JP2016171979A - 誘導加熱発熱体、及び誘導加熱容器 - Google Patents

誘導加熱発熱体、及び誘導加熱容器 Download PDF

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萩乃 藤田
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Abstract

【課題】収容された被加熱物を電磁調理器などにより加熱する誘導加熱容器として使用され、調理や、容器を重ねて保管、搬送する際に、ヒューズ機能部が損傷することなく、空焚きなどの発熱体の昇温時の熱による容器本体の損傷を有効に回避して、容器の安全性を高めた誘導加熱容器を提供する。【解決手段】高周波磁界により渦電流が誘起されて発熱する導電層に、ヒートシール層を積層した積層体から成る所定形状の誘導加熱発熱体3において、ヒートシール層が非積層とされたヒートシール層非積層部31aを設け、かかるヒートシール層非積層部31aの導電層から成るヒューズ機能部形成領域32aに平面状ヒューズ機能部32を形成する。【選択図】図1

Description

本発明は、電磁調理器などが備える電磁誘導加熱コイルが発する高周波磁界により渦電流が誘起され、その電気抵抗によりジュール熱が生じて発熱する誘導加熱発熱体、及びこの誘導加熱発熱体を備えた誘導加熱容器に関する。
近年、ガス機器が主流であった加熱調理機器に代わって、一般に、電磁調理器と称される加熱調理機器が、安全性、清潔性、利便性、経済性などの観点から、飲食業などにおける業務用のみならず、一般家庭においても広く普及するようになってきている。
しかしながら、この種の電磁調理器は、内部に備えた電磁誘導加熱コイルにより高周波磁界を発生させ、誘起された渦電流によって生じるジュール熱により加熱対象物を加熱するというものである。このため、炎を使わずに加熱調理を行うことができる反面、その原理上、使用できる調理器具が限られてしまい、鉄、鉄ホーローなどの磁性金属からなる専用の調理器具を用いなければならないという制限があった。
このような状況下、上記した電磁調理器の制限を解消する容器として、例えば、特許文献1、特許文献2などにおいて、非磁性(又は非導電性)の容器本体を備えた電磁調理器用の容器が提案されている。
特開2003−325327号公報 特開2014−198231号公報
特許文献1には、電磁調理器から生じる渦電流により、0.10〜100μmのアルミニウム箔を発熱させる電磁調理器を用いる加熱方法が提案されており、非磁性の容器の内容物を電磁調理器によって加熱することが開示されている。
しかしながら、このような加熱方法においては、誤って空焚きした場合などに、アルミニウム箔が急激に昇温して容易に燃えて飛散する危険や、アルミニウム箔が急激に昇温したときの熱により容器が損傷する虞がある。
これに対して、特許文献2には、空焚き状態となった場合に、選択的に過剰に発熱して破断する部位を有するヒューズ機能部を設けて、当該部位が破断することによって電磁調理器の安全機構が働いて、電磁調理器が停止して加熱を終えるようにした誘導加熱発熱体が提案されている。
しかしながら、特許文献2では、ヒューズ機能部の破断する部位を、導電性材料を折り曲げて立ち上げた部位の上縁側に形成しており、調理や、容器を重ねて保管、搬送する際に、この立ち上げた部位を損傷してしまう虞があった。
本発明は、前記の事情に鑑みてなされたものであり、非磁性(又は非導電性)の容器本体に誘導加熱発熱体を取り付けて、収容された被加熱物を電磁調理器などにより加熱する誘導加熱容器として使用され、調理や、容器を重ねて保管、搬送する際に、ヒューズ機能部が損傷することなく、空焚きなどの発熱体の昇温時の熱による容器本体の損傷を有効に回避して、容器の安全性を高めた誘導加熱発熱体、及びこの誘導加熱発熱体を備えた誘導加熱容器の提供を目的とする。
本発明に係る誘導加熱発熱体は、
高周波磁界により渦電流が誘起されて発熱する導電層に、ヒートシール層を積層した積層体から成る所定形状の誘導加熱発熱体であって、前記ヒートシール層が非積層とされたヒートシール層非積層部を設け、前記ヒートシール層非積層部の前記導電層から成るヒューズ機能部形成領域に、平面状ヒューズ機能部を形成した構成としてある。
また、本発明に係る誘導加熱容器は、上記した誘導加熱発熱体を、非導電性材料からなる容器本体に取り付けた構成としてある。
本発明の誘導加熱発熱体によれば、調理や、容器を重ねて保管、搬送する際に、ヒューズ機能部の損傷が防止される。この結果、空焚き状態となった場合のヒューズ機能部の機能を低下させることなく、電磁調理器が備える安全機構に異常を検知させ、電磁調理器を自動的に停止させて空焚きなどの発熱体の昇温時の熱による容器本体の損傷等を防止できる。
さらに、本発明の誘導加熱容器によれば、上記誘導加熱発熱体を備えることにより、安全性が高められた誘導加熱容器とすることができる。
本発明の第一実施形態に係る誘導加熱容器の概略を示す平面図である。 本発明の第一実施形態に係る誘導加熱容器の概略を示す側面図である。 本発明の第一実施形態に係る誘導加熱容器の概略を示す底面図である。 図1のA−A断面を示す概略断面図である。 本発明の第一実施形態に係る誘導加熱発熱体の概略を示す斜視図である。 図1のB−B断面を示す概略断面図である。 図1のC−C断面を示す概略断面図である。 本発明の第一実施形態に係る誘導加熱発熱体の変形例の概略を示す斜視図である。 図8のD−D断面を示す概略断面図である。 本発明の第一実施形態に係る誘導加熱発熱体の他の変形例の概略を示す斜視図である。 図10のE−E断面を示す概略断面図である。 本発明の第一実施形態に係る誘導加熱容器を積み重ねた状態を示す説明図である。 本発明の第二実施形態に係る誘導加熱容器の概略を示す平面図である。 図1のF−F断面を示す概略断面図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
[第一実施形態]
まず、本発明の第一実施形態について説明する。
本実施形態における誘導加熱容器1は、非導電性材料からなる容器本体2と、容器本体2に取り付けて電磁調理器による誘導加熱を可能とする誘導加熱発熱体3とを備えている。容器本体2は、水などの液状の被加熱物を収容できるように内底面21の周りを囲むように立設された側壁を有しており、誘導加熱発熱体3は、このような容器本体2の内底面21側に取り付けられる。
誘導加熱容器1は、通常、市販の電磁調理器の上に置いて使用される。このことから、容器本体2の内底面21や、容器本体2の内底面21側に取り付けられる誘導加熱発熱体3の大きさは特に限定されず、使用する電磁調理器が備える電磁誘導加熱コイルの大きさに応じて設定することができる。例えば、市販の家庭用電磁調理器が備える一般的な電磁誘導加熱コイルは、内径5cm程度、外径20cm程度であり、業務用のものであれば、これよりも大きいものもあるが、使用が想定される電磁調理器に応じて大きさを適宜定めることができる。
容器本体2の内底面21の形状も、図示するような正方形状に限定されない。例えば、矩形状、円形状とするほか、三角形、五角形、六角形などの多角形状としても良い。容器本体2の全体的な形状も、使い勝手などを考慮して種々の形状とすることができる。
容器本体2に取り付ける誘導加熱発熱体3は、電磁調理器などが備える電磁誘導加熱コイルが発する高周波磁界により渦電流が誘起され、その電気抵抗によりジュール熱が生じて発熱する導電性材料からなる導電層30に、容器本体2に対してヒートシール性を有するヒートシール層31を積層してなる積層体を平板状の所定形状に切り抜くことによって形成されている(図5、図8及び図10参照)。
導電層30を形成する導電性材料としては、例えば、アルミニウム,ニッケル,金,銀,銅,白金,鉄,コバルト,錫,亜鉛などの金属、又はこれらの合金など、高周波磁界による誘導加熱によって発熱する種々の導電性材料を用いて形成することができる。より具体的には、例えば、導電性材料としてアルミニウムを用いる場合、好ましくは0.10〜100μm程度、より好ましくは1〜40μm程度の厚みのアルミニウム箔を用いて導電層30を形成することができる。アルミニウム箔などの金属箔を用いて導電層30を形成すれば、誘導加熱発熱体3を容器本体2に取り付ける際に、容器本体2の内底面21や、その周囲に立設された側壁に沿って折り曲げるなどの立体加工を誘導加熱発熱体3に施して、容器本体2の形状に適合させるのが容易となる。
ヒートシール層31は、容器本体2に対してヒートシール性を有するものであれば特に限定されず、容器本体2を形成する非導電性材料に応じて適宜選択することができる。成形加工し易く、ヒートシール性が良好で、適度な耐熱性を有する樹脂が好ましく、特に、後述する容器本体2と同種の樹脂が好ましい。導電層30とヒートシール層31とは、直接、又は適宜の接着剤を介して、公知のラミネート技術により積層することができる。誘導加熱発熱体3を積層体として構成することにより、従来公知の多層フィルム、多層シートの製造技術が応用できるため、その製造が容易になる。
容器本体2を形成する非導電性材料としては、ポリスチレン等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂などの合成樹脂材料を好適に使用できる。容器本体2は、単層、又はこれらの樹脂同士或いは他の機能性樹脂と組み合わせた多層構成であっても良い。非導電性材料としては、紙、ガラスなども使用できるが、誘導加熱発熱体3のヒートシール層31とのヒートシール性を考慮して、内面に前記の合成樹脂がラミネート或いはコートされているのが好ましい。これらの材料にて容器本体2を形成することにより、電磁調理器を用いた加熱調理が可能な誘導加熱容器1を安価に提供することが可能となる。
本実施形態において、誘導加熱発熱体3は、ほぼ円形に形成されており、ヒートシール層非積層部31aが径方向に延在して設けられているが、これについては後述する。誘導加熱発熱体3の形状は、誘起される渦電流の特性から円形が最も効率が良いが、容器本体2の形状に対応させて、正方形状、矩形状などでも良く、「径方向」とは、これらの図形の中心側から外周縁側に向かう方向をいうものとする。
また、誘導加熱発熱体3は、導電層30を周方向に沿って同心円状に切断する切断線33a,33eによって、中央部領域CFと、主加熱領域HFと、周縁部領域OFとに区画されている。さらに、主加熱領域HFは、同様の切断線33b,33c,33dによって、複数の領域に区画されている(図1及び図6参照)。
導電層30を切断するに際しては、刃物により導電層30側からハーフカットを施したり、YAGレーザー、半導体レーザーなどを用いて導電層30を選択的に切断したりすればよい。誘導加熱発熱体3を一体のものとして取り扱うのに支障がない範囲で、ヒートシール層31の一部まで切断が及んでもよいが、ヒートシール層31を切断せずに繋がった状態とすれば、誘導加熱発熱体3を一体のものとして取り扱うことができるため、製造時の取り扱いがきわめて容易になる。
誘導加熱発熱体3の導電層30を切断して切断線33a,33b,33c,33d,33eを形成することによって、導電層30に誘起された渦電流は、切断線33a,33b,33c,33d,33eを横切る方向には流れなくなる。このため、切断線33a,33b,33c,33d,33eによって区画された、それぞれの領域ごとに渦電流が誘起される。
電磁誘導加熱コイル上に置かれた誘導加熱発熱体3に誘起される渦電流は、電磁誘導加熱コイルの形状に則して誘起される。通常、中央部領域CFに誘起される渦電流はそれほど強くはならないが、電流密度の分布がやや不安定で、より外側を流れる渦電流を乱す場合がある。このため、切断線33aによって中央部領域CFと主加熱領域HFとに区画することで、主加熱領域HFへの影響を低減することができる。
また、誘起される渦電流の電流密度分布は、一般には、電磁誘導加熱コイルの半径方向に沿って均一ではなく、半径方向中央に対してやや外周寄りの位置に電流密度のピークを有し、その位置で被加熱物が強く加熱される傾向にある。このため、主加熱領域HFを複数の領域に区画する切断線33b,33c,33dは、半径方向に均等に配置するよりも、渦電流が外周寄りに集中しないように外周寄りに密に設けるのが好ましい。このようにすることで、誘起される渦電流を制御して被加熱物に対する加熱の均等化を図ることができる。
このように、本実施形態にあっては、導電層30を周方向に沿って同心円状に切断する切断線33a,33b,33c,33d,33eを形成することによって、主加熱領域HFに誘起される渦電流を制御して、主加熱領域HFができるだけ均等に発熱するようにしてある。このようにすることで、被加熱物の加熱ムラを抑制して、水などの液状の被加熱物が局所的に急激に加熱されないようにし、突沸の発生を抑止することができる。さらに、切断線33a,33b,33c,33d,33eの端縁は、水などの液状の被加熱物が沸騰して気泡が発生する際の起点となる。このため、加熱時には沸騰石を入れた時のように小さな気泡が継続的に多数生成され、突発的な大きな気泡の発生が防止されることによっても突沸の発生が抑止される。
これにより、突沸によって飛散した被加熱物により使用者が火傷を負ってしまったり、電磁調理器周辺を汚したりするような事態を避けることができる。
また、切断線33aに対して内側に位置する中央部領域CFは、径方向に延在する切断線34aにより周方向に複数に区画されている。同様に、切断線33eに対して外側に位置する周縁部領域OFは、径方向に延在する切断線34cにより周方向に複数に区画されている。これらの領域を周方向に複数に区画することで、電磁調理器が備える電磁誘導加熱コイルの中心回りの強い渦電流は誘起されなくなり、複数の小さな領域に区画されたそれぞれの領域は、それほど高温にならない。したがって、これらの領域CF、OFにおけるヒートシール層31でヒートシールして、誘導加熱発熱体3を容器本体2に取り付ければ、容器本体2への伝熱を抑制でき、容器本体2の損傷を防止することができる。
さらに、主加熱領域HFに形成した切断線33bと切断線33cとの間の領域にあっても、径方向に延在する切断線34bにより周方向に複数に区画し、当該領域での発熱を抑制し、当該領域におけるヒートシール層31で容器本体2とヒートシールしている。
このように、誘導加熱発熱体3の中央部領域CFと周縁部領域OFだけでなく、主加熱領域HFの切断線33bと切断線33cとの間の領域に発熱が抑制された領域を形成し、当該領域におけるヒートシール層31でも容器本体2とヒートシールすることで、被加熱対象物の対流や流動、又は電磁誘導加熱コイルとの斥力による誘導加熱発熱体3の浮き上がり、又は波打ちを有効に抑止することができ、より安定した加熱が可能になる。
また、本実施形態にあっては、誘導加熱発熱体3がほぼ円形に形成されていることから、この誘導加熱発熱体3の中心を通る径方向に沿ってヒートシール層31を所定の幅で除去し、主加熱領域HFと交差して径方向に延在する帯状のヒートシール層非積層部31a(導電層30)を設けてある。そして、主加熱領域HFのヒートシール層非積層部31aと交差する領域を、導電層30から成るヒューズ機能部形成領域32aとしこの領域32aに、加熱調理の際に、液状の被加熱物が沸騰し蒸発して減少していったときや、容器内に被加熱物が収容されていない場合など、被加熱物への熱移動がなされない空焚きの状態となったときに、選択的に過剰に発熱して破断する平面状ヒューズ機能部32が形成されている。
平面状ヒューズ機能部32は、導電層30の導電性材料を折り曲げて立ち上げる立体的な加工を伴わない形状で上記した機能を呈するものであれば、具体的な形態は限定されない。例えば、図1、図5及び図7に示すように、主加熱領域HFの切断線33a,33b、切断線33c,33d、及び切断線33d,33eによって区画された領域のヒートシール層非積層部31aと交差する領域をヒューズ機能部形成領域32aとして、それぞれに、ヒートシール層非積層部31aの延在方向に沿って、導電層30の一部を残して切断するスリット35a,35b,35c,35d,35eを形成することにより、導電層30に残された当該一部をヒューズ機能部32として機能させることができる。
このように、導電層30の一部を残して切断することで、主加熱領域HFに誘起される渦電流の電流密度に偏りが生じ、導電層30に残された当該一部における電流密度が最も高くなる。その結果、被加熱物への熱移動がなされない空焚きの状態となったときに、導電層30に残された当該一部が、選択的に過剰に発熱して破断する平面状ヒューズ機能部32として機能する。
平面状ヒューズ機能部32が破断すると渦電流の導通が遮断され、電磁調理器の安全装置がその異常を検知し、これによって電磁調理器が停止して加熱が終了するので、空焚きによる容器本体2の損傷を防止することができる。さらに、収容する被加熱物の量により加熱時間を制御することもできるので、誘導加熱容器1を使い捨て容器として蒸し調理に利用する場合などには、平面状ヒューズ機能部32をクッキングタイマー的に応用することもできる。
また、誘導加熱発熱体3にヒートシール層非積層部31aを設け、このヒートシール層非積層部31aに平面状ヒューズ機能部32を形成することで、平面状ヒューズ機能部32が破断する際の熱によって、ヒートシール層31が損傷してしまうこともない。
このような平面状ヒューズ機能部32は、図8及び図9に変形例を示すように、主加熱領域HFのヒートシール層非積層部31aと交差するヒューズ機能部形成領域32aに、ヒートシール層非積層部31aの延在方向に沿って、導電層30に切り込み線36a,36b,36cを刻設して形成することもできる。この場合には、切り込み線36a,36b,36cを刻設することによって厚みが薄くなった部位における電流密度が最も高くなり、被加熱物への熱移動がなされない空焚きの状態となったときに、当該部分が選択的に過剰に発熱して破断する平面状ヒューズ機能部32として機能する。
さらに、平面状ヒューズ機能部32は、図10及び図11に他の変形例を示すように、主加熱領域HFのヒートシール層非積層部31aと交差するヒューズ機能部形成領域32aに、ヒートシール層非積層部31aの延在方向に沿って、導電層30の一部を残す円形の打ち抜き孔37a,37b,37cを穿設して形成することもできる。この場合には、打ち抜き孔37a,37b,37cが穿設されて、径方向に残った導電層30の電流密度が最も高くなり、被加熱物への熱移動がなされない空焚きの状態となったときに、当該一部が選択的に過剰に発熱して破断する平面状ヒューズ機能部32として機能する。
尚、導電層30の一部を残す打ち抜き孔37a,37b,37cの大きさ、数は、主加熱領域HFの範囲に応じて適宜選択され、その形状も、円形の他、長円、楕円等の適宜形状を採用することができる。
このようにすることで、平面状ヒューズ機能部32は、導電層30を折り曲げて立ち上げたりすることなく形成され、調理や、図12に示すように容器を重ねて保管、搬送する際に、損傷を受けやすい立ち上げた部位を有さずに形成することができる。
尚、上記した例では、主加熱領域HFの切断線33a,33b、切断線33c,33d、及び切断線33d,33eによって区画された領域のヒートシール層非積層部31aと交差する領域をヒューズ機能部形成領域32aとして、それぞれにヒューズ機能部32が形成されるようにしているが、主加熱領域HFを複数の領域に区画した場合には、区画された主加熱領域HFの少なくとも一つの領域のヒートシール層非積層部31aと交差する領域をヒューズ機能部形成領域32aとして、平面状ヒューズ機能部32を形成すればよい。
また、上記した例では、誘導加熱発熱体3を円形に形成し、誘導加熱発熱体3の中心を通る径方向に沿ってヒートシール層非積層部31aを設けているが、ヒートシール層非積層部31aは、主加熱領域HFと交差して帯状に延在して設けられていれば、これに限定されない。
このような誘導加熱発熱体3を容器本体2に取り付けるにあたり、誘導加熱発熱体3は、容器本体2の内底面21から離間させて取り付けるのが好ましい。
誘導加熱発熱体3を容器本体2の内底面21から離間させて取り付けることで、容器本体2に収容された水などの液状の被加熱物が、誘導加熱発熱体3と容器本体2の内底面21との間にも行き渡るようになる。これによって、被加熱物に対する加熱効率を高めるとともに、誘導加熱発熱体3からの熱によって容器本体2が損傷するのを有効に回避することができる。さらに、容器本体2の損傷を防止するため、誘導加熱発熱体3の裏面側に被加熱物が停滞せずに対流を促すように、導加熱発熱体3を貫通する抜き孔やスリット38などを形成することができる。
本実施形態にあっては、図4に示すように、容器本体2の内底面21の中央付近に突出して設けた第一支持部22aと、その外周側に突出して設けた第二支持部22bと、さらにその外周側に突出して設けた第三支持部22cに、誘導加熱発熱体3をヒートシールすることによって、誘導加熱発熱体3を容器本体2の内底面21から離間させて取り付けている。これらの支持部22a,22b,22cと誘導加熱発熱体3とのヒートシール部を図3に斜線で示す。
また、誘導加熱発熱体3を容器本体2の内底面21から離間させて取り付ける際に、支持部22a,22b,22cの高さを、第一支持部22a、第二支持部22b、第三支持部22cの順に、外周側に向かって順に低くし、容器本体2に取り付けられた誘導加熱発熱体3の内底面21に対する高さが、中央側が高く、周縁に向かって低くなるように傾斜した状態とするのが好ましい。このような形態とすることにより、被加熱物が水等の場合、容器内の水が所定量よりも少なくなると、被加熱物が誘導加熱発熱体3の中央からその周囲に流動し、誘導加熱発熱体3の周縁部領域OFの容器本体2との未ヒートシール部分から、容器本体2の内底面と誘導加熱発熱体3のヒートシール層31の間隙に滞留する。このように、被加熱物を滞留させることにより、被加熱物の減少によって生じる誘導加熱発熱体3の過加熱による容器1の損傷を、被加熱物を介して防止することができる。
さらに、本実施形態にあっては、例えば、図4に示すように、容器本体2の開口部周縁に段部23を設けて、食材が載置されるトレイ4を支持又は嵌合できるようにすることができる。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
前述した第一実施形態では、導電層30を、周方向に沿う複数の切断線33a,33eによって、中央部領域CFと、主加熱領域HFと、周縁部領域OFとに区画し、ヒートシール層非積層部31aを、主加熱領域HFと交差して帯状に延在して設け、交差する領域をヒューズ機能部形成領域32aとした。本実施形態では、導電層30をこれらの領域に区画することなく、ヒートシール層31が非積層とされたヒートシール層非積層部31aの導電層30から成るヒューズ機能部形成領域32aに、平面状ヒューズ機能部32を形成した点が第一実施形態と異なっている。
具体的には、図13及び14に示すように、本実施形態では、誘導加熱発熱体3の周縁に内接する円形状のヒートシール層非積層部31aを設けている。そして、かかるヒートシール層非積層部31aの導電層30から成るヒューズ機能部形成領域32aに、その周囲に導電層30を残して円形の抜き孔38を形成する。このように、ヒューズ機能部形成領域32aの導電層30に抜き孔38を形成することにより、誘導加熱発熱体3に誘起される渦電流の電流密度に偏りが生じ、誘導加熱発熱体3の周縁と抜き孔38との間に残存する導電層30の電流密度が最も高くなる。その結果、被加熱物への熱移動がなされない空焚きの状態となったときに、当該部位が、選択的に過剰に発熱して破断する平面状ヒューズ機能部32として機能する。
このように、本実施形態の平面状ヒューズ機能部32は、前述した第一実施形態と同様に導電層30を折り曲げ立ち上げて形成することなく、調理や、図12に示すように容器を重ねて保管、搬送する際に、ヒューズ機能部が損傷することがない。
本実施形態では、他の構成については第一実施形態と同様であり、その説明は省略する。
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
以上説明したように、本発明は、市販の電磁調理器により、安全、かつ、手軽に、被加熱物を加熱することができる誘導加熱容器を提供する。
1 誘導加熱容器
2 容器本体
3 誘導加熱発熱体
30 導電層
31 ヒートシール層
31a ヒートシール層非積層部
32 平面状ヒューズ機能部
33a〜33e 切断線
35a〜35c スリット
36a〜36c 切り込み線
37a〜37c 打ち抜き孔
CF 中央部領域
HF 主加熱領域
OF 周縁部領域

Claims (7)

  1. 高周波磁界により渦電流が誘起されて発熱する導電層に、ヒートシール層を積層した積層体から成る所定形状の誘導加熱発熱体であって、
    前記ヒートシール層が非積層とされたヒートシール層非積層部を設け、前記ヒートシール層非積層部の前記導電層から成るヒューズ機能部形成領域に、平面状ヒューズ機能部を形成したことを特徴とする誘導加熱発熱体。
  2. 前記導電層を、周方向に沿う複数の切断線によって、中央部領域と、主加熱領域と、周縁部領域とに区画し、
    前記ヒートシール層非積層部を、前記主加熱領域と交差して帯状に延在して設け、交差する領域を前記ヒューズ機能部形成領域とした請求項1に記載の誘導加熱発熱体。
  3. 前記ヒューズ機能部形成領域の前記導電層に、前記ヒートシール層非積層部の延在方向に沿った一部を残して切断して成るスリットを形成し、前記導電層に残された当該一部を前記平面状ヒューズ機能部とした請求項2に記載の誘導加熱発熱体。
  4. 前記ヒューズ機能部形成領域の前記導電層に、前記ヒートシール層非積層部の延在方向に沿って切り込み線を刻設し、前記導電層の厚みが薄くなった部位を前記平面状ヒューズ機能部とした請求項2に記載の誘導加熱発熱体。
  5. 前記ヒューズ機能部形成領域の前記導電層に、前記ヒートシール層非積層部の延在方向に沿った一部を残して打ち抜き孔を穿設し、前記導電層に残された当該一部を前記平面状ヒューズ機能部とした請求項2に記載の誘導加熱発熱体。
  6. 前記主加熱領域が、前記導電層を周方向に沿って切断する切断線によって複数の領域に区画されるとともに、当該切断線が外周寄りに密に設けられ、
    区画された前記主加熱領域の少なくとも一つの領域の前記ヒートシール層非積層部に前記平面状ヒューズ機能部を形成した請求項2乃至5のいずれか一項に記載の誘導加熱発熱体。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の誘導加熱発熱体を、非導電性材料からなる容器本体に取り付けたことを特徴とする誘導加熱容器。
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