JP2016210882A - ポリアミド樹脂組成物、及び樹脂成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリアミド樹脂の機械物性を維持しつつ摺動性を向上させるための技術を提供する。【解決手段】ポリアミド樹脂組成物は、(X)ポリアミド樹脂と、(Y)グラフト共重合体と、を含有する。上記(Y)グラフト共重合体の主鎖が、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体から成る。上記(Y)グラフト共重合体の側鎖が、(b−1)スチレンと、(b−2)アクリロニトリル及びメタクリル酸グリシジルの少なくとも1つと、を含有する(B)ビニル共重合体から成る。上記(Y)グラフト共重合体の主鎖同士が架橋されている。この構成により、機械物性及び摺動性に優れたポリアミド樹脂組成物が得られる。【選択図】なし

Description

本発明は、摺動部材として利用可能なポリアミド樹脂組成物、及び樹脂成形品に関する。
ポリアミド樹脂は、機械特性、耐熱性、耐薬品性に優れているうえ、摺動性にも優れている。このため、ポリアミド樹脂は、軸受けや歯車等の摺動部材に広く使用されている。摺動部材に求められる摺動性としては、例えば、摩擦係数、摩耗量、摺動音(軋み音)などが挙げられる。近年、このような摺動部材に要求される摺動性はますます高度になってきている。
ポリアミド樹脂の摺動性を向上させるための技術が、特許文献1,2に開示されている。特許文献1,2に記載の技術では、ポリエチレンと、アクリロニトリル−スチレン共重合体やメタクリル酸メチルと、のグラフト共重合体を、添加剤として加えることによりポリアミド樹脂の摺動性を向上させている。
特開平4−20550号公報 特開平5−93129号公報
しかしながら、ポリアミド樹脂に上記の添加剤を加えることにより得られるポリアミド樹脂組成物では、相手材を金属とする摺動試験では十分な摺動性が得られるものの、当該ポリアミド樹脂組成物同士の摺動試験では十分な摺動性が得られない。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、ポリアミド樹脂の機械物性を維持しつつ摺動性を向上させるための技術を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るポリアミド樹脂組成物は、(X)ポリアミド樹脂と、(Y)グラフト共重合体と、を含有する。
上記(Y)グラフト共重合体の主鎖が、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体から成る。
上記(Y)グラフト共重合体の側鎖が、(b−1)スチレンと、(b−2)アクリロニトリル及びメタクリル酸グリシジルの少なくとも1つと、を含有する(B)ビニル共重合体から成る。
上記(Y)グラフト共重合体の主鎖同士が架橋されている。
この構成により、機械物性及び摺動性に優れたポリアミド樹脂組成物が得られる。
上記(Y)グラフト共重合体の主鎖同士が、(C)有機過酸化物によって架橋されていてもよい。
この構成により、より機械物性及び摺動性に優れたポリアミド樹脂組成物が得られる。
上記(X)ポリアミド樹脂の含有量を100重量部とすると、上記(Y)グラフト共重合体の含有量が3〜30重量部であってもよい。
この構成により、ポリアミド樹脂組成物の摺動性、機械物性、及び外観品質が更に向上する。
上記(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体と、上記(b−1)スチレンと、上記(b−2)アクリロニトリル及びメタクリル酸グリシジルの少なくとも1つと、の含有量の合計を100重量部とすると、上記(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量が50〜90重量部であってもよい。
この構成により、ポリアミド樹脂組成物における特に良好な摺動性が得られる。
本発明の一形態に係る樹脂成形品は、上記ポリアミド樹脂組成物を成形して得られる。
ポリアミド樹脂の機械物性を維持しつつ摺動性を向上させるための技術を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態を説明する。なお、本発明において数値範囲を示す「N〜N」とは、特に明示しない限り「N以上N以下」を意味するものとする。
<ポリアミド樹脂組成物>
本実施形態に係るポリアミド樹脂組成物は、(X)ポリアミド樹脂と、(Y)グラフト共重合体と、を含有する。
このポリアミド樹脂組成物で用いる(Y)グラフト共重合体は、特定の主鎖と側鎖からなり、更に有機過酸化物によって選択的に主鎖を架橋させて得られる。このような(Y)グラフト共重合体を用いることにより、(Y)グラフト共重合体が(X)ポリアミド樹脂に対して良好に分散する。これにより、このポリアミド樹脂組成物では、(X)ポリアミド樹脂本来の優れた機械物性が維持されるとともに、相手材の種類や負荷の大きさに依らず優れた摺動性が得られる。
<(X)ポリアミド樹脂>
本実施形態に係る(X)ポリアミド樹脂は、主鎖にアミド結合(−NHCO−)を有する重合体である。(X)ポリアミド樹脂としては、特定の種類に限定されないが、例えば、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)、ポリウンデカラクタム(ナイロン11)、ポリドデカラクタム(ナイロン12)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロンTMHT)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリノナンメチレンテレフタルアミド(9T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(6T)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンPACM12)、ポリビス(3−メチル−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンジメチルPACM12)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド(ナイロン11T(H))などが挙げられる。(X)ポリアミド樹脂は、単一の種類で構成されていても、複数の種類を含んでいてもよい。
<(Y)グラフト共重合体>
本実施形態に係る(Y)グラフト共重合体の主鎖は、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体から成る。(Y)グラフト共重合体の側鎖は、(b−1)スチレンと、(b−2)アクリロニトリル及びメタクリル酸グリシジルの少なくとも1つと、のビニル共重合体から成る。
本実施形態に係る(Y)グラフト共重合体は、主鎖同士の炭素−炭素結合により架橋されている。この主鎖同士の炭素−炭素結合は、後述の(C)有機過酸化物の作用によって得られる。
より詳細には、(Y)グラフト共重合体が生成される際に、(C)有機過酸化物が分解して生じたラジカルが、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体から水素を引き抜く。これにより、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体に含まれる炭素ラジカルが生成される。(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体からの水素の引き抜き反応は、一般的に、−OCOCH>(−CH−or−CH―)の順に反応する。この炭素ラジカル同士が再結合反応することにより、(Y)グラフト共重合体の主鎖同士の炭素−炭素結合が形成される。
(Y)グラフト共重合体の含有量は、(X)ポリアミド樹脂の含有量を100重量部とすると、3〜30重量部であることが好ましく、5〜20重量部であることが更に好ましい。
(Y)グラフト共重合体の含有量を3重量部以上とすることによりポリアミド樹脂組成物の摺動性が向上し、(Y)グラフト共重合体の含有量を5重量部以上とすることによりポリアミド樹脂組成物の摺動性が更に向上する。
この一方で、(Y)グラフト共重合体の含有量を30重量部以下に留めることによりポリアミド樹脂組成物の機械物性や外観品質が向上し、(Y)グラフト共重合体の含有量を20重量部以下に留めることによりポリアミド樹脂組成物の機械物性や外観品質が更に向上する。
本実施形態に係る(Y)グラフト共重合体は、以下に説明するエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物を溶融混練することにより得られる。
<エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物>
本実施形態に係るエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物は、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)と、(B)ビニル共重合体と、(C)有機過酸化物と、を含有する。(B)ビニル共重合体及び(C)有機過酸化物は、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体に含浸されている。
[(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)]
本実施形態に係る(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体では、構造単位での酢酸ビニルの含有量が、1〜20重量%であることが好ましく、3〜10重量%であることが更に好ましい。
(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体において、酢酸ビニルの含有量を20重量%以下に留めることにより、ポリアミド樹脂組成物の摺動性が向上し、酢酸ビニルの含有量を10重量%以下に留めることにより、ポリアミド樹脂組成物の摺動性が更に向上する。更に、これらの場合に、(Y)グラフト重合体の耐熱性が向上する。
この一方で、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体において、酢酸ビニルの含有量を1重量%以上とすることにより、(C)有機過酸化物による架橋反応が進行しやすくなり、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体における酢酸ビニルの含有量を3重量%以上とすることにより、(C)有機過酸化物による架橋反応が更に進行しやすくなる。
また、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体としては、その流動性を指標として任意に選択可能である。例えば、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体のメルトフローレート(MFR)は、JIS K 7210に準拠した測定方法で、190℃において、0.1〜25(g/10min)であることが好ましく、1.0〜10(g/10min)であることが更に好ましい。
(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体において、MFRを25(g/10min)以下に、更にMFRを10(g/10min)以下に留めることにより、ポリアミド樹脂組成物の摺動性が向上する。この一方で、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体において、MFRを0.1(g/10min)以上とし、更にMFRを1.0(g/10min)以上とすることにより、(Y)グラフト重合体の製造プロセスにおける作業性が向上する。
[(B)ビニル共重合体]
本実施形態に係る(B)ビニル共重合体は、(b−1)スチレンと、(b−2)アクリロニトリル及びメタクリル酸グリシジルの少なくとも1つと、(b−3)t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネートと、(b−4)重合開始剤と、から成るビニル単量体組成物により構成される。
(B)ビニル共重合体における各単量体(b−1),(b−2),(b−3),(b−4)の含有量は適宜決定可能である。しかし、(b−1)スチレンの含有量と、(b−2)アクリロニトリル及びメタクリル酸グリシジルの少なくとも1つの含有量と、の合計を100重量部とすると、(b−1)スチレンの含有量が50〜99重量部であることが好ましい。これにより、摺動性及び機械物性に特に優れたポリアミド樹脂組成物が得られる。
また、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体と、(b−1)スチレンと、(b−2)アクリロニトリル及びメタクリル酸グリシジルの少なくとも1つと、の含有量の合計を100重量部とすると、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量が50〜90重量部であることが好ましい。この場合に、ポリアミド樹脂組成物における特に良好な摺動性が得られる。
(B)ビニル共重合体における(b−3)t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネートは、下記化学式(1)で表される化合物である。本実施形態に係るエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物を溶融混練すると、(b−3)t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネートの過酸化結合が熱分解してラジカルを発生させることにより、(Y)グラフト共重合体が得られる。
Figure 2016210882
…(1)
(B)ビニル共重合体における(b−4)重合開始剤は、特定の種類に限定されず、有機過酸化物やアゾ開始剤などといった公知のものを利用可能である。しかし、(b−4)重合開始剤の10時間半減期温度は50〜75℃であることが好ましい。
ここで、10時間半減期温度(以下、「T10」との略称も用いる。)とは、(b−4)重合開始剤又は(C)有機過酸化物に含まれる過酸化結合濃度又はアゾ結合濃度を0.1モル/リットルとなるようにベンゼンに溶解させた溶液を熱分解させた際に、当該(b−4)重合開始剤又は(C)有機過酸化物が10時間で半減期を迎える温度のことである。
(b−4)重合開始剤の10時間半減期温度を50℃以上とすることにより、(b−4)重合開始剤の急激な分解が抑制され、重合温度を制御しやすくなる。この一方で、(b−4)重合開始剤の10時間半減期温度を75℃以下とすることにより、(b−4)重合開始剤の良好な分解が得られ、(Y)グラフト共重合体に(b−4)重合開始剤自体や他の単量体が残存しにくくなる。
なお、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体に(b−4)重合開始剤自体や他の単量体を残存しにくくするために、(B)ビニル共重合体を得るための重合温度を高くすることも考えられる。
しかし、重合温度を高くすると、重合温度と(C)有機過酸化物の10時間半減期温度との差が小さくなるため、(B)ビニル共重合体を得るための重合反応時に(C)有機過酸化物が分解しやすくなる。したがって、溶融混練時に(C)有機過酸化物が不足し、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体が十分に架橋反応を行うことができなくなる場合がある。このため、(B)ビニル共重合体を得るための重合温度を高くすることは好ましくない。
(b−4)重合開始剤として利用可能な有機過酸化物として、例えば、下記のものが挙げられる。各物質について、括弧内に10時間半減期温度を示す。
t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート(T10=51℃)
t−ヘキシルパーオキシピバレート(T10=53℃)
t−ブチルパーオキシピバレート(T10=55℃)
ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド(T10=59℃)
ジラウロイルパーオキサイド(T10=62℃)
1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(T10=65℃)
2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン(T10=66℃)
t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキシルヘキサノエート(T10=70℃)
ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド(T10=71℃)
t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(T10=72℃)
ジベンゾイルパーオキサイド(T10=74℃)
(b−4)重合開始剤として利用可能なアゾ化合物として、例えば、下記のものが挙げられる。各物質について、括弧内に10時間半減期温度を示す。
2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(T10=51℃)
2,2−アゾビス(イソブチロニトリル)(T10=65℃)
2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(T10=67℃)
[(C)有機過酸化物]
本実施形態に係る(C)有機過酸化物は、溶融混練時に熱分解してラジカルを発生させることにより、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体を架橋することができる。
(C)有機過酸化物は、特定の種類に限定されず、公知のものを利用可能である。しかし、(C)有機過酸化物の10時間半減期温度は95〜130℃であることが好ましい。
(C)有機過酸化物の10時間半減期温度を95℃以上とすることにより、(B)ビニル共重合体を得るための重合反応時に(C)有機過酸化物が分解しにくくなる。したがって、(B)ビニル共重合体を得るための重合反応時に(C)有機過酸化物が減少しにくいため、溶融混練時に(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体の架橋反応が不足することを防止できる。
この一方で、(C)有機過酸化物の10時間半減期温度を130℃以下とすることにより、溶融混練時に(C)有機過酸化物が良好に分解する。これにより、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体の架橋反応が良好に進行するようになる。
本実施形態に利用可能な(C)有機過酸化物としては、例えば、下記のものが挙げられる。各物質について、括弧内に10時間半減期温度を示す。
t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(T10=95℃)
t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート(T10=97℃)
t−ブチルパーオキシラウレート(T10=98℃)
t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(T10=99℃)
t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(T10=99℃)
t−ヘキシルパーオキシベンゾエート(T10=99℃)
2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン(T10=100℃)
t−ブチルパーオキシアセテート(T10=102℃)
2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン(T10=103℃)
t−ブチルパーオキシベンゾエート(T10=104℃)
n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート(T10=105℃)
ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(T10=119℃)
ジクミルパーオキサイド(T10=116℃)
ジ−t−ヘキシルパーオキサイド(T10=116℃)
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(T10=118℃)
t−ブチルクミルパーオキサイド(T10=120℃)
ジ−t−ブチルパーオキサイド(T10=124℃)
本実施形態に係る(C)有機過酸化物の含有量は、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量を100重量部とすると、0.1〜3重量部であることが好ましい。(C)有機過酸化物の含有量を0.1重量部以上とすることにより、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体の架橋反応が不足することを防止できる。この一方で、(C)有機過酸化物の含有量を3重量部以下に留めることにより、溶融混練により得られる(Y)グラフト共重合体において良好な流動性が得られる。
[その他の添加物]
本実施形態に係るポリアミド樹脂組成物は、必要に応じ、上記以外の添加物を含有していてもよい。このような添加物としては、潤滑剤、無機難燃剤、有機難燃剤、無機充填剤、有機無機充填剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、滑剤、分散剤、カップリング剤、発泡剤、着色剤、エンジニアリングプラスチックなどが挙げられる。
より具体的に、潤滑剤としては、例えば、鉱油、炭化水素、脂肪酸、アルコール、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、金属石けん、天然ワックス、シリコーンなどが挙げられる。
無機難燃剤としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。
有機難燃剤としては、例えば、ハロゲン系、リン系等の難燃剤などが挙げられる。
無機充填剤としては、例えば、金属粉、タルク、ガラス繊維などが挙げられる。
有機無機充填剤としては、例えば、カーボン繊維、木粉などが挙げられる。
エンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリフェニレンエーテルなどが挙げられる。
<樹脂成形品>
本実施形態に係るポリアミド樹脂組成物は、熱可塑性樹脂であるため、射出成形や押出し成形などにより、容易に様々な形状に成形することが可能である。本実施形態に係るポリアミド樹脂組成物を成形して得られる樹脂成形品は、機械物性、及び摺動性に優れるため、電気部品、電子部品、機械部品、精密機器部品、自動車部品などの広い分野で利用することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
<エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物>
[エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物の製造]
製造例1−1〜1−13及び比較製造例1−1〜1−4について、表1に示す組成でエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物を製造した。この一例として、製造例1−1に係るエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物の製造プロセスを以下に示す。なお、他の製造例及び比較製造例に係るエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物も、製造例1−1と同様のプロセスで製造した。
[製造例1−1に係るエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物の製造]
内容積5Lのステンレス製オートクレーブに、純水2500gを入れ、更に懸濁剤としてポリビニルアルコール2.5gを溶解させた。この中に、エチレン−酢酸ビニル共重合体(商品名「ウルトラセン510」、東ソー株式会社製、VAc含有量6%、MFR=2.5g/10min)700gを入れ、攪拌して分散させた。
これとは別に、4.0gのラジカル重合開始剤、9.0gのラジカル(共)重合性有機過酸化物、及び3.5gの架橋剤を、210gのスチレン(St)及び90gのメタクリル酸グリシジル(GMA)に溶解させた溶液を生成し、この溶液をオートクレーブ中に投入し攪拌した。
ラジカル重合開始剤としてはジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド(商品名「パーロイル355」、10時間半減期温度=59℃、日油株式会社製)を用い、ラジカル(共)重合性有機過酸化物としてはt−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート(MEC)を用い、架橋剤としては2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(商品名「パーヘキサ25B」、10時間半減期温度=118℃、日油株式会社製)を用いた。
そして、オートクレーブを60〜65℃に昇温し、3時間攪拌することによって、ラジカル重合開始剤及びラジカル(共)重合性有機過酸化物を含む単量体組成物をエチレン−酢酸ビニル共重合体中に含浸させた。
その後、オートクレーブを80〜85℃に昇温し、当該温度で7時間保持して重合させ、水洗及び乾燥することにより、ビニル共重合体であるポリ(St/GMA/MEC)共重合体と、(C)有機過酸化物である2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンと、が(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体によって含浸されたエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物を得た。
得られたエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物からポリ(St/GMA/MEC)共重合体を酢酸エチルで抽出した。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による測定の結果、ポリ(St/GMA/MEC)共重合体の重量平均分子量は40万であることがわかった。
[比較製造例1−1〜1−4の説明]
比較製造例1−1に係るエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物では、上記実施形態とは異なり、(C)有機過酸化物が含まれない。
比較製造例1−2に係るエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物では、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体におけるMFRが上記実施形態よりも高い。
比較製造例1−3に係るエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物では、(C)有機過酸化物の含有量が上記実施形態よりも多い。
比較製造例1−4に係るエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物では、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体の代わりに低密度ポリエチレンが用いられている。
Figure 2016210882
表1中の各略称の意味は以下のとおりである。
EVA:エチレン−酢酸ビニル共重合体(各実施例及び各比較例では、適宜、以下の3種類のうちいずれか1つを用いている。)
(1)「ウルトラセン510」、東ソー株式会社製、VAc含有量6%、MFR=2.5(g/10min)
(2)「ウルトラセン537」、東ソー株式会社製、VAc含有量15%、MFR=3.0(g/10min)
(3)「ウルトラセン750」、東ソー株式会社製、VAc含有量32%、MFR=30(g/10min)
LDPE:低密度ポリエチレン(「スミカセンG401」住友化学株式会社製、密度=0.926g/cm
St:スチレン
GMA:メタクリル酸グリシジル
AN:アクリロニトリル
MEC:t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート
R355:ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド
BW:ベンゾイルパーオキサイド(「ナイパーBW」、10時間半減期温度=74℃、日油株式会社製)
25B:2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン
BuE:t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(「パーブチルE」、10時間半減期温度=99℃、日油株式会社製)
<(Y)グラフト共重合体>
[(Y)グラフト共重合体の製造]
製造例2−1〜2−13及び比較製造例2−1〜2−4について、表2に示すように、それぞれ製造例1−1〜1−13及び比較製造例1−1〜1−4に係るエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物を用いて(Y)グラフト共重合体を製造した。この一例として、製造例2−1に係る(Y)グラフト共重合体の製造プロセスを以下に示す。なお、他の製造例及び比較製造例に係る(Y)グラフト共重合体も、製造例2−1と同様のプロセスで製造した。
[製造例2−1に係る(Y)グラフト共重合体の製造]
まず、製造例1−1で得られたエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物をラボプラストミル一軸押出機(株式会社東洋精機製作所製)で200℃にて溶融混練し、グラフト化反応させることにより主鎖がエチレン−酢酸ビニル共重合体から成り、側鎖がポリ(St/GMA)から成る(Y)グラフト共重合体を得た。
得られた(Y)グラフト共重合体のMFR(220℃/10kgf)を測定したところ、0.1(g/10min)であり、グラフト化反応及びエチレン−酢酸ビニル共重合体の架橋反応が進行していることを確認した。また、得られた(Y)グラフト共重合体を走査型電子顕微鏡(「JEOL JSM T300」、日本電子株式会社製)で観察したところ、粒径0.1〜0.2μmの真球状樹脂が均一に分散していることが確認された。
Figure 2016210882
表2から明らかなように、製造例2−1〜2−13では、グラフト化反応及び(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体の架橋反応が進行することにより、(Y)グラフト共重合体のMFRが0.1以上1.1以下の範囲の値を示した。
これに対し、比較製造例2−1では、(C)有機過酸化物が含まれないために、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体の架橋反応が進行せず、(Y)グラフト共重合体のMFRが4.5(g/10min)と製造例2−1と相対的に比較して高い値を示した。
比較製造例2−2では、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体のMFRが高いため得られた(Y)グラフト共重合体のMFRが12.8(g/10min)と製造例2−1と相対的に比較して高い値を示した。
比較製造例2−3では、(C)有機過酸化物の含有量が多すぎるために、(Y)グラフト共重合体のMFRが0.01(g/10min)未満と製造例2−1と相対的に比較して非常に低い値を示した。
比較製造例2−4では、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体の代わりに低密度ポリエチレンが用いられているために、主鎖同士の架橋反応が進行しにくく、(Y)グラフト共重合体のMFRが2.6(g/10min)と製造例2−1と相対的に比較して高い値を示した。
<実施例1−1〜1−14及び比較例1−1〜1−5>
[ポリアミド樹脂組成物の製造]
実施例1−1〜1−14及び比較例1−1〜1−5について、表3に示す配合割合で、(X)ポリアミド樹脂としてナイロン66(商品名「Zytel 103HSL」、デュポン株式会社製)に対して、上記の(Y)グラフト共重合体を適宜所定量ドライブレンドし、270℃に設定した二軸押出機にて溶融混練し、ポリアミド樹脂組成物を得た。表3では、(X)ポリアミド樹脂を「PA66」との略称で示している。
なお、比較例1−1に係るポリアミド樹脂組成物は、(Y)グラフト共重合体を用いずに、(X)ポリアミド樹脂のみにより製造した。実施例1〜14ではそれぞれ製造例2−1〜2−13で得られた(Y)グラフト共重合体を用い、比較例1−2〜1−5ではそれぞれ比較製造例2−1〜2−4で得られた(Y)グラフト共重合体を用いた。
[評価材の作製]
実施例1−1〜14及び比較例1−1〜1−5で得られたポリアミド樹脂組成物を射出成形機によって成形することにより、実施例1〜14及び比較例1〜5で得られた評価材を作製した。射出成形の条件としては、バレル温度を275℃とし、金型温度を80℃とした。
[評価方法]
・引張り強さ
JIS K−7113に準拠し、試験速度50mm/minとして行った。引張り強さの目標値は、(X)ポリアミド樹脂の種類に応じて決定され、80GPa以上とした。
・曲げ弾性率
JIS K−7203に準拠し、試験速度2mm/minとして行った。曲げ弾性率の目標値は、(X)ポリアミド樹脂の種類に応じて決定され、2.3GPa以上とした。
・摺動性評価(スラスト式摩擦摩耗試験)
試験機:オリエンテック株式会社製 摩擦摩耗試験機 EFM−III−F
評価材:内径20mm、外径25.6mmの円筒材
評価材材質:表3に示す組成のポリアミド樹脂組成物
相手材:内径20mm、外径25.6mmの円筒材
相手材材質:(1)炭素鋼(S45C)、(2)評価材と同材
試験条件(相手材材質が(1)の場合):荷重50N、線速度50cm/sec
試験条件(相手材材質が(2)の場合):荷重20N、線速度50cm/sec
試験時間:100分間
本試験では、各相手材材質(1)(2)について、それぞれ各評価材の摩耗量(mg)及び動摩擦係数を求めた。
摩耗量及び動摩擦係数の目標値は、(X)ポリアミド樹脂の種類に応じて決定される。本実施例及び比較例では、相手材が(1)炭素鋼(S45C)の場合において、摩耗量の目標値を2.0mg以下とし、動摩擦係数の目標値を0.35以下とした。また、相手材が(2)評価材と同材である場合において、摩耗量の目標値を5.0mg以下とし、動摩擦係数の目標値を0.35以下とした。
・軋み音の評価
得られた評価材を、軋み音評価試験用のプレート(60mm×100mm×2mm)と、擦り合わせる相手材用として同材プレート(50mm×25mm×2mm)と、に切り出してバリ取りを行った後、温度25℃、湿度50%でそれぞれ12時間状態調整した。また、相手材用のプレート(50mm×25mm×2mm)として、PA66、PC/ABS(70重量部/30重量部)、PBT、及びステンレス製のプレートも準備した。
軋み音評価試験用のプレートと、相手材としての各プレートをZiegler社のスティックスリップ測定装置SSP−02に固定し、荷重=40N、速度=1mm/sの条件でそれぞれ擦り合わせた時の軋み音リスク値の測定を行った。なお、軋み音リスク値は、値が小さいほど軋み音発生のリスクが低いことを示す。軋み音リスク値の判断基準は以下に示す通りである。
軋み音リスク値1〜3:軋み音発生のリスクが低い
軋み音リスク値4〜5:軋み音発生のリスクがやや高い
軋み音リスク値6〜10:軋み音発生のリスクが高い
軋み音リスク値の目標値は、(X)ポリアミド樹脂の種類に応じて決定される。本実施例及び比較例では、相手材が(1)炭素鋼(S45C)の場合における軋み音リスク値の目標値を3以下とし、相手材が(2)評価材と同材である場合における軋み音リスク値の目標値を3以下とした。
実施例1−1〜1−14及び比較例1−1〜1−5に係る評価材についての評価結果を表3に示す。
Figure 2016210882
表3から明らかなように、実施例1−1〜1−14では機械物性、摺動性評価、及び軋み音リスク値のいずれも目標値をクリアしていた。
これに対し、比較例1−1では、相手材が(1)炭素鋼(S45C)の場合における摩耗量及び動摩擦係数が目標値を超え、相手材が(2)評価材と同材である場合における摩耗量が目標値を大きく超えていた。また、比較例1−1では、相手材が(1)炭素鋼(S45C)の場合、及び相手材が(2)評価材と同材である場合における軋み音リスク値がいずれも目標値を大きく超えていた。
比較例1−2では、引張り強さ及び曲げ弾性率が目標値に満たなかった。また、比較例1−2では、相手材が(1)炭素鋼(S45C)の場合、及び相手材が(2)評価材と同材である場合における摩耗量が目標値を超えていた。更に、比較例1−2では、相手材が(1)炭素鋼(S45C)の場合、及び相手材が(2)評価材と同材である場合における軋み音リスク値がいずれも目標値を超えていた。
比較例1−3では、相手材が(2)評価材と同材である場合における摩耗量が目標値を超えていた。また、比較例1−3では、相手材が(1)炭素鋼(S45C)の場合、及び相手材が(2)評価材と同材である場合における軋み音リスク値がいずれも目標値を超えていた。比較例1−4では、引張り強さが目標値に満たなかった。比較例1−5では、相手材が(1)炭素鋼(S45C)の場合、及び(2)評価材と同材である場合における摩耗量が目標値を超えていた。
<実施例2−1〜2−5及び比較例2−1>
実施例2−1〜2−5及び比較例2−1について、表4に示す配合割合で、(X)ポリアミド樹脂にガラス繊維を含有するナイロン66(商品名「Zytel 103HSL 33HS1L」、デュポン株式会社製)に対して、上記の(Y)グラフト共重合体を適宜所定量ドライブレンドし、270℃に設定した二軸押出機にて溶融混練し、ポリアミド樹脂組成物を得た。表4では、(X)ポリアミド樹脂を「PA66GF」との略称で示している。
なお、比較例2−1に係るポリアミド樹脂組成物は、(Y)グラフト共重合体を用いずに、(X)ポリアミド樹脂のみにより製造した。実施例2−1〜2−5ではそれぞれ製造例2−1,2−6,2−7,2−11で得られた(Y)グラフト共重合体を用いた。
実施例2−1〜2−5及び比較例2−1について、評価材の作製及び評価方法は、上記の実施例1−1〜14及び比較例1−1〜1−5と同様である。各評価についての目標値は、(X)ポリアミド樹脂の種類に応じて、適宜実施例1−1〜14及び比較例1−1〜1−5から変更した。
具体的には、引張り強さの目標値は100GPa以上とした。曲げ弾性率の目標値は4.5GPa以上とした。相手材が(1)炭素鋼(S45C)の場合において、摩耗量の目標値を2.0mg以下とし、動摩擦係数の目標値を0.35以下とした。相手材が(2)評価材と同材である場合において、摩耗量の目標値を5.0mg以下とし、動摩擦係数の目標値を0.35以下とした。相手材が(1)炭素鋼(S45C)の場合における軋み音リスク値の目標値を3以下とし、相手材が(2)評価材と同材である場合における軋み音リスク値の目標値を3以下とした。
実施例2−1〜2−5及び比較例2−1に係る評価材についての評価結果を表4に示す。
Figure 2016210882
表4から明らかなように、実施例2−1〜2−5では機械物性、摺動性評価、及び軋み音リスク値のいずれも目標値をクリアしていた。
これに対し、比較例2−1では、相手材が(1)炭素鋼(S45C)の場合における摩耗量及び動摩擦係数が目標値を超え、相手材が(2)評価材と同材である場合における摩耗量が目標値を超えていた。更に、比較例2−1では、相手材が(1)炭素鋼(S45C)の場合、及び相手材が(2)評価材と同材である場合における軋み音リスク値がいずれも目標値を大きく超えていた。
<実施例3−1〜3−5及び比較例3−1>
実施例3−1〜3−5及び比較例3−1について、表5に示す配合割合で、(X)ポリアミド樹脂にナイロン6(商品名「アミランCM1017A」、東レ株式会社製)に対して、上記の(Y)グラフト共重合体を適宜所定量ドライブレンドし、240℃に設定した二軸押出機にて溶融混練し、ポリアミド樹脂組成物を得た。表5では、(X)ポリアミド樹脂を「PA6」との略称で示している。
なお、比較例3−1に係るポリアミド樹脂組成物は、(Y)グラフト共重合体を用いずに、(X)ポリアミド樹脂のみにより製造した。実施例3−1〜3−5ではそれぞれ製造例2−1,2−6,2−7,2−11で得られた(Y)グラフト共重合体を用いた。
実施例3−1〜3−5及び比較例3−1ついて、評価材の作製及び評価方法は、バレル温度を245℃とした以外は、上記の実施例1−1〜14及び比較例1−1〜1−5と同様である。各評価についての目標値は、(X)ポリアミド樹脂の種類に応じて、適宜実施例1−1〜14及び比較例1−1〜1−5から変更した。
具体的には、引張り強さの目標値は60GPa以上とした。曲げ弾性率の目標値は2.0GPa以上とした。相手材が(1)炭素鋼(S45C)の場合において、摩耗量の目標値を2.0mg以下とし、動摩擦係数の目標値を0.35以下とした。相手材が(2)評価材と同材である場合において、摩耗量の目標値を5.0mg以下とし、動摩擦係数の目標値を0.35以下とした。相手材が(1)炭素鋼(S45C)の場合における軋み音リスク値の目標値を3以下とし、相手材が(2)評価材と同材である場合における軋み音リスク値の目標値を3以下とした。
実施例3−1〜3−5及び比較例3−1に係る評価材についての評価結果を表5に示す。
Figure 2016210882
表5から明らかなように、実施例3−1〜3−5では機械物性、摺動性評価、及び軋み音リスク値のいずれも目標値をクリアしていた。
これに対し、比較例3−1では、相手材が(1)炭素鋼(S45C)の場合における動摩擦係数が目標値を大きく超え、相手材が(2)評価材と同材である場合における摺動性評価では評価材の溶出により評価結果が得られなかった。また、比較例3−1では、相手材が(1)炭素鋼(S45C)の場合、及び相手材が(2)評価材と同材である場合における軋み音リスク値がいずれも目標値を大きく超えていた。
<実施例4−1〜4−5及び比較例4−1>
実施例4−1〜4−5及び比較例4−1について、表6に示す配合割合で、(X)ポリアミド樹脂にナイロンMXD6(商品名「MXナイロンS6001」、三菱ガス化学株式会社製)に対して、上記の(Y)グラフト共重合体を適宜所定量ドライブレンドし、250℃に設定した二軸押出機にて溶融混練し、ポリアミド樹脂組成物を得た。表6では、(X)ポリアミド樹脂を「PAMXD」との略称で示している。
なお、比較例4−1に係るポリアミド樹脂組成物は、(Y)グラフト共重合体を用いずに、(X)ポリアミド樹脂のみにより製造した。実施例4−1〜4−5ではそれぞれ製造例2−1,2−6,2−7,2−11で得られた(Y)グラフト共重合体を用いた。
実施例4−1〜4−5及び比較例4−1ついて、評価材の作製及び評価方法は、バレル温度を255℃とした以外は、上記の実施例1−1〜14及び比較例1−1〜1−5と同様である。各評価についての目標値は、(X)ポリアミド樹脂の種類に応じて、適宜実施例1−1〜14及び比較例1−1〜1−5から変更した。
具体的には、引張り強さの目標値は80GPa以上とした。曲げ弾性率の目標値は3.5GPa以上とした。相手材が(1)炭素鋼(S45C)の場合において、摩耗量の目標値を2.0mg以下とし、動摩擦係数の目標値を0.35以下とした。相手材が(2)評価材と同材である場合において、摩耗量の目標値を5.0mg以下とし、動摩擦係数の目標値を0.35以下とした。相手材が(1)炭素鋼(S45C)の場合における軋み音リスク値の目標値を3以下とし、相手材が(2)評価材と同材である場合における軋み音リスク値の目標値を3以下とした。
実施例4−1〜4−5及び比較例4−1に係る評価材についての評価結果を表6に示す。
Figure 2016210882
表6から明らかなように、実施例4−1〜4−5では機械物性、摺動性評価、及び軋み音リスク値のいずれも目標値をクリアしていた。
これに対し、比較例4−1では、相手材が(1)炭素鋼(S45C)の場合における摩耗量及び動摩擦係数が目標値を大きく超えていた。また、相手材が(2)評価材と同材である場合における摩耗量が目標値を大きく超え、動摩擦係数も目標値を超えていた。更に、比較例4−1では、相手材が(1)炭素鋼(S45C)の場合、及び相手材が(2)評価材と同材である場合における軋み音リスク値がいずれも目標値を大きく超えていた。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。

Claims (5)

  1. (X)ポリアミド樹脂と、(Y)グラフト共重合体と、を含有し、
    前記(Y)グラフト共重合体の主鎖が、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体から成り、
    前記(Y)グラフト共重合体の側鎖が、(b−1)スチレンと、(b−2)アクリロニトリル及びメタクリル酸グリシジルの少なくとも1つと、を含有する(B)ビニル共重合体から成り、
    前記(Y)グラフト共重合体の主鎖同士が架橋されている
    ポリアミド樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物であって、
    前記(Y)グラフト共重合体の主鎖同士が、(C)有機過酸化物によって架橋されている
    ポリアミド樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のポリアミド樹脂組成物であって、
    前記(X)ポリアミド樹脂の含有量を100重量部とすると、前記(Y)グラフト共重合体の含有量が3〜30重量部である
    ポリアミド樹脂組成物。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物であって、
    前記(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体と、前記(b−1)スチレンと、前記(b−2)アクリロニトリル及びメタクリル酸グリシジルの少なくとも1つと、の含有量の合計を100重量部とすると、前記(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量が50〜90重量部である
    ポリアミド樹脂組成物。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物を成形して得られる
    樹脂成形品。
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