JP2019167274A - 亜酸化チタン及び、亜酸化チタンの製造方法 - Google Patents

亜酸化チタン及び、亜酸化チタンの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】β相とλ相との間で相転移する結晶構造のTi3O5を含有し、比較的低コストで製造することができる亜酸化チタン及び、亜酸化チタンの製造方法を提供。【解決手段】亜酸化チタンは、圧力もしくは熱の作用または光の照射により、蓄熱し又は放熱するものであって、β相とλ相との間で相転移する結晶構造のTi3O5を含有し、比表面積が1.15m2/g〜1.5m2/gの範囲内にある。本亜酸化チタンの製造方法は、比表面積が1.0m2/gから10m2/gのTiO2を含有するチタン原料を1100℃〜1300℃で水素還元する工程を含む。【選択図】図1

Description

この発明は、圧力や熱の作用または光の照射により、蓄熱または放熱を伴いつつ相転移する結晶構造のTi35を含む亜酸化チタン及び、その製造方法に関するものであり、特に、当該亜酸化チタンの製造に要するコストを低減させることのできる技術を提案するものである。
下記式(1)に示される亜酸化チタンの1つであるTi35(n=3)には、圧力もしくは熱を作用させ、又は光を照射すると、蓄熱または放熱を伴って半導体特性のβ相と金属特性のλ相との間で相転移する結晶構造を有するものがある。ストライプ型−λ−Ti35や蓄熱セラミックスとも称され得るこのTi35は、なかでも光の照射により金属的な特性から半導体的な特性へ変化する性質を利用して、光記録メモリその他の種々の用途に用いることが期待されている。
Tin2n-1 ・・・(1)
[式中、nは2以上6以下の整数を示す。]
この種の酸化チタンに関する技術として従来は、特許文献1〜7等に記載されたものがある。
上記のTi35の亜酸化チタンを製造する方法の一例としては、ナノサイズのアナターゼ型TiO2の粉体もしくは粒体を原料とし、この原料の粉粒体を、水素雰囲気下にて所定の温度及び時間で加熱し、それにより、TiO2を還元してTi35を生成させる。この場合、一次粒径がナノサイズであるTi35の粉体もしくは粒体が得られる(たとえば特許文献7参照)。なお、このような水素還元による製造方法の他、ゾルゲル法および焼結処理によっても製造可能であり、この方法も特許文献7等に記載されている。
特開2016−171109号公報 特許第5398025号公報 特許第5549939号公報 特許第5700622号公報 特許第5733736号公報 特許第5736664号公報 特許第6080026号公報
ところで、上述したように相転移する結晶構造を有するTi35を水素還元で製造するに当り、比表面積が比較的大きいTiO2のチタン原料を用いることは、高コストの原料を用いることに伴って、Ti35の製造コストの増大を招くという問題がある。
しかるに、これまでは、上述した相転移に伴う蓄熱・放熱の特性は、比表面積がある程度大きいTi35でなければ得られないと考えられており、それゆえに、比表面積が大きいチタン原料を用いてそれに応じた比表面積のTi35を製造することしか行われていなかった。
この発明は、このような問題を解決することを課題とするものであり、その目的は、β相とλ相との間で相転移して蓄熱・放熱を実現できる結晶構造のTi35を含有し、比較的低コストで製造することができる亜酸化チタン及び、亜酸化チタンの製造方法を提供することにある。
発明者は鋭意検討の結果、所定の比表面積であるTiO2を含有するチタン原料を用いて水素還元することにより、Ti35を含有する亜酸化チタンを有効に製造することができることを見出した。そして、このようにして製造された亜酸化チタンは所定の比表面積になるところ、先に述べたようなβ相とλ相との間の相転移による蓄熱・放熱の特性が有効に発現するとの知見を得た。
かかる知見の下、この発明の亜酸化チタンは、圧力もしくは熱の作用または光の照射により、蓄熱し又は放熱するものであって、β相とλ相との間で相転移する結晶構造のTi35を含有し、比表面積が1.15m2/g〜1.5m2/gの範囲内にあるものである。
なお、この発明の亜酸化チタンは、60MPaの圧力を作用させたときの、λ相からβ相への相転移比率が20%以上であることが好適である。
この発明の亜酸化チタンの製造方法は、比表面積が1.0m2/g〜10.0m2/gの範囲内にあるTiO2を含有するチタン原料を準備する原料準備工程と、前記チタン原料に対し、水素雰囲気中で加熱する還元処理を施す水素還元工程とを含むものである。
なお、前記水素還元工程では、前記チタン原料を、1100℃〜1300℃の温度で2時間〜10時間にわたって加熱することが好ましい。
また、前記原料準備工程では、前記チタン原料として、ルチル型TiO2を含有するチタン原料を準備することが好適である。
この発明によれば、比表面積が1.0m2/g〜10.0m2/gの範囲内にあるTiO2を含有するチタン原料を用いて、該チタン原料を水素雰囲気下で還元処理することにより、β相とλ相との間で相転移する結晶構造のTi35を含有する亜酸化チタンを、比較的低コストで製造することができる。
Ti35の相転移を示したグラフである。 実施例で用いた亜酸化チタンの製造装置を示す断面図である。
以下に、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
この発明の一の実施形態の亜酸化チタンは、圧力もしくは熱の作用または光の照射により、蓄熱または放熱を伴うものであって、半導体特性を有するβ相と、金属特性を有するλ相との間で相転移する結晶構造のTi35を含有する粉体もしくは粒体(あわせて粉粒体ともいう)であり、前記粉体もしくは粒体の比表面積が1.15m2/g〜1.5m2/gの範囲内にある。
(Ti35の結晶構造)
この実施形態の亜酸化チタンに含まれるTi35は、図1に例示するように、約460K以下の温度領域で、金属特性を有する単斜晶系の結晶構造(λ相、λ−Ti35)になることがある。
そして、λ相のTi35が圧力の作用又は光の照射を受けると、λ相から半導体特性を有する単斜晶系の結晶構造(β相、β−Ti35)に相転移する。この際に、λ相で潜在的に蓄えていた熱を放出して発熱する。
β相のTi35を加熱した場合、約460K以上の温度で金属特性を有する斜方晶系の結晶構造(α相、α−Ti35)に相転移するも、その後に温度が約460K未満になると、上記の加熱による熱を蓄えたまま、λ相に相転移する。
したがって、この実施形態の亜酸化チタン中のTi35は、熱の作用により、半導体特性のβ−Ti35から、蓄熱を伴い、α−Ti35を経て金属特性のλ−Ti35に相転移するとともに、圧力の作用または光の照射により、λ−Ti35から、放熱を伴ってβ−Ti35に相転移する。また、光を照射することにより、β−Ti35からλ−Ti35への相転移も可能である。なお、図1に例示するように、電流を流すことによっても、β−Ti35からλ−Ti35へ、またそれとは逆にλ−Ti35からβ−Ti35へ相転移する場合もある。
なお、λ−Ti35は濃紺色を呈する一方で、β−Ti35は茶褐色を呈する。
この実施形態の亜酸化チタンにおいて、λ相のTi35およびβ相のTi35は、粉末X線回折法により確認することができる。測定装置としては、例えば「X線回折装置(X’ Pert Pro MPD)、PANalytical (旧Philips Analytical)」などを挙げることができる。具体的には、λ−Ti35の特徴的なピーク(2θ:32°〜33°のピーク)とβ−Ti35の特徴的なピーク(2θ:28°のピーク)の存在を確認する。次いで、λ−Ti35に由来する2θ=32.17°のピークとβ−Ti35に由来する2θ=28.35°のピークの強度比を用い、下記式(2)に従い亜酸化チタン中のλ−Ti35の割合(以下、λ率)を算出する。λ相のTi35およびβ相のTi35は、メインピーク位置(2θ)が重なっているため、メインピークの強度比からλ率を算出することが困難である。そのため、λ−Ti35に由来する2θ=32.17°のピークとβ−Ti35に由来する2θ=28.35°のピークを用いてλ率を算出する。この場合、実際のλ−Ti35の2θ=32.17°のピーク強度は、メインピークの強度(100%)に対して31.0%であり、β−Ti35の2θ=28.35°のピーク強度は、メインピークの強度(100%)に対して28.2%である。従って、下記式(2)は、用いたピーク強度をメインピークの強度に相当する強度となるよう補正している。
測定装置として「X線回折装置(X’ Pert Pro MPD)、PANalytical (旧Philips Analytical)」を用いる場合には、λ率は、「Panalytical」に付属の「X’pert HighScore」というソフトで算出する。具体的には、デフォルト仕様でバックグラウンド指定をしたのち、ピークサーチを実行する。その後、パウダーディフラクションファイル(粉末X線回折データベース;ICDD)からλであれば「01−082−1137」、βであれば「01−082−1138」を検索し、それぞれ2θ=32.17°、28.35°に相当するピークの強度を抽出する。ピーク強度もソフト上で算出する。
なお、「λ−Ti35に由来する2θ=32.17°のピークとβ−Ti35に由来する2θ=28.35°のピーク」は、亜酸化チタンの製法などに応じて生じた結晶構造に含まれる歪などの影響により、所定値からシフトしたピーク(シフトピーク)である場合もある。このような場合、上記ソフトは、検出された「シフトピーク」を「λ−Ti35に由来する2θ=32.17°のピークとβ−Ti35に由来する2θ=28.35°のピーク」であると同定して、「シフトピーク」のピーク強度を算出する。
Figure 2019167274
この実施形態の亜酸化チタンでは、60MPaの圧力を作用させたときに、λ相からβ相への転移率(以下、相転移比率)が、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上である。60MPaの圧力作用時のこの相転移比率が小さすぎると、上述したような相転移が生じる結晶構造のTi35が十分に含まれていない懸念がある。かかる相転移比率は、60MPaの圧力を作用させる前と後のそれぞれの上記式(2)で示されるλ率を確認することにより測定する。
亜酸化チタンに圧力を作用させる際には、その方法は特に限定されないが、一軸圧縮により圧力を作用させてもよいし、圧力媒体を介して等方加圧により作用させてもよい。例えば、CIPなどの機器を用いて、水圧により等方的に亜酸化チタンを押圧してもよい。
(組成)
この実施形態の亜酸化チタンは、Ti35を、たとえば90質量%以上で含有することが好ましく、特に95質量%以上で含有することが好ましい。このTi35の他、上記式(1)で示される亜酸化チタン、例えばTi23、Ti59及びTi611からなる群から選択される少なくとも一種を、合計10質量%以下、好ましくは5重量%以下で含有することがある。これらの含有量は、例えば粉末X線回折法により測定することができる。なお、亜酸化チタン中には、本発明の特性に影響しない範囲内で、上記化合物以外に不可避不純物の含有が許容される。
(比表面積)
この発明では、亜酸化チタンの比表面積が1.15m2/g〜1.5m2/gの範囲内である。この範囲内の比表面積であれば、上述したβ相とλ相との間の相転移が有効に生じ、それにより所望の蓄熱・放熱の特性を得ることができる。また、チタン原料の比表面積も所定の範囲として比較的大きな粒子径のチタン原料を用いることができるので、製造コストの上昇を抑制することができる。
比表面積が1.15m2/g未満である場合は、一次粒子の粒子径が大きすぎることを意味し、それにより、相転移による蓄熱・放熱の特性が十分に得られない。この一方で、比表面積が1.5m2/gより大きい場合は、一次粒子の粒子径が小さすぎることになって、製造コストの増大が否めない。この観点より、60MPaの加圧によりλ相からβ相との間の相転移がより有効に生じる亜酸化チタンの比表面積は、特に1.2m2/g〜1.4m2/gとすることが好ましい。
上述した比表面積は、BET法(ガス吸着法)により測定する。吸着ガスは、例えば窒素ガス等などを適用することができる。また、測定装置としては、例えば「全自動比表面積測定装置(Macsorb(登録商標))、(株)マウンテック」などを挙げることができる。
比表面積を用いることにより、Ti35等の粒子どうしの凝集が生じている場合であっても、一次粒子の大きさを客観的に評価することができる。
後述するチタン原料の比表面積も同様にして測定する。
(粒子径)
亜酸化チタンの粒子径d50は、1.0μm〜100.0μmの範囲内にあることが好ましい。粒子径d50が小さすぎると、製造コストをそれほど低減できないことが考えられる。一方、粒子径d50が大きすぎると、蓄熱・放熱の特性が有効に発現しないことが懸念される。それゆえに、亜酸化チタンの粒子径d50は、4.0μm〜80.0μmとすることがより好ましい。
亜酸化チタンの粒子径d50は、レーザ回折法により測定する。測定装置としては、例えば「レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(LA−920)、(株)堀場製作所」などを挙げることができる。後述する亜酸化チタンの粒子径d10、d90、およびチタン原料についても同様である。なお、粒子径d10、d50およびd90は、任意の断面における主相結晶粒子の断面積の累積分布(体積基準)が10%、50%、90%となる面積円相当径を意味する。
また、亜酸化チタンの粒子径d10は、7.0μm以下であることが好ましく、5.0μm以下であることが更に好ましい。亜酸化チタンの粒子径d90は、200.0μm以下であることが好ましく、185.0μm以下であることが更に好ましい。亜酸化チタンの粒子径d10、d90が上記規定値を超えると、蓄熱・放熱の特性が有効に発現しないことが懸念される。また、製造コストの更なる低減の観点から、亜酸化チタンの粒子径d10は1.0μm以上、特に2.0μm以上であること、亜酸化チタンの粒子径d90は1.0μm以上、さらには5.0μm以上であることがそれぞれ好適である。
(製造方法)
上述したような亜酸化チタンの製造する方法の一例を次に述べる。
はじめに、TiO2を含有する粉体もしくは粒体(粉粒体)からなるチタン原料を準備する原料準備工程を行う。
ここで、チタン原料は、その比表面積が1.0m2/g〜10.0m2/gの範囲内にあるものが好ましく、特に2.0m2/g〜7.0m2/gであるものが好ましい。
これにより、製造コストの低減を実現しつつ、上述したような相転移に伴う蓄熱・放熱が有効に生じる亜酸化チタンを得ることができる。言い換えれば、チタン原料の比表面積が1.0m2/g未満である場合は、製造コストが嵩むことが懸念され、この一方で、比表面積が10.0m2/gを超える場合は、製造される亜酸化チタンの相転移に伴う蓄放熱の特性が有意に発現しないおそれがある。
また、チタン原料の粒子径d50は、0.6μm〜5.0μm、さらに0.9μm〜3.0μmであることが好適である。そしてまた、チタン原料の粒子径d10は、好ましくは0.3μm以上、さらに好ましくは0.4μm以上である。チタン原料の粒子径d90は、好ましくは1.4μm以上、さらに好ましくは1.6μm以上である。チタン原料の粒子径d10は、たとえば5.0μm以下、好ましくは2.0μm以下とすることができ、また、チタン原料の粒子径d90は、たとえば10.0μm以下、好ましくは5.0μm以下とすることができる。
従来は、比表面積が比較的大きいナノサイズ程度のTi35でなければ、β相とλ相との間の相転移とそれに伴う蓄熱・放熱の特性が得られないと考えられていたことから、比表面積が大きいナノサイズ程度のチタン原料を用いることが一般的であった。しかるに、このようなナノサイズのチタン原料の使用は製造コストを大きく増大させるという問題があった。
これに対し、発明者は、比表面積が小さいミクロンサイズ程度のTi35であっても、同様の蓄熱・放熱の特性が有効に発現するとの新たな知見の下、それによって、比表面積が小さいミクロンサイズ程度のチタン原料を使用できることを見出した。その結果として、製造コストの低減を実現することが可能になる。
チタン原料に含まれるTiO2は、アナターゼ型又はルチル型のいずれであってよいが、ルチル型TiO2であることが好ましい。アナターゼ型のTiO2は、焼成によりルチル型に転移するので、ルチル型と比較して結晶安定性に乏しいからである。
ここで、粉末X線回折法によりルチル型(2θ°=27.5°)、アナターゼ型(2θ°=25.4°)の回折強度を求めて回折強度比(ルチル型/アナターゼ型)を算出し、検量線より質量比(ルチル型/アナターゼ型)を求め、質量比から下記式(3)に基づきルチル化率を算出することができる。
Figure 2019167274
なお、上記式(3)において、分母にある「1.743」は粉末X線回折装置特有の係数であり、適用する装置によって適宜変更され得る。なお、かかる係数「1.743」は、「X線回折装置(MiniFlex600)、(株)リガク」に固有の数値である。また、上記式(3)において、2θの範囲で、アナターゼ型が24.8°〜26.5°、ルチル型が26.5°〜29.0°にてそれぞれ総積分強度を算出する。
実施形態のチタン原料は、TiO2を、たとえば90質量%以上で含有することが好ましく、特に95質量%以上で含有することが好ましい。なお、チタン原料中には、本発明の特性に影響しない範囲内で、上記化合物以外に不可避不純物の含有が許容される。
その後、水素還元工程を行う。ここでは、水素雰囲気中で、たとえば1100℃〜1300℃の温度で2時間〜10時間にわたって、上記のチタン原料を加熱する。具体的には、所定の装置を用いて、その装置の所要のガス通路以外は密閉された空間内に、チタン原料を配置し、そこに水素ガスを、たとえば2L/min〜10L/minの流量で供給しながら、前記空間の周囲に配置されたヒーターでチタン原料を加熱することができる。
この水素還元工程では、上記の空間内のチタン原料の周囲雰囲気が酸素欠損状態となり、チタン原料中のTiO2が還元反応によりTi35となる。
このようにして製造される亜酸化チタンには、λ相のTi35が、たとえば50質量%以上、好ましくは60質量%以上含まれるようにすることができる。
本実施形態では、上記水素還元工程の後に、必要に応じて後処理工程を含んでもよい。具体的には、水素還元工程を経て得られた亜酸化チタンを解砕し、所定条件で加熱することが好ましい。加熱条件としては、窒素雰囲気下において300℃〜400℃で加熱してもよいが、空気中または酸素雰囲気下において300℃以下で加熱することが好ましい。特に、空気中において200℃〜300℃で加熱することが好ましい。また、加熱時間は、β相からλ相に相転移すれば特に限定されないが、例えば2時間以上加熱すればよく、必要に応じて適宜変更され得る。
なお、解砕の方法については特に限定されないが、例えば、乳鉢などを用いて解砕してもよいし、雷解機、振動ミル、振動ロッドミル、ボールミル、ビーズミル、ターボミル、遊星ボールミル、パルベライザー、ジェットミル、ハンマーミル、ピンミル等の装置を用いて解砕してもよい。
(用途)
以上に述べた亜酸化チタンは、太陽熱発電システムや工場廃熱用の蓄熱材の他、感圧伝導度センサーや、電流駆動型の抵抗変化型メモリ(ReRAM)、光記録メモリその他の電子デバイス等の種々の用途に好適に用いることができる。
次に、この発明の亜酸化チタンを試験的に製造し、その性能を確認したので以下に説明する。但し、ここでの説明は単なる例示を目的としたものであり、それに限定されることを意図するものではない。
(実施例1)
チタン原料としてTiO2を準備した。
チタン原料(TiO2)のルチル化率、比表面積、粒子径d10,d50,d90をそれぞれ表1に示す。
チタン原料(TiO2)のルチル化率は、「X線回折装置(MiniFlex600)、(株)リガク」を用いて測定した。測定条件は、下記のとおりである。
<測定条件>
管球 : Cu
管電圧 : 40KV
管電流 : 15mA
DS(発散スリット) : 1.25°
RS(受光スリット) : 13.0mm
SS(散乱スリット) : 8.0mm
検出機器 : 高速1次元検出器
Scanning Speed(スキャン速度) : 20.0°/min
測定角度 アナタ−ゼ : 24.8〜26.5°
ルチル : 26.5〜29.0°
サンプリング幅 : 0.01°
チタン原料(TiO2)の比表面積は、「全自動比表面積測定装置(Macsorb(登録商標))、(株)マウンテック」を用いて測定した。測定条件は、予備脱気を260℃で20分間行った後に、本体脱気を260℃で10分間行った。
チタン原料(TiO2)の粒子径は、「レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(LA−920)、(株)堀場製作所」を用いて測定した。測定条件は、分散溶媒として0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム溶液を用い、超音波を3分間行ったものを測定試料とした。
図2に示した装置1は断熱材2からなり、内部にヒーター3が配設されたものである。本実施例1では、この装置1を用いてチタン原料から亜酸化チタンを作製した。以下、その作製手順について説明する。
準備したチタン原料を、図2に示す装置1のアルミナボート4内に配置し、水素ガスを2L/minで供給しながら装置1内を水素雰囲気としてヒーター3で加熱し、水素還元を行った。昇温速度は9.8℃/minとし、最高温度1150℃を6時間にわたって維持した。その後、水素ガスを窒素ガスに切り替え、窒素雰囲気の下、9.8℃/minの降温速度で温度を低下させた。これにより、Ti35を含有する亜酸化チタンが得られた。
上述したようにして得た亜酸化チタンを、乳鉢を用いて解砕した後(step1)のλ率、その後に空気中で290℃の温度で6時間加熱した後(step2)のλ率、さらにその後に60MPaの圧力で加圧した後(step3)に1分間保持した後のλ率をそれぞれ測定したところ、表1に示す結果を得た。なおここで、λ率は粉末X線回折法によりλ−Ti35の特徴的なピーク(2θ:32〜33°のダブルピーク)強度とβ−Ti35の特徴的なピーク(2θ:28°のシングルピーク)強度を測定し、これらのピーク強度を用いて上記式(2)に基づき算出した。表1中、相転移比率は、step3のλ率とstep2のλ率との差の絶対値である。λ率の測定の際には、「X線回折装置(X’ Pert Pro MPD)、PANalytical (旧Philips Analytical)」を用いた。
なお、step3における加圧条件は以下に示した通りである。所定容器内に所定量の亜酸化チタンを密封して水圧で等方的に押圧し、そのときのλ率を測定した。
<加圧条件>
・使用機器:CIP
・印加圧力:60MPa
・亜酸化チタン量:0.5g
また、上記step2の処理を行った亜酸化チタン(Ti35)について、それぞれの比表面積、粒子径d10,d50,d90を測定し、その結果をそれぞれ表1に示す。これらの測定方法は、上述したチタン原料(TiO2)と同様である。
(実施例2,3および比較例1)
表1の各実施例2,3および比較例1の亜酸化チタン(Ti35)は、チタン原料(TiO2)の物性が異なること以外は実施例1と同様の製造方法によって得られたものである。また、実施例2,3および比較例1のチタン原料および亜酸化チタンは、実施例1と同様にしてルチル化率、比表面積、粒子径d10,d50,d90をそれぞれ測定し、その結果を表1に示した。
Figure 2019167274
表1に示したとおり、チタン原料(TiO2)の比表面積が1.0m2/g〜10.0m2/gの範囲内にある場合は、大きな相転移比率が得られることが解かる。
1 装置
2 断熱材
3 ヒーター
4 アルミナボート

Claims (5)

  1. 圧力もしくは熱の作用または光の照射により、蓄熱し又は放熱する亜酸化チタンであって、β相とλ相との間で相転移する結晶構造のTi35を含有し、比表面積が1.15m2/g〜1.5m2/gの範囲内にある亜酸化チタン。
  2. 60MPaの圧力を作用させたときの、λ相からβ相への相転移比率が20%以上である請求項1に記載の亜酸化チタン。
  3. 比表面積が1.0m2/g〜10.0m2/gの範囲内にあるTiO2を含有するチタン原料を準備する原料準備工程と、前記チタン原料に対し、水素雰囲気中で加熱する還元処理を施す水素還元工程とを含む、亜酸化チタンの製造方法。
  4. 前記水素還元工程で、前記チタン原料を、1100℃〜1300℃の温度で2時間〜10時間にわたって加熱する、請求項3に記載の亜酸化チタンの製造方法。
  5. 前記原料準備工程で、前記チタン原料として、ルチル型TiO2を含有する前記チタン原料を準備する、請求項3または4に記載の亜酸化チタンの製造方法。
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