JPH11279769A

JPH11279769A - 黒皮除去および錆促進剤

Info

Publication number: JPH11279769A
Application number: JP10083296A
Authority: JP
Inventors: Yoshiaki Shimizu; 良昭清水; Miho Furuta; 美保古田
Original assignee: Suzukiyushi Industrial Corp
Current assignee: Suzukiyushi Industrial Corp
Priority date: 1998-03-30
Filing date: 1998-03-30
Publication date: 1999-10-12

Abstract

(57)【要約】【課題】建造物の構築には、鉄骨を利用したものが殆ど
を占めているが、これら構造物に利用される鋼材は、そ
の多くがＨ型鋼であり、その表面は黒皮とよばれる四三
酸化鉄によって、覆われている。しかし、この黒皮は表
面が滑らかであり、構造物を組み立てる際に、ボルト締
めなどの作業性が劣るために、サンダーなど物理的な方
法により除去していた。しかし、この方法による作業
は、騒音と粉塵を発生させるために、作業環境上問題が
あり、しかも人手を要し、時間も掛かるので経済的な方
法とはいえなかった。【解決手段】本発明の黒皮除去および錆促進剤は、黒皮
除去剤、錆促進剤、ゲル化剤および水からなり、これに
蒸発抑制剤を配合することにより、薬剤の安定性を増す
ことができる。このとき、黒皮除去剤とは無機および有
機の酸であり、錆促進剤とは鉄鋼の錆の生成を促進する
鉄化合物であり、ゲル化剤には無機化合物および有機化
合物があり、蒸発抑制剤とは蒸発速度を水よりも遅くす
る作用のある化合物であって、水溶性のものが好まし
い。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、黒皮除去剤、錆促
進剤、ゲル化剤、蒸発抑制剤および水からなる黒皮除去
および錆促進剤に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、建造物の構築には、鉄骨を利用し
たものが殆どを占めているが、これら構造物に利用され
る鋼材は、その多くがＨ型鋼である。このＨ型鋼は、そ
の製造終了時には、熱処理のために表面が黒皮とよばれ
る四三酸化鉄によって、覆われている。しかし、この黒
皮はその性質上表面が滑らかであり、構造物を組み立て
る作業を行う際に、ボルト締めなどの作業性が劣るため
に、サンダーなど物理的な方法により除去していた。し
かし、この方法による作業は、騒音と粉塵を発生させる
ために、作業環境上問題があり、しかも人手を要し、時
間も掛かるので経済的な方法とはいえなかった。さらに
は、黒皮を除去したのち、自然放置または錆促進剤を塗
布して錆といわれる酸化第二鉄の被膜を生成させ、表面
の摩擦係数を高める方法がとられている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記のような、作業環
境上問題があり、非効率的な黒皮の除去方法を改善し、
かつ、速やかに錆といわれる酸化第二鉄の被膜を生成さ
せる方法が求められていた。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、黒皮除去剤、錆促進剤、ゲル化剤お
よび水からなる黒皮除去および錆促進剤を提供するにい
たった。この黒皮除去および錆促進剤には、蒸発抑制剤
を入れることにより、該薬剤の安定性を増すことができ
る。このとき、黒皮除去剤が硫酸、塩酸、硝酸、スルフ
ァミン酸、フッ化水素酸、修酸、蟻酸、のうちの１種ま
たは２種以上であり、錆促進剤が酸化第二鉄、硫酸第二
鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硝酸第二鉄のうちの１種
または２種以上であり、ゲル化剤がアルミナ、シリカ、
マグネシア、界面活性剤、のうちの１種または２種以上
であることが黒皮除去および錆促進剤として、好まし
い。

【０００５】本発明の黒皮除去および錆促進剤の組成
は、黒皮除去剤が５．０乃至１０．０重量％、錆促進剤
が０．５乃至１０．０重量％、ゲル化剤が０．５乃至２
０．０重量％、蒸発抑制剤が０．０乃至１５．０重量％
および残りの成分が水であることが黒皮除去および錆促
進剤として、特に好ましい。

【０００６】

【発明の実施の形態】本発明にいう黒皮除去および錆促
進剤とは、鋼材、例えばＨ型鋼、を製造した際に、その
表面に存在する黒皮といわれる四三酸化鉄に塗布し、一
定時間後に除去することにより、この黒皮を除去し、か
つその後の表面に酸化第二鉄の錆を生成させる薬剤をい
う。

【０００７】本発明にいう黒皮除去剤とは、無機および
有機の酸であって、硫酸、塩酸、硝酸、スルファミン
酸、フッ化水素酸、修酸、蟻酸、酒石酸、燐酸、などを
例示することができるが、特に硫酸、塩酸、硝酸、スル
ファミン酸、フッ化水素酸、修酸および蟻酸が、本発明
を実施するうえで、好ましい。

【０００８】本発明にいう錆促進剤とは、鉄鋼の錆の生
成を促進する鉄化合物であって、酸化第二鉄、硫酸第二
鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硝酸第二鉄などを例示す
ることができる。

【０００９】本発明にいうゲル化剤とは、本発明の黒皮
除去および錆促進剤を鋼材の黒皮に塗布した際に、黒皮
の表面にある一定の厚みを保ち、黒皮除去および錆促進
剤の作用を一定期間維持する作用をもつものであって、
無機化合物としては、アルミナ、シリカ、マグネシア、
などを、有機化合物としては、セルロースエーテル、ジ
ェランガム、キサンタンガム、カラギーナン、界面活性
剤、などを、例示することができる。そして、これらの
ゲル化剤は、１種または２種以上を混合して、使用する
ことができるものである。

【００１０】本発明にいうアルミナとは、アルミニウム
の酸化物をいい、天然に産出するものおよび工業的に生
産されたものをいう。また、シリカとは、二酸化ケイ素
のみならずケイ酸塩およびケイ酸を含むものである。さ
らには、マグネシアとは、酸化マグネシウムをいい、天
然に産出するものおよび工業的に生産されたものをい
う。

【００１１】本発明にいう界面活性剤としては、陽イオ
ン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤お
よび非イオン界面活性剤をあげることができるが、本発
明を実施するうえでは、非イオン界面活性剤が好まし
い。非イオン界面活性剤としては、脂肪酸アマイドであ
る、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モ
ノエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、
ミリスチン酸ジエタノールアミドなどを、ポリオキシエ
チレンアルキルフェニルエーテルである、ポリオキシエ
チレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオ
クチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキル
（１２〜１４）フェニルエーテルなどを、ポリオキシエ
チレンアルキルエーテルである、ポリオキシエチレンラ
ウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル
などを、ソルビタン脂肪酸エステルである、ソルビタン
モノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビ
タンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソ
ルビタントリラウレート、ソルビタントリステアレー
ト、ソルビタントリオレエートなどを、ポリオキシエチ
レンソルビタン脂肪酸エステルである、ポリオキシエチ
レンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソ
ルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビ
タンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタン
トリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノ
オレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエ
ートなどを、またポリオキシプロピレングリセリルエー
テル、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノール
アミド、ポリオキシエチレンポリプロピレンアルキルエ
ーテル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステ
ル、グリセリン脂肪酸エステル、などを例示することが
できる。

【００１２】本発明にいう蒸発抑制剤とは、蒸発速度を
水よりも遅くする作用のある化合物であって、水溶性の
ものが好ましく、イソブチルアルコール、１−エチル−
１−プロパノール、プロパルギルアルコール、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリ
コール、１，３ブチレングリコール、テトラメチレング
リコール、２，３−ブタンジオール、ペンタメチレング
リコール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコー
ル、グリセリン、２−エチル−２−（ヒドロキシメチ
ル）−１，３−プロパンジオール、１，２，６−ヘキサ
ントリオール、などを例示することができる。

【００１３】本発明にいう水とは、水道水、イオン交換
水、精製水などをいい、本発明を実施するうえでは、精
製水を使用することが好ましい。精製水とは化粧品原料
基準にいう精製水であって、日本薬局方常水を蒸留する
か、またはイオン交換樹脂を通して精製した水であっ
て、無色透明な液で、におい及び味はないものをいう。

【００１４】

【実施例】本発明の黒皮除去および錆促進剤は、精製水
を攪拌機およびホモゲナイザーで攪拌・分散させなが
ら、黒皮除去剤として、所定量の酸を投入し、次いで蒸
発抑制剤および錆促進剤を加え、よく攪拌・分散させた
のち、最後にゲル化剤を投入し、製造する。本発明の詳
細を実施例に基づいて説明するが、本発明の趣旨はこれ
に限定されるものではない。

【００１５】（実施例１）精製水６５．０ｇを攪拌しな
がら、黒皮除去剤として濃硫酸（テイカ株式会社製）
６．０ｇを徐々に注入し、次に蒸発抑制剤としてトリメ
チレングリコール（和光純薬工業株式会社製）１０．０
ｇおよび錆促進剤として硫酸第一鉄（チタン工業株式会
社製）４．０ｇを加え、よく攪拌したのち、ゲル化剤と
してアルミナ（触媒化成工業株式会社製）１５．０ｇを
加え、黒皮除去および錆促進剤を製造した。

【００１６】（実施例２）精製水８３．０ｇを攪拌しな
がら、黒皮除去剤として濃塩酸（要薬品株式会社製）
５．０ｇを徐々に注入し、次に蒸発抑制剤としてヘキシ
レングリコール（三井石油化学株式会社製）３．０ｇお
よび錆促進剤として酸化第二鉄（チタン工業株式会社
製）７．０ｇを加え、よく攪拌したのち、ゲル化剤とし
てセルロースエーテル（信越化学工業株式会社製）２．
０ｇを加え、黒皮除去および錆促進剤を製造した。

【００１７】（実施例３）精製水８６．５ｇを攪拌しな
がら、黒皮除去剤としてスルファミン酸（和光純薬工業
株式会社製）７．０ｇを徐々に注入し、次に蒸発抑制剤
としてグリセリン（ダイセル化学株式会社製）５．０ｇ
および錆促進剤として塩化第一鉄（生駒薬化学株式会社
製）０．５ｇを加え、よく攪拌したのち、ゲル化剤とし
てキサンタンガム（大日本製薬株式会社製）１．０ｇを
加え、黒皮除去および錆促進剤を製造した。

【００１８】（実施例４）精製水７８．０ｇを攪拌しな
がら、黒皮除去剤として濃塩酸（要薬品株式会社製）１
０．０ｇを徐々に注入し、次に錆促進剤として塩化第一
鉄（生駒薬化学株式会社製）２．０ｇを加え、よく攪拌
したのち、ゲル化剤としてシリカ（日本エアロジル株式
会社製）１０．０ｇを加え、黒皮除去および錆促進剤を
製造した。

【００１９】（比較例１）精製水９１．０ｇを攪拌しな
がら、蒸発抑制剤としてヘキシレングリコール（三井石
油化学株式会社製）５．０ｇおよび錆促進剤として酸化
第二鉄（チタン工業株式会社製）３．０ｇを加え、よく
攪拌したのち、ゲル化剤としてキサンタンガム（大日本
製薬株式会社製）１．０ｇを加え、比較例の薬剤を製造
した。

【００２０】（試験例１）実施例１〜４において製造し
た、黒皮除去および錆促進剤並びに比較例１において製
造した薬剤を、それぞれ鋼材の黒皮部分に塗布して１時
間後に観察した結果、実施例１〜４において製造した、
黒皮除去および錆促進剤では、黒皮とよばれる四三酸化
鉄の被膜が剥離して、除去され、さらに錆といわれる酸
化第二鉄の被膜を生成したが、比較例１において製造し
た薬剤を塗布した部分では、黒皮とよばれる四三酸化鉄
の被膜は剥離しなかった。

【００２１】

【発明の効果】近年、建造物の構築には、鉄骨を利用し
たものが殆どを占めているが、これら構造物に利用され
る鋼材は、その多くがＨ型鋼である。このＨ型鋼は、そ
の製造終了時には、熱処理のために表面が黒皮とよばれ
る四三酸化鉄によって、覆われている。しかし、この黒
皮はその性質上表面が滑らかであり、構造物を組み立て
る際に、ボルト締めなどの作業性が劣るために、サンダ
ーなど物理的な方法により除去していた。しかし、この
方法による作業は、騒音と粉塵を発生させるために、作
業環境上問題があり、しかも人手を要し、時間も掛かる
ので経済的な方法とはいえなかった。さらには、黒皮を
除去したのち、自然放置して錆といわれる酸化第二鉄の
被膜を生成させ、表面の摩擦係数を高める方法がとられ
ていた。

【００２２】本発明による黒皮除去および錆促進剤は、
鋼材の黒皮といわれる四三酸化鉄の被膜のうえに塗布
し、そのまま放置するか、または一定時間後に除去する
ことにより、黒皮を化学的に溶解・剥離するので、サン
ダーなどにより黒皮を物理的に除去する場合のように騒
音・粉塵を発生しないので、このような問題を解消する
に至った。また、黒皮除去後に錆が自然と発生するの
で、黒皮を物理的に除去する場合のように錆促進剤をあ
らためて塗布する必要がない。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】黒皮除去剤、錆促進剤、ゲル化剤および水
からなることを特徴とする黒皮除去および錆促進剤。
【請求項２】黒皮除去剤、錆促進剤、ゲル化剤、蒸発抑
制剤および水からなることを特徴とする黒皮除去および
錆促進剤。
【請求項３】請求項１または２に記載の黒皮除去剤が硫
酸、塩酸、硝酸、スルファミン酸、フッ化水素酸、修
酸、蟻酸、のうちの１種または２種以上である黒皮除去
および錆促進剤。
【請求項４】請求項１または２に記載の錆促進剤が酸化
第二鉄、硫酸第二鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硝酸第
二鉄のうちの１種または２種以上である黒皮除去および
錆促進剤。
【請求項５】請求項１または２に記載のゲル化剤がアル
ミナ、シリカ、マグネシア、界面活性剤、のうちの１種
または２種以上である黒皮除去および錆促進剤。
【請求項６】請求項１または２において、黒皮除去剤が
５．０乃至１０．０重量％、錆促進剤が０．５乃至１
０．０重量％、ゲル化剤が０．５乃至２０．０重量％、
蒸発抑制剤が０．０乃至１５．０重量％および残りの成
分が水である黒皮除去および錆促進剤。