JP2016183330A - コークス製造用成型炭の製造方法 - Google Patents

コークス製造用成型炭の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 高い強度を有し、粘結材の含有量が低減化された成型炭を製造することが可能な、コークス製造用成型炭の製造方法、及び、コークス製造用成型炭を製造するに際し、より設備的、工程的に負荷の小さい製造方法を提供する。【解決手段】 粉炭(A)と粘結材(B)とを含有するコークス製造用成型炭の製造方法であって、粘結材(B)としてコールタール(b1)及びコールタールを常圧蒸留して得られるボトムピッチ(b2)を含有するとともに、コールタール(b1)とボトムピッチ(b2)とを混合した後に、当該混合物と粉炭(A)とを混合し、これを成形することを特徴とするコークス製造用成型炭の製造方法。【選択図】 図2

Description

本発明はコークス製造用成型炭の製造方法に関する。より詳細には、本発明は粉炭と粘結材とを少なくとも含有するコークス製造用成型炭の製造方法に関する。
製鉄用コークスは、粘結炭や非微粘結炭等の石炭の粉砕物(粉炭)、又はこれら粉炭と成型炭(粉炭を成型した成型物)とを配合してコークス炉に装入し、これをコークス炉内において高温で乾留することにより製造される。コークスは、製鉄時の高炉内で粉化すると高炉内の通気性を悪化させることから、高い強度を有することが望ましい。
コークスの強度を上げるためには、コークス原料中に一定の割合以上の粘結炭を含有させる必要がある。しかし、粘結炭は埋蔵量及び産出地が限られているため、近年はその入手が困難となってきている。更には、粘結炭は一般に高価であることから、その使用割合の増大はコークス原材料費にも影響がある。
これに対し、粘結炭に比べて粘結性の劣る微粘結炭や非粘結炭(以下、これらを総称して「非微粘結炭」という。)は、粘結炭に比べて埋蔵量が豊富かつ安価に入手することができる。このため、コークスの強度を維持しながら非微粘結炭をより多く配合する検討が従来より行われてきた。中でも、コークス原料として成型炭を使用する方法は、非微粘結炭をより多く使用することが可能となるばかりでなく、コークスの製造過程において、成型炭が膨張して周囲の粉炭部分を圧密化することにより、コークス強度を高めることが可能な方法であるため有用である。
かかるコークス製造用成型炭の製造に際しては、単に粘結炭や非微粘結炭等の粉炭のみを成形したところで、成型炭としての形状を保持することが困難である。このため、一般に成型炭は粘結材(バインダー)と呼ばれる成分を粉炭と共に配合したものを成形することによって製造されている。通常、コークス製造用成型炭に用いる粘結材としては、石炭ピッチ、アスファルト、ロードタール等(特許文献1参照)や、タール、重質油、ピッチ類等(特許文献2、3参照)や、コールタール、アスファルトおよびタールやアスファルトを蒸留または重質化したピッチなどの瀝青物(特許文献4参照)等が用いられている。
特開昭57−80480号公報 特開平10−130653号公報 特開2007−284557号公報 特開2011−26468号公報
コークス製造用成型炭の原料を構成する粘結材のうち、コールタールは粘稠な液状物質であるが、ピッチ(石油ピッチ)は通常の使用条件下において固形物質である。このため、粘結材としてピッチのみを用いても、粉炭の粒子を十分に接着(粘結)させて成型炭の形状を保持することは困難である。一方、粘結材としてコールタールのみを用いた場合も、成型炭の強度は不十分であり、成型炭の形状を保持することが困難である。このため、通常は粘結材としてピッチ及びコールタールが併用されている。
粘結材としてピッチとコールタールとを併用する場合、これらを粉炭と共に一度に混合
しても、十分に粉炭の粒子に粘着させることが出来ない。このため、通常は先ず粉炭とピッチとを全量混合した後、この混合物とコールタールとを全量混合することが必要であった。従って、成型炭を製造するためには、その原料配合において設備的、工程的に負荷が大きかった。
このため、コークス製造用成型炭を製造するに際し、より設備的、工程的に負荷の小さい製造方法が望まれている。
一方、ピッチやコールタール等の粘結材は一般に高価であるため、成型炭中の配合割合を極力減らしたいという要求もある。しかしながら、成型炭中の粘結材の含有量を低減させると、成型炭自体の強度が低下し、延いては得られるコークスの強度も低下するという問題が生じることとなる。このため、通常は成型炭中に粘結材を少なくとも6重量%程度は含有させる必要がある。また、これより少量の粘結材で成型炭を製造する場合には、200℃程度の高温で成型する必要があった。よって従来は、高い強度を有し、粘結材の含有量が低減化された成型炭を効率良く製造することは困難であった。
そこで、本発明は、高い強度を有し、粘結材の含有量が低減化されたコークス製造用成型炭の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、コークス製造用成型炭を製造するに際し、より設備的、工程的に負荷の小さい製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、コークス製造用成型炭を製造するに際し、粘結材として常圧蒸留して得られるボトムピッチを用いた場合においても、低温条件下で成型炭を製造することが可能な方法を提供することを目的とする。
本発明者は前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、成型炭に用いる粘結材として特定の成分を用いるとともに、各原料の配合方法を最適化することにより前記課題を解決し得ることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明の要旨は以下の[1]〜[7]に存する。
[1] 粉炭(A)と粘結材(B)とを含有するコークス製造用成型炭の製造方法であって、粘結材(B)としてコールタール(b1)及びコールタールを常圧蒸留して得られるボトムピッチ(b2)を含有するとともに、コールタール(b1)とボトムピッチ(b2)とを混合した後に、当該混合物と粉炭(A)とを混合し、これを成形することを特徴とするコークス製造用成型炭の製造方法。
[2] コールタール(b1)及びボトムピッチ(b2)の混合物と粉炭(A)との混合を100℃以下で行う、[1]に記載のコークス製造用成型炭の製造方法。
[3] 成型炭中の粘結材(B)含有量を1〜10重量%とする[1]又は[2]に記載のコークス製造用成型炭の製造方法。
[4] 粘結材(B)中のボトムピッチ(b2)の含有量を1〜50重量%とする[1]〜[3]の何れか1項に記載のコークス製造用成型炭の製造方法。
[5] コールタール(b1)とボトムピッチ(b2)の含有割合を50:50〜85:15(重量比)とする[1]〜[4]の何れか1項に記載のコークス製造用成型炭の製造方法。
[6] 粉炭(A)中の粘結炭の含有量を10〜40重量%とする[1]〜[5]の何れか1項に記載のコークス製造用成型炭の製造方法。
[7] [1]〜[6]の何れか1項に記載の製造方法で得られた成型炭をコークス炉に装入し、乾留してコークスを製造するコークスの製造方法。
本発明によれば、高い強度を有し、粘結材の含有量が低減化されたコークス製造用成型
炭の製造方法を提供することができる。
本発明によれば、コークス製造用成型炭を製造するに際し、より設備的、工程的に負荷の小さい製造方法を提供することができる。
本発明によれば、コークス製造用成型炭を製造するに際し、粘結材として常圧蒸留して得られるボトムピッチを用いた場合においても、低温条件下で成型炭を製造することが可能な方法を提供することができる。
従来の製造法による成型炭を用いたコークス炉への原料装入法の一例を示す設備フロー図。 本発明の製造法による成型炭を用いたコークス炉への原料装入法の一例を示す設備フロー図。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。以下において「質量%」と「重量%」、及び「質量部」と「重量部」とは、それぞれ同義である。
なお、以下で用いる用語については、特に明示したもの以外はJIS M0104(1984)に基づくものとする。
本発明において「成型原料炭」とは、成型炭の原料として用いる原料炭を意味する。また、「コークス原料炭」とは、コークスの原料として用いる原料炭の総称を意味し、成型炭以外の原料炭を意味する場合と、成型炭の原料を意味する場合と、その双方を意味する場合がある。なお、単に「原料炭」という場合は、成型原料炭、コークス原料炭の何れか又は双方の意味を包含する。
本発明が対象とするコークス製造用成型炭(以下、「コークス製造用成型炭」を単に「成型炭」という場合がある)は、その原料として成型原料炭及び粘結材を少なくとも含有し、その他成分を任意に用いることができる。
[1.成型原料炭]
本発明の成型炭の製造方法では、成型原料炭として粉炭(A)を少なくとも含有する。また、粉炭(A)を主成分とすることが好ましい。ここで「主成分」とは50重量%以上を意味する。成型原料炭中の粉炭(A)の含有割合は、より好ましくは70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。
本発明において「粉炭」とは、粉状の石炭を意味し、通常、粒径が3mm以下の石炭粒子を70〜90重量%程度の範囲で含有する。すなわち、使用する成型原料炭の粒径が前記範囲に該当するものである場合は、成型原料炭が全て粉炭(A)で構成されていることを意味する。なお、粉炭は石炭を粉砕することによって一般的に製造される。
本発明に用いる粉炭(A)としては、前記に該当するものであれば制限は無いが、粘結炭と非微粘結炭とを配合して用いることが好ましい。
前記粘結炭とは、加熱したときに軟化溶融する性質(粘結性)をもつ石炭をいう。コークスは、製鉄時における高炉内の充填層の圧力に耐えて高い空隙率を保つのに十分な強度が必要であるとともに、微粉の発生を抑制しうる高い耐摩耗性が必要であるが、この特性を付与するためにコークス原料として粘結炭を用いることが好ましい。
非微粘結炭とは、単独では加熱しても粘結性を示さない、又は示してもその程度はごく僅かである石炭化度の低い石炭をいう。この非微粘結炭は世界的に粘結炭より産出量が多く、粘結炭より安価に入手することができる。
前記非微粘結炭の反射率は特に限定されないが、好ましくは0.80%以下であり、より好ましくは0.50〜0.79%であり、更に好ましくは0.60〜0.78%である。なお、非微粘結炭の反射率とは、ビトリニットの平均最大反射率であり、たとえば、JIS M8816で規定される方法(反射率測定方法)で測定することができる。
非微粘結炭の最高流動度は特に限定されないが、好ましくは0.90〜4.00であり、より好ましくは1.00〜2.70である。非微粘結炭の最高流動度とは、石炭の流動性を評価する指標の一つであり、これにより石炭のコークス化性を評価することができる。最高流動度はJIS M8801で規定される方法(ギーセラープラストメーター法)で測定することができる。なお、上述の数値範囲は本測定法で得られた数値を常用対数で換算した値(単位:Log DDPM(Log Dial Division Per Minute))である。
非微粘結炭の揮発分は特に限定されないが、好ましくは30〜50重量%であり、より好ましくは32〜40重量%であり、更に好ましくは34〜38重量%である。なお、揮発分とは、試料を900℃で7分間加熱したときの減量の試料に対する重量百分率を求め、これから同時に定量した水分を減じたものであり、たとえばJIS M8812で規定される方法(揮発分定量方法)で測定することができる。
粉炭(A)中の前記粘結炭の含有量(配合割合)は限定されないが、10〜40重量%が好ましく、15〜35重量%がより好ましい。また、粉炭(A)中の前記非微粘結炭の配合量は限定されないが、60〜90重量%が好ましく、65〜85重量%がより好ましい。粉炭(A)中の粘結炭の配合割合が上記下限未満である場合は、得られるコークスの強度が低下する傾向がある。一方、粉炭(A)中の粘結炭の配合割合が上記上限を超過する場合は、コークス製造において炉内の閉塞を生じる場合がある。
前記の通り、非微粘結炭は産出量が多く、安価に入手することができるため、コークスの原料として極力多く用いることが望ましいが、一方で非微粘結炭は粘結性に乏しいため、コークス原料中の含有量を増加させるとコークスの強度が低下する傾向がある。
コークス原料炭として非微粘結炭の使用比率を増大させる手法としては、成型炭の原料として高い含有割合で用いることによって達成することができる。更には後述する通り、成型炭の原料として粘結材を最適化して添加することも効果的である。
[2.粘結材]
本発明の成型炭の製造方法では、粘結材(B)として、コールタール(b1)及び、コールタールを常圧蒸留して得られるボトムピッチ(b2)を少なくとも含有し、更にその他の粘結材(b3)を含有していてもよい。
本発明における成型炭中の粘結材(B)の含有量は限定されないが、その下限が通常1重量%以上、好ましくは2重量%以上、より好ましくは3重量%以上である。成型炭中の粘結材(B)の含有量が前記下限未満であると、成型原料炭の結着が不十分となり、成型炭の強度が低下したり、成型炭の形状を保持することが困難となる傾向がある。更には、得られるコークスの強度も低下する傾向がある。
また、成型炭中の粘結材(B)の含有量の上限も限定されないが、通常10重量%以下、好ましくは8重量%以下、より好ましくは6重量%以下である。成型炭中の粘結材(B)の含有量が前記上限を超過すると、コークス炉内にカーボンが付着し、炉の閉塞が生じる場合がある。
常温で成型炭を製造(成型)する場合、成型炭に含有する粘結材の総含有量は通常6〜10重量%程度であるが、本発明においては、後述する通り、特定の粘結材成分を使用し、特定の製造方法を採用することにより、より少量の粘結材であっても高い強度を有する成型炭を得ることができる。
[コールタール]
本発明における成型炭は、粘結材(B)としてコールタール(b1)を含有する。本発明においてコールタール(b1)とは、一般に「コールタール」と称されるものであれば限定されないが、石炭の乾留で生成する茶褐色又は黒色の物質で、常温において粘稠な液状物質である。コールタール(b1)の水分含有量は限定されないが、水分を低減した「無水タール(無水コールタール)」も本発明に好適に使用される。
粘結材(B)の成分としてコールタール(b1)を含有することにより、成型炭の強度が上がり、成型炭を製造する際の歩留が向上する。さらに、高い強度を有する成型炭がコークスを製造する過程で膨張し、周囲の粉炭部分を圧密化することにより、コークス強度を高めることが可能となる。
コールタール(b1)の粘度は限定されないが、80℃における粘度が通常10mPa・s以上、好ましくは50mPa・s以上、より好ましくは80mPa・s以上であり、通常5000mPa・s以下、好ましくは3000mPa・s以下、より好ましくは2000mPa・s以下である。ここで、80℃における粘度は、東機産業株式会社製TVC−7型粘度計で測定した値を用いる。
粘結材(B)中のコールタール(b1)の含有量は限定されないが、その下限が通常2重量%以上、好ましくは3重量%以上、より好ましくは4重量%以上である。粘結材(B)中のコールタール(b1)の含有量が前記下限未満であると、成型炭の強度が低下し、成型炭の形状を保持することが困難となる傾向がある。
また、粘結材(B)中のコールタール(b1)の含有量の上限も限定されないが、通常99重量%以下、好ましくは98重量%以下、より好ましくは95重量%以下である。粘結材(B)中のコールタール(b1)の含有量が前記上限を超過すると、成型炭の強度が低下し、成型炭の形状を保持することが困難となる傾向がある。
本発明における成型炭中のコールタール(b1)の含有量は限定されないが、その下限が通常0.4重量%以上、好ましくは0.6重量%以上、より好ましくは0.8重量%以上である。成型炭中のコールタール(b1)の含有量が前記下限未満であると、成型炭の強度が低下し、成型炭の形状を保持することが困難となる傾向がある。
また、成型炭中のコールタール(b1)の含有量の上限も限定されないが、通常8重量%以下、好ましくは7重量%以下である。成型炭中のコールタール(b1)の含有量が前記上限を超過すると、コークス炉内にカーボンが付着し、炉の閉塞が生じる場合がある。
[コールタールを常圧蒸留して得られるボトムピッチ]
本発明における成型炭は、粘結材(B)としてコールタールを常圧蒸留して得られるボトムピッチ(b2)を含有する(本発明において、単に「ボトムピッチ(b2)」という場合がある。)。
粘結材(B)の成分としてボトムピッチ(b2)を含有することにより、高い強度を有する成型炭とすることができる。
本発明においてボトムピッチ(b2)とは、コールタールを蒸留した際に、軽質分を留去して得られる重質成分(残留成分)を意味し、一般に「軟ピッチ」、「中ピッチ」、「硬ピッチ」と呼ばれるものが該当する。
ここで「軟ピッチ」、「中ピッチ」、「硬ピッチ」とは、コールタール常圧蒸留物を軟化点(環球法)で区分した際に、それぞれ「70℃以下」、「70〜85℃」、「85℃以上」の留分を意味する。
本発明におけるボトムピッチ(b2)は、これらの混合物でもよいし、何れかを単独で分離したものを用いてもよい。尚、ボトムピッチ(b2)として、硬ピッチのみを分離し
たものを用いると、コールタール(b1)との混合が困難となる場合や、得られる成型炭の強度や残存率(歩留まり)が低下する場合がある。このため単独で分離したものを用いる場合は、「軟ピッチ」又は「中ピッチ」が好ましい。
前記の通り、コールタール(b1)は通常、常温において粘稠な液状物質であるが、ここから軽質分を除去して得られるボトムピッチ(b2)は、常温での流動性が非常に低く、常温では柔軟な固形状物質である。
このため、従来はボトムピッチ(b2)を単独で成型炭の粘結材として用いることは困難であったが、本発明では後述する特定の製造方法を採用することにより、ボトムピッチ(b2)を成型炭の粘結材として有効に使用することが可能となった。このため、一般に成型炭の粘結材として使用されるピッチ(石油ピッチ)の配合量を低減或いは使用することなく所期の目的を達成することが可能である。
ボトムピッチ(b2)の粘度は限定されないが、80℃における粘度が通常500mPa・s以上、好ましくは1000mPa・s以上、より好ましくは2000mPa・s以上であり、通常6000mPa・s以下、好ましくは4000mPa・s以下、より好ましくは3500mPa・s以下である。ここで、80℃における粘度は、東機産業株式会社製TVC−7型粘度計で測定した値を用いる。
ボトムピッチ(b2)の粘度が前記下限値未満であると、粘結材としての接着性が乏しくなり、成型炭の強度が低下し、成型炭の形状を保持することが困難となる傾向がある。また、ボトムピッチ(b2)の粘度が前記上限値を超過すると、コールタール(b1)との混合が困難となる場合がある。
粘結材(B)中のボトムピッチ(b2)の含有量は限定されないが、その下限が通常1重量%以上、好ましくは2重量%以上、より好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上、特に好ましくは15重量%以上である。粘結材(B)中のボトムピッチ(b2)の含有量が前記下限未満であると、成型炭の強度が低下し、成型炭の形状を保持することが困難となる傾向がある。
また、粘結材(B)中のボトムピッチ(b2)の含有量の上限も限定されないが、通常50重量%以下、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。粘結材(B)中のボトムピッチ(b2)の含有量が前記上限を超過すると、後述する工程2において、コールタール(b1)と混合する際の作業性が低下する場合がある。さらに、成型炭の強度が低下し、成型炭の形状を保持することが困難となる傾向がある。
本発明における成型炭中のボトムピッチ(b2)の含有量は限定されないが、その下限が通常0.2重量%以上、好ましくは0.3重量%以上、より好ましくは0.4重量%以上である。成型炭中のボトムピッチ(b2)の含有量が前記下限未満であると、成型炭の強度が低下し、成型炭の形状を保持することが困難となる傾向がある。
また、成型炭中のボトムピッチ(b2)の含有量の上限も限定されないが、通常5.0重量%以下、好ましくは2.5重量%以下、より好ましくは2.0重量%以下である。
コールタール(b1)とボトムピッチ(b2)との含有割合(重量割合)は限定されないが、通常50:50〜85:15、好ましくは50:50〜75:25、より好ましくは50:50〜70:30である。ボトムピッチ(b2)の含有割合が前記下限未満であると、成型炭の強度が低下し、成型炭の形状を保持することが困難となる傾向がある。一方、ボトムピッチ(b2)の含有割合が前記上限を超過すると、成型炭の強度が低下し、成型炭の形状を保持することが困難となる傾向がある。
[その他の粘結材]
本発明における成型炭は、粘結材(B)として、上記のコールタール(b1)、ボトム
ピッチ(b2)の他に「その他の粘結材(b3)」を含有していてもよい。
その他の粘結材(b3)は限定されないが、例えば、石油ピッチ(アスファルトピッチ)、石油アスファルト等の瀝青物、溶剤精製炭(溶剤脱瀝ピッチ)等が挙げられる。
ここで本発明において「ピッチ」「石油ピッチ」とは、石油を蒸留したときに残るタール状のアスファルトを、更に真空蒸留して残る黒色の樹脂状の物質、又はそのアスファルトを意味する。
粘結材(B)中のその他の粘結材(b3)の含有量は限定されず、使用しなくてもよいが、使用する場合は通常1重量%以上、好ましくは3重量%以上である。また、粘結材(B)中のその他の粘結材(b3)の含有量の上限も限定されないが、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下である。
本発明における成型炭中のその他の粘結材(b3)の含有量も限定されないが、使用する場合は通常1重量%以上、好ましくは3重量%以上である。また、成型炭中のその他の粘結材(b3)の含有量の上限も限定されないが、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下である。
なお、本発明における成型炭の原料としては、上記した成型原料炭及び粘結材以外の任意の物質を使用することを排除するものではない。
[3.成型炭の製造方法]
本発明の成型炭の製造方法は、上記の通り、粉炭(A)及び粘結材(B)成分としてコールタール(b1)並びにボトムピッチ(b2)を少なくとも用いるとともに、特定の製造工程を経ることを特徴とする。以下に、本発明の成型炭の製造工程について説明する。
本発明の成型炭の製造方法においては、主として以下の工程を有する。ここで、工程2、工程3、工程4はこの順で行う必要があるが、工程1については、工程3に至る迄の任意の段階で行えばよい。
[工程1]成型原料炭を混合する。
[工程2]コールタール(b1)とボトムピッチ(b2)とを混合する。
[工程3]配合された成型原料炭と工程2の配合物とを混合する。
[工程4]工程3の配合物を成形する。
[工程1]
工程1は成型原料炭を配合し混合して粉炭(A)とする工程である。具体的には、成型原料炭として前記の粘結炭及び非微粘結炭を適宜配合し混合する。具体的には、原料となる石炭を移送する過程で自然配合することで混合してもよいが、均質化するためには混合機を用いることが好ましい。また、予め粉砕されている粘結炭及び非微粘結炭を配合して粉炭(A)としてもよいし、成型原料炭を配合した後に、これを粉砕して粉炭(A)としてもよい。すなわち、本発明において成型原料炭の粉砕は工程1に包含される。通常、成型原料炭の粉砕には粉砕機が使用される。
成型原料炭を混合する際の温度は限定されないが、通常20〜80℃である。また、成型原料炭を混合する時間も限定されないが、通常1〜10分である。
なお、成型原料炭の混合及び粉砕は、この工程及び設備を成型炭製造用に独立して設けてもよいが、成型原料炭以外のコークス原料炭を配合、粉砕する工程及び設備をそのまま採用することもできる。すなわち、コークス原料炭を混合、粉砕する工程から、その一部を成型原料炭(粉炭(A))として分取すればよい。従って、本発明において工程1は任意の工程である。
[工程2]
工程2は、粘結材(B)として、コールタール(b1)とボトムピッチ(b2)とを混
合する工程である。
コールタール(b1)は粘稠ではあるが常温において液状であるため、粉炭との混合に際し、その取扱いは困難なものではない。一方、ボトムピッチ(b2)は常温での流動性が極めて低いため、粉炭との混合に際しては取扱いが難しい。このため、従来はボトムピッチ(b2)を100〜200℃程度に加熱し、低粘度化して使用する必要があった。この場合、混合する粉炭自体も同様の温度に加熱する必要があることから、設備的にも工程的にも負荷の大きなものであった。
これに対し、本発明では、工程2において予めコールタール(b1)とボトムピッチ(b2)とを混合しておくことにより、粘結材(B)としてボトムピッチ(b2)を使用しつつも、その取扱いを飛躍的に向上することが可能となる。
コールタール(b1)とボトムピッチ(b2)とを混合する際の設備や方法は限定されないが、具体的には、配管混合や、タンク内混合等の方法を使用することができる。
コールタール(b1)とボトムピッチ(b2)とを混合する際の温度は限定されないが、通常40℃以上、好ましくは60℃以上、より好ましくは80℃以上である。混合する際の温度が前記下限未満であると、コールタール(b1)とボトムピッチ(b2)との混合が困難となる傾向がある。
また、混合する際の温度の上限も限定されないが、通常200℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは100℃以下である。混合する際の温度が前記上限を超過すると、粘結材(B)から引火性のガスが発生して混合機内部で爆発の恐れが生じ、混合機内部へ窒素などの不活性な気体を注入する必要性が生じる場合がある。
こうして工程2で得られた混合物の粘度は限定されないが、80℃における粘度が通常70mPa・s以上、好ましくは80mPa・s以上、より好ましくは90mPa・s以上であり、通常350mPa・s以下、好ましくは250mPa・s以下、より好ましくは150mPa・s以下である。ここで、80℃における粘度は、東機産業株式会社製TVC−7型粘度計で測定した値を用いる。
工程2で得られた混合物の粘度が前記下限値未満であると、粘結材としての接着性が乏しくなり、成型炭の強度が低下し、成型炭の形状を保持することが困難となる傾向がある。また、当該粘度が前記上限値を超過すると、粘結材が粉炭と混ざり難くなるため、成型炭の強度が低下し、成型炭の形状を保持することが困難となる傾向がある。
このように、工程2で得られた粘結材(B)としての混合物は、ボトムピッチ(b2)を使用しつつも適度な流動性を有するため、後述する工程3において粉炭(A)と良好に混合することが可能となる。
なお、工程2においては、コールタール(b1)及びボトムピッチ(b2)とともに、その他の粘結材(b3)も適宜混合することが出来る。その他の粘結材(b3)の混合工程は、コールタール(b1)及びボトムピッチ(b2)の混合と同時に行ってもよいし、これとは別に逐次に混合してもよい。
本発明において粘結材(B)成分は、必ずしも工程2のみで使用される必要は無い。具体的には、コールタール(b1)の一部、ボトムピッチ(b2)の一部、その他の粘結材(b3)の一部又は全部が、前記工程1や、後述する工程3或いは工程4で使用されてもよい。
これらの一例としては、その他の粘結材(b3)としてピッチを使用する場合において、当該ピッチを前記の工程1において配合することが挙げられる。この場合、粘結炭及び非微粘結炭とともにピッチを同時に配合してもよいし、粘結炭及び非微粘結炭を配合した後に、これとピッチとを配合してもよい。
なお、ボトムピッチ(b2)は単独では取扱いが困難であるので、工程2で使用されることが好ましい。
[工程3]
工程3は、粉炭(A)と工程2の混合物とを混合する工程である。ここで前記の通り、工程1は任意であるので、粉炭(A)は必ずしも工程1で配合されたものでなくともよい。
粉炭(A)と工程2の配合物とを混合する際の設備は限定されないが、具体的には、容器回転型、容器固定型等の混合機を使用することができる。
粉炭(A)と工程2の配合物とを混合する際の温度は限定されないが、通常20℃以上、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上である。混合する際の温度が前記下限未満であると、成型炭の強度が低下し、成型炭の形状を保持することが困難となる傾向がある。
また、混合する際の温度の上限も限定されないが、通常200℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは100℃以下である。混合する際の温度が前記上限を超過すると、粘結材(B)成分から引火性のガスが発生して混合機内部で爆発の恐れが生じ、混合機内部へ窒素などの不活性な気体を注入する必要性が生じる場合がある。
前述の通り、従来は、粘結材(B)としてボトムピッチ(b2)を使用する場合、粉炭(A)との混合を100〜200℃程度に加熱して行う必要があったが、本発明においては前記の工程2を経ることにより、上記の通り比較的低温で行うことが可能である。
このため、粉炭(A)と工程2の配合物とを混合する際の温度は、上記の上限値よりも更に低くすることが可能であり、具体的には80℃以下、更には60℃以下、特には40℃以下であっても、好適に成型炭を製造することが可能である。
[工程4]
工程4は、工程3で得られた配合物を成形して成型炭を得る工程である。成型炭を成型する方法は限定されないが、成型炭の形状が凹型となった金型や木枠、又は加圧成型機が用いられる。加圧成型機を使用すると、連続的に大量生産出来るだけでなく、大量の成型炭を一度にムラ無く圧密することができ、粉炭粒子の接着性を向上させることができる。
加圧成型機の方式や機構は限定されないが、成型炭の形状が形成された凹部を有する1対のローラー型の金型を使用し、該ローラーが回転する際に成型炭原料が凹部に充填されて圧縮される機構であることが好ましい。
このような加圧成型機による加圧圧力(線圧)は特に限定されないが、0.8〜2.0t/cmが好ましく、1.0t/cm〜1.2t/cmがより好ましい。加圧が上記範囲より小さいと、十分な強度を有する成型炭が得られない場合がある。
成型する際の原料に含まれる水分量は限定されないが、0.1重量%以上が好ましく、より好ましくは1重量%以上であり、更に好ましくは2重量%以上である。一方、水分量の上限は特に限定されないが、15重量%以下が好ましく、より好ましくは13重量%以下であり、更に好ましくは12重量%以下である。この範囲を外れると成型炭としての強度が発現しにくくなる傾向がある。
[4.成型炭]
本発明の製造方法によって得られた成型炭は、コークス製造用の成型炭として用いる限り使途は限定されないが、製鉄用に好適に用いることができ、特に高炉用に好適に用いることができる。
成型炭の形状や諸特性は限定されないが、具体的には、例えば、マセック型、アーモンド型、枕型等の形状が例示される。更には、上記の形状の本体から突出部が設けられた形状であってもよい。
成型炭の厚さは、通常10〜50mmであり、好ましくは24〜35mmである。成型炭の厚さが大き過ぎると、成型加工時に成型機からの剥離性が低下する傾向がある。一方
、成型炭の厚さが小さ過ぎると、生産性が低下する傾向があり、また、成型炭を用いることによるコークス品質の向上効果が低減する傾向がある。なお、成型炭の厚さは、成型炭本体(突起部等を除く)の最短径を意味する。
成型炭のアスペクト比は限定されないが、好ましくは1.0〜3.5であり、より好ましくは1.5〜3.0、更に好ましくは2.0〜2.7である。アスペクト比が大き過ぎると、成型加工が困難となる場合や、成型炭が折れ易くなる場合がある。また、アスペクト比が小さ過ぎると、コークス炉の石炭塔や装入車へコークス原料炭と成型炭との混合物を投入する際に不均一化が生じる場合がある。本発明においてアスペクト比とは、成型炭の最大長(最大径)と最短径との比(最大長/最短径)を意味する。
成型炭の最大長は特に限定されないが、100mm以下が好ましく、80mm以下がより好ましい。成型炭の最大長が100mmを超える場合は、成型炭の強度が低下する傾向がある。一方、成型炭の最大長の下限は、前記した成型炭の厚さの下限に相当し、好ましい下限も同様である。
成型炭の密度は限定されないが、通常0.90〜1.40g/cm、好ましくは1.00〜1.35g/cm、より好ましくは1.05〜1.30g/cm、更に好ましくは1.10〜1.28g/cmである。成型炭の密度が前記下限値未満であると成型炭の強度が不十分となり、割れが発生する場合や、得られるコークスの強度が低下する傾向がある。一方、成型炭の密度が前記上限を超える場合は、装入重量が過大となり、各作業機械が過積載となる場合がある。
[5.コークスの製造方法]
本発明の製造方法によって得られた成型炭は、通常、コークス原料炭と混合されてコークス炉内へ装入される。
コークス原料として粉炭とともに成型炭を用いることにより、コークスの強度が向上する。その主な理由は、以下の通りである。(1)成型炭とすることにより、石炭粒子間の間隔が狭くなり粘結性が向上する。(2)コークス製造時に成型炭部の膨張性が増大することにより、周囲にある粉炭部の圧密化が促進され、粉炭部の粘結性も向上する。(3)成型炭に含有される粘結材により、粉炭の軟化溶融性が向上する。
以下に、成型炭を用いたコークスの製造法について図2を参考に具体例を説明する。
まず、原料ヤード(貯炭場)よりベルトコンベアー等を用いて原料となる石炭を配合槽へ移送する。コークスの原料となる石炭は前記の通り、粘結炭や非微粘結炭である。配合する際の温度や配合時間は、前記した成型炭を製造する際の工程1と同様である。配合槽にて目的とする配合割合で原料の石炭を配合した後、これを粉砕機で粉砕することにより、コークス原料炭としての粉炭を得ることが出来る。また、石炭を予め粉砕しておき、これを配合してもよい。
なお、前述の通り、ここで配合、粉砕したコークス原料炭の一部を分取して成型原料炭として用いることが出来る。
上記の方法で得られた粉炭と、工程1〜工程4によって製造された成型炭は、所定の割合で混合された後、コークス用原料炭として石炭塔へ投入され、ここからコークス炉へ装入される。
粉炭と成型炭との混合割合は限定されないが、成型炭を通常10重量%以上、好ましくは15重量%以上で配合することが望ましく、一方、通常50重量%以下、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下で配合することが望ましい。成型炭の配合割合が前記下限未満であると、成型炭を石炭塔に導入する際に、石炭塔内で成型炭の存在割合に偏り(偏析)が生じる場合がある。一方、成型炭の配合割合が前記上限を超過する
と、得られるコークスの強度が低下する場合がある。
コークス炉へ装入されたコークス用原料炭(粉炭と成型炭との配合物)をコークス炉内で乾留することにより、コークスが得られる。この乾留時の条件としては公知の条件が適宜採用され、通常、1100〜1300℃で18〜20時間の乾留を行う。
本発明の実施例について以下に示す。なお、以下の実施例は本発明の効果を確認するための例であり、本発明はこの例に限定されるものではない。本発明は本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
<成型原料炭>
以下の成型原料炭をそれぞれ粉砕し、粉炭(粒径が3mm以下のものを70〜90重量%含有)としたものを使用した。
・粘結炭 : 反射率1.46%、最高流動度2.03Log DDPM、揮発分18.6%
・非微粘結炭: 反射率0.70%、最高流動度2.64Log DDPM、揮発分36.4%
<粘結材>
・コールタール: コークス製造の際に生成したコールタールをそのまま使用した(80℃における粘度 91mPa・s)。
・ボトムピッチ: 上記コールタールを常圧蒸留し、そのボトムから得られたものをそのまま使用した(軟ピッチ、中ピッチ、硬ピッチに相当する留分の混合物である。80℃における粘度 3000mPa・s)。
・石油ピッチ: 石油由来のアスファルトソルベントピッチ(ASP)を使用した(軟化点:252℃)。
<混合機>
・回転円板型混合機:ケイハン社製、KBミキサー混合機(KBM−200L型、容量200L)
・円筒横型混合機:中央機工社製、レディゲミキサー(FM−130D型、ドラム実効容量90L)
<成型炭の強度試験>
JIS K2151に準拠し、以下の方法で強度試験を行った。
成型炭のうち粒径15mm以上のものを採取し、採取した成型炭10kgを、内径416mm、長さ457mmの円筒状のステンレス製ドラムに充填した。このドラムを24rpmで50回転した後、粒径15mm以上の成型炭の残留率(重量%)を測定し、成型炭の強度の尺度とした。粒径15mm以上の成型炭の残留率が高いほど、成型炭の強度が高いことを意味する。
<コークスの冷間強度試験(ドラムインデックス(DI))>
JIS K2151に準拠し、以下の方法で冷間強度試験を行った。
コークスのうち粒径25mm以上のものを採取し、採取したコークス10kgを、内径150cm、長さ150cmの円筒状ステンレス製ドラムに充填した。
このドラムを、円筒の軸回りに15rpmで150回転した後、粒径15mm以上のコークスの残留率(重量%)を測定し、コークス強度の尺度とした(間隙15mmの篩を使用)。
粒径15mm以上の成型炭の残留率が高いほど、コークスの強度が高いことを意味する。
<熱間CO反応後コークス強度試験>
コークスのうち粒径20mm±1mmのものを採取し、採取したコークス200gを電気炉内に充填した後、1100℃でCOガスと2時間反応させた。
反応後のコークスを、内径130mm、長さ700mmの円筒状のドラム(I型ドラム)に充填した。このドラムを、ドラムの長さ方向の中心位置を回転中心として20rpmで600回転した後、粒径9.52mm以上のコークスの残存率(重量%)を測定し、コークス強度の尺度とした(間隙10mmの篩を使用)。
粒径9.52mm以上のコークスの残存率が高いほど、コークスの強度が高いことを意味する。
[実施例1]
粘結炭を30.0重量%、非微粘結炭を70.0重量%の割合で配合し、水分を9.5重量%に調整した配合炭を作製した。
一方、コールタールとボトムピッチとを50:50(重量比)の割合で80℃にて手操作で十分に混合することにより、粘結材を調整した。
上記の配合炭100重量部に対して8.0重量部となる量の上記粘結材を添加し(成型炭中に粘結材を7.4重量%含有)、KBミキサー(株式会社ケイハン社製)を用いて40℃、465rpmにて4分間混合することにより、成型炭の原料を得た。
この原料をダブルロール型成型機を用いて成型することにより、マセック型(容積44cm)の成型炭を作製した。なお、成型条件は、成型炭原料温度を30℃とし、回転数3.0rpm、成型圧力(線圧)1.0t/cmとした。
得られた成型炭について強度試験を行った結果を表−1に示す。
[実施例2、3]
成型炭原料を表−1に示す配合割合とした以外は実施例1と同様にして成型炭の原料を得た。この原料を用い、実施例1と同様に成型することにより成型炭を作製した。得られた成型炭について強度試験を行った結果を表−1に示す。
[比較例1]
粘結炭を27.0重量%、非微粘結炭を70.0重量%、ASPを3.0重量%の割合で配合し、水分を9.5重量%に調整した配合炭を作製した。
この配合炭に対して5.0重量%となる量のコールタールを添加し、実施例1と同様にKBミキサーを用いて混合することにより、成型炭の原料を得た。(成型炭中にASPを2.9重量%、コールタールを4.7重量%含有)
この原料を用い、実施例1と同様に成型することにより成型炭を作製した。得られた成型炭について強度試験を行った結果を表−1に示す。
[比較例2]
実施例1と同様に作製した配合炭100重量部に対して6.0重量%となる量のコールタールを添加し、KBミキサーを用いる代わりにレディゲミキサーを用いて、35℃、160rpmにて1分間混合した以外は実施例1と同様にして成型炭の原料を得た。
この原料を用い、実施例1と同様に成型することにより成型炭を作製した。得られた成型炭について強度試験を行った結果を表−1に示す。
[比較例3]
コールタールを用いる代わりに、配合炭100重量部に対して8.0重量%となる量のボトムピッチを添加した以外は比較例2と同様にして成型炭の原料を得た。
この原料を用い、実施例1と同様に成型することにより成型炭を作製した。得られた成型炭について強度試験を行った結果を表−1に示す。
[実施例4]
成型炭原料を表−1に示す配合割合とし、配合炭と粘結材(コールタールとボトムピッチとの混合物)との混合を、KBミキサーを用いる代わりにレディゲミキサーを用いて、35℃、160rpmにて1分間混合した以外は実施例1と同様にして成型炭の原料を得た。
この原料を用い、実施例1と同様に成型することにより成型炭を作製した。得られた成型炭について強度試験を行った結果を表−1に示す。
成型炭原料と同じ粘結炭及び非微粘結炭を使用し、粘結炭を80重量%、非微粘結炭を20重量%の割合で配合してコークス原料炭とした。
このコークス原料炭100重量%に対して上記で製造した成型炭を20重量%配合し、これを乾留試験炉において乾留することで(乾留温度1250℃、乾留時間18時間)コークスを製造した。得られたコークスについて冷間強度及び熱間CO反応後強度試験を測定した結果を表−1に示す。
[比較例4]
粘結炭を27.0重量%、非微粘結炭を70.0重量%、ASPを3.0重量%の割合で配合し、水分を9.5重量%に調整した配合炭を作製した。
この配合炭に対して5.0重量%となる量のコールタールを添加し、実施例4と同様にレディゲミキサーを用いて混合することにより、成型炭の原料を得た。
この原料を用い、実施例1と同様に成型することにより成型炭を作製した。得られた成型炭について強度試験を行った結果を表−1に示す。
上記で製造した成型炭を使用した以外は実施例4と同様にしてコークスを製造した。得られたコークスについて冷間強度及び熱間CO反応後強度試験を測定した結果を表−1に示す。
[参考例]
成型炭を使用せず、粘結炭と非微粘結炭を含むコークス原料炭のみを使用した以外は実施例4と同様にしてコークスを製造した。得られたコークスについて冷間強度及び熱間CO反応後強度試験を測定した結果を表−1に示す。
Figure 2016183330
比較例1〜3と実施例1とを対比すると、粘結材としてコールタール及びボトムピッチを併用する(実施例1)ことにより、これらのうち何れかを単独で用いた場合(比較例2、3)や、コールタールと石油ピッチを併用した場合(比較例1)に較べて成型炭の強度が顕著に向上していることが判る。
特に、実施例1で示される通り、本発明の製造方法を採用することによってボトムピッ
チを粘結材として有効に働かせることが出来る。一方、比較例3で示される通り、ボトムピッチを単独で使用して常温で混合しても、ほとんど成型炭の強度向上には寄与しないことが判る。従って、比較例3において更にコールタールを逐次混合したとしても、実施例1のような成型炭を得ることは出来ない。比較例2において、更にボトムピッチを逐次混合した場合も同様である。
比較例1と実施例2、比較例4と実施例4とを対比すると、本発明の製造方法で得られる成型炭は、粘結材の総含有量を低減させているにも関わらず、成型炭の強度が顕著に向上していることが判る。
また、比較例1と実施例3とを対比すると、本発明の製造方法で得られる成型炭は、成型炭の強度を維持しながら、粘結材の含有量を30重量%以上低減することが可能であることが判る。
更に、比較例4と実施例4とを対比すると、本発明の製造方法で得られる成型炭は、成型炭の強度向上のみならず、該成型炭を使用して得られるコークスの冷間強度、熱間CO反応後強度が向上していることが判る。

Claims (7)

  1. 粉炭(A)と粘結材(B)とを含有するコークス製造用成型炭の製造方法であって、粘結材(B)としてコールタール(b1)及びコールタールを常圧蒸留して得られるボトムピッチ(b2)を含有するとともに、コールタール(b1)とボトムピッチ(b2)とを混合した後に、当該混合物と粉炭(A)とを混合し、これを成形することを特徴とするコークス製造用成型炭の製造方法。
  2. コールタール(b1)及びボトムピッチ(b2)の混合物と粉炭(A)との混合を100℃以下で行う、請求項1に記載のコークス製造用成型炭の製造方法。
  3. 成型炭中の粘結材(B)含有量を1〜10重量%とする請求項1又は2に記載のコークス製造用成型炭の製造方法。
  4. 粘結材(B)中のボトムピッチ(b2)の含有量を1〜50重量%とする請求項1〜3の何れか1項に記載のコークス製造用成型炭の製造方法。
  5. コールタール(b1)とボトムピッチ(b2)の含有割合を50:50〜85:15(重量比)とする請求項1〜4の何れか1項に記載のコークス製造用成型炭の製造方法。
  6. 粉炭(A)中の粘結炭の含有量を10〜40重量%とする請求項1〜5の何れか1項に記載のコークス製造用成型炭の製造方法。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載の製造方法で得られた成型炭をコークス炉に装入し、乾留してコークスを製造するコークスの製造方法。
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