本実施形態の自動火災報知システム100は、図1に示すように、少なくとも1台の子機1と、1台の親機2とを備えている。
子機1は、図1に示すように、通信部16と、判断部171と、制御部172とを備えている。通信部16は、親機2との間で通信を行うように構成されている。判断部171は、火災か否かを判断して火災と判断すれば火災報を、他装置3を連動させる否かを判断して連動させると判断すれば連動報を通知可能な準備状態に移行するように構成されている。制御部172は、親機2が電気的に接続される一対の電線51,52を流れる電流を変化させることで火災報および連動報のいずれか一方を親機2に通知するように構成されている。
そして、制御部172は、火災報と連動報との少なくとも一方からなる特定報については、準備状態において親機2から許可を受けると特定報を親機2に通知するように構成されている。
また、特定報が、火災報である場合、制御部172は、準備状態が連動報を通知可能な状態であれば、親機2からの許可を待たずに連動報を親機2に通知するように構成されていてもよい。
また、制御部172は、準備状態が特定報を通知可能な状態であれば、親機2に許可を要求する要求信号を通信部16から送信させるように構成されていてもよい。
また、要求信号は、制御部172が属する子機1の固有の識別情報を含んでいてもよい。
親機2は、図1に示すように、(親機用)通信部23と、(親機用)判断部261と、(親機用)制御部262とを備えている。通信部23は、子機1との間で通信を行うように構成されている。判断部261は、一対の電線51,52間の電圧に応じて許可を子機1に与えるか否かを判断するように構成されている。制御部262は、判断部261の判断結果に応じて、許可を与える旨を知らせる許可信号、および許可を与えない旨を知らせる不許可信号のいずれか一方を、通信部23から子機1に送信させるように構成されている。
つまり、自動火災報知システム100は、上記の子機1と、親機2とを備えているのが好ましい。また、親機2は、上記の(親機用)通信部23と、(親機用)判断部261と、(親機用)制御部262とを備えているのが好ましい。
以下、本実施形態に係る自動火災報知システム100、子機1、および親機2について詳しく説明する。ただし、以下に説明する構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明は、下記の実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
<全体構成>
以下では、本実施形態の自動火災報知システム100が集合住宅(マンション)に用いられる場合を例示する。もちろん、本実施形態の自動火災報知システム100は、集合住宅に限らず、たとえば商業施設、病院、ホテル、雑居ビル等、様々な建物に用いられてもよい。
本実施形態の自動火災報知システム100においては、図2に示すように1棟の集合住宅6に対して、1台の親機2と、複数台の子機101,102,103…とが設けられている。なお、複数台の子機101,102,103…の各々を特に区別しないときには単に「子機1」という。
さらに、この自動火災報知システム100では、一対の電線51,52が1〜4階の階(フロア)ごとに配線されている。要するに、2本1組(2線式)の電線51,52は、集合住宅6全体で4組設けられている。
ここでは、各組の電線51,52に対して最大40〜80台の子機1が接続可能である。さらに、1台の親機2には、一対の電線51,52は最大で50〜200回線(50〜200組)接続可能である。したがって、たとえば各組の電線51,52に最大40台の子機1が接続可能で、1台の親機2に最大で50回線の一対の電線51,52が接続可能である場合、子機1は、1台の親機2に対して最大で2000(=40×50)台まで接続可能である。ただし、これらの数値は一例であって、これらの数値に限定する趣旨ではない。
なお、一対の電線51,52の終端(親機2と反対側の端部)においては、一対の電線51,52間が終端抵抗4を介して電気的に接続されている。そのため、親機2は、一対の電線51,52間に流れる電流を監視することで、一対の電線51,52の断線を検知
することが可能である。ただし、終端抵抗4は必須の構成ではなく、省略されていてもよい。
自動火災報知システム100は、基本的には、熱感知器や煙感知器や炎感知器等からなる子機1にて火災の発生を検知し、子機1から受信機である親機2へ火災発生の通知(火災報)がなされるように構成されている。ただし、子機1は、火災の発生を検知する感知器に限らず、発信機などを含んでいてもよい。発信機は、押しボタンスイッチを有し、人が火災を発見した場合に押しボタンスイッチを手動で操作することにより、親機2へ火災発生の通知(火災報)を行う装置である。
また、自動火災報知システム100は、他装置3を連動させるための通知(連動報)を子機1から親機2が受けた際、防排煙設備や非常用放送設備等の他装置3を連動させる連動機能を有している。そのため、自動火災報知システム100は、火災の発生時に、防排煙設備の防火扉を制御したり、非常用放送設備にて音響または音声により火災の発生を報知したりすることが可能である。
他装置3は、たとえば有線接続により親機2との間で通信可能に構成されており、親機2からの指示を受けて自動火災報知システム100と連動するように構成されている。ここでいう他装置3は、防火扉や排煙設備などの防排煙設備、非常用放送設備、外部移報装置、およびスプリンクラーなどの消火設備等、様々な装置を含んでおり、特定の装置(設備)には限定されない。なお、外部移報装置は、自動火災報知システム100が設置されている施設の外部の関係者、消防機関、警備会社等へ通報する装置である。
ここで、本実施形態の自動火災報知システム100では、子機1は、一対の電線51,52を流れる電流(ひいては、一対の電線51,52間の電圧)を火災報レベルまたは連動報レベルに調節することができる。したがって、本実施形態の自動火災報知システム100では、親機2は、火災報と連動報とを区別することができる。また、子機1は、一対の電線51,52を流れる電流(ひいては、一対の電線51,52間の電圧)を第1レベルと第2レベルとで交互に切り替えることにより、信号を送信することができる。また、親機2は、子機1と同様に、信号を送信することができる。
次に、親機2および子機1の構成について図1を用いて説明する。なお、図1は、1台の子機1が一対の電線51,52を介して1台の親機2に電気的に接続されている状態を示している。したがって、図1では、他の複数の子機1および他の一対の電線51,52の図示は省略されている。
<親機の構成例>
親機2は、子機1から火災発生の通知(火災報)、並びに他装置3を連動させるための通知(連動報)を受けるP型受信機である。親機2は、建物(集合住宅6)の管理室に設置される。
親機2は、図1に示すように、印加部21の他、抵抗22と、子機1との間で通信を行う(親機用)通信部23と、各種の表示を行う表示部24と、ユーザからの操作入力を受け付ける操作部25と、各部を制御する処理部26とを有している。
印加部21は、所定の電圧を一対の電線51,52に対して印加する。ここでは一例として、印加部21が一対の電線51,52間に印加する電圧は直流24Vとするが、この値に限定する趣旨ではない。
抵抗22は、印加部21と一対の電線51,52の少なくとも一方との間に接続されている。図1の例では、抵抗22は、一対の電線51,52のうち一方(高電位側)の電線51と印加部21との間に挿入されている。ただし、この例に限らず、抵抗22は、他方(低電位側)の電線52と印加部21との間に挿入されていてもよいし、一対の電線51,52の両方と印加部21との間にそれぞれ挿入されていてもよい。
また、抵抗22は、抵抗22を流れる電流を電圧降下により抵抗22の両端間の電位差(電圧)に変換する第1の機能と、一対の電線51,52間が短絡したときに一対の電線51,52に流れる電流を制限する第2の機能との2つの機能を有している。要するに、抵抗22は、電流−電圧変換素子としての第1の機能と、電流制限素子としての第2の機能とを兼ね備えている。ここでは一例として、抵抗22の抵抗値は470Ωとするが、この値に限定する趣旨ではない。
通信部23は、受信部231と、送信部232とで構成されている。受信部231および送信部232は、いずれも抵抗22と一対の電線51,52との間に電気的に接続されている。
受信部231は、一対の電線51,52間の電圧に基づいて、子機1から送信される信号を受信する。具体的には、子機1が後述するように一対の電線51,52を流れる電流を引き込むと、抵抗22を流れる電流の電流値が変化し、一対の電線51,52間の電圧が変化する。受信部231は、この一対の電線51,52間の電圧の電圧値を検出することにより、子機1から送信される信号を受信する。
送信部232は、一対の電線51,52を流れる電流を変化させることで、信号を子機1に送信する。具体的には、送信部232が印加部21から抵抗22に流れる電流を引き込むと、一対の電線51,52間の電圧が変化する。つまり、送信部232は、印加部21から抵抗22に流れる電流の引き込みにより、一対の電線51,52間の電圧を変化させることで、信号を子機1に送信する。
表示部24は、たとえばLED(Light Emitting Diode)や液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネセンスディスプレイ等を備えている。表示部24は、処理部26に制御されることで、子機1から受信した信号に含まれるデータに応じた内容を表示する。表示部24は、たとえば火災の発生や、火災の発生した階(フロア)を表示する。また、表示部24は、火災を検知した子機1の固有の識別情報(たとえば、アドレス)を取得できる場合は、当該子機1の設置場所を表示することも可能である。
処理部26は、マイコン(マイクロコンピュータ)を主構成とし、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより所望の機能を実現する。なお、プログラムは、予めメモリに書き込まれていてもよいが、メモリカードのような記録媒体に記憶されて提供されてもよいし、電気通信回線を通じて提供されてもよい。
処理部26は、判断部261および制御部262を含んでいる。判断部261は、一対の電線51,52間の電圧に応じて、許可を子機1に与えるか否かを判断する。たとえば、一対の電線51,52間の電圧の電圧値が火災報レベルおよび連動報レベルのいずれかである場合、判断部261は、火災報の通知の許可を子機1に与えてはいけないと判断する。また、一対の電線51,52間の電圧の電圧値が平常レベルである(つまり、一対の電線51,52間の電圧の電圧値が低下していない)場合、判断部261は、火災報の通知の許可を子機1に与えてもよいと判断する。
制御部262は、送信部232を制御して、一対の電線51,52間の電圧の電圧値を第1レベルと第2レベルとで交互に切り替えることにより、子機1に信号を送信する。ここでは、制御部262は、判断部261の判断結果に応じて、許可を与える旨を知らせる許可信号、および許可を与えない旨を知らせる不許可信号のいずれか一方を、通信部23(送信部232)から子機1に送信させる。
また、親機2は、他装置3を連動させるための連動部27をさらに有している。これにより、親機2は、子機1から連動報を受けると、連動部27から他装置3へ指示を出し、他装置3を連動させることができる。
親機2は、上述したように印加部21から一対の電線51,52間に電圧を印加することにより、一対の電線51,52に接続されている子機1を含め、自動火災報知システム100全体の動作用の電源として機能する。
さらに、親機2は、停電に際しても自動火災報知システム100の動作用の電源を確保できるように、蓄電池を用いた予備電源28をさらに有している。親機2は、商用電源、自家発電設備等を主電源とする。印加部21は、電力の供給元を、主電源の停電時に主電源から予備電源28に自動的に切り替え、主電源の復旧時には予備電源28から主電源に自動的に切り替える。予備電源28は、省令で定められる基準を満たすように容量等の仕様が決められている。
<子機の構成例>
子機1は、図1に示すように、ダイオードブリッジ11(Diode Bridge:DB)と、電源回路12と、センサ13と、通信部16と、処理部17と、記憶部18とを有している。
ダイオードブリッジ11は、入力端に一対の電線51,52が電気的に接続され、出力端に電源回路12、通信部16が電気的に接続されている。
電源回路12は、一対の電線51,52から供給される電力により充電されるコンデンサを有する。電源回路12は、センサ13、通信部16、処理部17、記憶部18に対して必要な電力を供給する。電源回路12は、一対の電線51,52を流れる電流が増加して一対の電線51,52間の電圧が低下した際に、コンデンサに蓄えた電力を供給する。なお、電源回路12は、一対の電線51,52間の電圧が変動しても子機1が電力不足にならないように構成されていればよい。
センサ13は、たとえば煙の濃度の変化、温度の変化、一酸化炭素等のガス濃度の変化を検出することで、火災や煙の発生を検知する。
通信部16は、送信回路14と、受信回路15とで構成されている。送信回路14および受信回路15は、いずれも一対の電線51,52に電気的に接続されている。
送信回路14は、一対の電線51,52を流れる電流を変化させることで、信号を親機2に送信する。具体的には、送信回路14が一対の電線51,52に流れる電流を引き込むと、一対の電線51,52間の電圧が変化する。つまり、送信回路14は、一対の電線51,52に流れる電流の引き込みにより、一対の電線51,52間の電圧を変化させることで、信号を親機2に送信する。
受信回路15は、一対の電線51,52間の電圧の変化に基づいて、親機2から送信される信号を受信する。具体的には、親機2が一対の電線51,52を流れる電流を引き込むと、抵抗22を流れる電流の電流値が変化し、一対の電線51,52間の電圧が変化する。受信回路15は、この一対の電線51,52間の電圧の電圧値を検出することにより、親機2から送信される信号を受信する。
処理部17は、送信回路14および受信回路15を制御する。処理部17は、センサ13の出力に応じて電流の引き込み量を調節することで送信回路14から親機2に信号を送信させたり、親機2からの信号を受信回路15で受信させたりする。ここでは、処理部17はマイコン(マイクロコンピュータ)を主構成とし、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより所望の機能を実現する。なお、プログラムは、予めメモリに書き込まれていてもよいが、メモリカードのような記録媒体に記憶されて提供されてもよいし、電気通信回線を通じて提供されてもよい。
処理部17は、判断部171および制御部172を含んでいる。判断部171は、火災か否かを判断して火災と判断すれば火災報を、他装置3を連動させる否かを判断して連動させると判断すれば連動報を通知可能な準備状態に移行する。たとえば、判断部171は、センサ13の出力(センサ値)を定期的に読み込み、センサ13の出力が第1閾値を超えると、火災と判断して火災報を通知可能な準備状態(第1準備状態)に移行する。また、判断部171は、センサ13の出力が第2閾値(>第1閾値)を超えると、他装置3を連動させると判断して連動報を通知可能な準備状態(第2準備状態)に移行する。
制御部172は、判断部171の判断結果と、親機2からの許可の是非とに応じて送信回路14を制御することにより、一対の電線51,52を流れる電流の引き込み量を調節し、一対の電線51,52間の電圧を変化させる。たとえば、制御部172は、判断部171が第1準備状態に移行し、かつ、親機2からの許可を受けている場合、一対の電線51,52間の電圧を火災報レベルに調節することで、火災報を親機2に通知する。また、制御部172は、判断部171が第2準備状態に移行し、かつ、親機2からの許可を受けている場合、一対の電線51,52間の電圧を連動報レベルに調節することで、連動報を親機2に通知する。ここで、連動報レベルは、火災報レベルとは異なる値(電圧値)であって、火災報レベルよりも低い電圧値である(火災報レベル>連動報レベル)。つまり、制御部172は、一対の電線51,52を流れる電流を変化させることで火災報および連動報のいずれか一方を親機2に通知する。
また、制御部172は、送信回路14を制御して、一対の電線51,52間の電圧の電圧値を第1レベルと第2レベルとで交互に切り替えることにより、親機2に信号を送信する。信号には、たとえば子機1単位で発報元を特定するための情報(識別情報)や、自動試験のための情報などが含まれる。なお、自動試験の項目としては、たとえば生存確認(キープアライブ)、子機1の自己診断等が含まれている。
本実施形態の自動火災報知システム100では、制御部172は、親機2に許可を要求する要求信号を通信部16(送信回路14)から送信させる機能も有している。たとえば、判断部171が第1準備状態に移行すると、制御部172は、火災報の通知の許可を親機2に要求するために、通信部16から要求信号を送信させる。
記憶部18は、子機1に予め割り当てられている識別情報(たとえば、アドレス)を少なくとも記憶する。つまり、複数台の子機101,102,103…には、それぞれ固有の識別情報が割り当てられている。各識別情報は、複数台の子機101,102,103…の各々の設置場所(たとえば部屋番号)と対応付けられて親機2に登録される。
<通信例>
以下、本実施形態の自動火災報知システム100の通信例について、図3を用いて説明する。図3は、横軸を時間軸、縦軸を電圧値として、一対の電線51,52間の電圧を表している。また、図3では、子機1が一対の電線51,52を流れる電流の引き込み量を調節することにより、一対の電線51,52間の電圧の電圧値をV0からV1,V2,V3,V4,V5の5段階で段階的に引き下げていると仮定する。
時刻t0〜t1の期間は、子機1が火災報および連動報のいずれも通知していない平常期間である。この期間では、子機1は、一対の電線51,52を流れる電流を引き込んでいない。したがって、一対の電線51,52間の電圧の電圧値は平常レベル(=V0)となる。時刻t1〜t2の期間は、子機1が親機2に対して信号を送信している期間である。この期間では、子機1は、一対の電線51,52間の電圧の電圧値を第1レベル(=V0)と、第2レベル(=V1(<V0))とで交互に切り替えることにより、親機2に信号を送信している。
時刻t2〜t3の期間は、子機1が親機2に火災報を通知している期間である。この期間では、子機1は、一対の電線51,52間の電圧の電圧値を、火災報レベルである「V2(<V1)」まで低下させている。時刻t3〜t4の期間は、火災報を通知している状態で、子機1が親機2に対して信号を送信している期間である。この期間では、子機1は、一対の電線51,52間の電圧の電圧値を第1レベル(=V2)と、第2レベル(=V3(<V2))とで交互に切り替えることにより、親機2に信号を送信している。
時刻t4〜t5の期間は、子機1が親機2に連動報を通知している期間である。この期間では、子機1は、一対の電線51,52間の電圧の電圧値を、連動報レベルである「V4(<V3)」まで低下させている。時刻t5〜t6の期間は、連動報を通知している状態で、子機1が親機2に対して信号を送信している期間である。この期間では、子機1は、一対の電線51,52間の電圧の電圧値を第1レベル(=V4)と、第2レベル(=V5(<V4))とで交互に切り替えることにより、親機2に信号を送信している。
上述のように、本実施形態の自動火災報知システム100では、平常期間、火災報を通知している期間、連動報を通知している期間のいずれの期間においても、子機1が親機2に信号を送信することができる。もちろん、親機2も、一対の電線51,52を流れる電流を引き込むことにより、上記のいずれの期間においても子機1に信号を送信することができる。
<一対の電線に表れる特性のずれ>
ここで、同じ回線(一対の電線51,52)に接続されている複数の子機1が同時に信号を送信しようとする場合に、1台の子機1が信号を送信する場合と比較して、一対の電線51,52間の電圧が大きく低下する可能性があった。
たとえば、任意の1台の子機1が火災報を通知している状態では、一対の電線51,52間の電圧の電圧値は火災報レベルとなる。この状態で他の子機1が火災報を通知すべく、一対の電線51,52を流れる電流を引き込むと、一対の電線51,52間の電圧の電圧値が火災報レベルよりも低下する可能性がある。
つまり、上記のように同じ回線に接続されている複数の子機1が同時に信号を送信しようとする場合、一対の電線51,52に表れる特性(一対の電線51,52を流れる電流や、一対の電線51,52間の電圧)が、想定される特性からずれる可能性があった。そして、一対の電線51,52に表れる特性が想定される特性からずれることで、子機1が火災報を誤って通知する、すなわち誤報などの予期せぬ動作を行う可能性があった。
そこで、本実施形態の子機1は、火災報と連動報との少なくとも一方からなる特定報については、準備状態において親機2から許可を受けると特定報を親機2に通知することで、上記の問題を解決している。以下、動作例を具体的に説明する。
<動作例>
まず、特定報が火災報である場合の動作例について、図4を用いて説明する。子機1において、センサ13が火災を検知すると(S101)、判断部171は、火災報を通知可能な第1準備状態に移行する(S102)。そして、制御部172は、火災報の通知の許可を親機2に要求すべく、送信回路14から要求信号を送信させる(S103)。
親機2では、受信部231が要求信号を受信する(S104)。そして、制御部262は、要求信号が送信された回線に接続されている複数台の子機1に対して、ポーリング信号を送信部232から送信させる(S105)。要求信号を送信した子機1では、このポーリング信号を受信回路15が受信する(S106)。そして、制御部172は、ポーリング信号の応答として、識別情報(ここでは、アドレス)を含む識別信号を送信回路14から送信させる(S107)。
親機2では、受信部231が識別信号を受信する(S108)。これにより、親機2は、どの子機1から要求信号が送信されたかを把握することができる。そして、判断部261は、一対の電線51,52間の電圧に基づいて、子機1に火災報の通知の許可を与えるか否かを判断する(S109)。
たとえば、一対の電線51,52間の電圧の電圧値が火災報レベルおよび連動報レベルのいずれかであれば、判断部261は、子機1に火災報の通知の許可を与えてはいけないと判断する。一方、一対の電線51,52間の電圧の電圧値が平常レベルであれば、判断部261は、子機1に火災報の通知の許可を与えてもよいと判断する。ここでは、判断部261が火災報の通知の許可を与えてもよいと判断したと仮定する。そして、親機2の制御部262は、火災報の通知の許可を与える旨を知らせる許可信号を、識別信号を送信してきた子機1に対して送信部232から送信させる(S110)。
識別信号を送信した子機1では、この許可信号を受信回路15が受信する(S111)。そして、制御部172は、送信回路14を制御することにより、一対の電線51,52間の電圧の電圧値を火災報レベルに変化させることで、親機2に火災報を通知する(S112)。
親機2は、火災報の通知を受けると、ブザーを鳴動させるなどして火災の発生を報知する(S113)。また、親機2は、取得した子機1のアドレスに基づいて、火災報を通知してきた子機1の設置場所を表示部24に表示させる(S114)。
次に、特定報が連動報である場合の動作例について、図5を用いて説明する。子機1において、センサ13が連動を検知すると(S201)、判断部171は、連動報を通知可能な第2準備状態に移行する(S202)。そして、制御部172は、連動報の通知の許可を親機2に要求すべく、送信回路14から要求信号を送信させる(S203)。
親機2では、受信部231が要求信号を受信する(S204)。そして、制御部262は、要求信号が送信された回線に接続されている複数台の子機1に対して、ポーリング信号を送信部232から送信させる(S205)。要求信号を送信した子機1では、このポーリング信号を受信回路15が受信する(S206)。そして、制御部172は、ポーリング信号の応答として、識別情報(ここでは、アドレス)を含む識別信号を送信回路14から送信させる(S207)。
親機2では、受信部231が識別信号を受信する(S208)。これにより、親機2は、どの子機1から要求信号が送信されたかを把握することができる。そして、判断部261は、一対の電線51,52間の電圧に基づいて、子機1に連動報の通知の許可を与えるか否かを判断する(S209)。
たとえば、一対の電線51,52間の電圧の電圧値が連動報レベルであれば、判断部261は、子機1に連動報の通知の許可を与えてはいけないと判断する。一方、一対の電線51,52間の電圧の電圧値が平常レベルおよび火災報レベルのいずれかであれば、判断部261は、子機1に連動報の通知の許可を与えてもよいと判断する。ここでは、判断部261が連動報の通知の許可を与えてもよいと判断したと仮定する。そして、親機2の制御部262は、連動報の通知の許可を与える旨を知らせる許可信号を、識別信号を送信してきた子機1に対して送信部232から送信させる(S210)。
識別信号を送信した子機1では、この許可信号を受信回路15が受信する(S211)。そして、制御部172は、送信回路14を制御することにより、一対の電線51,52間の電圧の電圧値を連動報レベルに変化させることで、親機2に連動報を通知する(S212)。
親機2は、連動報の通知を受けると、他装置3を連動させる(S213)。また、親機2は、取得した子機1のアドレスに基づいて、連動報を通知してきた子機1の設置場所を表示部24に表示させる(S214)。
次に、複数台の子機1で火災を検知した場合の動作例について、図6を用いて説明する。ここでは、同じ回線に接続された複数台の子機1のうち、2台の子機1A,1Bで火災を検知したと仮定する。また、ここでは、特定報は火災報である。
なお、親機2が子機1A,1Bの各々からアドレスを取得するフローは、上述の‘S105’〜‘S108’のフロー、および‘S205’〜‘S208’のフローと同じであるので、以下の説明では省略する。また、図6においても、親機2が子機1A,1Bの各々からアドレスを取得するフローの図示を省略している。
子機1Aにおいて、センサ13が火災を検知すると(S301)、判断部171は、火災報を通知可能な第1準備状態に移行する(S302)。そして、制御部172は、火災報の通知の許可を親機2に要求すべく、送信回路14から要求信号を送信させる(S303)。一方、子機1Bにおいても、センサ13が火災を検知すると(S304)、判断部171は、火災報を通知可能な第1準備状態に移行する(S305)。そして、制御部172は、火災報の通知の許可を親機2に要求すべく、送信回路14から要求信号を送信させる(S306)。
親機2では、受信部231が子機1A,1Bの各々から送信される要求信号を受信する(S307)。そして、子機1A,1Bの各々からアドレスを取得した後、判断部261は、一対の電線51,52間の電圧に基づいて、子機1A,1Bの各々に火災報の通知の許可を与えるか否かを判断する(S308)。
たとえば、一対の電線51,52間の電圧の電圧値が火災報レベルおよび連動報レベルのいずれかであれば、判断部261は、子機1A,1Bのいずれにも火災報の通知の許可を与えてはいけないと判断する。一方、一対の電線51,52間の電圧の電圧値が平常レベルであれば、判断部261は、子機1A,1Bのいずれか一方に火災報の通知の許可を与えてもよいと判断する。ここでは、判断部261が子機1Aに火災報の通知の許可を与えてもよいと判断したと仮定する。
そして、親機2の制御部262は、火災報の通知の許可を与える旨を知らせる許可信号を、子機1Aに対して送信部232から送信させる。また、親機2の制御部262は、火災報の通知の許可を与えない旨を知らせる不許可信号を、子機1Bに対して送信部232から送信させる(S309)。
子機1Aでは、許可信号を受信回路15が受信する(S310)。そして、制御部172は、送信回路14を制御することにより、一対の電線51,52間の電圧の電圧値を火災報レベルに変化させることで、親機2に火災報を通知する(S311)。一方、子機1Bでは、不許可信号を受信回路15が受信する(S312)。したがって、制御部172は、競合する他の子機1が存在すると判断して、親機2に火災報の通知を行わない。
親機2は、子機1Aから火災報の通知を受けると、ブザーを鳴動させるなどして火災の発生を報知する(S313)。また、親機2は、取得した子機1Aのアドレスに基づいて、火災報を通知してきた子機1の設置場所を表示部24に表示させる(S314)。なお、親機2は、火災報の通知の許可を与えていない子機1Bのアドレスも取得しているので、子機1Bの設置場所を併せて表示部24に表示させることも可能である。子機1Bは、火災報の通知の許可を与えられていないだけで、子機1Aと同様に火災を検知しているからである。
<効果>
上述のように、本実施形態の自動火災報知システム100の子機1は、火災報と連動報との少なくとも一方からなる特定報については、準備状態において親機2から許可を受けると特定報を親機2に通知するように構成されている。つまり、本実施形態の自動火災報知システム100の子機1は、親機2から許可を受けるまでは特定報を通知しないので、同じ回線に接続されている複数台の子機1が同時に信号(ここでは、特定報)を親機2に通知する事態を回避することができる。このため、複数台の子機1が同時に一対の電線51,52を流れる電流を引き込むことがなく、一対の電線51,52間の電圧が大きく低下し難い。
したがって、本実施形態の自動火災報知システム100の子機1は、一対の電線51,52に表れる特性(一対の電線51,52を流れる電流や、一対の電線51,52間の電圧)が、想定される特性からずれる可能性を低減することができる。その結果、本実施形態の子機1は、誤報などの予期せぬ動作を行う可能性を低減することができる。本実施形態の自動火災報知システム100の子機1と共に用いられる親機2、および自動火災報知システム100も、上記と同様の効果を奏することができる。
また、本実施形態の自動火災報知システム100の子機1は、特定報が火災報である場合、以下の構成であってもよい。すなわち、子機1の制御部172は、第2準備状態(連動報を通知可能な状態)であれば、親機2からの許可を待たずに連動報を親機2に通知する構成であってもよい。この構成では、親機2に対して連動報を迅速に通知することができる。なお、この構成は、たとえば一対の電線51,52間の電圧の電圧値が連動報レベル以下であれば、連動報が通知されていると親機2がみなす場合に有効である。
また、本実施形態の自動火災報知システム100の子機1では、制御部172は、準備状態が特定報を通知可能な状態であれば、親機2に許可を要求する要求信号を通信部16から送信させるように構成されている。この構成では、特定報を通知可能な状態になると、親機2に対して積極的に許可を要求するため、火災や連動を検知してから特定報を通知するまでの時間を短縮することができる。なお、当該構成を採用するか否かは任意である。
また、本実施形態の自動火災報知システム100の子機1は、既に述べたように、親機2に対して要求信号を送信する際に、固有の識別情報(ここでは、アドレス)も送信している。このため、親機2は、いずれの子機1が火災報(または連動報)を発生しているかを把握できるため、火災の発生場所をある程度特定することが可能となる。また、親機2は、たとえば複数台の子機1から要求信号を受信している場合に、いずれの子機1に許可を与えるかを選択することが可能である。ここで、許可を与える優先順位、すなわち許可信号を送信する優先順位は、たとえばアドレスの降順、昇順に基づいてもよいし、ランダムであってもよい。
なお、本実施形態の自動火災報知システム100の子機1は、親機2からアドレスの送信を要求された後にアドレスを親機2に送信しているが、親機2からの要求を待たずにアドレスを親機2に送信する構成であってもよい。また、アドレスを親機に送信するタイミングは、親機2が許可信号(または不許可信号)を送信する前であってもよいし、後であってもよい。
また、本実施形態の自動火災報知システム100の子機1は、一対の電線51,52間の電圧の電圧値を連動報レベルまで低下させることにより、親機2に連動報を通知しているが、他の構成であってもよい。たとえば、子機1は、一対の電線51,52間を短絡させることで、親機2に連動報を通知してもよい。この構成では、親機2に連動報を通知するための制御が容易である。ただし、この構成では、連動報を通知している状態で子機1と親機2との間で通信を行うことができない。
<要求信号に識別情報が含まれる場合>
ところで、本実施形態の自動火災報知システム100の子機1は、要求信号とは別に、子機1の固有の識別情報(ここでは、アドレス)を含む識別信号を親機2に送信しているが、他の構成であってもよい。たとえば、要求信号は、アドレスを含んでいてもよい。言い換えれば、要求信号は、制御部172が属する子機1の固有の識別情報を含んでいてもよい。
この構成では、要求信号にアドレスが含まれているため、図7に示すように、親機2が子機1A,1Bの各々からアドレスを取得するフロー(すなわち、‘S105’〜‘S108’のフロー)が不要である。つまり、アドレスが要求信号に含まれている場合、親機2は、特定報(ここでは、火災報)の通知の許可を要求している子機1をいち早く把握することができる。
<識別情報を送信しない場合>
また、本実施形態の自動火災報知システム100は、子機1が識別情報を親機2に送信しない構成であってもよい。たとえば、図8に示すように、親機2の制御部262は、子機1に許可を与えるか否かを判断した後、要求信号が送信された回線に接続されている複数台の子機1に対して、ポーリング信号を許可信号として送信部232から送信させる(S115)。要求信号を送信した子機1では、このポーリング信号を受信回路15が受信する(S116)。これにより、要求信号を送信した子機1は、親機2からの許可を受けて特定報(ここでは、火災報)を親機2に通知することができる。この構成では、親機2が子機1A,1Bの各々からアドレスを取得するフロー(すなわち、‘S105’〜‘S108’のフロー)が不要である。つまり、この構成では、親機2が識別情報を取得できないために火災の発生場所の特定は難しいが、不要な通信を避けることが可能である。
上記の他に、本実施形態の自動火災報知システム100は、以下の構成であってもよい。すなわち、親機2が、子機1に許可を与えるか否かの情報を、情報が更新される度に全ての子機1に送信する構成であってもよい。たとえば、一対の電線51,52間の電圧の電圧値が火災報レベルから連動報レベルに変化した場合、親機2は、不許可信号を全ての子機1に送信する。また、たとえば、一対の電線51,52間の電圧の電圧値が火災報レベルから平常レベルに変化した場合、親機2は、許可信号を全ての子機1に送信する。この構成では、子機1は、要求信号を送信せずとも親機2から許可を受けることが可能である。