JP6052335B2 - 誘導加熱発熱体 - Google Patents

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Description

本発明は、電磁調理器などが備える電磁誘導加熱コイルが発する高周波磁界によって渦電流が誘起され、そのジュール熱により発熱する誘導加熱発熱体に関する。
近年、ガス機器が主流であった加熱調理機器に代わって、一般に、電磁調理器と称される加熱調理機器が、安全性、清潔性、利便性、経済性などの観点から、飲食業などにおける業務用のみならず、一般家庭においても広く普及するようになってきている。
しかしながら、この種の電磁調理器は、内部に備えた電磁誘導加熱コイルにより高周波磁界を発生させ、誘起された渦電流によって生じるジュール熱により加熱対象物を加熱するというものである。
このため、炎を使わずに加熱調理を行うことができる反面、その原理上、使用できる調理器具が限られてしまい、鉄、鉄ホーローなどの磁性金属からなる専用の調理器具を用いなければならないという不利があった。
このような状況下、上記した電磁調理器の不利を解消するものとして、例えば、特許文献1には、電磁調理器から生じる渦電流により、0.10〜100μmのアルミニウム箔を発熱させる電磁調理器を用いる加熱方法が提案されており、特許文献1の加熱方法によれば、非磁性の容器であっても電磁調理器を用いて内容物を容易に加熱することができるとされている。
しかしながら、このような特許文献1の加熱方法には、誤って空焚きしてしまった場合などに、アルミニウム箔が急激に昇温して容易に燃えて飛散してしまうという危険や、熱により容器が損傷してしまうおそれがあるという問題があった。
そこで、本出願人は、非磁性材料からなる容器に取り付けて、当該容器を電磁調理器による誘導加熱が可能な誘導加熱容器として使用できるようにするとともに、空焚き状態となった場合には、選択的に過剰に発熱して破断する部位(ヒューズ部)を設けて、これによって電磁調理器の安全機構が働いて加熱を終えるようにした誘導加熱発熱体を特許文献2において提案した。
特開2003−325327号公報 特開2010−44929号公報
本発明は特許文献2で提案した誘導加熱発熱体と同様に、非磁性材料からなる容器に取り付けて、当該容器を電磁調理器による誘導加熱が可能な誘導加熱容器として使用でき、ヒューズ部が過剰に発熱して破断すると電磁調理器の安全機構が働いて、電磁調理器が自動的に停止することによって、空焚きを防止したり、加熱調理の時間を制御したりすることが出来る誘導加熱発熱体の提供を目的とする。
本発明に係る誘導加熱発熱体は、高周波磁界により渦電流が誘起されて発熱する導電性材料からなる導電層と、前記導電層に積層されたヒートシール性樹脂層とを有し、前記ヒートシール性樹脂層が取り除かれた被加工領域の前記導電層に、選択的に過剰に発熱して破断するヒューズ部形成され、前記ヒューズ部が、前記導電層を立ち上らせた一対のヒューズ部形成片から成り、前記ヒューズ部形成片の端縁側同士を部分的に溶接して形成されている構成としてある。
本発明に係る誘導加熱発熱体は、非磁性材料からなる容器に取り付けて、当該容器を電磁調理器による誘導加熱が可能な誘導加熱容器として使用できるようにすることができる。また、導電層に形成されたヒューズ部が過剰に発熱して破断すると、電磁調理器の安全機構が働いて、電磁調理器が自動的に停止するので、これによって、空焚きを防止したり、加熱調理の時間を制御したりすることが出来る。
本発明に係る誘導加熱発熱体の使用例を示す説明図である。 本発明の実施形態において、ヒートシール性樹脂層から非接着部を取り除く工程を示す説明図である。 本発明の実施形態において、立ち上がり部が形成された状態からヒューズ部が形成されるまでの工程を示す説明図である。 本発明の実施形態において、立ち上がり部が形成された状態からヒューズ部が形成されるまでの工程を示す説明図である。 本発明の実施形態において、立ち上がり部を形成する工程の一例を示す説明図である。 本発明の実施形態において、ヒューズ部形成片の端縁側を所定の幅で折り返した状態を示す説明図である。 本発明の実施形態の変形例を示す説明図である。 本発明の実施形態の他の変形例を示す説明図である。
以下、本発明に係る誘導加熱発熱体の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態の誘導加熱発熱体の使用例を示す説明図であり、誘導加熱発熱体1と、誘導加熱発熱体1が取り付けられる容器2の一例を示している。
誘導加熱発熱体1は、非磁性材料からなる容器2に取り付けて、当該容器2を電磁調理器による誘導加熱が可能な誘導加熱容器として使用できるようにする為のものである。そして、このような使用に供される誘導加熱発熱体1は、電磁調理器などが備える電磁誘導加熱コイルが発する高周波磁界により渦電流が誘起され、その電気抵抗によりジュール熱が生じて発熱する導電性材料からなる導電層11を有している(後述する図2等参照)。
また、導電層11には、誘導加熱発熱体1を利用して加熱調理をするに際して、液状の被加熱物が沸騰して減少していく過程で、容器2内の被加熱物が所定量よりも少なくなった時に、選択的に過剰に発熱して破断するヒューズ部3が形成されている。このようなヒューズ部3を導電層11に形成することで、空焚きを防止したり、加熱時間を制御したりすることが出来る。
本実施形態において、導電層11に形成されるヒューズ部3は、平面状の主部1aから径方向に沿って導電層11を立ち上がらせて、その先端側を長手方向に沿って分断して一対のヒューズ部形成片31,32を形成し、一方のヒューズ部形成片31と他方のヒューズ部形成片32とが、それぞれの端縁31a,32aを揃えて重ね合わされるように固定することによって形成されるが、これについては後述する。
導電層11を形成する導電性材料としては、例えば、アルミニウム,ニッケル,金,銀,銅,白金,鉄,コバルト,錫,亜鉛等の金属、又はこれらの合金、或いは、導電性を付与した樹脂フィルムや紙等、高周波磁界による誘導加熱によって発熱する種々の導電性材料を用いることが出来るが、安価に、且つ、容易に入手出来ることから、アルミニウム箔を用いるのが特に好ましい。アルミニウム箔を用いる場合、その厚みは、0.10〜100μm程度であるのが好ましく、より好ましくは1〜40μm程度である。
図1に示す例において、誘導加熱発熱体1は、水などの液状の被加熱物が収容できるようにされた容器2の内底面21側に取り付けられる。容器2は、内底面21の周りを囲むようにして立設された側壁部22を有しており、容器2の内底面21の平面形状は、図示するような円形状とするほか、方形状、多角形状とする等、任意の形状とすることが出来る。
また、容器2は、ポリスチレン等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン,ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂等の合成樹脂材料、更には、紙や、ガラス等、種々の汎用の非磁性材料にて形成することが出来る。これらの材料にて容器2を形成することにより、電磁調理器で使用可能な誘導加熱容器を安価に提供することが可能となる。
誘導加熱発熱体1は、容器2に用いた材料に対してヒートシール性を有するヒートシール性樹脂層12を有しており、ヒートシールによって容器2の内底面21に取り付けることが出来るようになっている。ヒートシール性樹脂層12を形成する樹脂は、上記したような材料にて形成された容器2の内底面21に、ヒートシールによって誘導加熱発熱体1を取り付けることが出来るものを適宜選択して用いるが、例えば、ポリプロピレン,ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂を用いることが出来る。
容器2の内底面21に誘導加熱発熱体1を取り付けるにあたり、誘導加熱発熱体1は、容器2の内底面21に部分的に接着されるようにするのが好ましい。誘導加熱発熱体1を容器2の内底面21に部分的に接着させることで、容器2に収容された水などの液状の被加熱物が、誘導加熱発熱体1の裏面側、すなわち、誘導加熱発熱体1と容器2の内底面21との間にも行き渡るようになる。これによって、被加熱物に対する加熱効率を高めるとともに、誘導加熱発熱体1からの熱によって容器2が損傷するのを有効に回避することができる。誘導加熱発熱体1の裏面側にも被加熱物が行き渡るようにするためには、誘導加熱発熱体1の中央又はその近傍に、円形状、又は楕円形状等の任意の形状に切り抜いた抜き孔1bを設けたり、スリット状の切り込みを設けたりすると良い。特に図示しないが、容器2の内底面21の一部を切り抜いて、これを誘導加熱発熱体1で塞ぐようにして取り付けることによって、誘導加熱発熱体1が内底面21を兼ねるようにしても良い。
また、誘導加熱発熱体1を取り付けた容器2は、通常、市販の電磁調理器の上に置いて使用されることから、誘導加熱発熱体1や、容器2の内底面21の大きさは、使用する電磁調理器が備える加熱コイルの大きさに応じて設定される。例えば、市販の家庭用電磁調理器が備える一般的な加熱コイルは、内径5cm程度、外径20cm程度であり、業務用のものであれば、もっと大きいものもあるが、使用が想定される電磁調理器に応じて大きさを適宜定めておくものとする。
前述したように、ヒューズ部3は、平面状の主部1aから立ち上げた導電層11の先端側を分断し、これによって形成されたヒューズ部形成片31,32が、それぞれの端縁31a,32aを揃えて重ね合わせられるように固定することによって形成されている。
このため、液状の被加熱物が沸騰して減少していく過程で、容器2内の被加熱物が所定量よりも少なくなり、被加熱物の液面上にヒューズ部3が露出した状態になると、ヒューズ部3が選択的に過剰に発熱するようになる。そして、そのまま発熱し続けると、ヒューズ部3が破断する。ヒューズ部3が破断すると、電磁調理器の安全機構が働いて、電磁調理器が自動的に停止するので、これによって、空焚きを防止したり、加熱調理の時間を制御したりすることが出来る。
次に、このような誘導加熱発熱体1を製造するための具体的な方法について説明する。
図2〜図6は、誘導加熱発熱体1の製造工程を示す説明図である。
本実施形態において、誘導加熱発熱体1を製造するには、先ず、導電層11を形成する導電性材料からなる原反(例えば、長尺状のアルミニウム箔)を連続的に繰り出しながら、これに、ヒートシール性樹脂層12を形成する樹脂からなる原反(例えば、長尺状のポリプロピレン樹脂シート)を積層する。
この際、図2に示すように、ヒューズ部3を形成するための被加工領域30が、好ましくは4〜30mmの幅Wで導電層11に帯状に設けられるように、導電層11とヒートシール性樹脂層12の少なくとも一方に当該被加工領域30を避けて接着剤層13を形成しておく。そして、このようにして形成された接着剤層13を介して、導電層11とヒートシール性樹脂層12とを積層してブランクシート10を形成する。
これにより、ヒートシール性樹脂層12には、導電層11に設けられた被加工領域30に対して非接着とされた状態で、当該被加工領域30に重なる位置に非接着部12aが形成される。被加工領域30は、導電層11にヒューズ部3を形成する為に設けられるものであり、ヒューズ部3を形成するに先立ち、被加工領域30に重なる非接着部12aをヒートシール性樹脂層12から取り除くことによって、被加工領域30が剥き出しにされた状態にしておく。ヒートシール性樹脂層12から非接着部12aを取り除くには、例えば、非接着部12aの幅方向両端に沿ってハーフカット処理を施して(図2(b)参照)、ヒートシール性樹脂層12から非接着部12aを引き剥がすなどすれば良い。ハーフカット処理を施すには、トムソン刃、ピナクル刃などの切断刃や、レーザーなどを用いてヒートシール性樹脂層12に図2(b)に示すような切り込みを入れるようにすればよい。
ここで、図2は、ヒートシール性樹脂層12から非接着部12aを取り除く工程を示す説明図であり、図2(b)は、図2(a)のA−A断面図、図2(c)は、図2(a)のB−B断面図である。
次に、導電層11に設けられた被加工領域30にヒューズ部3を形成する。そのためには、先ず、非接着部12aが取り除かれたヒートシール性樹脂層12の残部の端縁12bを揃えて重ね合わせる。これにより、被加工領域30の幅方向中央部が長手方向に沿って山折りに折り曲げられ、そして、重ね合わされたヒートシール性樹脂層12の端縁12b側を、好ましくは3〜25mmの高さLで残して、当該端縁12bに沿って導電層11とともにヒートシール性樹脂層12を谷折りに折り曲げて立ち上がり部35を形成する。
ここで、ヒートシール性樹脂層12から非接着部12aが取り除かれたブランクシート10を図2(a)に示す状態から上下を反転させてから、立ち上がり部35を形成した状態を図3(a)に示す。図4(a)は、折り曲げられた立ち上がり部35の先端部を示す図3(a)のC−C断面図、図4(b)は、ヒートシール性樹脂層12の残部の端縁12bを揃えて重ね合わせた状態を示す図3(a)のD−D断面図である。
このような折り曲げ加工は別々に行っても良いが、例えば、図5に示すような上下一対のガイド部材40,50を用いて同時に行うようにしても良い。
図5に示す例において、上側ガイド部材40は、その幅方向中央がU字状に折り曲げられたガイド溝41を備えており、下側ガイド部材50には、上側ガイド部材40が備えるガイド溝41との間に、所定の空隙が形成されるように挿通可能な突条片51が設けられている。そして、ガイド溝41の溝深さと突条片51の高さとを適宜調整して、ガイド溝41と突条片51との間に形成された空隙に被加工領域30がガイドされるように、ヒートシール性樹脂層12から非接着部12aが取り除かれたブランクシート10を繰り出すことで、上記したような折り曲げ加工が同時に行われるようにすることが出来る。
次いで、このような折り曲げ加工によって形成された立ち上がり部35において、重ね合わされているヒートシール性樹脂層12の対向面同士を熱融着する。これとともに、山折りに折り曲げられた被加工領域30の幅方向中央部、すなわち、立ち上がり部35の先端部を長手方向に沿って分断する。このとき、被加工領域30を折り曲げ線に沿って切り開いても良く、折り曲げ線を含む所定の範囲を切除するようにしても良い。このようにすることで、それぞれの端縁31a,32aを揃えて重なり合わされた一対のヒューズ部形成片31,32が形成される。このとき、ヒューズ部形成片31,32は、2〜15mmの幅Wで形成されるようにするのが好ましい。
ここで、図3(b)は、立ち上がり部35の先端部を長手方向に沿って分断した状態を示しており、図4(c)は、ヒューズ部形成片31,32の端縁31a,32aを揃えて重なり合わせた状態を示す図3(b)のE−E断面図である。
次いで、一方のヒューズ部形成片31の端縁31aと、他方のヒューズ部形成片32の端縁32aとを揃えた状態で固定する。これによって、ヒューズ部形成片31,32の端縁31a,32a同士が離れないようにして、ヒューズ部3が形成される。
一方のヒューズ部形成片31の端縁31aと、他方のヒューズ部形成片32の端縁32aとを揃えた状態で固定するには、ヒューズ部形成片31,32の端縁31a,32a側同士を部分的に溶接するのが好ましい。このとき、ヒューズ部形成片31,32の端縁31a,32a側同士を部分的に溶接するには、例えば、溶接しようとする部位を超音波ホーンとアンビルとの間に挟み、超音波振動によって導電性材料を溶融することによって溶接するなどすれば良い。
ここで、図3(c)は、ヒューズ部形成片31,32の端縁31a,32a側同士を部分的に溶接した状態を示しており、部分的に溶接された部位を図中、符号33で示す。
ヒューズ部形成片31,32の端縁31a,32a側同士を溶接するにあたっては、前述したようなヒューズ部3の機能を発揮させることが出来る範囲で、溶接する部位の面積や、その位置、及び溶接する部位の数等を適宜設定するのが好ましい。
このようにして導電層11にヒューズ部3を形成した後に、ヒューズ部3が径方向に位置するように、所定の形状に切り抜くことによって誘導加熱発熱体1が製造される。図1に示す例では、容器2の内底面21の平面形状に合わせて、誘導加熱発熱体1を円形状に切り抜いているが、誘導加熱発熱体1を切り抜く形状は、これに限定されない。容器2の内底面21に取り付けることが出来る形状であれば、任意の形状とすることが出来る。
また、ヒューズ部形成片31,32の端縁31a,32a側同士を溶接するにあたっては、最終的に得られる誘導加熱発熱体1の形状を考慮して、例えば、所定の形状で切り抜かれた誘導加熱発熱体1の半径方向の中央や、半径方向の両端寄りに相当する位置などの一〜三カ所に、2〜3mm角程度の大きさで溶接する部位を設定することが出来る。
以上のように、本実施形態にあっては、
(1)ヒューズ部3が形成される被加工領域30が導電層11に帯状に設けられるように被加工領域30を避けて形成された接着剤層13を介して、導電層11にヒートシール性樹脂層12を積層する工程、
(2)導電層11に対して非接着とされた状態で被加工領域30に重なる位置に形成されたヒートシール性樹脂層12の非接着部12aを、ヒートシール性樹脂層12から取り除く工程、
(3)非接着部12aが取り除かれたヒートシール性樹脂層12の残部の端縁12bを揃えて重ね合わせる工程、
(4)導電層11に設けられた被加工領域30の幅方向中央部を長手方向に沿って山折りに折り曲げる工程、
(5)重ね合わされたヒートシール性樹脂層12の端縁12b側を所定の高さで残して、当該端縁12bに沿って導電層11とともにヒートシール性樹脂層12を谷折りに折り曲げて立ち上がり部35を形成する工程、
(6)重ね合わされているヒートシール性樹脂層12の対向面同士を熱融着する工程、
(7)被加工領域30の幅方向中央部を長手方向に沿って分断して一対のヒューズ部形成片31,32を形成する工程、
(8)一方のヒューズ部形成片31の端縁31aと、他方のヒューズ部形成片32の端縁32aとを揃えた状態で固定してヒューズ部3を形成する工程、
の各工程を実行し、導電層11にヒューズ部3を形成してから所定形状に切り抜くことによって、誘導加熱発熱体1を工業的に再現性良く製造するが、その順序は問わない。
例えば、導電層11にヒートシール性樹脂層12を積層してなるブランクシート10を所定形状に切り抜いた後に、ヒートシール性樹脂層12から非接着部12aを引き剥がして被加工領域30にヒューズ部3を形成するようにしても良い。この場合には、ヒューズ部3が形成される被加工領域30が径方向に位置するようにブランクシート10を切り抜いてから、被加工領域30にヒューズ部3を形成するようにすれば、最終的に、誘導加熱発熱体1は、その径方向に位置するようにヒューズ部3が形成された状態で所定形状に切り抜かれたことになる。
また、上記(3)〜(8)の工程は、この順に実行するのが好ましいが、例えば、図5に示すような上下一対のガイド部材40,50を用いれば、上記(3)、(4)、(5)の工程は同時に実行することができるが、このとき、上記(7)の工程も同時に実行してもよい。
また、上記(7)の工程は、上記(3)の工程よりも先に実行して、上記(4)の工程を省略するようにしても良く、上記(7)の工程は、上記(8)の工程の後に実行するようにしても良い。
また、上記(5)の工程を省略して誘導加熱発熱体1を形成しておき、容器2に誘導加熱発熱体1を取り付ける際に、重ね合わされたヒートシール性樹脂層12の端縁12b側を所定の高さで残して、当該端縁12bに沿って導電層11とともにヒートシール性樹脂層12を谷折りに折り曲げて、平面状の主部1aが形成されるようにしても良い。この場合、上記(6)の工程でヒートシール性樹脂層12の対向面同士を熱融着した部分が、谷折りの起点となるので、平面状の主部1aを容易に形成することができる。
このような本実施形態によれば、導電層11を形成する導電性材料として、アルミニウム箔のような薄い金属箔を採用する場合でも、ヒートシール性樹脂層12がサポートし、導電層11を直接加工する工程の直前で被加工領域30のみヒートシール性樹脂層12を取り除くので、製造中の取扱いが容易である。更に、被加工領域30の直近で対向するヒートシール性樹脂層12が熱融着されているので、位置決めが行い易く、ヒューズ部形成片31の端縁の固定操作を安定して再現性よく実行できる。
更に、本実施形態にあっては、図6に示すように、部分的に溶接されたヒューズ部形成片31,32の端縁31a,32a側を、好ましくは0.5〜7.5mmの幅Wで折り返して、折り返されて対向する面34a、34b同士を部分的に溶接するようにすることが出来る。すなわち、ヒューズ部3は、ヒューズ部形成片31,32の端縁31a,32a側同士を部分的に溶接した後に、所定の幅で当該端縁31a,32a側を折り返して、折り返されて対向する面34a、34b同士を部分的に溶接することによって形成するようにしても良い。ヒューズ部形成片31,32の端縁31a,32a側が折り返されて対向する面34a、34b同士を部分的に溶接するには、前述したような超音波振動を利用した方法を適用することが出来る。また、この場合も同様に、前述したようなヒューズ部3の機能を発揮させることが出来る範囲で、溶接する部位の面積や、その位置、及び溶接する部位の数等を適宜設定するが、溶接する部位の高さは、折り返し幅W3に合わせて設定するのが好ましい。
溶接されたヒューズ部形成片31,32の端縁31a,32a側を所定の幅で折り返して、折り返されて対向する面34a、34b同士を部分的に溶接することで、ヒューズ部形成片31,32の端縁31a,32aが、より確実に離れないように固定することができる。このため、このような態様とする場合、ヒューズ部形成片31,32の端縁31a,32aが離れないように固定するには、ヒューズ部形成片31,32の端縁31a,32a側同士を溶接する部位は少なくとも一か所あれば十分である。
ヒューズ部形成片31,32は、アルミニウム箔などの導電性材料からなる導電層11を分断することによって形成されたものであり、高周波磁界内では互いに反発する斥力が生じることとから、このような態様は、一方のヒューズ部形成片31の端縁31aと、他方のヒューズ部形成片32の端縁32aとが離れないようにするのに有効である。
また、ヒューズ部3は、被加熱物の液面上に露出した状態になったときにヒューズ部3が選択的に過剰に発熱して破断するものである。このため、平面状の主部1aに対するヒューズ部3の高さを適宜設定することで、ヒューズ部3が破断するまでの時間、すなわち、誘導加熱を終えるまでの時間を制御することができる。但し、平面状の主部1aに対するヒューズ部3の高さが十分でなく、被加熱物が沸騰する際の飛沫がヒューズ部3にかかり、これによって、ヒューズ部3が発する熱が奪われてしまうと、意図したタイミングでヒューズ部3を破断させることの妨げになってしまう。平面状の主部1aに対するヒューズ部3の高さ、すなわち、立ち上がり部35に残すヒートシール性樹脂層12の端縁12b側の高さL、立ち上がり部35の先端部を分断して形成するヒューズ部形成片31,32の幅W、ヒューズ部形成片31,32の端縁31a,32a側を折り返す幅W等は、このことも考慮して前述した範囲内で設定するのが好ましい。
また、ヒューズ部3の機能を確実に発揮させるには、被加熱物中にヒューズ部3が浸された状態では、ヒューズ部形成片31,32の間に被加熱物が入り込み、ヒューズ部3が発する熱が被加熱部に伝わり易くするとともに、被加熱物の液面上にヒューズ部3が露出したときには、被加熱物がヒューズ部3に残留せずに、速やかに排出されるようになっていることが望まれる。ヒューズ部3を形成するにあたっては、その各部の形状、寸法等は、このことを考慮して適宜設計するのが好ましい。
また、誘導加熱発熱体1の径方向に沿って形成されたヒューズ部3は、少なくともヒューズ部3を機能させるのに必要な部分を残しておき、それ以外の部分を切り欠くようにしても良い。
更に、誘導加熱発熱体1を所定形状に切り出す際や、未使用時には、ヒューズ部3を横倒しにしておいても良い。誘導加熱発熱体1を利用して被加熱部を加熱する時にヒューズ部3を立ち上げて、前述したような機能が発揮できるようになっていれば良い。
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば導電層11からの金属溶出の問題が懸念される場合には、導電層11のシール性樹脂層12が積層された側とは反対の面に、例えば、ポリプロピレン,ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂からなるフィルム材を積層するなどして、被覆層14を形成することが出来る。
この場合、上記(6)の工程を上記(4)の工程よりも先に実行して、例えば、被加工領域30を長手方向に沿って山折りに折り曲げる前に、図に示すように、被加工領域30の導電性材料は分断するが、被覆層までは分断しないように、被加工領域30の幅方向中央をハーフカットしておくことで、被加工領域30の折り曲げられた先端部が長手方向に沿って分断されるようにしておいてから、図中矢印で示す方向に折り曲げるようにすることが出来る。
更に、被覆層を形成した場合であっても、ヒューズ部形成片31,32の端縁31a,32a側を所定の幅で折り返して、折り返されて対向する面同士を部分的に溶接することができる。
この場合には、ヒートシール性樹脂層12から非接着部12aを取り除いたのと同様にして、図(a)に示すように、被加工領域30に重なる被覆層14の所定の部位を帯状に取り除いておき、図(d)に示すように、折り返されて対向する面34a,34bの導電性材料が直接接触するようにしておけば、折り返されて対向する面34a,34b同士を溶接することが可能になる。
ここで、図(b)は、被加工領域30に重なる被覆層14の所定の部位を帯状に取り除いた図(a)に示す状態から、図(a)中矢印で示す方向に折り曲げた状態を示しており、図(c)は、被加工領域30の折り曲げられた先端部を長手方向に沿って分断して一対のヒューズ部形成片31,32を形成した状態を示している。
本発明は、電磁調理器などが備える電磁誘導加熱コイルが発する高周波磁界によって渦電流が誘起され、そのジュール熱により発熱する誘導加熱発熱体を提供する。
1 誘導加熱発熱体
11 導電層
12 ヒートシール性樹脂層
12a 非接着部
12b 端縁
13 接着剤層
2 容器
3 ヒューズ部
30 被加工領域
31 ヒューズ部形成片
31a 端縁
32 ヒューズ部形成片
32a 端縁
34a 折り返されて対向する面
34b 折り返されて対向する面

Claims (2)

  1. 高周波磁界により渦電流が誘起されて発熱する導電性材料からなる導電層と、
    前記導電層に積層されたヒートシール性樹脂層とを有し、
    前記ヒートシール性樹脂層が取り除かれた被加工領域の前記導電層に、選択的に過剰に発熱して破断するヒューズ部形成され、
    前記ヒューズ部が、前記導電層を立ち上らせた一対のヒューズ部形成片から成り、前記ヒューズ部形成片の端縁側同士を部分的に溶接して形成されていることを特徴とする誘導加熱発熱体。
  2. 前記ヒューズ部形成片が、前記導電層とともに前記ヒートシール層の残部の端縁側を折り曲げてなり、当該ヒートシール性樹脂層の対向面同士を熱融着した請求項に記載の誘導加熱発熱体。
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