンを装着した衣料、特殊加工品等を洗浄する場合、程度に応じて、1−ブロモアルカンの配合量を90%以下、好ましくは75%以下、より好ましくは50%以下に抑え、それによって、生地を傷めずに十分な洗浄力で効果的に洗浄することができる。
【0042】
特に、本発明では、洗浄剤としてn−プロピルブロマイドとシリコン系溶剤及び/またはフッ素系溶剤とを混合して物品にドライクリーニングを行えば、洗浄剤に塩素が含まれないようにする(または、微量にする)ことができるので環境へ悪影響を及ぼさずに物品を十分な洗浄力で効果的に洗浄することができるし、また洗浄を行う際に引火の危険性がない上、洗浄された物品に石油系溶剤が残存することもないので火傷や肌荒れ等といった人体に対する影響を示すこともほとんどない。
【0043】
そして、上記のようにして物品にドライクリーニングを行った後、洗浄された物品は洗浄槽2から取り出され、また一方洗浄によって汚染した溶剤は、例えば蒸留器3等に通過させて洗浄剤と汚染物質とを分離し、その分離した洗浄剤を回収することによって再利用できる。つまり、この回収した洗浄剤を再び物品とともに洗浄層2に投入することによって洗浄剤のコストの低減を図ることができる。
【0044】
また、本発明によれば、本発明の洗浄剤組成物における別の態様として、少なくとも、3〜6の炭素原子を有する1−ブロモアルカンと、シリコン系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤のうちの少なくとも何れか1つの洗浄用の溶剤とを含有する洗浄剤組成物を提供することができる。
【0045】
この洗浄剤組成物は、前記と同様に、3〜6の炭素原子を有する1−ブロモアルカン、好ましくは毒性が少なく物性が安定しているn−プロピルブロマイドを含有していることによって、物品に対して十分な洗浄力を安定して有する洗浄剤組成物とすることができる。
【0046】
さらに、本発明の洗浄剤組成物は、前記に例示したようなシリコン系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤のうちの少なくとも何れか1つの洗浄用の溶剤を含有するものであるため、1−ブロモアルカン単独で物品に洗浄を行う際に問題となる装飾品の溶解、プリント柄の剥離、染料の色落ち等が生じるのを抑制することができ、非常に安定して物品を洗浄できる洗浄剤組成物となる。このとき、洗浄用の溶剤として、特に前記で例示した直鎖シリコンや環状シリコンのような揮発性メチルシロキサン等のシリコン系溶剤を洗浄剤組成物に含有させることにより、洗浄剤組成物に塩素が含まれないようにすることができるし、また洗浄後の物品に石油系溶剤が残存することもないので火傷や肌荒れ等の人体への影響を引き起こすこともない。したがって、環境や人体に対して非常に好適な洗浄剤組成物とすることができる。
【0047】
さらに、本発明の洗浄剤組成物は、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、またはこれらが混合された界面活性剤を含有することができ、洗浄剤組成物の抱水性能や、物品に対する柔軟性及び帯電防止性等を向上させることができる。また、本発明の洗浄剤組成物に安定剤として、モノニトロ炭化水素、エポキシド、エーテル、ニトロメタン、ニトロエタン、1,2−ブチレンオキサイド、またはこれらが混合されたものを含有させることもできる。
【0048】
そして、本発明では、上記態様の洗浄剤組成物を用いて物品に洗浄を行うことができる。
上記のような洗浄剤組成物は、衣類や織物等のドライクリーニングを行うときに使用できるだけでなく、例えば各種金属部品、精密機械部品、及びプラスチックやセラミックス製の様々な部品等を洗浄する際にも好適に用いることができるものである。
【0049】
このとき、洗浄組成物における3〜6の炭素原子を有する1−ブロモアルカンと、シリコン系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤のうちの少なくとも何れか1つの洗浄用の溶剤との配合比は、洗浄対象となる物品(被洗浄物)の材質、形状、汚れ具合等に応じて任意に調整することができる。
このように物品に洗浄を行う際に、1−ブロモアルカンと洗浄用の溶剤とを物品に応じて調整された配合比で混合して物品を洗浄することによって、常に物品に最適な洗浄条件で洗浄を行うことが可能となり、物品に溶解や色落ち等を生じさせずに、十分な洗浄力で効果的に物品の洗浄を行うことができる。
【0050】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1〜9)
先ず、1−ブロモアルカンとフッ素系溶剤とを含有する洗浄剤組成物を作製した後、得られた洗浄剤組成物に油性のマジックインクでマーキングしたペーパークロマトの一端を浸して放置したときの洗浄剤組成物の到達高さと油性汚れ(マーキング)の溶解状態を観察することによって、その洗浄剤組成物の洗浄力について評価を行った。
【0051】
1−ブロモアルカンとしてはn−プロピルブロマイド(以下、n−PBと略記する)を準備し、またフッ素系溶剤としてHCFC系溶剤であるアサヒクリンAK225(旭硝子株式会社製、HCFC−225)、HFE系溶剤であるHFE−S7(ダイキン工業株式会社製、HFE−347p−cf)、HFC系溶剤であるソルカン(日本ソルベイ株式会社製、HFC−365mfc)をそれぞれ用意した。そして、n−PBと、HCFC、HFE、またはHFCの各フッ素系溶剤とを混合割合(n−PB:フッ素系溶剤)が、75:25、50:50、25:75となるように混合して、それぞれのフッ素系溶剤で3種類ずつの計9種類の洗浄剤組成物を作製した(実施例1〜9)。実施例1〜9の洗浄剤組成物におけるn−PBとフッ素系溶剤の配合比を下記の表1に示す。
【0052】
このようにして作製した洗浄剤組成物(実施例1〜9)をそれぞれメスシリンダーに10mlずつ入れた後、各洗浄剤組成物にマジックインクにより1cm間隔でマーキング(油性の汚れ)が施されたペーパークロマト(東洋ろ紙製のFilter Paper ChromatoGraphy 50)の一端を浸して、室温にて100分間放置した。このとき、洗浄剤組成物の蒸発を防ぐためにメスシリンダーの口を塞いだ。
【0053】
その後、ペーパークロマトをメスシリンダーから取り出して、各洗浄剤組成物がペーパークロマトに染み込んだ高さ(ペーパークロマトの到達点)を測定し、またペーパークロマトに施されたマーキングの溶解状態を目視にて観察した。
【0054】
尚、今回の実験に使用したペーパークロマトの素材は、綿、麻、レーヨン等の天然植物性繊維の主材であるセルロース繊維である。したがって、上記で測定したペーパークロマトの到達点は、洗浄剤組成物とセルロース繊維の親和力、浸透力に正比例し、洗浄剤組成物の液密度に反比例するものと考えられ、洗浄剤組成物が衣類等に拡散する能力である拡散能力を示すものである。また、ペーパークロマトに施されたマーキングの溶解状態を観察することにより、洗浄剤組成物が汚れを落とすときの溶解力を調べることができる。そして、このように洗浄剤組成物の拡散能力及び溶解力を調べることによって、洗浄剤組成物の洗浄力を評価することができる。
【0055】
(比較例1〜6)
比較例として、n−PBが100%の洗浄剤(比較例1)、従来洗浄剤として用いられている上記のHCFC系溶剤であるアサヒクリンAK225(比較例2)、HFE系溶剤であるHFE−S7(比較例3)、HFC系溶剤であるソルカン(比較例4)、さらに塩素系溶剤であるパークロロエチレン100%の洗浄剤(比較例5)、日本石油株式会社製の石油系溶剤であるニューソルDX(比較例6)を使用して、各洗浄剤組成物の洗浄力について評価を行った。
【0056】
これらの洗浄剤(比較例1〜6)を、上記実施例1〜9と同様に、それぞれメスシリンダーに10mlずつ入れた後、各洗浄剤にマジックインクにより1cm間隔でマーキングが施されたペーパークロマトの一端を浸して、室温にて100分間放置した。その後、ペーパークロマトをメスシリンダーから取り出して、各洗浄剤におけるペーパークロマトの到達点を測定し、またペーパークロマトに施されたマーキングの溶解状態を目視にて観察した。
【0057】
以上のような実験を、実施例1〜9及び比較例1〜6の各洗浄剤組成物に対してそれぞれ7回ずつ行い、各洗浄剤組成物におけるペーパークロマトの到達点の平均値を下記表1に示し、また図2〜図5にペーパークロマトに施されたマーキングの溶解状態を観察した結果を示す。
【0058】
【表1】
【0059】
始めに、実施例1〜3で測定されたペーパークロマトの到達点を比較してみると、上記表1に示したように、n−PBとフッ素系溶剤との配合比が変化することによりペーパークロマトの到達点も変化しており、n−PBの配合比を増加させることによって、洗浄剤組成物の拡散能力を増大させることができることがわかる。この結果から、n−PBとフッ素系溶剤の配合比を調整することによって洗浄剤組成物が有する拡散能力を所望の大きさに制御することができ、例えばn−PBを75%程度で洗浄剤組成物に含有させることによって、本発明の洗浄剤組成物の拡散能力を比較例5の塩素系溶剤や比較例6の石油系溶剤と同程度の大きさに制御できることが確認できる。
【0060】
また、図2にHCFC系溶剤を用いた実施例1〜3の溶解状態を示したように、洗浄剤組成物におけるn−PBとフッ素系溶剤との配合比を調節することによって洗浄剤組成物が有する溶解力を制御でき、n−PBの配合比を大きくする程その溶解力を大きくすることができることがわかる。
【0061】
このようなn−PBとフッ素系溶剤の配合比を調整することによって拡散能力及び溶解力を制御できることは、上記HCFC系溶剤の場合だけでなく、HFE系溶剤を含有させた実施例4〜6及びHFC系溶剤を含有させた実施例7〜9に関しても、表1及び図3、図4に示した結果から同様に確認することができた。
【0062】
以上のように、n−PBとフッ素系溶剤を含有した本発明の洗浄剤組成物であれば、n−PBとフッ素系溶剤の配合比を変えることによりその洗浄剤組成物が有する拡散能力及び溶解力の大きさを制御することができる。すなわち、本発明の洗浄剤組成物は、物品の洗浄を行う際に、物品に応じて洗浄剤組成物の洗浄力を制御することが可能となり、物品を傷めずに十分な洗浄力で効果的に洗浄できるものとすることができることが上記の実験結果から確認することができる。
【0063】
それに対して、比較例1〜6の洗浄剤は、何れも一種類の溶剤で作製されているものであるため、物品を洗浄する際に物品に応じて洗浄力を調整することができないものである。そのため、例えばn−PBが100%である比較例1の洗浄剤は、上記表1にペーパークロマトの到達点を示したように拡散能力が非常に高く、また図2にマーキングの溶解状態を示したように溶解力も非常に大きいため、洗浄力は高いが、物品に付いている装飾品の溶解や染料の色落ち等といった問題を引き起こしやすいものであることがわかる。
【0064】
また、HCFC系溶剤が100%の比較例2は、上記表1及び図2に示したように、拡散能力及び溶解力がともに小さく、n−PBとHCFC系溶剤とを含有している実施例1〜3に比べて洗浄力に劣っていることがわかる。また同様に、HFE系溶剤が100%の比較例3及びHFC系溶剤が100%の比較例4も、図3、図4から明らかであるように、それぞれ実施例4〜6及び実施例7〜9の洗浄剤組成物に比べて洗浄力に劣っていることがわかる。また、比較例5の塩素系溶剤及び比較例6の石油系溶剤は、表1に示したように、拡散能力が比較的優れているものの、図5に示したように溶解力が小さく、例えば実施例1のような本発明の洗浄剤組成物と比べて洗浄力に劣るものであることが容易に確認できる。
【0065】
次に、上記で作製した実施例1〜6及び比較例1〜3、5、6の洗浄剤組成物を用いて綿赤色布及び綿ジーンズ生地に実際に洗浄を行った後、洗浄後の脱色液を透過率計で測定することによって、各洗浄剤組成物による脱色の程度(色落ち具合)を評価した。透過率計で測定された各洗浄剤組成物の透過率について、図6に綿赤色布を洗浄したときの測定結果を、また図7に綿ジーンズ生地を洗浄したときの測定結果を示す。
【0066】
図6及び図7に示したように、実施例1〜6の本発明の洗浄剤組成物は、比較例5の塩素系溶剤と同等またはそれよりも高い透過率を示しており、フッ素系溶剤の配合比が大きくなるほど物品を洗浄する際の物品の色落ちを低減できることがわかる。一方、n−PBが100%の比較例1の透過率は、綿赤色布及び綿ジーンズ生地を洗浄した場合とも小さく、物品の色落ちが大きいことがわかる。
【0067】
続いて、上記で作製した実施例6及び比較例1の洗浄剤組成物を用いて、衣服のボタン等の材料として広く使用されているアクリル樹脂のダメージ試験を行った。先ず、50mm×30mm×3mmの大きさに裁断したアクリル樹脂の小片を2枚用意し、このアクリル樹脂の小片をそれぞれ実施例6及び比較例1の洗浄剤組成物に室温(22℃)で4時間浸漬した。その後、各洗浄剤組成物からアクリル樹脂片を取り出して純水洗浄を行った後、目視観察を行って2枚のアクリル樹脂片のダメージの大きさ(溶解具合)を比較した。図8に、実施例6及び比較例1の洗浄剤組成物を用いてアクリル樹脂片のダメージ試験を行った結果を示す。
【0068】
図8に示したように、実施例6の洗浄剤組成物に浸漬したアクリル樹脂の場合、アクリル樹脂片の周辺部に観察される樹脂の溶解は小さく、またアクリル樹脂片の表面に形成された傷も少ないことから、アクリル樹脂が受けたダメージは小さいことがわかる。一方、比較例1の洗浄剤組成物に浸漬したアクリル樹脂片は、その周辺部で多くの溶解が見られ、またアクリル樹脂片の表面には多くの傷(クラック)が観察されることから、アクリル樹脂が受けたダメージは非常に大きいことがわかる。以上の結果から、実施例6の洗浄剤組成物は、比較例1の洗浄剤組成物に比べてアクリル樹脂の溶解を抑制し、アクリル樹脂が受けるダメージを低減していることがわかる。
【0069】
以上に示したように、本発明の洗浄剤組成物は、従来用いられているフッ素系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤のみの洗浄剤よりも高い洗浄力を示すと同時に、n−プロピルブロマイドの洗浄剤で問題となるような物品の色落ち、装飾品の溶解等を抑制できるので、物品を傷めずに十分な洗浄力で効果的に洗浄することができる。
【0070】
(実施例10〜15、比較例7、8)
次に、1−ブロモアルカンとシリコン系溶剤とを含有する洗浄剤組成物を作製し、その後上記の実施例1〜9と同様に、マジックインクでマーキングされたペーパークロマトの一端を浸して放置し、洗浄剤組成物の到達高さとマーキングの溶解状態を観察することによって各洗浄剤組成物の洗浄力を評価した。
【0071】
洗浄剤組成物を作製するに際し、1−ブロモアルカンとしてn−PBを準備し、またシリコン系溶剤として、D5の環状シリコン、及び菱重産業機械エンジニアリング株式会社製のダイヤシリコーン(MD2Mの直鎖シリコン)を用意した。そして、これらを混合割合(n−PB:シリコン系溶剤)が、75:25、50:50、25:75となるように混合して、環状シリコン及び直鎖シリコンのそれぞれで3種類ずつの計6種類の洗浄剤組成物を作製した(実施例10〜15)。下記表2に各洗浄剤組成物の配合比を示す。また、比較のため、D5の環状シリコン100%の洗浄剤(比較例7)、MD2Mのダイヤシリコーン(比較例8)を準備した。
【0072】
このようにして作製した洗浄剤組成物(実施例10〜15、比較例7、8)をそれぞれメスシリンダーに10mlずつ入れた後、前記と同様に、各洗浄剤組成物にペーパークロマトの一端を浸して室温にて100分間放置した。その後、ペーパークロマトをメスシリンダーから取り出して、各洗浄剤組成物におけるペーパークロマトの到達点を測定し、またペーパークロマトに施されたマーキングの溶解状態を目視にて観察した。
以上のような実験を6回行い、ペーパークロマトの到達点の平均値を下記表2に示し、またペーパークロマトに施されたマーキングの溶解状態を観察した結果を図9及び図10に示す。
【0073】
【表2】
【0074】
上記表2及び図9、図10に示した結果から、n−PBと環状シリコンとを含有する洗浄剤組成物も、n−PBと直鎖シリコンとを含有する洗浄剤組成物も、配合比を変えることにより拡散能力及び溶解力の大きさを制御することができるものであることが確認できる。すなわち、1−ブロモアルカンとシリコン系溶剤とを含有する洗浄剤組成物も、前記フッ素系溶剤を含有させた洗浄剤組成物と同様に、物品に応じて洗浄力を制御することが可能となり、物品を傷めずに十分な洗浄力で効果的に洗浄できる洗浄剤組成物とすることができることがわかる。
【0075】
それに対して、環状シリコンのみからなる比較例7及び直鎖シリコンのみからなる比較例8の洗浄剤組成物は、どちらも一種類の溶剤で作製されているものであるため、物品を洗浄する際に物品に応じて洗浄力を調整することができないものであり、また本発明の洗浄剤組成物に比べて、表2に示したように拡散能力が低く、また図9及び図10に示したように溶解力も小さいため、洗浄力に劣るものであることがわかる。
【0076】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0077】
例えば上記実施例では、1−ブロモアルカンとフッ素系溶剤とを含有する洗浄剤組成物、及び1−ブロモアルカンとシリコン系溶剤とを含有する洗浄剤組成物について説明を行っているが、本発明はこれらに限定されるものではなく、1−ブロモアルカンと塩素系溶剤を含有したもの、1−ブロモアルカンと石油系溶剤を含有したもの、及びこれらの洗浄用の溶剤を組合せて1−ブロモアルカンと含有させた洗浄剤組成物も同様な結果を得ることができ、上記本発明の効果を奏することができるものである。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の洗浄剤組成物は、物品を傷めずに十分な洗浄力で効果的に洗浄することのできる洗浄剤組成物であり、また環境に悪影響を与えず、人体に対して火傷や肌荒れ等を引き起こすことも少ないので、環境や人体にとって非常にやさしい洗浄剤組成物となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ドライクリーニングの一例を示す概念図である。
【図2】実施例1〜3及び比較例1、2の洗浄剤組成物にペーパークロマトを浸して放置したときの到達高さとマーキングの溶解状態を観察した結果を示す図である。
【図3】実施例4〜6及び比較例3の洗浄剤組成物にペーパークロマトを浸して放置したときの到達高さとマーキングの溶解状態を観察した結果を示す図である。
【図4】実施例7〜9及び比較例4の洗浄剤組成物にペーパークロマトを浸して放置したときの到達高さとマーキングの溶解状態を観察した結果を示す図である。
【図5】比較例5、6の洗浄剤組成物にペーパークロマトを浸して放置したときの到達高さとマーキングの溶解状態を観察した結果を示す図である。
【図6】実施例1〜6及び比較例1〜3、5、6の洗浄剤組成物を用いて綿赤色布に洗浄を行った後の各洗浄剤組成物の透過率を測定した測定結果を示すグラフである。
【図7】実施例1〜6及び比較例1〜3、5、6の洗浄剤組成物を用いて綿ジーンズ生地に洗浄を行った後の各洗浄剤組成物の透過率を測定した測定結果を示すグラフである。
【図8】実施例6及び比較例1の洗浄剤組成物を用いて、アクリル樹脂のダメージ試験を行った結果を示す図である。
【図9】実施例10〜12及び比較例7の洗浄剤組成物にペーパークロマトを浸したときの到達高さとマーキングの溶解状態を観察した結果を示す図である。
【図10】実施例13〜15及び比較例8の洗浄剤組成物にペーパークロマトを浸したときの到達高さとマーキングの溶解状態を観察した結果を示す図である。
【符号の説明】
1…ドライクリーニング装置、 2…洗浄槽、
3…蒸留器。
Claims (13)
- 洗浄剤組成物であって、少なくとも、3〜6の炭素原子を有する1−ブロモアルカンと、シリコン系溶剤、フッ素系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤のうちの少なくとも何れか1つの洗浄用の溶剤とを含有するものであり、かつドライクリーニングを行うときに用いられるものであることを特徴とする洗浄剤組成物。
- 洗浄剤組成物であって、少なくとも、3〜6の炭素原子を有する1−ブロモアルカンと、シリコン系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤のうちの少なくとも何れか1つの洗浄用の溶剤とを含有するものであることを特徴とする洗浄剤組成物。
- 前記フッ素系溶剤が、HCFC系溶剤、HFE系溶剤、HFC系溶剤、またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の洗浄剤組成物。
- 前記シリコン系溶剤が、揮発性メチルシロキサンであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の洗浄剤組成物。
- 前記塩素系溶剤が、パークロロエチレンであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の洗浄剤組成物。
- 前記1−ブロモアルカンが、n−プロピルブロマイドであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の洗浄剤組成物。
- さらに界面活性剤及び/または安定剤を含有するものであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の洗浄剤組成物。
- 前記界面活性剤として、少なくとも、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、またはこれらが混合されたものを含むものであることを特徴とする請求項7に記載の洗浄剤組成物。
- 前記安定剤として、少なくとも、モノニトロ炭化水素、エポキシド、エーテル、ニトロメタン、ニトロエタン、1,2−ブチレンオキサイド、またはこれらが混合されたものを含むものであることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の洗浄剤組成物。
- 請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の洗浄剤組成物を用いて物品に洗浄を行う物品の洗浄方法。
- 洗浄剤を用いて物品に洗浄を行う物品の洗浄方法であって、前記洗浄剤として、少なくとも、3〜6の炭素原子を有する1−ブロモアルカンと、シリコン系溶剤、フッ素系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤のうちの少なくとも何れか1つの洗浄用の溶剤とを混合して、前記物品にドライクリーニングを行うことを特徴とする物品の洗浄方法。
- 洗浄剤を用いて物品に洗浄を行う物品の洗浄方法であって、前記洗浄剤として、少なくとも、3〜6の炭素原子を有する1−ブロモアルカンと、シリコン系溶剤、塩素系溶剤、及び石油系溶剤のうちの少なくとも何れか1つの洗浄用の溶剤とを混合して、前記物品の洗浄を行うことを特徴とする物品の洗浄方法。
- 前記洗浄を行う物品に応じて、前記洗浄剤組成物に含有される1−ブロモアルカンと、洗浄用の溶剤の配合比を調整することを特徴とする請求項11または請求項12に記載の物品の洗浄方法。
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