JP2016216339A - 透明導電膜ターゲット用原料粉体の連続製造装置 - Google Patents

透明導電膜ターゲット用原料粉体の連続製造装置 Download PDF

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善一 今村
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Abstract

【課題】透明導電膜ターゲット用原料粉体を、短時間で均一に、乾燥、分解、焼成、顆粒化し、安定した品質の顆粒状粉体を連続的にワンポットで製造できる装置を提供することを目的とする。【解決手段】インジウム化合物、スズ化合物、ガリウム化合物、亜鉛化合物、およびアルミニウム化合物から選択される少なくとも1種の化合物の水溶液媒体の混合物を、駆動回転する金属円筒管に装入し、乾燥、焼成させる透明導電膜ターゲット用原料粉体の連続製造装置であって、金属円筒管の内部に備えられた複数の翼片を放射線状に配置した撹拌羽を回転させながら、混合物の撹拌、乾燥、及び焼成を連続させて行う、透明導電膜ターゲット用顆粒状原料粉体の連続製造装置。【選択図】図3

Description

本発明は、透明導電膜を形成するために用いられるITO(インジウム錫複合酸化物)、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)及びIGZO(インジウムガリウム亜鉛複合酸化物)のスパッタリングターゲット(焼結体)を製造するための原料粉体の連続製造装置に関する。
透明導電膜は、液晶デイスプレイ、有機ELデイスプレイ等の表示デバイスの透明電極、太陽電池用透明導電ガラス、および熱線反射、結露防止等の機能性ガラスなどに広く利用されている。
透明導電膜の形成は、塗料を塗工(スプレー、デイップ)する化学的湿式作製法、CVD法の化学的乾式作製法、真空蒸着法、パルスレーザ堆積法(PLD)、スパッタリングなどの物理的作製法があるが、操作性の簡便さ、および膜質特性の安定性、良好さから、マグネトロンスパッタリング法が広く適用されている。スパッタリング法は、基本的には、真空中で放電によりプラズマを発生させ、そのプラズマ中の陽イオン(放電ガスのArイオン)が負極の被スパッタリング物質(ターゲット)に加速されてその表面を衝撃し、その衝撃によってターゲット物質が飛び出すことを利用するものであり、飛び出したターゲット物質(スパッタ粒子)を陽極側の基板上に堆積させて薄膜を形成する方法であるため、ターゲット物質そのものが成膜物質となるため、透明導電膜ターゲットの場合、生産効率、パーティクルの発生防止等の観点から、可能な限り、均質で高密度な焼結体の製造が求められている。マグネトロンスパッタリング法は、磁場を利用して、成膜速度を向上させる方法である。
透明導電膜形成用酸化物ターゲットは、通常、各成分の酸化物粉末を、所望の組成に配合し、均一に混合した後、加圧成形もしくは鋳込み成形を行い、この成形体を高温度で加熱焼結することによって製造される。例えば、具体的にはITOターゲットの場合、酸化インジウム粉末(In)と酸化スズ粉末(SnO)を質量比90:10で配合した後、混合、粉砕、造粒(顆粒)、またはスラリー化を行う。顆粒粉体は金型プレス成形法、静水圧ラバープレス成形法(CIP)により、スラリーは鋳込み法もしくはスリップキャスト法により、長方形又は正方形の板状または円筒状に成形する。成形体は、酸素雰囲気中1400〜1650℃で焼結し、ITO焼結体が、製造される。しかしながら、ITOは難焼結性の物質であり、これを克服し、均質で高密度の焼結体を得るために、(1)酸化インジウムおよび酸化スズ原料粉末の合成、(2)原料粉末の混合、加工、(3)成形、(4)成形体の加熱焼結の各工程でいろいろな改善方法が提案されている。
一般に、加熱による焼結の反応性は、粉末粒子が微細なほど活性で、反応性は高められるが、一方、2種類以上の粉末を分散、混合する際、粉末粒子間の凝集が強くなり、均一に分散、混合することが、困難になる。このため、ITO焼結体の製造においては、焼結の反応性よりも酸化インジウム粉末と酸化スズ粉末との分散、混合性を重視した原料粉末の合成方法が重要となり、粉末の一次および二次粒子の大きさ、粒度分布、結晶性等の特性制御が種々提案されている。
主原料粉末である酸化インジウム粉末(In)は、金属インジウムを陽極溶解させる電解法(特許文献1、2)、または硝酸インジウム水溶液をアンモニア水もしくは重炭酸アンモニウムで加水分解する中和法(特許文献3)によって水酸化インジウム(In(OH))を沈殿させ、洗浄、固液分離、乾燥、焼成を経て合成され、平均粒子径3μm以下、BET比表面積10m/g以下、結晶子径900Å以上の粉末を得ている。また、更に、一次焼成、解砕、二次焼成の処理を行うことにより一次粒子平均径が0.1〜0.3μm等の酸化インジウム粉末(特許文献4、5)としている。一方、酸化スズ粉末(SnO)は、金属スズを陽極溶解する電解法(特許文献6)、硝酸アンモニウム水溶液中にスズ金属粒を沈め、硝酸を滴下しながら溶解、加水分解等して、メタスズ酸(HSnO)として沈殿析出させ、洗浄、固液分離、乾燥、焼成を行い、酸化スズ粉末を得る方法(特許文献7、8、9、10)が提案され、二次粒子径5〜30μm、BET比表面積2〜10m/g、嵩密度0.6〜1.2m/g、結晶子径800Å以上等の粉末を得ている。
電流量(滴下速度)、温度、pH、撹拌等の適正かつ限定した沈殿条件を選択することによって粉末の粒子の大きさ、粒度分布、BET法比表面積、嵩密度、結晶性等を制御し、分散性、混合性、流動性、充填性、成形性等の加工特性を確保しているが、安定した品質の確保、ならびに生産効率の観点からは問題を残す。
これら特性を調整した酸化インジウムおよび酸化スズの粉末を、更に成形体作製における流動性、充填性、均一性を発現させるために、(1)原料粉末を混合し、スラリー化、顆粒化(造粒)の加工処理を行った後、顆粒粉体はプレス成形、スラリーは鋳込み成形し、(2)成形加工を行う。得られた成形体は、粉体の流動性、充填性、均質性が高いほど、空隙の少ない高密度成形体となる。この成形を、(3)加熱焼結を行い、ITO焼結体とする。焼結の際に、酸化スズ(特に低級酸化スズ、ハロゲン化物)の揮発を抑制するために純酸素富化、加圧酸素の雰囲気下での焼結法(特許文献11、12)が提案されている。
水酸化インジウム分散液とメタスズ酸分散液とを直接混合し、より酸化スズの分散性を向上させ、焼結体の酸化スズの偏析を解消するための方法(特許文献13)も提案されている。
しかしながら、これら先行技術文献に記載された方法においては、工程数が著しく多く、装置構造の複雑化、限定された特殊な条件での製造を必要とするために、運転効率の低下、回収率の低下等の生産性及び品質の安定化の点で問題がある。
特開平10−95615号公報 特開平10−204669号公報 特開平11−79745号公報 特開2006−44993号公報 特開2007−314413号公報 特開平10−251019号公報 特開平11−130432号公報 特開平11(19999)−322336号公報 特開2005−272186号公報 特開2010−100484号公報 特開平10−182150号公報 特開平9−228036号公報 特開2001−303239号公報
本発明は、上記問題を解決するため、透明導電膜ターゲット用原料粉体を、短時間で均一に、乾燥、分解、焼成、顆粒化し、安定した品質の顆粒状粉体を連続的にワンポットで製造できる装置を提供することを目的とする。
本発明は、以下に示す構成によって上記課題を解決した透明導電膜ターゲット用原料粉体の連続製造装置、およびこの装置によって製造された透明導電膜ターゲット用原料粉体に関する。
本発明者らは、駆動回転する金属円筒管に、インジウム化合物、スズ化合物、ガリウム化合物、亜鉛化合物、およびアルミニウム化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物または混合物を装入し、金属円筒管内部に備えた撹拌羽によって均一な撹拌、混合状態を維持し、かつ円筒管内部への混合物の付着成長を抑えながら、乾燥、分解、焼成することにより均一且つ短時間で安定した品質の透明導電膜を形成するスパッタリングターゲット用原料粉体を連続的に製造できることを見出し、本発明に至った。本発明は、以下の事項に関する。
〔1〕インジウム化合物、スズ化合物、ガリウム化合物、亜鉛化合物、およびアルミニウム化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の水溶液媒体の混合物を、駆動回転する金属円筒管に装入し、乾燥、焼成させる透明導電膜ターゲット用原料粉体の連続製造装置であって、
金属円筒管の内部に備えられた複数の翼片を放射線状に配置した撹拌羽を回転させながら、混合物の撹拌、乾燥、および焼成を連続させて行うことを特徴とする、透明導電膜ターゲット用顆粒状原料粉体の連続製造装置。
〔2〕駆動回転する金属円筒管の内部に備えられた複数の翼片を放射線状に配置した撹拌羽が、金属円筒管が回転することにより金属円筒管内面を接触するように回転しながら、衝撃を与え、混合物を、掻き揚げ、流動、浮遊、転動させる、上記〔1〕記載の透明導電膜ターゲット用顆粒状原料粉体の連続製造装置。
〔3〕混合物を、乾燥、および焼成させるために、混合物を、500℃以上1200℃以下であり、かつ、5分以上90分未満加熱させる、上記〔1〕または〔2〕記載の透明導電膜ターゲット用顆粒状原料粉体の連続製造装置。
〔4〕金属円筒管が、水平面に対し0.5°以上10°以下で傾斜している、上記〔1〕〜〔3〕のいずれか記載の透明導電膜ターゲット用原料粉体の連続製造装置。
〔5〕金属円筒管の回転速度が、5rpm以上100rpm以下である、上記〔1〕〜〔4〕のいずれか記載の透明導電膜ターゲット用顆粒状原料粉体の連続製造装置。
〔6〕金属円筒管及び撹拌羽が、10質量%以上のニッケルを主成分とする合金からなる、上記〔1〕〜〔5〕のいずれか記載の透明導電膜ターゲット用顆粒状原料粉体の連続製造装置。
〔7〕インジウム化合物、スズ化合物、ガリウム化合物、亜鉛化合物、およびアルミニウム化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物が、硝酸塩、酢酸塩、水酸化物、および酸化物からなる群より選択される少なくとも1種である、上記〔1〕〜〔6〕のいずれか記載の透明導電膜ターゲット用顆粒状原料粉体の連続製造装置。
〔8〕混合物に含まれる固形物の濃度が5質量%以上である、上記〔1〕〜〔7〕のいずれか記載の透明導電膜ターゲット用顆粒状原料粉体の連続製造装置。
〔9〕〔1〕〜〔8〕のいずれか記載の透明導電膜ターゲット用原料粉体の連続製造装置により製造された、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ガリウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、インジウムスズ複合酸化物、インジウムガリウム亜鉛複合酸化物、または亜鉛アルミニウム複合酸化物の透明導電膜ターゲット用顆粒状原料粉体。
本発明〔1〕によれば、駆動回転する金属円筒管に装入された出発原料化合物を含む水溶液媒体の混合物を、金属円筒管の内部に備えた撹拌羽により、均一に撹拌、混合、転動することが可能となり、乾燥、焼成することができる。すなわち、ワンポットで、短時間かつ均一、安定した品質のITO等の焼結体の成形材料となる顆粒状の混合酸化物粉体を効率良く連続的に製造することが可能である。
本発明〔9〕によれば、透明導電膜ターゲットの製造に適した原料粉体が、簡便に得られる。
透明導電膜ターゲット用原料粉体の連続製造装置の長手方向の断面図の一例である。 透明導電膜ターゲット用原料粉体の連続製造装置の炉部の短手方向の断面図の一例である。 透明導電膜ターゲット用原料粉体の連続製造装置の長手方向のフローを示す断面図の一例である。
以下、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明する。
〔透明導電膜ターゲット用原料粉体の連続製造装置〕
本発明の透明導電膜ターゲット用原料粉体の連続製造装置(以下、連続製造装置という)は、インジウム化合物、スズ化合物、ガリウム化合物、亜鉛化合物、およびアルミニウム化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の水溶液媒体の混合物(以下、混合物という)を、駆動回転する金属円筒管に装入し、乾燥、焼成させる透明導電膜ターゲット用顆粒状原料粉体の連続製造装置であって、金属円筒管の内部に備えられた複数の翼片を放射線状に配置した撹拌羽を回転させながら、混合物の撹拌、乾燥、および焼成を連続させて行うことを特徴とする。ここで顆粒状とは、主として球形状で、平均粒子径が5〜1000μm、好ましくは10〜700μmの粉末である。平均粒子径は、原料粉体の走査型電子顕微鏡写真での長径(原料粉体の最も長い径)の平均径である(n=50)。原料粉体が顆粒状であると、特に、鋳込み成形(スリップキャスト)に適している。プレス成形をするときには、必要に応じて、顆粒状の原料粉体を粉砕して使用してもよい。
<混合物の作製(前処理)>
混合物に用いられるインジウム化合物、スズ化合物、ガリウム化合物、亜鉛化合物、アルミニウム化合物としては、特に限定されないが、加熱分解性、不純物(塩素、硫黄化合物、低級酸化物等)の分離、腐食性等から、水溶性の硝酸塩、酢酸塩が好ましい。また、平均一次粒子径が、0.01μm以上50μm以下の水酸化物、酸化物が、スラリー混合物として好ましく利用できる。更に、本発明において、化合物は、2種以上の化合物が複合化されても良い。
硝酸塩としては、In(NO・3HO、Ga(NO・nHO、Zn(NO・6HO、Al(NO・9HO等が挙げられる。酢酸塩としては、Ga(CHCOO)、AlO(CHCOO)・nHO、Al(CHCOO)、Sn(CHCOO)、Sn(CHCOO)、Zn(CHCOO)・2HO等が挙げられる。水酸化物としては、In(OH)、Sn(OH)、HSnO、Ga(OH)、GaO(OH)、Zn(OH)、Al(OH)、α−Al(OH)(gibbsite)、γ−Al(OH)(bayerite)、α―AlO(OH)(diaspore)、γ―AlO(OH)(boehmite)等が挙げられる。酸化物としては、In、SnO、Ga、ZnO、α−Al、γ−Al等が挙げられる。炭酸塩としては、塩基性炭酸亜鉛(2ZnCO・3Zn(OH)・HO)も利用可能である。複合水酸化物および複合酸化物としては、In/Sn(OH)共沈殿物(表面技術:Vol47、No4(1996)、339)、AlドープZnO等が挙げられる。
水溶液媒体の混合物を効率よく得るための装置としては、特に限定されないが、例えば、攪拌羽を有する攪拌装置、超音波分散装置、ホモミキサー、乳鉢、ボールミル、遠心ボールミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、アトライタータイプの高速ボールミル、ビーズミル、ロールミル等の剪断力、衝撃力を発生させる装置を用いることができる。例えば、ITOターゲット材料においては、一例として撹拌装置を用いて硝酸インジウムを水に溶解した後、酸化第二スズ粉末を添加し、ビーズミル分散装置を用いて分散、粉砕し、水溶液混合物を得ることができる。
得られる混合物は、その固形物濃度が5質量%以上であることが好ましい。固形物濃度が低すぎると、連続製造装置内において、乾燥する際の負荷が大きくなり、ターゲット用材料の生産効率に支障を生じる。ここで、固形物濃度とは、水溶液に溶存する硝酸塩、および水溶液に溶解しない懸濁物として存在する水酸化物もしくは酸化物の合計質量濃度を表す。その測定方法は、得られる混合物の一定量を重量測定した後{A(g)}、その重量測定混合物を直接、乾燥・分解焼成(600℃)し、残存焼成物の重量を測定する{B(g)}。個々の操作で計測された重量AおよびBから固形物濃度を算出(固形物濃度(%)=B/A×100)する。なお、固形物濃度は、60質量%以下であると、水溶液混合物の作製が容易であり、好ましい。
<連続製造装置>
連続製造装置は、駆動回転する金属円筒管を有し、金属円筒管の内部に少なくとも1本以上備えられた攪拌羽で、水溶液混合物を攪拌、掻き揚げ、転動しながら乾燥、分解、焼成させる。
金属円筒管の内部に備えられた攪拌羽は、棒状の撹拌羽軸に、複数個の翼片を放射状に、好ましくは等間隔に有し、翼片のうち少なくとも1個の先端が金属円筒管に接触しており、金属円筒管の駆動回転によって撹拌羽も金属円筒管内面を沿って回転しながら、衝撃を与えるように、使用する。ここで、翼片のうち少なくとも1個の先端が金属円筒管に接触しているので、金属円筒管の駆動回転によって撹拌羽も金属円筒管内面を沿って回転するが、金属円筒缶の内径と撹拌羽の外形との寸法差により、撹拌羽は回転しながら、上記寸法差に応じた周期で落下し、衝撃を与える。これによって、金属円筒管内の混合物を、上記撹拌羽の翼片により、攪拌、掻き揚げ、流動、浮遊、転動し、混合物の金属円筒管内壁への付着成長を抑制しながら、酸化物粉末の均一な混合と顆粒化が図られる。このように、金属円筒管内の混合物(生成物)への加熱伝達および雰囲気交換が良好に保たれるため、短時間で、安定した品質が達成される。撹拌羽は、混合物を乾燥させる乾燥部、乾燥した混合物を分解、焼成する分解焼成部で、それぞれ独立していると、好ましい。また、乾燥部、分解焼成部内でも、複数の撹拌羽を使用すると、より好ましい。
金属円筒管は、水平面に対して傾斜していることが好ましく、金属円筒管内の水溶液混合物は、装入側から取り出し側へ順次送られ、その間に乾燥、分解、焼成される。水平面に対する傾斜角度は、0.5°以上10°以下であることが好ましい。傾斜角度が小さすぎると、生成物の排出が困難となり、定常的な回収ができない。一方、傾斜角度が大きすぎると、金属円筒管内における原料等の滞留時間が極端に短くなり(5分未満)、後述する混合物の乾燥、焼成が不十分となる。
連続製造装置において、金属円筒管の回転速度は、5rpm以上100rpm以下が好ましい。回転速度が小さすぎると、混合物の滞留時間が短く、乾燥、焼成が不十分となると同時に金属円筒管内面へ混合物の付着が顕著となり、均一な混合、顆粒化ができなくなる。一方、回転速度が大きすぎると、混合物の攪拌効果が見られない。
攪拌羽の翼片および金属円筒管は、特に限定されないが、ニッケル等を主成分とする合金を含むことが好ましい。たとえば、ニッケルを主成分とするときは、10質量%以上95質量%以下のニッケルを含むことが好ましい。
上記装置は、内部の温度を所定の温度に制御できることが好ましい。加熱方法は、外部または内部のいずれかの加熱源を用いる方法でよいが、焼成の雰囲気制御を考慮すると外部からの加熱が好ましい。
連続製造装置においては、得られた水溶液媒体の混合物を、金属円筒管内に装入する。混合物は、水溶液もしくは水スラリー状態で直接装入され、定量ポンプによる注入、もしくは混合物の流動性が低い場合は、スクリューにより装入してもよい。
装入された混合物は、加熱された金属円筒管内の攪拌羽によって液滴状に掻き揚げられ、流動、浮遊しながら、金属円筒管内表面及びガス中で急速に乾燥固化、脱水分解される。この乾燥固化された顆粒状混合物が、さらに加熱され、金属円筒管内で、撹拌、掻き揚げられながら、焼成される。連続製造装置では、混合物を乾燥、焼成する工程において、上記撹拌羽を備えた金属円筒管を用いることにより、従来の装置に比べて、金属円筒管内面への付着物を抑えられる、混合物がより均一に複合化される、加熱時間が短縮化される等の利点がある。ここで、混合物は、撹拌羽の掻き上げによって、液滴となり、この液滴が乾燥し、顆粒状混合物を形成する。また、乾燥固化された顆粒状混合物の粒子が、金属間内面を周回することにより、顆粒状混合物の粒子が回転集合し、転動されることにより造粒し、顆粒状混合物が成長する場合もある。
連続製造装置で造粒された原料粉体は、顆粒状である。連続製造装置で得られた顆粒状の原料粉体の大きさは、5μm以上1000μm以下であるので、流動性、充填性、均質性に優れる。5μm未満では、プレス成形における充填、流動性に劣り易く、1000μmを越えると成形体の密度が低下し易い。
金属円筒管内の加熱温度は、特に限定されないが、500℃以上1200℃以下であることが好ましい。加熱温度が低すぎると混合物の乾燥、分解が不均一となり易く、加熱温度が高すぎると顆粒粉体の結晶粒粗大化が進行し易くなるばかりでなく、金属円筒管及び撹拌羽の損耗が生じ易くなる。
加熱時間は、金属円筒管の傾斜角度と回転速度によって変化させることができ、特に限定されないが、5分以上90分未満であることが好ましい。加熱時間が短すぎると乾燥、焼成が不十分となり易く、加熱時間が長すぎても粉体の特性は変わらないので、エネルギーの無駄になる。
金属円筒管内の雰囲気ガスは、供給される雰囲気ガスによって調製することができ、駆動回転する金属円筒管を有する連続製造装置が、さらに雰囲気ガスを制御する手段を有していてもよい。雰囲気ガスは、不活性ガス、空気、酸素ガスを、目的に応じて導入することができる。
図1に、透明導電膜ターゲット用原料粉体の連続製造装置の長手方向の断面図の一例を、図2に、透明導電膜ターゲット用原料粉体の連続製造装置の加熱部の短手方向の断面図の一例を示す。図1は、No.1〜No.3の3ゾーンで加熱を行い、撹拌羽数が、5枚である例である。また、図2に示すように、撹拌羽は、4片であり、炉心回転モーターにより、金属円筒管全体が回転する例である。図1では、ワーク供給ホッパーに、水溶液媒体の混合物を装入し、混合物は、ワーク供給モーターにより、左側に排出される。混合物は、炉心回転モーターにより回転する撹拌羽により、掻き揚げ、流動、浮遊、転動されながら、No.3、No.2、No.1の順に各加熱部で加熱され、乾燥、分解、焼成された後、炉心冷却器で冷却された顆粒状原料粉体が、排出ホッパーから排出される。雰囲気ガスを使用する場合には、雰囲気ガスを、シールドガス導入口から導入し、排気口から排出する。また、金属円筒管の傾斜角度は、傾き調整用孔により調製することができる。図3に、透明導電膜ターゲット用原料粉体の連続製造装置の長手方向のフローを示す断面図の一例を示す。図3では、T/C(T/C1〜T/C3)は、熱電対(K型:クロメル・アルメル)であり、SCR(SCR1〜SCR3)は、サイリスタである。これらのサイリスタは、ヒーターへの出力を制御する。連続製造装置の温度は、3ゾーンで管理されており、T/Cで測定した温度に基づき、サイリスタからヒーターへの出力を制御する例である。
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
<混合物の作製>
金属スズ(Sn原子量118.71)ショット(粒径3mmΦ)30g(0.25mol)を、イオン交換水500cmに投入した後、60℃に昇温した。撹拌しながら61質量%硝酸(HNO分子量63.00)75cmを2時間かけて添加した。更に、60℃で撹拌を続け、白濁が変化しなくなるまで行った。これに、硝酸インジウム(In(NO・3HO、分子量354.88、関東化学(株)製1級試薬)887.2g(2.5mol)を溶解し、イオン交換水を2.5mol/dmまで加えて、水溶液混合物を作製した。固形物濃度は24質量%であった。
<連続製造装置の使用>
作製した混合物スラリー(硝酸インジウム2.5mol/dm、メタスズ酸0.25mol/dm、固形物濃度24質量%)を、駆動回転する金属円筒管(傾斜角度:4°、回転速度:30rpm、炉体長さ:1.5m、円筒管内径:143mmφ、撹拌羽:中心から翼片(4片)の羽先端長さ65mm、撹拌羽数:5枚)に装入し、空気10Ndm/minを回収側から流しながら、乾燥、分解、焼成処理を行った。金属円筒管の加熱温度は、供給側700℃、中央部800℃、回収側800℃であり、加熱部の滞留時間は、15分であった。得られた顆粒状酸化インジウム(In)/酸化スズ(SnO)混合酸化物粉体は、走査電子顕微鏡による直接観察から顆粒大きさ30μm〜700μm(n=50)で、良好な流動性を示した。また、水溶液混合物の作製から顆粒状粉体を得るまでの製造時間は、6時間であった。
〔実施例2〕
<混合物の作製>
実施例1と同様にして、硝酸インジウムを溶解し、60℃に保持し、撹拌しながらアンモニア水(関東化学(株)製1級試薬、26質量%)をpH7になるまで添加して加水分解を行い、水酸化インジウムを析出させた。これに、イオン交換水で、2.5mol/dmまで加えて、スラリー状の水溶液混合物を作製した。固形物濃度は25質量%であった。
作製した混合物スラリー(水酸化インジウム2.5mol/dm、メタスズ酸0.2mol/dm、固形物濃度25質量%)を、実施例1と同様の連続製造装置を用い、駆動回転する金属円筒管の傾斜角度を3°にしたこと以外は、実施例1と同じ条件で、乾燥、脱水、焼成処理を行った。金属円筒管の加熱部の滞留時間は、35分であった。得られた顆粒状酸化インジウム(In)/酸化スズ(SnO)混合酸化物粉体は、走査電子顕微鏡による直接観察から粒子径が10μm〜500μm(n=50)で、良好な流動性を示した。また、水溶液混合物の作製から顆粒状粉体を得るまでの製造時間は、7時間であった。
〔比較例1〕
実施例1得られた水溶液混合物を、匣鉢に装填し、乾燥器にて100℃、12時間保持して乾燥した。乾燥粉を大気中、800℃、4時間焼成して、酸化インジウムと酸化スズの混合粉体を得た。この混合粉体を、湿式媒体撹拌ビーズミルで解砕、混合を行い、噴霧乾燥し、造粒した。水溶液混合物から顆粒状粉体までの製造日数は、3日要した。

Claims (9)

  1. インジウム化合物、スズ化合物、ガリウム化合物、亜鉛化合物、およびアルミニウム化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の水溶液媒体の混合物を、駆動回転する金属円筒管に装入し、乾燥、焼成させる透明導電膜ターゲット用原料粉体の連続製造装置であって、
    金属円筒管の内部に備えられた複数の翼片を放射線状に配置した撹拌羽を回転させながら、混合物の撹拌、乾燥、および焼成を連続させて行うことを特徴とする、透明導電膜ターゲット用顆粒状原料粉体の連続製造装置。
  2. 駆動回転する金属円筒管の内部に備えられた複数の翼片を放射線状に配置した撹拌羽が、金属円筒管が回転することにより金属円筒管内面を接触するように回転しながら、衝撃を与え、混合物を、掻き揚げ、流動、浮遊、転動させる、請求項1記載の透明導電膜ターゲット用顆粒状原料粉体の連続製造装置。
  3. 混合物を、乾燥、および焼成するために、混合物を、500℃以上1200℃以下であり、かつ、5分以上90分未満加熱させる、請求項1または2記載の透明導電膜ターゲット用顆粒状原料粉体の連続製造装置。
  4. 金属円筒管が、水平面に対し0.5°以上10°以下で傾斜している、請求項1〜3のいずれか1項記載の透明導電膜ターゲット用顆粒状原料粉体の連続製造装置。
  5. 金属円筒管の回転速度が、5rpm以上100rpm以下である、請求項1〜4のいずれか1項記載の透明導電膜ターゲット用顆粒状原料粉体の連続製造装置。
  6. 金属円筒管及び撹拌羽が、10質量%以上のニッケルを主成分とする合金からなる、請求項1〜5のいずれか1項記載の透明導電膜ターゲット用顆粒状原料粉体の連続製造装置。
  7. インジウム化合物、スズ化合物、ガリウム化合物、亜鉛化合物、およびアルミニウム化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物が、硝酸塩、酢酸塩、水酸化物、および酸化物からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜6のいずれか1項記載の透明導電膜ターゲット用顆粒状原料粉体の連続製造装置。
  8. 混合物に含まれる固形物の濃度が5質量%以上である、請求項1〜7のいずれか1項記載の透明導電膜ターゲット用顆粒状原料粉体の連続製造装置。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項記載の透明導電膜ターゲット用原料粉体の連続製造装置により製造された、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ガリウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、インジウムスズ複合酸化物、インジウムガリウム亜鉛複合酸化物、または亜鉛アルミニウム複合酸化物の透明導電膜ターゲット用顆粒状原料粉体。
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