JP2016169276A - 炭素繊維複合材料およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】マトリクス樹脂の重量平均分子量が高く靭性に優れ、き裂が伝播しづらく、機械特性、特に耐衝撃性に優れるCFRPを提供する。
【解決手段】繊維長が5〜50mmの炭素繊維からなる不織布と重量平均分子量が7万以上30万以下であるポリアリーレンスルフィドをマトリクス樹脂とする炭素繊維複合材料であり、計装化シャルピー衝撃試験で得られるき裂伝播エネルギーEpが0.2〜2[J]の範囲にある炭素繊維複合材料。
【選択図】図1

Description

本発明は炭素繊維とマトリクス樹脂とからなる炭素繊維複合材料(以下CFRPと記載)製の部材に関し、特に耐衝撃性に優れるCFRP部材に関する。
強化繊維とマトリクス樹脂とからなる繊維強化複合材料(FRP)は、軽量で優れた強度特性を付与できること、繊維配向を制御することで任意の強度設計が可能なことにより、ゴルフシャフト、釣り竿などのスポーツ用途をはじめ、航空機部品、人工衛星部品などの航空宇宙用途、自動車・船舶、電気電子機器筐体、ロボット部品、風車、タンク類、浴槽、ヘルメット等の一般産業用途などに広く用いられている。
特に不連続の強化繊維を用いた場合には、プレス成形や射出成形などの成形法により、複雑な形状を有する部材を成形することができるため、電子機器筐体や自動車用外層部材などに広く用いられている。従来、これら用途には金属材料を用いた部材が主に用いられてきたが、近年、軽量化を目的として金属材料からFRPへの置き換えが進んでいる。
FRPを用いた部材は、金属材料を用いた部材とは異なり一般的に延性が低く、脆性的破壊を生ずる。このような破壊が生ずると、部材の荷重支持が急激に失われるため、特に高いエネルギー吸収が望まれる部材へのFRPの適用が制限される場合がある。このためFRPの耐衝撃性改善が市場において望まれていた。
効率よく、かつ安定的にエネルギーを吸収するFRP部材として、強化繊維とマトリクス樹脂からなる内層の伸度を、同じく強化繊維とマトリクス樹脂からなる外層の伸度よりも大きくすることにより、衝撃吸収特性に優れるFRP部材が得られることが知られている(特許文献1)。しかしながら、本FRP部材は外層の強化繊維が連続繊維であるため、その部分の破断伸度が小さく、低ひずみでの全体破壊のきっかけとなるため衝撃吸収エネルギー向上の効果は小さい。
また、FRP部材の吸収エネルギーを改善する方法として、屈曲度の異なる強化繊維層を少なくとも2層有するFRP部材が知られている(特許文献2)。特許文献2によれば、強化繊維層(A層)とマトリクス樹脂層(B層)が、それぞれ少なくとも2層以上存在し、A層の各積層単位の強化繊維の屈曲度を特定の範囲内に調節するとともに、特にA層を積層体の最表層に配置することでFRPの強度が増し、全吸収エネルギーを向上させることができる。しかしながら、強化繊維の単糸の分散状態を層ごとに制御しなければならないため、強化繊維基材の製造工程が煩雑となるといった課題がある。
また、FRP部材の耐衝撃性を向上させる他の方法として、高靭性/高伸度のマトリクス樹脂を使用する手法が挙げられる。高靭性/高伸度のマトリクス樹脂によりFRPの耐衝撃性を向上させる方法として、ポリアリーレンスルフィドを使用したFRP部材が知られている(特許文献3)。ポリアリーレンスルフィドをマトリクス樹脂とすることで、耐熱性や耐薬品性、機械特性に優れ、航空宇宙用途などの高性能を要求されるFRP部材に使用することができる。特許文献3では、環式アリーレンスルフィドを加熱溶融し、溶融粘度10Pa・s以下の溶融液とし、強化繊維に含浸させた後環式アリーレンスルフィドを重合することによりプリプレグを得る手法が開示されている。本手法によれば、機械特性に優れた積層体を得ることはできるものの、生産時のコスト・生産性の観点から、更に低温下、短時間での重合によりFRPを製造可能な方法が求められている。また、マトリクス樹脂の重量平均分子量Mwは最も大きいものでも約67000であり、FRPの耐衝撃性を大きく改善するほど分子量は十分に高くないものであった。
上記課題を解決するために、強化繊維に含浸した環式アリーレンスルフィドを低温下、短時間で重合するために、触媒を使用して環式アリーレンスルフィドを重合し、プリプレグを得る方法が提案されている(特許文献4)。本手法によれば、生産時のコストや生産性に優れたプリプレグを得ることはできるものの、触媒を添加する際に触媒の失活が起こらないように、環式アリーレンスルフィドや触媒に対する吸水を防がねばならず、このためFRPの製造方法が煩雑となる。また、触媒により反応性は向上したものの、依然として高分子量のマトリクス樹脂は得られておらず、耐衝撃性に優れるFRPは得られていない。
特開平9―226039号公報 特開2011―207048号公報 特開2008―231236号公報 特開2012―158748号公報
本発明の目的は、上述した問題点を解決することで、優れた耐衝撃性を有する炭素繊維強化複合材料を提供することにある。
本発明は、前述した目的を達成するために以下の構成を有する。すなわち、
(1)繊維長が5〜50mmの炭素繊維からなる不織布と重量平均分子量が7万以上30万以下であるポリアリーレンスルフィドをマトリクス樹脂とする炭素繊維複合材料であり、計装化シャルピー衝撃試験で得られるき裂伝播エネルギーEpが0.2〜2[J]の範囲にある、炭素繊維複合材料。
(2)計装化シャルピー衝撃試験にて得られるき裂伝播エネルギーEpとき裂発生エネルギーEiとの比が0.3〜1の範囲にある、(1)に記載の炭素繊維複合材料。
(3)計装化シャルピー衝撃試験にて得られるシャルピー衝撃値Aucが40〜100[kJ/m]の範囲にある、(1)または(2)に記載の炭素繊維複合材料。
(4)計装化シャルピー衝撃試験にて得られる荷重−変位曲線において、原点から最大荷重到達時の変位が2mm以上10mm以下である、(1)〜(3)のいずれかに記載の炭素繊維複合材料。
(5)計装化シャルピー衝撃試験にて得られる荷重−変位曲線において、最大荷重到達後から、荷重が0に至るまでの変位が2mm以上10mm以下である、(1)〜(4)のいずれかに記載の炭素繊維複合材料。
(6)炭素繊維複合材料中に占める前記炭素繊維の繊維体積含有率が20%以上40%未満である、(1)〜(5)のいずれかに記載の炭素繊維強化複合材料。
(7)繊維長と繊維束幅の比率で定義される繊維束のアスペクト比が1以上7200以下であり、重量が0.1mg以上である炭素繊維(A)が、前記炭素繊維の少なくとも一部に含まれ、下記式(1)で定義される繊維空間充填率が0%を超え50%以下を満たす、(1)〜(6)のいずれかに記載の炭素繊維強化複合材料。
繊維空間充填率=炭素繊維(A)の総体積/炭素繊維不織布の体積・・・(1)
(8)下記式(2)にて定義される、前記不織布に占める前記炭素繊維(A)の繊維面充填率が0%を超え60%以下である、(1)〜(7)のいずれかに記載の炭素繊維強化複合材料。
繊維面充填率=炭素繊維(A)の総面積/炭素繊維不織布の面積・・・(2)
(9)少なくとも以下の工程a)〜d)を経て得られる炭素繊維複合材料の製造方法。
a)繊維長が5〜50mmの炭素繊維からなる不織布を得る工程
b)環式アリーレンスルフィドを前記炭素繊維不織布に含浸する工程
c)含浸した前記環式アリーレンスルフィドを加熱して重合し、重量平均分子量が7万以上30万以下のポリアリーレンスルフィドを有する炭素繊維不織布基材とする工程
d)得られた炭素繊維不織布基材をプレスして炭素繊維複合材料を得る工程
(10)前記b)工程とc)工程の間に、e)環式アリーレンスルフィドが含浸された不織布をあらかじめ加熱・加圧する工程を行う、(9)に記載の炭素繊維複合材料の製造方法。
(11)前記c)工程において、減圧下または加圧下で環式アリーレンスルフィドを加熱重合する、(9)または(10)に記載の炭素繊維複合材料の製造方法。
本発明ではマトリクス樹脂の重量平均分子量が高く靭性に優れるため、き裂が伝播しづらく、機械特性、特に耐衝撃性に優れるCFRPを得ることができる。
カーディング装置の一例を示す概略構成図である。 計装化シャルピー衝撃試験にて得られる、荷重−変位曲線を示す模式図である。
以下に本発明のCFRP部材について、望ましい実施の形態とともに詳細に説明する。
本発明のCFRPは繊維長が5〜50mmの炭素繊維からなる不織布と重量平均分子量が7万以上30万以下であるポリアリーレンスルフィドをマトリクス樹脂とするCFRPであり、前記CFRPの計装化シャルピー衝撃試験で得られるき裂伝播エネルギーEpが0.2〜2[J]の範囲にあるCFRPである。
<炭素繊維>
本発明のCFRPを構成する炭素繊維は不織布形状であり、その繊維長は5〜50mmである。繊維長の好ましい範囲は5〜40mmであり、より好ましい範囲は10〜25mmである。繊維長が本範囲であれば、高い強度と成形性を両立することができる。
不織布は炭素繊維のみで構成されていても良いが、不織布形態を安定させるために、炭素繊維が単糸および/または繊維束の形態で存在し、必要に応じて繊維状の熱可塑性樹脂が付加されていることも好ましい。
本発明において、炭素繊維の配向は特に限定されないが、炭素繊維の繊維束および炭素繊維の単糸は実質的に2次元ランダムに配向していることが好ましい。
炭素繊維が実質的に2次元ランダムに配向しているとは、本発明のCFRPがその面内において互いに直行する2方向に測定した曲げ弾性率の値のうち大きい物を小さいもので割った比が2未満であることを指し、より好ましくは1.3以下であることが好ましい。
本発明の炭素繊維はサイジング剤が付着されたものを用いることが好ましい。サイジング剤が付与されていることにより、炭素繊維シートを形成している所定長さに切断された炭素繊維束は、その炭素繊維が大きくばらけることなく、繊維束の形態が適切に保たれる。
また本発明において、炭素繊維が所定長さに切断された炭素繊維束と熱可塑性樹脂短繊維とから形成された不織布状の炭素繊維集合体を出発原料として形成されたものからなる形態が好ましい。
<炭素繊維束の様態>
本発明のCFRPを構成する不織布において、繊維長と繊維束幅の比率で定義される繊維束のアスペクト比が1以上7200以下であり、重量が0.1mg以上である炭素繊維(A)の繊維空間充填率が0%を超え50%以下であることが好ましい。繊維空間充填率は下記式(1)で定義される。
繊維空間充填率=炭素繊維(A)の総体積/炭素繊維不織布の体積・・・(1)
炭素繊維束(A)の繊維空間充填率が0%の場合、繊維束の開繊性が非常に高くなり高い物性が期待される反面、単糸および細い繊維束同士が絡み合う頻度が増えることで複合材料の流動性が低下する。また、炭素繊維束(A)の繊維空間充填率が50%を超えると太い繊維束が多くなり、繊維束端部に荷重が集中することで複合材料の物性が低下する要因となる。炭素繊維束(A)の繊維空間充填率は0〜40%の範囲内にあることがより好ましく、0〜30%の範囲内にあることがさらに好ましい。
また、下記式(2)にて定義される前記炭素繊維束(A)の繊維面充填率が0%を超え60%以下であることが好ましい。炭素繊維束(A)の繊維面充填率が0%の場合、不織布を形成した際に、繊維体積含有率の高い強化繊維複合材料を得ることが困難となる。炭素繊維束(A)の繊維面充填率が60%を超えると不織布を形成した際に繊維束の存在しない空孔部の頻度が増え、複合材料の物性が低下する要因となる。
炭素繊維束(A)の繊維面充填率は0〜50%の範囲内にあることがより好ましく、0〜40%の範囲内にあることがさらに好ましい。
<複合材料の繊維体積含有率>
複合材料の繊維体積含有率は20%以上40%未満であることが好ましい。繊維体積含有率が20%未満であると強化繊維による補強効果が得られにくく、40%以上であると強化繊維に対するマトリクス樹脂の含浸性が低下する。繊維体積含有率は25%以上35%以下であることがより好ましい。
<複合材料の厚さ>
複合材料の厚さは1mm以上であることが好ましい。複合材料の厚さが1mmを下回ると、複合材料に荷重が加わった際、厚さ方向にき裂が進展しやすく、良好な物性の複合材料が得られない。複合材料の厚さの上限に特に制限はないが、4mmを好ましい上限値として例示できる。
<環式アリーレンスルフィド>
本発明おける環式アリーレンスルフィドとは、式 −(Ar−S)− の繰り返し単位を主要構成単位とする環式化合物であり、好ましくは当該繰り返し単位を80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上含有する下記一般式(O)のごとき化合物である。Arとしては式(A)〜式(K)などであらわされる単位などがあるが、なかでも式(A)が弾性率や耐熱性、難燃性などの特性に優れるCFRPが得られる点で特に好ましい。
Figure 2016169276
(R1,R2は水素、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜24のアリーレン基、ハロゲン基から選ばれた置換基であり、R1とR2は同一でも異なっていてもよい)
特に好ましい環式アリーレンスルフィドとしては、主要構成単位としてp−フェニレンスルフィド単位を、−(Ar−S)−の繰り返し単位を主要構成単位とする環式化合物中に80重量%以上、特に90重量%以上含有する環式フェニレンスルフィド(以下、環式PPSと略すこともある)が挙げられ、この場合、本発明により得られるCFRPは優れた耐熱性などの特性が得られやすい。
Figure 2016169276
環式アリーレンスルフィドの前記(O)式中の繰り返し数mに特に制限は無いが、2〜50が好ましく、2〜25がより好ましく、3〜20がさらに好ましい範囲として例示できる。mが大きくなると相対的に分子量が上昇する。mが50以上になると環式アリーレンスルフィドの融解温度および、融解時の粘度が高くなり、強化繊維基材への含浸が困難になる場合がある。
また、環式アリーレンスルフィドは、単一の繰り返し数を有する単独化合物、異なる繰り返し数を有する環式アリーレンスルフィドの混合物のいずれでも良いが、異なる繰り返し数を有する環式アリーレンスルフィドの混合物の方が、単一の繰り返し数を有する単独化合物よりも融解温度が低い傾向があり、異なる繰り返し数を有する環式アリーレンスルフィドの混合物を用いることは、前記した重合温度をより低くできるため好ましい。
本発明における環式アリーレンスルフィドの分子量の上限値は、重量平均分子量で10,000未満であり、5,000以下が好ましく、3,000以下が更に好ましく、一方、下限値は重量平均分子量Mwで300以上が好ましく、400以上がより好ましく、500以上が更に好ましい。重量平均分子量Mwが10,000以上では樹脂組成物の粘度が高くなるため炭素繊維不織布に対する含浸性が不十分となり、それに加えて、これを成形して得られる繊維強化複合材料積層体の力学特性のうち特に層間剪断強度が低下する。層間剪断強度が低下する理由は定かではないが、重量平均分子量Mwが大きいと積層成形時の反応が減少するために層間にまたがる高分子鎖が減少し、層間剪断強度が低下するものと考えている。また、重量平均分子量Mwが300以下では、重合後の機械特性などが不十分になる。ポリマーの重合度が十分に向上しないためと考える。
本発明における環式アリーレンスルフィドを得る方法としては特に限定されないが、例えば特開2008―231236号公報に記載の方法が挙げられる。
本発明におけるポリアリーレンスルフィドは、前述の環式アリーレンスルフィドを重合して得られる。
本発明におけるポリアリーレンスルフィドは、式−(Ar−S)−の繰り返し単位を主要構成単位とする、好ましくは当該繰り返し単位を80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上含有するホモポリマーまたはコポリマーである。また、本発明におけるポリアリーレンスルフィドは上記繰り返し単位を含むランダム共重合体、ブロック共重合体およびそれらの混合物のいずれかであってもよい。
これらの代表的なものとして、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトン、ポリフェニレンスルフィドエーテル、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体およびそれらの混合物などが挙げられる。特に好ましいポリアリーレンスルフィドとしては、ポリマーの主要構成単位としてp−フェニレンスルフィド単位を80重量%以上、特に90重量以上%含有するポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと略すこともある)が挙げられる。
本発明におけるポリアリーレンスルフィドの分子量は、重量平均分子量Mwで70,000以上300,000以下であることが重要である。重量平均分子量Mwの下限は、より好ましくは80,000以上、さらに好ましくは90,000以上である。重量平均分子量Mwが上記好ましい下限値以上であると、得られるCFRPの力学特性が十分となり、より高温(例えば、360℃)での成形加工時であっても低分子量成分が熱分解反応を起こし、分解ガスで成形設備周辺の環境汚染を大幅に低減できる。重量平均分子量Mwの上限に特に制限は無いものの、より好ましくは200,000以下であり、この範囲内では高い成形加工性を得ることができる。
本発明におけるポリアリーレンスルフィドの分子量分布の広がり、すなわち重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)で表される分散度は2.5以下であることが好ましく、2.3以下であることがより好ましく、2.1以下であることがさらに好ましく、2.0以下でることが特に好ましい。分散度がこの好ましい範囲であると、ポリアリーレンスルフィドに含まれる低分子成分の量が少なく、成形設備周辺の環境汚染を大幅に低減できる。なお、前記重量平均分子量Mwおよび数平均分子量Mnは例えばGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を使用して求めることができる。
また、本発明におけるポリアリーレンスルフィドの溶融粘度に特に制限はないが、通常、溶融粘度が5〜10,000Pa・s(300℃、剪断速度1000/秒)の範囲が好ましい範囲として例示できる。
上述のようにして得られた本発明のCFRPは、耐衝撃特性に優れるため、航空機部品、各種自動車部品や、筐体などの一般産業用途に公的に用いることができる。
<複合材料の衝撃特性に関して>
本発明のCFRPの衝撃特性は下記物理量により量的に表される。
1.き裂伝播エネルギーEp
2.き裂伝播エネルギーEpとき裂発生エネルギーEiの比
3.シャルピー衝撃値Auc
4.荷重―変位関係
以下、各物理量に関して詳細に述べる。
<き裂伝播エネルギーEp>
本発明のCFRPは、計装化シャルピー衝撃試験機による計装化シャルピー衝撃試験にて得られるき裂伝播エネルギーEpが0.2〜2[J]の範囲であることが必要である。き裂伝播エネルギーEpが本範囲であれば、き裂発生後にき裂が進展しづらく、靭性に優れたCFRPが得られる。シャルピー衝撃値は0.3[J]以上であることが好ましく、0.5[J]以上であることがより好ましい。
なお、き裂伝播エネルギーEpとは最大荷重到達後、荷重が0[J]となるまでに吸収されるエネルギーである。
<き裂伝播エネルギーEpとき裂発生エネルギーEiの比>
本発明のCFRPは、計装化シャルピー衝撃試験機による計装化シャルピー衝撃試験にて得られる上記き裂伝播エネルギーEpと、き裂発生エネルギーEiとの比が0.3〜1の範囲内にあることが好ましく、0.45〜1の範囲内にあることがより好ましい。き裂発生エネルギーき裂伝播エネルギーEpとEiが本範囲であれば、き裂が発生しづらいCFRPが得られるため好ましい。
なお、き裂発生エネルギーEiは計装化シャルピー衝撃試験において、最大荷重に到達するまでに吸収されるエネルギーである。
<シャルピー衝撃値Auc>
本発明のCFRPは、計装化シャルピー衝撃試験機による計装化シャルピー衝撃試験にて得られるシャルピー衝撃値Aucは40[kJ/m]以上であることが好ましく、50[kJ/m]以上であることがより好ましい。シャルピー衝撃値の上限に特に制限は無いが、100[kJ/m]以下を好ましい範囲として例示できる。シャルピー衝撃値Aucが本範囲であれば、き裂発生後破壊に至るまでの吸収エネルギーが大きい靭性に優れたCFRPが得られるため好ましい。
なお、シャルピー衝撃値Aucは、計装化シャルピー衝撃試験において得られるき裂発生エネルギーEiとき裂伝播エネルギーEpの和であるEを用いて、下記式より得られる。
Auc[kJ/m]=E/bt×10
ここでbは試験片中央部の幅[mm]、tは試験片中央部の幅[mm]である。
<荷重−変位関係>
計装化シャルピー衝撃試験機による計装化シャルピー衝撃試験により、荷重−変位関係が得られる。本発明に係るCFRPにおいては、荷重−変位曲線の原点から最大荷重到達時の変位(以降、最大荷重到達時変位と記載)が2mm以上10mm以下であることが好ましい。より好ましくは4mm以上、さらに好ましくは6mm以上である。
また、最大荷重到達後、荷重が0に至るまでの変位(以降、最大荷重到後時変位と記載と記載)が2mm以上10mm以下であることが好ましい。より好ましくは4mm以上、さらに好ましくは6mm以上である。最大荷重到達時変位、および最大荷重到達後変位のいずれも上限に特に制限は無いが、10mm以下を好ましい範囲として例示できる。最大荷重到達時変位および最大荷重到達後変位が本範囲であればき裂が発生しづらく、き裂が伝播しづらいCFRPが得られる。最大荷重到達時変位が2mm未満であると衝撃を受けた際にCFRPにき裂が発生しやすく、最大荷重到達後変位比が2mm未満であると裂発生後に吸収するエネルギーが小さい、靭性の低いCFRPが得られるため好ましくない。
<不織布の製造方法>
本発明の不織布は下記記載の製造方法により得ることが好ましい。
1.炭素繊維を裁断する工程
2.カットした炭素繊維を開繊し、繊維状の熱可塑性樹脂とともに不織布を得る工程
以下、各工程に関して詳細に述べる。
<1.炭素繊維の裁断工程>
炭素繊維の裁断方法は、ギロチンカッターを用いる裁断方法、ロータリーカッターを用いる裁断方法などが好適例として示されるが、一般的な炭素繊維裁断方法は全て適用可能である。
<2.不織布工程>
本発明の不織布の製造方法は特に限定されないが、例えば裁断した炭素繊維ならびに繊維状の熱可塑性樹脂をカーディングにより炭素繊維を開繊しつつ炭素繊維不織布を得ることができる。
ここで、カーディングについて説明する。図1に例示するように、炭素繊維束をカーディングするカーディング装置1は、シリンダーロール2と、その外周面に近接して上流側に設けられたテイクインロール3と、テイクインロール3とは反対側の下流側においてシリンダーロール2の外周面に近接して設けられたドッファーロール4と、テイクインロール3とドッファーロール4との間においてシリンダーロール2の外周面に近接して設けられた複数のワーカーロール5と、ワーカーロール5に近接して設けられたストリッパーロール6と、テイクインロール3と近接して設けられたフィードロール7及びベルトコンベアー8とから主として構成されている。
ベルトコンベアー8に所定長に切断された炭素繊維束9が供給され、炭素繊維束9はフィードロールの外周面、次いでテイクインロール3の外周面を介してシリンダーロール2の外周面上に導入される。この段階までで、ある程度炭素繊維束はある程度解され、綿状の炭素繊維束の集合体(炭素繊維集合体)となっている。シリンダーロール2の外周面上に導入された綿状の炭素繊維束の集合体は一部、ワーカーロール5の外周面上に巻き付くが、この炭素繊維はストリッパーロール6によって剥ぎ取られ再びシリンダーロール2の外周面上に戻される。フィードロール7、テイクイロール3、シリンダーロール2、ワーカーロール5、ストリッパーロール6のそれぞれのロールの外周面上には多数の針、突起が立った状態で存在しており、上記工程で炭素繊維束が針の作用により所定の束まで開繊され、ある程度配向される。かかる過程を経て所定の炭素繊維束まで開繊され、炭素繊維集合体の1形態であるシート状のウエブ10としてドッファーロール4の外周面上に移動する。
また、上記炭素繊維不織布を得る方法としては、上述のカーディングに加え、空気流を利用して炭素繊維不織布を形成するエアレイド方式などの乾式法、および不連続の炭素繊維を水などの溶媒中で分散し抄紙することで炭素繊維不織布を形成する湿式方式(例えば抄紙基材)などを採用することができる。中でも、湿式方式で製造される炭素繊維不織布は、カーディング方式やエアレイド方式に比べて炭素繊維の分散性が優れ、炭素繊維不織布の厚さバラツキを抑えることができる。一方、カーディング方式やエアレイド方式で製造した場合は、炭素繊維不織布の製造時に水を使わず高速生産可能な乾式製造方法であるため、低環境負荷かつ大量生産に有利である。
<CFRPの製造方法>
本発明のCFRPは下記記載の工程を経て製造される。
a)繊維長が5〜50mmの炭素繊維からなる不織布を得る工程
b)環式アリーレンスルフィドを前記炭素繊維不織布に含浸する工程
c)含浸した前記環式アリーレンスルフィドを加熱して重合し、重量平均分子量が7万以上30万以下のポリアリーレンスルフィドを有する炭素繊維不織布基材とする工程
d)得られた炭素繊維不織布基材をプレスして炭素繊維複合材料を得る工程
前記b)工程とc)工程の間に、e)環式アリーレンスルフィドが含浸された不織布基材をあらかじめ加熱・加圧する工程を行うことがより好ましい。この工程を加えることで、前記a)〜d)工程で得られるCFRPよりも樹脂の含浸性がさらに高まるとともに、よりボイドの少ないCFRPを製造できる。加熱温度は200度〜400度が好ましく、加圧圧力は0.5MPa〜2MPaが好ましい。この温度・圧力範囲であれば、環式アリーレンスルフィドの重合を促進させずに不織布基材全体にマトリクス樹脂を含浸させることができる。
また、c)工程にて含浸した環式アリーレンスルフィドを高重合度化するために、減圧下または加圧下で加熱することも好ましい。すなわち、環式アリーレンスルフィドが含浸した基材に熱及び圧力を付与しながら重合させる。減圧下または加圧下で加熱することで環式アリーレンスルフィドの重合度を上げることができる。
<含浸工程>
炭素繊維不織布に環式アリーレンスルフィドを含浸させる方法としては、例えば粉末状の環式アリーレンスルフィドを不織布に散布し、加熱溶融することで炭素繊維に含浸させる方法が例示できる。本発明において、環式アリーレンスルフィドを加熱して含浸させる温度は、環式アリーレンスルフィドの組成や分子量、また、加熱時の環境により変化するため、環式アリーレンスルフィドが溶融する温度であれば特に限定されないが、200〜300℃であることが好ましい。この温度範囲であれば、環式アリーレンスルフィドの溶融粘度が10Pa・s以下となり、炭素繊維への含浸性が容易となる。
また、環式アリーレンスルフィドが含浸された不織布基材をさらに加熱・加圧して含浸性を高めることも好ましい態様の1つである。加熱・加圧する方法としては特に限定はされないが、例えば熱板を備えたプレス機を用いることができる。
加熱・加圧後には冷却せずに次の工程に供しても良いし、一度冷却してから環式アリーレンスルフィドを固化させてから次の工程に供しても良い。
<重合工程>
次いで炭素繊維不織布に環式アリーレンスルフィドを含浸させた炭素繊維不織布に熱及び圧力を付与しながら高重合度化する。加熱温度や圧力には特に制限はなく、加圧条件下、常圧条件下、減圧条件下のいずれも可能であるが、減圧条件が好ましい。この具体的な重合条件としては、例えば圧力0.4kPa、雰囲気温度340℃にて4時間加熱し環式アリーレンスルフィドを高重合度化して炭素繊維不織布基材とする方法が例示できる。環式アリーレンスルフィドを加熱して重合する際の圧力は、1kPa未満であることが好ましく、より好ましくは0.8kPa未満、さらに好ましくは0.5kPa未満である。重合時の圧力は低いほど環式アリーレンスルフィドの重合度が高くなる傾向がある。下限は特に限定されないが、おおよそ0.2MPaより大きいことが好ましい。
環式アリーレンスルフィドを加熱して重合する温度は、200〜400℃であることが好ましく、より好ましくは250〜400℃、さらに好ましくは300〜400℃である。加熱温度が200℃未満では重合に時間を要し、CFRPの製造に時間を要すため好ましくない。一方、400℃よりも高い場合だと、環式アリーレンスルフィド間、加熱により生成したポリアリーレンスルフィド間、およびポリアリーレンスルフィドと環式アリーレンスルフィド間などでの架橋反応や分解反応に代表される好ましくない副反応が生じやすくなる傾向にあり、得られるポリアリーレンスルフィドの特性が低下する場合があるため、好ましくない副反応が顕著に生じる温度は避けることが望ましい。
前記加熱を行う時間は、使用するポリアリーレンスルフィドプレポリマーにおける環式アリーレンスルフィドの含有率やm数(後述の繰返し数)、および分子量などの各種特性、また、加熱の温度等の条件によって異なるため一意的には規定できないが、前記した好ましくない副反応がなるべく起こらないように設定することが好ましい。加熱時間としては1〜7時間が例示でき、2〜6時間が好ましく、3〜5時間がより好ましい。1時間未満では環式アリーレンスルフィドのポリアリーレンスルフィドへの転化(重合)が不十分になりやすく、7時間を超えると好ましくない副反応により得られるポリアリーレンスルフィドの特性への悪影響が顕在化する可能性が高くなる傾向にあるのみならず、CFRPの生産性が低下する場合がある。
また、本発明の重合工程において種々の遷移金属化合物を重合触媒として用いることもできる。中でも重合工程において低原子価状態を取り得る金属化合物が好ましく、中でも重合中に0価遷移金属化合物を形成しうる周期表第8族から第11族かつ第4周期から第6周期の金属が好ましく用いられる。
例えば金属種として、ニッケル、パラジウム、白金、鉄、ルテニウム、ロジウム、銅、銀、金が例示でき、触媒性能と経済性の観点からはニッケルが特に好ましく用いられる。
これらの重合触媒は、0価遷移金属化合物を添加してもよいし、系内で0価遷移金属化合物を形成させてもよい。ここで後者のように系内で0価遷移金属化合物を形成させるには、遷移金属の塩などの遷移金属化合物と配位子となる化合物を添加することで、系内で遷移金属の錯体を形成させる方法、あるいは、遷移金属の塩などの遷移金属化合物と配位子となる化合物で形成された錯体を添加する方法などが挙げられる。系内で0価遷移金属化合物を形成させるための遷移金属化合物としては、例えば、種々の遷移金属のカルボン酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物などが例示できる。これらの重合触媒及び配位子は、1種単独で用いてもよいし2種以上混合あるいは組み合わせて用いてもよい。
<プレス工程>
前記で得られた炭素繊維不織布基材をプレスする方法としては一般的な熱圧成型法は全て適用可能であり、特に限定されないが、いわゆるホットプレス方式のプレス成型やコールドプレス方式のスタンパブル成型などが好適例として示される。この際、ポリアリーレンスルフィドの融点または軟化点以上の温度で加熱または加熱加圧を行うことで、CFRPを成形することができる。
以下、本発明の実施例について、詳細に説明する。
<曲げ試験>
CFRPの曲げ弾性率および最大曲げ応力はJIS K 7074―1988の3点曲げ試験(A法)に従い、以下の条件で測定した。試験は任意の方向を0°方向としてこれと直角方向について切り出した試験片についても行い、それぞれの方向について曲げ試験を行った。測定数は各方向に対してn=5として実施した。
装置:万能材料試験機 インストロン5565
試験片寸法:長さ100mm×幅15mm×厚さ2mm
支点間距離:80mm
試験速度:1mm/分
<計装化シャルピー衝撃試験>
CFRPの衝撃特性はJIS K 7077―1991に従い、以下の条件で測定した。試験は任意の方向を0°方向としてこれと直角方向について切り出した試験片についても行い、それぞれの方向について計装化シャルピー衝撃試験を行った。測定数は各方向に対してn=10として実施した。
装置:計装化シャルピー衝撃試験機 試験機名:東京試験機 計装化4Jシャルピー衝撃試験機
試験片寸法:長さ80mm×幅10mm×厚さ2mm
試験片支持台間距離:60mm
ハンマの持ち上げ角度:135°
<炭素繊維(A)の繊維空間補填率の測定>
(1)炭素繊維不織布を100mm×100mmに切り出し、550℃にて2時間程度炉内で灰化して樹脂を除去した後、厚さ(H)を測定した。厚さの測定は定規もしくはマイクロメーターを用いて行った。
(2)炭素繊維不織布より繊維束をすべて取り出した。
(3)取り出した繊維束の全長(li)、幅(wi)、厚さ(hi)、重量(mi)を測定した。繊維束の全長、幅の測定は定規またはノギスを用いて行った。厚さの測定はマイクロメーターを用いて行った。繊維束の重量の測定には1/100mgまで測定可能な天秤を用いた。繊維束の長さが短い場合、繊維束の重量が小さく重量測定が困難となる。この場合、繊維束全長の長さを1mm程度の間隔で分類し、分類した繊維束の集合体の重量をまとめて測定し、その平均値を用いても良い。
(4)取り出した繊維束の、全長(li)と幅(wi)で定義されるアスペクト比(li/wi)が1以上7200以下であり、重量(mi)が0.1mg以上である繊維束を炭素繊維(A)とした。
(5)下記式により繊維空間充填率を得た。iの最小値は1、最大値は炭素繊維(A)の総本数である。
繊維空間充填率=炭素繊維(A)の総体積/炭素繊維不織布の体積
炭素繊維(A)の総体積=Σ(li×wi×hi)
炭素繊維不織布の体積=100×100×H
<炭素繊維(A)の繊維面充填率の測定>
(1)炭素繊維不織布を100mm×100mmに切り出し、550℃にて2時間程度炉内で灰化して樹脂を除去した。
(2)炭素繊維不織布より繊維束をすべて取り出した。
(3)取り出した繊維束の全長(li)、幅(wi)、重量(mi)を測定した。繊維束の全長、幅の測定は定規またはノギスを用いて行った。繊維束の重量の測定には1/100mgまで測定可能な天秤を用いた。繊維束の長さが短い場合、繊維束の重量が小さく重量測定が困難となる。この場合繊維束全長の長さを1mm程度の間隔で分類し、分類した繊維束の集合体の重量をまとめて測定し、その平均値を用いても良い。
(4)取り出した繊維束の、全長(li)と幅(wi)で定義されるアスペクト比(li/wi)が1以上7200以下であり、重量(mi)が0.1mg以上である繊維束を炭素繊維(A)とした。
(5)下記式により繊維面充填率が得られた。iの最小値は1、最大値は炭素繊維(A)の総本数である。
繊維面充填率=炭素繊維(A)の総面積/炭素繊維不織布の面積
炭素繊維(A)の総面積=Σ(li×wi)
炭素繊維不織布の面積=100×100
<繊維体積含有率Vfの測定>
1−クロロナフタレンを用いてマトリクス樹脂を溶解し、溶解前のCFRPの重量と溶解後に残ったCF基材の重量から繊維体積含有率を求めた。
<重量分子量測定>
環式アリーレンスルフィド、PPS樹脂、およびポリアリーレンスルフィド混合物の重量平均分子量Mwはサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)の一種であるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算で算出した。
GPCの測定条件を以下に示す。
装置:センシュー科学 SSC−7110
カラム名: Shodex UT806M×2
溶離液:1−クロロナフタレン
検出器:示差屈折率検出器
カラム温度:210℃
プレ恒温槽温度:250℃
ポンプ恒温槽温度:50℃
検出器温度:210℃
流量:1.0mL/min
試料注入量:300μL (スラリー状:約0.2重量%)。
<CFRP中のポリアリーレンスルフィドの重量平均分子量Mw測定>
CFRP中のポリアリーレンスルフィドの重量平均分子量Mwは、得られたCFRPより1―クロロナフタレンを用いて樹脂部分を溶出させて、溶出部分の分子量を測定した。
[参考例1]
<環式フェニレンスルフィドの調製>
撹拌機付きのオートクレーブに、47.5%硫化ナトリウム8.27kg(70.0モル)、96%水酸化ナトリウム2.96kg(71.0モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11.44kg(116モル)、酢酸ナトリウム1.72kg(21.0モル)、及びイオン交換水10.5kgを仕込み、常圧で窒素を通じながら約240℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、精留塔を介して水14.8kg及びNMP280gを留出した後、反応容器を160℃に冷却した。なお、この脱液操作の間に仕込んだ硫黄成分1モル当たり0.02モルの硫化水素が系外に飛散した。
次に、p−ジクロロベンゼン10.3kg(70.3モル)、NMP9.00kg(91.0モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封した。240rpmで撹拌しながら、0.6℃/分の速度で270℃まで昇温し、この温度で140分保持した。水1.26kg(70モル)を15分かけて圧入しながら250℃まで1.3℃/分の速度で冷却した。その後220℃まで0.4℃/分の速度で冷却してから、室温近傍まで急冷し、スラリー(E)を得た。このスラリー(E)を20.0kgのNMPで希釈しスラリー(F)を得た。
80℃に加熱したスラリー(F)10kgをふるい(80mesh、目開き0.175mm)で濾別し、メッシュオン成分としてスラリーを含んだ顆粒状PPS樹脂を、濾液成分としてスラリー(G)を約7.5kg得た。
得られたスラリー(G)1000gをロータリーエバポレーターに仕込み、窒素で置換してから、減圧下100〜150℃で1.5時間処理した後に、真空乾燥機で150℃、1時間処理して固形物を得た。
この固形物にイオン交換水1200g(スラリー(G)の1.2倍量)を加えた後、70℃で30分撹拌して再スラリー化した。ラジオライト#800S(昭和化学工業株式会社製)3gをイオン交換水10gに分散させた分散液を目開き10〜16μmのガラスフィルターで吸引濾過することで、フィルター上にラジオライトを積層し、これを用いてスラリーを固液分離した。得られた褐色のケーク状物にイオン交換水1200gを加えて70℃で30分撹拌して再スラリー化し、同様に吸引濾過後、70℃で5時間真空乾燥してポリフェニレンスルフィド混合物を14.0g得た。
得られたポリフェニレンスルフィド混合物を10g分取し、溶剤としてクロロホルム240gを用いて、浴温約80℃でソックスレー抽出法により5時間ポリフェニレンスルフィド混合物と溶剤を接触させ、抽出液を得た。得られた抽出液は室温で一部固形状成分を含むスラリー状であった。この抽出液スラリーからエバポレーターを用いて約200gのクロロホルムを留去した後、これをメタノール500gに撹拌しながら約10分かけてゆっくりと滴下した。滴下終了後、約15分間攪拌を継続した。沈殿物を目開き10〜16μmのガラスフィルターで吸引濾過して回収し、得られた白色ケーク状物を70℃で3時間真空乾燥して白色粉末を3.0g得た。白色粉末の収率は用いたポリフェニレンスルフィド混合物に対して31%であった。
この白色粉末の重量平均分子量Mwは900であった。この白色粉末の赤外分光分析における吸収スペクトルより、白色粉末はフェニレンスルフィド単位からなる化合物であることを確認した。また、高速液体クロマトグラフィー(装置;島津社製LC−10,カラム;C18,検出器;フォトダイオードアレイ)より成分分割した成分のマススペクトル分析、更にMALDI−TOF−MSによる分子量情報より、この白色粉末はp−フェニレンスルフィド単位を主要構成単位とし繰り返し単位数4〜12の環式化合物を重量分率で約94%含むことがわかった。
[参考例2]
<ポリフェニレンスルフィドフィルムの作製>
重量平均分子量7.5万のPPSペレットをプレス機熱盤上に散布し、温度340℃、圧力15MPa、加圧時間300秒でプレスすることにより厚み100μmのポリフェニレンスルフィドフィルムを得た。
以下、実施例および比較例を説明する。実施例および比較例の詳細および試験結果を、後述する表1に整理した。
[実施例1]
東レ株式会社製炭素繊維“トレカ(商標登録)T700SC”(炭素繊維:T700S−12000、引張強度:4900MPa、引張弾性率:230GPa、伸び:2.1%、繊度:800g/1000m、密度:1.8g/cm3、繊維径:7μm)をロータリーカッターで15mm長に裁断した。裁断した炭素繊維とポリフェニレンスルフィド繊維“トルコン(商標登録)”(重量平均分子量Mw:5万、繊度:2.2dtex、カット長51mm)を質量比で80:20の割合で混合しつつカーディングにより炭素繊維を開繊することで、炭素繊維不織布を得た。得られた不織布を幅30mm長さ150mmに裁断し、参考例1で得られた環式フェニレンスルフィド粉末を不織布上に散布しつつこれを12枚積層した。その後、この積層体を酸素雰囲気下で温度300℃の下、圧力10kPaで15分間加圧した。その後、酸素雰囲気下で温度300℃の下、圧力1.0MPaで15分間加圧することで環式フェニレンスルフィドを不織布に溶融含浸した。得られた基材を窒素雰囲気下で雰囲気圧0.4kPaに減圧し、温度340℃の下、4時間加熱することで環式フェニレンスルフィドを重合した。得られた基材の両表面に参考例2のポリフェニレンスルフィドフィルムをそれぞれ1枚ずつ積層し、金型温度320℃圧力16MPa、加圧時間180秒でプレス成形することでCFRPを得た。CFRPの厚みは2mm、Vfは30%であった。得られた不織布の繊維空間充填率および繊維面充填率を測定すると繊維空間充填率は10%、繊維面充填率は20%であった。
得られたCFRPについて計装化シャルピー衝撃試験を行ったところ、Eiは0.8[J]、Epは0.4[J]、Ep/Eiは0.50、Aucは65[KJ/m]、最大荷重到達時変位は7.6[mm]、最大荷重到達後変位は9.7[mm]であり、き裂が発生しづらく、き裂の伝播が起こりにくい、耐衝撃性に優れるものであった。
[実施例2]
実施例1で得られた不織布を幅30mm長さ150mmに裁断し、環式フェニレンスルフィド粉末を不織布上に散布しつつこれを12枚積層した。その後、この積層体を実施例1と同様の方法で加熱・加圧することで環式フェニレンスルフィドを不織布に溶融含浸した。得られた基材を窒素雰囲気下で雰囲気圧0.4kPaに減圧し、温度400℃の下、4時間加熱することで環式フェニレンスルフィドを重合した。得られた基材の両表面に参考例2のポリフェニレンスルフィドフィルムをそれぞれ1枚ずつ積層し、実施例1と同様の方法でプレス成形することでCFRPを得た。CFRPの厚みは2mm、Vfは29%であった。得られた不織布の繊維空間充填率および繊維面充填率を測定すると繊維空間充填率は10%、繊維面充填率は20%であった。
得られたCFRPについて計装化シャルピー衝撃試験を行ったところ、Eiは0.66[J]、Epは0.32[J]、Ep/Eiは0.48、Aucは53[KJ/m]、最大荷重到達時変位は7[mm]、最大荷重到達後変位は8.8[mm]であり、き裂の伝播が起こりにくく、耐衝撃性に優れるものであった。
[実施例3]
実施例1においてカーディングのシリンダー回転数を弱めた事以外同様にして得られた不織布を幅30mm長さ150mmに裁断し、環式フェニレンスルフィド粉末を不織布上に散布しつつこれを12枚積層した。その後、この積層体を実施例1と同様の方法で加熱・加圧することで環式フェニレンスルフィドを不織布に溶融含浸した。得られた基材を窒素雰囲気下で雰囲気圧0.5kPaに減圧し、温度400℃の下、4時間加熱することで環式フェニレンスルフィドを重合した。得られた基材の両表面に参考例2のポリフェニレンスルフィドフィルムをそれぞれ1枚ずつ積層し、実施例1と同様の方法でプレス成形することでCFRPを得た。CFRPの厚みは2mm、Vfは29%であった。得られた不織布の繊維空間充填率および繊維面充填率を測定すると繊維空間充填率は32%、繊維面充填率は41%であった。
得られたCFRPについて計装化シャルピー衝撃試験を行ったところ、Eiは0.58[J]、Epは0.28[J]、Ep/Eiは0.48、Aucは47[KJ/m]、最大荷重到達時変位は7[mm]、最大荷重到達後変位は8[mm]であり、き裂の伝播が起こりにくく、耐衝撃性に優れるものであった。
[実施例4]
実施例1においてカーディングのシリンダー回転数を弱めた事以外同様にして得られた不織布を幅30mm長さ150mmに裁断し、環式フェニレンスルフィド粉末を不織布上に散布しつつこれを12枚積層した。その後、この積層体を実施例1と同様の方法で加熱・加圧することで環式フェニレンスルフィドを不織布に溶融含浸した。得られた基材を窒素雰囲気下、常圧で温度400℃の下、4時間加熱することで環式フェニレンスルフィドを重合した。得られた基材の両表面に参考例2のポリフェニレンスルフィドフィルムをそれぞれ1枚ずつ積層し、実施例1と同様の方法でプレス成形することでCFRPを得た。CFRPの厚みは2mm、Vfは28%であった。得られた不織布の繊維空間充填率および繊維面充填率を測定すると繊維空間充填率は42%、繊維面充填率は53%であった。
得られたCFRPについて計装化シャルピー衝撃試験を行ったところ、Eiは0.58[J]、Epは0.23[J]、Ep/Eiは0.4、Aucは44[KJ/m]、最大荷重到達時変位は6.8[mm]、最大荷重到達後変位は8[mm]であり、き裂の伝播が起こりにくく、耐衝撃性に優れるものであった。
[実施例5]
実施例1においてカーディングのシリンダー回転数を弱めた事以外同様にして得られた不織布を幅30mm長さ150mmに裁断し、環式フェニレンスルフィド粉末を不織布上に散布しつつこれを12枚積層した。その後、この積層体を実施例1と同様の方法で加熱・加圧することで環式フェニレンスルフィドを不織布に溶融含浸した。得られた基材を窒素雰囲気下で雰囲気圧0.25MPaに加圧し、温度450℃の下、4時間加熱することで環式フェニレンスルフィドを重合した。得られた基材の両表面に参考例2のポリフェニレンスルフィドフィルムをそれぞれ1枚ずつ積層し、実施例1と同様の方法で金型温度230℃、加圧圧力3MPa、加圧時間180秒でプレス成形することでCFRPを得た。CFRPの厚みは2mm、Vfは28%であった。得られた不織布の繊維空間充填率および繊維面充填率を測定すると繊維空間充填率は42%、繊維面充填率は53%であった。得られたCFRPについて計装化シャルピー衝撃試験を行ったところ、Eiは0.59[J]、Epは0.2[J]、Ep/Eiは0.34、Aucは43[KJ/m]、最大荷重到達時変位は6.7[mm]、最大荷重到達後変位は8.1[mm]であり、き裂の伝播が起こりにくく、耐衝撃性に優れるものであった。
[比較例1]
実施例1においてカーディングのシリンダー回転数を弱めた事以外同様にして得られた不織布を幅30mm長さ150mmに裁断し、環式フェニレンスルフィド粉末を不織布上に散布しつつこれを12枚積層した。この積層体を酸素雰囲気下で温度300℃の下、圧力10kPaで15分間加圧した。その後、基材の両表面に参考例2のポリフェニレンスルフィドフィルムをそれぞれ1枚ずつ積層し、金型温度320℃、圧力16MPaにて、環式フェニレンスルフィドを高重合度化しつつ同時にプレス成形することでCFRPを得た。加圧時間は30分であった。CFRPの厚みは2mm、Vfは28%であった。得られた不織布の繊維空間充填率および繊維面充填率を測定すると繊維空間充填率は51%、繊維面充填率は61%であった。得られたCFRPについて計装化シャルピー衝撃試験を行ったところ、Eiは0.66[J]、Epは0.02[J]、Ep/Eiは0.03、Aucは37[KJ/m]、最大荷重到達時変位は6.8[mm]、最大荷重到達後変位は1[mm]であり、実施例と比較して分子量が低いため靭性が低く、き裂伝播エネルギーが低い耐衝撃性に劣るものであった。
[比較例2]
実施例1においてカーディングのシリンダー回転数を弱めた事以外同様にして得られた不織布を幅30mm長さ150mmに裁断し、環式フェニレンスルフィド粉末を不織布上に散布しつつこれを12枚積層した。その後、この積層体を比較例1と同様の方法で加熱・加圧することで環式フェニレンスルフィドを溶融した。基材の両表面に参考例2のポリフェニレンスルフィドフィルムをそれぞれ1枚ずつ積層し、金型温度320℃、圧力10MPaにて、環式フェニレンスルフィドを高重合度化しつつ同時にプレス成形することでCFRPを得た。加圧時間は30分であった。CFRPの厚みは3mm、Vfは19%であった。得られた不織布の繊維空間充填率および繊維面充填率を測定すると繊維空間充填率は52%、繊維面充填率は62%であった。
得られたCFRPについて計装化シャルピー衝撃試験を行ったところ、Eiは0.36[J]、Epは0.01[J]、Ep/Eiは0.03、Aucは20[KJ/m]、最大荷重到達時変位は4.8[mm]、最大荷重到達後変位は0.8[mm]であり、実施例と比較して分子量が低いため靭性が低く、き裂伝播エネルギーが低い耐衝撃性に劣るものであった。
[比較例3]
実施例1においてカーディングのシリンダー回転数を弱めた事以外同様にして得られた不織布12枚と東レ株式会社製樹脂“トレリナ(登録商標)”ペレットを320℃で押し出し製膜して得られたフィルム(重量分子量Mw4万)を幅300mm長さ300mmに裁断したものを交互に積層した積層体とした。その後、この積層体の最外層にもフィルムを配置してプレス成形することでCFRPを得た。この時のプレス条件は金型温度320℃、加圧圧力3MPa、加圧時間は180秒であった。得られたCFRPの厚みは2mm、Vfは28%であった。得られた不織布の繊維空間充填率および繊維面充填率を測定すると繊維空間充填率は51%、繊維面充填率は61%であった。
得られたCFRPについて計装化シャルピー衝撃試験を行ったところ、Eiは1.03[J]、Epは0.13[J]、Ep/Eiは0.13、Aucは68[KJ/m]、最大荷重到達時変位は8.2[mm]、最大荷重到達後変位は8.8[mm]であり、実施例と比較して分子量が低いため靭性が低く、き裂伝播エネルギーが低い耐衝撃性に劣るものであった。
Figure 2016169276
1 カーディング装置
2 シリンダーロール
3 テイクインロール
4 ドッファーロール
5 ワーカーロール
6 ストリッパーロール
7 フィードロール
8 ベルトコンベアー
9 不連続な炭素繊維
10 シート状のウエブ

Claims (11)

  1. 繊維長が5〜50mmの炭素繊維からなる不織布と重量平均分子量が7万以上30万以下であるポリアリーレンスルフィドをマトリクス樹脂とする炭素繊維複合材料であり、計装化シャルピー衝撃試験で得られるき裂伝播エネルギーEpが0.2〜2[J]の範囲にある、炭素繊維複合材料。
  2. 計装化シャルピー衝撃試験にて得られるき裂伝播エネルギーEpとき裂発生エネルギーEiとの比が0.3〜1の範囲にある、請求項1に記載の炭素繊維複合材料。
  3. 計装化シャルピー衝撃試験にて得られるシャルピー衝撃値Aucが40〜100[kJ/m]の範囲にある、請求項1または2に記載の炭素繊維複合材料。
  4. 計装化シャルピー衝撃試験にて得られる荷重−変位曲線において、原点から最大荷重到達時の変位が2mm以上10mm以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維複合材料。
  5. 計装化シャルピー衝撃試験にて得られる荷重−変位曲線において、荷重が0に至るまでの変位が2mm以上10mm以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の炭素繊維複合材料。
  6. 炭素繊維複合材料中に占める前記炭素繊維の繊維体積含有率が20%以上40%未満である、請求項1〜5のいずれかに記載の炭素繊維強化複合材料。
  7. 繊維長と繊維束幅の比率で定義される繊維束のアスペクト比が1以上7200以下であり、重量が0.1mg以上である炭素繊維(A)が、前記炭素繊維の少なくとも一部に含まれ、下記式(1)で定義される繊維空間充填率が0%を超え50%以下を満たす、請求項1〜6のいずれかに記載の炭素繊維強化複合材料。
    繊維空間充填率=炭素繊維(A)の総体積/炭素繊維不織布の体積・・・(1)
  8. 下記式(2)にて定義される、前記不織布に占める前記炭素繊維(A)の繊維面充填率が0%を超え60%以下である、請求項1〜7のいずれかに記載の炭素繊維強化複合材料。
    繊維面充填率=炭素繊維(A)の総面積/炭素繊維不織布の面積・・・(2)
  9. 少なくとも以下の工程a)〜d)を経て得られる炭素繊維複合材料の製造方法。
    a)繊維長が5〜50mmの炭素繊維からなる不織布を得る工程
    b)環式アリーレンスルフィドを前記炭素繊維不織布に含浸する工程
    c)含浸した前記環式アリーレンスルフィドを加熱して重合し、重量平均分子量が7万以上30万以下のポリアリーレンスルフィドを有する炭素繊維不織布基材とする工程
    d)得られた炭素繊維不織布基材をプレスして炭素繊維複合材料を得る工程
  10. 前記b)工程とc)工程の間に、e)環式アリーレンスルフィドが含浸された不織布をあらかじめ加熱・加圧する工程を行う、請求項9に記載の炭素繊維複合材料の製造方法。
  11. 前記c)工程において、減圧下または加圧下で環式アリーレンスルフィドを加熱重合する、請求項9または10に記載の炭素繊維複合材料の製造方法。
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