JP2016215889A - トラクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】原動機部と運転部との間に介設した熱風遮蔽板の基本形状を共通化して共用構成部材とし、熱風遮蔽板の外縁部の切削により大きさの異なる原動機や運転部の各種仕様に対応させ、トラクタの組立作業の利便性をはかると共に、共用構成部材のために大量生産も可能であり、在庫保管も効率的に行え、コスト上も有利となるトラクタを提供する。【解決手段】本発明に係るトラクタは、原動機部と運転部との間に熱風遮蔽板を介設し、熱風遮蔽板の外縁部を切削して該遮蔽板の寸法を調整可能に構成すると共に、熱風遮蔽板の外縁部に運転部構成部材を装着して、運転部構成部材の装着位置を運転部の仕様に応じて変更可能に構成したことを特徴とする。【選択図】図22

Description

この発明は、後端に作業機を連結して農作業に使用するもので原動機部と運転部との間を仕切る熱風遮蔽板を有するトラクタの構造に関する。
従来、トラクタは機体フレームの前部に原動機部を搭載し、その後方に熱風遮蔽板を介して運転部を設け、機体フレームに沿って原動機部から延設したミッションケース後端にPTO軸を突出すると共に、機体フレーム下方の前後のアクスルケースより延出した車軸に設けた前後車輪により走行しながらトラクタ本体の後端に連結した作業機を牽引してPTO軸から作業機に伝達した動力により農作業を施工するように構成している(例えば、特許文献1参照)。
しかも、原動機部と運転部との間の熱風遮蔽板においては、原動機部のエンジンから発する熱風を運転部側に流入させないだけでなく、仕様に応じた運転部構成部材を取り付けることができるように構成している。
特開2011−126342号公報
かかるトラクタにおいては、従来、使用地域における相違やキャビン型或いはロプス型等の機種の相違や大型、小型等の相違等のように多様化した種類が増加するためにそれぞれの機種に適用できる多数類の複雑な部品を予め取り揃えて置く必要があった。
かかる現場の事情を勘案すると、多様化する機種、特に海外仕様と国内仕様等の相違に基づく部品等の共用化やその他の機種の異なるトラクタの構成部品の共用化等はトラクタのコスト上の問題やメンテナンス作業上の問題として製造現場やメンテナンス作業現場では喫緊の重要な課題となっている。
特に、原動機部と運転部との間の熱風遮蔽板においては、キャビン型或いはロプス型等の機種の相違によるワイパーの有無や、エンジンの大きさ等によるボンネット形状の違いに応じて機種毎に専用の熱風遮蔽板を製造しなければならなかった。
この発明では、原動機部と運転部との間に介設した熱風遮蔽板の基本形状を共通化して共用構成部材とし、熱風遮蔽板の外縁部の切削により大きさの異なる原動機や運転部の各種仕様に対応させ、トラクタの組立作業の利便性をはかると共に、共用構成部材のために大量生産も可能であり、在庫保管も効率的に行え、コスト上も有利となるトラクタを提供せんとするものである。
請求項1に係る発明では、原動機部と運転部との間に熱風遮蔽板を介設し、熱風遮蔽板の外縁部を切削して該遮蔽板の寸法を調整可能に構成すると共に、熱風遮蔽板の外縁部に運転部構成部材を装着して、運転部構成部材の装着位置を運転部の仕様に応じて変更可能に構成したことを特徴とするトラクタを提供せんとする。
請求項2に係る発明では、熱風遮蔽板の外縁部のうち上端縁部を切削して該遮蔽板の高さを調整可能に構成すると共に、熱風遮蔽板の上端縁部に運転部構成部材としてのダッシュボードを高さ位置調整自在に装着したことを特徴とする請求項1に記載のトラクタを提供せんとする。
請求項3に係る発明では、熱風遮蔽板の切削前の外縁部にワイパー取付用の取付孔を穿設し、熱風遮蔽板はワイパーが必要なキャビン型では外縁部を切削することなく、他方ワイパーが不要なロプス型では外縁部を切削することにより両型に兼用可能に構成したことを特徴とする請求項1または2に記載のトラクタを提供せんとする。
請求項1記載の発明によれば、原動機部と運転部との間に熱風遮蔽板を介設し、熱風遮蔽板の外縁部を切削して該遮蔽板の寸法を調整可能に構成すると共に、熱風遮蔽板の外縁部に運転部構成部材を装着して、運転部構成部材の装着位置を運転部の仕様に応じて変更可能に構成したことにより、熱風遮蔽板を共用構成部材とすることができるばかりでなく、運転部構成部材の多くも共用構成部材とすることができ、熱風遮蔽板や運転部構成部材の多くを同一規格で大量生産することが可能となり、従って、在庫保管も効率的に行え、コスト上も有利となる。
また、大きさの異なる原動機の搭載によりボンネットの高さが異なる仕様となっても、熱風遮蔽板の外縁部の切削により高さ寸法を調整することができるので、仕様の異なるトラクタであっても同一の熱風遮蔽板の切削調整により共用できるので同一規格で大量生産することが可能となり、また外観的にも大きな変化を生じることもなく美観を満たすこともできる。
更に、抜き金型等により熱風遮蔽板の外縁部の切削を行うことができるので、仕様の異なる熱風遮蔽板への加工が容易であり、仕様に応じた専用の熱風遮蔽板を別途製造する場合に比して製造コストの面で有利となる。
請求項2記載の発明によれば、熱風遮蔽板の外縁部のうち上端縁部を切削して該遮蔽板の高さを調整可能に構成すると共に、熱風遮蔽板の上端縁部に運転部構成部材としてのダッシュボードを高さ位置調整自在に装着したことにより、ダッシュボードに必要な多くの部材を共用構成部材として高さの異なる仕様に対しても共用でき、同一規格で大量生産も可能であり、在庫保管も効率的に行え、コスト上も有利となる。
請求項3記載の発明によれば、熱風遮蔽板の切削前の上端縁部にワイパー取付用の取付孔を穿設し、ワイパーが必要なキャビン型とワイパーが不要なロプス型とにより熱風遮蔽板の上端縁部の切削の有無を使い分けることができ、このような切削の規格合わせにより同一規格の熱風遮蔽板を兼用して使用することが可能となり、特に、ロプス型においては熱風遮蔽板の切削のみで熱風遮蔽板の高さを抑えて運転時の視界を良好なものとすることができる一方、切削しない熱風遮蔽板はキャビン型においてワイパーを取り付け用として使用することができ、熱風遮蔽板製造の当初より同一規格で大量生産が可能となり、従って在庫保管も同一規格品となって効率的に行え、その分コスト上も有利となる。
本実施形態に係るロプスタイプのトラクタの斜視図である。 本実施形態に係るロプスタイプのトラクタの側方部分透視図である。 本実施形態に係るロプスタイプの機体フレーム周り示す斜視図である。 本実施形態に係るロプスタイプの機体フレーム周り示す分解斜視図である。 本実施形態に係るロプスタイプの熱風遮蔽板周りを示す斜視図である。 本実施形態に係るロプスタイプの運転部の一部を示す斜視図である。 本実施形態に係るロプスタイプの運転部の一部を示す斜視図である。 熱風遮蔽板と排熱カバーとの連結方法を示す分解斜視図である。 本実施形態に係るロプスタイプの熱風遮蔽板の正面図(原動機部側)である。 図9に示した熱風遮蔽板の右側面図である。 本実施形態に係るロプスタイプの熱風遮蔽板の背面図(運転部側)である。 本実施形態に係るキャビンタイプのトラクタの斜視図である。 本実施形態に係るキャビンタイプのトラクタの側方部分透視図である。 本実施形態に係るキャビンタイプの機体フレーム周り示す斜視図である。 本実施形態に係るキャビンタイプの機体フレーム周り示す分解斜視図である。 本実施形態に係るキャビンタイプの機体フレーム周りとキャビンを示す斜視図である。 本実施形態に係るキャビンタイプのキャビンの後方斜視図である。 本実施形態に係るキャビンタイプの熱風遮蔽板周りを示す斜視図である。 本実施形態に係るキャビンタイプの運転部の一部を示す斜視図である。 本実施形態に係るキャビンタイプの運転部の一部を示す斜視図である。 本実施形態に係るキャビンタイプの運転部の一部を示す斜視図である。 本実施形態に係るキャビンタイプの熱風遮蔽板の正面図(原動機部側)である。 図22に示した熱風遮蔽板の右側面図である。 本実施形態に係るロプスタイプの熱風遮蔽板の背面図(運転部側)である。
以下に、本発明の実施形態を作業車両としてのトラクタを例として図面を参照しながら説明する。
なお、本説明中における前後左右とは、運転席に着座した運転者から見たトラクタの前方を前とし、後方を後とし、運転者から見た右側を右、左側を左として説明する。
本発明の一実施形態に係るトラクタは、原動機部と運転部との間に熱風遮蔽板を介設し、熱風遮蔽板の外縁部を切削して該遮蔽板の寸法を調整可能に構成すると共に、熱風遮蔽板の外縁部に運転部構成部材を装着して、運転部構成部材の装着位置を運転部の仕様に応じて変更可能に構成したことを特徴とする。
トラクタA1,A2は、図1〜図4、図12〜図15に示すように、前後方向に伸延した一定幅の長手鋼板を縦幅方向に立て左右に配設構成した機体フレーム1を中心とし、その前部に原動機部2を搭載すると共に、その後方に運転部3を配設し、機体フレーム1の下方にはエンジンEからミッションケースMを介して動力の伝達された前後車輪FT,RTが軸架されている。
ミッションケースMは機体フレーム1に一体固設され後端にはPTO軸(図示せず)が突出し、トラクタA1,A2後部に連結具、リフター等(図示せず)を介して連結する各種作業機へ動力を伝達可能に構成している。
かかるトラクタは、図1に示すように運転部3の背後にロプスRを立設した作業車の一形態であるロプスタイプのトラクタA1を構成し、また、図12に示すトラクタは、キャビンCにより運転部3を被覆しているキャビンタイプのトラクタA2を構成する。
まず、ロプスタイプのトラクタA1の全体構成について説明し、続いて、キャビンタイプのトラクタA2の全体構成について説明し、その後に、本発明の特徴となる熱風遮蔽板100,200の構成について説明する。
[ロプスタイプトラクタの全体構成]
ロプスタイプのトラクタA1は、図1〜図4に示すように、前後方向に延伸させて枠組形成した機体フレーム1の前部に原動機部2を設けるとともに、機体フレーム1の後端部にミッションケースMを設け、原動機部2とミッションケースMは、動力伝動シャフト(図示せず)を介して連動連結している。
そして、機体フレーム1の前部には、左右方向に軸線を形成したフロントアクスルケースFAを取り付け、フロントアクスルケースFAの左右側端部に前車輪軸(図示せず)を介して前車輪FT,FTを取り付けている。
また、ミッションケースMの左右側部には、それぞれリヤアクスルケースRA,RAを取り付けて、各リヤアクスルケースRA,RAに後車輪軸4を介して後車輪RT,RTを連動連結している。ミッションケースMとフロントアクスルケースFAは、前輪駆動シャフト(図示せず)を介して連動連結して、前後車輪FT,RTを駆動する四輪駆動を可能としている。
トラクタA1は、機体フレーム1上において、原動機部2の後方に運転部3を配設している。具体的には、図4、図5に示すように、機体フレーム1の側方にそれぞれ取付けた左右ベースフレーム5上に運転部3を載置固定している。また左右ベースフレーム5は後部側を上方に折曲した傾斜フレーム6を形成し、後端部にはリヤアスクルケースRAに関連して設けた水平連結板7を介して補助ビーム8を一体に垂直に立設している。また、左右ベースフレーム5の前部にはその外方にわたって運転部フロア9を下方から支持する平面視コ字状のフロア枠体110を架設している。
また、左右ベースフレーム5は、前端を機体フレーム1の側方に突設した運転部載置片11上に防振音プレート12を介して載置固定し、後端を左右のリヤアクスルケースRA,RA上に補助ビーム8の下端部を載置固定している。
運転部3は、原動機部2の直後方位置からミッションケースMの直前方位置まで左右ベースフレーム5上に床面部としての運転部フロア9を張設している。運転部フロア9の左右側方でフロア枠体110上には、運転部フロア9面を延設した構造に相当する各2分割の左右ステップSLa,SLb,SRa,SRbが配設されている。
左右ベースフレーム5の傾斜フレーム6上には運転席13を構成するための運転席フレーム14が載置して連結されている。すなわち、運転席フレーム14は水平の座席フレーム15と、その後縁部に傾斜して立ち上げた背フレーム16と、座席フレーム15の前端下方に垂設した前フレーム17と、前フレーム17の下端から前方に延出した防塵板18と、で構成されている。防塵板18は運転部フロア9の後端縁部との連結により、運転席フレーム14の前端下方を閉塞して地面から運転席13下方空間を通して舞い上がる塵介が運転部3に浸入することを防止している。
また、背フレーム16の外側面には傾斜フレーム6の外側面に当接して立ち上げ連設した略三角形状の当て板19と密着当接してボルトにより固定している。更には、かかる座席フレーム15と左右ベースフレーム5の傾斜フレーム6から立ち上げた当て板19との間には後車輪RTの内側をカバーするフェンダ20のフェンダ内壁部21を挿入して座席フレーム15と当て板19との間で挟持すると共に、これらの三個の部材はボルトにより一体に強固に連結している。
運転部フロア9の前端縁部には、原動機部2と運転部3とを遮蔽する熱風遮蔽板100を立設する。また、図5〜図7に示すように熱風遮蔽板100の左右側方には隣接して防風板111,111を連設している。熱風遮蔽板100の運転部3側には、連結ケース27を突設し、更に連結ケース27に固設したステアリングブラケット28に傾斜自在に装着したステアリングコラム24にハンドル支軸26介してハンドルHを設けている。
ステアリングコラム24の前上方には、熱風遮蔽板100の上端縁にダッシュボード25を取り付けると共に、ステアリング機構22はハンドルH以外をステアリングカバー43により被覆している。
また、各種操作ペダル23は熱風遮蔽板100に突設した連結ケース27に支持され、左からクラッチペダルCP、左ブレーキペダルLBP、右ブレーキペダルRBPを配設している。なお、アクセルペダルAPは、床面を構成する右ステップSRb上に突設している。
原動機部2のエンジンE後方に位置するミッションケースM上方には、図1に示すように運転席13を配設し、運転席13の左右側方には左右一対のフェンダ20L,20Rを配設している。左右一対のフェンダ20L,20Rは運転部フロア9の後部左右側方から立ち上げて形成して、後車輪RT,RTの前上部を被覆する。なお、一対のフェンダ20L,20Rには、フェンダ20L,20Rの外側縁部を被覆すると共に更に外方に延出したアウターフェンダ42L,42Rを張設している。
運転部3の右側方に位置するフェンダ20R上、及びその近傍には、図1に示すように車速を操作する変速操作部29や作業機の昇降作業を行うローダ操作部30等の操作レバーやスイッチ類を配設している。
ロプスRは、門型に形成して左右のリヤアクスルケースRA,RA上面に立設した補助ビーム8上端に跨架状に立設されており、機体横転時に運転席13に着座している運転者を保護する機能を果たす。
原動機部2は、図2に示すように、機体フレーム1の前部にエンジンE等を配設して構成し、エンジンEの直前方には、冷却ファン31、ラジエータ32を立設している。
上記のように構成した原動機部2には、ボンネット支持枠体(図示せず)を設けて、ボンネット支持枠体にボンネットBを開閉自在に取り付け、ボンネットBにより原動機部2のエンジンルームを被覆・開放自在としている。
ボンネットBは、船底を逆さにしたような形(いわゆる、船底天井)に形成した天井面部33と、網目状のフロントグリル34と、左・右側面部35,35と、から下方と後方が開口する箱型に形成している。
上記のように構成した原動機部2を被覆するボンネットBと運転部3との間に形成された間隙36には、図6〜図8に示すように、排熱孔38を有する排熱カバー37を介設している。排熱カバー37は、ボンネットBの後端縁部の形状と同一形状である背面視門型に形成し熱風遮蔽板100の上部と連設している。
次に、キャビンタイプのトラクタA2の全体構成について説明する。なお、ロプスタイプと共通する構成については説明を適宜省略する。
[キャビンタイプトラクタの全体構成]
キャビンタイプのトラクタA2は、上述したロプスタイプのトラクタA1と基本的構成を同じくしている。すなわち、図12〜図15に示すように、機体フレーム1の前部に原動機部2を設けるとともに、機体フレーム1の後端部にミッションケースMを設け、原動機部2とミッションケースMは、動力伝動シャフト(図示せず)を介して連動連結し、フロントアクスルケースFAとリヤアクスルケースRAの左右方向の軸線に前後車輪FT,RTを配設し四輪駆動を可能としている。また、左右ベースフレーム5´上に運転部3を載置固定している点でも同様である。
しかし、キャビンタイプのトラクタA2は、ロプスR及び防風板111,111に替えて、運転部3を被覆するキャビンCを設けている点で異なる。
このようにキャビンCを設けることで運転部3の床面強度を高めるために、左右ベースフレーム5´にフロア枠体110を形成せず、図15に示すように、左右ベースフレーム5´間に平面視門型のフロア載置板220と平面視矩形状のフロア補強板221を連設し、これらの上に各1枚ずつで構成した左右ステップSL,SRを載置固定すると共に上方に運転部フロア9を重畳的に張設している。
キャビンCは、図1、図16、図17、図20に示すように、六面体を形成するように枠組み形成したキャビンフレーム222と、キャビンフレーム222を形成する各片により形成された各面部223,225,231,236とから形成している。
すなわち、キャビンフレーム222には、天井面部223に扁平箱状に形成した天井部224を張設し、前面部225の上部にフロントガラス部226を張設するとともに、下部に左右側前壁部227を張設している。また、下部の中央部は熱風遮蔽板200がキャビンCの前面部225の一部を構成している。すなわち、熱風遮蔽板200と熱風遮蔽板200の左右に張設した左右側前壁部227と熱風遮蔽板200の上部に張設したフロントガラス部226とで前面部225を構成している。
フロントガラス部226の下縁中央部にはワイパー軸部229を挿貫可能なワイパー孔230を穿設している。また、熱風遮蔽板200の外縁部203のうち上端縁部214略中央部にワイパー軸孔202を穿設し、フロントガラス部226に形成したワイパー孔230と熱風遮蔽板200に形成したワイパー軸孔202とを連通するように配置している。
具体的には、フロントガラス部226の下縁中央部は熱風遮蔽板200の原動機部2側の上縁部201aに沿わせて配置すると共に、図20に示すように熱風遮蔽板200の運転部3側の上縁部201b略中央にワイパー部228の基部となるワイパー機構Wを設置し、ワイパー機構Wから原動機部2側に突出するワイパー軸部229をワイパー軸孔202とワイパー孔230に挿貫することでフロントガラス部226の前面にワイパー軸部229を突出している。
また、フロントガラス部226に付着した雨や雪や埃等を取り除いて運転者の視界を確保するために可動するワイパー部228は、図12に示すように、ワイパー軸部229の端部に連設してフロントガラス部226の前面下方に当接配置している。なお、熱風遮蔽板200の固定方法は上述したロプスタイプのトラクタA1と同様である。
後面部231は、図15、図16、図19に示すように、補助ビーム8´の上端を連結ブラケット233を介してフェンダ20の後端及びキャビンフレーム222の後下端と一体に連設されている。また、キャビンフレーム222の後面中段に設けた後方横フレーム232は運転席フレーム14の背フレーム16にボルトにより一体に連結している。
しかも、キャビンフレーム222の前部下端縁部、すなわち、フェンダ20上に載置される半円弧フレーム234前方の水平下部フレーム235は図12、図13に示すように、ステップSの外縁部に当接して一体に連設されている。
左右側面部236の前部には、左右一対の乗降扉部237,237を開閉自在に張設している。図1中、239は乗降扉部237の外部に設けた開閉操作グリップであり、乗降扉部237の内面には図示しないグリップパイプを張設している。
左右側面部236の後部には、左右一対のサイド窓部240を開閉自在に張設している。後面部231には、リヤガラス部241を開閉自在に張設している。
以上のように、ロプスタイプのトラクタA1もキャビンタイプのトラクタA2も共に、機体フレーム1に連設したベースフレーム5、5´上に運転部3を配設しており、熱風遮蔽板100,200も含めて強固な固定を可能としている。
本発明の実施形態たるキャビンタイプのトラクタA2は上記のような基本構造より構成されている。
次に、本発明の要部となる熱風遮蔽板100,200の具体的な構造について、ロプスタイプとキャビンタイプの2種類のトラクタA1,A2を例として説明する。
[熱風遮蔽板]
本実施形態に係るトラクタA1,A2の熱風遮蔽板100,200は、図3、図16に示すように、原動機部2と運転部3との間に介設されており、その下端縁は運転部フロア9と連設され、熱風遮蔽板100,200の上端縁は、ボンネットBの後端縁との間に介設された排熱カバー37に連設されている。
熱風遮蔽板100,200は、原動機部2のエンジンE作動から生じる発熱が運転部3に影響しない様にその境部分を区画して遮断するために設けられたものであり、原動機部2のエンジンルーム後端面を遮断する大きさと形状に形成してその下端縁は運転部フロア9にボルトにより連設固定されている。
熱風遮蔽板100,200の左右端縁にはロプスタイプであれば防風板111が、キャビンタイプであれば左右側前壁部227が、一体に形成されており、運転部3の前部は熱風遮蔽板100,200と防風板111または左右側前壁部227により前方と区画されていると共に、防風板111または左右側前壁部227の外縁フレームGF下端を左右ステップSL,SRに連設することにより防風板111または左右側前壁部227と一体の熱風遮蔽板100,200の左右端縁の支持固定が行われる。
次に、ロプスタイプとキャビンタイプで共通する熱風遮蔽板100,200の具体的な形状について説明する。熱風遮蔽板100,200は、図9〜図11、図22〜図24に示すように矩形板状の鋼板の下端縁の内側部を除く外縁部203を残し、該部分203以外をプレス加工により運転部3側に凸状となるように形成している。また、熱風遮蔽板100,200の凸状の中央部は、運転部3側にステアリング機構22等を配設するための機構フランジ凸部204を形成している。
また、凸状の下端縁は、機構フランジ凸部204よりも更に運転部3側に突出して形成し、運転部フロア9の前端縁部に形成されたフランジ10と連結可能なフロア連結部205を形成している。
すなわち、熱風遮蔽板100,200は、下端縁の内側部以外の外縁部203の大部分を偏平状に形成し、機構フランジ凸部204とフロア連結部205を運転部3側に凸状となるように形成している。なお、フロア連結部205を機構フランジ凸部204よりも運転部3側に突出して形成しているのは、図7や図20に示すように、運転操作機構を構成するハンドル支軸26やブレーキシャフト40やクラッチシャフト41が極端に折曲することなく運転部フロア9下に負荷なく導出できるようにカバーリングするためである。
また、熱風遮蔽板100,200は、図10、図23に示すように、機構フランジ凸部204の略上半部側を側面視略垂直状に形成すると共に、機構フランジ凸部204の略下半部側は原動機部2側から運転部3側に側面視湾曲状に形成している。すなわち、水平方向に面方向を有する偏平状の上部側の外縁部203は、下側に行くに従って面方向を原動機部2側に傾斜するように形成している。
このように形成することで、熱風遮蔽板100,200の直前方に配設された原動機部2のエンジンE等と連動するクラッチ機構(図示せず)や他の機構部品との干渉を避けることができる。これは、エンジンE等で密集する原動機部2に納まらない機構部品を運転部3に影響なく配設するために特に有効である。
熱風遮蔽板100,200の外縁部203の上部中央と上部左右には、図7や図21等に示すように運転部3側に折曲して形成した矩形状の上ダッシュボード取付フランジ206を形成している。上ダッシュボード取付フランジ206は、熱風遮蔽板100,200の運転部3側に運転部構成部材の一部をなす図6、図19に示すダッシュボード25の上部をボルトにより締結するために、上ダッシュボード取付フランジ206の先端側中央部にボルト挿通孔207を穿設している。
また、熱風遮蔽板100,200の外縁部203の左右中途部218には、図7や図21等に示すように運転部3側に折曲して形成した側面視L字状の下ダッシュボード取付フランジ215を形成している。下ダッシュボード取付フランジ215は、熱風遮蔽板100,200の運転部3側に運転部構成部材の一部をなす図6、図19に示すダッシュボード25の下部をボルトにより締結するために、下ダッシュボード取付フランジ215の下片先端側中央部にボルト挿通孔217を穿設している。
なお、下ダッシュボード取付フランジ215は、ダッシュボード25の高さに応じて異なる高さに形成される
機構フランジ凸部204は、ステアリング機構22や各操作ペダル23等のトラクタA1,A2の運転に必要な運転部構成部材を固設または装着するための複数のボルト挿通孔208を穿設している。
フロア連結部205は、左右端側で外縁部203と連設し、上面は機構フランジ凸部204の下端縁と連設すると共に、運転部3側に突出した上面右側にはブレーキシャフト孔209、左側にクラッチシャフト孔210、略中央部にはハンドル支軸孔211を夫々穿設している。
また、フロア連結部205の上面後端から下方へ伸延して略門型の後端壁212を形成している。後端壁212には、門型に沿って複数のボルト挿通孔213を穿設し、運転部フロア9のフランジ10に形成された複数のボルト孔10aと連通連設してフロア連結部205と運転部フロア9とをボルトとナットにより連結する。
以上が、本実施形態に係るロプスタイプとキャビンタイプのトラクタA1,A2が備える熱風遮蔽板100,200の共通する形状であり、以下に両タイプの異なる構成から導かれる本発明の要旨について説明する。
ロプスタイプのトラクタA1ではキャビンCを設けていないことからフロントガラス部226が不要である。従って、ワイパー機構Wも不要となることから熱風遮蔽板100の上外縁部203にワイパー機構Wを設置する領域やワイパー軸孔202を穿設する必要がない。
これに対してキャビンタイプのトラクタA2では運転部3をキャビンCで囲繞するため、キャビンCの前面部225の上部にはフロントガラス部226を備え、同時にワイパー機構Wも必要となる。
従って、キャビンタイプの熱風遮蔽板200はワイパー機構Wの設置やワイパー軸孔202の穿設のためにロプスタイプの熱風遮蔽板100よりも外縁部203のうち上端縁部214の高さを高くする必要がある。言い換えれば、ロプスタイプの熱風遮蔽板100の上端縁部214はキャビンタイプよりも低く形成することができる。
このように、本実施形態に係る熱風遮蔽板は外縁部203の上端縁部214と左右中途部218以外を2つの仕様で共通形状に形成しているため、キャビンタイプの熱風遮蔽板200を共用構成部材として本部材の製造時の型製作を行い、ロプスタイプの熱風遮蔽板100の製作においてはロプスタイプでは不要な上端縁部214の一部を切除すると共に、外縁部203の左右中途部218を幅広に形成しておいて同様の上下ダッシュボード取付フランジ206、215を備えた新たな上端縁部214と左右中途部218を形成する打抜型を準備するのみでよい。
なお、本実施形態に係る熱風遮蔽板100,200は例示としてロプスタイプとキャビンタイプのトラクタA1,A2を示して説明しているが、エンジンEの大きさ等が異なることでボンネットBの高さや幅が異なる仕様であっても、熱風遮蔽板100,200の外縁部203の切削やプレス加工により様々な仕様に対応できるように構成している。
また、ロプスタイプにおける熱風遮蔽板100への防風板111の接続については、図6に示すように、運転部3側の熱風遮蔽板100の外縁部203の中途部に、防風板111の枠体を構成する中空角パイプで形成したL字状の外縁フレームGFの一方の端部を溶接またはボルトにより接続し、他方の端部は左右ベースフレーム5に固設した左右ステップSL,SRに溶接またはボルトにより接続している。
また、キャビンタイプにおける熱風遮蔽板200への左右側前壁部227の接続においても、図18に示すように運転部3側の熱風遮蔽板200の外縁部203の中途部に外縁フレームGFを溶接またはボルトにより接続している。
このように、防風板111または左右側前壁部227の外縁フレームGFを熱風遮蔽板100,200に接続するに際しては、熱風遮蔽板100,200を2つの仕様で異なる形状に形成する必要はない。
更に、図8に示すように、ボンネットBと熱風遮蔽板100,200との間に配設される排熱カバー37は排熱カバー37に形成された排熱カバーフランジ39とボルトによる螺着固定可能な熱風遮蔽板フランジ216を、熱風遮蔽板100,200の原動機部2側の所定箇所に溶接により接続することで一体に形成している。従って、熱風遮蔽板100,200の上端縁部214の切削の有無によりボンネットBの高さが変化しても熱風遮蔽板100,200の所定個所に熱風遮蔽板フランジ216を適宜配置すればよい。
以上説明したように本実施形態に係るトラクタA1,A2は構成しており、原動機部2と運転部3との間に熱風遮蔽板100,200を介設し、熱風遮蔽板100,200の外縁部203を切削して該遮蔽板100,200の寸法を調整可能に構成すると共に、熱風遮蔽板100,200の外縁部203に運転部構成部材を装着して、運転部構成部材の装着位置を運転部3の仕様に応じて変更可能に構成したことにより、熱風遮蔽板100,200を共用構成部材とすることができるばかりでなく、運転部構成部材の多くも共用構成部材とすることができ、熱風遮蔽板100,200や運転部構成部材の多くを同一規格で大量生産することが可能となり、従って、在庫保管も効率的に行え、コスト上も有利となる。
また、大きさの異なる原動機(エンジンE)の搭載によりボンネットBの高さが異なる仕様となっても、熱風遮蔽板100,200の外縁部203の切削により高さ寸法を調整することができるので、仕様の異なるトラクタであっても同一の熱風遮蔽板100,200の切削調整により共用できるので同一規格で大量生産することが可能となり、また外観的にも大きな変化を生じることもなく美観を満たすこともできる。
更に、抜き金型等により熱風遮蔽板100,200の外縁部203の切削を行うことができるので、仕様の異なる熱風遮蔽板への加工が容易であり、仕様に応じた専用の熱風遮蔽板を別途製造する場合に比して製造コストの面で有利となる。
また、熱風遮蔽板200の外縁部203のうち上端縁部214を切削して該遮蔽板200の高さを調整可能に構成すると共に、熱風遮蔽板200の上端縁部214に運転部構成部材としてのダッシュボード25を高さ位置調整自在に装着したことにより、ダッシュボード25に必要な多くの部材を共用構成部材として高さの異なる仕様に対しても共用でき、同一規格で大量生産も可能であり、在庫保管も効率的に行え、コスト上も有利となる。
また、熱風遮蔽板200の切削前の上端縁部214にワイパー取付用のワイパー軸孔202を穿設し、ワイパー機構Wが必要なキャビン型とワイパーが不要なロプス型とにより熱風遮蔽板200の上端縁部203の切削の有無を使い分けることができ、このような切削の規格合わせにより同一規格の熱風遮蔽板200を兼用して使用することが可能となり、特に、ロプス型においては熱風遮蔽板200の切削のみで熱風遮蔽板200の高さを抑えて運転時の視界を良好なものとすることができる一方、切削しない熱風遮蔽板200はキャビン型においてワイパー機構Wを取り付け使用することができ、熱風遮蔽板200製造の当初より同一規格で大量生産が可能となり、従って在庫保管も同一規格品となって効率的に行え、その分コスト上も有利となる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
A1 ロプス型のトラクタ
A2 キャビン型のトラクタ
2 原動機部
3 運転部
25 ダッシュボード
100 熱風遮蔽板(ロプス型)
200 熱風遮蔽板(キャビン型)
202 ワイパー軸孔
203 外縁部
214 上端縁部
228 ワイパー

Claims (3)

  1. 原動機部と運転部との間に熱風遮蔽板を介設し、熱風遮蔽板の外縁部を切削して該遮蔽板の寸法を調整可能に構成すると共に、熱風遮蔽板の外縁部に運転部構成部材を装着して、運転部構成部材の装着位置を運転部の仕様に応じて変更可能に構成したことを特徴とするトラクタ。
  2. 熱風遮蔽板の外縁部のうち上端縁部を切削して該遮蔽板の高さを調整可能に構成すると共に、熱風遮蔽板の上端縁部に運転部構成部材としてのダッシュボードを高さ位置調整自在に装着したことを特徴とする請求項1に記載のトラクタ。
  3. 熱風遮蔽板の切削前の外縁部にワイパー取付用の取付孔を穿設し、熱風遮蔽板はワイパーが必要なキャビン型では外縁部を切削することなく、他方ワイパーが不要なロプス型では外縁部を切削することにより両型に兼用可能に構成したことを特徴とする請求項1または2に記載のトラクタ。

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