JP3914288B2 - 安定化された水性乳化懸濁状農薬組成物およびその製造法 - Google Patents
安定化された水性乳化懸濁状農薬組成物およびその製造法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、農薬活性成分、界面活性剤、グリコール類および尿素を含有する複合組成物であって、長期間の貯蔵下および低温・高温の条件下において安定な水性乳化懸濁状組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
それぞれ異なる活性を持つ2つ以上の有効成分を混合して使用することは、散布作業の省力化などのメリットを生じるが、有効成分の持つ様々な化学物性により、長期的に安定な混合製剤化は、容易でないことが多い。有効成分の混合が可能であっても、施用目的にかなった剤型にできず、実用的な剤型とすることが困難な場合さえある。
混合製剤化が困難な例の一つとして、水に難溶性の液状農薬活性成分と水に難溶性の固体農薬活性成分といった2種類の異なる化学物性を有する農薬成分の液状混合製剤化が挙げられる。上記活性成分の製剤化は、両成分とも高濃度に溶解させ得る有機溶剤が存在すれば、これに溶解させ、乳剤として物理化学的安定性の高い製剤化が可能である。しかしながら、環境および人体などに対する安全性が重要視されている今日の情勢では、有機溶剤を用いて製剤化をはかることは好ましいとは言えない。また、安全性の高い有機溶剤で、目的とする活性成分を高濃度に溶解するものが存在すれば乳剤化も可能ではあるが、このような有機溶剤が存在しないことも多く、その場合、乳剤としての製剤化は不可能である。適当な有機溶剤が見つからない場合は、水を分散媒とし、液状または固体である農薬活性成分を、界面活性剤の作用で乳化または懸濁させる方法が考えられる。
【0003】
このような剤型は、一般に水性乳化懸濁状組成物(以下、サスポエマルジョンと略称する場合がある)と呼ばれている。しかしながら、この剤型は長期間の貯蔵下、または低温・高温の条件下においての物理化学的安定性を確保することが難しく、長期間の貯蔵においては、水層の分離度合いが大きくなりがちで、これが著しい場合にはハードケーキを生じたり、凝集および沈澱物の生成などによってクリーム化する場合もある。また、低温下においては凍結してクリーム化したり、高温下においてもクリーム化する場合もあるため、このような剤型での製剤化は一般に困難であると考えられてきた。
例えば、特開平6−92801では、水を分散媒として、常温で液状の水難溶性除草活性成分、常温で固体の水難溶性除草活性成分、エトキシ化スチリルフェニルエーテルなどの除草活性成分の乳化および分散作用を担う界面活性剤、およびベントナイトなどのチキソトロピー剤を含有する水性乳化懸濁状除草剤組成物が記載されている。
また、特開平5−85903では、水不溶性の固体植物保護用活性物質、シュクログリセリド、非イオン性表面活性剤などの特定の界面活性剤および水を含有する水性サスポエマルジョンが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
2つの異なる化学物性を有する物質、例えば、水に難溶性の液状農薬活性成分と水に難溶性の固体農薬活性成分を有効成分として含有する水性乳化懸濁状組成物は、長期間の貯蔵下または低温・高温の条件下において、物理的、化学的に不安定であり、必ずしも満足できるものではない。
水に難溶性を示す液状農薬活性成分を、水中に均一に分散させる方法としては、界面活性剤の作用により乳化させる方法があり、一方、水に難溶性を示す固体農薬活性成分を同様に、水中に均一に分散させる方法としては、微粒子化した農薬活性成分を界面活性剤の作用により懸濁させる方法がある。この方法を用いて混合製剤化する場合には、乳化系と懸濁系が混在することになるが、物理化学的安定性を得るためには、各々の系が互いの安定性を阻害するものであってはならない。そこで、活性成分や乳化または懸濁に用いる界面活性剤などが両系の安定性を阻害せず、乳化粒子あるいは懸濁粒子ができるかぎり微小であって、相分離がなく、クリーム化せず、安定性が良好な製剤の開発が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、水難溶性の液状農薬活性成分の乳化剤として特定の界面活性剤を添加し、かつ凍結防止などを目的として尿素を添加して水難溶性の液状農薬活性成分を含有する乳化液を調製し、一方、凍結防止などを目的としてグリコール類または(および)尿素を添加して水難溶性の固体農薬活性成分を含有する懸濁液を調製し、次いで、これらに所望により合成ゴムラテックスを加えて混合することによって、長期間の貯蔵下または低温・高温の条件下において、物理的、化学的に安定である水性乳化懸濁状組成物を得ることができることを見いだした。本発明者らは、この知見に基づいて、さらに研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1)農薬活性成分、界面活性剤、グリコール類および尿素を含有することを特徴とする安定化された水性乳化懸濁状農薬組成物、
(2)農薬活性成分が液状の農薬活性成分である第(1)項記載の農薬組成物、(3)農薬活性成分が液状の農薬活性成分および固状の農薬活性成分の混合物である第(1)項記載の農薬組成物、
(4)農薬活性成分が水難溶性の農薬活性成分である第(1)項記載の農薬組成物、
(5)グリコール類および尿素がそれぞれ組成物全体に対して約1〜30重量%である第(1)項記載の農薬組成物、
(6)農薬活性成分がフェリムゾン、フサライドおよびトリシクラゾールから選ばれる1種以上である第(1)項記載の農薬組成物、
(7)農薬活性成分がシラフルオフェンである第(1)項記載の農薬組成物、
(8)さらに合成ゴムラテックスを含有する第(1)項記載の農薬組成物、
(9)グリコール類、尿素および合成ゴムラテックスがそれぞれ組成物全体に対して約1〜30重量%である第(8)項記載の農薬組成物、
(10)水,尿素,界面活性剤および少なくとも1種以上の液状の農薬活性成分を含有する乳化液と、水,グリコール類,界面活性剤および少なくとも1種以上の固状の農薬活性成分を含有する懸濁液とを混合することを特徴とする水性乳化懸濁状農薬組成物の製造法、および
(11)グリコール類および尿素を含有することを特徴とする水性乳化組成物の安定化剤を提供する。
【0007】
本発明の農薬組成物における農薬活性成分としては、特に限定されないが、殺虫剤、殺菌剤、除草剤などの農薬分野で広く用いられている農薬活性成分を用いることができる。該農薬活性成分は、室温において液状の農薬活性成分であってもよいし、固状の農薬活性成分であってもよく、さらには、液状の農薬活性成分と固状の農薬活性成分とを組み合わせて用いてもよい。液状の農薬活性成分としては、常温で液状の農薬活性成分であってもよいし、溶媒類(例えば、ラウリル酸アミル,ミリスチン酸アミルなどの脂肪酸エステル類、コハク酸ジエステル,アジピン酸ジブチルなどの脂肪酸ジエステル類、トリブチルホスフェート,トリアミルホスフェートなどのリン酸エステル類、ジエチルベンゼン,ジイソプロピルベンゼンなどのアルキルベンゼン類、フェニルキシリルエタン,トリキシリルエタンなどのジフェニルメタン類、フタル酸ジメチル,フタル酸ジオクチルなどの安息香酸エステル類など)に溶解して液状とした農薬活性成分であってもよい。固状の農薬活性成分としては、常温で固状の農薬活性成分が好ましい。また、該農薬活性成分は、水難溶性の農薬活性成分であってもよいし、水溶性の農薬活性成分であってもよい。水難溶性の農薬活性成分としては、例えば、25℃で水に対して約1000ppm以下の溶解度を有する農薬活性成分などが用いられる。水溶性の農薬活性成分としては、例えば、25℃で水に対して約1000ppm以上の溶解度を有する農薬活性成分などが用いられる。
本発明の農薬組成物においては、上記の農薬活性成分の中から少なくとも1種の水難溶性の農薬活性成分が用いられる。特に、1種または2種以上の水難溶性の液状農薬活性成分と1種または2種以上の水難溶性の固状農薬活性成分とを組み合わせて用いるのが好ましい。この場合、水溶性の農薬活性成分であって、本発明の農薬組成物に添加することによって水難溶性となる農薬活性成分は、本発明の農薬組成物において水難溶性の農薬活性成分として使用することができる。
【0008】
本発明の農薬組成物に使用される農薬活性成分としては、例えば、下記のものを挙げることができる。
〔水難溶性の液状農薬活性成分〕
(1)殺虫剤
(a)カーバメイト系:フラチオカルブ(furathiocarb)、カルボスルファン(carbosulfan)、ベンフラカルブ(benfuracarb)など。
(b)合成ピレスロイド系:シフルトリン(cyfluthrin)、シハロトリン(cyhalothrin)、フェンバレレート(fenvalerate)、フルシトリネート(flucythrinate)、フルバリネート(fluvalinate)、シラフルオフェン(silafluofen)、シクロプロトリン(cycloprothrin)、アレスリン(allethrin)など。
(c)有機リン系:MPP;フェンチオン(fenthion)、MEP;フェニトロチオン(fenitrothion)、プロパホス(propaphos)、シアノホス(cyanophos)、プロチオホス(prothiofos)、スルプロホス(sulprofos)、プロフェノホス(profenofos)、エチルチオメトン(disulfoton)、チオメトン(thiometon)、PAP;フェントエート(phenthoate)、マラソン(malathion)、ピラクロホス(pyraclofos)、BRP;ナレッド(naled)、CVP;クロルフェンビンホス(chlorfenvinphos)、ピリミホスメチル(pirimiphosmethyl)、ダイアジノン(diazinon)、エトリムホス(etrimfos)、イソキサチオン(isoxathion)など。
(2)殺菌剤
(a)有機リン系:エジフェンホス(edifenphos)、イプロベンホス(iprobenfos)など。
(3)除草剤
(a)酸アミド系:プレチラクロール(pretilachlor)など。
(b)カルバメート系:チオベンカルブ(thiobencarb)など。
(c)その他:ピリブチカルブ(pyributicarb)、ベンスライド(bensulide)など。
【0009】
〔水難溶性の固状農薬活性成分〕
(1)殺虫剤
(a)カーバメイト系:MIPC;イソプロカルブ(isoprocarb)、BPMC;フェノブカルブ(fenobucarb)、MPMC;キシリルカルブ(xylylcarb)、XMC、NAC;カルバリル(carbaryl)、ベンダイオカルブ(bendiocarb)、カルボフラン(carbofuran)など。
(b)合成ピレスロイド系:シペルメトリン(cypermethrin)、フェンプロパトリン(fenpropathrin)、エトフェンプロックス(ethofenprox)、レスメトリン(resmethrin)など。
(c)有機リン系:EPN、シアノフェンホス(cyanofenphos)、CVMP;テトラクロルビンホス(tetrachlorvinphos)、モノクロトホス(monocrotophos)、ホサロン(phosalone)、クロルピリホスメチル(chlorpyrifos-methyl)、クロルピリホス(chlorpyrifos)、ピリダフェンチオン(pyridaphenthion)、キナルホス(quinalphos)、DMTP;メチダチオン(methidathion)、サリチオン(dioxabenzofos)など。
(d)有機塩素系:ベンゾエピン(endosulfan)など。
(e)その他:ベンスルタップ(bensultap)、ブプロフェジン(buprofezin)、フルフェノクスロン(flufenoxuron)、ジフルベンズロン(diflubenzuron)、クロルフルアズロン(chlorfluazuron)、イミダクロプリド(imidacloprid)など。
【0010】
(2)殺菌剤
(a)N−ヘテロ環系エルゴステロール阻害剤:トリフルミゾール(triflumizole)、トリホリン(triforine)など。
(b)カルボキシアミド系:メプロニル(mepronil)、フルトラニル(flutoluanil)、ペンシクロン(pencycuron)、オキシカルボキシン(oxycarboxin)など。
(c)ジカルボキシイミド系:イプロジオン(iprodione)、ビンクロゾリン(vinclozolin)、プロシミドン(procymidone)、ヘキサコナゾール(hexaconazole)など。
(d)ベンゾイミダゾール系:ベノミル(benomyl)など。
(e)ポリハロアルキルチオ系:キャプタン(captan)など。
(f)有機塩素系:フサライド(fthalide)、TPN;クロロタロニル(chlorothalonil)など。
(g)硫黄系:ジネブ(zineb)、マンネブ(maneb)など。
(h)その他:ジクロメジン(diclomezin)、トリシクラゾール(tricyclazole)、イソプロチオラン(isoprothiolane)、プロベナゾール(probenazole)、アニラジン(anilazine)、オキソリニック酸(oxolinic acid)、フェリムゾン(ferimzone)、フラメトピル(furametpyr)など。
【0011】
(3)除草剤
(a)スルホニル尿素系:イマゾスルフロン(imazosulfuron)、スルホスルフロン(sulfosulfuron)、ベンスルフロンメチル(bensulfuron-methyl)など。
(b)トリアジン系:シメトリン(simetryn)、ジメタメトリン(dimethametryn)など。
(c)尿素系:ダイムロン(dymron)など。
(d)酸アミド系:プロパニル(propanil)、メフェナセット(mefenacet)など。
(e)カルバメート系:スエップ(swep)など。
(f)ダイアゾール系:オキサジアゾン(oxadiazon)、ピラゾレート(pyrazolate)など。
(g)ジニトロアニリン系:トリフルラリン(trifluralin)、プロジアミン(prodiamine)など。
(h)その他:ジチオピル(dithiopyr)、シハロホップブチル(cyhalofopbutyl)など。
【0012】
〔水溶性の農薬活性成分〕
(i)殺虫剤
(a)カーバメイト系
PHC,プロポキスル(propoxur)、MTMC;メトルカルブ(metolcarb)、エチオフェンカルブ(ethiofencarb)、ピリミカーブ(pirimicarb)、メソミル(methomyl)など。
(b)有機リン系
アセフェート(acephate)、ESP;オキシデプロポス(oxydeprofos)、ジメトエート(dimethoate)、バミドチオン(vamidothion)、DEP;トリクロルホン(trichlorfon)、DDVP;ジクロルボス(dichlorvos)など。
(c)その他
チオシクラム(thiocyclam)、ニテンピラム(nitenpyram)、カルタップ塩酸塩(cartap)など。
(ii)殺菌剤
(a)抗生物質剤
カスガマイシン(kasugamycin)、ミルディオマイシン(mildiomycin)、バリダマイシンA(validamycin A)など。
(b)その他
ピロキロン(pyroquilon)、ジメチリモール(dimethirimol)など。
【0013】
本発明の農薬組成物においては、上記の農薬活性成分の中から使用目的に適した化合物を任意に組み合わせて用いることができるが、上記の農薬活性成分に限定されるわけではない。
本発明の農薬組成物においては、上記の農薬活性成分の中でも、1種または2種以上の水難溶性の殺虫性の液状農薬活性成分と、1種または2種以上の水難溶性の殺菌性の固状農薬活性成分とを組み合わせて用いるのが好ましい。水難溶性の殺虫性の液状農薬活性成分としては、例えば、シラフルオフェンなどが好ましく、水難溶性の殺菌性の固状農薬活性成分としては、例えば、フェリムゾン、フサライド、トリシクラゾールなどが好ましい。
水難溶性の固状農薬活性成分と水難溶性の液状農薬活性成分との組み合わせの好ましい例としては、例えば、シラフルオフェンとフェリムゾン、シラフルオフェンとフサライド、シラフルオフェンとトリシクラゾール、シラフルオフェンとフェリムゾンとフサライド、シラフルオフェンとフェリムゾンとトリシクラゾールなどが好ましく、特にシラフルオフェンとフェリムゾンとフサライド、シラフルオフェンとフェリムゾンとトリシクラゾールなどが好適である。
本発明の農薬組成物に水溶性の農薬活性成分を添加する場合、該水溶性の農薬活性成分としては、例えば、バリダマイシンAなどが好ましい。
本発明の農薬組成物における農薬活性成分の含有量は、組成物全体に対して通常約0.1〜70重量%、好ましくは約1〜50重量%である。より具体的には、本発明の農薬組成物における水難溶性の液状農薬活性成分の含有量は、組成物全体に対して通常約0.1〜50重量%、好ましくは約1〜40重量%である。水難溶性の固状農薬活性成分の含有量は、組成物全体に対して通常約0.1〜50重量%、好ましくは約1〜40重量%である。水溶性の農薬活性成分の含有量は、組成物全体に対して通常約0.1〜50重量%、好ましくは約1〜30重量%である。
【0014】
本発明の農薬組成物において、界面活性剤としては、通常の水性乳化懸濁状組成物に用いられるものであれば何れのものでもよく、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤などいずれの界面活性剤であってもよい。本発明の農薬組成物において、界面活性剤は、通常組成物全量に対して約1〜30重量%、好ましくは約1〜20重量%用いる。
本発明の農薬組成物は、後述するように水難溶性の液状農薬活性成分を含有する乳化液と、水難溶性の固状農薬活性成分を含有する懸濁液とを混合して製造することができるので、乳化液の調製に際しては乳化剤として使用される乳化用界面活性剤を、また懸濁液の調製に際しては湿潤分散剤として使用される湿潤分散用界面活性剤を用いることが好ましい。すなわち、本発明の農薬組成物中には、乳化剤として使用される界面活性剤と湿潤分散剤として使用される界面活性剤を添加するのが好ましい。
【0015】
乳化剤として使用される界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー〔例えば、ニューポールPE-108(商品名、三洋化成工業(株))など〕、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル〔例えば、ノイゲンEA-177、ノイゲンEA-87(いずれも商品名、第一工業製薬(株))など〕、ポリオキシエチレンフェニルフェノールエーテル硫酸塩〔例えば、アグリゾールFL-2017(商品名、花王(株))など〕、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル〔例えば、ノニポール120(商品名、三洋化成工業(株))など〕などであり、組成物全体に対して通常約0.1〜10重量%、好ましくは約0.5〜5重量%添加することができる。上記の乳化用界面活性剤の中でも、特に、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー〔例えば、ニューポールPE-108(商品名、三洋化成工業(株))など〕、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル〔例えば、ノイゲンEA-177(商品名、第一工業製薬(株))など〕、ポリオキシエチレンフェニルフェノールエーテル硫酸塩〔例えば、アグリゾールFL-2017(商品名、花王(株))など〕などが好ましい。
【0016】
湿潤分散剤として使用される界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル〔例えば、ノイゲンEA-177、ノイゲンEA-87(いずれも商品名、第一工業製薬(株))など〕、ポリオキシエチレンオレイルエーテル〔例えば、エマルミン140(商品名、三洋化成工業(株))など)〕などであり、組成物全量に対して通常約1〜10重量%、好ましくは約2〜5重量%添加することができる。上記の湿潤分散用界面活性剤の中でも、特に、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル〔例えば、ノイゲンEA-177(商品名、第一工業製薬(株))など〕などが好ましい。
【0017】
本発明の農薬組成物に使用されるグリコール類および尿素は、通常、凍結防止剤として用いられるものである。グリコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなどが用いられ、特にエチレングリコールなどが好ましい。
グリコール類および尿素は、それぞれ組成物全体に対して通常約1〜50重量%、好ましくは約1〜30重量%、より好ましくは約5〜20重量%添加することができる。
本発明の農薬組成物において、凍結防止剤の中でもグリコール類および尿素を組み合わせて使用することにより、安定性が向上する。
本発明の農薬組成物には、必要に応じて、一般に水性乳化懸濁状組成物に使用される添加剤を含有せしめることができる。例えば、消泡剤〔例えば、アンチホームE-20(商品名、花王(株))など〕を組成物全体に対して通常約0.05〜0.5重量%、防腐剤〔例えば、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル(和光純薬(株))、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸など〕を組成物全体に対して通常約0.1〜3重量%、ベントナイト、セピオライトなどの粘土鉱物〔例えば、クニピアF(商品名、クニミネ工業(株))など〕などの懸濁安定剤を組成物全体に対して通常約0.05〜5重量%添加することができる。
【0018】
次に、本発明の水性乳化組成物の安定化剤に用いられるグリコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなどが用いられ、特にエチレングリコールなどが好ましい。
本発明の水性乳化組成物の安定化剤におけるグリコール類および尿素は、それぞれ組成物全体に対して通常約1〜99重量%、好ましくは約1〜60重量%、より好ましくは約5〜40重量%添加することができる。
本発明の水性乳化組成物の安定化剤におけるグリコール類と尿素の含有割合は、通常約1:50〜50:1、好ましくは1:30〜30:1、より好ましくは1:4〜4:1である。
本発明の水性乳化組成物の安定化剤には、必要に応じて、一般の水性乳化組成物の安定化剤に使用される添加剤を含有せしめることができる。例えば、防腐剤〔例えば、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル(和光純薬(株))、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸など〕を組成物全体に対して通常約0.1〜3重量%、ベントナイト、セピオライトなどの粘土鉱物〔例えば、クニピアF(商品名、クニミネ工業(株))など〕などの懸濁安定剤を組成物全体に対して通常約0.05〜5重量%添加することができる。
また、本発明の農薬組成物には、クリーム化をさらに抑制するために、所望により任意の合成ゴムラテックスを含有せしめることができる。そのような合成ゴムラテックスとしては、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、メチルメタクリレート−スチレン−ブタジエンゴムラテックス、エチレン−プロピレンゴムラテックス、ブタジエンゴムラテックス、イソプレンゴムラテックス、シリコンゴムラテックスなどが挙げられる。なかでも、ブタジエンを主体とした合成ゴムラテックスが好ましい。そのようなブタジエンを主体とした合成ゴムラテックスとしては、ブタジエンの単独重合体またはブタジエンを35モル%以上含む、スチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルなどとの共重合体(例えば、ブタジエンゴムラテックス、スチレン−ブタジエンゴムラテックス(ブタジエン35モル%以上)(例、CROSLENE SK-72(武田薬品工業(株))など)、メチルメタクリレート−スチレン−ブタジエンゴムラテックス(ブタジエン35モル%以上)など)が挙げられる。
合成ゴムラテックスは、組成物全体に対して通常約1〜30重量%、好ましくは約1〜20重量%、より好ましくは約2〜20重量%添加することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の農薬組成物は、それ自体公知あるいはそれに準じる方法にしたがって製造することができるが、例えば、水,界面活性剤および少なくとも1種の液状農薬活性成分(好ましくは、水難溶性の液状農薬活性成分)を含有する乳化液と、水,界面活性剤,グリコール類および少なくとも1種以上の固状農薬活性成分(好ましくは、水難溶性の固状農薬活性成分)を含有する懸濁液を、別々に乳化または粉砕した後、両液にさらに所望により合成ゴムラテックスを加えて混合して、水性乳化懸濁状組成物とすることができる。より具体的には、水,尿素,乳化用界面活性剤および少なくとも1種以上の水難溶性の液状農薬活性成分を含有する混合液を湿式粉砕して得られる乳化液と、水,グリコール類,分散用界面活性剤および少なくとも1種以上の水難溶性の固状農薬活性成分、さらに必要に応じて尿素を含有する混合液を湿式粉砕して得られる懸濁液と、さらに所望により合成ゴムラテックスとを混合することによって本発明の水性乳化懸濁状農薬組成物を製造することができる。
液状農薬活性成分を含有する乳化液については、まず所定量の水に尿素を溶解させ、次に乳化剤用の界面活性剤を溶解させた後に、液状農薬活性成分を加え、混合する。これを湿式粉砕機、例えばマイクロフルイダイザーを用いて、湿式粉砕を行なうことにより、平均粒子径が2μm以下の均一で安定なエマルジョンが得られる。
【0020】
固状農薬活性成分を含有する懸濁液については、所定量の水に必要に応じて尿素を溶解させた後に、ベントナイトなどの分散剤を加えて分散させ、懸濁液(分散剤)用の界面活性剤を溶解させる。これにグリコール類、防腐剤、消泡剤、水難溶性の固状農薬活性成分、界面活性剤を加え、混合する。これを湿式粉砕機、例えばダイノミルを用いて、湿式粉砕を行なうことにより、平均粒子径が3μm以下の均一で安定な懸濁粒子が得られる。この場合、懸濁液中におけるグリコール類の含有量が約1〜10重量%程度(好ましくは、1〜5重量%程度)の場合は、懸濁液中に尿素を添加するのが好ましい。
得られる乳化剤と懸濁液を所定の割合で混合し撹拌することによって、安定な水性乳化懸濁状組成物を得ることができる。乳化剤および懸濁剤における各成分の含有量は、最終的に上記した組成物全量に対する含有量になるように選択して調製することができる。
以上のようにして得られる本発明の水性乳化懸濁状組成物は、低粘度でありながら、長期間貯蔵した後や、低温または高温下で貯蔵した後でも、層分離が小さく、ハードケーキを生じにくい。また、凝集や沈澱物の生成などによるクリーム化も起こりにくく、高い安定性を示す安全な農薬組成物である。
本発明の水性乳化懸濁状農薬組成物の使用方法は、農薬活性成分の種類、対象害虫などによって異なるが、公知の使用方法、例えば育苗箱処理、作物の茎葉散布、虫体散布、水田の水中施用あるいは土壌処理などにより使用することができる。そして、その施用量は、施用時間、施用場所、施用方法等に応じて広範囲に変えることができるが、一般には10アール当たり農薬活性成分が通常1〜500g、好ましくは5〜200gとなるように施用する。
【0021】
次に、本発明の水性乳化組成物の安定化剤は、グリコール類および尿素、さらには必要に応じて、一般の水性乳化組成物の安定化剤に使用される添加剤(例えば、防腐剤、懸濁安定剤など)、増量剤(例えば、乳糖、ぶどう糖などの糖類)を混合して、粉剤、散剤、錠剤、粒剤、顆粒剤などの固形剤とすることができる。また、これらの成分を水、有機溶媒などの液体溶媒に溶解して液剤とすることもできる。
本発明の水性乳化組成物の安定化剤は、水性乳化懸濁状組成物、乳化剤などの水性乳化農薬組成物や水性乳化医薬組成物を安定にすることができ、該組成物の長期貯蔵、低温・高温下での貯蔵を可能にする。
本発明の水性乳化組成物の安定化剤は、対象とする組成物の種類、組成物中の活性成分の種類などによって異なるが、通常、水性乳化組成物全体に対してグリコール類および尿素がそれぞれ約1〜50重量%、好ましくは約1〜30重量%、より好ましくは約5〜20重量%となるように添加することができる。
【0022】
【実施例】
以下に、本発明の具体的な参考例、実施例および実験例を示し、本発明を更に詳細に説明するが、本発明がこれらの例に限定されるものではない。
以下の実施例、比較例における「部」は全て「重量部」を示す。
【0023】
【参考例1】
(1)乳化液の調製
ニューポールPE-108(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、三洋化成工業(株))3部を水50.4部に混合し、マグミキサーで撹拌して完全に溶解させた。これにシラフルオフェン46.6部を加え混合した。この混合物をマイクロフルイダイザー(Microfluidics Corp.、7000PSI)を用いて湿式粉砕した。
(2)懸濁液の調製
クニピアF(クニミネ工業(株))1.1部を水40.7部に混合し、マグミキサーで撹拌して均一に分散させ、ノイゲンEA-177(ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、第一工業製薬(株))3.6部を添加し、更に撹拌した。これにエチレングリコール7部、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル0.14部、アンチホームE−20(花王(株))0.28部を加え混合し、フェリムゾン23.8部、フサライド23.3部を加え、撹拌した。この混合物をダイノミル(シンマルエンタープライズ製、1.0mmガラスビーズ、充填率80%、周速15m/s)を用いて、湿式粉砕した。
(3)サスポエマルジョンの調製
乳化液25部、懸濁液71.4部、水3.6部を混合し、マグミキサーで撹拌した。
【0024】
【参考例2】
(1)乳化液の調製
ニューポールPE-108(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、三洋化成工業(株))3部を水50.4部に混合し、マグミキサーで撹拌して完全に溶解させた。これにシラフルオフェン46.6部を加え混合した。この混合物をマイクロフルイダイザー(Microfluidics Corp.、7000PSI)を用いて湿式粉砕した。
(2)懸濁液の調製
クニピアF(クニミネ工業(株))1.1部を水33.7部に混合し、マグミキサーで撹拌して均一に分散させ、ノイゲンEA-177(ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、第一工業製薬(株))3.6部を添加し、更に撹拌した。これにエチレングリコール14部、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル0.14部、アンチホームE−20(花王(株))0.28部を加え混合し、フェリムゾン23.8部、フサライド23.3部を加え、撹拌した。この混合物をダイノミル(シンマルエンタープライズ製、1.0mmガラスビーズ、充填率80%、周速15m/s)を用いて、湿式粉砕した。
(3)サスポエマルジョンの調製
乳化液25部、懸濁液71.4部、水3.6部を混合し、マグミキサーで撹拌した。
【0025】
【参考例3】
(1)乳化液の調製
尿素20部を水30.4部に混合し、マグミキサーで撹拌して完全に溶解させ、これにニューポールPE-108(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、三洋化成工業(株))3部を添加し、更に撹拌した。これにシラフルオフェン46.6部を加え混合した。この混合物をマイクロフルイダイザー(Microfluidics Corp.、7000PSI)を用いて湿式粉砕した。
(1)懸濁液の調製
尿素7部を水40.7部に混合し、マグミキサーで撹拌して完全に溶解させた。これにクニピアF(クニミネ工業(株))1.1部を加え、均一に分散させ、ノイゲンEA-177(ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、第一工業製薬(株))3.6部を添加し、更に撹拌した。これにp−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル0.14部、アンチホームE−20(花王(株))0.28部を加え混合し、フェリムゾン23.8部、フサライド23.3部を加え、撹拌した。この混合物をダイノミル(シンマルエンタープライズ製、1.0mmガラスビーズ、充填率80%、周速15m/s)を用いて、湿式粉砕した。
(3)サスポエマルジョンの調製
乳化液25部、懸濁液71.4部、水3.6部を混合し、マグミキサーで撹拌した。
【0026】
【実施例1】
(1)乳化液の調製
尿素20部を水30.4部に混合し、マグミキサーで撹拌して完全に溶解させ、これにニューポールPE-108(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、三洋化成工業(株))3部を添加し、更に撹拌した。これにシラフルオフェン46.6部を加え混合した。この混合物をマイクロフルイダイザー(Microfluidics Corp.、7000PSI)を用いて湿式粉砕した。
(2)懸濁液の調製
尿素7部を水33.7部に混合し、マグミキサーで撹拌して完全に溶解させた。これにクニピアF(クニミネ工業(株))1.1部を加え、均一に分散させ、ノイゲンEA-177(ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、第一工業製薬(株))3.6部を添加し、更に撹拌した。これにエチレングリコール7部、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル0.14部、アンチホームE−20(花王(株))0.28部を加え混合し、フェリムゾン23.8部、フサライド23.3部を加え、撹拌した。この混合物をダイノミル(シンマルエンタープライズ製、1.0mmガラスビーズ、充填率80%、周速15m/s)を用いて、湿式粉砕した。
(3)サスポエマルジョンの調製
乳化液25部、懸濁液71.4部、水3.6部を混合し、マグミキサーで撹拌した。
【0027】
【実施例2】
(1)乳化液の調製
尿素20部を水30.4部に混合し、マグミキサーで撹拌して完全に溶解させ、これにニューポールPE-108(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、三洋化成工業(株))3部を添加し、更に撹拌した。これにシラフルオフェン46.6部を加え混合した。この混合物をマイクロフルイダイザー(Microfluidics Corp.、7000PSI)を用いて湿式粉砕した。
(2)懸濁液の調製
クニピアF(クニミネ工業(株))1.1部を水33.7部に混合し、マグミキサーで撹拌して均一に分散させ、ノイゲンEA-177(ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、第一工業製薬(株))3.6部を添加し、更に撹拌した。これにエチレングリコール14部、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル0.14部、アンチホームE−20(花王(株))0.28部を加え混合し、フェリムゾン23.8部、フサライド23.3部を加え、撹拌した。この混合物をダイノミル(シンマルエンタープライズ製、1.0mmガラスビーズ、充填率80%、周速15m/s)を用いて、湿式粉砕した。
(3)サスポエマルジョンの調製
乳化液25部、懸濁液71.4部、水3.6部を混合し、マグミキサーで撹拌した。
【0028】
【実施例3】
(1)乳化液の調製
尿素20部を水30.9部に混合し、マグミキサーで撹拌して完全に溶解させ、これにノイゲンEA-177(ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、第一工業製薬(株))2部、アグリゾールFL-2017(ポリオキシエチレンフェニルフェノールエーテル硫酸塩、花王(株))0.5部を添加し、更に撹拌した。これにシラフルオフェン46.6部を加え混合した。この混合物をマイクロフルイダイザー(Microfluidics Corp.、7000PSI)を用いて湿式粉砕した。
(2)懸濁液の調製
尿素7部を水33.7部に混合し、マグミキサーで撹拌して完全に溶解させた。これにクニピアF(クニミネ工業(株))1.1部を加え、均一に分散させ、ノイゲンEA-177(ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、第一工業製薬(株))3.6部を添加し、更に撹拌した。これにエチレングリコール7部、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル0.14部、アンチホームE−20(花王(株))0.28部を加え混合し、フェリムゾン23.8部、フサライド23.3部を加え、撹拌した。この混合物をダイノミル(シンマルエンタープライズ製、1.0mmガラスビーズ、充填率80%、周速15m/s)を用いて、湿式粉砕した。
(3)サスポエマルジョンの調製
乳化液25部、懸濁液71.4部、水3.6部を混合し、マグミキサーで撹拌した。
【0029】
【実施例4】
(1)乳化液の調製
尿素20部を水32.8部に混合し、マグミキサーで撹拌して完全に溶解させ、これにニューポールPE−108(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、三洋化成工業(株))3部を添加し、さらに撹拌した。これにシラフルオフェン44.2部を加え混合した。この混合物をマイクロフルイダイザー(Microfluidics Corp.、15000PSI)を用いて湿式粉砕した。
(2)懸濁液の調製
尿素7部を水27.3に混合し、マグミキサーで撹拌して完全に溶解させた。これにクニピアF(クニミネ工業(株))0.7部を加え、均一に分散させ、ノイゲンEA−177(ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、第一工業製薬(株))3.6部を添加し、さらに撹拌した。これにエチレングリコール7部、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル0.14部、アンチホームE−20(花王(株))0.28部を加え混合し、フェリムゾン23.8部、フサライド23.3部を加え、撹拌した。この混合物をダイノミル(シンマルエンタープライズ製、1.0mmガラスビーズ、充填率80%、周速15m/s)を用いて、湿式粉砕した。
(3)サスポエマルジョンの調製
乳化液25部、懸濁液66.5部、CROSLENE SK−72(ブタジェン−スチレンゴム)、武田薬品工業(株))5部、水3.5部を混合し、マグミキサーで撹拌した。
【0030】
【実施例5】
(1)乳化液の調製
実施例4(1)と同様の方法により乳化液を調製した。
(2)懸濁液の調製
実施例4(2)と同様の方法により懸濁液を調製した。
(3)サスペマルジョンの調製
乳化液25部、懸濁液66.5部、CROSLENE SK−72(ブタジエン−スチレンゴム、武田薬品工業(株))5部、デモールEP(特殊ポリカルボン酸型高分子活性剤、花王(株))0.5部、トキサノンGR−30(ポリアクリル酸ナトリウム、三洋化成工業(株))3部を混合し、マグミキサーで撹拌した。
【0031】
【実施例6】
(1)乳化液の調製
実施例4(1)と同様の方法により乳化液を調製した。
(2)懸濁液の調製
尿素7部を水27.4部に混合し、マグミキサーで撹拌して完全に溶解させた。これにAEROSIL COK84(日本アエロジル(株))0.58部を加え、均一に分散させ、ノイゲンEA−177(ポリオキシエチレジスチレン化フェニルエーテル、第一工業製薬(株))3.6部を添加し、さらに撹拌した。これにエチレグリコール7部、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル0.14部、アンチホームE−20(花王(株))0.28部を加え混合し、フェリムゾン23.8部、フサライド23.3部を加え、撹拌した。この混合物をダイノミル(シンマルエンタープライズ製、1.0mmガラスビーズ、充填率80%、周速15m/s)を用いて湿式粉砕した。
(3)サスポエマルジョンの調製
乳化液25部、懸濁液66.5部、CROSLENE SK−72(ブタジエン−スチレンゴム、武田薬品工業(株))5部、デモールEP(特殊ポリカルボン酸型高分子活性剤、花王(株))0.5部、トキサノンGR−30(ポリアクリル酸ナトリウム、三洋化成工業(株))3部を混合し、マグミキサーで撹拌した。
【0032】
【実施例7】
(1)乳化液の調製
実施例4(1)と同様の方法により乳化液を調製した。
(2)懸濁液の調製
尿素7部、乳糖7部を水22部に混合し、マグミキサーで撹拌して完全に溶解させた。これにクニピアF(クニミネ工業(株))1.12部を加え、均一に分散させ、ノイゲンEA−177(ポリオキシエチレジスチレン化フェニルエーテル、第一工業製薬(株))4.2部、アグリゾールFL−2017(ポリオキシエチレンフェニルフェノール硫酸塩、花王(株))7部、ラベリンFM−L(β−ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物、第一工業製薬(株))1.12部を添加し、さらに撹拌した。これにエチレングリコール7部、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル0.14部、アンチホームE−20(花王(株))0.28部を加え混合し、フェリムゾン23.7部、トリシクラゾール12.5部を加え、撹拌した。この混合物をダイノミル(シンマルエンタープライズ製、1.0mmガラスビーズ、充填率80%、周速15m/s)を用いて、湿式粉砕した。(3)サスポエマルジョンの調製
乳化液25部、懸濁液66.5部、CROSLENE SK−72(ブタジエン−スチレンゴム、武田薬品工業(株))5部、デモールEP(特殊ポリカルボン酸型高分子活性剤、花王(株))0.5部、トキサノンGR−30(ポリアクリル酸ナトリウム、三洋化成工業(株))3部を混合し、マグミキサーで撹拌した。
【0033】
【試験例1】
凍結試験
実施例1〜3および参考例1〜3で得られた水性乳化懸濁状農薬組成物を用いて凍結試験を行なった。各水性乳化懸濁状農薬組成物20mlをガラス瓶に入れ、−20℃で21日間保存して、凍結の有無を確認し、凍結したサンプルの解凍後の状態を肉眼で判定した。また、レーザー回折式粒度分布測定装置(SYMPATEC HEROS & RODOS)を使用して、90%粒子径を測定した。得られた結果を〔表1〕に示す。
【0034】
【表1】
表1より、本発明の水性乳化懸濁状農薬組成物は、低温条件下においてもクリーム化せず、粒子径が変化しないことが分かった。
【0035】
【試験例2】
加熱試験
実施例1および参考例1で得られた水性乳化懸濁状農薬組成物を用いて加熱試験を行なった。各水性乳化懸濁状農薬組成物20mlをガラス瓶に入れ、40℃で5週間保存し、レーザー回折式粒度分布測定装置(SYMPATEC HEROS & RODOS)を使用して、90%粒子径を測定した。得られた結果を〔表2〕に示す。
【0036】
【表2】
【0037】
表2より、本発明の水性乳化懸濁状農薬組成物は、高温の条件下においてもクリーム化せず、粒子径が変化しないことが分かった。
【0038】
【発明の効果】
本発明の水性乳化懸濁状農薬組成物は、低温および高温の条件下においてもクリーム化せず、粒子径が変化しない。したがって、長期間の貯蔵下や低温・高温条件下でも品質劣化を抑制することができる。
Claims (9)
- 農薬活性成分、界面活性剤、グリコール類および尿素を含有し、農薬活性成分が水難溶性の液状農薬活性成分および水難溶性の固状農薬活性成分の混合物であることを特徴とする安定化された水性乳化懸濁状農薬組成物。
- グリコール類および尿素がそれぞれ組成物全体に対して約1〜30重量%である請求項1記載の農薬組成物。
- グリコール類がエチレングリコールである請求項1または2記載の農薬組成物。
- 水難溶性の固状農薬活性成分がフェリムゾン、フサライドおよびトリシクラゾールから選ばれる1種以上である請求項1記載の農薬組成物。
- 水難溶性の液状農薬活性成分がシラフルオフェンである請求項1記載の農薬組成物。
- さらに合成ゴムラテックスを含有する請求項1記載の農薬組成物。
- グリコール類、尿素および合成ゴムラテックスがそれぞれ組成物全体に対して約1〜30重量%である請求項6記載の農薬組成物。
- 水、尿素、界面活性剤および少なくとも1種以上の水難溶性の液状農薬活性成分を含有する乳化液と、水、グリコール類、界面活性剤および少なくとも1種以上の水難溶性の固状農薬活性成分を含有する懸濁液とを混合することを特徴とする水性乳化懸濁状農薬組成物の製造法。
- 水性乳化懸濁状農薬組成物の安定化のための、グリコール類および尿素の組み合わせの使用。
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