JP2012184158A - 低原子価酸化チタン粉末および酸化亜鉛系焼結体 - Google Patents
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Abstract
【課題】粗大な粒子が存在しない焼結体の製造に適した一酸化チタン粉末等の低原子価酸化チタン粉末、及びそれを用いて製造した酸化亜鉛系焼結体を提供する。
【解決手段】BET比表面積が1m2/g以上10m2/g以下であり、レーザー回折・散乱法により測定した粒度分布における積算体積分率90%粒径が5μm以下である一酸化チタン粉末等の低原子価酸化チタン粉末は、粉砕ボール径が1mmφ以上10mmφ以下であるボールミルにより粉砕処理が施された後、目開きが50μm以上120μm以下の篩にかけて選別されたものである。
【選択図】図1
【解決手段】BET比表面積が1m2/g以上10m2/g以下であり、レーザー回折・散乱法により測定した粒度分布における積算体積分率90%粒径が5μm以下である一酸化チタン粉末等の低原子価酸化チタン粉末は、粉砕ボール径が1mmφ以上10mmφ以下であるボールミルにより粉砕処理が施された後、目開きが50μm以上120μm以下の篩にかけて選別されたものである。
【選択図】図1
Description
本発明は、酸化亜鉛を主成分とする焼結体の製造に適した低原子価酸化チタン粉末および酸化亜鉛系焼結体に関する。
導電性と光透過性とを兼ね備えた透明導電膜は、これまでから、太陽電池や液晶表示素子等の電極などとして利用されている。
従来、透明導電膜としては、例えば、酸化スズ(SnO2)系の薄膜、酸化亜鉛(ZnO)系の薄膜、そして酸化インジウム(In2O3)系の薄膜が知られている。
具体的には、酸化スズ系の透明導電膜としては、アンチモンをドーパントとして含むアンチモンドープ酸化スズ(ATO)膜や、フッ素をドーパントとして含むフッ素ドープ酸化スズ(FTO)膜が知られている。
酸化亜鉛系の透明導電膜としては、アルミニウムをドーパントとして含むアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)膜や、ガリウムをドーパントとして含むガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)膜が知られている。
酸化インジウム系の透明導電膜としては、スズをドーパントとして含むスズドープ酸化インジウム(ITO;Indium Tin Oxide)膜が知られている。中でも、最も工業的に利用されているのは酸化インジウム系の透明導電膜であり、とりわけITO膜は、低抵抗で導電性に優れることから、幅広く実用化されている。
具体的には、酸化スズ系の透明導電膜としては、アンチモンをドーパントとして含むアンチモンドープ酸化スズ(ATO)膜や、フッ素をドーパントとして含むフッ素ドープ酸化スズ(FTO)膜が知られている。
酸化亜鉛系の透明導電膜としては、アルミニウムをドーパントとして含むアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)膜や、ガリウムをドーパントとして含むガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)膜が知られている。
酸化インジウム系の透明導電膜としては、スズをドーパントとして含むスズドープ酸化インジウム(ITO;Indium Tin Oxide)膜が知られている。中でも、最も工業的に利用されているのは酸化インジウム系の透明導電膜であり、とりわけITO膜は、低抵抗で導電性に優れることから、幅広く実用化されている。
このような透明導電膜を形成する際には、従来から、スパッタリング法、イオンプレーティング法、PLD(パルスレーザーデポジション)法、EB(エレクトロンビーム)蒸着法などが利用されている。これらの成膜方法において膜原料として用いられるターゲットは、成膜しようとする膜を構成する金属元素を含む固体からなり、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物などの焼結体や混合体で形成される。
例えば、ITOのような酸化物の膜をスパッタリング法で形成する際には、ターゲットとしては、一般に、膜を構成する金属元素からなる合金ターゲット(ITO膜の場合にはIn−Sn合金)、もしくは膜を構成する金属元素を含む酸化物を焼結または混合してなる酸化物ターゲット(ITO膜の場合にはIn−Sn−Oからなる焼結体や混合体)が用いられる。
ただし、合金ターゲットを用いると、形成される膜中の酸素は全て雰囲気中の酸素ガスから供給されることになるので、雰囲気中の酸素ガス量が変動しやすくなり、その結果、雰囲気中の酸素ガス量に依存する成膜速度や得られる膜の特性(比抵抗、透過率)を一定に保つことが困難になる場合がある。
他方、酸化物ターゲットを用いた場合には、膜に供給される酸素の一部はターゲット自体から供給され、不足分のみが雰囲気中の酸素ガスから供給されることになるので、雰囲気中の酸素ガス量の変動は、合金ターゲットを用いる場合に比べ抑えることができ、その結果、一定の膜厚を有し一定の膜特性を有する透明導電膜を容易に製造することが可能となる。
したがって、これまで、工業的に用いるターゲットとしては、酸化物ターゲットが汎用されてきた。
ただし、合金ターゲットを用いると、形成される膜中の酸素は全て雰囲気中の酸素ガスから供給されることになるので、雰囲気中の酸素ガス量が変動しやすくなり、その結果、雰囲気中の酸素ガス量に依存する成膜速度や得られる膜の特性(比抵抗、透過率)を一定に保つことが困難になる場合がある。
他方、酸化物ターゲットを用いた場合には、膜に供給される酸素の一部はターゲット自体から供給され、不足分のみが雰囲気中の酸素ガスから供給されることになるので、雰囲気中の酸素ガス量の変動は、合金ターゲットを用いる場合に比べ抑えることができ、その結果、一定の膜厚を有し一定の膜特性を有する透明導電膜を容易に製造することが可能となる。
したがって、これまで、工業的に用いるターゲットとしては、酸化物ターゲットが汎用されてきた。
ところで、ITO膜のような酸化インジウム系の透明導電膜は、その必須原料であるIn(インジウム)が、希少金属であるため高価で且つ資源枯渇のおそれがあり、しかも毒性を有し環境や人体に対して悪影響を及ぼす可能性があるため、近年、ITO膜に代替し得る工業的に汎用可能な透明導電膜が要望されている。
そのような中、スパッタリング法による工業的製造も可能である酸化亜鉛系透明導電膜が注目されており、その導電性能を高めるべく研究が進められている。例えば、3価の元素の酸化物である酸化アルミニウムまたは酸化ガリウムを、酸化亜鉛に添加したAZO膜、GZO膜が提案されており、ITO膜と比較しても遜色のない導電性、透明性を有した膜が製造され、またそれに伴い、成膜用スパッタリングターゲットも開発されている。
また最近、チタン元素を酸化亜鉛中にドープした薄膜も提案されており、酸化亜鉛系透明導電膜の弱点である化学的耐久性やエッチング特性を向上させる取り組みも行われている(特許文献1参照)。
そのような中、スパッタリング法による工業的製造も可能である酸化亜鉛系透明導電膜が注目されており、その導電性能を高めるべく研究が進められている。例えば、3価の元素の酸化物である酸化アルミニウムまたは酸化ガリウムを、酸化亜鉛に添加したAZO膜、GZO膜が提案されており、ITO膜と比較しても遜色のない導電性、透明性を有した膜が製造され、またそれに伴い、成膜用スパッタリングターゲットも開発されている。
また最近、チタン元素を酸化亜鉛中にドープした薄膜も提案されており、酸化亜鉛系透明導電膜の弱点である化学的耐久性やエッチング特性を向上させる取り組みも行われている(特許文献1参照)。
スパッタリングターゲットとしての酸化亜鉛系酸化物ターゲットは一般的に、原料として酸化亜鉛粉末とドーパントとなる金属酸化物粉末を所定の割合で混合し、成型、焼結させることにより製造される。得られる焼結体は密度が高く、また数μm程度の結晶粒径で均一に存在することが好ましい。これは粗大な粒子が焼結体中に存在する場合、異常放電の起点となったり、膜中の均一性を損ねる可能性があるためである。
したがって、原料として用いる酸化物粉末の制御が重要であり、一般的には数μmからサブミクロン程度の粒子径が好ましい(特許文献2参照)。
したがって、原料として用いる酸化物粉末の制御が重要であり、一般的には数μmからサブミクロン程度の粒子径が好ましい(特許文献2参照)。
上記製法にて製造される焼結体中には一般的に、ある程度の酸素欠損が含まれていることが好ましい。これは、酸化物の透明導電性材料は酸素欠損が導電性に寄与することが知られており、焼結体中にあらかじめ酸素欠損を導入する検討が種々行われており、例えば酸素分圧が低い雰囲気で加熱する方法、酸素欠損の導入として原料に低原子価酸化物を使用する方法が考えられる。
具体的には、チタン元素をドープした酸化亜鉛では、三酸化二チタン(Ti2O3)や一酸化チタン(TiO)の使用が考えられる。
具体的には、チタン元素をドープした酸化亜鉛では、三酸化二チタン(Ti2O3)や一酸化チタン(TiO)の使用が考えられる。
しかしながら、低原子価酸化チタンドープ酸化亜鉛焼結体の場合、原料にTiO粉末やTi2O3粉末を使用する必要があるが、TiO粉末やTi2O3粉末は市販されているものの、上記のような微細な粒径を有する粉末は市販されていない。
そこで、自ら製造を試みた場合でも、水素ガス中や炭素共存下での加熱処理が必要となり、安全性等の要請から複雑な設備を要する(特許文献3参照)。また、この製造方法は高温下での加熱処理による手法であるから、粒成長を伴うため、この手法を用いたとしても微細な粒子を得ることは困難である。
そこで、自ら製造を試みた場合でも、水素ガス中や炭素共存下での加熱処理が必要となり、安全性等の要請から複雑な設備を要する(特許文献3参照)。また、この製造方法は高温下での加熱処理による手法であるから、粒成長を伴うため、この手法を用いたとしても微細な粒子を得ることは困難である。
そこで、本発明は前記問題点を解決したものであり、粗大な粒子が存在しない焼結体の製造に適した一酸化チタン粉末等の低原子価酸化チタン、及びそれを用いて製造した酸化亜鉛系焼結体を提供するものである。
本発明者らは、上記問題を解決すべく種々検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
(1)BET比表面積が1m2/g以上10m2/g以下であり、レーザー回折・散乱法により測定した粒度分布における積算体積分率90%粒径が5μm以下であることを特徴とする低原子価酸化チタン粉末。
(2)ボールミルにより粉砕処理が施された前記(1)に記載の低原子価酸化チタン粉末。
(3)粉砕ボール径が1mmφ以上10mmφ以下である前記(2)に記載の低原子価酸化チタン粉末。
(4)前記粉砕処理が施された後、目開きが50μm以上120μm以下の篩にかけて選別された前記(2)または(3)に記載の低原子価酸化チタン粉末。
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の低原子価酸化チタン粉末と、酸化亜鉛粉末または水酸化亜鉛粉末をチタン原子の割合が全金属原子に対して2mol%超10mol%以下の割合で混合し、焼結させることにより作製した酸化亜鉛系焼結体。
(6)不活性雰囲気で焼結させた前記(5)に記載の酸化亜鉛系焼結体。
(1)BET比表面積が1m2/g以上10m2/g以下であり、レーザー回折・散乱法により測定した粒度分布における積算体積分率90%粒径が5μm以下であることを特徴とする低原子価酸化チタン粉末。
(2)ボールミルにより粉砕処理が施された前記(1)に記載の低原子価酸化チタン粉末。
(3)粉砕ボール径が1mmφ以上10mmφ以下である前記(2)に記載の低原子価酸化チタン粉末。
(4)前記粉砕処理が施された後、目開きが50μm以上120μm以下の篩にかけて選別された前記(2)または(3)に記載の低原子価酸化チタン粉末。
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の低原子価酸化チタン粉末と、酸化亜鉛粉末または水酸化亜鉛粉末をチタン原子の割合が全金属原子に対して2mol%超10mol%以下の割合で混合し、焼結させることにより作製した酸化亜鉛系焼結体。
(6)不活性雰囲気で焼結させた前記(5)に記載の酸化亜鉛系焼結体。
本発明の低原子価酸化チタン粉末を用いれば、粗大粒子の存在しない焼結体を製造することが出来る。
本発明の酸化物亜鉛系焼結体を用いれば、例えば、スパッタリングの際に、異常放電の発生が抑制され、均一性の高い膜を形成することができる。
本発明の酸化物亜鉛系焼結体を用いれば、例えば、スパッタリングの際に、異常放電の発生が抑制され、均一性の高い膜を形成することができる。
以下、本発明を更に詳細に説明するが、下記方法は一実施様態であり、本発明の要旨を外れない限り、本発明は以下の記載により制限を受けるものではない。
(低原子価酸化チタン)
本発明の低原子価酸化チタン粉末は、BET比表面積および粒径が所定範囲内のものである。
本発明の低原子価酸化チタン粉末は、BET比表面積および粒径が所定範囲内のものである。
低原子価酸化チタンとは、TiO(II)、Ti2O3(III)のように、原子価が2価または3価の整数であるチタン元素の酸化物だけでなく、Ti3O5、Ti4O7、Ti6O11、Ti5O9、Ti8O15等をも含む一般式:TiO2−X(X=0.1〜1)で表される新規な低原子価酸化チタンをいう。この低原子価酸化チタンの粉末は、前記一般式で表される酸化チタンの1種を単独で用いてもよく、あるいは2種以上の混合物を用いてもよい。なかでも、TiO(II)の粉末を用いるのが好ましい。
なお、前記低原子価酸化チタンの構造は、X線回折装置(X-Ray Diffraction、XRD)、X線光電子分光装置(X-ray Photoelectron Spectroscopy、XPS)などの機器分析によって確認することができる。
なお、前記低原子価酸化チタンの構造は、X線回折装置(X-Ray Diffraction、XRD)、X線光電子分光装置(X-ray Photoelectron Spectroscopy、XPS)などの機器分析によって確認することができる。
Ti3O5、Ti4O7、Ti6O11、Ti5O9、Ti8O15等をも含む一般式:TiO2−X(X=0.1〜1)は単成分を作製するのは難しく、混合物として得られる。通常、酸化チタン(TiO2)を水素雰囲気等の還元雰囲気にて、還元剤としてカーボン等を用いて、加熱することにより作製することができる。水素濃度、還元剤としてカーボン量、加熱温度を調製することにより、低原子価酸化チタンの混合物の割合を制御することができる。
低原子価酸化チタン粉末におけるBET比表面積は、1m2/g以上10m2/g以下、好ましくは1.5m2/g以上9m2/g以下であるのがよい。BET比表面積が1m2/g未満であると、うまく粉砕されず、粗大粒子の状態であるおそれがあり、10m2/gを越えると、粒径が小さすぎ取り扱いが困難になるおそれがある。
低原子価酸化チタン粉末における粒子径は、レーザー回折・散乱法により測定した粒度分布における積算体積分率90%粒径が5μm以下、好ましくは4μm以下であるのがよい。積算体積分率90%粒径が5μmを越えると、焼結体を作製した際、粗大な粒子が存在しているおそれがある。
また、レーザー回折・散乱法により測定した粒度分布における積算体積分率50%粒径は3μm以下であり、好ましくは2.5μm以下であるのがよい。
また、レーザー回折・散乱法により測定した粒度分布における積算体積分率50%粒径は3μm以下であり、好ましくは2.5μm以下であるのがよい。
このような低原子価酸化チタン粉末は、例えば、低原子価酸化チタン原料粉末に粉砕処理を施し、得られた低原子価酸化チタン粗粉末を分級して得られる。
低原子価酸化チタン原料粉末としては、例えば、二酸化チタン粉体を水素気流中で高温焼成する水素還元法で得られた低原子価酸化チタン;二酸化チタン粉体をアンモニア(+水素)気流中で高温焼成するアンモニア還元法で得られた低原子価酸化チタン;金属チタン粉体と二酸化チタン粉体を均一に混合した後、還元雰囲気で高温焼成する金属チタン粉体との均一化反応させて得られた低原子価酸化チタン;二酸化チタンを水素化ホウ素ナトリウムなどの水素化物と共に還元焼成する方法で得られた低原子価酸化チタンなどが挙げられ、主に、TiO(II)、Ti2O3(III)が挙げられる。
また、一般に市販されている一酸化チタンを低原子価酸化チタン原料粉末に使用することも出来る。
低原子価酸化チタン原料粉末のBET比表面積および粒径は、特に限定されず、例えば、市販されている粉末は、一般に高温の過程を経て製造されたものであるから、そのBET比表面積は0.5m2/g程度であり、粒径も百μmを越すものまで観察される場合があるが、このような低原子価酸化チタンの粉末を用いてもよい。
低原子価酸化チタン原料粉末は、一酸化チタンの純度が100%に近い一酸化チタンが特に好ましい。
また、一般に市販されている一酸化チタンを低原子価酸化チタン原料粉末に使用することも出来る。
低原子価酸化チタン原料粉末のBET比表面積および粒径は、特に限定されず、例えば、市販されている粉末は、一般に高温の過程を経て製造されたものであるから、そのBET比表面積は0.5m2/g程度であり、粒径も百μmを越すものまで観察される場合があるが、このような低原子価酸化チタンの粉末を用いてもよい。
低原子価酸化チタン原料粉末は、一酸化チタンの純度が100%に近い一酸化チタンが特に好ましい。
低原子価酸化チタン原料粉末を粉砕処理する方法としては、特に限定されず、メディアを使用する場合、ビーズミル、ボールミル、遊星ミル、サンドグラインダー、振動ミルまたはアトライター等の装置を備えた粉砕機による方法、メディアを使用しないジェットミル、ナノマイザー、スターバースト等の湿式超高圧微粒化装置による方法などが挙げられ、低コストかつ簡易である観点から、この粉末をボールミルにより粉砕するのが好ましい。
ボールミルによる粉砕処理は、粉砕容器に粉砕ボールとともに低原子価酸化チタン原料粉末を充填し、粉砕を行う。
粉砕容器内壁の材質としては、例えば、ジルコニア、アルミナなどのセラミック;ポリエチレン、ポリアセタール、ポリビニルクロライド、ポリウレタン、4フッ化エチレンなどの樹脂などが挙げられ、なかでも、得られる低原子価酸化チタン粉末の汚染防止の観点などから樹脂製であるのが好ましい。
粉砕ボールの材質としては、例えば、ジルコニア、アルミナなどのセラミックなどが挙げられ、なかでも、得られる低原子価酸化チタン粉末の汚染防止の観点などからジルコニアであるのが好ましい。
使用する粉砕ボールは、ボール径が1mmφ以上10mmφ以下であるのが好ましい。これは、粉砕ボールのサイズが前記範囲より小さくても大きくても、十分な粉砕効率が得られないためである。
用いる粉砕ボールの使用量は、粉砕容器に充填した際に粉砕容器の容量の半分以下であるのが好ましい。
使用する粉砕ボールは、ボール径が1mmφ以上10mmφ以下であるのが好ましい。これは、粉砕ボールのサイズが前記範囲より小さくても大きくても、十分な粉砕効率が得られないためである。
用いる粉砕ボールの使用量は、粉砕容器に充填した際に粉砕容器の容量の半分以下であるのが好ましい。
低原子価酸化チタン原料粉末の使用量は、粉砕ボールを粉砕容器内に最密充填にしたと仮定した際に、隣接する粉砕ボール同士、並びに粉砕ボールおよび粉砕容器内壁で囲まれて生じる空隙の全体積以下にするがよい。
ボールミルの回転速度は、理想的に遠心力により粉砕ボールが粉砕容器内壁と離れず回転する速度の6割から9割程度が好ましい。
粉砕処理時間は、2時間以上50時間以内、好ましくは3時間以上40時間以内がよい。粉砕処理時間が短すぎると十分な粉砕効果が得られず、粉砕処理時間が長すぎると、ある程度の時間経過後は粉砕効果がほとんど無いばかりか、粉砕ボールからの低原子価酸化チタン原料粉末に対するコンタミネーションが増加し、また経済的ではない。
なお、湿式粉砕を行う場合は、水や有機溶媒を用いることができるが、特にエタノールやイソプロピルアルコール等のアルコールが好ましい。
ボールミルの回転速度は、理想的に遠心力により粉砕ボールが粉砕容器内壁と離れず回転する速度の6割から9割程度が好ましい。
粉砕処理時間は、2時間以上50時間以内、好ましくは3時間以上40時間以内がよい。粉砕処理時間が短すぎると十分な粉砕効果が得られず、粉砕処理時間が長すぎると、ある程度の時間経過後は粉砕効果がほとんど無いばかりか、粉砕ボールからの低原子価酸化チタン原料粉末に対するコンタミネーションが増加し、また経済的ではない。
なお、湿式粉砕を行う場合は、水や有機溶媒を用いることができるが、特にエタノールやイソプロピルアルコール等のアルコールが好ましい。
以上のようにして得られた低原子価酸化チタン粗粉末は分級されるのが好ましい。
分級方法としては、例えば、篩い分け;乾燥機に送風した気流により微粉を分離しサイクロン、バッグフィルターなどで回収する風力分級などが挙げられ、なかでも、幅の狭い粒度分布が得られる観点から篩い分けが好ましい。
篩い分けは、例えば、ボールミルにより得られた低原子価酸化チタン粗粉末を目開きが120μm程度の篩にかけて行なう。これは、粒径が120μmを超える低原子価酸化チタン粒子に対しては粉砕効率が悪く、実際にほとんど粉砕されていない場合があるので、それを取り除く必要があるからである。また、乾燥方法によっては溶媒除去時に硬く凝集してしまう粒子が存在するため、これらも除去する必要がある。なお、低原子価酸化チタン原料粉末中に含まれる数十μm程度の低原子価酸化チタン粒子については、前述した粉砕処理により十分に粉砕されるため残存していない。
分級方法としては、例えば、篩い分け;乾燥機に送風した気流により微粉を分離しサイクロン、バッグフィルターなどで回収する風力分級などが挙げられ、なかでも、幅の狭い粒度分布が得られる観点から篩い分けが好ましい。
篩い分けは、例えば、ボールミルにより得られた低原子価酸化チタン粗粉末を目開きが120μm程度の篩にかけて行なう。これは、粒径が120μmを超える低原子価酸化チタン粒子に対しては粉砕効率が悪く、実際にほとんど粉砕されていない場合があるので、それを取り除く必要があるからである。また、乾燥方法によっては溶媒除去時に硬く凝集してしまう粒子が存在するため、これらも除去する必要がある。なお、低原子価酸化チタン原料粉末中に含まれる数十μm程度の低原子価酸化チタン粒子については、前述した粉砕処理により十分に粉砕されるため残存していない。
このようにして、焼結体の製造に適した低原子価酸化チタン粉末が得られる。
(酸化亜鉛系焼結体)
本発明の酸化亜鉛系焼結体は、上記のようにして得られた低原子価酸化チタン粉末と、酸化亜鉛粉末または水酸化亜鉛粉末を所定割合で混合した混合粉末を成形し、焼結させることで得られる。
本発明の酸化亜鉛系焼結体は、上記のようにして得られた低原子価酸化チタン粉末と、酸化亜鉛粉末または水酸化亜鉛粉末を所定割合で混合した混合粉末を成形し、焼結させることで得られる。
この際に用いる酸化亜鉛粉末は、通常、ウルツ鉱構造のZnO等の粉末が用いられ、さらにこのZnOを予め還元雰囲気で焼成して酸素欠損を含有させたものを用いてもよい。
水酸化亜鉛粉末は、アモルファスおよび結晶構造のいずれであってもよい。
酸化亜鉛粉末または水酸化亜鉛粉末の中心粒径が0.1μm以上3μm以下であり、BET比表面積が3m2/g以上15m2/g以下であるのが好ましい。中心粒径が大きすぎると焼結性が悪く、小さすぎると凝集性が強いため、混合時に十分に分散せず、焼結時に大きい凝集体となる可能性がある。ここで、中心粒径とは、レーザー回折・散乱法により測定した粒度分布における積算体積分率50%粒径を指す。なお、これら粒径、BET比表面積は、例えば、実施例に記載の方法によって測定することができる。
水酸化亜鉛粉末は、アモルファスおよび結晶構造のいずれであってもよい。
酸化亜鉛粉末または水酸化亜鉛粉末の中心粒径が0.1μm以上3μm以下であり、BET比表面積が3m2/g以上15m2/g以下であるのが好ましい。中心粒径が大きすぎると焼結性が悪く、小さすぎると凝集性が強いため、混合時に十分に分散せず、焼結時に大きい凝集体となる可能性がある。ここで、中心粒径とは、レーザー回折・散乱法により測定した粒度分布における積算体積分率50%粒径を指す。なお、これら粒径、BET比表面積は、例えば、実施例に記載の方法によって測定することができる。
低原子価酸化チタン粉末と、酸化亜鉛粉末または水酸化亜鉛粉末の混合の割合は、チタン元素数が全金属元素数に対して2mol%超10mol%以下であるのが好ましい。チタン元素数の割合が2%以下となると、得られる酸化亜鉛系焼結体を用いて形成された膜の耐薬品性など化学的耐久性が不充分となるおそれがある。一方、チタン元素数の割合が10%を超えると、酸化チタンが亜鉛サイトに十分置換固溶できなくなり、この酸化亜鉛系焼結体をターゲットとして形成された膜の導電性や透明性が不充分となるおそれがある。
混合粉末には、さらに第二ドーパントとして、酸化ガリウム粉末および酸化アルミニウム粉末から選ばれる少なくとも1つの粉末を含有してもよい。
酸化ガリウム粉末としては、例えば、Ga2O3などの粉末が挙げられる。
酸化アルミニウム粉末としては、例えば、Al2O3などの粉末が挙げられる。
酸化ガリウム粉末および酸化アルミニウム粉末の中心粒径は5μm以下であるのが好ましい。中心粒径が大きすぎると焼結性が悪く、小さすぎると凝集性が強いため、混合時に十分に分散せず、焼結時に大きい凝集体となる可能性がある。ここで、中心粒径とは、レーザー回折・散乱法により測定した粒度分布における積算体積分率50%粒径を指す。
酸化ガリウム粉末としては、例えば、Ga2O3などの粉末が挙げられる。
酸化アルミニウム粉末としては、例えば、Al2O3などの粉末が挙げられる。
酸化ガリウム粉末および酸化アルミニウム粉末の中心粒径は5μm以下であるのが好ましい。中心粒径が大きすぎると焼結性が悪く、小さすぎると凝集性が強いため、混合時に十分に分散せず、焼結時に大きい凝集体となる可能性がある。ここで、中心粒径とは、レーザー回折・散乱法により測定した粒度分布における積算体積分率50%粒径を指す。
酸化ガリウム粉末または酸化アルミニウム粉末の混合割合は、ガリウムまたはアルミニウムの原子数の割合が、混合粉末中の全金属原子数に対して0.5%以上6%以下であるのが好ましい。ガリウムまたはアルミニウムの原子数の割合が0.5%未満であると、導電性の向上効果が不十分となるおそれがある。一方、6%を超えると、ガリウムまたはアルミニウムが亜鉛サイトに置換固溶しきれなくなり、結晶粒界に析出し、導電性の低下、透過率の低下を招くおそれがある。
また、混合粉末に酸化ガリウム粉末および酸化アルミニウム粉末を両方含有させる場合は、酸化ガリウム粉末および酸化アルミニウム粉末の混合割合は、ガリウムおよびアルミニウムの原子数の割合が、混合粉末中の全金属原子数に対して0.5%以上6%以下であるのが好ましい。
また、混合粉末に酸化ガリウム粉末および酸化アルミニウム粉末を両方含有させる場合は、酸化ガリウム粉末および酸化アルミニウム粉末の混合割合は、ガリウムおよびアルミニウムの原子数の割合が、混合粉末中の全金属原子数に対して0.5%以上6%以下であるのが好ましい。
混合方法としては、特に限定されないが、例えば、メディアレスの回転攪拌、ボールミルによる攪拌などを用いることができる。
攪拌の際は、混合均一性の観点から湿式攪拌が好ましく、その際の溶媒は分散性の観点から水が好ましいが、アルコールやアセトン等の有機溶媒を用いても良い。この際、バインダーや分散剤を同時に用いることもできる。
バインダーとしては、例えば、一般的なポリビニルアルコール(PVA)などを用いることができ、分散剤としては、例えば、ポリカルボン酸等を使用することが出来る。
なお、後述する焼結過程での雰囲気に不活性雰囲気を用いる場合は、それらを使用しないか、またはその焼結工程で十分に除去が可能な化学種を選択する必要がある。
バインダーや分散剤の添加量は、混合粉末に対して通常0.5〜3重量%程度である。
また、溶媒の乾燥の際に噴霧乾燥法等により造粒を行い、粉末の流動性を向上させる操作を加えてもよい。
攪拌の際は、混合均一性の観点から湿式攪拌が好ましく、その際の溶媒は分散性の観点から水が好ましいが、アルコールやアセトン等の有機溶媒を用いても良い。この際、バインダーや分散剤を同時に用いることもできる。
バインダーとしては、例えば、一般的なポリビニルアルコール(PVA)などを用いることができ、分散剤としては、例えば、ポリカルボン酸等を使用することが出来る。
なお、後述する焼結過程での雰囲気に不活性雰囲気を用いる場合は、それらを使用しないか、またはその焼結工程で十分に除去が可能な化学種を選択する必要がある。
バインダーや分散剤の添加量は、混合粉末に対して通常0.5〜3重量%程度である。
また、溶媒の乾燥の際に噴霧乾燥法等により造粒を行い、粉末の流動性を向上させる操作を加えてもよい。
混合粉末は、成形される前に粉砕処理が施されてもよい。粉砕処理が施されることで、混合粉末は幅の狭い粒度分布に整えられ、後述する焼結において、均一に固相焼結させることができ、密度の高い酸化亜鉛系焼結体を得ることができる。
粉砕処理する方法としては、特に限定されず、例えば、メディアを使用する場合、ビーズミル、ボールミル、遊星ミル、サンドグラインダー、振動ミルまたはアトライター等の装置を備えた粉砕機による方法、メディアを使用しないジェットミル、ナノマイザー、スターバースト等の湿式超高圧微粒化装置による方法などが挙げられる。
粉砕処理する方法としては、特に限定されず、例えば、メディアを使用する場合、ビーズミル、ボールミル、遊星ミル、サンドグラインダー、振動ミルまたはアトライター等の装置を備えた粉砕機による方法、メディアを使用しないジェットミル、ナノマイザー、スターバースト等の湿式超高圧微粒化装置による方法などが挙げられる。
次に混合粉末を成形し、焼結を行う。
この工程は、一軸プレス法や冷間等方圧加圧法(CIP)などの圧密成形工程と、加熱処理工程を別々に行ってもよいし、ホットプレス法や熱間等方圧加圧法(HIP)、放電プラズマ焼結法(SPS)などのように両工程を同時に行うことも出来る。
プレス圧力は5〜100MPa程度である。
加熱処理温度は600℃以上1500℃以下である。
加熱雰囲気は酸素雰囲気、大気雰囲気、不活性雰囲気で行うことが出来るが、チタンの原子価が4価より低い低原子価酸化チタンの特性を活かすために、アルゴン、ヘリウム、ネオンや窒素などの不活性雰囲気の方が好ましい。
この工程は、一軸プレス法や冷間等方圧加圧法(CIP)などの圧密成形工程と、加熱処理工程を別々に行ってもよいし、ホットプレス法や熱間等方圧加圧法(HIP)、放電プラズマ焼結法(SPS)などのように両工程を同時に行うことも出来る。
プレス圧力は5〜100MPa程度である。
加熱処理温度は600℃以上1500℃以下である。
加熱雰囲気は酸素雰囲気、大気雰囲気、不活性雰囲気で行うことが出来るが、チタンの原子価が4価より低い低原子価酸化チタンの特性を活かすために、アルゴン、ヘリウム、ネオンや窒素などの不活性雰囲気の方が好ましい。
このようにして、粗大粒子の存在しない酸化亜鉛系焼結体が得られる。
得られた酸化亜鉛系焼結体を所定のサイズに加工し、インジウム等の低融点金属を半田に用いてバッキングプレート上にボンディングすることでスパッタリングターゲットとして好適に用いることができる。
得られた酸化亜鉛系焼結体を所定のサイズに加工し、インジウム等の低融点金属を半田に用いてバッキングプレート上にボンディングすることでスパッタリングターゲットとして好適に用いることができる。
以下に本発明を実施例で更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
市販されている一酸化チタン原料粉末(フルウチ化学(株)製)20g、ボール径5mmφのジルコニア製ボール400g、およびエタノール30gを250mlポリエチレン製容器にいれて密閉し、ボールミルにより、128r.p.m.の回転速度で4時間粉砕処理を行った。
そして、得られた一酸化チタン粗粉末を、目開き112μmのポリエチレン製篩により篩別し、篩下に一酸化チタン粉末を得た。
市販されている一酸化チタン原料粉末(フルウチ化学(株)製)20g、ボール径5mmφのジルコニア製ボール400g、およびエタノール30gを250mlポリエチレン製容器にいれて密閉し、ボールミルにより、128r.p.m.の回転速度で4時間粉砕処理を行った。
そして、得られた一酸化チタン粗粉末を、目開き112μmのポリエチレン製篩により篩別し、篩下に一酸化チタン粉末を得た。
粉砕後の一酸化チタン粉末のBET比表面積を、窒素吸着法(日本ベル(株)製「BELSORP-Mini」)により測定したところ、1.75m2/gであった。
また、一酸化チタン粉末を分散剤であるヘキサメタリン酸と共に水中に投入し、3分間超音波照射後、粒度分布をレーザー回折・散乱法粒度分布測定装置(ベックマン・コールター(株)製「LS−230」)で測定したところ、50%粒径は2.7μmであり、90%粒径は4.7μmであった。この粒度分布測定の結果を図1に示す。
さらに、粉砕後の酸化チタン粉末を電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製「S−4800」)で観察し、その電子顕微鏡写真を図2に示す。
また、一酸化チタン粉末を分散剤であるヘキサメタリン酸と共に水中に投入し、3分間超音波照射後、粒度分布をレーザー回折・散乱法粒度分布測定装置(ベックマン・コールター(株)製「LS−230」)で測定したところ、50%粒径は2.7μmであり、90%粒径は4.7μmであった。この粒度分布測定の結果を図1に示す。
さらに、粉砕後の酸化チタン粉末を電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製「S−4800」)で観察し、その電子顕微鏡写真を図2に示す。
次に、得られた一酸化チタン粉末と酸化亜鉛粉末(キシダ化学(株)製)を、全金属元素数に対するチタン元素数の割合が5mol%になるように調整し、溶媒としてイソプロパノールを添加して湿式混合し、溶媒除去後、40MPaの圧力で一軸成形した後、大気中1200℃で加熱処理を行い、焼結体を得た。得られた焼結体について、研磨、エッチング後、電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製「S−4800」)にて表面観察を行った。この焼結体の表面の電子顕微鏡写真を図3に示す。
(比較例1)
市販されている一酸化チタン原料粉末(フルウチ化学(株)製)のBET比表面積を、実施例1と同様にして測定したところ、0.56m2/gであった。また、一酸化チタン原料粉末の粒度分布を実施例1と同様にして測定したところ、50%粒径は7.0μmであり、90%粒径は30.0μmであった。この粒度分布測定の結果を図4に示す。さらに、一酸化チタン原料粉末を実施例1と同様にして電子顕微鏡で観察し、その電子顕微鏡写真を図5に示す。
市販されている一酸化チタン原料粉末(フルウチ化学(株)製)のBET比表面積を、実施例1と同様にして測定したところ、0.56m2/gであった。また、一酸化チタン原料粉末の粒度分布を実施例1と同様にして測定したところ、50%粒径は7.0μmであり、90%粒径は30.0μmであった。この粒度分布測定の結果を図4に示す。さらに、一酸化チタン原料粉末を実施例1と同様にして電子顕微鏡で観察し、その電子顕微鏡写真を図5に示す。
この一酸化チタン原料粉末の粉砕を行わずに、実施例1と同様の方法により焼結体を作製し、表面観察を行った。この焼結体の表面の電子顕微鏡写真を図6に示す。図6に示す写真のように大きな結晶粒が観察された。
また、電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製「S−4800」)付属の蛍光X線装置にてTi濃度のマッピングを行った結果を図7に示す。図7において、明るい領域はTiが多いことを示している。図7には、Ti濃度が高い粒子状の像が観察されており、この部分が一酸化チタン原料粉末中の粗大な粒径の一酸化チタンに由来することを示唆している。
また、電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製「S−4800」)付属の蛍光X線装置にてTi濃度のマッピングを行った結果を図7に示す。図7において、明るい領域はTiが多いことを示している。図7には、Ti濃度が高い粒子状の像が観察されており、この部分が一酸化チタン原料粉末中の粗大な粒径の一酸化チタンに由来することを示唆している。
(実施例2)
粉砕時間を24時間とした以外は実施例1と同様の手法により一酸化チタン粉末を得た。得られた一酸化チタン粉末の粒度分布測定を実施例1と同様にして行ったところ、50%粒径が1.46μmであり、90%粒径が2.53μmであった。得られた粒度分布測定の結果を図8に示す。
またボール径5mmφのジルコニア製ボールで一酸化チタン原料粉末の粉砕を行った際の、粉砕時間に対する一酸化チタン粉末の50%粒径、90%粒径の変化を図9に示す。
この一酸化チタン粉末のBET比表面積を実施例1と同様にして測定したところ、4.17m2/gであった。
粉砕時間を24時間とした以外は実施例1と同様の手法により一酸化チタン粉末を得た。得られた一酸化チタン粉末の粒度分布測定を実施例1と同様にして行ったところ、50%粒径が1.46μmであり、90%粒径が2.53μmであった。得られた粒度分布測定の結果を図8に示す。
またボール径5mmφのジルコニア製ボールで一酸化チタン原料粉末の粉砕を行った際の、粉砕時間に対する一酸化チタン粉末の50%粒径、90%粒径の変化を図9に示す。
この一酸化チタン粉末のBET比表面積を実施例1と同様にして測定したところ、4.17m2/gであった。
(実施例3)
粉砕時間を24時間、使用したジルコニア製ボールのボール径を2mmφとした以外は実施例1と同様の手法により一酸化チタン粉末を得た。得られた一酸化チタン粉末の粒度分布測定を実施例1と同様にして行ったところ、50%粒径が0.95μm、90%粒径が1.34μmであった。得られた粒度分布測定の結果を図10に示す。またボール径2mmφのジルコニア製ボールで一酸化チタン原料粉末の粉砕を行った際の、粉砕時間に対する一酸化チタン粉末の50%粒径、90%粒径の変化を図11に示す。
この一酸化チタン粉末のBET比表面積を実施例1と同様にして測定したところ、6.46m2/gであった。またボール径2mmφのジルコニア製ボールで一酸化チタン原料粉末の粉砕を行った際の、粉砕時間に対するBET比表面積の変化を図12に示す。
粉砕時間を24時間、使用したジルコニア製ボールのボール径を2mmφとした以外は実施例1と同様の手法により一酸化チタン粉末を得た。得られた一酸化チタン粉末の粒度分布測定を実施例1と同様にして行ったところ、50%粒径が0.95μm、90%粒径が1.34μmであった。得られた粒度分布測定の結果を図10に示す。またボール径2mmφのジルコニア製ボールで一酸化チタン原料粉末の粉砕を行った際の、粉砕時間に対する一酸化チタン粉末の50%粒径、90%粒径の変化を図11に示す。
この一酸化チタン粉末のBET比表面積を実施例1と同様にして測定したところ、6.46m2/gであった。またボール径2mmφのジルコニア製ボールで一酸化チタン原料粉末の粉砕を行った際の、粉砕時間に対するBET比表面積の変化を図12に示す。
Claims (6)
- BET比表面積が1m2/g以上10m2/g以下であり、レーザー回折・散乱法により測定した粒度分布における積算体積分率90%粒径が5μm以下であることを特徴とする低原子価酸化チタン粉末。
- ボールミルにより粉砕処理が施されたことを特徴とする請求項1に記載の低原子価酸化チタン粉末。
- 粉砕ボール径が1mmφ以上10mmφ以下であることを特徴とする請求項2に記載の低原子価酸化チタン粉末。
- 前記粉砕処理が施された後、目開きが50μm以上120μm以下の篩にかけて選別されたことを特徴とする請求項2または3に記載の低原子価酸化チタン粉末。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の低原子価酸化チタン粉末と、酸化亜鉛粉末または水酸化亜鉛粉末をチタン原子の割合が全金属原子に対して2mol%超10mol%以下の割合で混合し、焼結させることにより作製した酸化亜鉛系焼結体。
- 不活性雰囲気で焼結させたことを特徴とする請求項5に記載の酸化亜鉛系焼結体。
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JP2012030140A JP2012184158A (ja) | 2011-02-16 | 2012-02-15 | 低原子価酸化チタン粉末および酸化亜鉛系焼結体 |
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Cited By (3)
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---|---|---|---|---|
CN105948110A (zh) * | 2016-07-15 | 2016-09-21 | 攀钢集团攀枝花钢铁研究院有限公司 | 一种提高硫酸法钛白粉清洁度的方法 |
WO2019181116A1 (ja) * | 2018-03-23 | 2019-09-26 | 東邦チタニウム株式会社 | 亜酸化チタン及び、亜酸化チタンの製造方法 |
WO2022210259A1 (ja) * | 2021-03-30 | 2022-10-06 | デンカ株式会社 | 無機質粉末、無機質組成物、及び樹脂組成物 |
-
2012
- 2012-02-15 JP JP2012030140A patent/JP2012184158A/ja active Pending
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JP2019167274A (ja) * | 2018-03-23 | 2019-10-03 | 東邦チタニウム株式会社 | 亜酸化チタン及び、亜酸化チタンの製造方法 |
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