JP2017002232A - シリコン化合物溶解性及び/又はスケール溶解性組成物並びにシリコン化合物含有付着物の洗浄方法 - Google Patents

シリコン化合物溶解性及び/又はスケール溶解性組成物並びにシリコン化合物含有付着物の洗浄方法 Download PDF

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Abstract

【課題】種々基材上に付着するシリコン化合物を含む付着物の溶解、シリコン化合物を含む基材表面を溶解することによる基板表面の平滑処理及び基材の厚み制御、及び/又は、スケールの洗浄除去に好適な組成物、並びに、シリコン化合物に対して特定の溶解性を有するシリコン化合物溶解性組成物を使用するシリコン化合物含有付着物の洗浄方法を提供する。【解決手段】フッ化水素及び/又はフッ化水素塩(化合物A)、スルファミン酸及び/又はスルファミン酸塩(化合物B)、硫酸及び/又は硫酸塩(化合物C)、界面活性剤(化合物D)並びに水を配合してなり、配合総質量中、化合物A100質量部に対して、化合物Bが1〜1000質量部、化合物Cが1〜10000質量部、化合物Dが1〜10000質量部、残量が実質的に水であり、pHが2〜6であり、シリコン化合物溶解性及び/又はスケール溶解性を有する組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、シリコン化合物溶解性及び/又はスケール溶解性組成物並びにシリコン化合物含有付着物の洗浄方法に関する。
特許文献1に、電子ディスプレイ、クォーツ装置、半導体ウエファーの製造工程でSiOを化学洗浄するための組成物として、アンモニウム2フッ化物、スルフォン酸及び/またはスルフォン酸塩(類)、過硫酸、硫酸塩及び水からなる組成物(実施例1成分組成C)が開示されている。
特許文献2に、膜厚がオングストロームオーダーのシリコン系誘電体薄膜が開示されている。
特許文献3に、硫酸にメルカプト酢酸を加えた混酸で酸洗する鋼板のスケール酸洗方法が開示されている。
特表2000−507304号公報 特表2001−525612号公報 特開2005−298911号公報
半導体ウェハー等の半導体基板や液晶基板の表面には、半導体基板や液晶基板の製造工程、特に研磨工程に由来するシリコン化合物を含む汚れが存在し、微粒子状の目視が困難なミクロな汚れだけでなく、研磨工程後の研磨液の乾燥物のような目視できるマクロな汚れが存在する。
また、研磨工程で使用する研磨装置や研磨装置が設置された床等にも研磨中に飛散する研磨液の乾燥物がマクロな汚れとして付着する場合がある。
これらのシリコン化合物を含む汚れを酸性領域で除去するのに、特許文献1に開示された組成物のような過硫酸(塩)を含む洗浄剤は、シリコンウェハにダメージを与える、又は、洗浄力が不十分である場合があった。
近年、特許文献2に示されるように、CMOS等の半導体デバイスの積層構成の各層が、オングストロームのオーダーにまで薄層化が進行しており、シリコン化合物を含む積層材料の表面の平滑処理もオングストロームオーダーの制御が要請されてきている。
また、ステンレス鋼板の製造プロセスでは、鋳造した鋼塊を高温で熱間圧延して熱延鋼帯を製造する際に、鋼板表面に厚い酸化物層であるスケールが形成されるため、冷延製品を製造する際には、熱延板表面のスケールを洗浄して除去する必要がある。
従来、スケールの洗浄は、特許文献3に開示されるような硫酸をベースにした酸洗方法が使用されてきた。
しかし、従来のスケールの酸洗方法では、鋼板の表面を腐食させる、あるいは、洗浄速度が遅く洗浄効率が低いという課題があった。
本発明は、
従来の洗浄剤組成物に比べ、
種々基材上に付着するシリコン化合物を含む付着物の溶解することによる付着物の除去、シリコン化合物を含む基材表面を溶解することによる基板表面の平滑処理及び基材の厚み制御、及び/又は、スケールの溶解による除去に好適な組成物、並びに、
シリコン化合物に対して特定の溶解性を有するシリコン化合物溶解性組成物を使用するシリコン化合物含有付着物の洗浄方法を提供することを課題とする。
本発明は、下記〔1〕〜〔3〕に関する。
〔1〕フッ化水素及び/又はフッ化水素塩(化合物A)、スルファミン酸及び/又はスルファミン酸塩(化合物B)、硫酸及び/又は硫酸塩(化合物C)、界面活性剤(化合物D)並びに水を配合してなり、
配合総質量中、前記化合物A100質量部に対して、
前記化合物Bが1〜1000質量部であり、
前記化合物Cが1〜10000質量部であり、
前記化合物Dが1〜10000質量部であり、
残量が実質的に水であり、
pHが2〜6であり、
シリコン化合物溶解性及び/又はスケール溶解性を有する組成物(以下、本発明1ともいう)、
〔2〕前項〔1〕記載の組成物から水を除去してなる粉末組成物(以下、本発明2ともいう)、及び、
〔3〕液状のシリコン化合物溶解性組成物を、シリコン化合物含有付着物に接触させる、シリコン化合物含有付着物の洗浄方法であって、
前記液状のシリコン化合物溶解性組成物の下記標準試験における除去の程度が、研磨材が視認できない程度に除去されていると評価される、シリコン化合物含有付着物の洗浄方法:
〔標準試験〕
水平に静置したシリコンウェハ(8インチ)の表面に、コロイダルシリカ含有研磨材(FUJIMI社製「ディスクライト」)を5ml滴下して、
前記研磨材が前記表面に付着した前記シリコンウェハを、そのまま室内環境(温度25℃、湿度60%)に12時間放置した後、
45°に傾斜した前記シリコンウェハ表面上の水が蒸発して固化した前記研磨材に、前記液状のシリコン化合物溶解性組成物を、10秒間に200ml滴下して、
前記シリコンウェハを、そのまま室内環境(温度25℃、湿度60%)に5分間放置した後、
前記シリコンウェハ表面上の前記研磨材に、10ml/秒の水道水を10秒間注いだ直後の前記シリコンウェハ表面上の前記研磨材が除去された程度を目視評価する。
本発明によれば、従来の洗浄剤組成物に比べ、
種々基材上に付着するシリコン化合物を含む付着物の溶解することによる付着物の除去、シリコン化合物を含む基材表面を溶解することによる基板表面の平滑処理及び基材の厚み制御、及び/又は、スケールの溶解による除去に好適な組成物、並びに、
シリコン化合物に対して特定の溶解性を有するシリコン化合物溶解性組成物を使用するシリコン化合物含有付着物の好適な洗浄方法を提供することができる。
表面上にコロイダルシリカ含有研磨材が滴下されたシリコンウェハである。 水が蒸発して固化した研磨材が付着するシリコンウェハである。 シリコンウェハの表面に付着する研磨材に本発明1を注ぐ作業を示す写真である。 固化した研磨材が洗浄された後のシリコンウェハの表面である。 表面をスケールで覆われたステンレス鋼板である。 スケールが洗浄された後のステンレス鋼板の表面である。
〔本発明1〕
本発明1は、
フッ化水素及び/又はフッ化水素塩(化合物A)、スルファミン酸及び/又はスルファミン酸塩(化合物B)、硫酸及び/又は硫酸塩(化合物C)、界面活性剤(化合物D)並びに水を配合してなり、
配合総質量中、前記化合物A100質量部に対して、
前記化合物Bが1〜1000質量部であり、
前記化合物Cが1〜10000質量部であり、
前記化合物Dが1〜10000質量部であり、
残量が実質的に水である。
以下、特に断らない限り、シリコン化合物とは、シリコン化合物及びシリコン化合物含有物の少なくとも一方を意味し、シリコン化合物溶解性とは、シリコン化合物の溶解性及びシリコン化合物含有物の溶解性の少なくとも一方を意味する。
さらに、「溶解」とは、シリコン化合物が分子又はイオンオーダーで溶解することだけでなく、シリコン化合物の固形分がスラリー状に分散することを含む。
化合物Aは、フッ化水素及び/又はフッ化水素塩であるが、本発明1のシリコン化合物溶解性及び/又はスケール溶解性の調整し易さと取り扱い易さの観点からフッ化水素塩であることが好ましい。
化合物Aは、一般に市販されている試薬又は工業用原料のいずれでもよいが、本発明1を半導体、液晶等を構成する絶縁性を要するデバイス製造工程で使用してシリコン化合物を溶解する観点から、高純度のグレードを選択することが好ましい。
化合物Aがフッ化水素を含む場合、フッ化水素は、通常、フッ化水素酸水溶液として配合される。
化合物Aがフッ化水素塩を含む場合、フッ化水素塩は、
フッ化ナトリウム等の金属塩でもフッ化アンモニウム等の有機塩であってもよいが、
本発明1を半導体、液晶等を構成する絶縁性を要するデバイスの洗浄等に使用する場合は、有機塩であることが好ましく、アンモニウム塩であることがより好ましく、不純物として金属をできるだけ含まない高純度のグレードであることが更に好ましい。
化合物Bは、スルファミン酸及び/又はスルファミン酸塩であるが、本発明1のシリコン化合物溶解性の調整し易さと取り扱いやすさの観点からスルファミン酸塩であることが好ましい。
化合物Bは、一般に市販されている試薬又は工業用原料のいずれでもよく、また、粉末状又は水溶液状のいずれの形態であってもよいが、本発明1を半導体、液晶等を構成する絶縁性を要するデバイス製造工程で使用してシリコン化合物を溶解する観点から、高純度のグレードを選択することが好ましくは、本発明1中でアルコールと混合しないようにすることがより好ましい。
化合物Bがスルファミン酸塩を含む場合、スルファミン酸塩は、
ナトリウム塩等の金属塩でもアンモニウム塩等の有機塩であってもよいが、
本発明1を半導体、液晶等を構成する絶縁性を要するデバイスの洗浄等に使用する場合は、有機塩であることが好ましく、アンモニウム塩であることがより好ましく、不純物として金属をできるだけ含まない高純度のグレードであることが更に好ましい。
化合物Cは、硫酸及び/又は硫酸塩であるが、本発明1のシリコン化合物溶解性及び/又はスケール溶解性の調整し易さと取り扱い易さの観点から硫酸塩であることが好ましい。
化合物Cは、一般に市販されている試薬又は工業用原料のいずれでもよいが、本発明1を半導体、液晶等を構成する絶縁性を要するデバイス製造工程で使用してシリコン化合物を溶解する観点から、高純度のグレードを選択することが好ましい。
化合物Cが硫酸塩を含む場合、硫酸塩は、
硫酸ナトリウム等の金属塩でも硫酸アンモニウム等の有機塩であってもよいが、
本発明1を半導体、液晶等を構成する絶縁性を要するデバイスの洗浄等に使用する場合は、有機塩であることが好ましく、アンモニウム塩であることがより好ましく、不純物として金属をできるだけ含まない高純度のグレードであることが更に好ましい。
化合物Cは、スケールをより効率的に溶解する観点からは、硫酸塩及び硫酸であることが好ましい。
本発明1は、シリコン化合物及び/又はスケールをより容易に溶解する観点から、さらに界面活性剤(化合物D)を配合してなる。
界面活性剤としては、本発明1の溶解対象の表面及び内部への浸潤性向上、溶解対象と溶解対象の付着する被付着物質との界面への浸潤性向上の観点から、
分子中にポリオキシアルキレン基を有するノニオン系界面活性剤、
分子中にスルホン酸基、カルボキシル基、ホスホン酸基、スルホキシル基及びホスホノキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有するアニオン系界面活性剤、
カルボン酸塩型、アミノ酸型及びベタイン型に代表される両性界面活性剤、並びに、
パーフルオロアルキルスルホン酸及びペルフルオロアルキルカルボン酸に代表されるフッ素系界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤が好ましく、ノニオン系界面活性剤がより好ましい。
本発明1は、化合物A、化合物B、化合物C、化合物D及び水を配合してなる。
本発明1は、シリコン化合物及び/又はスケールを溶解する観点から、
配合総質量中、前記化合物A100質量部に対して、
前記化合物Bは、1〜1000質量部であり、好ましくは10〜500質量部、より好ましくは30〜300質量部、更に好ましくは50〜150質量部であり、
前記化合物Cが1〜10000質量部であり、好ましくは100〜5000質量部、より好ましくは200〜3000質量部、更に好ましくは300〜2000質量部であり、更に好ましくは400〜1400質量部であり、
化合物Dは、1〜10000質量部であり、好ましくは100〜5000質量部、より好ましくは200〜2000質量部、更に好ましくは300〜1000質量部であり、
残量が実質的に水である。
本発明1は、スケールをより効率的に溶解する観点から、化合物Cが硫酸塩及び硫酸である場合、
前記化合物A100質量部に対して、
好ましくは硫酸塩が100〜1000質量部、硫酸が100〜2000質量部、
より好ましくは硫酸塩が150〜1000質量部、硫酸が150〜1000質量部、
更に好ましくは硫酸塩が200〜600質量部、硫酸が200〜800質量部である。
水以外の化合物が水溶液として配合される場合は、水溶液中の水は、残量中の水とみなす。
水は、本発明1の溶解対象によって適切な純度のグレードを選択すればよい。
溶解対象が、研磨工程で使用する研磨装置や研磨装置が設置された床等に付着したシリコン化合物含有付着物及び/又はスケールの付着した鋼板であれば、水道水でもよく、
溶解対象が、不揮発性物質の残留が適さない表面上のシリコン化合物含有付着物であれば、蒸留水又はイオン交換水が好ましく、
溶解対象が、半導体、液晶等を構成する絶縁性を要するデバイスの表面でれば、イオン交換水又はさらに金属イオン濃度が低減された高純度の水であることが好ましい。
本発明1は、シリコン化合物を容易に溶解する観点から、
pHは2〜6であり、好ましくは3〜6であり、更に好ましくは4〜6であり、更に好ましくは5〜6である。
本発明1は、スケールを容易に溶解する観点から、
pHは2〜6であり、好ましくは2〜5であり、更に好ましくは2〜4であり、更に好ましくは2〜3である。
pHは、化合物A〜Dを酸型で配合する場合は、アルカリを併せて配合して調整してもよいが、本発明1を半導体、液晶等を構成する絶縁性を要するデバイスの表面に使用する場合は、アルカリは好ましくは有機塩、より好ましくはアンモニウム塩である。
pHは、化合物A〜Dがいずれも塩型を含み、アルカリを配合せずに所望の範囲になることが更に好ましい。
本発明1の効果を損なわない範囲で、化合物A、B、C及びD以外の残量中に水以外の化合物が含まれていてもよいが、本発明1を半導体、液晶等を構成する絶縁性を要するデバイスの洗浄等に使用する場合は、金属をできるだけ含まないことが好ましく、金属の含有量は、本発明1の全質量中、好ましくは100ppm以下、より好ましくは10ppm以下、更に好ましくは1ppm、更に好ましくは0.5ppm以下である。
残量中の水以外の化合物として、揮発が抑制され組成管理が容易であるという観点からアルコール等の有機溶媒はできるだけ含まないことが好ましく、シリコンウェハへのダメージを抑制したり、酸性領域で安定した洗浄性を確保したりする観点から、過硫酸及び/又は過硫酸塩はできるだけ含まないことが好ましく、どちらも含まないことがより好ましい。
本発明1は、シリコン化合物及び/又はスケールを溶解する観点から、化合物A、B、C及びDの合計配合質量が、水以外の化合物の合計配合質量に対して、
好ましくは95〜100質量%、より好ましくは97〜100質量%、更に好ましくは99〜100質量%、更に好ましくは100質量%である。
〔本発明1の溶解対象と溶解効果〕
本発明1は、シリコン化合物を洗浄するための用途及びシリコン基材表面を溶解するための用途に好適である。
本発明1の溶解対象となるシリコン化合物及びシリコン基材表面としては、例えば、以下を例示できる。
(1)半導体ウェハー等の半導体基板や液晶基板の表面に付着する、半導体基板や液晶基板の製造工程、特に研磨工程に由来するシリコン化合物を含む汚れであり、目視が困難な微粒子状のミクロな汚れだけでなく、研磨工程後の研磨液の乾燥物のような目視できるマクロな汚れ(以下、溶解対象1ともいう)。
(2)半導体基板や液晶基板の研磨工程で使用する研磨装置や研磨装置が設置された床の表面に飛散して付着した研磨液の乾燥物(以下、溶解対象2ともいう)。
(3)半導体デバイスの積層を構成するシリコン基材表面(以下、溶解対象3ともいう)。
本発明1は、溶解対象1及び2のようなシリコン化合物に対しては、洗浄剤として使用されることが好ましく、溶解対象3のようなシリコン基材表面に対しては表面近傍を溶解させるエッチング剤として使用されることが好ましい。
溶解対象1及び2のようなシリコン化合物は、研磨された二酸化ケイ素、シリコーン等のシリコン化合物以外にも、研磨液由来の金属酸化物、研磨液に添加されていた各種無機系・有機系添加物を含むシリコン化合物含有物である場合が多い。
本発明1を、溶解対象1及び2のようなシリコン化合物に対して、例えば、ノズルから流下したりスプレーで噴射したりして接触(好ましくは、連続的に接触)させるだけで、シリコン化合物が付着した基材表面にダメージを与えることなく、シリコン化合物を洗い流すことができる。
同様に、溶解対象1及び2のようなシリコン化合物が付着した基材を、本発明1が充填された液槽に浸漬するだけでも、シリコン化合物を液中に溶解させることができる。
従って、本発明1による溶解対象1及び2のようなシリコン化合物の洗浄後は、基材のすすぎが容易である。
本発明1を使用することにより、溶解対象3のような半導体デバイスの積層を構成するシリコン化合物含有基材表面の平滑処理や基材の厚みをオングストロームオーダーの精度で制御することが可能である。
本発明1を、溶解対象3への接触量を制御しつつ、ノズルから流下したりスプレーで噴射したりすることにより、溶解対象3の表面をオングストローム単位でエッチングすることが可能である。
本発明1は、溶解対象1及び3に使用する場合、特に絶縁性が要求される溶解対象に使用する場合は、上述したように金属を出来る限り含まないことが望ましい。
本発明1の溶解対象となるスケールとしては、例えば、フェライト系耐熱鋼やステンレス鋼(好ましくは、のステンレス鋼)の表面に形成されたスケールが挙げられる。
この場合、スケール中には、耐熱鋼やステンレス鋼の構成金属に由来するCr、又はCr及びNiが含まれることが多い。
本発明1の溶解対象がスケールである場合は、前述したように化合物Cは硫酸塩と硫酸とで構成されていることが好ましい。
〔本発明2〕
本発明2は、本発明1から水を除去してなる粉末組成物である。
本発明2は、化合物A、B及、C及びD以外の化合物を実質的に含まないことが好ましく、
化合物A、B、C及びDの合計配合質量が、本発明2の合計配合質量に対して、好ましくは95〜100質量%、より好ましくは97〜100質量%、更に好ましくは99〜100質量%、更に好ましくは100質量%である。
本発明2は、本発明2に水を加えて本発明1にして使用することで、本発明1の所望の効果を得ることができる。
本発明2は、粉末であることから、取扱いが安全であり、保存容器が腐食し難いなどの好ましい効果を有する。
一度製造した本発明1から水を除去して粉末にして本発明2を得てもよいし、
それぞれが粉末の化合物A、B、C及びDを、本発明1における質量比で混合して本発明2を得てもよい。
〔本発明3〕
本発明3は、液状のシリコン化合物溶解性組成物を、シリコン化合物含有付着物に接触させる、シリコン化合物含有付着物の洗浄方法であって、
前記液状のシリコン化合物溶解性組成物の下記標準試験における除去の程度が、研磨材が視認できない程度に除去されていると評価される、シリコン化合物含有付着物の洗浄方法である:
〔標準試験〕
水平に静置したシリコンウェハ(8インチ)の表面に、コロイダルシリカ含有研磨材(FUJIMI社製「ディスクライト」)を5ml滴下して、
前記研磨材が前記表面に付着した前記シリコンウェハを、そのまま室内環境(温度25℃、湿度60%)に12時間放置した後、
45°に傾斜した前記シリコンウェハ表面上の水が蒸発して固化した前記研磨材に、前記液状のシリコン化合物溶解性組成物を、10秒間に200ml滴下して、
前記シリコンウェハを、そのまま室内環境(温度25℃、湿度60%)に5分間放置した後、
前記シリコンウェハ表面上の前記研磨材に、10ml/秒の水道水を10秒間注いだ直後の前記シリコンウェハ表面上の前記研磨材が除去された程度を目視評価する。
上記標準試験によって評価された溶解性を有する液状のシリコン化合物溶解性組成物は、シリコン化合物含有付着物、例えば、
溶解対象1及び2のようなシリコン化合物に対して、例えば、ノズルから流下したりスプレーで噴射したり、
溶解対象1及び2のようなシリコン化合物含有付着物の付着した基板を、シリコン化合物溶解性組成物の充填された液槽に浸漬したりする、
という簡易な方法でシリコン化合物含有付着物に接触させることで、シリコン化合物含有付着物を洗い流すことができる。
上記標準試験によって評価された溶解性を有するシリコン化合物溶解性組成物は、さらに、溶解対象3に対して、例えば、ノズルから流下したりスプレーで噴射したり、
溶解対象3を、シリコン化合物溶解性組成物の充填された液槽に浸漬したりすることで、溶解対象3の表面の平滑処理や基材の厚みをオングストロームオーダーの精度で制御することが可能である。
本発明3の洗浄方法に好適なシリコン化合物溶解性組成物は、例えば、好ましくは本発明1のように、好ましくは化合物A及びCを含み、より好ましくは化合物A、B及びCを含み、更に好ましくは化合物A、B、C及びDを含み、実質的にこれらの化合物からなることが更に好ましく、これらの化合物の組成が本発明1における各化合物の好適含有量であることが更に好ましく、本発明1であることが更に好ましい。
〔化合物及び組成物〕
(1)化合物A、B、C(化合物C1及びC2)並びにD
(1−1)化合物A:フッ化アンモニウム(工業グレード)
(1−2)化合物B:スルファミン酸アンモニウム(工業グレード)
(1−3)化合物C1:硫酸アンモニウム(工業グレード)
(1−4)化合物C2:硫酸(濃度95質量%、工業グレード)
(1−5)化合物D:ノニオン系界面活性剤(工業グレード)
(1−6)水:水道水
(2)本発明1及び比較組成物
上記化合物A〜D及び水を表1に記載した配合割合で混合して、表1記載のpHを有する水溶液状の実施例1及び2の本発明1及び比較例1及び2の比較組成物を得た。
〔実施例1並びに比較例1及び2:シリコン化合物の除去(洗浄)試験〕
(1)本発明1及び比較組成物それぞれ200mlを、広口のポリ容器(容量250ml、日祥社製)に充填した。
(2)除去(洗浄)対象であるシリコン化合物(溶解対象1)
水平に静置したシリコンウェハ(8インチ、信越半導体社製)の表面に、
コロイダルシリカ含有研磨材(FUJIMI社製「ディスクライト」)を5ml滴下し(図1)、
室内環境(温度25℃、湿度60%)に12時間放置して、
シリコンウェハの表面上で水が蒸発して固化した研磨材を、除去(洗浄)対象であるシリコン化合物(溶解対象1)とした(図2)。
(3)除去(洗浄)条件
45°に傾斜させたシリコンウェハ上の除去及び洗浄対象であるシリコン化合物上に、ポリ容器から、本発明1を、10秒間に200ml滴下した(図3)。
本発明1の滴下終了後、シリコンウェハを、室内環境(温度25℃、湿度60%)に5分間放置した。
シリコンウェハ表面上の本発明1で湿潤したシリコン化合物に、10ml/秒の流水(水道水)を10秒間注いだ。
(4)試験結果
シリコンウェハ表面上のシリコン化合物は、本発明1を使用した実施例1では、視認できない程度に除去されたが(図4)、化合物B又は化合物Dを含まない比較例1及び2では、ほとんど除去されなかった。
〔実施例2:スケールの除去(洗浄)試験〕
(1)本発明1の200mlを、ポリ円筒容器(開口内径7cm、深さ10cm)に充填した。
(2)除去及び洗浄対象であるスケール
ステンレス鋼板(幅5cm、長さ5cm、厚さ1mm、SUS310S2B)を、試験用オーブン中で1050℃、5分焼成して、表面がスケールで黒く覆われた試験ステンレス鋼板を得た(図5)。
(3)除去(洗浄)条件
試験ステンレス鋼板全体を、ポリ円筒容器の温度50度に加熱した本発明1中に浸漬し、本発明1を50℃にしたまま1時間放置した。
1時間放置後、本発明1から試験ステンレス鋼板を取り出して、45°に傾斜させた試験ステンレス鋼板の表面に10ml/秒の流水(水道水)を10秒間注いだ後、
試験ステンレス鋼板の表面をウェス(旭化成社製、BEMCOT M−1)でふき取った。
(4)試験結果
ステンレス鋼板表面上のスケールは大部分除去された(図6)。
表1に、実施例1〜3及び比較例1及び2の試験結果をまとめた。
実施例から、以下がわかる。
(1)本発明1は、シリコンウェハ上に付着した「シリコン化合物の溶解に好適である。
(2)本発明1は、鋼板上のスケールの溶解に好適である。
(3)上記標準試験によって評価されるシリコン化合物溶解性を有するシリコン化合物溶解性組成物を、シリコン化合物含有付着物に接触させるという、好適なシリコン化合物溶解性組成物の洗浄方法を提供できる。
(4)本発明1は、スケールの溶解に好適である。

Claims (7)

  1. フッ化水素及び/又はフッ化水素塩(化合物A)、スルファミン酸及び/又はスルファミン酸塩(化合物B)、硫酸及び/又は硫酸塩(化合物C)、界面活性剤(化合物D)並びに水を配合してなり、
    配合総質量中、前記化合物A100質量部に対して、
    前記化合物Bが1〜1000質量部であり、
    前記化合物Cが1〜10000質量部であり、
    前記化合物Dが1〜10000質量部であり、
    残量が実質的に水であり、
    pHが2〜6であり、
    シリコン化合物溶解性及び/又はスケール溶解性を有する組成物。
  2. 前記フッ化水素塩がフッ化アンモニウムであり、
    前記スルファミン酸塩がスルファミン酸アンモニウムであり、
    前記硫酸塩が硫酸アンモニウムである請求項1記載の組成物。
  3. シリコン化合物含有付着物を洗浄するための請求項1又は2記載の組成物。
  4. シリコン基材表面を溶解するための請求項1又は2記載の組成物。
  5. スケールを洗浄するための請求項1又は2記載の組成物。
  6. 請求項1〜5記載の組成物から水を除去してなる粉末組成物。
  7. 液状のシリコン化合物溶解性組成物を、シリコン化合物含有付着物に接触させる、シリコン化合物含有付着物の洗浄方法であって、
    前記液状のシリコン化合物溶解性組成物の下記標準試験における除去の程度が、研磨材が視認できない程度に除去されていると評価される、シリコン化合物含有付着物の洗浄方法:
    〔標準試験〕
    水平に静置したシリコンウェハ(8インチ)の表面に、コロイダルシリカ含有研磨材(FUJIMI社製「ディスクライト」)を5ml滴下して、
    前記研磨材が前記表面に付着した前記シリコンウェハを、そのまま室内環境(温度25℃、湿度60%)に12時間放置した後、
    45°に傾斜した前記シリコンウェハ表面上の水が蒸発して固化した前記研磨材に、前記液状のシリコン化合物溶解性組成物を、10秒間に200ml滴下して、
    前記シリコンウェハを、そのまま室内環境(温度25℃、湿度60%)に5分間放置した後、
    前記シリコンウェハ表面上の前記研磨材に、10ml/秒の水道水を10秒間注いだ直後の前記シリコンウェハ表面上の前記研磨材が除去された程度を目視評価する。
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