JP2009270024A - 摺動性を改良した熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】
摺動部部分に使用されることがあるエンジニアリングプラスチックに摺動性改良剤を配合する事で、耐摩耗性に優れた樹脂組成物を得ること。
【解決手段】
(A)熱可塑性樹脂100重量部に対して、摺動性改良剤として(B)ポリアミド樹脂とポリエチレン樹脂をラジカル開始剤の存在下で動的架橋させた組成物0.1〜100重量部を含有してなる熱可塑性樹脂組成物。
メルトマスフローレートが小さいポリエチレン樹脂と、融点が200℃以下であるポリアミド樹脂をラジカル開始剤を用いて動的架橋させて得られる摺動性改良剤を用いることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、摺動性の改良された熱可塑性樹脂組成物に関するものであり、更に詳しくはポリアミド樹脂とポリエチレン樹脂の動的架橋組成物を、母材となる熱可塑性樹脂に添加することにより、摺動特性を改良した熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
上記熱可塑性樹脂組成物は、軸受などの摺動部品において、部品の軽量化をはかり、生産性を向上するために、射出成型可能な耐熱性プラスチック材料として用いることができる。
近年、軸受などの摺動部品として、耐熱性プラスチック材料が大量に使用されている。これらの多くは、耐摩耗性、潤滑特性を付与する目的で、耐熱性のベースレジンにポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと略)の粉体や、二硫化モリブデン、黒鉛などの無機固体潤滑剤を添加、充填した組成物である。
特にPTFEの添加による耐摩耗性、潤滑特性の付与は、摩擦係数の低下に最も効果が大きく、PTFEは、多くの耐熱性樹脂への添加充填剤として用いられている。
一方、上記以外の固体潤滑剤として、PTFEに次いで低い摩擦係数を示すポリエチレンが挙げられるが、汎用的な耐熱性のエンジニアリングプラスチック材料との相溶性や成形温度の違いから、ポリエチレンベースの固体潤滑剤は使用例がほとんどない。
一般にポリエチレンは、フッ素樹脂についで低い摩擦係数を示すため、摩耗性の改良剤として使用されている。特に、超高分子量ポリエチレン粒子は、摩耗特性が優れており、人工関節、プラスチック摺動部材の改質などの摺動条件下で使用されている。また、超高分子量ポリエチレンに限らず、ポリエチレンを架橋させると耐摩耗性が向上することが知られている(非特許文献1)。しかしながら、ポリエチレンは非極性のメチレン鎖のみからなる樹脂であり、エンジニアリングプラスチックであるポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂等、極性官能基を含む樹脂に対して相溶性が悪い。また、前述のエンジニアリングプラスチックとポリエチレンでは、成形加工温度が大きく離れており、そういった面からもポリエチレンの固体潤滑剤としての使用例は少ない。そこで、一般的には、これらの汎用エンジニアリングプラスチックの耐摩耗性改良には、ポリエチレンと潤滑剤、相溶化剤等が併用されている(特許文献1)。
『プラスチックス』、Vol.42,No.7、総説「プラスチックのトライボロジーとは―プラスチックの摺動材料の開発と課題」 特開2003−335942
本発明の課題は、極性官能基を有する熱可塑性樹脂との相溶性が高いポリエチレン系の摺動性改良剤を作成し、摺動特性、特に滑り摩耗が良好である熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は以下のものである。
1)(A)熱可塑性樹脂100重量部に対して、摺動性改良剤として(B)ポリアミド樹脂とポリエチレン樹脂をラジカル開始剤の存在下で動的架橋させた組成物0.1〜100重量部を含有してなる熱可塑性樹脂組成物。
2)前記ポリアミド樹脂が融点が240℃以下のポリアミド樹脂であることを特徴とする1)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
3)前記ポリアミド樹脂がナイロン12であることを特徴とする1)または2)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
4)前記ポリエチレン樹脂が高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする1)〜3)のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
5)前記ポリエチレン樹脂がJIS K 7210記載のメルトマスフローレートが20以下であるポリエチレンであることを特徴とする1)〜4)のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
6)(A)熱可塑性樹脂が、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエステル樹脂、およびポリフェニレンエーテル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする1)〜5)のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
以下に説明するとおり、本発明によれば、ナイロン、ポリカーボネート等の極性官能基を有するエンジニアリングプラスチックに対して相溶性が良好な摺動性改良剤を用いることにより、摺動性が大幅に向上した樹脂組成物を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(熱可塑性樹脂)
本発明で用いることのできる熱可塑性樹脂としては特に制限はないが、例えば汎用樹脂、エンジニアリングプラスチック樹脂、スーパーエンプラ類が挙げられる。汎用樹脂の具体例としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、などのポリオレフィン樹脂や、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂などの樹脂が挙げられる。エンジニアリングプラスチック樹脂の具体例としては、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、が挙げられる。スーパーエンプラ類の具体例としては、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンスルフィド樹脂、が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は1種または2種以上を組み合わせて使用することもできる。耐熱性と相溶性の観点からは、これらのうちエンジニアリングプラスチック樹脂に配合するのが好ましい。本発明の動的架橋組成物は、ポリアミドを含有しているため、配合した際の相溶性の観点からポリアミド樹脂に配合するのが特に好ましい。
好ましい熱可塑性樹脂であるポリアミド樹脂としては、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6,12共重合体、及びこれらの混合物などが例示できる。
また、ポリカーボネート樹脂としては、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、又はジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネ−ト等の炭酸エステルを反応させるエステル交換法によって得られる重合体又は共重合体が用いられる。ジヒドロキシジアリール化合物としてはビスフェノールAが代表的な例として挙げられる。
熱可塑性樹脂の分子量としては、12000〜40000が好ましく、更に18000〜32000が好ましい。分子量が12000より低いと、摺動性材料としての強度を維持しづらくなり、40000より高いと、成形性が悪くなる傾向がある。
(摺動性改良剤の原料としてのポリアミド樹脂)
摺動性改良剤の原料としてのポリアミド樹脂は、特に制限はなく、市販されている種々のポリアミド樹脂を用いることが出来る。使用できるポリアミド樹脂としては、ナイロン6(融点215〜225℃)、ナイロン6,6(融点250℃前後)、ナイロン11(融点185℃前後)、ナイロン12(融点175℃前後)、ナイロン6,12共重合体(融点210℃前後)、及びこれらの混合物などが例示できる。本発明の摺動性改良剤は、ポリエチレン樹脂との動的架橋組成物ゆえに、ポリエチレン樹脂の加工温度に近いポリアミド樹脂が好ましい。よって本摺動性改良剤の原料として用いるポリアミド樹脂は、一般的なポリエチレン樹脂の成形加工温度の間に融点が存在するようなものが好ましい。ポリアミド樹脂の好ましい融点の範囲としては、150〜240℃、より好ましくは160〜220℃、さらに好ましくは170〜200℃である。従って、ナイロン6、ナイロン6,6よりは、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6,12共重合体が好ましく、これらの中ではナイロン12がポリエチレン樹脂の成形加工温度で容易に溶融するため、特に好ましい。
摺動性改良剤の原料としてのポリエチレン樹脂は、特に制限はなく、市販されている種々のポリエチレン樹脂を用いることが出来る。具体例としては高密度ポリエチレン(以下、HDPEと略)、低密度ポリエチレン(以下、LDPEと略)、直鎖状低密度ポリエチレン(以下、LLDPEと略)などが挙げられる。摩擦係数の低下の観点から、分岐構造を有するLDPE、LLDPEよりHDPEが好ましい。また、耐摩耗性向上の観点から分子量が大きいポリエチレン樹脂が好ましい。具体的には、JIS K 7210記載のメルトマスフローレートが20以下、より好ましくは1以下、特に好ましくは0.1以下である。
(摺動性改良剤の合成時に使用するラジカル開始剤)
摺動性改良剤の合成時に使用するラジカル開始剤は、特に限定なく公知のものを使うことができる。例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、以下に例示する各種有機過酸化物、例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどのアルキルハイドロパーオキサイド系の過酸化物、例えばベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどの過酸化ジアシル系の過酸化物、例えばジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシラウレイトなどの過酸化ジアルキル系の過酸化物、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物系の過酸化物などが挙げられる。
これらのうち、有機化酸化物がポリエチレン樹脂からの水素引抜能を有し、ポリエチレン樹脂とポリアミド樹脂の動的架橋を行うのに好ましい。より好ましくは、水素引き抜きが効率よく生じるアルキルハイドロパーオキサイド系の過酸化物が好ましい。
(摺動性改良剤を得るための動的架橋)
本発明のポリエチレン/ポリアミド動的架橋組成物を得る方法としては、通常の熱可塑性樹脂の混練装置による溶融混練が挙げられる。加熱混練機、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ブラベンダー、ニーダー、高剪断型ミキサー、プラストミル等を用いて溶融混練することで製造することができる。また、各成分の混練順序は特に限定されないが、使用する装置、作業性あるいは得られる熱可塑性樹脂組成物の物性に応じて決定することができる。
本発明での動的架橋とは、樹脂が押出機等の混練機の中で溶融状態にある際に、架橋を促進させるラジカル開始剤を添加し、溶融状態の樹脂を反応(架橋)させることをいう。
また、ポリエチレン樹脂とポリアミド樹脂の混練時に、任意の相溶化剤を添加してもよく、例えば日油社製のモディパーや、住友化学社製のボンドファースト、三井化学社製のアドマー等が好ましい。
かくして得られる動的架橋ポリオレフィン/ポリアミドの成形法としては、通常の熱可塑性樹脂組成物の成形に用いられる、例えば射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、カレンダー成形法などの成形法があげられる。
(熱可塑性樹脂組成物)
本発明のポリエチレン/ポリアミド動的架橋組成物は、任意の方法で各種の熱可塑性樹脂に配合する事ができ、これを熱可塑性樹脂組成物を製造するための原料として用いる事ができる。配合するための機械の例としては、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ブラベンダー、ニーダー、高剪断型ミキサー、プラストミル等が挙げられる。
以下に、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限を受けるものではない。
[ポリエチレン成分の熱トルエン不溶分率(ゲル分率)測定]
動的架橋後のポリエチレン/ポリアミド混練組成物を充分に乾燥させた後、円筒ろ紙(東洋濾紙(株)、GRADE84、Size20×90mm)に、0.5g秤量して入れた。この円筒ろ紙を100mLナス型フラスコに入れ、トルエン(関東化学(株)製)80mLを加えて、3時間リフラックスさせた。熱トルエンで処理した後の円筒ろ紙は真空乾燥した後、円筒ろ紙内に残留した熱トルエン不溶分量(ゲル分量)を計測した。これらの測定量から、次式より熱トルエン不溶分率(ゲル分率)を算出した。また、ナイロン樹脂は一般に熱トルエンに不溶であり、ここでは、動的架橋反応後のポリエチレン成分の架橋度のみを考慮して熱トルエン不溶分率を算出した。

ゲル分率=
{(円筒ろ紙内残留量)−(ナイロン成分量)}÷{(円筒ろ紙内仕込み量)−(ナイロン成分量)}×100

ゲル分率は、ポリエチレン成分の架橋度を表すものであり、数値が高いほど架橋度が高いことを示す。
[滑り摩耗試験評価]
測定方法は、JIS K 7218A法に準拠して行った。
測定条件は以下に記載した通り。
相手材:S45C中空円筒、研磨紙にて平均粗さ0.8μmRa仕上げ
試験片:樹脂組成物の平板を、30×30×厚さ2(mm)に切削加工して使用
摩擦面積:2cm2
荷重:50N
回転速度:50cm/秒
距離:3km(100分)
試験装置:オリエンテック製摩擦摩耗試験機MODEL EMF−III−F
[透過型電子顕微鏡(TEM)による分散状態の観察]
透過型電子顕微鏡(日本電子JEM−1200EX)により、加速電圧80kVで観測を行った。
試料調整:RuO4染色 凍結超薄切片法
写真倍率:×10,000または×40,000
(実施例1)ポリエチレン/ポリアミド動的架橋組成物を添加したナイロン6の滑り摩耗試験
ポリエチレン樹脂(プライムポリマー社製、HDPE、Hizex8000F、メルトマスフローレート=0.03)70重量部とポリアミド樹脂(ナイロン12、ウベスタ3012U、融点178℃)30重量部を、200℃に設定したラボプラストミル(東洋精機社製)で5分間、溶融混練した。溶融混練を開始してから、1分の段階で有機過酸化物、パーブチルD(日油社製)を5重量部追加し、上記ポリエチレン樹脂とポリアミド樹脂を動的架橋せしめた。
得られたポリエチレン/ポリアミド動的架橋組成物のポリエチレン成分のゲル分率は、35%であった。
ここで得られたポリエチレン/ポリアミド動的架橋組成物をナイロン6(ユニチカ製、A1030BRL)に溶融混練した。溶融混錬には、2軸押出機(日本製鋼所製LABOTEX、L/D=28、φ=30mm)を使用した。
ベース樹脂ナイロン6(100重量部)に対して、ポリエチレン/ポリアミド動的架橋組成物(10重量部)を混練した。混練後の樹脂組成物は、射出成形機(型締力80t、東芝社製、射出成形条件:100rpm、射出圧力:高圧、90%、射出速度:中速、40〜50%、射出時間:10sec、冷却速度:25sec、金型温度:50℃)で120×120×(厚さ)2mmの平板に加工した。
射出成形板の滑り摩耗試験を行ったところ、摩耗試験後の摩耗量0.18mg、摩耗試験開始から5分経過時の動摩擦係数0.208、摩耗試験開始から60分経過時の動摩擦係数0.265であった。
(比較例1)ブランクのナイロン6の滑り摩耗試験
ベース樹脂ナイロン6(ユニチカ製、A1030BRL)を、射出成形機(型締力80t、東芝社製、射出成形条件:100rpm、射出圧力:高圧、90%、射出速度:中速、40〜50%、射出時間:10sec、冷却速度:25sec、金型温度:50℃)で120×120×(厚さ)2mmの平板に加工した。
射出成形板の滑り摩耗試験を行ったところ、摩耗試験後の摩耗量5.04mg、摩耗試験開始から5分経過時の動摩擦係数0.771、摩耗試験開始から60分経過時の動摩擦係数0.902であった。
(比較例2)ポリエチレン/ポリアミド溶融混練組成物を添加したナイロン6の滑り摩耗試験
ポリエチレン樹脂(プライムポリマー社製、HDPE、Hizex8000F、メルトマスフローレート=0.03)70重量部とポリアミド樹脂(ナイロン12、ウベスタ3012U、融点178℃)30重量部を、200℃に設定したラボプラストミル(東洋精機社製)で5分間、溶融混練した。
得られたポリエチレン/ポリアミド混練組成物のポリエチレン成分のゲル分率は、0%であった。
ここで得られたポリエチレン/ポリアミド溶融混練組成物をナイロン6(ユニチカ製、A1030BRL)に溶融混練した。溶融混錬には、2軸押出機(日本製鋼所製LABOTEX、L/D=28、φ=30mm)を使用した。
ベース樹脂ナイロン6(ユニチカ製、A1030BRL、100重量部)に対して、ポリエチレン/ポリアミド溶融混練組成物(10重量部)を混練した。混練後の樹脂組成物は、実施例1と同様の平板に成形した。
射出成形板の滑り摩耗試験を行ったところ、摩耗量0.91mg、摩耗試験開始から5分経過時の動摩擦係数0.308、摩耗試験開始から60分経過時の動摩擦係数0.382であった。
(比較例3)フッ素樹脂を添加したナイロン6の滑り摩耗試験
ナイロン6(ユニチカ製、A1030BRL、100重量部)に対して、フッ素樹脂(ダイキン(株)製、ルブロンL−5)10重量部を混練した。混練後の樹脂組成物は、実施例1と同様の平板に成形した。
射出成形板の滑り摩耗試験を行ったところ、摩耗量0.21mg、摩耗試験開始から5分経過時の動摩擦係数0.186、摩耗試験開始から60分経過時の動摩擦係数0.259であった。
(比較例4)超高分子量ポリエチレンを添加したナイロン6の滑り摩耗試験
ナイロン6(ユニチカ製、A1030BRL、100重量部)に対して、超高分子量ポリエチレン(三井化学(株)製、ミペロンXM220)10重量部を混練した。混練後の樹脂組成物は、実施例1と同様の平板に成形した。
射出成形板の滑り摩耗試験を行ったところ、摩耗量4.11mg、摩耗試験開始から5分経過時の動摩擦係数1.137、摩耗試験開始から60分経過時の動摩擦係数1.431であった。
(実施例2)ポリエチレン/ポリアミド動的架橋組成物を添加したポリカーボネート樹脂の滑り摩耗試験
(実施例1)で作成したポリエチレン/ポリアミド動的架橋組成物をポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、ユーピロン、S3000R)に溶融混練した。溶融混錬には、2軸押出機(日本製鋼所製LABOTEX、L/D=28、φ=30mm)を使用した。
ベース樹脂ポリカーボネート樹脂(S3000R、100重量部)に対して、ポリエチレン/ポリアミド動的架橋組成物(10重量部)を混練した。混練後の樹脂組成物は、射出成形機(型締力80t、東芝社製、射出成形条件:100rpm、射出圧力:高圧、90%、射出速度:中速、40〜60%、射出時間:10sec、冷却速度:20sec、金型温度:60℃)で120×120×(厚さ)2mmの平板に加工した。
射出成形板の滑り摩耗試験を行ったところ、摩耗試験後の摩耗量1.2mg、摩耗試験開始から5分経過時の動摩擦係数0.200、摩耗試験開始から60分経過時の動摩擦係数0.233であった。
(比較例5)ブランクのポリカーボネート樹脂の滑り摩耗試験
ベース樹脂ポリカーボネート樹脂(S3000R)を、上記(実施例2)と同様の条件で、120×120×(厚さ)2mmの平板に加工した。
射出成形板の滑り摩耗試験を行ったところ、摩耗試験後の摩耗量114.34mg、摩耗試験開始から5分経過時の動摩擦係数0.510、摩耗試験開始から60分経過時の動摩擦係数0.533であった。
(比較例6)フッ素樹脂を添加したポリカーボネート樹脂の滑り摩耗試験
ベース樹脂ポリカーボネート樹脂(S3000R、100重量部)に対して、フッ素樹脂(ダイキン(株)製、ルブロンL−5)10重量部を混練した。混練後の樹脂組成物は、実施例2と同様の平板に成形した。
射出成形板の滑り摩耗試験を行ったところ、摩耗量2.86mg、摩耗試験開始から5分経過時の動摩擦係数0.224、摩耗試験開始から60分経過時の動摩擦係数0.280であった。
得られた試験片(平板)の滑り摩耗試験評価(摩耗量、動摩擦係数値)を表1(ナイロン6系)、及び表2(ポリカーボネート系)に示す。
Figure 2009270024
Figure 2009270024
表1、表2より、本願発明のポリエチレン/ポリアミド動的架橋組成物は、ナイロン、ポリカーボネート樹脂といったエンジニアリングプラスチックの耐摩耗性を向上させ、摩耗量を著しく減じる効果があることが示された。

Claims (6)

  1. (A)熱可塑性樹脂100重量部に対して、摺動性改良剤として(B)ポリアミド樹脂とポリエチレン樹脂をラジカル開始剤の存在下で動的架橋させた組成物0.1〜100重量部を含有してなる熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記ポリアミド樹脂が融点が240℃以下のポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記ポリアミド樹脂がナイロン12であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記ポリエチレン樹脂が高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 前記ポリエチレン樹脂がJIS K 7210記載のメルトマスフローレートが20以下であるポリエチレンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. (A)熱可塑性樹脂が、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエステル樹脂、およびポリフェニレンエーテル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
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