JP2016210008A - キャパシタ用基材フィルムの製造方法及びキャパシタ用基材フィルム - Google Patents

キャパシタ用基材フィルムの製造方法及びキャパシタ用基材フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】耐電圧特性や機械的特性等を低下させることなく、厚さ10μm以下の基材フィルムの滑り性を向上させることのできるキャパシタ用基材フィルムの製造方法及びキャパシタ用基材フィルムを提供する。
【解決手段】100℃以上のガラス転移点を有する非晶性の熱可塑性樹脂1を溶融押出成形機10に投入し、この溶融押出成形機10のTダイス13からキャパシタ用の基材フィルム2を連続的に下方に押し出して圧着ロール16と冷却ロール21との間に挟み、これら圧着ロール16と冷却ロール21との間に挟んで冷却した基材フィルム2を巻取機17に巻き取るキャパシタ用基材フィルム2の製造方法であり、冷却後の厚さ1〜10μm以下の基材フィルム2にケイ酸化炎処理をケイ酸化炎処理装置30で施すことにより、基材フィルム2に酸化ケイ素層等を形成して滑り性を向上させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、耐電圧特性や機械的特性等を低下させることなく、キャパシタ用の基材フィルムの滑り性を向上させることのできるキャパシタ用基材フィルムの製造方法及びキャパシタ用基材フィルムに関するものである。
ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリサルホン(PSU)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリフェニレンサルホン(PPSU)、あるいはポリアミドイミド(PAI)等の100℃以上のガラス転移点(Tg)を有する非晶性の熱可塑性樹脂は、機械的性質、耐熱性、難燃性、寸法安定性、電気的特性等に優れた性質を有している。これら非晶性の熱可塑性樹脂は、係る特徴に鑑み、フィルムキャパシタ用の基材フィルムに利用されている。
上記熱可塑性樹脂の中でも、ポリエーテルイミドは、ガラス転移点が200℃以上で耐熱性に優れ、絶縁破壊電圧が高いので耐電圧性にも優れ、しかも、誘電正接の周波数依存性と温度依存性とが小さく、さらにセルフフィーリング性も高いので、フィルムキャパシタ用の基材フィルムには最適である。
しかしながら、ポリエーテルイミド等の非晶性の熱可塑性樹脂は、通常、滑り性(摺動性)に劣るため、例えば厚さ10μm以下の基材フィルムの製造時に基材フィルムの巻き取りに支障を来したり、スリット形成の作業が困難化したり、基材フィルムに皺の生じる場合がある。また、基材フィルムに裂けや破断が生じたり、巻取機に不適切に巻き付いたりするという問題もある。さらには、フィルムキャパシタの製造中の金属蒸着工程、素子巻取工程、次工程のプレス工程でも不具合が発生する。
例えば、金属蒸着工程は、基材フィルムにアルミニウム、亜鉛、Alloy(アルミニウムと亜鉛の混合蒸着)等の金属を蒸着させ、電極を形成する工程であるが、この工程で基材フィルムの滑り性が不十分であると、基材フィルム同士が密着し、基材フィルムの巻出し中に基材フィルムが破断するおそれがある。また、蒸着装置内のロールに基材フィルムが巻き付いてしまうという不具合が生じる。
素子巻取工程は、巻き芯と呼ばれる軸に基材フィルムを巻き取る工程であるが、この工程で基材フィルムの滑り性が不十分であると、巻き取った基材フィルムに皺が発生したり、巻き取り時に基材フィルムが破断してしまう等の問題が生じる。また、プレス工程は、巻き取った素子を熱と圧力で成形する工程であるが、この工程で基材フィルムの滑り性が不十分であると、過圧力で基材フィルムを成形することになるので、基材フィルムが破断したり、フィルムキャパシタの変形を招くこととなる。
以上のことから、フィルムキャパシタ用の基材フィルムに非晶性の熱可塑性樹脂を用いる場合には、滑り性について改良する必要がある。一般に樹脂フィルムの滑り性を改善する方法としては、(1)樹脂フィルムの表面に微細な凹凸を形成して表面の摩擦係数を低下させる方法、(2)シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン等の無機化合物を添加することにより、樹脂フィルムの表面に微小な突起を形成して表面の摩擦係数を低下させる方法、(3)グリセリンモノベヘネートやグリセリンモノステアレート等のグリセリン及び炭素数が20以上である脂肪族モノステアレートを添加する方法(特許文献1参照)、(4)熱可塑性樹脂にシリコーンオイル(特許文献2参照)やフッ素樹脂(特許文献3、4参照)等の摩擦係数の小さな化合物を添加することにより、樹脂フィルムを溶融押出成形して表面の摩擦係数を低下させる方法があげられる。
特開2008‐308606号公報 特開2009‐248525号公報 特開平09‐302209号公報 特開2010‐147329号公報
しかしながら、(1)の方法の場合には、樹脂フィルム表面の滑り性が十分とはいえず、しかも、厚さ10μm以下の樹脂フィルムを製造する際、機械的性質が低下するので、巻き取り中に樹脂フィルムが破断してしまうという問題が生じる。
また、(2)の方法の場合には、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン等の無機化合物を添加するので、厚さ10μm以下の樹脂フィルムを成形しようとすると、ドローレゾナンスが発生し、しかも、樹脂フィルムの機械的性質が低下するので、厚さ10μm以下の樹脂フィルムの成形が困難になる。また、厚さ10μm以下の樹脂フィルムを成形しても、樹脂フィルム表面に無機物の突起が現れ、樹脂フィルムの絶縁破壊電圧が低下して耐電圧特性に問題が生じることとなる。
また、(3)の方法の場合には、ポリカーボネートのような溶融成形温度が300℃以下の樹脂には採用可能であるが、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルホン等のガラス転移点が200℃を越えるような非晶性の熱可塑性樹脂のとき、成形温度が300℃を越えるため、溶融成形中にグリセリン及び炭素数が20以上である脂肪族モノステアレートが分解したり、揮発するおそれがある。また、グリセリン及び炭素数が20以上である脂肪族モノステアレートが溶融成形後の樹脂フィルムから滲み出して金属蒸着不良を惹起したり、金属蒸着後の金属が剥離したり、フィルムキャパシタ内を汚染させるおそれがあるので、好ましくない。
また、(4)の方法の場合には、樹脂フィルムの品質や製造工程に問題が生じるおそれがある。この点について詳しく説明すると、溶融成形温度が300℃を越える非晶性の熱可塑性樹脂を使用すると、溶融押出成形中にオレフィン系ワックスが熱分解するおそれがあり、熱分解すると、熱分解物により樹脂フィルムに孔が開いたり、孔の開いた部分から樹脂フィルムが切れて巻き取れないという問題が新たに生じる。また、樹脂フィルムを巻き取った後、熱分解物が凸状になるので、外観不良を招くおそれがある。また、低分子生成物が液状のときには、溶融押出成形後の樹脂フィルムから滲み出しや移行の問題が発生する。
また、非晶性の熱可塑性樹脂にシリコーンオイルを添加し、溶融押出成形する場合、シリコーンオイルの一部が押出成形機の内部に残留し、この残留物が酸素の存在する高温の雰囲気下で酸素と架橋反応して変質するので、ゲルの生成やシリコーンオイルの分子鎖の切断による低分子生成物の生成を招くこととなる。ゲルが生じると、ゲル部分から樹脂フィルムに孔が開いたり、孔の開いた部分から樹脂フィルムが切れて巻き取れないという問題が新たに生じる。
また、例え樹脂フィルムを巻き取ることができたとしても、樹脂フィルム中に異物が残存する関係上、10μm以下の薄い樹脂フィルムを製造する際、巻取工程のトラブル、品質の不具合、ロングラン成形性の低下を招いたり、ゲル状部分が凸状となり、外観不良を招くおそれがある。また、低分子生成物が液状のときには、溶融押出成形後の樹脂フィルムから滲み出しや移行の問題が生じる。
また、(4)の特許文献3には、フッ素樹脂としてポリテトラフルオロエチレンを添加し、成形品に摺動性を付与する方法が記載されている。このポリテトラフルオロエチレンは、溶融粘度が非常に高いため、溶融流動性がほとんど認められない。また、ポリテトラフルオロエチレンは、摺動剤として熱可塑性樹脂に添加される場合、一般的に微粉体の形状で使用されるが、熱可塑性樹脂に添加されて成形材料を調製し、この成形材料を用いた押出成形により、厚さが10μm以下の樹脂フィルムを製造するとき、均一分散性が悪いので、滑り性を確保するためには、多量に添加される必要がある。
しかし、ポリテトラフルオロエチレンを熱可塑性樹脂に大量に添加した成形材料は、溶融時の伸びが大きく低下するため、厚さ10μm以下の樹脂フィルムの製造がきわめて困難になる。また、ポリテトラフルオロエチレンは、熱可塑性樹脂中での分散性が悪いので、樹脂フィルム中でダマ状となり、樹脂フィルムの外観不良を招くこととなる。したがって、この組成物により得られる厚さ10μm以下の樹脂フィルムは、機械的強度の低下や孔開き等の問題が生じる。
さらに、(4)の特許文献4には、ポリエーテルイミドにフッ素樹脂を添加する方法が開示されている。この方法により得られる樹脂フィルムは、滑り性が改善するものの、フッ素樹脂として主に、ポリテトラフルオロエチレン‐パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(以下、PFA樹脂という)、あるいはテトラフルオロエチレン‐ヘキサフルオロプロピレン共重合体(以下、FEP樹脂という)の2種類が使用されている。これら2種類のフッ素樹脂を添加したポリエーテルイミド樹脂フィルムは、誘電率が低下するおそれがあり、フィルムキャパシタに使用される場合、性能の低下を招くおそれが少なくない。
本発明は上記に鑑みなされたもので、耐電圧特性や機械的特性等を低下させることなく、厚さ10μm以下の薄い基材フィルムの滑り性を向上させることのできるキャパシタ用基材フィルムの製造方法及びキャパシタ用基材フィルムを提供することを目的としている。
本発明等は、上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、被塗布物の表面にナノレベルの酸化ケイ素層等を酸化炎を介して形成するケイ酸化炎処理法に着目し、非晶性の基材フィルムにケイ酸化炎処理を施すことにより、本発明を完成させた。
すなわち、本発明においては上記課題を解決するため、100℃以上のガラス転移点を有する非晶性の熱可塑性樹脂を押出成形機に投入し、この押出成形機のダイスからキャパシタ用の基材フィルムを押し出して圧着ロールと冷却ロールとの間に挟み、これら圧着ロールと冷却ロールとの間に挟んで冷却した基材フィルムを巻取機に巻き取る製造方法であって、
冷却後の厚さ1〜10μm以下の基材フィルムにケイ酸化炎処理を施すことを特徴としている。
なお、少なくともポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリフェニレンサルホン系樹脂、あるいはポリアミドイミド系樹脂から選択される基材フィルムに、ケイ酸化炎処理を複数回施すことができる。
ここで、特許請求の範囲における非晶性の熱可塑性樹脂のガラス転移点は、100℃以上、好ましくは200〜240℃、より好ましくは212〜223℃の範囲内であるのが良い。この熱可塑性樹脂の絶縁破壊電圧は、205〜340V/μm、好ましくは207〜330V/μmの範囲が良い。また、静摩擦係数は0.620〜0.750、好ましくは0.624〜0.741が良く、動摩擦係数は0.510〜0.620、好ましくは0.513〜0.616が良い。
ケイ酸化炎処理は、冷却した基材フィルムであれば、巻き取り前の基材フィルムの表面、裏面、表裏面に施すこともできるし、巻き取り後の基材フィルムの表面、裏面、表裏面に施すこともできる。このケイ酸化炎処理は、必要に応じ、基材フィルムに対して処理装置を15〜150mm、好ましくは30〜50mm程度の距離を置き、1〜4回程度施すことができる。
本発明によれば、冷却後の基材フィルムの表面、裏面、あるいは表裏面にケイ酸化炎処理装置により、ケイ酸化の火焔を接触させてケイ酸化炎処理を施し、基材フィルムの滑り性を向上させる。
本発明によれば、耐電圧特性や機械的特性等を低下させることが少なく、キャパシタ用の厚さ10μm以下の薄い基材フィルムの滑り性を向上させることができるという効果がある。
また、請求項2記載の発明によれば、基材フィルムにケイ酸化炎処理を複数回施すので、処理のバラツキを抑制し、基材フィルムに酸化ケイ素層等を確実に形成することができる。
本発明に係るキャパシタ用基材フィルムの製造方法及びキャパシタ用基材フィルムの実施形態を模式的に示す全体説明図である。 本発明に係るキャパシタ用基材フィルムの製造方法の実施形態におけるケイ酸化炎処理装置とその火焔を模式的に示す説明図である。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態におけるキャパシタ用基材フィルム2の製造方法は、図1や図2に示すように、非晶性の熱可塑性樹脂1を溶融押出成形機10に投入して溶融混練し、この溶融押出成形機10のTダイス13からキャパシタ用の基材フィルム2を連続的に下方に押し出して圧着ロール16と冷却ロール21との間に挟持させ、これら圧着ロール16と冷却ロール21との間に挟持させて冷却した厚さ1〜10μm以下の基材フィルム2を巻取機17に巻き取る製造方法であり、冷却後の基材フィルム2にケイ酸化炎処理装置30により、ケイ酸化炎処理を施すようにしている。
非晶性の熱可塑性樹脂1は、特に限定されるものではないが、少なくともPCに代表されるポリカーボネート系樹脂、PARに代表されるポリアリレート系樹脂、PEIに代表されるポリエーテルイミド系樹脂、PSUに代表されるポリサルホン系樹脂、PESに代表されるポリエーテルサルホン系樹脂、PPSUに代表されるポリフェニレンサルホン系樹脂、あるいはPAIに代表されるポリアミドイミド系樹脂等からなり、少なくとも100℃以上のガラス転移点を有する。これらの熱可塑性樹脂1は、単独あるいはブレンドして使用される。
これらの熱可塑性樹脂1の中では、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリフェニレンサルホン系樹脂が、ガラス転移点が200℃以上で耐熱性に優れ、絶縁破壊電圧が高いので耐電圧性に優れ、しかも、誘電正接の周波数依存性と温度依存性とが小さく、さらにセルフフィーリング性も高いので、フィルムキャパシタ用の基材フィルム2に最適である。
ポリエーテルイミドの具体例としては、Ultem1000‐1000〔SABIC イノベーティブプラスチツク社製 製品名〕、Ultem1010‐1000〔SABIC イノベーティブプラスチツク社製 製品名〕、Ultem9011‐1000‐NB〔SABIC イノベーティブプラスチツク社製 製品名〕、CRS5001‐1000‐NB〔SABIC イノベーティブプラスチツク社製 製品名〕等があげられる。
係るポリエーテルイミドの製造方法としては、例えば特公昭57‐9372号公報や特表昭59‐80067号公報等に記載の方法があげられる。また、ポリエーテルイミドは、本発明の効果を損なわない範囲で他の共重合可能な単量体とのブロック共重合体、ランダム共重合体、変性体も使用可能である。例えば、ポリエーテルイミドサルフォン共重合体であるUltem XH6050‐1000〔SABIC イノベーティブプラスチツク社製 製品名〕を使用することができる。ポリエーテルイミドについては、1種類を単独、あるいは2種類以上をアロイ化あるいはブレンドして使用しても良い。
ポリエーテルサルホンの具体例としては、スミカエクセル PES〔住友化学社製 製品名〕、ベラデル ポリエーテルサルホン〔ソルベイスペシャルティポリマーズ社製 製品名〕、ウルトラゾーン E〔BASF社製 製品名〕等があげられる。このポリエーテルサルホンについては、本発明の効果を損なわない範囲で他の共重合可能な単量体とのブロック共重合体、ランダム共重合体、変性体も使用可能である。
ポリフェニレンサルホンの具体例としては、レーデル R ポリフェニレンサルホン〔ソルベイスペシャルティポリマーズ社製 製品名〕、ウルトラゾーン P〔BASF社製 製品名〕等があげられる。このポリフェニレンサルホンも、本発明の効果を損なわない範囲で他の共重合可能な単量体とのブロック共重合体、ランダム共重合体、変性体も使用可能である。
非晶性の熱可塑性樹脂1を用い、キャパシタ用の基材フィルム2を製造する場合には、溶融押出成形法、カレンダー成形法、又はキャスティング成形法等の公知の製造法を採用することができる。しかしながら、基材フィルム2の厚さ精度、生産性、ハンドリング性の向上、設備の簡略化の観点から、溶融押出成形法により連続的に薄く押出成形することが好ましい。ここで、溶融押出成形法とは図1に示すように、溶融押出成形機10を使用して非晶性の熱可塑性樹脂1を溶融混練し、溶融押出成形機10の先端部のTダイス13から基材フィルム2を連続的に押し出して製造する方法である。
溶融押出成形機10は、例えば単軸押出成形機や二軸押出成形機等からなり、投入された熱可塑性樹脂1を溶融混練するよう機能する。この溶融押出成形機10の上部後方には、熱可塑性樹脂1用の原料投入口11が設置され、この原料投入口11には、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス、窒素ガス、二酸化炭素ガス等の不活性ガスを必要に応じて供給する不活性ガス供給管12が接続されており、この不活性ガス供給管12による不活性ガスの流入により、熱可塑性樹脂1の酸化劣化や酸素架橋が有効に防止される。
溶融押出成形機10の溶融混練時の温度は、熱可塑性樹脂1の融点(例えば、ポリエーテルイミドの場合、グレードに応じ、210〜220℃)から分解温度に調整される。これは、熱可塑性樹脂1の融点未満の場合には、熱可塑性樹脂1を溶融押出成形することができず、逆に分解温度を越える場合には、熱可塑性樹脂1が分解するおそれがあるからである。
Tダイス13は、溶融押出成形機10の先端部に連結管14を介して装着され、薄い帯形の基材フィルム2を連続的に下方に押し出すよう機能する。このTダイス13の上流には、連結管14に装着されたギアポンプ15が位置し、このギアポンプ15が熱可塑性樹脂1を一定速度で、かつ高精度にTダイス13に移送する。Tダイス13の押出時の温度は、熱可塑性樹脂1の融点〜分解温度に調整される。これは、熱可塑性樹脂1の融点未満の場合には、熱可塑性樹脂1の溶融押出成形が困難となり、逆に分解温度を越える場合には、熱可塑性樹脂1が分解するおそれがあるからである。
圧着ロール16は、冷却ロール21を挟持するようTダイス13の下方に回転可能に一対が軸支される。この一対の圧着ロール16のうち、下流の圧着ロール16の下流には、基材フィルム2を巻き取る巻取機17の巻取管18が回転可能に設置され、圧着ロール16と巻取機17の巻取管18との間には、基材フィルム2の側部にスリットを形成するスリット刃19が昇降可能に配置されており、このスリット刃19と巻取機17の巻取管18との間には、基材フィルム2にテンションを作用させて円滑に巻き取るための回転可能なテンションロール20が必要数軸支される。
各圧着ロール16の周面には、基材フィルム2と冷却ロール21との密着性を向上させる観点から、少なくとも天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ノルボルネンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等のゴム層が必要に応じて被覆形成され、このゴム層には、シリカやアルミナ等の無機化合物が選択的に添加される。これらの中では、耐熱性に優れるシリコーンゴムやフッ素ゴムの採用が好ましい。
圧着ロール16としては、表面が金属の金属弾性ロールが必要に応じて使用され、この金属弾性ロールが使用される場合には、表面が平滑性に優れる基材フィルム2の成形が可能となる。この金属弾性ロールの具体例としては、例えば金属スリーブロール、エアーロール〔ディムコ社製 製品名〕、UFロール〔日立造船社製 製品名〕が該当する。
このような圧着ロール16は、例えば熱可塑性樹脂1がポリエーテルイミドの場合、217℃以下、好ましくは200℃以下、より好ましくは50℃〜180℃の温度に調整され、基材フィルム2に摺接してこれを冷却ロール21に圧接する。圧着ロール16の温度が係る範囲なのは、圧着ロール16の温度が217℃を越える場合には、基材フィルム2の製造中に基材フィルム2が圧着ロール16に貼り付き、基材フィルム2が破断するおそれがあるからである。逆に、50℃未満の場合には、基材フィルム2の厚さ精度が低下するからである。
冷却ロール21は、例えば圧着ロール16よりも拡径の金属ロールからなり、Tダイス13の下方に回転可能に軸支されて押し出された基材フィルム2を圧着ロール16との間に挟持し、圧着ロール16と共に基材フィルム2を冷却しながらその厚さを所定の範囲内に制御するよう機能する。この冷却ロール21は、圧着ロール16と同様、熱可塑性樹脂1がポリエーテルイミドの場合、217℃以下、好ましくは200℃以下、より好ましくは50℃〜180℃の温度に調整され、基材フィルム2に摺接する。これは、冷却ロール21の温度が217℃を越える場合には、基材フィルム2製造中に基材フィルム2が冷却ロール21に貼り付き、破断するおそれがあるという理由に基づく。
冷却ロール21に冷却される基材フィルム2の厚さは、1〜10μm、好ましくは3.0〜8.0μm、より好ましくは3.2〜7.6μmの範囲が好適である。これは、基材フィルム2の厚さが1μm未満の場合には、フィルムの機械的強度が著しく低下するので、基材フィルム2の成形が困難になるという理由に基づく。逆に、基材フィルム2の厚さが10μmを越える場合には、体積当たりの静電容量が小さくなるからである。この基材フィルム2の厚さは、各種のマイクロメータにより、測定することができる。
ケイ酸化炎処理装置30は、図1や図2に示すように、圧着ロール16とスリット刃19との間に介在され、冷却後の基材フィルム2に酸化した火焔31を噴射してケイ酸化炎処理を施すことにより、基材フィルム2の表面を活性化するよう機能する。このケイ酸化炎処理装置30によるケイ酸化炎処理は、ケイ素原子、チタン原子、又はアルミニウム原子を含む900〜1200℃、好ましくは約1000℃の高温の火焔31を用いた処理方法であり、フレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理とは異なり、基材フィルム2の炎熱分解により、基材フィルム2の全部一部に、特に反応性OH基の密度が高い酸化ケイ素層、酸化チタン層、酸化アルミナ層を形成する火焔処理方法である(例えば、特許第4408879号参照)。
ケイ酸化炎処理装置30は、例えば混合ガスを供給するガス供給口と、火焔31を噴出する噴出口とを備えたバーナ構造に構成され、混合ガスとケイ素含有化合物とを燃焼させ、ケイ酸化炎を噴出口より噴射する。このケイ酸化炎処理装置30は、火焔31の内炎32、火焔反応帯33、外炎34のうち、内炎32が小さく、大きな活性の火焔反応帯33を形成可能な炎孔並列方式のラインバーナー構造に構成され、質の良い処理を行う観点から、火焔31の内部が下方の基材フィルム2の表面に接触するよう用いられるのが好ましい。
混合ガスは、引火性ガス及び空気からなり、これらの体積比率が1:3〜1:80の範囲に調整される。この混合ガス中にはケイ素含有化合物が含有される。また、引火性ガスは、プロパンガス、ブタンガス、都市ガス、又は天然ガスを含み、このガスにより酸化炎が得られる。また、ケイ素含有化合物は、例えばテトラメトキシシラン、ビニルトリエトキシシシラン、ヘキサメチルジシラザン、n‐プロピルトリメトキシシラン等からなり、引火性ガスと空気とからなる混合ガスに対し、10−2〜10−6のモル分率で添加される。ケイ酸化炎処理装置30の具体例としては、イトロ社製のNTS又はハンディ・ナノプライマー処理装置等があげられる。
火焔31は、火焔31の空燃比を変更して様々な火焔31を形成できるよう、予混合火焔が利用されるのが好ましい。また、ケイ酸化炎処理の処理回数は、1回でも複数回(例えば、1〜4回等)でも良いが、処理のバラツキを抑制し、酸化ケイ素層等を確実に形成する観点から、好ましくは2〜4回、より好ましくは2〜3回施されるのが良い。また、ケイ酸化炎処理の処理時間は、例えば巻き取られる基材フィルム2に対する熱影響を抑制する観点から、50〜800mm/sec、好ましくは100〜750mm/sec程度が良い。
上記において、基材フィルム2を製造する場合には図1に示すように、溶融押出成形機10の原料投入口11に熱可塑性樹脂1を不活性ガスを供給しながら投入し、溶融押出成形機10により熱可塑性樹脂1を加熱・加圧状態で溶融混練し、Tダイス13から帯形の基材フィルム2を連続的に押し出す。この際、熱可塑性樹脂1の溶融混練前における含水率は、5000ppm以下、好ましくは2000ppm以下、より好ましくは250〜2000ppm以下に調整される。これは、熱可塑性樹脂1の溶融混練前における含水率が5000ppmを越える場合には、熱可塑性樹脂1が発泡するおそれがあるからである。
基材フィルム2を押し出したら、一対の圧着ロール16、冷却ロール21、テンションロール20、巻取機17の巻取管18に順次巻架し、基材フィルム2を冷却ロール21により冷却するとともに、この冷却した基材フィルム2の表面に、ケイ酸化炎処理装置30で火焔31の内部を接触させて50〜100℃に加熱することにより、ケイ酸化炎処理を施し、基材フィルム2の両側部をスリット刃19でそれぞれカットし、その後、巻取管18に順次巻き取れば、基材フィルム2を製造することができる。
基材フィルム2の表面には、本発明の効果を失わない範囲で微細な凹凸を形成し、基材フィルム2表面の摩擦係数を低下させることができる。この微細な凹凸の形成方法としては、例えば(1)熱可塑性樹脂1を溶融押出成形機10により溶融混練し、この溶融混練した熱可塑性樹脂1をTダイス13から微細な凹凸を周面に有する冷却ロール21上に吐き出して密着させ、基材フィルム2の成形時に微細な凹凸を同時に形成する方法、(2)基材フィルム2を製造した後、微細な凹凸を周面に有する冷却ロール21上に密着させ、微細な凹凸を形成する方法がある。いずれの方法をも採用することができるが、設備の簡略化の観点からすると、(1)の方法が好ましい。
上記によれば、基材フィルム2に酸化ケイ素層を形成するので、滑り性を著しく向上させることができ、しかも、厚さ10μm以下の基材フィルム2を製造する際、機械的性質が低下することもないので、巻き取り中の基材フィルム2の破断を有効に防止することができる。また、酸化ケイ素の粒子径がnmオーダーなので、耐電圧特性の低下を有効に防止することができる。また、厚さ10μm以下の樹脂フィルムを成形する際、ドローレゾナンスが発生したり、基材フィルム2表面に無機物の突起が現れるおそれもない。
また、グリセリン及び炭素数が20以上である脂肪族モノステアレートを添加する必要もないので、成形中にグリセリン及び炭素数が20以上である脂肪族モノステアレートが分解したり、揮発するおそれがない。また、グリセリン及び炭素数が20以上である脂肪族モノステアレートが溶融成形後の基材フィルム2から滲み出して金属蒸着不良を惹起したり、金属蒸着後の金属が剥離したり、フィルムキャパシタ内を汚染させるおそれを排除することができる。
また、熱可塑性樹脂1にシリコーンオイルやフッ素樹脂等の摩擦係数の小さな化合物を添加する必要もないので、基材フィルム2の品質や製造工程に諸問題が生じるおそれを排除することが可能になる。また、ケイ酸化炎処理により、帯電防止効果が期待できるので、塵埃等の異物付着を防止することができ、しかも、基材フィルム2の表面が安定するので、生産ラインの停止が解消され、ライン稼働率の上昇が大いに期待できる。
また、ケイ酸化炎処理により、乾燥工程が不要になるので、生産工程の短縮が可能になる。また、レベリング性が向上するので、不良率の低減が大いに期待できる。さらに、環境汚染物質を使用しないので、環境負荷の低減も期待できる。
なお、上記実施形態では圧着ロール16とスリット刃19との間にケイ酸化炎処理装置30を介在させたが、何らこれに限定されるものではない。例えば、巻取機17の巻取管18の下流にケイ酸化炎処理装置30を配置し、巻取管18から繰り出した基材フィルム2にケイ酸化炎処理を施しても良い。また、ケイ酸化炎処理装置30を上下前後左右に移動可能に配置しても良い。
以下、本発明に係るキャパシタ用基材フィルムの製造方法及びキャパシタ用基材フィルムの実施例を比較例と共に説明する。
〔実施例1〕
先ず、非晶性の熱可塑性樹脂として、市販されているポリエーテルイミドを用意し、このポリエーテルイミドを溶融押出成形機により溶融混練するとともに、溶融押出成形機の先端部のTダイスから基材フィルムを連続的に押出成形し、平均厚さ5.3μm、長さ2000m、幅62cmの基材フィルムを作製した。ポリエーテルイミドとしては、Ultem9011‐1000‐NB〔SABIC イノベーティブプラスチツク社製 製品名〕を使用した。また、溶融押出成形機等は、図1に示す構成としたが、ケイ酸化炎処理装置を省略した。
基材フィルムを作製したら、この基材フィルムのガラス転移点を測定したところ、212℃であった。このガラス転移点は、JIS K7121に準じた示差走査熱量測定法により測定した。この測定に際しては、示差走査熱量計〔エスアイアイ・ナノテクノロジーズ社製 製品名EXSTAR7000シリーズ X‐DSC7000〕を使用し、1分間に10℃/分の昇温速度で実施した。
次いで、基材フィルムを折れ刃式のカッターナイフでA4サイズに切り出し、この基材フィルムの押出方向を板目表紙の長手方向となるよう粘着テープで固定し、この基材フィルムにケイ酸化炎処理をケイ酸化炎処理装置により施した。ケイ酸化炎処理装置としては、イトロ社製の装置を用いた。このケイ酸化炎処理装置によるケイ酸化炎処理は、0.4秒×2回の条件で実施した。ケイ酸化炎処理装置のケイ素含有化合物としては、テトラメトキシシラン〔純正化学社製 製品名 試薬 特級〕を使用し、混合ガスである燃料ガスとの割合が0.03モル%になるよう調整した。
基材フィルムにケイ酸化炎処理を施したら、基材フィルムを板目表紙から剥離し、基材フィルムの滑り性、耐電圧特性、機械的特性、及び引張特性を表1にまとめて評価した。
・基材フィルムの滑り性
基材フィルムの滑り性は、JIS K7125に準じ、静摩擦係数と動摩擦係数とにより評価した。これら静摩擦係数と動摩擦係数は、表面性測定機TYPE:14D〔新東科学社製 製品名〕を使用し、ケイ酸化炎処理した基材フィルムを板目表紙から剥離し、圧子側に処理面、ガラス板側に未処理面を配置し、測定速度:100mm/min、荷重200gの条件下で測定した。
・基材フィルムの耐電圧特性
基材フィルムの耐電圧特性は、JIS C 2110‐1994法に準じ、絶縁破壊電圧により評価した。具体的には、気中法による短時間絶縁破壊試験で測定し、測定値を測定試料の厚みで割り、単位厚み当たりの絶縁破壊電圧値で示すこととした。測定に際しては、23℃の環境下で実施し、基材フィルムの巻き側から実施した。試験に用いる電極は、円柱形としてその上部を直径25mm、高さ25mmに形成し、下部を直径25mm、高さ15mmに形成した。測定箇所は5箇所とし、その平均値を基材フィルムの絶縁破壊電圧とした。
・基材フィルムの引張特性
基材フィルムの引張特性は、JIS K6781に準拠し、引張速度:50mm/minの条件下で、押出方向(MD)と幅方向(TD)とを測定した。幅方向は押出方向の直角方向である。基材フィルムの引張特性は、最大強度と破断時伸びにより評価した。
〔実施例2〕
先ず、非晶性の熱可塑性樹脂として、市販されているポリエーテルイミドを用意し、このポリエーテルイミドを溶融押出成形機により溶融混練するとともに、溶融押出成形機の先端部のTダイスから基材フィルムを連続的に押出成形し、平均厚さ7.6μm、長さ2000m、幅62cmの基材フィルムを作製した後、この基材フィルムのガラス転移点を測定したところ、222℃であった。ポリエーテルイミドとしては、CRS5001‐1000‐NB〔SABIC イノベーティブプラスチツク社製 製品名〕を使用した。
次いで、基材フィルムを折れ刃式のカッターナイフでA4サイズに切り出し、この基材フィルムの押出方向を板目表紙の長手方向となるよう粘着テープで固定し、この基材フィルムにケイ酸化炎処理をケイ酸化炎処理装置により施した。ケイ酸化炎処理装置としては、イトロ社製の装置を用いた。このケイ酸化炎処理装置によるケイ酸化炎処理は、0.4秒×2回の条件で実施した。ケイ酸化炎処理装置のケイ素含有化合物としては、ビニルトリエトキシシシラン〔信越化学工業社製 製品名KBE‐1003〕を使用し、混合ガスである燃料ガスとの割合が0.01モル%になるよう調整した。その他の部分については、実施例1と同様とした。
基材フィルムにケイ酸化炎処理を施したら、基材フィルムを板目表紙から剥離し、基材フィルムの滑り性、耐電圧特性、機械的特性、及び引張特性を表1にまとめて評価した。
〔実施例3〕
非晶性の熱可塑性樹脂として、市販されているポリエーテルサルホンを用意し、このポリエーテルサルホンを溶融押出成形機により溶融混練するとともに、溶融押出成形機の先端部のTダイスから基材フィルムを連続的に押出成形し、平均厚さ4.8μm、長さ2000m、幅62cmの基材フィルムを作製した後、この基材フィルムのガラス転移点を測定したところ、223℃であった。ポリエーテルサルホンとしては、ベラデル ポリエーテルサルホンA−301NT〔ソルベイスペシャルティポリマーズ社製 製品名〕を使用した。
次いで、基材フィルムを折れ刃式のカッターナイフでA4サイズに切り出し、この基材フィルムの押出方向を板目表紙の長手方向となるよう粘着テープで固定し、この基材フィルムにケイ酸化炎処理をケイ酸化炎処理装置により施した。ケイ酸化炎処理装置のケイ素含有化合物としては、ヘキサメチルジシラザン〔信越化学工業社製 製品名SZ‐31〕を使用し、混合ガスである燃料ガスとの割合が0.05モル%になるよう調整した。その他の部分については、実施例1と同様とした。
基材フィルムにケイ酸化炎処理を施したら、基材フィルムを板目表紙から剥離し、基材フィルムの滑り性、耐電圧特性、機械的特性、及び引張特性を表1にまとめて評価した。
〔実施例4〕
非晶性の熱可塑性樹脂として、市販されているポリフェニレンサルホンを用意し、このポリフェニレンサルホンを溶融押出成形機により溶融混練するとともに、溶融押出成形機の先端部のTダイスから基材フィルムを連続的に押出成形し、平均厚さ4.1μm、長さ2000m、幅62cmの基材フィルムを作製した後、この基材フィルムのガラス転移点を測定したところ、218℃であった。ポリフェニレンサルホンとしては、ウルトラゾーン P3010〔BASF社製 製品名〕を用いた。
次いで、基材フィルムを折れ刃式のカッターナイフでA4サイズに切り出し、この基材フィルムの押出方向を板目表紙の長手方向となるよう粘着テープで固定し、この基材フィルムにケイ酸化炎処理をケイ酸化炎処理装置により施した。ケイ酸化炎処理装置のケイ素含有化合物としては、n‐プロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業社製 製品名KBM‐3033〕を使用し、混合ガスである燃料ガスとの割合が0.02モル%になるよう調整した。その他の部分については、実施例1と同様とした。
基材フィルムにケイ酸化炎処理を施したら、基材フィルムを板目表紙から剥離し、基材フィルムの滑り性、耐電圧特性、機械的特性、及び引張特性を表1にまとめて評価した。
Figure 2016210008
実施例1〜4に示す基材フィルムの滑り性、耐電圧特性、機械的特性、及び引張特性については、ケイ酸化炎処理しない従来の基材フィルムと異なり、表1に示すようにきわめて良好な結果を得ることができた。
本発明に係るキャパシタ用基材フィルムの製造方法及びキャパシタ用基材フィルムは、フィルムキャパシタの製造分野で使用される。
1 熱可塑性樹脂
2 基材フィルム
10 溶融押出成形機(押出成形機)
13 Tダイス(ダイス)
16 圧着ロール
17 巻取機
18 巻取管
19 スリット刃
21 冷却ロール
30 ケイ酸化炎処理装置
31 火焔
32 内炎
33 火焔反応帯
34 外炎

Claims (3)

  1. 100℃以上のガラス転移点を有する非晶性の熱可塑性樹脂を押出成形機に投入し、この押出成形機のダイスからキャパシタ用の基材フィルムを押し出して圧着ロールと冷却ロールとの間に挟み、これら圧着ロールと冷却ロールとの間に挟んで冷却した基材フィルムを巻取機に巻き取るキャパシタ用基材フィルムの製造方法であって、
    冷却後の厚さ1〜10μm以下の基材フィルムにケイ酸化炎処理を施すことを特徴とするキャパシタ用基材フィルムの製造方法。
  2. 少なくともポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリフェニレンサルホン系樹脂、あるいはポリアミドイミド系樹脂から選択される基材フィルムに、ケイ酸化炎処理を複数回施す請求項1記載のキャパシタ用基材フィルムの製造方法。
  3. 請求項1又は2記載のキャパシタ用基材フィルムの製造方法により製造されたことを特徴とするキャパシタ用基材フィルム。
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