JP2008231290A - 移動体内装材 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリアリーレンスルフィドをマトリックス樹脂とした繊維強化複合材料にて、火災時の延焼、有毒ガスの発生を抑制する移動体内装材を提供する。
【解決手段】強化繊維束(A)、重量平均分子量が10,000以上であって、加熱による重量減少が特定の範囲を満足するポリアリーレンスルフィド(B)から構成される繊維強化樹脂部材を構成要素として含む移動体内装材であり、前記繊維強化樹脂部材のASTM E662で測定される20分燃焼時の発生ガス量が0〜100の範囲内である、移動体内装材。
【選択図】なし

Description

本発明は、航空機や鉄道車輌といった移動体の内装材に関し、軽量で高い力学特性と、容易に成形加工できるために経済性と生産性を兼ね備え、さらに詳しくはキャビン内での火災時に可燃ガスや有毒ガスの発生を抑え、人的被害を未然に防止する移動体内装材に関する。
近年、自動車、二輪車、航空機、鉄道車輌などの移動体において、その軽量化が強く要望されるようになった。この背景には、燃費向上による排ガス量の緩和、燃料コスト削減、航続距離の増進などがあり、今後もこの動向は加速されると予測される。そこで、これら移動体の材料も、金属材料から繊維強化樹脂材料が採用されるようになり、とりわけ軽量で力学特性に優れた炭素繊維複合材料の使用が高まっている。例えば、航空機の構造材にはアルミ合金から、連続した炭素繊維で強化された熱硬化性樹脂材料への代替が進んでいる。
さらに最近では、材料の成形加工の容易さ、熱接着、熱矯正などの後加工性の自由度の高さ、リサイクル性の有利さから、熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂とする複合材料が注目されはじめた。熱可塑性樹脂の中でもポリアリーレンスルフィドは弾性率、耐熱性が高く、流動性にも優れており、かつ成形品の力学特性を高める観点から繊維強化複合材料に好適に使用できる。そして、連続した強化繊維束とポリアリーレンスルフィドからなる部材が、航空機に採用され始めた。
一方、移動体の軽量性という観点では、構造材だけでなく、キャビン部分においても同様に軽量化が重要である。特に、キャビン全体を保護する内装パネルや、手荷物ロッカー壁、座席などの内装材は、使用量も多く、軽量材料が要望される。ここで、発泡材などを使用して成形品を厚くすることで曲げ剛性を高めることもできるが、この場合、キャビンスペースが極めて狭小となるだけでなく、肉厚化により逆に重量が増加することが懸念される。
さらに、移動体内装材を考慮する場合、最優先されるべきは安全性である。特に旅客用航空機、旅客用鉄道車輌では、キャビン内部での防火・難燃対策は充分に講じられている。しかし内装材では、難燃性を満足しても燃焼時の発生ガスによる人的被害を考慮する必要があり、その観点からポリアリーレンスルフィドを使用した移動体内装材の設計は困難であった。
これまで、火災時の延焼、有毒ガス発生を防ぐため、特許文献1には、セラミック繊維を含むシートと、金属箔を積層した内装用積層体が開示されているが、この方法は移動体内装材としては使用可能であるが、軽量性、成形加工性、後加工の自由度などを満足することが困難である。
特開平8−276536号公報(第2頁、第2行)
本発明の課題は、かかる従来技術に鑑み、ポリアリーレンスルフィドをマトリックス樹脂とした繊維強化複合材料にて、火災時の延焼、有毒ガスの発生を抑制する移動体内装材を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するため、以下の構成を採用するものである。すなわち、
(1)強化繊維束(A)、重量平均分子量が10,000以上であって、加熱による重量減少が下記式を満足するポリアリーレンスルフィド(B)から構成される繊維強化樹脂部材を構成要素として含む移動体内装材であり、前記繊維強化樹脂部材のASTM E662で測定される20分燃焼時の発生ガス量が0〜100の範囲内である、移動体内装材。
△Wr=(W1−W2)/W1×100≦0.18(%)
(ここで、△Wrは重量減少率(%)であり、常圧の非酸化性雰囲気下で50℃から330℃以上の任意の温度まで昇温速度20℃/分で熱重量分析を行った際に、100℃到達時点の試料重量(W1)を基準とした330℃到達時の試料重量(W2)から求められる値である。)
(2)前記強化繊維束(A)が連続した強化繊維束である、(1)に記載の移動体内装材。
(3)前記強化繊維束(A)の単繊維の重量平均繊維長が1〜50mmの範囲内である、(1)に記載の移動体内装材。
(4)前記強化繊維束(A)に用いられる強化繊維が炭素繊維である、(1)〜(3)のいずれかに記載の移動体内装材。
(5)前記ポリアリーレンスルフィド(B)の重量平均分子量/数平均分子量で表される分散度が2.5以下である、(1)〜(4)のいずれかに記載の移動体内装材。
(6)前記ポリアリーレンスルフィド(B)が、実質的に塩素以外のハロゲンを含まない、(1)〜(5)のいずれかに記載の移動体内装材。
(7)前記繊維強化樹脂部材において、強化繊維束(A)の重量割合が30〜90重量%である、(1)〜(6)のいずれかに記載の移動体内装材。
(8)前記繊維強化樹脂部材のJIS K7112(1999)に基づき測定した密度が0.1〜1.8である、(1)〜(7)のいずれかに記載の移動体内装材。
本発明に係る移動体内装材は、強化繊維束と、特定のポリアリーレンスルフィドで構成されることで、成形における経済性、生産性と、優れた軽量性、力学特性、後加工性、リサイクル性を兼ね備えるだけでなく、キャビン内外での火災において可燃性ガスおよび有毒性のガスによる災害を防止することができる。
以下、本発明の航空機用内装材について、さらに詳細に説明する。
本発明の移動体内装材は、強化繊維束(A)と、ポリアリーレンスルフィド(B)から構成される繊維強化樹脂部材を構成要素として含むものである。
本発明の強化繊維束(A)に用いられる強化繊維は、特に限定されないが、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、鉱物繊維、炭化ケイ素繊維等が使用でき、これらの繊維を2種以上混在させることもできる。これらの中でも、軽量かつ高強度、高弾性率の成形品を得る観点から、炭素繊維を用いるのが好ましく、特に引張弾性率で200〜700GPaの炭素繊維を用いることが好ましい。
本発明の強化繊維束とは、単繊維が複数本集合した状態を意味し、少なくとも2本以上の集合体であり、より好ましくは5本以上の集合体であり、さらに好ましくは10本以上の集合体である。また、これは原料製品となる強化繊維束(通常、100〜100,000本の単繊維を収束させている)を、分繊したり、開繊したり、製造工程においてスプリットしたりして、容易に当該形態とすることができる。また、単繊維状を維持したままの状態とするには、分繊操作や開繊操作に特殊な設備を要したり、開繊時間が過剰に長くなるなど、経済性、生産性が低下する場合がある。
ここで、前記した原料製品となる強化繊維束は、強化繊維の単糸数が多いほど経済性には有利であることから、単繊維は10,000本以上が好ましい。他方、強化繊維の単糸数が多いほどマトリックス樹脂の含浸性には不利となる傾向があるため、強化繊維束として炭素繊維束を用いる場合、経済性と含浸性の両立を図る観点から、15,000本以上100,000本以下がより好ましく、20,000本以上50,000本以下がとりわけ好ましく使用できる。とりわけ、本発明の効果である、成形材料を製造する過程での熱可塑性樹脂の含浸性に優れている点、射出成形を行う際に強化繊維の成形品中への分散が良好である点は、より繊維数の多い強化繊維束に対応できる。
強化繊維束(A)の好ましい形態としては、軽量で優れた力学特性が得られる観点から、連続した形態が好ましく用いられる。ここで言う「連続した」とは、単繊維が一方向に配列された強化繊維束が長さ方向に亘り連続した状態であることを意味するが、強化繊維束の単繊維全てが全長に亘り連続している必要はなく、一部の単繊維が途中で分断されていても良い。このような連続した強化繊維束としては、ストランド、編み物、組み紐、トウ、一方向性繊維束、二方向性繊維束、多方向性繊維束などが例示できるが、成形材料を製造する過程での生産性の観点から一方向性繊維束がより好ましく使用でき、曲面にも容易に賦形できる観点から織物が好ましく使用される。
また、強化繊維束(A)のもう1つの好ましい形態としては、複雑な形状の成形品を短時間で成形でき観点から、不連続の形態が好ましく用いられる。例えば、チョップドストランド、強化繊維束をカットしながらマット、シート、不織布などに加工した形態が例示でき、このとき、強化繊維の繊維長が長いほど、高い力学特性が得られる反面、成形性、取扱性が犠牲となる傾向がある。また、成形性、取扱性をさらに向上させる観点から、強化繊維束を交絡させてクッション状に加工した形態としてもよい。
ここでの重量平均繊維長(Lw)としては、1〜15mmが好ましく、1.5〜10mmがより好ましく、2〜8mmがさらに好ましい。重量平均繊維長が好ましい範囲内であれば、成形性を阻害することなく、力学特性をより高めることができる。なお、重量平均繊維長(Lw)の測定方法は、繊維強化樹脂部材(I)内の強化繊維のみを、無作為に少なくとも400本以上抽出し、その長さを1μm単位まで光学顕微鏡もしくは走査型電子顕微鏡にて測定して、その重量平均長さを算出することにより行う。強化繊維の抽出方法としては、繊維強化樹脂部材の一部を切り出し、マトリックス樹脂である熱可塑性樹脂を溶解させる溶媒により熱可塑性樹脂を十分溶解させた後、濾過などの公知の操作により強化繊維と分離する方法や、繊維強化樹脂部材の一部を切り出し、熱可塑性樹脂を加熱炉にて焼却除去して強化繊維を取り出す方法が例示できる。
本発明に用いられるポリアリーレンスルフィド(以下、PASと略することもある)は、式、−(Ar−S)−の繰り返し単位を主要構成単位とする、好ましくは当該繰り返し単位を80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上含有するホモポリマーまたはコポリマーである。Arとしては下記の式(a)〜式(k)などであらわされる単位などがあるが、なかでも式(a)が特に好ましい。
Figure 2008231290
(R1,R2は水素、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜24のアリーレン基、ハロゲン基から選ばれた置換基であり、R1とR2は同一でも異なっていてもよい)
この繰り返し単位を主要構成単位とする限り、下記の式(l)〜式(n)などで表される少量の分岐単位または架橋単位を含むことができる。これら分岐単位または架橋単位の共重合量は、−(Ar−S)−の単位1モルに対して0〜1モル%の範囲であることが好ましい。
Figure 2008231290
また、本発明におけるPASは上記繰り返し単位を含むランダム共重合体、ブロック共重合体およびそれらの混合物のいずれかであってもよい。
これらの代表的なものとして、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトン、ポリフェニレンスルフィドエーテル、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体およびそれらの混合物などが挙げられる。特に好ましいPASとしては、ポリマーの主要構成単位としてp−フェニレンスルフィド単位
Figure 2008231290
を80重量%以上、特に90重量%以上含有するポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと略すこともある)が挙げられる。
本発明のPASの分子量は、重量平均分子量で10,000以上、好ましくは15,000以上、より好ましくは18,000以上である。重量平均分子量が10,000未満では、繊維強化樹脂部材の力学特性や耐薬品性等の特性が低くなる場合がある。重量平均分子量の上限に特に制限は無いが、1,000,000以下を好ましい範囲として例示でき、より好ましくは500,000以下、さらに好ましくは200,000以下であり、この範囲内では高い成形加工性を得ることができる。
本発明におけるPASの分子量分布の広がり、すなわち重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)で表される分散度は2.5以下が好ましく、2.3以下がより好ましく、2.1以下がさらに好ましく、2.0以下がよりいっそう好ましい。分散度が大きくなるにともない、PASに含まれる低分子成分の量が多くなる傾向があり、加熱した際のガス発生量が増大する場合がある。分散度が好ましい範囲内であれば、本発明の目的をより高度に達成することができる。なお、前記重量平均分子量および数平均分子量は例えば示差屈折率検出器を具備したSEC(サイズ排除クロマトグラフィー)を使用して求めることができる。
また、本発明のPASの溶融粘度に特に制限はないが、通常、溶融粘度が5〜10,000Pa・s(300℃、剪断速度1000/秒)の範囲が好ましい範囲として例示できる。
また、本発明のPASは実質的に塩素以外のハロゲン、すなわちフッ素、臭素、ヨウ素、アスタチンを含まないことが好ましい。本発明のPASがハロゲンとして塩素を含有する場合、PASが通常使用される温度領域においては安定であるために塩素を少量含有してもPASの力学特性、発生ガスの人体に与える影響は少ないが、塩素以外のハロゲンを含有する場合、それらの特異な性質が人体へ悪影響を及ぼす場合がある。なお、ここで言う「実質的に塩素以外のハロゲンを含まない」とは、例えば、ポリマーを燃焼させ、燃焼ガスを吸収させた、溶液を公知のイオンクロマト法などで定量分析を行い、塩素以外のハロゲンは検出限界以下であることを意味する。また、本発明のPASがハロゲンとして塩素を含有する場合でも、同様の観点で、その好ましい量は1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、さらに好ましくは0.2重量%以下である。
本発明のPASの重要な特徴は、加熱した際の重量減少が下記式(1)を満たすことである。
△Wr=(W1−W2)/W1×100≦0.18(%) ・・・(1)
ここで△Wrは重量減少率(%)であり、常圧の非酸化性雰囲気下で50℃から330℃以上の任意の温度まで昇温速度20℃/分で熱重量分析を行った際に、100℃到達時点の試料重量(W1)を基準とした330℃到達時の試料重量(W2)から求められる値である。
本発明のPASは△Wrが0.18%以下であり、0.12%以下であることが好ましく、0.10%以下であることがさらに好ましく、0.085以下であることがよりいっそう好ましい。△Wrが前記範囲を超える場合は、たとえば、繊維強化樹脂部材が火災などにより加熱された際に、発生ガス量が多いといった問題や発生する場合がある。△Wrは一般的な熱重量分析によって求めることが可能であるが、この分析における雰囲気は常圧の非酸化性雰囲気を用いる。非酸化性雰囲気とは、酸素を実質的に含有しない雰囲気、すなわち窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気であることを示す。
また、△Wrの測定においては50℃から330℃以上の任意の温度まで昇温速度20℃/分で昇温して熱重量分析を行う。なお、本発明においては、50℃で1分間ホールドした後に昇温速度20℃/分で昇温して熱重量分析を行う。
なお、一般に熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂を加熱した際の重量減少量は、温度が高くなるほど大きくなる傾向があり、この傾向はPASにも当てはまることが知られている。このような傾向をふまえた上で、本発明者らは本発明のPASおよび公知のPASの加熱時の重量減少量の温度依存性を詳細に分析した結果、前記した熱重量分析条件に従ってPASの重量減少率を求める場合、重量減少率と温度Tにはおおむね下記式(2)および(3)の関係が成り立つことを見いだした。
△Wr1=△Wt1−(1.0×10−3×T1) …(2)
△Wr2=△Wt2+(1.0×10−3×T2) …(3)。
式(2)において△Wt1は常圧の非酸化性雰囲気下で50℃から330℃を超える任意の温度T1まで昇温(昇温速度20℃/分)した際に得られる熱重量分析値において、100℃到達時点の試料重量(W)を基準とした任意の温度T1における試料重量(Wt1)との差から下記式(1)’によって得られる重量減少率(%)である。
△Wt1=(W−Wt1)/W×100 (%)・・・(1)’。
本発明のPASの重量減少率△Wrは前記したように熱重量分析を行った分析値における330℃時点の試料重量を基準としているが、式(2)の関係を用いることで330℃を超える温度における試料重量を基準とした重量減少率△Wt1から△Wrの値を見積もることが可能である。
式(3)において△Wt2は常圧の非酸化性雰囲気下で50℃から270℃以上330℃未満の任意の温度T2まで昇温(昇温速度20℃/分)した際に得られる熱重量分析値において、100℃到達時点の試料重量(W)を基準とした任意の温度T2における試料重量(Wt2)との差から下記式(1)’’によって得られる重量減少率(%)である。
△Wt2=(W−Wt2)/W×100 (%) ・・・(1)’’。
本発明のPASの重量減少率△Wrは前記したように、熱重量分析を行った分析値における330℃時点の試料重量を基準としているが、式(3)の関係を用いることで270℃以上330℃未満の温度領域における試料重量を基準とした重量減少率△Wt2から△Wrの値を見積もることが可能である。なお、熱重量分析における測定温度上限が270℃未満の場合、PASが溶融しない、または、溶融しても流動性が低い傾向にあるため、このような測定温度範囲は実使用に適した温度範囲とはいえず、PAS品質の評価基準として用いるとの観点で測定温度範囲に前記範囲を用いることが望ましい。
なお、本発明のPASは、環式ポリアリーレンスルフィドを少なくとも50重量%以上含み、かつ重量平均分子量が10,000未満のポリアリーレンスルフィドプレポリマーを加熱して、重量平均分子量10,000以上の高重合度体に転化させることによって製造することができる。ポリアリーレンスルフィドプレポリマーのより好ましい態様としては、環式ポリアリーレンスルフィドを70重量%以上含み、さらに好ましくは80重量%以上含み、とりわけ好ましくは90重量%以上含むものである。また、ポリアリーレンスルフィドプレポリマーに含まれる環式ポリアリーレンスルフィドの上限値には特に制限は無いが、98重量%以下、好ましくは95重量%以下が好ましい範囲として例示できる。
通常、ポリアリーレンスルフィドプレポリマーにおける環式ポリアリーレンスルフィドの重量比率が高いほど、加熱後に得られるPASの重合度が高くなる傾向にある。すなわち、本発明のPASの製造法においてはポリアリーレンスルフィドプレポリマーにおける環式ポリアリーレンスルフィドの存在比率を調整することで、得られるPASの重合度を調整し、加熱時の発生ガス量をより低く抑えることができ好ましい。
また、加熱による重量減少を低減する目的で、不純物、未反応のモノマー、オリゴマー、低分子量成分を抽出する方法を用いても良い。例えば、ポリマーが溶融する温度よりも高い温度で、溶媒を主とする溶媒相に熱抽出して精製する方法、または冷却後に顆粒状ポリマーを析出させて回収する方法が挙げられる。
本発明におけるポリアリーレンスルフィド(B)には、本発明の効果を損なわない範囲内で、他の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エラストマー、ゴム成分、難燃剤、無機充填材、カーボンブラックなどの導電性向上成分、結晶核剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、制振剤、抗菌剤、防虫剤、防臭剤、着色剤、顔料、染料、熱安定剤、離型剤、粘着剤、耐電防止剤、可塑剤、滑剤、発泡剤、制泡剤、カップリング材などを添加しても良い。
他の熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリエステル等のポリエステルや、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン等のポリオレフィンや、スチレン系樹脂の他や、ポリオキシメチレン(POM)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアリーレンスルフィド(PAS)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性PPE、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリサルホン(PSU)、変性PSU、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリケトン(PK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルニトリル(PEN)、フェノール系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂、さらにポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、ポリイソプレン系、フッ素系、およびアクリロニトリル系等の熱可塑エラストマー等や、これらの共重合体、変性体、および2種類以上ブレンドした樹脂などを用いることができるが、本発明の目的である発生ガス量を抑制する観点から、さらには、熱可塑性樹脂の加熱による熱減量を抑える観点から、PEEK、PEI、PESが好適に用いられる。
本発明に用いられる繊維強化樹脂部材における強化繊維束の重量割合は、部材の力学特性を高める観点から、30〜90重量%が好ましく、40〜85重量%がより好ましく、50〜80重量%がさらに好ましい。なお、繊維強化樹脂部材中の強化繊維束の重量割合は、基本的には配合量で決定されるが、重量平均繊維長の測定で用いた方法で、成形品から強化繊維を抽出して重量割合を求めてもよい。また、濾過などの公知な操作において、強化繊維以外の充填剤や、ポリアリーレンスルフィドの炭化物などを十分に分離すると、より正確な重量含有率を求めることができるため好ましい。
本発明に用いられる繊維強化樹脂部材の重要な特徴は、ASTM E662で測定される20分燃焼時の発生ガス量が0〜100の範囲内である。この発生ガス量は、航空機用内装材における、繊維強化樹脂部材のみで試験し、無炎モードにて規定の熱量を加えて、20分燃焼した時の発煙量を光学的に評価した指標である。また、ここで言う燃焼とは、必ずしも発火を伴ったものでなくとも良い。発生ガス量が100を超えると、キャビン内外での火災発生時、初期消火時および延焼時に、可燃ガスによる火災の二次延焼、有毒ガスによる乗客、乗員への被害が生じる場合がある。従って、発生ガス量は低い方が望ましく、好ましくは0〜80の範囲内であり、とりわけ好ましくは0〜60の範囲内である。
また、本発明の繊維強化樹脂部材のJIS K7112(1999)に基づき測定した密度は、軽量設計の観点から、0.1〜1.8の範囲内が好ましく、0.5〜1.75の範囲がより好ましく、1.0〜1.7の範囲内がさらに好ましい。これら密度の制御は、強化繊維束(A)と、ポリアリーレンスルフィド(B)の量だけでなく、部材に含まれる空隙量を調整することで制御できる。すなわち、部材を薄くしてキャビンスペースを確保する場合には、空隙を低くして力学特性を向上させることが好ましい。また、部材の厚みで剛性を確保する場合には、空隙を多くして軽量性を向上させることが好ましい。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂部材は、移動体内装材として用いられるために、トリミング、サンディング、リペア、ソリやネジレなどを形状補正してもよいし、他の部品や第2の部材と接合、接着、複合化してもよいし、切削、パンチング、表面処理、加飾、コーティング、塗装などの高次加工をしてもよい。
とりわけ、剛性を高める観点からリブやスパーといった剛性メンバー(補助材)を接合したり、実装性を高める観点から、ヒンジ、ジョイントなどの部品を接合したり、外観品位を高める観点から、フィルムコーティングや塗装などを行うことが好ましい。
本発明の移動体内装材の適用機としては、例えば、固定翼機、飛行機、グライダー、回転翼機、ヘリコプター、オートジャイロ等の重航空機、飛行船、および気球等の軽航空機、乗用車、ワゴン、バス、トラック、トレーラーなどの自動車、鉄道車輌、モノレール、リニアモーターカーなどが挙げられる。
本発明の移動体内装材は、例えば、操縦席、乗務員用座席、乗客座席、クローゼット、調理ユニット、化粧室壁、手荷物ロッカー壁、収納ロッカー壁、ドア内張、キャビン天井パネル、キャビン内装パネル、キャビン床面、床下貨物室天井パネル、床下貨物室内装パネル、貨物室床面、エンジン室内装パネル、エンジン室天井パネル、エンジン室床面、コックピット天井パネル、コックピット内装パネル、コックピット床面、機内用食器、機内用トレイなどに適用可能である。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。
本発明に使用した評価方法を下記する。
(1)ポリアリーレンスルフィドの分子量測定
ゲルパーミレーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を算出した。また、該分子量を用いて、分散度(Mw/Mn)を算出した。GPCの測定条件を以下に示す。
装置:センシュー科学 SSC−7100(カラム名:センシュー科学 GPC3506)
溶離液:1−クロロナフタレン、流量:1.0mL/min
カラム温度:210℃、検出器温度:210℃。
(2)ポリアリーレンスルフィドの加熱による重量減少
熱重量分析機(パーキンエルマー社製TGA7)を用いて、下記条件にて重量減少率の測定を行った。なお、試料は2mm以下の細粒物を用いた。
測定雰囲気:窒素(純度:99.99%以上)気流下
試料仕込み重量:約10mg
測定条件:
(a)プログラム温度50℃で1分保持
(b)プログラム温度50℃から400℃まで昇温。この際の昇温速度20℃/分
重量減少率△Wrは(b)の昇温において、100℃時の試料重量を基準として、330℃到達時の試料重量から前述の式(1)を用いて算出した。
(3)繊維強化樹脂部材中の繊維長
繊維強化樹脂部材の一部を切り出し、電気炉にて空気中500℃で30分間加熱して熱可塑性樹脂を十分に焼却除去して強化繊維を分離した。分離した強化繊維を、無作為に少なくとも400本以上抽出し、光学顕微鏡にてその長さを1μm単位まで測定して、次式により重量平均繊維長(Lw)および数平均繊維長(Ln)を求める。
重量平均繊維長(Lw)=Σ(Li×Wi/100)
数平均繊維長(Ln)=(ΣLi)/Ntotal
Li:測定した繊維長さ(i=1、2、3、・・・、n)
Wi:繊維長さLiの繊維の重量分率(i=1、2、3、・・・、n)
Ntotal:繊維長さを測定した総本数。
(4)繊維強化樹脂部材の密度
JIS K 7112(1999)の5に記載のA法(水中置換法)に従い測定した。繊維強化樹脂部材から1cm×1cmの試験片を切り出し、耐熱性ガラス容器に投入し、この容器を80℃の温度で12時間真空乾燥し、吸湿しないように注意しながらデシケータ内で室温まで冷却したものを試験片とした。浸漬液には、エタノールを用いた。
(5)繊維強化樹脂部材の発生ガス量
繊維強化樹脂部材から長さ76.2mmと幅76.2mmの直方体を切り出し試験片とした。発生ガス量の試験はASTM E662−03に従い試験を行った。発生ガス量測定時のサンプル燃焼時間は20分とした。試験は規定のチャンバーを用い、25kW/mの熱量を有する電熱ヒーターを用いて加熱を行った。発生ガス量は6回以上測定し、測定値の和を測定回数で除した平均値とする。
(6)繊維強化樹脂部材の曲げ特性
繊維強化樹脂部材の平坦な部分を選び、幅15mm×長さ80mmの大きさの曲げ特性評価用試験板を、任意の方向で切り出した。得られた試験片を、ISO 178法(1993)に従い、試験機としてインストロン社製の“インストロン”(登録商標)万能試験機4201型を使用し、支点間距離を試験片厚みの16倍に設定し、試験速度5mm/minで曲げ試験を行い、曲げ弾性率および曲げ強度を測定した。
(参考例1)
<ポリフェニレンスルフィドプレポリマーの調製>
撹拌機付きの1000リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム118kg(1000モル)、96%水酸化ナトリウム42.3kg(1014モル)、N−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと略する場合もある)を163kg(1646モル)、酢酸ナトリウム24.6kg(300モル)、およびイオン交換水150kgを仕込み、常圧で窒素を通じながら240℃まで3時間かけて徐々に加熱し、精留塔を介して水211kgおよびNMP4kgを留出した後、反応容器を160℃に冷却した。なお、この脱液操作の間に仕込んだイオウ成分1モル当たり0.02モルの硫化水素が系外に飛散した。
次に、p−ジクロロベンゼン147kg(1004モル)、NMP129kg(1300モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封した。240rpmで撹拌しながら、0.6℃/分の速度で270℃まで昇温し、この温度で140分保持した。水を18kg(1000モル)を15分かけて圧入しながら250℃まで1.3℃/分の速度で冷却した。その後220℃まで0.4℃/分の速度で冷却してから、室温近傍まで急冷し、スラリー(A)を得た。このスラリー(A)を376kgのNMPで希釈しスラリー(B)を得た。
80℃に加熱したスラリー(B)14.3kgをふるい(80mesh、目開き0.175mm)で濾別し、粗PPS樹脂とスラリー(C)を10kg得た。スラリー(C)をロータリーエバポレーターに仕込み、窒素で置換後、減圧下100〜160℃で1.5時間処理した後、真空乾燥機で160℃、1時間処理した。得られた固形物中のNMP量は3重量%であった。
この固形物にイオン交換水12kg(スラリー(C)の1.2倍量)を加えた後、70℃で30分撹拌して再スラリー化した。このスラリーを目開き10〜16μmのガラスフィルターで吸引濾過した。得られた白色ケークにイオン交換水12kgを加えて70℃で30分撹拌して再スラリー化し、同様に吸引濾過後、70℃で5時間真空乾燥してポリフェニレンスルフィドオリゴマー100gを得た。ポリフェニレンスルフィドプレポリマーが所定量に達するまで上記操作を繰り返した。
得られたポリフェニレンスルフィドオリゴマーを4g分取してクロロホルム120gで3時間ソックスレー抽出した。得られた抽出液からクロロホルムを留去して得られた固体に再度クロロホルム20gを加え、室温で溶解しスラリー状の混合液を得た。これをメタノール250gに撹拌しながらゆっくりと滴下し、沈殿物を目開き10〜16μmのガラスフィルターで吸引濾過し、得られた白色ケークを70℃で3時間真空乾燥して白色粉末を得た。
この白色粉末の重量平均分子量は900であった。この白色粉末の赤外分光分析における吸収スペクトルより、白色粉末はポリフェニレンスルフィドであることが判明した。また、示差走査型熱量計を用いてこの白色粉末の熱的特性を分析した結果(昇温速度40℃/分)、約200〜260℃にブロードな吸熱を示し、ピーク温度は215℃であることがわかった。
また高速液体クロマトグラフィーより成分分割した成分のマススペクトル分析、さらにMALDI−TOF−MSによる分子量情報より、この白色粉末は繰り返し単位数4〜11の環式ポリフェニレンスルフィドおよび繰り返し単位数2〜11の直鎖状ポリフェニレンスルフィドからなる混合物であり、環式ポリフェニレンスルフィドと直鎖状ポリフェニレンスルフィドの重量比は9:1であることがわかった。
(参考例2)
参考例1で得られたポリフェニレンスルフィドを、200〜300℃で溶解させ、ナイフコーターを使用して離型紙上に所定の厚みに塗布し、樹脂フィルムを作製した。
次に、シート状に一方向に整列させた炭素繊維トレカ(登録商標)T700S−24K(東レ(株)製)に樹脂フィルム2枚を炭素繊維の両面から重ね、200〜300℃に加熱したロールを用い、0.2〜0.5MPaで加圧して樹脂組成物を含浸させ、一方向プリプレグを作製した。作製したプリプレグを10cm角に切り出し、1−クロロナフタレン100mlで230℃、30分で樹脂組成物を溶解させ、乾燥後、前後の重量比から繊維重量含有率を算出した結果、炭素繊維含有率62重量%であった。
さらに、作製したプリプレグの両面にガムテープを一定面積で貼り付け、ガムテープを引き剥がした際に両側に炭素繊維が付着している部分を未含浸部分と判定したところ、未含浸部は5%未満であり、含浸性に優れていることを確認した。
(参考例3)
炭素繊維トレカ(登録商標)T700S−24K(東レ(株)製)に水分を噴霧しながら、カード機でマット状に加工し、その上に参考例1で得られたポリフェニレンスルフィドを粉末状態のまま散布した。得られたマットから10mm角の部分を無作為に10箇所選定し、光学顕微鏡で観察したところ、炭素繊維は単繊維が10〜500本単位で集合した繊維束まで分繊していることを確認した。
次に、200〜300℃に加熱したダブルベルトプレスに、1MPaの圧力をかけながら混合マットを通過させ、炭素繊維が実質的にランダム配向した成形基材を作製した。作製した基材を10cm角に切り出し、1−クロロナフタレン100mlで230℃、30分で樹脂組成物を溶解させ、乾燥後、前後の重量比から繊維重量含有率を算出した結果、炭素繊維含有率54重量%であった。また、10cm角に切り出した基材の重量から、基材の目付は1200g/mと算出できた。
また、作製した基材はマット状であり、ポリアリーレンスルフィドの含浸性は低いものの、賦形性に優れた基材であることを確認した。
(実施例1)
参考例2で得られた一方向プリプレグを、図1に示す成形品のサイズにカットして、成形品の長手方向を基準に、繊維の方向が[0°/90°/90°/0°]4sとなる構成にて金型面に積層した。得られた積層体にバギングフィルムで真空パックした後、オートクレーブを用いて、350℃、0.1〜1MPaの圧力がかかるように30分間加熱加圧成形を行った。
得られた成形品を冷却後、脱型し、端面加工して、厚み2.4mm、幅1m、長さ5mのフロア板1を得た。成形品から10mm角の試験片を切り出し、強化繊維とポリアリーレンスルフィドを分離するために、ソックスレー抽出器を用い、1−クロロナフタレンを用いて、210℃で6時間還流を行い、抽出したポリアリーレンスルフィドを分子量の測定に供した。得られたPPSの重量平均分子量(Mw)は54,800、数平均分子量(Mn)28,000、分散度(Mw/Mn)は1.96であった。次に、抽出したポリアリーレンスルフィドの重量減少率△Wrを測定したところ、0.07%であった。
得られた成形品から所定の試験を切り出し、各物性測定に供した結果、密度1.7、発生ガス量は44、0°方向の曲げ弾性率は74GPa、曲げ強度は1050MPaであった。
(実施例2)
参考例3で得られた基材を、1000mm角にカットして、350℃の熱プレス金型の下型面に配置した。基材が十分に起毛したところで、上型面を下降させ、面盤距離が1.2mmで上下の金型を固定した。この状態で、350℃、30分間加熱加圧成形を行った。
得られた成形品を冷却後、脱型し、厚み1.2mm、幅1m、長さ1mの衝撃吸収に優れたクッション部材2を得た。成形品から10mm角の試験片を切り出し、強化繊維とポリアリーレンスルフィドを分離するために、ソックスレー抽出器を用い、1−クロロナフタレンを用いて、210℃で6時間還流を行い、抽出したポリアリーレンスルフィドを分子量の測定に供した。得られたPPSの重量平均分子量(Mw)は50,900、数平均分子量(Mn)25,700、分散度(Mw/Mn)は1.98であった。次に、抽出したポリアリーレンスルフィドの重量減少率△Wrを測定したところ、0.08%であった。
成形品から300mm角の試験片を切り出し、繊維長を測定したところ、重量平均繊維長(Lw)は6.6mm、数平均繊維長(Lw)は4.2mmであった。
得られた成形品から所定の試験を切り出し、各物性測定に供した。成形品は空隙を多く含んでいたため、外形サイズをmm単位で測定し、かつその重量から密度を算出したところ、1.0であった。また、発生ガス量は40であった。
(実施例3)
実施例1で製造されるフロア板を2部、実施例2で製造されるクッション材5部を成形した。図3に示すようにフロア板の上に、クッション材を縦横に隙間なく配置し、さらにフロア板を積層したサンドイッチパネルのプリフォームを形成した。
これを、350℃の高温炉に5分間おくことで、各部材が熱接着し、航空機用フロアパネルが製造できた。
本発明の移動体内装材は、強化繊維束と特定のポリアリーレンスルフィドから構成される部材を使用することで、優れた耐熱性、力学特性、難燃性だけでなく、キャビン内での火災時に可燃ガスや有毒ガスの発生を抑え人的被害を未然に防止することができ、航空機や鉄道車輌といった移動体内装材に有用である。
本発明に係る繊維強化樹脂部材の一例である。 本発明に係る繊維強化樹脂部材の一例である。 本発明に係る繊維強化樹脂部材の一例である。
符号の説明
1:フロア板
2:クッション材
3:サンドイッチ構造の構成図

Claims (8)

  1. 強化繊維束(A)、重量平均分子量が10,000以上であって、加熱による重量減少が下記式を満足するポリアリーレンスルフィド(B)から構成される繊維強化樹脂部材を構成要素として含む移動体内装材であり、前記繊維強化樹脂部材のASTM E662で測定される20分燃焼時の発生ガス量が0〜100の範囲内である、移動体内装材。
    △Wr=(W1−W2)/W1×100≦0.18(%)
    (ここで、△Wrは重量減少率(%)であり、常圧の非酸化性雰囲気下で50℃から330℃以上の任意の温度まで昇温速度20℃/分で熱重量分析を行った際に、100℃到達時点の試料重量(W1)を基準とした330℃到達時の試料重量(W2)から求められる値である。)
  2. 前記強化繊維束(A)が連続した強化繊維束である、請求項1に記載の移動体内装材。
  3. 前記強化繊維束(A)の単繊維の重量平均繊維長が1〜50mmの範囲内である、請求項1に記載の移動体内装材。
  4. 前記強化繊維束(A)に用いられる強化繊維が炭素繊維である、請求項1〜3のいずれかに記載の移動体内装材。
  5. 前記ポリアリーレンスルフィド(B)の重量平均分子量/数平均分子量で表される分散度が2.5以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の移動体内装材。
  6. 前記ポリアリーレンスルフィド(B)が、実質的に塩素以外のハロゲンを含まない、請求項1〜5のいずれかに記載の移動体内装材。
  7. 前記繊維強化樹脂部材において、強化繊維束(A)の重量割合が30〜90重量%である、請求項1〜6のいずれかに記載の移動体内装材。
  8. 前記繊維強化樹脂部材のJIS K7112(1999)に基づき測定した密度が0.1〜1.8である、請求項1〜7のいずれかに記載の移動体内装材。
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