JP2000154399A - グリコ―ル系洗浄用溶剤 - Google Patents

グリコ―ル系洗浄用溶剤

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JP2000154399A JP11257097A JP25709799A JP2000154399A JP 2000154399 A JP2000154399 A JP 2000154399A JP 11257097 A JP11257097 A JP 11257097A JP 25709799 A JP25709799 A JP 25709799A JP 2000154399 A JP2000154399 A JP 2000154399A
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Masayasu Suzuki
正泰 鈴木
Binsuke Kaneko
旻又 金子
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 引火性がなく危険物に該当しないグリコール
系洗浄用溶剤を提供すること。 【解決手段】 グリコール系洗浄用溶剤は、主成分であ
るプロピレングリコール系溶剤に対し、イソプロピルブ
ロマイド(IPB)および/またはノルマルプロピルブ
ロマイド(NPB)が混合され非引火物になっている。
IPBおよび/またはNPBは非引火性を有する溶剤で
ある。これらの溶剤が混合されて不燃化されている。プ
ロピレングリコール系溶剤からなる溶剤第1成分の引火
点は28℃以上に設定される。また、IPBおよび/ま
たはNPBの混合量は、プラスチックやゴムなどへの悪
影響を考えて、主成分100重量部に対し10〜70重
量部の範囲に設定される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子部品のフラッ
クス洗浄をはじめ、インキや接着剤などの油脂類の洗浄
に使用されるグリコール系洗浄用溶剤を不燃化する技術
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の塩素系洗浄用溶剤やフッ素系洗浄
用溶剤に代わる新しい洗浄用溶剤としてグリコール系洗
浄用溶剤が注目を浴びている。このグリコール系洗浄用
溶剤は、低毒性で高い安全性のプロピレングリコール系
溶剤を主成分とした溶剤で、塩素系洗浄用溶剤やフッ素
系洗浄用溶剤に比べてオゾン層への影響が少なく環境に
優しい利点がある。しかも、この洗浄用溶剤は、KB値
(カウリブタノール値)が高く優れた洗浄能力を有する
とともにプラスチックやゴムに及ぼす影響が小さいこと
から、特に電子部品のフラックス洗浄を中心にインキや
接着剤の洗浄その他の油脂類の洗浄に多用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、グリコール洗
浄用溶剤の主成分であるプロピレングリコール系溶剤の
ほとんどは引火性を有しており危険物に該当するため、
これを管理するにあたっては消防法上の厳しい条件が課
せられた。保管のための設備や貯蔵量に制限があり、非
常に取り扱いにくくなっている。そこで、比較的に法的
規制が緩い第2石油類または第3石油類に属するグリコ
ール系溶剤を採用することが考えられる。しかし、この
洗浄用溶剤が危険物に該当することは変わらず、安全性
や取扱性に不便があった。
【0004】本発明は、前記事情に鑑みてなされたもの
であって、その目的は、引火性がなく危険物に該当しな
いグリコール系洗浄用溶剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のグリコール系洗
浄用溶剤にあっては、1種類もしくは複数種類のプロピ
レングリコール系溶剤からなる引火点28℃以上の溶剤
第1成分100重量部に対して、イソプロピルブロマイ
ドおよび/またはノルマルプロピルブロマイドからなる
溶剤第2成分を10〜70重量部混合して非引火物にし
たことを特徴とする。
【0006】ここで、イソプロピルブロマイド(別名:
臭化イソプロピル,2−ブロモプロパン。以下省略して
IPBという。)およびノルマルプロピルブロマイド
(別名:n−臭化プロピル,1−ブロモプロパン。以下
省略してNPBという。)は、特許2576933号や
特許2576941号、特許2576942号などに開
示されているように引火性がなく不燃な溶剤である。こ
れらIPBおよび/またはNPBをグリコール系洗浄用
溶剤に混合することで、この洗浄用溶剤を非引火物にし
て不燃化することができる。
【0007】IPBおよび/またはNPBの混合量をプ
ロピレングリコール系溶剤100重量部に対して10〜
70重量部に設定したのは次のおよびの理由によ
る。 IPBおよびNPBはハロゲン化炭化水素系溶剤であ
り、プラスチックやゴムを侵し悪影響を及ぼす性質を有
している。このため、これらの溶剤の混合量が多いと、
プラスチックやゴムに対する悪影響が小さいというグリ
コール系洗浄用溶剤本来の特性が損なわれてしまう。こ
の特性を損なわないようにするためにIPBおよび/ま
たはNPBの混合量を所定量以下に抑える必要がある。
具体的な数値条件については後述する試験の結果によ
る。 IPBおよび/またはNPBの混合量が少ないと、本
洗浄用溶剤を非引火物にすることが難しくなるからであ
る。溶剤第1成分を構成するプロピレングリコール系溶
剤として引火点の高いものを使用しなければならず、乾
燥性の低下を招き、洗浄性能に支障を来してしまうこと
がある。
【0008】また、プロピレングリコール系溶剤からな
る溶剤第1成分の引火点を28℃以上にしたのは、前記
の条件を満足しつつ非引火性を確保するである。具体
的な数値条件については後述する試験の結果による。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のグリコール系洗浄用溶剤
のプロピレングリコール系溶剤としては、プロピレング
リコールメチルエーテル[PM](沸点:120℃,引
火点:34℃)、ジ・プロピレングリコールメチルエー
テル[DPM](沸点:188℃,引火点:79℃)、
トリ・プロピレングリコールメチルエーテル[TPM]
(沸点:242℃,引火点:122℃)、プロピレング
リコール−n−ブチルエーテル[PnB](沸点:17
0℃,引火点:62℃)、ジ・プロピレングリコール−
n−ブチルエーテル[DPnB](沸点:229℃,引
火点:106℃)、トリプロピレングリコール−n−ブ
チルエーテル(沸点:274℃,引火点:138℃)、
プロピレングリコールメチルエーテルアセテート[PM
A](沸点:146℃,引火点:46.5℃)、プロピ
レングリコールジアセテート[PGDA](沸点:19
0℃,引火点:93℃)、プロピレングリコールフェニ
ルエーテル[PPh](沸点:243℃,引火点:12
1℃)およびプロピレングリコールモノエチールエーテ
ルアセテート(沸点:158℃,引火点:53℃)の中
から選択するのが好ましい。
【0010】これらの溶剤は溶剤第1成分として1種類
単独で配合されても複数種類複合されて配合されてもよ
い。ただし、複数種類の溶剤を混合して溶剤第1成分を
構成する場合には、その混合溶剤が必ず引火点28℃以
上になるように各溶剤の種類や配合を考える。この場
合、混合溶剤の引火点が28℃以上であれば、引火点2
8℃を下回る溶剤と引火点28℃を上回る溶剤とを混ぜ
るようにして構成してもかまわない。
【0011】IPBまたはNPBについてはどちらか一
方が単独で混合されてもよく、また双方ともに混合され
てもよい。IPBおよび/またはNPBの混合量は、プ
ラスチックやゴムへの悪影響を考慮してなるべく混合量
を少なくするのが好ましい。なお、IPBおよびNPB
はアルミニウムやその合金と金属反応し易いことが判明
している。そこで、この金属反応を防止するために、本
洗浄用溶剤には、ニトロアルカン類、エーテル類、エポ
キシド類およびアミン類の群から選ばれる少なくとも1
種の安定剤が添加されると好ましい。また、IPBおよ
びNPBは、不快な刺激臭を発する。そこで、この臭気
を覆い隠すべく本洗浄溶剤には、リモネンや月桃エキ
ス、酢酸イソアミル、プロピオン酸ベンジル、酪酸エチ
ルなどの香料が適量添加されるとよい。
【0012】また、本洗浄用溶剤では、プロピレングリ
コール系溶剤として引火点の高いものを使用すると、乾
燥性が悪くなる心配がある。そこで、沸点が60℃〜1
50℃の有機溶剤を乾燥促進剤として適量混合し、乾燥
性を向上させる。沸点が60℃〜150℃の有機溶剤は
プロピレングリコール系溶剤よりも沸点が低く、かつI
PBやNPBよりも沸点が高い。このような溶剤を本洗
浄用溶剤に混合することで、低温時における揮発量が増
え、乾燥性が向上するとともにIPBやNPBよりも先
に低温で揮発することがなく、引火性が出てくる心配も
ない。このような条件に当てはまる有機溶剤としては、
具体的に、N・ヘプタン(沸点:98.5℃,引火点:
−4℃)、メチルシクロヘキサン(沸点:100℃,引
火点:−3℃)、エチルシクロヘキサン(沸点:129
℃,引火点:19℃)、メチルアルコール(沸点:6
4.5℃,引火点:15.6℃)、エチルアルコール
(沸点:78.4℃,引火点:14℃)、イソ・プロピ
ルアルコール(沸点:82.4℃,引火点:12℃)、
イソ・ブタノール(沸点:108℃,引火点:25
℃)、酢酸エチル(沸点:77.1℃,引火点:−5
℃)、酢酸イソ・プロピル(沸点:84.5℃,引火
点:4.4℃)、酢酸ブチル(沸点:126℃,引火
点:−5℃)、酢酸イソ・ブチル(沸点:117℃,引
火点:17.8℃)、メチルエチルケトン(沸点:7
9.6℃,引火点:−7℃)、メチルイソブチルケトン
(沸点:115℃,引火点:27.2℃)がある。これ
らの溶剤は本洗浄用溶剤に対し1種単独で混合されても
2種以上複合的に混合されてもどちらでもよい。
【0013】この他、本洗浄用溶剤には、前述した有機
溶剤以外に他の有機溶剤が、本洗浄用溶剤が非引火物で
ある範囲内において微量混合されてもよい。
【0014】《プラスチックやゴムに対する影響》NP
Bの混合によるプラスチックやゴムに対する影響を調べ
る試験を行った。この試験では、プロピレングリコール
系溶剤として、プロピレングリコールエチルエーテル
(PM)、プロピレングリコール−n−ブチルエーテル
(PnB)およびジプロピレングリコール−n−ブチル
エーテル(DPnB)を使用し、各溶剤に対しNPBの
混合量を増やしていったときの前記影響と引火性とを調
べた。そのときの試験結果を次の表1〜3に示す。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】
【表3】
【0018】これら表1〜3によると、PM、PnBお
よびDPnBの各溶剤100重量部に対し、NPBの混
合量が70重量部を超えると、プラスチックやゴムに対
し悪影響が出てくることが判明した。すなわち、プロピ
レングリコール系溶剤100重量部に対するNPBの混
合量を70重量部以下に設定する必要があることがわか
った。また、各プロピレングリコール系溶剤100重量
部に対するNPBの混合量が、PMでは50重量部以
上、PnBでは10重量部以上、DPnBでは8重量部
以上になると、各混合溶剤の引火性がなくなることが判
明した。
【0019】《溶剤第1成分の引火点》本洗浄用溶剤に
あっては、溶剤第1成分(プロピレングリコール系溶剤
成分)の引火点は、NPBの混合量が少なくて済むよう
に、なるべく高く設定されている方が好ましい。しか
し、溶剤第1成分の引火点が高すぎると、これに伴い一
般に沸点も高くなるため、洗浄用溶剤としての性能に必
要な乾燥性が低下することになる。従って、溶剤第1成
分の引火点は、本洗浄用溶剤が非引火物である範囲内に
おいて、できるだけ低い方が望ましい。
【0020】そこで、溶剤第1成分の引火点とこの溶剤
第1成分を非引火物にするために必要なNPBの混合量
との関係を調べる試験を行った。引火点の異なる溶剤を
複数種類用意して、各溶剤に対しそれぞれNPBを徐々
に混合してゆき、引火性がなくなったときの混合量を調
べた。引火点の異なる溶剤は、プロピレングリコール系
溶剤を単独で構成したり、複数種類混合して構成した。
なお、引火点についてはタグ密閉方式により測定した。
このときの試験結果をグラフにして図1に表した。
【0021】図1から、溶剤第1成分の引火点が低くな
るにつれて、NPBの混合量を増やさなければ非引火物
にすることができないことがわかる。先の試験結果から
NPBの混合量はプロピレングリコール系溶剤100重
量部に対して70重量部以下である必要があることが判
明している。この図に合うように換算すると、NPBの
混合量は約41%以下になる。この条件を満たしながら
本洗浄用溶剤が非引火物であるためには、溶剤第1成分
の引火点が28℃以上必要であることになる。すなわ
ち、NPBの混合によるプラスチックやゴムへの影響を
考慮しつつ本洗浄用溶剤を非引火物にするためには、プ
ロピレングリコール系溶剤成分の引火点は28℃以上必
要であるということになる。
【0022】以上のことからまとめると、本洗浄用溶剤
においては、IPBおよび/またはNPBの混合量を
溶剤第1成分100重量部に対して70重量部以下に設
定するとともに、溶剤第1成分の引火点を28℃以上
に設定する必要があるといえる。
【0023】《洗浄力試験》本発明にかかる洗浄用溶剤
について洗浄力試験を行った。この試験では、NPBと
PnBの混合溶剤およびNPBとDPnBとの混合溶剤
について調べた。また、NPBの安定剤として、NPB
に対しニトロエタンを0.5%、ブチレンオキサイドを
0.5%、2,6−t−ブチル−P−クレゾールを0.
05%それぞれ添加した。そして、SPCC軟鋼板(50
×100×0.3mm)にプレス油(日本工作油#640)を塗
布し室温で3日間放置して作成した試験片(油脂付着量
200〜300mg/dm)を洗浄用溶剤の液中に約
2分間浸漬して乾燥させたときの試験片の残存油脂分量
を測定した。洗浄用溶剤の各成分の混合量を異なるよう
に設定したときの脱脂洗浄力について調べた良否判定結
果を次の表4に示す。なお、乾燥後の試験片の残存油脂
分量が2mg/dm以下のときに脱脂洗浄力が良好と
判定した。
【0024】
【表4】
【0025】この表4から、本洗浄用溶剤にNPBを混
合しても、従来と遜色のない優れた脱脂洗浄効果が得ら
れることがわかった。
【0026】《金属腐食性試験》本発明にかかる洗浄用
溶剤について金属腐食性試験を行った。この試験では、
NPBとPnBの混合溶剤およびNPBとDPnBとの
混合溶剤について調べた。また、NPBの安定剤とし
て、NPBに対しニトロエタンを0.5%、ブチレンオ
キサイドを0.5%、2,6−t−ブチル−P−クレゾ
ールを0.05%それぞれ添加した。そして、JIS−
K1600に従い、洗浄後の洗浄液の液相部および気相部の
各々にアルミニウム片(JIS−H−4000、A1100P)
を配置し、48時間後の金属の腐食状況を調べた。試験
結果を表5に示す。
【0027】
【表5】
【0028】この表5から、洗浄用溶剤にNPBを混合
しても、金属への腐食の影響は従来と遜色なくほとんど
ないことが確認された。
【0029】
【発明の効果】本発明のグリコール系洗浄用溶剤によれ
ば、主成分のプロピレングリコール系溶剤に対して、非
引火性のイソプロピルブロマイドおよびノルマルプロピ
ルブロマイドのうちの少なくとも一方が混合されて非引
火物になっているため、危険物に該当せず、消防法等の
法的規制も受けない。このため、設備や貯蔵量に対し特
に厳しい法的規制が課せられることなく、非常に安全で
取り扱いやすい。しかも、イソプロピルブロマイドおよ
び/またはノルマルプロピルブロマイドの混合量がプロ
ピレングリコール系溶剤100重量部に対して10〜7
0重量部の範囲に設定することで、プラスチックやゴム
に対し及ぼす影響が小さくて済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶剤第1成分の引火点とこれを非引火物にする
ために必要なNPBの混合量との関係を示したグラフで
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金子 旻又 埼玉県越谷市千間台西5丁目26番地33号 株式会社カネコ化学内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1種類もしくは複数種類のプロピレング
    リコール系溶剤からなる引火点28℃以上の溶剤第1成
    分100重量部に対して、イソプロピルブロマイドおよ
    び/またはノルマルプロピルブロマイドからなる溶剤第
    2成分を10〜70重量部混合して非引火物にしたこと
    を特徴とするグリコール系洗浄用溶剤。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のグリコール系洗浄用溶
    剤であって、プロピレングリコール系溶剤として、プロ
    ピレングリコールメチルエーテル、ジ・プロピレングリ
    コールメチルエーテル、トリ・プロピレングリコールメ
    チルエーテル、プロピレングリコール−n−ブチルエー
    テル、ジ・プロピレングリコール−n−ブチルエーテ
    ル、トリプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、
    プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロ
    ピレングリコールジアセテート、プロピレングリコール
    フェニルエーテルおよびプロピレングリコールモノエチ
    ルエーテルアセテートの中から選ばれる少なくとも1種
    の溶剤を含有していることを特徴とする。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のグリコール系
    洗浄用溶剤であって、乾燥促進剤として、沸点が60℃
    〜150℃の有機溶剤が混合されていることを特徴とす
    る。
JP11257097A 1998-09-18 1999-09-10 グリコ―ル系洗浄用溶剤 Pending JP2000154399A (ja)

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