JP2016515643A

JP2016515643A - 農薬油分散配合物、該農薬油分散配合物の使用及び該農薬油分散配合物の調製のための方法

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Publication number: JP2016515643A
Application number: JP2016507959A
Authority: JP
Inventors: プリシラカステラーニ，
Original assignee: オキシテノソシエダッドアノニマインデュストリアエコメルシオ
Priority date: 2013-04-18
Filing date: 2014-04-16
Publication date: 2016-05-30
Also published as: AR095878A1; BR102013009504A2; EP2987405A1; EP2987405A4; MX2015014645A; US20160088835A1; CN105338811A; WO2014169363A1

Abstract

本発明は、油相中に懸濁された少なくとも１つの活性成分、分散剤、粘土系レオロジー添加剤、セルロース誘導レオロジー添加剤、及び乳化剤を含み、前記油相中に可溶化された少なくとも１つの活性成分をさらに含むことができる新規な農薬油分散配合物に関する。これらの農薬油分散配合物は、農業における害虫を防除するためのスプレー混合物中で使用され得る。本明細書に記載されているその新規な農薬油分散配合物は、少なくとも１つの活性成分を分散剤及び粘土系レオロジー添加剤の存在下で油相中に分散させるステップ、続いてその分散された混合物を粉砕するステップ、並びにセルロース系レオロジー添加剤及び粘土系レオロジー添加剤が乳化剤に加えて添加される最終の混合ステップを含み、少なくとも１つの活性成分が可溶化によっても加えられ得る方法によって得られる。【選択図】なし

Description

発明の分野

本発明は、油相中に懸濁された少なくとも１つの活性成分を含む新規な農薬油分散配合物に関する。本発明は、その農業における最終用途及びこれらの農薬油分散配合物の調製のための方法をさらに開示する。

作物の害虫を防除する最も効果的な方法は、適切な管理方法に従う農薬の施用である。本発明によれば、農薬は、害虫を防除又は軽減することを目的として作物に施用される任意の及び全ての活性成分（ＡＩ：ａｃｔｉｖｅｉｎｇｒｅｄｉｅｎｔ）を含む。農薬は防除する害虫によって分類することができ、市場で見出される最も一般的な農薬は、除草剤、殺虫剤、殺菌剤、及びダニ駆除剤である。

農薬は、純粋な形態と、１つ又は複数のＡＩ、及びその効果を高めてその施用を容易にする担体、補助剤若しくは添加剤などのさらなる不活性物質を一般的に含む、農薬配合物中に組み込まれたものとの両方が、市場で通常は見出される。これらの配合物は、作物に直接施用され得るか、又は、より一般的には、希釈されてスプレー混合物が形成された後に施用される。使用される配合物の剤型は、ＡＩの物理化学的特性に基づいて主に決定され、数ある中でも、液剤（ＳＬ：ｓｏｌｕｂｌｅｃｏｎｃｅｎｔｒａｔｅ）、乳剤（ＥＣ：ｅｍｕｌｓｉｆｉａｂｌｅｃｏｎｃｅｎｔｒａｔｅ）、水中エマルジョン剤（ＥＷ：ｅｍｕｌｓｉｏｎｉｎｗａｔｅｒ）、懸濁剤（ＳＣ：ｓｕｓｐｅｎｓｉｏｎｃｏｎｃｅｎｔｒａｔｅ）、サスポエマルジョン製剤（ＳＥ：ｓｕｓｐｏ−ｅｍｕｌｓｉｏｎ）、マイクロエマルジョン製剤（ＭＥ：ｍｉｃｒｏ−ｅｍｕｌｓｉｏｎ）、油分散液剤又は油懸濁剤（ＯＤ：ｏｉｌｄｉｓｐｅｒｓｉｏｎ）、分散性濃縮剤（ＤＣ：ｄｉｓｐｅｒｓｉｂｌｅｃｏｎｃｅｎｔｒａｔｅ）、カプセル懸濁液剤（ＣＳ：ｃａｐｓｕｌｅｓｕｓｐｅｎｓｉｏｎ）、顆粒水和剤（ＷＧ：ｄｉｓｐｅｒｓｉｂｌｅｇｒａｎｕｌｅｓ）、水和剤（ＷＰ：ｗｅｔｔａｂｌｅｐｏｗｄｅｒ）であり得る（ＮｏｒｍａＡＢＮＴＮＢＲ１２６７９：２００４ − Ａｇｒｏｔｏｘｉｃｏｓｅａｆｉｎｓ，Ｐｒｏｄｕｔｏｓｔｅｃｎｉｃｏｓｅｆｏｍｕｌａｃｏｅｓ，Ｔｅｒｍｉｎｏｌｏｇｉａ）。

農薬配合物のさまざまな剤型は、異なる化学的性質を有する多種多様のＡＩの存在の結果である。例えば、水溶性ＡＩは、水性のＳＬ中に容易に含有させられ得るのに対し、高融点の水不溶性ＡＩは、ＳＣの形態で一般に見出される。この理由により、農薬配合物は、互いに異なり、さまざまな不活性成分を含むことができる。

最近、ＯＤ配合物は、従来のＳＣと比較した野外における農業生産力に関する利点のために会社及び配合者による研究の対象となっている。ＯＤ配合物とＳＣ配合物との間の主な違いは、前者において、そのＡＩが油中に懸濁されており、一方、後者において、それが水中に懸濁されていることである。配合されたＡＩは、通常、ＯＤと同様に配合されることを可能にする物理化学的特性を示す。それらの間の異なる性能は、ＯＤが、それらの組成物に油、例えば鉱物油又は植物油、及び野外で施用されたときに浸透補助剤として作用することができる乳化剤など、を既に含有している事実に起因している。浸透補助剤は、植物によるＡＩの吸収に役立ち、いくつかのＳＣ配合物の場合、それらはスプレー混合物中でその配合物と合わせて使用され、ＡＩの農学的有効性を確保する。このようにして、ＯＤ配合物は、「補助剤が入れられた」配合物と認められ、さらなる関連した補助剤が野外で施用されることを必要としない。

しかしながら、ＯＤ配合物の調製における技術的難関は、油相中のＡＩの懸濁液がその系を安定化するための分散剤を必要とすることから、それらの調製方法その自体である。その懸濁プロセスにおいて、ＡＩ粒子は、その活性成分が葉又はその他の標的による吸収作用に際して最大化された活性を有するために、そしてその混合物が野外で噴霧されるときに均一に施用されるように、それらの大きさが典型的には１〜５μｍの間まで減じられていなければならない。配合物における粒径を減じるための最も普通のプロセスは、湿式粉砕である。液体配合物の粉砕は、工業規模及び実験室規模の両方共に適切なミル中で行われる。分散剤は、粉砕中に粒子表面に吸着されて粒子がくっついて凝集することを防止する。分散剤が期待通りに作用しないことを示す指標は、粉砕中の配合物の粘度の大きな上昇であり、凝集が起こってプロセスのこのステップを実行不能としていることを示す。水性媒体用の従来の分散剤は、油相において同様の性能を発揮しないので、これはＯＤ配合物において非常によくあり且つ克服し難い現象である。それ故に、ＯＤ配合物の調製のためのプロセスにおいてそのような配合物のための分散剤の選択は、難題である。例えば、特許ＢＲ９８０１４９２−７（農業用油中の安定な農薬分散及びそれを形成するための方法）及び国際特許出願公開第２０１２０６９５１４号パンフレット（農薬及びスルホン酸基を有するコポリマーを含む無水組成物）は、ＯＤ配合物中の分散剤として使用され得るポリマーを開示している。但し、これらの分子は極めて複雑である。他の解決法は、国際特許出願公開第２００７０４２１３８号パンフレット（ジフルフェニカン含有油懸濁液濃縮物）に記載されているように、意図された分散を得るために多価カチオン塩を使用するが、油配合物中の塩の使用は安定性の問題を引き起こす可能性がある。

それらの調製法に加えてＯＤ配合物において見出された別の技術的困難は、市場の実際に照らせば２年であるべき保存安定性である。そのような場合に、主な問題点は、パック上部の油相の分離及びＡＩの沈殿であり、その現象はこれらの製品の保存寿命を縮める。

農薬配合物における沈殿問題は、通常添加剤又はレオロジー調整剤を使用することによって最小限にすることができる。これらの添加剤は、農薬配合物の粘度を増し、より大きな安定性を与え、より長い期間にわたる保存を可能にする。配合物の粘度を増大させるので、レオロジー添加剤は、一般的に配合プロセスの終わりに加えられる。これらの添加剤は、通常指定された膨張剤、耐沈降剤、懸濁剤又は増粘剤である。ＳＣ配合物のためのレオロジー添加剤は、市場で広く知られており、キサンタンゴムが最も幅広く使用されているが、ＯＤのためのレオロジー添加剤は技術的難関を依然として示している。最近の特許文献は、この目的のための新しいレオロジー添加剤を開示している。例えば、国際公開第２０１２０８０２０８号パンフレット（農薬油分散）は、ポリヒドロキシステアリン酸をトリアミン又はテトラミンと反応させることによるＯＤ配合物のための増粘剤の調製を開示している。国際公開第２０１２１６７３２１号パンフレット（農業用油性懸濁配合物の物理的安定性を高めるための組成物及び方法）は、この目的を達成するためにゴムタイプのコポリマーの使用を開示している。これらの発明に加えて、ジベンジリデンソルビトール及びそれらの誘導体もＯＤ配合物のための増粘剤として、米国特許出願公開第２０１２０２０８７００号（安定な農薬油分散液）に記載されている。

高い表面積を有するベントナイト、アタパルジャイト及びシリカなどの粘土、並びにセルロース誘導体は、水性農薬配合物における増粘剤として作用することが知られている。しかしながら、非水性農薬配合物における使用は少ししか生かされていない。米国特許出願公開第２０１１００８６７６０号（スルホニル尿素薬及びフルロキシピル又はその他の農薬との組合せの油中懸濁液濃縮物）及び米国特許出願公開第２０１００３３１１８７号（配合物）の中に、従来のベントナイトは有機媒体と混合可能ではないので、油系との親和性を示す有機変性ベントナイト及び化学的に活性化されたベントナイトの使用がそれぞれ開示されている。米国特許出願公開第２０１００１９０６４８号（構造化農薬油性系）は、ＯＤ配合物を増粘するためにヒマシ油及びその誘導体とアタパルジャイトとの組み合わせの使用について述べているが、アニオン界面活性剤と合わせた際に前記系によって発生される低い安定性が欠点である。このタイプの配合物へのアニオン界面活性剤の添加は、野外で施用するためのスプレー混合物中で希釈するために絶対不可欠である。

さらに、ＯＤ配合物の油相中での他のＡＩの可溶化は、どの先行発明にも報告されていない。前記可溶化は、前記相中に溶解できて通常はＥＣ又はＥＷとして配合されるＡＩの混入をもたらすことができる。それ故、ＳＥのような極めて複雑な配合物においてのみ可能である単一の配合物中で異なる物理化学的性質を有するＡＩを結びつかせることが可能であろう。

今や驚くべきことに、粉砕プロセスにおいてレオロジー添加剤アタパルジャイトと合わせたアニオン分散剤及びエタノールアミン脂肪酸アミド系分散剤の使用は、油相中のＡＩの凝集を防ぎ、１〜５μｍの粒子を有するタイプの配合物を得ることを可能にすることが見出されている。粉砕プロセス後の配合プロセスの最終ステップにおいて、アタパルジャイトが、高い保存安定性を有する配合物を提供するために、セルロース誘導レオロジー添加剤と組み合わせて再び加えられなければならないことも発見されている。これらの分散剤とレオロジー添加剤との間の関係は、配合物の調製及びその安定性に対して不可欠であり、アニオン界面活性剤の存在下にあってさえも、油相中に懸濁された少なくとも１つの安定なＡＩを含有している農薬配合物の調製について、これらの成分の間に相乗効果が存在していることが示された。少なくとも１つのさらなるＡＩが、これらの配合物中に安定性を何ら失うことなく可溶化されることができる。

それ故、本発明の目的は、油相中に懸濁された少なくとも１つの活性成分、分散剤、粘土系レオロジー添加剤、セルロース誘導レオロジー添加剤及び乳化剤を含み、場合によって前記油相中に可溶化された少なくとも１つの活性成分を含む、新規な農薬油分散配合物を提供することである。本発明のさらなる目的は、害虫を防除するためのスプレー混合物中でのこれらの農薬油分散配合物の使用である。

本発明のもう１つの目的は、前記農薬油分散配合物の調製のための方法であって、第一ステップにおいて少なくとも１つの活性成分が分散剤及び粘土系レオロジー添加剤を含む油相中に分散され、その分散された混合物を粉砕するステップ及びセルロース系レオロジー添加剤及び粘土系レオロジー添加剤が乳化剤に加えて添加され、少なくとも１つの活性成分が可溶化によって同様に加えられ得る最終の混合ステップが続く方法である。本発明の農薬油分散配合物、農業におけるそれらの使用、及び当該農薬油分散配合物の調製のための方法における有利な点は、以下の記述の中で明らかとなろう。

本発明は、油相中に懸濁された少なくとも１つの活性成分、分散剤、粘土系レオロジー添加剤、セルロース誘導レオロジー添加剤、及び乳化剤を含み、前記油相中に可溶化された少なくとも１つの活性成分をさらに含むことができる新規な農薬油分散配合物に関する。これらの農薬油分散配合物は、農業における害虫を防除するためのスプレー混合物中で使用され得る。本明細書に記載されている新規な農薬油分散配合物は、少なくとも１つの活性成分を分散剤及び粘土系レオロジー添加剤を含む油相中に分散させるステップ、続いてその分散された混合物を粉砕するステップ、並びにセルロース系レオロジー添加剤及び粘土系レオロジー添加剤が乳化剤に加えて添加される最終の混合ステップを含み、少なくとも１つの活性成分が可溶化によって同様に加えられ得る方法によって得られる。

発明の詳細な説明

本明細書に言及されている新規な農薬油分散配合物は、油相中に懸濁された少なくとも１つの活性成分、分散剤、粘土系レオロジー添加剤、セルロース誘導レオロジー添加剤、及び乳化剤を含み、前記油相中に可溶化された少なくとも１つの活性成分をさらに含むことができる。

本発明で使用するために適する油相中に懸濁又は可溶化されるＡＩとしては、除草剤、殺菌剤、殺虫剤及びダニ駆除剤が挙げられる。一般的に使用される用語（ＴｈｅＰｅｓｔｉｃｉｄｅＭａｎｕａｌ，Ｔｏｍｌｉｎ，Ｃ．Ｄ．Ｓ．（Ｅｄ．），２００６，１４ｔｈｅｄｉｔｉｏｎ，ＢｒｉｔｉｓｈＣｒｏｐＰｒｏｄｕｃｔｉｏｎＣｏｕｎｃｉｌ）に基づいて、本発明で使用され得る適切な農薬の例としては、以下の種類の除草剤が挙げられる：４−（アリールオキシフェノキシ）アルカン酸、２−（４−アリールオキシフェノキシ）アルカン酸、１，３，５−トリアジン、１，３，５−トリアジン−２，４−ジオン、２−（アリールオキシフェノキシ）プロピオンアミド、２，６−ジニトロアニリン、２−クロロ−アセトアニリド、アセトアミド、アニリド、芳香族酸、アリールアミノプロピオン酸、アリールオキシカルボン酸、アリールオキシフェノキシプロピオネート、ベンズアミド、ベンゼンジカルボン酸、ベンズイミダゾール、ベンゾフラン、安息香酸、ベンゾニトリル、ベンゾチアジアジノン、ビフィジリウム（ｂｉｐｈｉｄｉｌｉｕｍ）、カルバメート、クロロアセトアミド、シクロヘキサノジオンオキシム、ジニトロアニリン、ジニトロフェノール、ジフェニルエーテル、グリシン誘導体、ハロゲン化アルカン酸、ヒドロキシベンゾニトリル、イミダゾリノン、イソオキサゾール、イソオキサゾリジノン、Ｎ−フェニルフタルイミド、有機ヒ素化合物、有機塩素化合物、有機リン化合物、オキサジアゾール、オキシアセトアミド、フェノキシカルボン酸、フェニルカルバメート、フェニルピラゾール、フェニルピリダジン、フェニル尿素、ホスフィン酸、ホスホロアミド酸、ジチオリン酸、フタル酸エステル、ピラゾール、ピリダジン、ピリダジノン、ピリジン、ピリジンカルボキサミド、ピリジンカルボン酸、ピリミジンジオン、ピリミジン、ピリミジニルオキシ安息香酸、キノリンカルボン酸、チオカルバメート、セミカルバゾン、スルホニル尿素、チアジアゾール、チオカルバメート、トリアジン、トリアジノン、トリアゾール、トリアゾリノン、トリアゾロカルボキサミド、トリアゾロピリミジン、トリケトン、ウラシル、尿素及びスルファニルカルバメート。殺菌剤の種類としては、ＱｉＩ、ストロビルリン系、ストロビルリン類似物、トリアゾール、フェニルアミド、ベンズイミダゾール、バニルアミドカルバメート、芳香族炭化水素、ピリジンカルボキシアミド、アミノピリジノール、フタルイミド、オキサチンカルボキシアミド、シクロプロパンカルボキシアミド、クロロフェニルニトロアニリン、クロロニトリル、フェニルアセトアミド、シアノアセトアミドオキシム、アニリノピリミジン、アルキレンビス（ジチオカルバメート）、スルファミド、カルボキシアミド、ピリダジノン、Ｎ−フェニルカルバメート、ピリミジンアミン、桂皮酸アミド、キノン、モルホリン、グアニジン、ホスホロチオエート、チアゾールカルボキシアミド、ピリミジン、フランカルボキシアミド、ヒドロキシアニリド、プロピオンアミド、ピペリジン、有機スズ、ジメチルジチオカルバメート、２，６−ジニトロアニリン、フェニルピロール、ベンズアミド、ピリジニルエチルベンズアミド、ベンゼンスルホンアミド、フェニルベンズアミド、ホスホネート、ピラゾールカルボキシアミド、グアニジン、イミダゾール、ジカルボキシアミド、マンデルアミド、ベンゾフェノン、ブチロラクトン、フェニル尿素、イソベンゾフラノン、ピペリジン、ポリオキシン、カルバメート、キナゾリノン、ピロロキノリノン、キノリン、チオフェンカルボキシアミド、スピロケタールアミン、チアジアゾールカルボキシアミド、ベンゾトリアジン、トリアゾロベンゾチアゾール、ピペラジン、グルコピラノシル、３’−４’−ジクロロアニリド、有機水銀、トリアジン、尿素、エヌピラヌロニック酸（ｅｎｕｐｉｒａｎｕｒｏｎｉｃａｃｉｄ）、アニリド、アミノピリミジノール、有機リン酸エステル、ジアゾスルホナート、有機ヒ素、ピリジン、トリアジルアニリン、アシルアラニン酸塩、ジカルボキシミド、カルボキシアニリド、イソフタロニトリル、チアジアゾールエーテル、アリールホスホロチオエート及びトリアゾリンチオン、が挙げられる。

本発明の農薬配合物のＡＩは、いくつかのダニ駆除剤、例えば、有機スズ、ベンジル化物、シロアリ成長抑制剤、ＭＥＴＩ、ピレスロイド、有機塩化物、ベンズイミダゾール及び有機リン酸エステルの類に属するものに加えて、有機リン酸エステル、ネオニコチノイド、オキシムカルバメート、ピレスロイド、カルバメート、ネライストキシン類似物、シクロジエン有機塩化物、ベンゾイル尿素、アベルメクチン、フェニルピラゾロ、幼若ホルモンミメティック、ジアシルヒドラジン、オキサジアジン、選択的食物遮断薬、燻蒸剤、ジメチルカルバメート、フェノキシカルボン酸前駆体、有機リン化合物、カルバモイルオキシム、尿素、ビス（アリールホルムアミジン）、テトラノルトリテルペノイド、ベンゾフラニルメチルカルバメート、オキシムメチルカルバメート、チアジアジノン、トリアジナミン、アントラニルアミド、ベンゾイル尿素、スピノシン類、ケト−エノールを含めたさまざまな種類の殺虫剤をさらに含むことができる。

本発明によって称される油相は、植物油を短鎖アルコール、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール及びペンタノールなどとエステル交換することによるか、又は植物油の鹸化から得られた脂肪酸部分を前記と同じアルコールでエステル化することによって得られる変性された植物油である。最も一般的な例の中には、大豆メチルエステル、菜種メチルエステル、ヤシメチルエステル、パーム核メチルエステル、ココナツメチルエステル及びＣ_８〜１０メチルエステルがある。

本発明に含まれる乳化剤は、配合物がスプレー混合物中に希釈されるときに油相及び前記相中に可溶化され得るＡＩを乳化し、それによって前記混合物を均一にして野外における施用に適切にすることが意図される。それ故、本発明の農薬配合物への乳化剤の添加は、害虫防除におけるその最終使用に絶対不可欠である。本発明に含まれる乳化剤の中では、アニオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム、天然又は合成のエトキシ化脂肪アルコール、天然又は合成のエトキシ化及びプロポキシ化脂肪アルコール、エトキシ化及びプロポキシ化短鎖アルコール、ＥＯ／ＰＯコポリマー、エトキシ化脂肪酸、エトキシ化ヒマシ油、エトキシ化ソルビタンエステル、エトキシ化エステル化ソルビトール、エトキシ化アルキルフェノール、エトキシ化トリスチリルフェノール及びエトキシ化脂肪アミンがある。

本発明を実行するために必要な分散剤の中では、アニオン界面活性剤があり、最も一般的なのは：リン酸化エトキシ化アルキルフェノール、リン酸化エトキシ化及びプロポキシ化アルキルフェノール、リン酸化エトキシ化トリスチリルフェノール、リン酸化エトキシ化天然又は合成の脂肪アルコール、リン酸化エトキシ化及びプロポキシ化天然又は合成の脂肪アルコールである。非イオン界面活性剤に加えて、本発明の分散剤は、エタノールアミン脂肪酸アミドをさらに含む。

同様に、本発明の実行のための最も適切な粘土系レオロジー添加剤は、アタパルジャイトであり、一方セルロース誘導レオロジー添加剤は、ヒドロキシアルキルセルロースである。

本発明の新規な農薬油分散配合物は、長日月にわたって保存されるときに粒子の沈殿又はクラスタリングを示さず、極めて安定であることが示された。加えて、本発明の１つの大きな利点は、例えばＳＣ及びＥＣ配合物に一般に配合されるさまざまな物理化学的性質を有しているＡＩが単一の配合物中に混合されることを可能にし、その配合物の安定性を何ら失うこともない、油相中の１つ又は複数のＡＩの容易な溶解である。異なる物理化学的性質を有しているＡＩの混合を可能にする配合物は、市場に存在するのはほんの少しだけであり、その中で最も一般的なのはＳＥであり、その調製は大きな労働力を要し、多大な時間を必要とする。そのような調整の容易な単一組成中の異なるＡＩの組合せは、農学的な観点では、必要な農業効率をもたらし、かつ耐性種の発生を予防する害虫の正しい化学的管理が、活性成分の組合せにしばしば必要とされることから、興味深く、そして、化学的適合性観点では、実際に、野外での施用のために活性成分を組み合わせるものについて、そのような混合物が通常はスプレータンクで作製されるが、このことは、異なるタイプの間に、施用及び農業上の有効性の両方の点で損失を伴う不適合の問題をもたらすことから、興味深い。加えて、１つの製品が２つ又はそれより多い製品の代わりに使用され得るので、その配合物の最終使用者に対する経済的利点が存在する。これらの新規な配合物のもう１つの利点は、市販されている原材料から成り、大規模な生産を可能にすることである。

本明細書に記載されている農薬油分散配合物は、害虫防除のためのスプレー混合物中で使用され得る。本明細書に開示されている新規な農薬油分散配合物は、例えば、配合物のＡＩの農業有効性を増大させる変性植物油に基づく油相のようなアジュバント活性を有することが知られている成分を含むので、優れた農業生産力をさらに有する。これらの利点は、農業の周囲環境における害虫防除に大いに適用できる新規な農薬油分散配合物をもたらす。

本発明の適切な遂行のために、新規な農薬油分散配合物は、実験室又は工業規模で、一般に以下の３つのステップを含む方法によって調製される必要がある：
１．少なくとも１つの活性成分を分散剤及び粘土系レオロジー添加剤の存在下で油相中に分散させるステップ。このような分散は、高速分散機又は同様の装置で行わなければならない。
２．ステップ１の分散された混合物を粉砕して懸濁粒子のサイズを１〜５μｍに達するまで低下させるステップ。湿式粉砕プロセスは、液体に適しているミル中でガラス球又はジルコニウム球により行われなければならない。
３．撹拌下で、前記スプレー混合物に、配合物の安定化のためのセルロース誘導レオロジー添加剤及び粘土系レオロジー添加剤、並びに最終配合物の上記相を乳化させるために必要な乳化剤を添加し、少なくとも１つの活性成分が可溶化によって同様に添加され得るステップ。

本発明の配合プロセスの１つの注目点は、粒子の凝集及び／又は再凝集が起こらないように要求される配合プロセスの分散ステップ及び粉砕ステップにおける分散剤と粘土系レオロジー添加剤との組合せである。分散剤又は粘土系レオロジー添加剤が別々に使用されたとき、再凝集が起こり、それは粉砕ステップにおいて配合物の粘度を増し、配合プロセスの終了を妨げた。これらの成分間には、本明細書に記載されている農薬配合物の調製に対して絶対不可欠である相乗効果が見られた。

本発明の配合プロセスで意外に見出されたもう１つの事実は、配合プロセスの最終ステップにおいて配合物に高い保存安定性をもたらすために、その粉砕プロセスの後にセルロース誘導添加剤と一緒に粘土系レオロジー添加剤の添加の必要性であった。その２つのレオロジー添加剤の１つのみの使用は、望ましい安定性をもたらすには不十分であった。このステップにおいて、乳化剤及びその他のＡＩは、その油相中にさらに可溶化されることが可能であり、その利点は既に記載されている。

本発明の新規な配合物を得るプロセスは、農薬配合物を配合する実験室において、並びに、これらの配合物を製造する工場において非常に共通しているＳＣ配合物を得るために使用されるのと同じ装置及び単位操作を必要とするので、実験室及び工業規模の両方で容易に行われる利点を有する。加えて、このプロセスは、極めて簡単であり、実施するのが容易であることが示され、本明細書に記載されている農薬配合物の調製を可能にした。

本発明の農薬油分散配合物は、５〜５０％の、油相中に懸濁された少なくとも１つの活性成分、５〜３０％の分散剤、１〜２０％の粘土系レオロジー添加剤、０．１〜５％のセルロース誘導レオロジー添加剤、及び３〜２５％の乳化剤を含み、０〜５０％の、前記油相中に可溶化された少なくとも１つの活性成分が存在することもできる。

本発明の好ましい実施形態において、農薬油分散配合物は、２０〜３０％の、変性大豆油中に懸濁されたネオニコチノイド化学的分類の殺虫活性成分、８〜１５％のリン酸化エトキシ化トリスチリルフェノール及びジエタノールアミンヤシ油アミド分散剤、５〜１０％のアタパルジャイト、０．３〜１％のヒドロキシエチルセルロース及び５〜１５％のドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、エトキシ化ヒマシ油及びＥＯ／ＰＯブタノール乳化剤を含み、３〜５％の、油相中に可溶化されたピレスロイド類の殺虫活性成分をさらに含む。

本発明の別の好ましい実施形態において、農薬油分散配合物は、８〜２０％の、変性大豆油中に懸濁されたストロビルリンの化学的分類の殺菌活性成分、１０〜２０％のリン酸化エトキシ化トリスチリルフェノール及びジエタノールアミンヤシ油アミド分散剤、５〜１０％のアタパルジャイト、０．５〜２％のヒドロキシエチルセルロース及び５〜１５％のドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、エトキシ化ヒマシ油及びＥＯ／ＰＯブタノール乳化剤を含み、３〜１０％の、油相中に可溶化されたトリアゾール化学分類の殺菌活性成分をさらに含む。

本発明の別の好ましい実施形態において、農薬油分散配合物は、１５〜３５％の、変性大豆油中に懸濁された１つがストロビルリンの化学的分類であり、もう１つがトリアゾールである２つの殺菌活性成分、１０〜２０％のリン酸化エトキシ化トリスチリルフェノール及びジエタノールアミンヤシ油アミド分散剤、３〜１０％のアタパルジャイト、０．５〜２％のヒドロキシエチルセルロース及び５〜１５％のドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、エトキシ化ヒマシ油及びＥＯ／ＰＯブタノール乳化剤を含む。

本発明の方法により得られる農薬配合物の実施例が以下に開示される。これらの実施例は、本発明を限定することを意図されてはいない。

実施例１−ダイズ油メチルエステル中に懸濁された殺虫活性成分イミダクロプリド、分散剤、アタパルジャイト、ヒドロキシエチルセルロース及び乳化剤を含み、油相中に可溶化された殺虫活性成分ビフェントリンをさらに含む農薬油分散配合物。

実施例１の配合物を調製するためのプロセスは、リン酸化エトキシ化トリスチリルフェノール、ジエタノールアミンヤシ油アミド及びアタパルジャイトの存在するダイズ油メチルエステル中にイミダクロプリドを分散させ、続いてこの混合物を粒子が１〜５μｍの大きさに達するまで粉砕することによって実施された。最後に、撹拌下で、ビフェントリン、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、エトキシ化ヒマシ油、ＥＯ／ＰＯブタノール、ヒドロキシエチルセルロース及び再度のアタパルジャイトが添加された。

実施例２−ダイズ油メチルエステル中に懸濁された殺菌活性成分ピコキシストロビン、分散剤、アタパルジャイト、ヒドロキシエチルセルロース及び乳化剤を含み、油相中に可溶化された殺菌活性成分プロピコナゾールをさらに含む農薬油分散配合物。

実施例２の配合物を調製するためのプロセスは、リン酸化エトキシ化トリスチリルフェノール、ジエタノールアミンヤシ油アミド及びアタパルジャイトの存在するダイズ油メチルエステル中にピコキシストロビンを分散させ、続いてこの混合物を粒子が１〜５μｍの大きさに達するまで粉砕することによって実施された。最後に、撹拌下で、プロピコナゾール、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、エトキシ化ヒマシ油、ＥＯ／ＰＯブタノール、ヒドロキシエチルセルロース及び再度のアタパルジャイトが添加された。

Claims

（ａ）油相中に懸濁された少なくとも１つの活性成分、（ｂ）分散剤、（ｃ）粘土系レオロジー添加剤、（ｄ）セルロース誘導レオロジー添加剤、及び（ｅ）乳化剤を含み、前記油相中に可溶化された少なくとも１つの活性成分をさらに含むことができることを特徴とする、農薬油分散配合物。
前記活性成分が、除草剤、殺虫剤、殺菌剤又はダニ駆除剤であることを特徴とする、請求項１に記載の農薬油分散配合物。
前記油相が、変性植物油を含むことを特徴とする、請求項１に記載の農薬油分散配合物。
前記分散剤が、アニオン界面活性剤及びエタノールアミン脂肪酸アミドであることを特徴とする、請求項１に記載の農薬油分散配合物。
前記粘土系レオロジー添加剤が、アタパルジャイトであることを特徴とする、請求項１に記載の農薬油分散配合物。
前記セルロース誘導レオロジー添加剤が、ヒドロキシアルキルセルロースであることを特徴とする、請求項１に記載の農薬油分散配合物。
前記乳化剤が、非イオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤であることを特徴とする、請求項１に記載の農薬油分散配合物。
５〜５０％ＳＤの、油相中に懸濁された少なくとも１つの活性成分、５〜３０％＞の分散剤、１〜２０％の粘土系レオロジー添加剤、０．１〜５％のセルロース誘導レオロジー添加剤、及び３〜２５％の乳化剤を含み、０〜５０％の、前記油相中に可溶化された少なくとも１つの活性成分をさらに含むことができることを特徴とする、請求項１〜７のいずれか一項に記載の農薬油分散配合物。
８〜３５％の、油相中に懸濁された少なくとも１つの活性成分、８〜２０％の分散剤、３〜１０％の粘土系レオロジー添加剤、０．３〜２％のセルロース誘導レオロジー添加剤、及び５〜１５％の乳化剤を含み、０〜１５％の、前記油相中に可溶化された少なくとも１つの活性成分をさらに含むことができることを特徴とする、請求項８に記載の農薬油分散配合物。
農業における害虫防除のためのスプレー混合物中で使用されることを特徴とする、請求項１〜９のいずれか一項に記載の農薬油分散配合物の使用。
農薬油分散配合物の調製のための方法であって、
（１）少なくとも１つの活性成分を分散剤及び粘土系レオロジー添加剤の存在下で油相中に分散させるステップ、続いて（２）前記ステップ（１）の分散された混合物を粉砕するステップ、続いて（３）セルロース系レオロジー添加剤及び粘土系レオロジー添加剤が乳化剤に加えて添加される最終の混合ステップを含み、少なくとも１つの活性成分が可溶化によって加えられ得ることを特徴とする、方法。
得られた配合物が、５〜５０％の、油相中に懸濁された少なくとも１つの活性成分、５〜３０％の分散剤、１〜２０％の粘土系レオロジー添加剤、０．１〜５％のセルロース誘導レオロジー添加剤、及び３〜２５％の乳化剤を含み、０〜５０％の、前記油相中に可溶化された少なくとも１つの活性成分をさらに含むことができることを特徴とする、請求項１１に記載の農薬油分散配合物の調製のための方法。