JPH08231961A - コークス炉操業方法 - Google Patents

コークス炉操業方法

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JPH08231961A
JPH08231961A JP3404295A JP3404295A JPH08231961A JP H08231961 A JPH08231961 A JP H08231961A JP 3404295 A JP3404295 A JP 3404295A JP 3404295 A JP3404295 A JP 3404295A JP H08231961 A JPH08231961 A JP H08231961A
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JP
Japan
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coal
tar
coke oven
coal tar
pitch
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JP3404295A
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English (en)
Inventor
Toshihiro Aramaki
寿弘 荒牧
Atsushi Nakayama
淳 中山
Shigeru Miwa
成 三輪
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Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 コークス炉の乾留生成ガスを段階的に冷却し
コールタールを回収する第一工程、コールタールを原料
としピッチを調製する第二工程、コールタール及び/ま
たはピッチ類をコークス製造用原料石炭に添加して装入
炭を調製する第三工程、さらに同装入炭を当該コークス
炉で乾留してコークス化する第四工程からなるコークス
炉操業方法において、第一工程において回収されたコー
ルタール及び/または第二工程で調製したピッチの全量
を第三工程における装入炭の調製用として常時リサイク
ル添加することを特徴とするコークス炉操業方法。 【効果】 装入炭のコークス化性を改善し廉価な非・微
粘炭の増使用により、コークス素材費を低減させること
が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、室炉式コークス炉で
コークスを製造する方法において、系内に発生するコー
ルタール全量または同コールタールを原料とし、調製し
て得られるピッチ全量を上限に、常時コークス炉用装入
原料の一部として繰り返しリサイクルし、それらをコー
クス炉で乾留することによってコークスや側鎖を含まな
い芳香族成分などに転換させ、コークス炉から生成する
コールタール自身もしくは同コールタール中のピッチ類
を含む重質成分を系外に製出せず、主成分のコークスと
ガス及び比較的軽質留分の芳香族成分のみを製出するこ
とを特徴とするコークス炉操業方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、室炉式コークス炉でコークスを製
造する際に発生する乾留副産物は、所謂ガス冷却工程に
おける前段階の間接的/直接的ガス冷却操作によって凝
縮する比較的重質でピッチ留分の割合が高いコールター
ルの回収、後段階のタールミストをミストキャッチャー
や電気集塵法などで捕捉して回収される比較的軽質で蒸
留留出油の割合が高いコールタール成分の回収に続い
て、ファイナルクーラーで軽油分が回収され、最終的に
コークス炉ガス(COG)として回収・精製され、石炭
化学原料やエネルギー資源として加工・利用されてい
る。しかしながら室炉式コークス炉では主産物であるコ
ークスの品質や生産量が優先的に決定されるため、これ
ら乾留副産物自身の品質や生産量を独自に制御すること
は極めて困難である。
【0003】通常コークス炉から発生するコールタール
は、炭化室内での経路が一過性であり炉内での熱履歴が
不十分な場合(炉形式的に上熱が付きにくい炉や低稼働
率操業時)、低温タールの性状に近づくためタール蒸留
工程以降においてピッチコークスをはじめとする炭素材
分野などで問題となることが多かった。さらに、近年の
ように乾燥炭や予熱炭装入法が普及している現状では、
上昇管からのキャリーオーバー分がスラッジとなってコ
ールタールに混入するため、コールタール全体の品位を
低下させ、益々タールスラッジ問題が顕在化してきてい
るのが実情である。
【0004】一方で昨今のコークス炉を取り巻く環境
は、現在も、将来的にもコスト競争力強化や労働環境問
題などが緊急かつ重要な課題であり、そのために状況に
よってはコークス炉からコールタール自身またはコール
タール中のピッチ等重質成分を製出しない操業法が要求
される局面も想定しなければならなくなってきた。コー
クス炉から製出するコールタールを当該コークス炉の装
入石炭に添加する技術としては、ドライメーン及び/又
はサクションメーンタールを回収して乾燥炭に0.1重
量%以上添加する芳香族性の高い良質タールの製造方法
「特開昭63−199287号」、装入炭に軽質タール
を添加して軽装入する軽質タールの改質方法「特開昭6
3−105094号」などがある。これらは、コールタ
ールを炉内での再熱履歴により改質する手段を提供する
ものであり、コールタールの全ての留分を石炭化学原料
として製出・利用することを前提としていることが特徴
である。
【0005】またその他の技術として、コークスの生産
性向上のためコークス炉装入炭へ重油やコールタールを
添加するオイリング法、或いはコークスの品質改善のた
めコークス炉装入炭にタールピッチや重質油ピッチ類を
添加する粘結材添加法等が従来公知である。しかしなが
ら、コークス炉の系内に発生するコールタール全量また
は同コールタールを原料として蒸留等で調製される残渣
ピッチ全量を上限としてコークス炉に常時リサイクルす
ることによって、コールタールやピッチ類を石炭化学原
料として系外に製出しないことを目的とするコークス炉
操業方法はかつて考えられたことはなかった。本発明
は、室炉式コークス炉でコークスを製造する方法におい
て、系内に発生するコールタール全量または同コールタ
ールを原料として蒸留等で調製される残渣ピッチ全量を
上限にコークス炉用装入原料として利用しようとするも
のである。 特に比較的軽質で蒸留留出油の割合が高いコ
ールタール成分、芳香族成分を除いて、石炭化学原料と
して系外に製出されるコールタールやピッチ類を皆無に
することを特徴とするもので、従来法とは全く異なる技
術である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】コールタールの重質分
であるピッチは、蒸留留出油などの比較的軽質な芳香族
成分に比較して化学構造が複雑で特定できないものが多
いため、工業的な分離・加工・利用は困難である。現状
でのピッチ利用法としては、デイレードコーキング法に
よりコークス化して黒鉛電極用等の炭素材料として利用
する他、黒鉛耐熱材や加炭材などとしての用途があるだ
けであると極言される状況にある。ところが黒鉛電極原
料としては、石油系重質油ピッチが質的・量的な観点か
ら本質的に優位であると言われており、今後ともタール
系ピッチのコスト競争力は極めて厳しい状況にあると判
断せざるを得ない。
【0007】一方、コークス用原料石炭としては、原料
炭と呼ばれる粘結炭が通常供用されているが、これらは
一般に高価であり、コークス製造原価を高める要因の一
つになっている。このため、近時、コークスの加工費を
低減するため廉価な非・微粘結炭などの多量使用技術へ
の期待が大きくなってきた。しかしながら、非・微粘結
炭類はコークス化に必要な粘結性が乏しく、その使用比
率には限度がある。非・微粘結炭の使用比率を増大する
ための方策としては、従来、成型炭配合法、石炭の粒度
調整法、乾燥炭や予熱炭装入法、スタンピング法、粘結
材添加法などのプロセスが公知であり、非・微粘結炭な
どの使用比率は15〜25%程度までに到達している。
これらの方策を工業的規模で実現するためには、莫大な
設備投資と運転費用を要するため、廉価炭と原料炭との
炭価差や廉価炭の使用比率によっては必ずしも経済的に
見合わないこともあり、操業停止を余儀なくされる場合
も生じてきている。
【0008】そこで本発明は、室炉式コークス炉でコー
クスを製造する方法において、系内に発生するコールタ
ール全量または同コールタールを原料として調製される
ピッチ全量を石炭化学原料として系外へ製出しない新規
な利用方法を提供することを目的とするものである。ま
た上記のような問題や状況を軽減させるだけでなく、リ
サイクルタールやピッチ類由来のタールが再生すること
により比較的軽質で蒸留留出油の割合が高いコールター
ル成分、芳香族成分の増産に寄与する技術を提供するも
のである。さらに本発明は、装入炭の一部として使用す
るタールやピッチ類の粘結性補填効果による廉価炭の使
用比率の増加や、リサイクルタールやピッチ類由来のコ
ークス生成量に見合う分だけ原料石炭の装入量を減少さ
せることも可能となる。これらの効果は、タールやピッ
チ類が原料石炭の単価より安価な状況下になれば特に有
利となる。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記のような状況に鑑
み、本発明者らはコークス炉の系外にコールタールやタ
ールピッチ類を製出しないための処理条件について検討
した結果、コークス炉での乾留生成物としてのタール、
ピッチ類の一部をリサイクルする場合は、その残部のタ
ール、ピッチ類を従来のように系外に乾留製品として製
出することになるが、系内に発生するコールタール全量
または同コールタールを原料に調製して得られるピッチ
全量を、上限としてコークス炉用装入炭に添加、混合し
てコークス炉に常時リサイクルすると、系外にタールや
ピッチ類を製出しないコークス炉操業条件が成立するこ
とを見出し本発明を完成した。
【0010】すなわち、本発明は、コークス炉での乾留
生成ガスを段階的に冷却し、精製する過程で逐次捕集さ
れるコールタールを適宜集合させ回収する第一工程、同
コールタールの全量もしくは一部を原料としピッチを調
製する第二工程、コールタール及び/またはピッチ類を
コークス製造用原料石炭に添加して装入炭を調製する第
三工程、さらに同装入炭を当該コークス炉で乾留してコ
ークス化する第四工程からなるコークス炉操業方法にお
いて、第一工程において回収されたコールタール及び/
または第二工程で調製したピッチの全量を第三工程にお
ける装入炭の調製用として常時リサイクル添加すること
により、コークス炉から発生するコールタールもしくは
同コールタール中のピッチ類を含む重質成分を系外に製
出しないことを特徴とするコークス炉操業方法である。
【0011】また第一工程において捕集されるコールタ
ールのうち、後段階のタールミストを捕捉して回収され
る軽質で蒸留留出油の割合が高いコールタールは、それ
よりも前段階のガス冷却操作によって凝縮し回収するコ
ールタールに集合することなく、抜き取ること、第三工
程における原料石炭へ常時リサイクルするコールタール
は、タールミストを捕捉して回収される軽質で蒸留留出
油の割合が高いコールタール以外の回収された全量であ
ること、第三工程における原料石炭へ常時リサイクルす
るピッチは、捕集されるコールタール全量から軽油、中
油分を蒸留等で分離除去した残渣の軟ピッチ全量である
こと、第三工程における原料石炭へ常時リサイクルする
ピッチは、コールタール全量から軽油、中油、重質油分
を蒸留等で分離除去した残渣の硬ピッチ全量であること
等にもそれぞれ特徴を有する上記記載のコークス炉操業
方法である。
【0012】ここで、コークス炉での乾留生成ガスを段
階的に冷却し精製する過程で逐次捕集されるコールター
ルを集合させ回収する第一工程とは、上昇管以降のコー
ルタール捕集段階でファイナルクーラー以降を除く工程
のことである。またコールタール捕集段階とは、比較的高
温の乾留生成ガスを間接的/直接的に冷却する操作を主
体とする前段階とタールミストをミストキャッチャーや
電気集塵機などで捕捉する後段階から構成されるもので
ある。前段階では比較的重質でピッチ留分の割合が高い
コールタールが捕集され、後段階では比較的軽質で蒸留
留出油の割合が高いコールタール成分が捕集され、通常
は両者が集合したものがコールタールと呼ばれる。本発
明では両者を集合したコールタール全量、又は後段階で
の比較的軽質で蒸留留出油の割合が高いコールタール成
分を除去したコールタール全量を原料石炭へリサイクル
するか、或いは集合したコールタールから軽油、中油分
を蒸留等で分離除去した残渣の軟ピッチ全量、又は軟ピ
ッチから更に重質油を分離した硬ピッチ全量を原料石炭
へリサイクルする対象とするものである。
【0013】以下、添付図面に従って本発明を詳細に説
明する。図1はコールタール、ピッチ類をコークス炉の
原料石炭にリサイクルする操業方法の実施態様の概念を
示すフローシートである。図1において、1は貯炭槽、2
は石炭とコールタール又はピッチの混合・混練機、3は
装入炭槽、4はコークス炉、5は発生するコークス炉ガ
スの間接ガスクーラー、6は直接ガスクーラー、7はタ
ールミストキャッチャー、8はガス吸引ブロワー、9は
ナフタリン捕集塔、10は電気集塵機、11はコールタ
ール用地下タンク、12はタールデカンター、13はス
ラッジ沈降槽、14はスラッジタンク、15はタールタ
ンク、16はサクションメーンタール用のタールデカン
ター、17はスラッジ沈降槽、18はタールタンク、1
9はタール蒸留装置をそれぞれ表す。またAはタール輸
送切替弁、B,Cはタール輸送ポンプ、Dはタール輸送
切替弁、Eは輸送ラインをそれぞれ表す。
【0014】下記の表−1は、本発明の各実施態様(C
ase−1〜4)におけるタール輸送ポンプの吐出方向
と切替弁操作方法およびピッチ類輸送ラインの移送方向
をコークス炉にリサイクルする物質ごとに示すものであ
り、通常のコールタール(Case-1)、サクションメーン
凝縮タール(SMタール:Case-2)、軟ピッチ(SO
P:Case-3)、硬ピッチ(HP:Case-4)の場合につい
て例示するものである。
【0015】
【表1】
【0016】現状における通常のコールタールは、図1
においてサクションメーンでの凝縮タールの他、間接ガ
スクーラー5〜電気集塵機10で回収されるタールが全
てタールデカンター12に集合され、スラッジ沈降槽1
3、タールタンク15などを経由した後、系外において
石炭化学原料として製出し利用されている。(Case-1)
では、基本的には現状における通常のコールタール捕集
ラインに従ってタールタンク15に回収されたタール全
量を上限として装入用石炭との混合・混練機2に循環さ
せ、系内で常時リサイクル添加し、装入炭の一部として
利用するものであるが、システム効率向上のため、第一
工程における後段階のタールミストを捕捉して回収され
る比較的軽質で蒸留留出油の割合が高いコールタール成
分を、それより前段階の間接的/直接的ガス冷却操作に
よって凝縮する比較的重質でピッチ留分の割合が高いタ
ールに集合することなく、系外に抜き取ることで、リサ
イクルするコールタール量が上記の全量よりも低いケー
スとすることも含まれる。
【0017】(Case-2)では、現状における通常のコー
ルタール捕集ラインに従ってタールタンク15に回収さ
れるタールの内、特に最上流のサクションメーンにおけ
る凝縮タールを後段階の間接ガスクーラー5〜電気集塵
機10での捕集タールに集合することなく、単独に専用
のタールデカンター16、スラッジ沈降槽17などを経
由した後、タールタンク18に回収されたタールを装入
用石炭との混合・混練機2に循環させ、系内で常時リサ
イクル添加して利用するもので、この場合もリサイクル
するコールタール量が上記の全量よりも低いケースであ
る。
【0018】(Case-3)では、現状における通常のコー
ルタール捕集ラインに従ってタールタンク15に回収さ
れたタール全量を常圧蒸留装置19に装入して調製した
常圧蒸留残渣SOP(軟ピッチ:軟化点40〜70℃)
全量を上限としてその輸送ラインを経由し、装入用石炭
との混合・混練機2に循環させ、系内で常時リサイクル
添加して利用するとともに蒸留留出油は系外に取り出し
て石炭化学原料として利用するものである。
【0019】(Case-4)では、現状における通常のコー
ルタール捕集ラインに従ってタールタンク15に回収さ
れたタール全量を減圧蒸留装置19に装入して調製した
減圧蒸留残渣HP(硬ピッチ:軟化点70℃以上)全量
をその輸送ラインを経由し、装入用石炭との混合・混練
機2に循環させ、系内で常時リサイクル添加して利用す
るとともに蒸留留出油は系外に取り出し石炭化学原料と
して利用するもので、リサイクルするピッチ量が上記の
軟ピッチ全量よりも低いケースである。なお本発明にお
いて、原料コールタールからピッチ類を調製する手段は
上記の例のように、特に蒸留装置に限定されるものでは
なく、これに吸収、溶剤抽出、超臨界抽出など従来の公
知分離技術から適宜選択したりまたは付加することが可
能である。
【0020】コールタールには、比較的軽質な低沸点成
分を相当量含有しており、コークス炉にリサイクルして
もタール以外の有用な乾留生成物に再転換される割合が
少なく非効率的である。特に、コークス炉における乾留
生成ガスの冷却工程中、後段階のタールミストを捕捉し
て回収されるタールは、一例として下記表−2に示す電
気集塵機での捕集タールのようにピッチ分が少なく23
0℃〜300℃留分が多い特徴を有している。従って、
後段階のタールミストを捕捉して回収される比較的軽質
で蒸留留出油の割合が高いコールタール成分は、ガスの
冷却工程中、前段階の間接的/直接的ガス冷却操作によ
って凝縮する比較的重質でピッチ留分の割合が高いコー
ルタールに集合することなく、系外に抜き取ることが有
効である。
【0021】
【表2】
【0022】一方、コールタールを原料として調製され
るピッチ類全量を装入炭に添加、混合してコークス炉に
リサイクルする場合は、ピッチ類の調製過程で比較的軽
質な芳香族成分が製出され系外に抜き取られるため、コ
ークス炉のガス冷却工程で該低沸点成分を系外に抜き取
る必要性は相対的に少ない。コールタールやピッチ類は
複雑な分子構成からなる芳香族化合物の混合物であり、
装入炭に添加して乾留すると自身の再熱分解反応や石炭
との相互反応によって所定の比率でコークス、タール、
ガスなどに転換する。このため、コークス炉へのリサイ
クルの繰り返しによって、石炭由来のコールタールとリ
サイクルタール由来のタールとの混合物としての生成タ
ールは、系内に蓄積し続けることにはならない。
【0023】コールタールのコークス、タール、ガスな
どへの転換率はコークス炉リサイクルの回数、装入炭を
構成する石炭配合構成、乾留温度(炉温)などにより変
化するが、何れにしてもタール以外のコークス、軽油や
ガスなどの乾留生成物へ転換する分だけリサイクルター
ル由来のタールの収率は低下していくことになる。した
がって、コークス炉へのリサイクルの繰り返しによって
系内のタール捕集工程において回収されるタールは、通
常の石炭のみの乾留(非リサイクル操業)時に比較し
て、リサイクル回数とともにあるレベルまで逐次増加し
続けるが、定常状態に到達すると一定のレベル以上には
ならないことになる。すなわち、系内に発生するコール
タールの全量または同コールタールを原料とし、調製し
て得られるピッチ全量のいずれかを上限に装入炭に添
加、混合してコークス炉にリサイクルすると、タールリ
サイクル量はそれ以上増加しない定常状態に到達し、コ
ールタールやピッチ類を系外に乾留製品として製出しな
くすることが可能となる。以下に具体的な実施例を示し
て本発明をさらに詳細に説明する。
【0024】
【実施例】コールタールをコークス炉にリサイクルする
操業成績を検証するため、図2に示す副産物回収式石炭
乾留実験装置を用いて発生タールの全量リサイクル実験
を装入量一定(10kg)の条件で行った。図2におい
て、乾留炉27内で試料を充填するレトルト20の寸法
(内寸)は、164mmW×288mmL×363mmH、装
入密度は、0.75t/m3に設定した。レトルト出口
から一次冷却器21に至る発生ガス導管には保温器(設
定温度:300℃)28を設置し、発生タールが付着す
ることによるタール回収ロスを少なくするとともに、一
次冷却器21(冷却温度:60℃)、二次冷却器22
(冷却温度:4℃)、電気集塵機(EP)23、三次冷
却器24(冷却温度:−70℃)の四箇所で集中的に発
生タールを捕集した。なおタールを除去された発生ガス
は、脱硫器25、ガス流量計26、燃焼放散塔29を経
由して排出される。
【0025】実施例 1〜3及び比較例 1 装入石炭に添加して乾留炉にリサイクルするタールは、
四箇所で捕集し回収される全てのタールであり、ここで
は、石炭単独乾留から出発して順次発生タールの全量を
連続3回リサイクルする実験を行った。実験条件を下記
表−3に、タールリサイクルに伴う乾留生成物の収率お
よび生成量を表−4に、リサイクルタールの性状変化を
表−5に示す。比較例−1は、コークス炉装入物が石炭
単独である通常操業の場合、実施例−1は、比較例−1
で生成したコールタールのほぼ全量を装入炭に添加して
コークス炉にリサイクルした場合、実施例−2は、実施
例−1で生成したコールタールのほぼ全量を装入炭に添
加してコークス炉にリサイクルした場合、実施例−3
は、実施例−2で生成したコールタールのほぼ全量を装
入炭に添加してコークス炉にリサイクルした場合であ
る。
【0026】
【表3】
【0027】
【表4】
【0028】
【表5】
【0029】タールリサイクル過程では、循環回数の増
加とともに装入物全体(原料石炭と添加タールの合計)
からのコークスとガスの収率は低下し、タール収率は大
幅に増加した。連続3回のリサイクルでは生成タールが
増加過程であり、まだ定常状態に到達していないが、比
較例−1の場合の生成量から出発して生成タールの増加
率は逐次低下傾向を示していることから一定の定常状態
に近づいているものと判断される。タールリサイクル時
のコークス、タール生成量は石炭単独の乾留に比較して
明らかな増加が認められるが、ガス生成量は石炭単独乾
留時とほとんど差異が認められず、タールからガスへの
転換率はごく僅かであることが分かる。この場合の物質
収支より、タールから乾留生成物への転換率はコークス
へ31〜37wt%、タールへ60〜67wt%、ガスへ2
〜7wt%と算定される。
【0030】一方、循環回数の増加とともにタールの比
重は低下している。これはタールの蒸留留分中、200
〜220℃留分の比率が増加しリサイクルタールが軽質
な留分構成となっていることと対応している。また、タ
ールの蒸留留分中、350℃以上の比率が減少してい
る。これはタール成分の中では付加価値の高い比較的軽
質な低沸点成分の比率が高くなることを意味しており、
コークス炉にリサイクルしてもコークスやガスに転換さ
れる割合が少なく非効率的であるため、実用的には前記
したようにコークス炉での乾留生成ガスを段階的に冷却
し精製する過程で逐次捕集されるコールタールを集合さ
せ回収する工程中、後段階のタールミストを捕捉して回
収される比較的軽質で蒸留留出油の割合が高いコールタ
ール成分を前段階の間接的/直接的ガス冷却操作によっ
て凝縮する比較的重質でピッチ留分の割合が高いコール
タールに集合することなく、系外に抜き取ることが有効
である。
【0031】
【発明の効果】本発明は、付加価値の高い比較的軽質な
芳香族成分は現行どおり回収しつつ、コールタールもし
くはコールタールを原料として調製されるピッチ類をコ
ークス炉の系内で利用するもので、コールタールの重質
分の黒鉛電極原料としての用途以外の新しい利用分野の
開拓につながるものである。すなわち、室炉式コークス
炉でコークスを製造する方法において、系内に発生する
コールタール全量または同コールタールを原料に調製し
て得られるピッチ全量を上限にコークス炉用装入原料の
一部として利用し、それらをコークス炉で再乾留するこ
とによってコークスや側鎖を含まない芳香族成分などに
転換させ、コークス炉から生成するコールタール自身も
しくは同コールタール中の重質成分を系外に製出せず、
比較的軽質な芳香族成分を製出することを特徴とするも
のである。その他、系外に製出しないタール中の重質分
の一部がコークスに転換する分だけ装入石炭を減少した
り、装入炭のコークス化性を改善し廉価な非・微粘結炭
の増使用により、コークス素材費を低減させることが可
能となるなどコークス業界の生産構造再構築に多大の貢
献をすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】タール、ピッチ類のコークス炉リサイクル操業
を実施する場合の概念を示すフローシートである。
【図2】コークス炉リサイクル操業成績を検証するため
に使用した副産物回収式石炭乾留実験装置の概略図であ
る。
【符号の説明】
1:貯炭槽 2:混合・混練機 3:装入炭槽 4:コークス炉 5:間接ガスクーラー 6:直接ガスクーラー 7:タールミストキャッチャー 10:電気集塵機 12:タールデカンター 13:スラッジ沈降槽 16:サクションメーンタール用のタールデカンター 17:スラッジ沈降槽 19:タール蒸留装置 20:レトルト 21:一次冷却器 22:二次冷却器 23:電気集塵機(EP) 27:乾留炉 28:保温器 29:燃焼放散塔

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コークス炉での乾留生成ガスを段階的に
    冷却し、精製する過程で逐次捕集されるコールタールを
    適宜集合させ回収する第一工程、同コールタールの全量
    もしくは一部を原料としピッチを調製する第二工程、コ
    ールタール及び/またはピッチ類をコークス製造用原料
    石炭に添加して装入炭を調製する第三工程、さらに同装
    入炭を当該コークス炉で乾留してコークス化する第四工
    程からなるコークス炉操業方法において、第一工程にお
    いて回収されたコールタール及び/または第二工程で調
    製したピッチの全量を第三工程における装入炭の調製用
    として常時リサイクル添加することにより、コークス炉
    から発生するコールタールもしくは同コールタール中の
    ピッチ類を含む重質成分を系外に製出しないことを特徴
    とするコークス炉操業方法。
  2. 【請求項2】 第一工程において捕集されるコールター
    ルのうち、後段階のタールミストを捕捉して回収される
    軽質で蒸留留出油の割合が高いコールタールは、前段階
    のガス冷却操作によって凝縮し回収するコールタールに
    集合することなく抜き取ることを特徴とする請求項1記
    載のコークス炉操業方法。
  3. 【請求項3】 第三工程における原料石炭へ常時リサイ
    クルするコールタールは、後段階のタールミストを捕捉
    して回収される軽質で蒸留留出油の割合が高いコールタ
    ール以外の回収された全量であることを特徴とする請求
    項1記載のコークス炉操業方法。
  4. 【請求項4】 第三工程における原料石炭へ常時リサイ
    クルするピッチは、捕集されるコールタール全量から軽
    油、中油分を蒸留等で分離除去した残渣の軟ピッチ全量
    であることを特徴とする請求項1記載のコークス炉操業
    方法。
  5. 【請求項5】 第三工程における原料石炭へ常時リサイ
    クルするピッチは、コールタール全量から軽油、中油、
    重質油分を蒸留等で分離除去した残渣の硬ピッチ全量で
    あることを特徴とする請求項1記載のコークス炉操業方
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008231278A (ja) * 2007-03-22 2008-10-02 Jfe Chemical Corp タール滓の処理方法およびタール滓のコークス炉装入方法
JP2016183330A (ja) * 2015-03-26 2016-10-20 三菱化学株式会社 コークス製造用成型炭の製造方法

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