JP2016222094A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電動パワーステアリング装置の戻し速度制御において、ハンチングによる戻し速度の不必要な増減を回避しつつ、ステアリングホイールを好ましく中立位置へ向けて戻すこと。
【解決手段】電動パワーステアリング装置の制御装置は、操舵角θの大きさが大きいほど大きさが大きくなる基本目標戻し速度Vrbを記憶しており、ステアリングホイールが中立位置へ向けて戻される状況にあるときには、実際の操舵角に基づいて基本目標戻し速度Vrbを演算し(ステップ10)、実際の操舵角の大きさが減少するにつれて大きさが漸次増大して基本目標戻し速度に漸次近づく遷移目標戻し速度trtを演算し、基本目標戻し速度と遷移目標戻し速度との差の大きさが基準値よりも大きいときには、戻し速度が遷移目標戻し速度になるように操舵アシストトルクを制御する(ステップ20〜160)。
【選択図】図2

Description

本発明は、自動車などの車両の電動パワーステアリング装置に係る。
電動パワーステアリング装置において、ステアリングホイールが中立位置へ向けて戻る状態になると、たとえ操舵輪のセルフアライニングトルクが小さくても、ステアリングホイールが好ましく中立位置へ向けて戻るように戻し速度を制御することが知られている。この戻し速度制御においては、理想的な戻し速度である基本目標戻し速度が車速及び操舵角に基づいて演算され、実際の戻し速度が基本目標戻し速度になるように、それらの戻し速度の偏差に基づくフィードバック制御により操舵アシストトルクが制御される。
基本目標戻し速度は操舵角の大きさが大きいほど大きさが大きくなるよう演算される。戻し速度制御の初期には、実際の戻し速度と基本目標戻し速度との偏差の大きさが大きくなるので、フィードバック制御量の大きさが非常に大きくなり、実際の戻し速度が基本目標戻し速度に比して過剰な状況と不足する状況とが繰り返すハンチングが生じ易い。ハンチングにより戻し速度が不必要に増減することを回避すべく、例えば、下記の特許文献1に記載されているように、戻し速度の偏差の大きさが大きいほどフィードバック制御のゲインを小さくすることが知られている。
特開昭62−241768号公報
〔発明が解決しようとする課題〕
特許文献1に記載された電動パワーステアリング装置においては、戻し速度制御の初期には、戻し速度の偏差の大きさが大きいので、フィードバック制御のゲインが小さくなり、フィードバック制御量の大きさは大きい値にならない。そのため、実際の戻し速度の大きさが十分に大きくならず、操舵角の大きさの減少速度は小さい。よって、時間の経過に対する基本目標戻し速度の変化が遅くなり、戻し速度の偏差の大きさが大きい状況が長く継続するので、フィードバック制御のゲインが小さい値に設定される状況も長く継続する。その結果、ステアリングホイールが中立位置に戻るまでの時間が非常に長くなる。従って、特許文献1に記載された電動パワーステアリング装置によれば、ハンチングにより戻し速度が不必要に増減することを回避することはできても、ステアリングホイールを好ましく中立位置へ向けて戻すという戻し速度制御の本来の目的を達成することができない。
本発明の主要な課題は、電動パワーステアリング装置の戻し速度制御において、ハンチングによる戻し速度の不必要な増減を回避しつつ、戻し速度をできるだけ基本目標戻し速度に則して変化させ、ステアリングホイールを好ましく中立位置へ向けて戻すことである。
〔課題を解決するための手段及び発明の効果〕
本発明によれば、操舵アシストトルク付与装置と、前記操舵アシストトルク付与装置が車両の操舵装置に付与する操舵アシストトルクを制御する制御装置と、を有し、前記制御装置は、実際の操舵角の大きさが大きいほど大きさが大きくなる基本目標戻し速度と操舵角との関係を記憶する記憶装置を有し、ステアリングホイールが中立位置へ向けて戻される状況にあるときには、実際の操舵角と前記関係とに基づいて基本目標戻し速度を演算し、前記ステアリングホイールの戻し速度が前記演算された基本目標戻し速度になるように前記操舵アシストトルクをフィードバック制御する電動パワーステアリング装置が提供される。
前記制御装置は、前記ステアリングホイールが中立位置へ向けて戻される状況にあるときには、実際の操舵角の大きさが減少するにつれて大きさが漸次増大して前記基本目標戻し速度に漸次近づく遷移目標戻し速度を演算し、前記基本目標戻し速度と前記遷移目標戻し速度との差の大きさが基準値よりも大きいときには、前記ステアリングホイールの戻し速度が前記演算された基本目標戻し速度に代えて前記遷移目標戻し速度になるように前記操舵アシストトルクをフィードバック制御する。
上記の構成によれば、ステアリングホイールが中立位置へ向けて戻される状況にあるときには、実際の操舵角の大きさが減少するにつれて大きさが漸次増大して基本目標戻し速度に漸次近づく遷移目標戻し速度が演算される。戻し速度制御の当初においては、基本目標戻し速度と遷移目標戻し速度との差の大きさが基準値よりも大きいので、ステアリングホイールの戻し速度が遷移目標戻し速度になるように操舵アシストトルクがフィードバック制御される。
遷移目標戻し速度は、実際の操舵角の大きさが減少するにつれて基本目標戻し速度に漸次近づくように演算されるので、遷移目標戻し速度の大きさは、戻し速度制御の進行につれて漸次増大する。ステアリングホイールの実際の戻し速度は遷移目標戻し速度になるように制御されるので、実際の戻し速度の大きさも、戻し速度制御の進行につれて漸次増大する。よって、実際の戻し速度と遷移目標戻し速度との差の大きさは大きくならないので、フィードバック制御量の大きさは過大にならない。
従って、ステアリングホイールの戻し速度が急激に増大することに起因して戻し速度がハンチングにより不必要に増減することを回避することができる。また、フィードバック制御のゲインを小さくする必要がないので、上記特許文献1に記載された電動パワーステアリング装置の場合のように、ステアリングホイールが中立位置に戻るまでの時間が過剰に長くなることも回避することができる。
また、遷移目標戻し速度が基本目標戻し速度に漸次近づき、基本目標戻し速度と遷移目標戻し速度との差の大きさが基準値以下になると、ステアリングホイールの戻し速度は基本目標戻し速度になるように制御される。よって、ステアリングホイールの戻し速度は、基本目標戻し速度に漸次近づく遷移目標戻し速度になるように制御された後、本来の目標値である基本目標戻し速度になるように制御される。従って、ハンチングにより戻し速度が不必要に増減することを回避しつつ、戻し速度をできるだけ基本目標戻し速度に則して変化させてステアリングホイールを好ましく中立位置へ向けて戻すことができる。
なお、本願において、「ステアリングホイールが中立位置へ向けて戻される」及び「ステアリングホイールを中立位置へ向けて戻す」などの表現は、戻し速度制御における目標位置が中立位置である場合に限定されない。即ち、上記表現は、例えば往復操舵のように、ステアリングホイールが中立位置を通過して逆方向へ切り増される場合において、ステアリングホイールが中立位置へ向けて戻されることを含む。更に、上記表現は、ステアリングホイールが中立位置へ向けて戻される途中で保舵又は中立位置から離れる方向へ切り増し操舵される場合のように、ステアリングホイールが中立位置に到達する前にステアリングホイールの戻りが終了することなどを含む。
本発明の一つの態様においては、前記制御装置は、前記ステアリングホイールが運転者の能動的な切り戻し操舵により中立位置へ向けて戻されているか否かを判定し、前記ステアリングホイールが運転者の能動的な切り戻し操舵により中立位置へ向けて戻されているときには、前記ステアリングホイールが運転者の能動的な切り戻し操舵によらず中立位置へ向けて戻されているときに比して、大きさが大きくなるように前記遷移目標戻し速度を演算する。
一般に、ステアリングホイールが運転者の能動的な切り戻し操舵により中立位置へ向けて戻されているときには、運転者はステアリングホイールが効率的に中立位置へ向けて戻ることを希望していると考えられる。逆に、ステアリングホイールが運転者の能動的な切り戻し操舵によらず中立位置へ向けて戻されているときは、運転者はステアリングホイールが穏やかに中立位置へ向けて戻されることを希望していると考えられる。
上記の構成によれば、ステアリングホイールが運転者の能動的な切り戻し操舵により中立位置へ向けて戻されているか否かが判定される。更に、ステアリングホイールが運転者の能動的な切り戻し操舵により中立位置へ向けて戻されているときには、ステアリングホイールが運転者の能動的な切り戻し操舵によらず中立位置へ向けて戻されているときに比して、遷移目標戻し速度は大きさが大きくなるように演算される。
よって、ステアリングホイールが運転者の能動的な切り戻し操舵により中立位置へ向けて戻されているときには、遷移目標戻し速度の大きさが大きくなる。従って、操舵アシストトルクの大きさを大きくして、ステアリングホイールを効率的に中立位置へ向けて戻すことができる。これに対し、ステアリングホイールが運転者の能動的な切り戻し操舵によらず中立位置へ向けて戻されているときは、遷移目標戻し速度の大きさが大きくならない。従って、操舵アシストトルクの大きさが過大になることを防止し、ステアリングホイールを穏やかに中立位置へ向けて戻すことができる。
なお、ステアリングホイールが運転者の能動的な切り戻し操舵により中立位置へ向けて戻されているか否かの判定は、任意の要領にて行われてよい。例えば、本願出願人の出願にかかる国際公開WO2014−087546には、操舵角速度と操舵トルクとの積及び操舵角と操舵トルクの微分値との積の和に基づいて、運転者の操舵操作が能動操作、受動操作、及び保持の何れであるかを判定することが記載されている。
「能動操作」は、運転者から操舵装置に操舵のエネルギが与えられる操作、即ち運転者が積極的に過渡的な操舵を行って操舵装置が保有する操舵のエネルギを増大させる操作である。「受動操作」は、操舵装置から運転者に操舵のエネルギが与えられる操作、即ち操舵装置が保有する操舵のエネルギが運転者へ伝達され、運転者が消極的に過渡的な操舵を行う操作である。「保持」は、操舵装置と運転者との間にて操舵のエネルギの授受が行われないこと、即ち運転者が過渡的な操舵を行わず、操舵装置が保有する位置エネルギを変化させないことである。
上記国際公開公報に記載されているように、操舵角速度と操舵トルクとの積に基づく操舵仕事率は、運転者が過渡的な操舵操作を行う状況において運転者が車両の進行方向を変更しようとする意思の強さを反映する。一方、操舵角と操舵トルクの微分値との積に基づく操舵仕事率は、路面からの逆入力により回転されるステアリングホイールの回転を許容する運転者の意思の強さを反映する。よって、ステアリングホイールが中立位置へ向けて戻される状況において、上記積の和に基づいて操舵操作が能動操作であると判定されるときに、ステアリングホイールが運転者の能動的な切り戻し操舵により中立位置へ向けて戻されていると判定されてよい。
本発明の他の一つの態様においては、前記制御装置は、所定の時間毎に前記演算された基本目標戻し速度を暫定の目標戻し速度に設定し、前記暫定の目標戻し速度と前回の目標戻し速度の差の大きさが増大制限値を越えるときには、今回の目標戻し速度の大きさが前回の目標戻し速度の大きさと前記増大制限値との和になるように今回の目標戻し速度を設定し、前記暫定の目標戻し速度と前回の目標戻し速度の差の大きさが前記増大制限値を越えないときには、今回の目標戻し速度を前記暫定の目標戻し速度に設定し、前記今回の目標戻し速度をローパスフィルタ処理することにより前記遷移目標戻し速度を演算する。
上記の構成によれば、演算された基本目標戻し速度が所定の時間毎に暫定の目標戻し速度に設定される。暫定の目標戻し速度と前回の目標戻し速度の差の大きさが増大制限値を越えるときには、今回の目標戻し速度の大きさが前回の目標戻し速度の大きさと増大制限値との和になるように今回の目標戻し速度が設定される。暫定の目標戻し速度と前回の目標戻し速度の差の大きさが増大制限値を越えないときには、今回の目標戻し速度が暫定の目標戻し速度に設定される。更に、遷移目標戻し速度は、今回の目標戻し速度がローパスフィルタ処理されることにより演算される。
よって、所定の時間毎の目標戻し速度の増大量が増大制限値以下に制限されることにより、遷移目標戻し速度の大きさの増大率が過大になることを防止することができる。更に、遷移目標戻し速度は、目標戻し速度がローパスフィルタ処理されることにより演算されるので、遷移目標戻し速度を確実に基本目標戻し速度に漸次近づけることができる。
更に、本発明の他の一つの態様においては、前記制御装置は、前記ステアリングホイールが運転者の能動的な切り戻し操舵により中立位置へ向けて戻されているか否かを判定し、前記ステアリングホイールが運転者の能動的な切り戻し操舵により中立位置へ向けて戻されているときには、前記ステアリングホイールが運転者の能動的な切り戻し操舵によらず中立位置へ向けて戻されているときに比して、ローパスフィルタ処理する際のカットオフ周波数を大きくする。
上記の構成によれば、ステアリングホイールが運転者の能動的な切り戻し操舵により中立位置へ向けて戻されているか否かが判定される。更に、ステアリングホイールが運転者の能動的な切り戻し操舵により中立位置へ向けて戻されているときには、ステアリングホイールが運転者の能動的な切り戻し操舵によらず中立位置へ向けて戻されているときに比して、ローパスフィルタ処理する際のカットオフ周波数が大きくされる。
よって、ステアリングホイールが運転者の能動的な切り戻し操舵により中立位置へ向けて戻されているときには、カットオフ周波数が大きくなる。従って、遷移目標戻し速度の大きさ及び増大率を大きくして、ステアリングホイールを効率的に中立位置へ向けて戻すことができる。これに対し、ステアリングホイールが運転者の能動的な切り戻し操舵によらず中立位置へ向けて戻されているときは、カットオフ周波数が大きくならない。従って、遷移目標戻し速度の大きさ及び増大率が過大になることを防止し、ステアリングホイールを穏やかに中立位置へ向けて戻すことができる。
更に、本発明の他の一つの態様においては、前記制御装置は、実際の操舵角の大きさが小さいときには、実際の操舵角の大きさが大きいときに比して、前記増大制限値を大きくする。
上記の構成によれば、実際の操舵角の大きさが小さく、操舵輪のセルフアライニングトルクが小さい状況においては、増大制限値を大きくし、遷移目標戻し速度の大きさ及び増大率を大きくして、ステアリングホイールを効率的に中立位置へ向けて戻すことができる。これに対し、実際の操舵角の大きさが大きく、操舵輪のセルフアライニングトルクが大きい状況においては、増大制限値を小さくし、遷移目標戻し速度の大きさ及び増大率が過大になる虞を低減し、ハンチングにより戻し速度が不必要に増減することを回避することができる。
更に、本発明の他の一つの態様においては、前記制御装置は、前記ステアリングホイールが運転者の能動的な切り戻し操舵により中立位置へ向けて戻されているか否かを判定し、前記ステアリングホイールが運転者の能動的な切り戻し操舵により中立位置へ向けて戻されているときには、前記ステアリングホイールが運転者の能動的な切り戻し操舵によらず中立位置へ向けて戻されているときに比して、前記増大制限値を大きくする。
上記の構成によれば、ステアリングホイールが運転者の能動的な切り戻し操舵により中立位置へ向けて戻されているか否かが判定される。更に、ステアリングホイールが運転者の能動的な切り戻し操舵により中立位置へ向けて戻されているときには、ステアリングホイールが運転者の能動的な切り戻し操舵によらず中立位置へ向けて戻されているときに比して、増大制限値が大きくされる。
よって、ステアリングホイールが運転者の能動的な切り戻し操舵により中立位置へ向けて戻されているときには、増大制限値が大きくなる。従って、遷移目標戻し速度の大きさ及び増大率を大きくして、ステアリングホイールを効率的に中立位置へ向けて戻すことができる。これに対し、ステアリングホイールが運転者の能動的な切り戻し操舵によらず中立位置へ向けて戻されているときは、増大制限値が大きくならない。従って、遷移目標戻し速度の大きさ及び増大率が過大になることを防止し、ステアリングホイールを穏やかに中立位置へ向けて戻すことができる。
本発明による電動パワーステアリング装置の第一の実施形態の概略を示す説明図である。 第一の実施形態におけるステアリングホイールの中立位置への戻し速度Vrの制御ルーチンを示すフローチャートである。 図2のステップ40において実行されるカットオフ周波数fcl及び増大変化制限値ΔVrcの演算ルーチンを示すフローチャートである。 本発明による電動パワーステアリング装置の第二の実施形態におけるステアリングホイールの中立位置への戻し速度Vrの制御ルーチンを示すフローチャートである。 図4のステップ40において実行されるカットオフ周波数fcl及び増大変化制限値ΔVrcの演算ルーチンを示すフローチャートである。 操舵角θの絶対値及び車速Vに基づいて基本目標戻し速度Vrbを演算するためのマップである。 操舵角θの絶対値に基づいて補正係数Ksを演算するためのマップである。 操舵角θの絶対値に基づいて増大変化制限値ΔVrcを演算するためのマップである。 戻し速度Vrの制御が行われない車両について、ステアリングホイールが中立位置から切り増しされ、保舵の状況を経て中立位置へ向けて戻される操舵操作の一例について、操舵角θ及び操舵角速度θdの関係を示す図である。 ステアリングホイールが中立位置から切り増しされ、保舵の状況を経て中立位置へ向けて戻される状況の一例について、操舵角θ(上段)及び操舵角速度θd(下段)の変化を示す図である。 第一の実施形態の作用効果を特許文献1に記載された電動パワーステアリング装置と対比して説明するために、操舵角θ(上段)、目標戻し速度(中段)及び操舵アシストトルク(下段)の変化の例を示す図である。 第一の実施形態について、運転者の操舵操作が受動的な操舵操作であるか否かによって、遷移目標戻し速度Vtrtの大きさの増大率が異なることを示す図である。 第二の実施形態について、運転者の操舵操作が受動的な操舵操作であるか否かによって、遷移目標戻し速度Vtrtの大きさの増大率が異なることを示す図である。
以下に添付の図を参照しつつ、好ましい実施形態について詳細に説明する。
[第一の実施形態]
図1は、本発明の第一の実施形態にかかる電動パワーステアリング装置10の概略を示す説明図である。この実施形態の電動パワーステアリング装置10は、コラムアシスト型の電動パワーステアリング装置として構成されている。なお、本発明による電動パワーステアリング装置は、操舵アシストトルクを制御し得る限り、例えばラック同軸式のラックアシスト型の電動パワーステアリング装置のように、他の型式の電動パワーステアリング装置であってもよい。
図1において、電動パワーステアリング装置10は操舵装置12に適用されている。操舵装置12は、運転者により操作されるステアリングホイール14と、ステアリングホイール14と共に回転するアッパステアリングシャフト16と、インタミディエットシャフト18と、操舵機構20とを含んでいる。インタミディエットシャフト18は、上端にてユニバーサルジョイント22を介してアッパステアリングシャフト16の下端に連結され、下端にてユニバーサルジョイント24を介して操舵機構20のピニオンシャフト26に連結されている。
操舵機構20は、ラック・アンド・ピニオン装置28と、タイロッド30L及び30Rとを含み、ラック・アンド・ピニオン装置28はピニオンシャフト26の回転をラックバー32の車両横方向の直線運動に変換し、またこの逆の変換を行う。タイロッド30L及び30Rは、内端にてラックバー32の先端に枢着されており、タイロッド30L及び30Rの外端は左右の前輪34L及び34Rのキャリア(図示せず)に設けられたナックルアーム36L及び36Rに枢着されている。
よって、ステアリングホイール14の回転変位及び回転トルクは、操舵機構20により、前輪34L及び34Rのキングピン軸(図示せず)の周りの枢動変位及び枢動トルクに変換されて前輪34L及び34Rへ伝達される。また、左右の前輪34L及び34Rが路面38から受けるキングピン軸の周りの枢動変位及び枢動トルクは、操舵機構20により、ステアリングホイール14へそれぞれ回転変位及び回転トルクとして伝達される。
電動パワーステアリング装置10は、電動機42及び変換装置44を含むパワーステアリングユニット46を有している。図1には示されていないが、変換装置44は電動機42の回転軸に固定されたウオームギヤ及びアッパステアリングシャフト16に固定されたウオームホイールを含んでいる。電動機42の回転トルクは、変換装置44によってアッパステアリングシャフト16の回転トルクに変換され、操舵アシストトルクとしてアッパステアリングシャフト16へ伝達される。よって、パワーステアリングユニット46は、操舵アシストトルクを操舵装置12に付与する操舵アシストトルク付与装置として機能する。
また、電動パワーステアリング装置10は、電子制御装置50を有している。電子制御装置50は、電動機42の回転トルクを制御することにより、後に詳細に説明するように、操舵アシストトルクを制御する制御装置として機能する。電子制御装置50には、アッパステアリングシャフト16に設けられた操舵角センサ52及びトルクセンサ54からそれぞれ操舵角θ及び操舵トルクTを示す信号が入力される。また、電子制御装置50には、車速センサ56から車速Vを示す信号も入力される。なお、操舵角センサ52及びトルクセンサ54は、それぞれ車両の右旋回方向への操舵の場合を正として操舵角θ及び操舵トルクTを検出する。
電子制御装置50は、CPU58とROM60とRAM62と入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバス64により互いに接続されたマイクロコンピュータ66を含んでいる。ROM60は、後述の図2及び図3に示されたフローチャートに従って実行される操舵アシストトルクの制御を実行するためのプログラム及び図6乃至図8に示されたマップなどを記憶する記憶装置として機能する。CPU58及びRAM62は、後に詳細説明するように、操舵アシストトルクの制御を実行するための種々の演算を行う演算装置として機能する。
特に、図6は、操舵角θが0以上の範囲について、操舵角θ及び車速Vと基本目標戻し速度Vrbとの関係を示している。図6には示されていないが、操舵角θが負の範囲について基本目標戻し速度Vrbを示す曲線は、原点に対し図6の曲線とは点対称である。基本目標戻し速度Vrbは、操舵角θの大きさが無限大の位置からステアリングホイール14を中立位置へ向けて戻すときの理想的な戻し速度であり、車両の仕様により決定される。基本目標戻し速度Vrbは典型的には操舵角θの絶対値の平方根の関数であり、基本目標戻し速度Vrbの大きさは、操舵角θの絶対値が大きいほど大きく、車速Vが高いほど小さい。なお、基本目標戻し速度Vrbなどの戻し速度は、ステアリングホイール14が中立位置へ向けて戻るときの回転角速度である。
電子制御装置50は、ステアリングホイール14が切り増しされる状況又は保舵の状況にあるときには、切り増し又は保舵時の操舵アシストトルクの制御を行う。即ち、電子制御装置50は、操舵トルクT及び車速Vに基づいて目標操舵アシストトルクTatを演算する。更に、電子制御装置50は、操舵アシストトルクTaが目標操舵アシストトルクTatになるようパワーステアリングユニット46を制御することにより、運転者の操舵負担を軽減する。
これに対し、ステアリングホイール14が中立位置へ向けて戻される状況にあるときには、電子制御装置50は、図2及び図3に示されたフローチャートに従って、ステアリングホイール14の中立位置への戻し速度Vrの制御を行う。即ち、電子制御装置50は、操舵角θ及び車速Vに基づいて基本目標戻し速度Vrbを演算し、ステアリングホイール14を好ましく中立位置へ向けて戻すための目標戻し速度Vrtを基本目標戻し速度Vrbに基づいて演算する。更に、電子制御装置50は、ステアリングホイール14の実際の戻し速度Vrが目標戻し速度Vrtになるように、それらの戻し速度の偏差に基づくフィードバック制御によってパワーステアリングユニット46を制御することにより操舵アシストトルクTaを制御する。
次に、図2及び図3に示されたフローチャートを参照して、第一の実施形態におけるステアリングホイール14の中立位置への戻し速度Vrの制御(以下、必要に応じて単に「制御」いう)について説明する。図2に示されたフローチャートによる制御は、ステアリングホイール14が中立位置へ向けて戻される状況にあるときに、所定の時間毎に繰返し実行される。図2に示されたフローチャートによる制御の途中において、ステアリングホイール14が切り増し又は保舵の状況になると、操舵アシストトルクの制御は、上述の切り増し又は保舵時の操舵アシストトルクの制御へ移行する。
なお、ステアリングホイール14が中立位置へ向けて戻される状況にあるか否かの判定は、本発明の一部ではなく、任意の要領にて行われてよい。例えば、上記判定は、操舵トルクTの大きさが保舵に必要な値よりも小さいこと、操舵角θ及び操舵角速度θdの符号が異なること、操舵角θ及び操舵トルクTの符号が異なること、及び操舵トルクT及び操舵角速度θdの符号が異なること、の何れか又は組合せにより行われてよい。
まず、ステップ10においては、図6に示されたマップを使用して操舵角θ及び車速Vに対応する基本目標戻し速度Vrbが演算される。なお、基本目標戻し速度Vrbは、操舵角θが正の値であるときには負の値に演算され、操舵角θが負の値であるときには正の値に演算される。
ステップ20においては、フラグFが1であるか否かの判別、即ち後述の遷移目標戻し速度Vtrtの演算が不要であり、最終目標戻し速度Vfrtが基本目標戻し速度Vrbに設定されるべきであるか否かの判別が行われる。肯定判別が行われたときには、制御はステップ150へ進み、否定判別が行われたときには、ステップ30において暫定の目標戻し速度Vprtが基本目標戻し速度Vrbに設定された後、制御はステップ40へ進む。なお、フラグFは、制御の開始時に0にリセットされ、図2に示されたフローチャートによる制御の途中において、ステアリングホイール14が切り増し又は保舵の状況になったときにも、0にリセットされる。
ステップ40においては、図3に示されたフローチャートに従って、後述のステップ110におけるローパスフィルタ処理のカットオフ周波数fclが演算され、更に目標戻し速度Vrtの増大量を制限するための増大変化制限値ΔVrcが演算される。なお、図3に示されたフローチャートに従って行われるカットオフ周波数fcl及び増大変化制限値ΔVrcの演算については後述する。
ステップ80においては、暫定の目標戻し速度Vprtと前回の目標戻し速度Vrtfとの偏差ΔVprtの絶対値が増大変化制限値ΔVrcを越えているか否かの判別、即ち目標戻し速度Vrtの増大量の制限が必要であるか否かの判別が行われる。否定判別が行われたときには、ステップ90において目標戻し速度Vrtが暫定の目標戻し速度Vprtに設定される。これに対し、肯定判別が行われたときには、ステップ100において目標戻し速度Vrtが前回の目標戻し速度Vrtfと、signθ及び増大変化制限値ΔVrcの積signθ・ΔVrcとの和Vrtf+signθ・ΔVrcに設定される。なお、signθは操舵角θの符号を表す。
ステップ110においては、目標戻し速度Vrtがステップ40において設定されたカットオフ周波数fclにてローパスフィルタ処理されることにより、遷移目標戻し速度Vtrtが演算される。
ステップ120においては、基本目標戻し速度Vrbと遷移目標戻し速度Vtrtとの偏差ΔVtrtの絶対値が基準値α(正の定数)を越えているか否かの判別が行われる。即ち、戻し速度の制御を基本目標戻し速度Vrbに基づく制御に移行させることができず、遷移目標戻し速度Vtrtに基づく制御を継続すべきであるか否かの判別が行われる。否定判別が行われたときには、ステップ130においてフラグFが1にセットされた後、制御はステップ150へ進む。これに対し、肯定判別が行われたときには、ステップ140において最終目標戻し速度Vfrt及び次の制御サイクルにおいて使用される前回の目標戻し速度Vrtfが、何れも遷移目標戻し速度Vtrtに設定された後、制御はステップ160へ進む。
ステップ150においては、戻し速度の制御は遷移目標戻し速度Vtrtに基づく制御から基本目標戻し速度Vrbに基づく制御へ移行してよいで、最終目標戻し速度Vfrtが基本目標戻し速度Vrbに設定される。
ステップ160においては、実際の戻し速度Vrが操舵角θの時間微分値として演算され、最終目標戻し速度Vfrtと実際の戻し速度Vrとの偏差に基づいて該偏差が小さくなるよう、操舵アシストトルクTa(戻し方向のアシストトルク)がフィードバック制御される。
次に、図3に示されたフローチャートを参照して、上記ステップ40において実行されるカットオフ周波数fcl及び増大変化制限値ΔVrcの演算について説明する。
まず、ステップ44においては、操舵トルクTの時間微分値Tdが演算されると共に、下記の式(1)に従って操舵の能動・受動指標値INsが演算される。なお、INsが正の値であるときには、運転者の操舵操作は能動的な操舵操作であり、運転者はステアリングホイール14を能動的に中立位置へ戻している。INsが負の値であるときには、運転者の操舵操作は受動的な操舵操作であり、運転者は中立位置へ向けて戻るステアリングホイール14の回転によって運転者の腕が移動されている。INsが0であるときには、運転者の操舵操作は能動的な操舵操作でもなければ、受動的な操舵操作でもなく、ステアリングホイール14が回転されていない状況である。
INs=θd・T+θ・Td ……(1)
ステップ46においては、操舵の能動・受動指標値INsが負の値であるか否かの判別、即ち運転者の操舵操作は受動的な操舵操作であるか否かの判別が行われる。否定判別が行われたときには、制御はステップ56へ進み、肯定判別が行われたときには、制御はステップ48へ進む。
ステップ48においては、操舵角θの絶対値に基づいて図7に示されたマップから操舵角θの大きさに基づく補正係数Ks(正の値)が演算される。図7に示されているように、補正係数Ksは、概略的には操舵角θの絶対値が大きいほど小さくなり、操舵角θの絶対値が大きい領域においては1よりも小さく、操舵角θの絶対値が小さい領域においては1よりも大きくなるよう演算される。
ステップ50においては、下記の式(2)に従って上記ステップ110におけるローパスフィルタ処理のカットオフ周波数fclが演算される。なお、fclbはカットオフ周波数のベースの値(正の定数)である。操舵の能動・受動指標値INsは負の値であるので、1+INsは1よりも小さく、よって、fclb・(1+INs)はベースの値fclbよりも小さい。
fcl=fclb・(1+INs)・Ks ……(2)
ステップ52においては、操舵角θの絶対値に基づいて図8に示されたマップから増大変化制限値ΔVrc(正の値)が演算される。図8に示されているように、増大変化制限値ΔVrcも概略的には操舵角θの絶対値が大きいほど小さくなるよう演算される。
ステップ56においては、操舵の能動・受動指標値INsが正の値であるか否かの判別、即ち運転者の操舵操作は能動的な操舵操作であるか否かの判別が行われる。否定判別が行われたときには、制御はステップ64へ進み、肯定判別が行われたときには、制御はステップ58へ進む。なお、ステップ56において否定判別が行われるのは、操舵の能動・受動指標値INsが0の場合である。能動・受動指標値INsは上記式(1)に従って演算されるので、ステアリングホイール14が中立位置へ向けて戻される状況にあるかと判定されていても、0になる場合がある。
ステップ58においては、下記の式(3)に従ってローパスフィルタ処理のカットオフ周波数fclが演算される。操舵の能動・受動指標値INsは正の値であるので、1+INsは1よりも大きく、よって、fclb・(1+INs)はベースの値fclbよりも大きい。
fcl=fclb・(1+INs) ……(3)
ステップ60においては、増大変化制限値ΔVrcが予め設定された最大値ΔVrcmax(正の値)に設定される。なお、最大値ΔVrcmaxは図8に示された増大変化制限値ΔVrcの最大値と同一又はそれよりも大きい値である。
ステップ64においては、ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数fclがカットオフ周波数のベースの値fclbに設定される。
ステップ66においては、増大変化制限値ΔVrcが予め設定されたベースの値ΔVrcb(正の値)に設定される。なお、ベースの値ΔVrcbは図8に示された増大変化制限値ΔVrcの最大値と最小値との間の値である。
以上の説明から解るように、ステップ10において、図6に示されたマップを使用して操舵角θ及び車速Vに対応する基本目標戻し速度Vrbが演算される。基本目標戻し速度Vrbと遷移目標戻し速度Vtrtとの偏差ΔVtrtの絶対値が基準値αを越えている状況においては、フラグFは0である。よって、ステップ20において否定判別が行われ、ステップ30〜100により遷移目標戻し速度Vtrtが演算される。更に、ステップ120において肯定判別が行われ、ステップ140において最終目標戻し速度Vfrtが遷移目標戻し速度Vtrtに設定され、ステップ160においてステアリングホイール14の戻し速度Vrが、遷移目標戻し速度Vtrtになるように制御される。
これに対し、基本目標戻し速度Vrbと遷移目標戻し速度Vtrtとの偏差ΔVtrtの絶対値が基準値α以下になると、ステップ120において否定判別が行われ、ステップ130においてフラグFが1に設定される。よって、ステップ20において肯定判別が行われ、ステップ150において最終目標戻し速度Vfrtが基本目標戻し速度Vrbに設定され、ステップ160においてステアリングホイール14の戻し速度Vrが、基本目標戻し速度Vrbになるように制御される。
図9は、戻し速度Vrの制御が行われない車両について、ステアリングホイール14が中立位置から切り増しされ、瞬間的に保舵の状況を経て中立位置へ向けて戻される操舵操作の一例を示している。図9において、点P1は中立位置を示し、点P2は切り増し速度が最大の状況を示している。点P3は保舵の状況を示し、点P4は切り戻し速度が最大の状況を示している。
更に、図9において、一点鎖線は、基本目標戻し速度Vrb、即ち操舵角θの大きさが無限大の位置からステアリングホイール14を中立位置へ向けて戻すときの理想的な戻し速度を示し、二点鎖線は、第一の実施形態における遷移目標戻し速度Vtrtを示している。点P5は第一の実施形態において制御される戻し速度Vrが最大の状況を示し、点P6は遷移目標戻し速度Vtrtの演算が不要になる点を示している。
第一の実施形態においては、ステアリングホイール14が中立位置へ向けて戻される状況になると、図2及び図3に示されたフローチャートに従って行われるステアリングホイール14の中立位置への戻し速度Vrの制御が開始される。よって、点P3から点P1までの戻し速度Vrが、第一の実施形態により二点鎖線にて示されているように制御される。特に、戻し速度Vrは、点P3から点P6までは遷移目標戻し速度Vtrtになるよう制御され、点P6から点P1までは基本目標戻し速度Vrbになるよう制御される。
第一の実施形態によれば、ステアリングホイール14が中立位置へ向けて戻ることを促進するように操舵アシストトルクが制御される。よって、戻し速度の制御が行われない車両の場合に比して、ステアリングホイール14が中立位置へ向けて戻される状況になった後の戻し速度Vrの大きさを大きくすることができる。従って、例えば車両が低速にて旋回走行する場合のように、操舵輪に作用するセルフアライニングトルクが小さい状況においても、ステアリングホイール14を中立位置へ効率的に戻すことができる。
また、図9に示されているように、遷移目標戻し速度Vtrtの大きさは、点P3から点P6まで操舵角θの大きさが減少するにつれて基本目標戻し速度Vrbに漸次近づくよう、実質的に0から漸次増大する。
よって、基本目標戻し速度Vrbをローパスフィルタ処理することにより演算される戻し速度Vrの目標値(以下「比較例の目標値」という)に比して、遷移目標戻し速度Vtrtの大きさの増大率を低減することができる。従って、第一の実施形態によれば、比較例の場合に比して、戻し速度制御の初期に、戻し速度Vrが急激に増大し、ステアリングホイール14が過剰に早く回転することに起因して車両の乗員が違和感を覚える虞を低減することができる。
例えば、図10は、ステアリングホイール14が中立位置から切り増しされ、保舵の状況を経て中立位置へ戻される状況の一例について、操舵角θ(上段)及び操舵角速度θd(下段)の変化を示している。なお、図10において、実線は戻し速度の制御が行われない場合の例を示し、一点鎖線は基本目標戻し速度Vrbを示している。二点鎖線は第一の実施形態の場合を示し、破線は比較例の場合を示している。
比較例の場合には、ステアリングホイール14が中立位置へ向けて戻される状況になると、戻し速度Vrの目標値が基本目標戻し速度Vrbをローパスフィルタ処理した値に設定されるので、戻し速度Vrの大きさが急激に増大する。そのため、ステアリングホイール14が中立位置へ向けて戻される状況の少なくとも初期に、ステアリングホイール14が中立位置へ向けて過剰に早く回転し、操舵角θの大きさが急激に減少する。
また、戻し速度Vrの目標値の大きさが急激に増大するので、ステアリングホイール14を中立位置へ戻すための操舵アシストトルクが過剰になり易い。そのため、戻し速度Vrの大きさが基本目標戻し速度Vrbの大きさよりも大きくなること及び小さくなることを繰り返すハンチングが生じ易く、ステアリングホイール14が中立位置へ戻る回転速度が不必要に増減する。
上記問題の発生を回避すべく、前述の特許文献1に記載された電動パワーステアリング装置のように、戻し速度の偏差の大きさが大きいときには、戻し速度の偏差に基づく操舵アシストトルクのフィードバック制御のゲインを小さい値に設定することが考えられる。或いは、ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を小さい値に設定することが考えられる。
しかし、フィードバック制御のゲインが小さい値に設定される場合には、ステアリングホイール14を中立位置へ向けて戻すことを促進する操舵アシストトルクの大きさが制限される。他方、ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数が小さい値に設定される場合には、戻し速度Vrの目標値の増大率が制限される。よって、上記何れの対策の場合にも、戻し速度Vrの目標値が実質的に基本目標戻し速度Vrbに到達するタイミングが過剰に遅くなり、結果的にステアリングホイール14が中立位置へ向けて戻るタイミングも過剰に遅くなることが避けられない。
これに対し、第一の実施形態によれば、ステップ80〜100において、各制御サイクル毎の目標戻し速度Vrtの大きさの増大量が増大変化制限値ΔVrc以下に制限されるので、遷移目標戻し速度Vtrtの大きさは漸次増大する。更に、戻し速度Vrの目標値である遷移目標戻し速度Vtrtは、ステップ110において目標戻し速度Vrtをローパスフィルタ処理することにより演算されるので、遷移目標戻し速度Vtrtの大きさの増大率は漸次減少し、基本目標戻し速度Vrbの変化率に近づく。よって、戻し速度制御の初期に、操舵アシストトルクの大きさ及び増大率が過大になる虞を低減することができる。従って、戻し速度Vrの大きさが基本目標戻し速度Vrbの大きさに対しハンチングする虞を低減し、ステアリングホイール14の回転速度が不必要に増減する虞を低減することができる。
また、遷移目標戻し速度Vtrtを演算するためにローパスフィルタ処理される目標戻し速度Vrtの大きさが過大になることを防止することができるので、ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を過剰に小さい値に設定する必要がない。よって、遷移目標戻し速度Vtrtが実質的に基本目標戻し速度Vrbに到達するタイミングが過剰に遅くなることを防止し、ステアリングホイール14が中立位置へ戻るタイミングが過剰に遅くなることを防止することができる。
図11は、第一の実施形態の上記作用効果を特許文献1に記載された電動パワーステアリング装置と対比して説明するために、操舵角θ(上段)、目標戻し速度(中段)及び操舵アシストトルクTa(下段)の変化の例を示している。
ステアリングホイール14の戻し速度制御の初期においては、一点鎖線にて示された基本目標戻し速度Vrbと図11には示されていない実際の戻し速度Vrとの偏差の大きさが大きい。よって、特許文献1に記載された電動パワーステアリング装置の場合には、フィードバック制御のゲインが小さい値に設定されるため、下段において破線にて示されているように、操舵アシストトルクTaの大きさは小さい値になる。従って、実際の戻し速度Vrの大きさは十分に大きくならず、上段において破線にて示されているように、操舵角θの大きさの減少速度は小さい。
そのため、中段において破線にて示されているように、時間の経過に対する基本目標戻し速度Vrbの変化が遅くなり、戻し速度の偏差の大きさが大きい状況が長く継続するので、フィードバック制御のゲインが小さい値に設定される状況も長く継続する。その結果、上段において破線にて示されているように、ステアリングホイール14が中立位置へ戻って操舵角θが0になるまでに非常に長い時間が必要になる。
これに対し、第一の実施形態によれば、戻し速度制御が開始すると、中段において実線にて示されているように、目標戻し速度Vtrtは、一点鎖線にて示された基本目標戻し速度Vrbに漸次近づく。なお、目標戻し速度Vtrtが基本目標戻し速度Vrbに到達すると、目標戻し速度Vtrtは基本目標戻し速度Vrbに則して変化するようになる。よって、下段において二点鎖線にて示されているように、操舵アシストトルクTaの大きさは漸次増大するので、上段において二点鎖線にて示されているように、操舵角θの大きさの減少速度は特許文献1に記載された電動パワーステアリング装置の場合よりも速くなる。従って、実際の戻し速度Vrの大きさが十分に大きくなるで、ステアリングホイール14は特許文献1に記載された電動パワーステアリング装置の場合よりも早く中立位置へ戻る。
また、第一の実施形態によれば、ステップ44において、操舵の能動・受動指標値INsが演算され、ステップ46において、操舵の能動・受動指標値INsが負の値であるか否かの判別、即ち運転者の操舵操作は受動的な操舵操作であるか否かの判別が行われる。運転者の操舵操作が受動的な操舵操作であるときには、ステップ50において、ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数fclがベースの値fclbよりも小さい値に演算される。これに対し、運転者の操舵操作が能動的な操舵操作であるときには、ステップ56において肯定判別が行われ、ステップ58において、カットオフ周波数fclがベースの値fclbよりも大きい値に演算される。
図12は、運転者の操舵操作が受動的な操舵操作であるか否かによって、遷移目標戻し速度Vtrtの大きさの増大率が異なることを示す図であり、θhはステアリングホイール14が中立位置へ戻り始める時の操舵角である。図12において、実線は運転者の操舵操作が受動的な操舵操作でも能動的な操舵操作でもない場合を示し、細い二点鎖線及び太い二点鎖線は、それぞれ操舵操作が受動的な操舵操作である場合及び操舵操作が能動的な操舵操作である場合を示している。
運転者の操舵操作が受動的な操舵操作であるときには、運転者はステアリングホイール14を積極的に中立位置へ戻そうとしていない。運転者の操舵操作が受動的な操舵操作であるときには、図12において細い二点鎖線にて示されているように、遷移目標戻し速度Vtrtの大きさの増大率を、戻し速度の制御が行われない車両の場合と同様に、穏やかな値にすることができる。よって、ステアリングホイール14が過剰に速く中立位置へ向けて戻ることを防止することができ、運転者は修正操舵が必要であると感じたときに容易に修正操舵を行うことができる。
これに対し、運転者の操舵操作が能動的な操舵操作であるときには、運転者はステアリングホイール14を積極的に中立位置へ戻そうとしている。運転者の操舵操作がの能動的な操舵操作であるときには、図12において太い二点鎖線にて示されているように、遷移目標戻し速度Vtrtの大きさの増大率を大きい値にすることができる。よって、ステアリングホイール14を中立位置へ向けて戻すことを促す操舵アシストトルクTaを速やかに増大させることができるので、ステアリングホイール14を速やかに中立位置へ戻したいという運転者の要求を効果的に充足させることができる。
特に、第一の実施形態によれば、運転者の操舵操作が受動的な操舵操作であるときには、ステップ50において、ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数fclが、fclb・(1+INs)と補正係数Ksとの積として演算される。補正係数Ksは、ステップ48において、操舵角θの絶対値が大きいほど小さくなるよう、演算される。よって、ステアリングホイール14が中立位置へ向けて戻り始める段階においては、操舵角θの絶対値が大きいので、カットオフ周波数fclを大きくし、遷移目標戻し速度Vtrtの大きさの増大率を大きくすることができる。
また、戻し速度の制御が進行し、操舵角θの絶対値が小さくなると、それに応じて補正係数Ksが漸次小さくなる。よって、戻し速度の制御が進行し、操舵角θの絶対値が小さくなるにつれて、カットオフ周波数fclを漸次小さくすることができ、このことによっても遷移目標戻し速度Vtrtの大きさの増大率を漸次小さくすることができる。
更に、第一の実施形態によれば、ステップ52において、操舵角θの絶対値が大きいほど小さくなるよう、増大変化制限値ΔVrcが演算され、ステップ80〜100において、制御サイクル毎の目標戻し速度Vrtの大きさの増大量が増大変化制限値ΔVrc以下に制限される。よって、操舵角θの大きさが小さく、操舵輪に作用するセルフアライニングトルクの大きさが小さいときには、遷移目標戻し速度Vtrtの大きさの増大率を大きくし、ステアリングホイール14が中立位置へ向けて戻ることを効果的に促進することができる。逆に、操舵角θの大きさが大きく、操舵輪に作用するセルフアライニングトルクの大きさが大きいときには、遷移目標戻し速度Vtrtの大きさの増大率を小さくし、操舵アシストトルクTaが過大になる虞を低減することができる。
[第二の実施形態]
図4は、本発明による電動パワーステアリング装置10の第二の実施形態におけるステアリングホイール14の中立位置への戻し速度Vrの制御ルーチンを示すフローチャートである。なお、図4において図2に示されたステップと同一のステップには、図2において付されたステップ番号と同一のステップ番号が付されている。
図4と図2との比較から解るように、第二の実施形態においては、ステップ40及び150以外のステップは、第一の実施形態と同様に実行される。ステップ40においては、カットオフ周波数fcl及び増大変化制限値ΔVrcは、図3に示されたフローチャートに代えて図5に示されたフローチャートに従って演算される。
ステップ150においては、最終目標戻し速度Vfrtが基本目標戻し速度Vrbに設定され、更に、ステップ20において否定判別が行われた回数、即ち最終目標戻し速度Vfrtが遷移目標戻し速度Vtrtに設定された回数を示すカウント値Crが0にリセットされる。なお、カウント値Crは、制御の開始時に0にリセットされ、図4に示されたフローチャートによる制御の途中において、ステアリングホイール14が切り増し又は保舵の状況になったときにも、0にリセットされる。
次に、図5に示されたフローチャートを参照して、上記ステップ40におけるカットオフ周波数fcl及び増大変化制限値ΔVrcの演算について説明する。
図5と図3との比較から解るように、第二の実施形態においては、ステップ44に先立ってステップ42が実行され、ステップ42においては、カウント値Crが1インクリメントされる。
ステップ46〜50は第一の実施形態と同様に実行され、ステップ50の次に実行されるステップ54においては、下記の式(4)に従って増大変化制限値ΔVrcの補正係数Kin(正の整数)が演算される。なお、下記の式(4)において、Cpaは予め設定された3よりも大きい一定の整数である。下記の式(4)及び後述の式(5)の関数RUは、カッコ内の数値の小数を繰り上げて整数にする関数である。
Kin=RU(Cr/Cpa) ……(4)
ステップ56及び58も第一の実施形態と同様に実行され、ステップ58の次に実行されるステップ62においては、下記の式(5)に従って補正係数Kinが演算される。なお、下記の式(5)において、Cpoは予め設定された正の一定の整数であり、Cpaよりも小さい。よって、同一のCrについて比較すると、ステップ62において演算される補正係数Kinは、ステップ54において演算される補正係数Kinよりも大きい。
Kin=RU(Cr/Cpo) ……(5)
ステップ64は第一の実施形態と同様に実行され、ステップ64の次に実行されるステップ68においては、下記の式(6)に従って補正係数Kinが演算される。なお、下記の式(6)において、Cpbは予め設定された正の一定の整数であり、Cpoよりも大きくCpaよりも小さい。よって、、同一のCrについて比較すると、ステップ64において演算される補正係数Kinは、ステップ54において演算される補正係数Kinよりも大きく、ステップ62において演算される補正係数Kinよりも小さい。
Kin=RU(Cr/Cpb) ……(6)
ステップ54、62及び68の何れかが完了すると、制御はステップ70へ進み、ステップ70においては、増大変化制限値ΔVrcが補正係数Kinと予め設定されたベースの値ΔVrcb(正の整数)との積として演算される。
以上の説明より解るように、第二の実施形態によれば、ステップ42、54、62、68、70及び150以外のステップは、第一の実施形態と同様に実行される。特に、ステップ54、62、68及び70は、第一の実施形態のステップ52、60、66に代えて実行される。よって、ステップ52、60、66により得られる作用効果以外の作用効果を、第二の実施形態においても同様に得ることができる。
上述のように、ステップ70における増大変化制限値ΔVrcの演算に使用される補正係数Kinは、ステップ42、54、62及び68により、戻し速度の制御が進行するにつれて段階的に増大するよう演算される。よって、増大変化制限値ΔVrcの大きさも、戻し速度の制御が進行するにつれて段階的に増大する。従って、図13に示されているように、第一の実施形態の場合に比して、操舵角θの大きさの減少量に対する遷移目標戻し速度Vtrtの増大量の比を小さくし、これにより戻し速度制御の初期における遷移目標戻し速度Vtrtの増大率を穏やかにすることができる。
また、補正係数Kinは、ステップ46及び56における判定結果に応じて、ステップ54、62及び68により可変設定される。特に、補正係数Kinは、運転者の操舵操作が受動的な操舵操作であるときには、運転者の操舵操作が能動的な操舵操作であるときに比して、小さい値に演算される。よって、運転者の操舵操作が受動的な操舵操作であり、運転者はステアリングホイール14を積極的に中立位置へ戻そうとしていない場合には、遷移目標戻し速度Vtrtの大きさの増大率を穏やかな値にすることができる。従って、ステアリングホイール14が過剰に速く中立位置へ向けて戻ることを防止することができる。
これに対し、運転者の操舵操作が能動的な操舵操作であり、運転者がステアリングホイール14を積極的に中立位置へ戻そうとしている場合には、遷移目標戻し速度Vtrtの大きさの増大率を大きい値にすることができる。よって、ステアリングホイール14を中立位置へ向けて戻すことを促す操舵アシストトルクTaの大きさを速やかに増大させて、ステアリングホイール14を速やかに中立位置へ戻したいという運転者の要求を効果的に充足させることができる。
また、補正係数Kinは、戻し速度の制御が進行するにつれて段階的に増大するが、運転者の操舵操作が能動的な操舵操作であるときの増大率は、運転者の操舵操作が受動的な操舵操作であるときの増大率に比して大きい。よって、運転者の操舵操作が受動的な操舵操作である場合に、遷移目標戻し速度Vtrtが過剰に早く基本目標戻し速度Vrbに到達することを防止することができる。逆に、運転者の操舵操作が能動的な操舵操作である場合に、遷移目標戻し速度Vtrtが基本目標戻し速度Vrbに到達することが過剰に遅くなることを防止することができる。
更に、第二の実施形態によれば、上述のように、戻し速度の制御の初期における遷移目標戻し速度Vtrtの大きさの増大率を、第一の実施形態の場合に比して穏やかにすることができる。よって、ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数fclが第一の実施形態の場合に比して大きい値に制御されても、戻し速度制御の初期においてステアリングホイール14を中立位置へ向けて戻すための操舵アシストトルクTaの大きさが過大になる虞を低減することができる。従って、第一の実施形態の場合に比してカットオフ周波数fclを大きい値にすることができるので、ローパスフィルタ処理に起因して遷移目標戻し速度Vtrtが基本目標戻し速度Vrbに到達することが過剰に遅くなる虞を低減することができる。
以上においては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
例えば、上述の第一及び第二の実施形態においては、ステップ48において、操舵角θの絶対値に基づいて補正係数Ksが演算され、ステップ50において、補正係数Ksを含む式(2)に従ってローパスフィルタ処理のカットオフ周波数fclが演算される。しかし、ステップ48における補正係数Ksの演算が省略され、ステップ50において、ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数fclが、fclb・(1+INs)として演算されるよう修正されてもよい。
また、上述の第一及び第二の実施形態においては、ステップ46及び56において否定判別が行われたときには、換言すれば、運転者の操舵操作が能動的な操舵操作でもなければ受動的な操舵操作でもないと判定されたときには、制御はステップ64へ進む。しかし、第一の実施形態においてはステップ56、64及び66が省略され、第二の実施形態においてはステップ56、64及び68が省略されてもよい。即ち、ステップ46において否定判別が行われたときには、換言すれば、運転者の操舵操作が受動的な操舵操作ではないと判定されたときには、制御はステップ58へ進むよう修正されてよい。
或いは、第一の実施形態においてはステップ46、64及び66が省略され、ステップ44が完了すると、制御はステップ56へ進み、ステップ56において否定判別が行われたときには、制御はステップ48へ進むよう修正されてよい。同様に、第二の実施形態においてはステップ46、64及び68が省略され、ステップ44が完了すると、制御はステップ56へ進み、ステップ56において否定判別が行われたときには、制御はステップ48へ進むよう修正されてよい。
また、上述の第二の実施形態においては、第一の実施形態の場合と同様に、ステップ50、58及び64において、ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数fclが運転者の操舵操作状況に応じて可変設定されるようになっている。しかし、ステップ48、50、58及び64が省略され、カットオフ周波数fclが運転者の操舵操作状況に関係なく一定の値に設定されるよう修正されてもよい。
また、上述の第二の実施形態においては、増大変化制限値ΔVrcの補正係数Kinは、ステップ54、62又は68において、正の整数に演算されるようになっている。しかし、補正係数Kinは整数でなくてもよく、例えば、ステップ54、62及び68において、それぞれCpa、Cpo及びCpbサイクル毎に、補正係数KinがそれぞれCr/Cpa、Cr/Cpo、Cr/Cpbに更新されるよう修正されてもよい。
されてもよい。
また、上述の第二の実施形態においては、ステップ46及び56において否定判別が行われたときには、ステップ68において、補正係数Kinが上記式(6)に従って演算される。しかし、補正係数Kinは例えば1のように、予め決定された正の定数に設定されてもよい。
また、上述の第一及び第二の実施形態においては、図6に示されているように、基本目標戻し速度Vrbは操舵角θ及び車速Vの関数である。しかし、基本目標戻し速度Vrbは操舵角θのみの関数であってもよい。
10…電動パワーステアリング装置、12…操舵装置、14…ステアリングホイール、20…操舵機構、46…パワーステアリングユニット、50…電子制御装置、52…操舵角センサ、54…トルクセンサ、56…車速センサ、58…CPU、60…ROM

Claims (6)

  1. 操舵アシストトルク付与装置と、前記操舵アシストトルク付与装置が車両の操舵装置に付与する操舵アシストトルクを制御する制御装置と、を有し、前記制御装置は、操舵角の大きさが大きいほど大きさが大きくなる基本目標戻し速度と操舵角との関係を記憶する記憶装置を有し、ステアリングホイールが中立位置へ向けて戻される状況にあるときには、実際の操舵角と前記関係とに基づいて基本目標戻し速度を演算し、前記ステアリングホイールの戻し速度が前記演算された基本目標戻し速度になるように前記操舵アシストトルクをフィードバック制御する電動パワーステアリング装置において、
    前記制御装置は、前記ステアリングホイールが中立位置へ向けて戻される状況にあるときには、実際の操舵角の大きさが減少するにつれて大きさが漸次増大して前記基本目標戻し速度に漸次近づく遷移目標戻し速度を演算し、前記基本目標戻し速度と前記遷移目標戻し速度との差の大きさが基準値よりも大きいときには、前記ステアリングホイールの戻し速度が前記演算された基本目標戻し速度に代えて前記遷移目標戻し速度になるように前記操舵アシストトルクをフィードバック制御する電動パワーステアリング装置。
  2. 請求項1に記載の電動パワーステアリング装置において、前記制御装置は、前記ステアリングホイールが運転者の能動的な切り戻し操舵により中立位置へ向けて戻されているか否かを判定し、前記ステアリングホイールが運転者の能動的な切り戻し操舵により中立位置へ向けて戻されているときには、前記ステアリングホイールが運転者の能動的な切り戻し操舵によらず中立位置へ向けて戻されているときに比して、前記遷移目標戻し速度の大きさが大きくなるように前記遷移目標戻し速度を演算する電動パワーステアリング装置。
  3. 請求項1に記載の電動パワーステアリング装置において、前記制御装置は、所定の時間毎に前記演算された基本目標戻し速度を暫定の目標戻し速度に設定し、前記暫定の目標戻し速度と前回の目標戻し速度の差の大きさが増大制限値を越えるときには、今回の目標戻し速度の大きさが前回の目標戻し速度の大きさと前記増大制限値との和になるように今回の目標戻し速度を設定し、前記暫定の目標戻し速度と前回の目標戻し速度の差の大きさが前記増大制限値を越えないときには、今回の目標戻し速度を前記暫定の目標戻し速度に設定し、前記今回の目標戻し速度をローパスフィルタ処理することにより前記遷移目標戻し速度を演算する電動パワーステアリング装置。
  4. 請求項3に記載の電動パワーステアリング装置において、前記制御装置は、前記ステアリングホイールが運転者の能動的な切り戻し操舵により中立位置へ向けて戻されているか否かを判定し、前記ステアリングホイールが運転者の能動的な切り戻し操舵により中立位置へ向けて戻されているときには、前記ステアリングホイールが運転者の能動的な切り戻し操舵によらず中立位置へ向けて戻されているときに比して、前記ローパスフィルタ処理を実行する際のカットオフ周波数を大きくする電動パワーステアリング装置。
  5. 請求項3に記載の電動パワーステアリング装置において、前記制御装置は、実際の操舵角の大きさが小さいときには、実際の操舵角の大きさが大きいときに比して、前記増大制限値を大きくする電動パワーステアリング装置。
  6. 請求項3に記載の電動パワーステアリング装置において、前記制御装置は、前記ステアリングホイールが運転者の能動的な切り戻し操舵により中立位置へ向けて戻されているか否かを判定し、前記ステアリングホイールが運転者の能動的な切り戻し操舵により中立位置へ向けて戻されているときには、前記ステアリングホイールが運転者の能動的な切り戻し操舵によらず中立位置へ向けて戻されているときに比して、前記増大制限値を大きくする電動パワーステアリング装置。

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