JP2961095B2 - 布帛用しみ抜き剤 - Google Patents

布帛用しみ抜き剤

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JP2961095B2 JP35018097A JP35018097A JP2961095B2 JP 2961095 B2 JP2961095 B2 JP 2961095B2 JP 35018097 A JP35018097 A JP 35018097A JP 35018097 A JP35018097 A JP 35018097A JP 2961095 B2 JP2961095 B2 JP 2961095B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、布帛に付着したし
み(汚れ)を除去するためのしみ抜き剤(以下、布帛用
しみ抜き剤という。)に関するものである。特に、本発
明は、引火性である1−ブロモプロパン(n−プロピル
ブロマイド、以下、NPBと略記することがある。)を
主剤としつつ特定の難燃化剤により難燃化したことを特
徴とする洗浄力、安全性などの特性に優れたNPB系布
帛用しみ抜き剤に関するものである。
【0002】また、本発明は、前記NPBと特定の難燃
化剤とから成る布帛用しみ抜き剤に対して低級脂肪族ア
ルコールを配合したことを特徴とする洗浄力、安全性な
どの特性に優れたNPB系布帛用しみ抜き剤に関するも
のである。
【0003】
【従来の技術】布帛用しみ抜き剤、例えば縫製工場にお
けるミシン油の飛散などによるしみを除去するためのし
み抜き剤は、作業環境が開放系であるため、洗浄力以外
に、難燃性であること、人体に対し低毒性であること、
及びオゾン破壊係数(ODP)が小さいことが強く要求
されている。この種のしみ抜き用溶剤として、特定フロ
ン及び塩素系溶剤が使用されているが、これらは洗浄力
が優れているものの、前記ODPの観点から生産及び使
用制限がなされており、これらに代る代替溶剤の開発が
強く望まれている。
【0004】周知のように洗浄用代替溶剤として、HC
FC(Hydro Chloro Fluoro Carbon)及びHFC(Hydr
o Fluoro Carbon)などの代替フロンが提案されている
が、これら代替フロンのうちODPが0.1以下のもの
は洗浄力が小さく、また洗浄力が大きいものはODP規
制から使用量が制限されつつある。更にこれら代替フロ
ンは、一般に沸点が低く、単独では洗浄剤として不向き
なものが多く、70℃前後に沸点を示す代替溶剤の開発
が強く望まれている現状にある。
【0005】前記特定フロンに代わる代替洗浄溶剤とし
て、ジクロルプロパンあるいはイソプロピルブロマイド
(2−ブロモプロパン、以下、IPBと略記することが
ある。)が注目されているが、近年、その毒性が明らか
となり、健康障害防止のために使用ができなくなりつつ
ある。
【0006】また、前記特定フロンに代わる代替洗浄用
溶剤として、臭素系炭化水素、例えば前記IPBと同類
の1−ブロモプロパン(NPB)が注目されている。前
記NPBが洗浄用溶剤として注目されている理由は、脱
脂効果に優れるとともに、ODP(オゾン破壊係数)が
0.006と極めて小さいこと、かつ人体への影響につ
いても米国環境保護庁(EPA)において評価されつつ
あるためである。
【0007】しかしながら、前記NPB系洗浄用溶剤の
最大の問題点は、引火点(JISK−2265、タグ密
閉方式引火点測定試験)が25℃と低く、可燃性物質で
あるという点にある。なお、前記したNPBの特性、即
ち、引火点が25℃と低くかつ、可燃性物質であるとい
う事実は、本発明者らによる公的機関(例えば、大阪市
立工業研究所)での測定、及び「12,695の化学商
品」(化学工業日報社発行、1995年1月25日、第
773頁)(この刊行物は、12,695種類の化学商
品の特性等を説明している。)の説明と一致するもので
ある。
【0008】前記したNPBの特性を念頭にいれて、従
来から提案されているNPB系洗浄用溶剤について、以
下に考察する。
【0009】洗浄剤業界において、「NPBは引火点を
示さない難燃性物質」であるとの認識が強く存在し、こ
れを前提にした提案が以下に示されるように多くなされ
ている。例えば、NPBが前記したように可燃性物質で
あるにも拘わらず、これに可燃性の安定剤を添加した
り、あるいは可燃性洗浄用溶剤の難燃化剤としてNPB
を利用したりする提案がなされており、これらは極めて
危険な提案であるといわざるを得ない。因みに、現在、
国内に流通しているNPB単独あるいはNPBに安定剤
を添加した製品についてみると、製品を取扱っている三
社の「製品安全データ」は、「引火点なし」と記載して
いる。
【0010】(1).特開平6−22094号公報、同7−
150197号公報、同8−67643号公報、同8−
337795号公報には、NPB系洗浄用溶剤の安定化
のために、NPBを難燃性であるとして位置づけし、こ
れに全て可燃性物質からなる安定剤を配合することが提
案されている。例えば、前記特開平8−676743号
公報は、可燃性のエーテル化合物を安定剤として10%
以上添加するとNPBの難燃性が低下するとしており、
これはNPBが難燃化剤の特性を有しているとみなして
いるものである。
【0011】(2).また、特開平7−292393号公報
は、炭素数4以下で沸点100℃以下のハロゲン系溶剤
(例えばIPB、NPBなど)と防錆剤からなる洗浄
剤、特にはんだ付け後のフラックス残渣の除去能に優れ
た洗浄剤を提案している。この提案においても、NPB
が引火点がなく、自己消火性であるとしている。
【0012】(3).更に、特開平8−302316号公報
は、洗浄用溶剤の用途とは異なるものであるが、NPB
及び/又はIPBを接着剤用溶剤とするものであり、こ
れは大気汚染性、労働安全性、オゾン層破壊などの観点
から、従来型の揮発引火性溶剤や塩素系溶剤に代わって
NPB及び/又はIPBを使用すものである。しかしな
がら、この提案においても、溶剤系を難燃性にするとい
う観念はない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】前記したように、従来
からNPBを洗浄用溶剤として利用するという提案がな
されているが、NPBは実際には25℃と極めて低い引
火点を有するものであり、当業者は、無関心というより
も、逆にタグ密閉式引火点の測定試験における上限値、
80℃よりも高い引火点を有する物質である、と認識し
ている危険な状態にある。
【0014】本発明は、前記した当業界のNPBに対す
る認識レベル及びそれに基づく危険な利用技術に反省を
せまり、NPBの特性を十分に生かしつつ洗浄力、安全
性などの特性に優れたNPB系の布帛用しみ抜き剤を提
供しようとするものである。即ち、本発明は、NPBが
洗浄力、ODP、労働安全性を十分に満足する物質であ
るものの、引火性であるため、その使用に際しては厳し
い制限が必要であることに鑑み、より安全なNPB系の
布帛用しみ抜き剤を提供しようとするものである。
【0015】特に、本発明は、布帛用しみ抜き剤の使用
態様に鑑み、具体的には縫製工業におけるミシン油の飛
散によるしみの除去作業が開放系でかつマニュアル(手
作業)で行われていることに鑑み、かつ、引火点が実際
には25℃という極めて可燃性のNPBを引火点が80
℃以上の難燃性物質であると錯覚する状況に置かれてい
る当業界の現状に鑑み、NPBのより安全な使用(利
用)を図り、かつNPBの優れた洗浄力を利用したNP
B系の布帛用しみ抜き剤を提供しようとするものであ
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明の第一(請求項1)の発明は、布帛用しみ抜き剤
が、 (1).主剤としての1−ブロモプロパン(n−プロピルブ
ロマイド)、及び、 (2).副剤としての塩素・フッ素炭化水素化合物(HCF
C)及びフッ化アルコールから選ばれた少なくとも1種
の化合物から成り、かつ、沸点が20℃以上〜100℃
以下であるとともに、引火点を示さない難燃化剤、とか
ら成り、かつ、 (3).前記難燃化剤が、組成全体が引火点を示さない割合
に配合されて成ること、を特徴とする1−ブロモプロパ
ン系布帛用しみ抜き剤に関する。
【0017】また、本発明の第二(請求項2)の発明
は、布帛用しみ抜き剤が、 (1).主剤としての1−ブロモプロパン(n−プロピルブ
ロマイド)、 (2).副剤としての塩素・フッ素炭化水素(HCFC)及
びフッ化アルコールから選ばれた少なくとも1種の化合
物から成り、かつ、沸点が20℃以上〜100℃以下で
あるとともに、引火点を示さない難燃化剤、及び、 (3).副剤としての低級脂肪族アルコール、とから成り、
かつ、 (4).前記難燃化剤が、組成全体が引火点を示さない割合
に配合されて成ること、を特徴とする1−ブロモプロパ
ン系布帛用しみ抜き剤に関する。
【0018】以下、本発明の技術的構成及び実施態様に
ついて詳しく説明する。
【0019】まずはじめに、本発明の技術的構成を詳述
する前に、本発明の理解を助けるために、特定フロン対
策との関連において洗浄剤の開発がどのようにして進め
られて来たのかを、代表的な洗浄剤の利用分野について
考察することにする。
【0020】(1).洗浄剤の第一の利用分野として、特定
フロン対策に早くから対応してきた、電子部品の製造時
に使用される洗浄剤がある。特に、米国において、特定
フロン及び塩素化炭化水素を電子部品の製造時に使用し
た場合に、「Caution Mark」の表示義務が必要とされ、
及びこれら特定フロンが多量に使用されていたため、そ
の低減化努力が強く望まれた。電子部品工場では、自動
化が進んでおり、かつ、密閉(クローズド)化のもとで
の加熱や乾燥方式が採用できるため、水系洗浄剤への変
更、非フロン、非塩素系溶剤を併用した共沸組成物の開
発によるODP対策がなされて来た。
【0021】(2).洗浄剤の第2の分野として、アパレル
を対象としたクリーニング用洗浄剤がある。この利用分
野においても密閉式もしくは水系洗浄剤への変更により
対応してきたが、ODP、毒性、引火性の全てを満足す
るものは得られていない。
【0022】本発明は、洗浄剤の利用分野において最も
対応が遅れ、かつ緊急の対応が待たれるしみ抜き作業に
適用される繊維や布帛のしみ抜き剤、なかでも縫製時に
発生するミシン油の飛散による汚れ(しみ)に接触さ
せ、輪じみの発生や染色の色落ちを防止し、しわを残さ
ずに、新製品同様に仕上げることができる高性能のしみ
抜き溶剤として、NPB系布帛用しみ抜き剤を提供する
ものである。
【0023】布帛のしみ抜き剤の分野において、ODP
(オゾン破壊係数)、毒性、引火性などの観点から高性
能の布帛用しみ抜き剤が要求される理由は、以下の通り
である。前記した縫製工業の「しみぬき」作業は、2次
洗浄、乾燥工程を設けることが不可能であるため、洗浄
用溶剤の乾燥速度が極めて重要な因子となる。また、縫
製工業は中小企業が多く、自動化が遅れており、たとえ
大規模工場においても、前記した「しみぬき」作業は、
目視により各しみ毎に手作業(マニュアル)で行うのが
現状である。そして、前記「しみぬき」作業を省力化す
るための「しみぬき装置」は改善されつつあるが、これ
まで長い間、洗浄剤として作業環境を汚染しやすいにも
拘らず、特定フロンと塩素系溶剤であるトリクロロエタ
ンに依存してきた。前記特定フロンなどの洗浄剤は、1
995以降、製造中止になっており、入手不可能な現状
であり、このため引火性の危険を承知で石油系溶剤を併
用する等の状況にあり、当業界において安全な代替布帛
用しみ抜き剤の開発が強く望まれている。
【0024】いうまでもないことであるが、本発明は、
前記ニーズに答えようとするものである。以下、本発明
の技術的構成を説明する。
【0025】本発明のNPB系布帛用しみ抜き剤におい
て、主たる溶剤成分(主剤)となるNPBは、引火点が
25℃と極めて低いものの、発火点が490℃と高く、
引火性さえ効果的に抑制されれば、常用される雰囲気で
は不燃に近い難燃性物質とみなされるものである。この
点が本発明の着眼点になっていることはいうまでもない
ことである。
【0026】本発明のNPB系布帛用しみ抜き剤は、前
記したNPB成分に対して特定の難燃化剤を配合して構
成されるものである。
【0027】本発明において、「難燃性」とは、「JI
S K−2265」に基づくタグ密閉式引火点測定試験
法により、「引火点」を示さない性質をいう。前記試験
法においては、80℃以上の引火性物質の測定は困難で
あるため、「引火点なし」として表示されることがあ
る。従って、本発明の難燃性物質あるいは難燃化剤は、
実質上、80℃以上の引火点を有する難燃性または不燃
性物質により構成されるものである。なお、消防法の危
険物の定義によると、引火点が71℃以上のものは危険
度の低い第三石油類に分類されており、これらの危険物
は、特殊な環境以外においては70℃以下の雰囲気下で
使用されなければならないものである。
【0028】本発明のNPB系布帛用しみ抜き剤におい
て、前記難燃化剤は、沸点が20℃以上、かつ100℃
以下であるとともに、引火点を示さないものが好適に使
用される。
【0029】また、本発明は、難燃性の改善を図るとと
もに、環境面からの社会的ニーズを満たすために、オゾ
ン破壊係数(ODP)の低減化を図るため、洗浄剤とし
てのODP値を0.1以下、好ましくは0.05以下に
することを目標としている。このため、前記難燃化剤
は、前記したODP値を達成するように、その種類及び
配合量が決定されるべきである。前記難燃化剤のODP
値から見た選択は、難燃化効果、即ち配合量により制限
されるが、一応の目安として、NPBのODP値が0.
006であるので、難燃化剤として0.3以下、好まし
くは0.1以下のODP値を有するものが好適に使用さ
れる。
【0030】本発明において、前記難燃化剤の沸点を2
0℃以上、100℃以下とした理由は、NPBの引火点
が25℃であるため、25℃付近でNPBの蒸気を難燃
化する程度に気化することが必要であり、また、蒸気圧
にもよるが50℃付近の沸点のものが有効に作用するこ
とが好ましいためである。一方、沸点が20℃以下であ
ると夏期等の高温時に気化が激しく、NPBと共沸する
ことがなく難燃化剤が先に蒸散して難燃効果が消失しや
すく、更に密閉容器での貯蔵時に内圧が上昇して危険で
あるためである。
【0031】また、難燃化剤の沸点を100℃以下にし
た理由は、NPBの沸点が71℃であること、かつ沸点
が100℃以上のものは輪じみの原因になるためであ
る。
【0032】本発明において、特に前記輪じみ防止の観
点から、高沸点サイドの難燃化剤及びその多量の使用は
避けるべきである。また、本発明において、沸点の低い
難燃化剤のみでの難燃化処方では、先に低沸点の難燃化
剤が揮発してしまうため、難燃化剤の沸点の共なる成分
を2種併用して共沸組成に近付けるのが好ましい。しか
しながら、本発明の布帛用しみ抜き剤は、NPB成分が
490℃という高い発火点をもつことを利用して、実質
上、発火点温度を300℃以上にすることができるた
め、引火性を効果的に抑制することができれば、安全性
が高められるので、特に共沸組成のものでなくても良い
ものである。なお、電子部品材料用の洗浄剤において
は、洗浄効果の均質化の観点から共沸組成のものが好ま
れている。
【0033】前記性質を有する難燃化剤としては、例え
ば、代替フロンに属する物質であるHCFC(Hydro Ch
loro Fluoro Corbon)及びフルオロアルコール類が有用
である。前記HCFC及びフルオロアルコール類の具体
例を下記の表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】本発明において、HCFC及びフルオロア
ルコール類で構成される難燃化剤は、前記表1に示した
5種の化合物のものに限定されない。即ち、難燃化剤と
して、前記した沸点、引火点及びODP値を有する他の
HCFC及びフルオロアルコール類を使用できることは
いうまでもないことである。本発明において、前記表1
に示される5種の難燃化剤は、これらを単独もしくは2
種以上の混合物として使用することができる。なお前記
5種の難燃化剤のうち、最も入手可能なものはHCFC
141bである。
【0036】本発明の第一(請求項1)の発明のNPB
系布帛用しみ抜き剤は、前記NPB成分と単独系もしく
は複合系の難燃化剤成分とを単純に混合することにより
調製される。本発明において、難燃化剤の混合割合の下
限値は、難燃化剤の種類にもよるが、「重量%」表示
(以下、同じ)で5%以上、好ましくは10%以上で難
燃化効果を得ることができる。本発明において、難燃化
剤の混合割合の上限値は、所望に設定すればよい。一般
的な上限値の目安としては、難燃化剤の比重が大きいこ
と、油類の溶解性を示すカウリブタノール(Kauri Buta
nol)(KB値)がNPBの125に対して50以下の
ものが多く、洗浄効果が小さいこと、かつ高価であるこ
と、などを総合評価して上限値を70%以下に設定すれ
ばよい。
【0037】前記したことから、本発明において、難燃
化剤の混合割合は、10〜60%が好ましいものであ
る。本発明の第一(請求項1)の発明のNPB系布帛用
しみ抜き剤において、前記難燃化剤の混合割合の上限値
及び下限値は、溶剤組成物全体が引火点を示さないよう
に決定されることはいうまでもないことである。この点
は、後述する第二(請求項2)の発明のNPB系布帛用
しみ抜き剤においても同じである。
【0038】前記した本発明の第一(請求項1)の発明
のNPB及び難燃化剤からなる布帛用しみ抜き剤の特異
性について、以下に説明する。 (1).まず、NPBとトリクロロエタン(C23cl3;T
CE)の洗浄力を評価した。なお、洗浄力の評価は、布
帛に付着したミシンのギアオイル(出願人社製、ATF
オイル。ピンク色)によるしみに対するしみ抜き効果に
より評価した。本発明の布帛用しみ抜き剤の主成分(主
剤)であるNPB成分と現在までの主力製品であったT
CEの特性を下記表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】NPBとTCEの洗浄力評価において、N
PBはTCEより約10%ほど良い結果を示す。次に、
本発明の第一(請求項1)の発明のNPB及び難燃化剤
(HCFC 141b)(=65wt%:35wt%)から
なる布帛用しみ抜き剤の洗浄力を評価した。特記すべき
点は、本発明の第一(請求項1)の発明の布帛用しみ抜
き剤は、NPB単独よりも、更に10%以上優れた洗浄
力を示した。
【0041】前記した顕著なしみ抜き効果の発現理由は
不明であるが、本発明者らは、HCFC 141bの表
面張力が21.8(mN/m)とNPBより小さいため
に、浸透性が改善されること、また、一般的に溶解性や
洗浄性を考えるとき、溶解力の大きいものの方が洗浄効
果が大きいはずであるが、真溶剤のみの系では汚れが拡
散しやすくなり、これに溶解力が小さい希釈剤を併用す
ると汚れが離脱しやすくなること、これによりしみ抜き
効果が高められると推察している。前記したように、本
発明の第一(請求項1)の発明の布帛用しみ抜き剤は、
HCFC 141bの配合によりNPBの難燃化を図る
とともに、しみ抜き効果を改善することができる。
【0042】次に、本発明の第二(請求項2)の発明の
NPB系布帛用しみ抜き剤について説明する。本発明の
第二(請求項2)の発明のNPB系布帛用しみ抜き剤
は、前記第一(請求項1)の発明の布帛用しみ抜き剤に
対して低級脂肪族アルコールを併用した点に特徴点があ
る。
【0043】本発明の第二(請求項2)の発明のNPB
系布帛用しみ抜き剤において、低級脂肪族アルコールを
使用する目的は、浸透力の改善、及び汚れ成分中の油成
分以外の極性物質の除去を助けるためである。本発明に
おいて、前記低級脂肪族アルコールとして、炭素数3以
下のアルコール、即ち、メチルアルコール、エチルアル
コール、(n,iso)プロピルアルコールを単独もし
くは2種以上を使用することができる。前記したアルコ
ールのうち、労働衛生面からエチルアルコールが最も適
しており、次いでイソプロピルアルコールが好ましいも
のである。本発明において、前記低級脂肪族アルコール
の配合割合は、所望に設定すればよく、例えば20%以
内に設定すればよい。
【0044】本発明において、低級脂肪族アルコールの
炭素数を3以下に限定した理由は、炭素数が4以上のア
ルコールでは沸点が高く、輪じみが発生しやすくなり、
また臭気が強く、親油性が大きくなるためであり、併用
効果が乏しいためである。本発明の第二(請求項2)の
発明において、低級脂肪族アルコールの配合割合を20
%以下に限定した理由は、これらのアルコールはいずれ
も引火点が15℃以下であり、多用すると難燃化剤も多
用せざるを得なくなり、非経済であること、更に重要な
点は、NPBの使用割合が小さくなって洗浄力が劣るも
のになるためである。本発明の第二(請求項2)の発明
の布帛用しみ抜き剤、具体的には、NPB/HCFC
141b/EtOH=50/30/20の組成物は、前
記ATFオイルによるしみに対するしみ抜き効果におい
て、NPB単独とほほ同等の効果を得ることができる。
【0045】本発明のNPB系布帛用しみ抜き剤におい
て、NPBに対する公知の安定剤、防錆剤、浸透剤、あ
るいは界面活性剤などを併用してもよいものである。ま
た、本発明においては、難燃性を阻害しない範囲でこの
種のしみ抜き剤に使用されているエーテル、エステル、
ケトン、炭化水素、あるいはアルコール類などを併用し
てもよいものである。
【0046】前記したように本発明のNPB系布帛用し
み抜き剤は、高度なしみ抜き力が要求され、かつしみ抜
き剤に由来する輪じみの発生や染色の色落ちなどの防止
が強く要求される繊維、布帛等のしみ抜き剤として特に
有用なものである。本発明のNPB系布帛用しみ抜き剤
を繊維、布帛(織物地、編物地、不織地)の製造、縫製
加工、及び通常の使用や着用の際に発生する油類、汚点
などのしみ抜きに利用するには、通常、以下の方法を採
用すればよい。
【0047】 (1).汚点部分に裏当材料を配置し、しみ抜き剤により汚
点を裏当て材料に吸収させる裏当法。 (2).汚点部分をしみ抜き剤溶液中に浸漬し、汚染物質を
溶液中へ溶出させる浸漬法。 (3).しみ抜き剤をスプレーガンに充填し、そのノズルか
ら布帛類の汚点部分に噴射して汚染物質を吹き飛ばすス
プレーガン噴射法。
【0048】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳しく説明
する。
【0049】(試験例) まず、本発明のNPB系布帛用しみ抜き剤において、引
火点を示さないNPBと難燃化剤の混合割合について試
験した。即ち、NPBに各種の難燃化剤を混合し、JI
S K−2265 タグ密閉式引火点測定試験法に基づ
いて引火性を測定し、引火点を示さない混合割合を求め
た。難燃化剤の種類と引火点を示さない添加量の関係
は、下記表3の通りである。
【0050】
【表3】
【0051】前記表3は、NPBと難燃化剤の二成分系
でのデータある。本発明のNPB系布帛用しみ抜き剤
は、NPBに対して難燃化剤と炭素数3以下の低級脂肪
族アルコールを併用混合して構成される態様をも包含す
るものである。このような、三成分系の場合、前記表3
のデータは、変更されることはいうまでもないことであ
る。例えば、エチルアルコールを25%添加すると、H
CFC 123の場合、引火点を示さない添加量は、4
0%必要である。また、エチルアルコールを25%添加
した場合、HCFC 225ca、HCHC 225c
b、及びフルオロアルコール 5FPは、前記表3の添
加量のもとでいずれも10〜15℃で引火した。 以上
の点から、本発明において、低級脂肪族アルコールの添
加量は、20%以下、好ましくは15%以下が好ましく
は、また、難燃化剤の添加量は10%以上が好ましいこ
とをつきとめた。
【0052】(実施例1) (1).白色のポリエステル織物地にミシンのギアオイル
(出願人社製ATFオイル。ピンク色)を直径3mmの
円形状に付着させ、桃色の円形汚点を形成した。なお、
本来無色のATFオイルは、縫製時に付着して形成され
た汚点は判別しにくく、気付かずに放置すると紫外線な
どで変色し、製品出荷後に問題となるため、試験におい
ては着色した状態のもの使用した。 (2).次に、前記汚点の下側に三枚の濾紙を配置し、汚点
部を下記表4に示す各種のしみ抜き剤を含浸させた綿棒
でこすり、汚点の消失効果を試験した。なお、評価基準
として、使用規制の対象になっているトリクロロエタン
(TCE)の消失効果を「7」点とし、基準値とした。
また、下記表4の各種の洗浄剤において、NPB以外
は、全て引火点を示さず、難燃性であった。
【0053】
【表4】
【0054】(実施例2) 実施例1と同法で汚点を作成した。次いで、電動式スプ
レーガンにより実施例1で使用した布帛用しみ抜き剤を
約5秒間汚染部分に噴射し、汚染部分を吹き飛ばす試験
を行なった。
【0055】前記スプレーガン噴射試験の結果は、次の
通りである。 (1).HCFC 141b単独のものは、評価点4であ
り、汚点が残り、更に5秒間の噴射を2回行なったが、
汚点がわずかに残った。 (2).評価点6のNPB/141b=50/50の洗浄剤
は、TCEと同等の洗浄力を有していた。 (3).NPB/141b=30/70の洗浄剤は、5秒間
の噴射では汚点が少し残り、更に5秒間の噴射が必要で
あった。 (4).全ての噴射試験において、噴射停止2分以内に乾
燥、輪じみ、しわ等が認められず、新しい織物と判別で
きない状態であった。
【0056】(実施例3) 実施例1と同法でNPB、HCFC 225ca及びエ
チルアルコール(EOHと略記する。)からなる洗浄剤
について評価した。結果を下記表5に示す。
【0057】
【表5】
【0058】前記表5に示されるしみ抜き剤において、
エチルアルコール(EOH)以外は、全て引火点を示さ
ず難燃性であり、また、エチルアルコール(EOH)成
分をNPB及びHCFC 225ca(難燃化剤)に配
合することにより臭気がまろやかになった。また、前記
組成のしみ抜き剤について、実施例2と同法でスプレー
ガン噴射法によるしみ抜き試験を行なったところ、エチ
ルアルコール(EOH)及びNPB/HCFC 225
ca/EOH=40/40/20以外のものは、全て5
秒で汚点が消えた。なお、前記NPB/HCFC 22
5ca/EOH=40/40/20の洗浄剤は、2回の
噴射により汚点を消失させることができた。更にエチル
アルコール(EOH)以外の洗浄剤は、2分以内に乾燥
(乾燥条件:室温放置)、かつ輪じみやシワ等の発生が
認められなかった。
【0059】(実施例4〜20)/(比較例1〜4) 実施例1と同法で下記表6に示される各種しみ抜き剤に
ついて評価した。結果を表6にあわせて示す。
【0060】なお、表6において、以下の補足説明が考
慮されるべきである。 (1).<難燃化剤成分>の略記号の意味は、表1と同じで
ある。 (2).<アルコール成分>のEOHはエチルアルコール、
NPAはn−プロピレンアルコール、IPAはiso−
プロピレンアルコールを示す。 (3).比較例3のIPBは、イソプロピルブロマイドを示
す。なお、IPBは毒性が認められる化合物である。 (4).実施例18及び比較例2において、スプレーガン噴
射法の結果も示されている。 (5).実施例19のしみ抜き剤は、TCE(テトラクロロ
エチレン)が5%配合されている。 (6).実施例20のニトロメタンは、NPBに対する安定
化剤である。 (7).比較例1は、引火点が15℃のものである。
【0061】
【表6】
【0062】
【発明の効果】本発明は、引火性かつ可燃性の1−ブロ
モプロパン(n−ブロモプロパン、NPB)を主要な溶
剤成分とするものであるが、これに特定の難燃化剤成
分、あるいは更に低級脂肪族アルコール成分を配合する
ことにより、しみ抜き効果や安全性などの諸特性におい
て優れたNBP系布帛用しみ抜き剤を提供するものであ
る。即ち、本発明は、主として開放系かつ手作業(マニ
ュアル)という作業環境で使用される布帛用しみ抜き剤
として、引火性かつ可燃性のNPBを主剤としながら難
燃性、しみ抜き効果、安全性に優れ、かつODP(オゾ
ン破壊係数)の小さなNPB系布帛用しみ抜き剤を提供
するものであり、その意義は大きいものである。
【0063】特に、本発明のNPB系布帛用しみ抜き剤
は、高度な洗浄力が要求され、かつしみ抜き剤に由来す
る輪じみの発生や染色の色落ちなどの防止能が強く要求
される繊維や布帛の油類(ミシン油等)による汚点等の
しみ抜き用として、極めて有用なものである。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 布帛用しみ抜き剤が、 (1).主剤としての1−ブロモプロパン(n−プロピルブ
    ロマイド)、及び、 (2).副剤としての塩素・フッ素炭化水素化合物(HCF
    C)及びフッ化アルコールから選ばれた少なくとも1種
    の化合物から成り、かつ、沸点が20℃以上〜100℃
    以下であるとともに、引火点を示さない難燃化剤、 とから成り、かつ、 (3).前記難燃化剤が、組成全体が引火点を示さない割合
    に配合されて成ること、 を特徴とする1−ブロモプロパン系布帛用しみ抜き剤。
  2. 【請求項2】 布帛用しみ抜き剤が、 (1).主剤としての1−ブロモプロパン(n−プロピルブ
    ロマイド)、 (2).副剤としての塩素・フッ素炭化水素(HCFC)及
    びフッ化アルコールから選ばれた少なくとも1種の化合
    物から成り、かつ、沸点が20℃以上〜100℃以下で
    あるとともに、引火点を示さない難燃化剤、及び、 (3).副剤としての低級脂肪族アルコール、 とから成り、かつ、 (4).前記難燃化剤が、組成全体が引火点を示さない割合
    に配合されて成ること、 を特徴とする1−ブロモプロパン系布帛用しみ抜き剤。
  3. 【請求項3】 低級脂肪族アルコールが、炭素数3以下
    の1種または2種以上のアルコールで構成されたもので
    ある請求項2に記載の1−ブロモプロパン系布帛用しみ
    抜き剤。
  4. 【請求項4】 (1).1−ブロモプロパン ………… 20〜90重量
    %、 (2).難燃化剤 ……………………… 10〜60重量
    %、 (3).低級脂肪族アルコール ……… 0〜20重量
    %、 からなることを特徴とする請求項1または2に記載の1
    −ブロモプロパン系布帛用しみ抜き剤。
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