JP2016159827A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】 トレッド部の摩耗の度合いを瞬時にかつ正確に判断することを可能にした空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】 トレッド部1に並列に延在する一対の摩耗度表示溝11,12を設け、一方の摩耗度表示溝11は深さが一定となるように形成し、他方の摩耗度表示溝12は深さが長手方向に沿って徐々に変化するように形成する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、レース用タイヤとして好適な空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、トレッド部の摩耗の度合いを瞬時にかつ正確に判断することを可能にした空気入りタイヤに関する。
従来、空気入りタイヤにおいて、トレッド部の摩耗の度合いを判断するために、トレッド部に摩耗度表示手段を設けることが行われている。そのような摩耗度表示手段として、トレッド部に摩耗度表示穴を設け、その摩耗度表示穴の残存深さに基づいて摩耗状態を把握することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、単なる摩耗度表示穴では、トレッド部の摩耗の度合いを瞬時に判断することは難しい。特に、自動車レースにおいては、摩耗の度合いを瞬時に判断した上でタイヤ交換を行うか否かを即座に決定する必要があるが、上述のような摩耗度表示穴の場合、トレッド部の摩耗の度合いを正確に判断するには摩耗度表示穴の残存深さを計測する必要があり、摩耗の度合いの判断を瞬時に行うことが困難である。
他の摩耗度表示手段として、トレッド部に深さ方向に沿って色が異なる複数層のゴム層からなるゴム柱を埋設し、摩耗の進行に伴って異なる色のゴム層が現れるようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、この場合、大雑把な摩耗状態を把握することは可能であるものの、摩耗の度合いを正確に判断することは困難である。しかも、着色されたゴム層は周辺ゴムに対して異なる挙動を呈するため、これが偏摩耗の要因にもなる。
更に他の摩耗度表示手段として、トレッド部に深さが異なる複数個の摩耗度表示穴を設け、摩耗の進行に伴って浅い摩耗度表示穴を消失させるようにしたものがある(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、この場合も、大雑把な摩耗状態を把握することは可能であるものの、摩耗の度合いを正確に判断することは困難である。また、摩耗の度合いをより正確に判断するために、摩耗度表示穴の数を増やした場合、接地面積の減少により空気入りタイヤの走行性能に悪影響を与える恐れがある。
特開2000−255221号公報 特開平10−76814号公報 特開2006−232152号公報
本発明の目的は、トレッド部の摩耗の度合いを瞬時にかつ正確に判断することを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、トレッド部に並列に延在する一対の摩耗度表示溝を設け、一方の摩耗度表示溝は深さが一定となるように形成し、他方の摩耗度表示溝は深さが長手方向に沿って徐々に変化するように形成したことを特徴とするものである。
本発明では、トレッド部に並列に延在する一対の摩耗度表示溝を設け、一方の摩耗度表示溝は深さが一定となるように形成し、他方の摩耗度表示溝は深さが長手方向に沿って徐々に変化するように形成したので、摩耗が進行すると他方の摩耗度表示溝の長さが変化し、一方の摩耗度表示溝の長さを指標として把握される他方の摩耗度表示溝の長さ変化に基づいてトレッド部の摩耗の度合いを瞬時にかつ正確に判断することができる。そのため、自動車レースにおいては、摩耗の度合いを瞬時に判断してタイヤ交換の要否を円滑に決定することが可能になる。また、上述した一対の摩耗度表示溝は大きな窪みや多数の窪みを必要としないことから、空気入りタイヤの諸性能への影響を最小限に抑えることができる。
本発明において、トレッド部の踏面を真上から見たときに一対の摩耗度表示溝が同一形状かつ同一長さを有することが好ましい。また、一対の摩耗度表示溝の相互間隔Gは2mm≦G≦10mmの範囲にあることが好ましい。これにより、一方の摩耗度表示溝と他方の摩耗度表示溝との対比が容易になるので、他方の摩耗度表示溝の長さ変化をより正確に把握することができる。
本発明において、一対の摩耗度表示溝はタイヤ周方向の複数箇所、特にタイヤ周方向の少なくとも6箇所に配設することが好ましい。これにより、摩耗度表示溝を容易に見つけることができる。そのため、レーシングカーのようにカウルに覆われてタイヤが見え難い車両においても、摩耗度表示溝を容易に確認することができる。
また、一対の摩耗度表示溝はタイヤ幅方向の複数箇所、特にタイヤ幅方向の少なくとも3箇所に配設することが好ましい。この場合、キャンバー角度が付いた車両や空気入りタイヤを低内圧に設定した車両において、センターウエアやショルダーウエア等の偏摩耗を瞬時にかつ正確に判断することができる。
本発明において、他方の摩耗度表示溝の最大深さに対する摩耗量の比率と他方の摩耗度表示溝の全長に対する消失量の比率とが比例関係を持つように他方の摩耗度表示溝の深さをその長手方向に沿って変化させることが好ましい。他方の摩耗度表示溝の最大深さに対する摩耗量の比率と他方の摩耗度表示溝の全長に対する消失量の比率とを関連付けることにより、摩耗の度合いを容易に判断することができる。
一対の摩耗度表示溝の各々の太さWは0.5mm≦W≦2.0mmの範囲にあることが好ましい。これにより、摩耗度表示溝の見え易さを担保しつつ、空気入りタイヤの諸性能への影響を最小限に抑えることができる。
本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す斜視図である。 本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す子午線断面図である。 一対の摩耗度表示溝を示す斜視図である。 一対の摩耗度表示溝を示す平面図である。 トレッド部の摩耗が進行したときの一対の摩耗度表示溝の残存状態を示す平面図である。 一対の摩耗度表示溝の変形例を示す平面図である。 一対の摩耗度表示溝の他の変形例を示す平面図である。 他方の摩耗度表示溝を長手方向に沿って切り欠いた状態を示す断面図である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1及び図2は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示し、図3〜図5はその空気入りタイヤに形成される一対の摩耗度表示溝を示すものである。本実施形態の空気入りタイヤはレース用のスリックタイヤである。
図1及び図2に示すように、本実施形態の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、該トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2,2と、これらサイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3,3とを備えている。
一対のビード部3,3間には2層のカーカス層4が装架されている。これらカーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本の補強コードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側へ折り返されている。ビードコア5の外周上には断面三角形状のゴム組成物からなるビードフィラー6が配置されている。
一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層のベルト層7が埋設されている。これらベルト層7はタイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。ベルト層7において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°〜40°の範囲に設定されている。ベルト層7の補強コードとしては、スチールコードが好ましく使用される。ベルト層7の外周側には、高速耐久性の向上を目的として、補強コードをタイヤ周方向に対して例えば5°以下の角度で配列してなる少なくとも1層のベルトカバー層8が配置されている。ベルトカバー層8の補強コードとしては、ナイロンやアラミド等の有機繊維コードが好ましく使用される。
なお、上述したタイヤ内部構造は空気入りタイヤにおける代表的な例を示すものであるが、これに限定されるものではない。
図1に示すように、トレッド部1にはタイヤ周方向に沿って等間隔で設定された複数箇所にそれぞれ一対の摩耗度表示溝11,12が形成されている。図3及び図4に示すように、一対の摩耗度表示溝11,12は互いに平行に延在している。これら摩耗度表示溝11,12はトレッド部1の踏面を真上から見たときに同一形状かつ同一長さを有している。各摩耗度表示溝11は深さが一定となるように形成されているが、各摩耗度表示溝12は深さが長手方向に沿って徐々に変化するように形成されている。より具体的には、摩耗度表示溝12の深さが一方の端部12aから他方の端部12bに向かって徐々に大きくなっている。
上述のように構成される空気入りタイヤをレーシングカーに装着してレースを行う場合、ピットにおいて一対の摩耗度表示溝11,12に基づいてトレッド部1の摩耗の度合いを判断する。本実施形態の空気入りタイヤでは、トレッド部1に並列に延在する一対の摩耗度表示溝11,12を設け、一方の摩耗度表示溝11は深さが一定となるように形成し、他方の摩耗度表示溝12は深さが長手方向に沿って徐々に変化するように形成しているので、摩耗が進行すると摩耗度表示溝12の長さが変化するが、摩耗度表示溝11の長さは変化しない。そのため、摩耗度表示溝11の長さを指標として摩耗度表示溝12の長さ変化を把握し、その摩耗度表示溝12の長さ変化に基づいてトレッド部1の摩耗の度合いを瞬時にかつ正確に判断することができる。例えば、図5において、摩耗度表示溝12の全長の約50%が摩耗により消失した状態にあるが、これは全摩耗に対する50%の摩耗を示している。従って、ピットインの際に50%摩耗をタイヤ交換の指標としている場合、その摩耗の度合いを瞬時に判断してタイヤ交換の要否を円滑に決定することができる。
また、摩耗度表示溝11,12の各々は一連の細い溝であって大きな窪みや多数の窪みを必要としないことから、空気入りタイヤの諸性能への影響を最小限に抑えることができる。例えば、トレッド部1に大きな窪みや多数の窪みを形成した場合、それ自体が偏摩耗の要因になったり、或いは、接地面積の減少により走行性能等が悪化したりするが、上述のような一対の摩耗度表示溝11,12を設けた場合、そのような不都合を生じることはない。
上記空気入りタイヤにおいて、トレッド部1の踏面を真上から見たときに一対の摩耗度表示溝11,12が同一形状かつ同一長さを有することが望ましい。これにより、摩耗度表示溝11,12の対比が容易になるので、摩耗度表示溝12の長さ変化をより正確に把握することができる。但し、一対の摩耗度表示溝11,12の形状又は長さが相違する場合であっても、これら摩耗度表示溝11,12が並列に延在していれば、両者の対比は可能である。また、一対の摩耗度表示溝11,12は互いに平行に延在することが望ましいが、両者の長さの対比が可能であれば必ずしも平行である必要はない。
また、一対の摩耗度表示溝11,12の相互間隔Gは2mm≦G≦10mmの範囲にあると良い。これにより、摩耗度表示溝11,12の対比が容易になるので、摩耗度表示溝12の長さ変化をより正確に把握することができる。両者の相互間隔Gが小さ過ぎると一対の摩耗度表示溝11,12の間にクラックを生じ易くなり、逆に大き過ぎすると両者の対比が困難になる。一対の摩耗度表示溝11,12はその全長にわたって相互間隔Gが上記範囲にあると良い。
上記空気入りタイヤにおいて、一対の摩耗度表示溝11,12はタイヤ周方向の複数箇所、特にタイヤ周方向の少なくとも6箇所に配設すると良い。これにより、摩耗度表示溝11,12を容易に見つけることができる。そのため、レーシングカーのようにカウルに覆われてタイヤが見え難い車両においても、摩耗度表示溝11,12を容易に確認することができ、トレッド部1の摩耗の度合いを瞬時にかつ正確に判断することができる。勿論、一対の摩耗度表示溝11,12をタイヤ周方向の1箇所だけに配置することも可能である。
また、一対の摩耗度表示溝11,12はタイヤ幅方向の複数箇所、特にタイヤ幅方向の少なくとも3箇所に配設すると良い。この場合、キャンバー角度が付いた車両や空気入りタイヤを低内圧に設定した車両において、センターウエアやショルダーウエア等の偏摩耗を瞬時にかつ正確に判断することができる。特に、一対の摩耗度表示溝11,12を両ショルダー部とセンター部を含むタイヤ幅方向の少なくとも3箇所に配置した場合、偏摩耗の判断が容易になる。勿論、一対の摩耗度表示溝11,12をタイヤ幅方向の1箇所だけに配置することも可能である。
図6は一対の摩耗度表示溝の変形例を示すものである。図6において、摩耗度表示溝11は深さが一定となるように形成され、摩耗度表示溝12は深さが長手方向に沿って徐々に変化するように形成され、摩耗度表示溝12の深さが一方の端部12aから他方の端部12bに向かって徐々に大きくなっている。また、摩耗度表示溝11の長手方向の中央位置には、摩耗度表示溝11の深さ方向の中央位置を頂部とする突起部13が形成されている。この場合も、上述の例と同様に、摩耗が進行すると摩耗度表示溝12の長さが変化し、その長さ変化に基づいてトレッド部1の摩耗の度合いを瞬時にかつ正確に判断することができる。しかも、50%摩耗時には摩耗度表示溝11の突起部13が踏面に現れるので、この突起部13を摩耗度表示溝12の長さ変化の指標として利用することができる。なお、このような突起部13は摩耗度表示溝11の長手方向の他の位置に設けても良く、或いは、1本の摩耗度表示溝11に対して複数の突起部13を設けるようにしても良い。
図7は一対の摩耗度表示溝の他の変形例を示すものである。図7において、一対の摩耗度表示溝11,12は互いに平行に延在し、トレッド部1の踏面を真上から見たときの形状がいずれも波形状になっている。そして、摩耗度表示溝11は深さが一定となるように形成され、摩耗度表示溝12は深さが長手方向に沿って徐々に変化するように形成され、摩耗度表示溝12の深さが一方の端部12aから他方の端部12bに向かって徐々に大きくなっている。この場合も、上述の例と同様に、摩耗が進行すると摩耗度表示溝12の長さが変化し、その長さ変化に基づいてトレッド部1の摩耗の度合いを瞬時にかつ正確に判断することができる。
図8は他方の摩耗度表示溝を長手方向に沿って切り欠いた状態を示すものである。上記空気入りタイヤにおいて、他方の摩耗度表示溝12の最大深さD0に対する摩耗量D1の比率(D1/D0×100%)と他方の摩耗度表示溝12の全長L0に対する消失量L1の比率(L1/L0×100%)とが比例関係を持つように他方の摩耗度表示溝12の深さをその長手方向に沿って変化させると良い。例えば、摩耗度表示溝12の最大深さD0に対する摩耗量D1の比率がA%となる摩耗状態において、摩耗度表示溝12の全長L0に対する消失量L1の比率がA%となることが理想である。但し、本発明ではA%に対する誤差が±5%ポイント以内であれば比例関係が成り立つものとする。
上記空気入りタイヤにおいて、摩耗度表示溝11,12の太さW(図4参照)は0.5mm≦W≦2.0mmの範囲にあると良い。これにより、摩耗度表示溝11,12の見え易さを担保しつつ、空気入りタイヤの諸性能への影響を最小限に抑えることができる。ここで、摩耗度表示溝11,12の太さWが0.5mmよりも小さいと摩耗度表示溝11,12が見え難くなり、逆に2.0mmよりも大きいと接地面積の減少により空気入りタイヤの諸性能に影響を与えるようになる。
また、摩耗度表示溝11,12の長さL(図4参照)は5mm≦L≦15mmの範囲にあると良い。この摩耗度表示溝11,12の長さLが外れると一方の摩耗度表示溝11の長さを指標として他方の摩耗度表示溝12の長さ変化を正確に把握することが困難になる。
上述した実施形態ではレース用のスリックタイヤについて説明したが、本発明はレース以外の用途で使用される空気入りタイヤに適用することも可能である。
タイヤサイズが330/710R18である空気入りタイヤにおいて、トレッド部に摩耗度表示手段を設けた従来例、実施例1〜5及び比較例1〜2のタイヤを作製した。
従来例のタイヤは、トレッド部に摩耗度表示手段として円筒状の摩耗度表示穴を設け、この摩耗度表示穴をタイヤ周方向の4箇所かつタイヤ幅方向の4箇所に設置したものである。摩耗度表示穴は直径が4mmであり、深さが4mmである。
実施例1〜5のタイヤは、トレッド部に摩耗度表示手段として並列に延在する一対の摩耗度表示溝(図3)を設け、一方の摩耗度表示溝は深さが一定となるように形成し、他方の摩耗度表示溝は深さが長手方向に沿って徐々に変化するように形成すると共に、一対の摩耗度表示溝のタイヤ周方向の設置個数、一対の摩耗度表示溝のタイヤ幅方向の設置個数、各摩耗度表示溝の太さを表1のように設定したものである。なお、一対の摩耗度表示溝の相互間隔は5mmとし、各摩耗度表示溝の長さは10mmとした。
比較例1のタイヤは、トレッド部に摩耗度表示手段として並列に延在する一対の摩耗度表示溝を設け、これら一対の摩耗度表示溝の深さを一定にしたものである。摩耗度表示溝の相互間隔及び長さは上記と同様に設定した。
比較例2のタイヤは、トレッド部に摩耗度表示手段として深さ方向に沿って色が異なる複数層のゴム層からなるゴム柱を設け、このゴム柱をタイヤ周方向の4箇所かつタイヤ幅方向の4箇所に設置したものである。ゴム柱は直径が4mmであり、深さが4mmであり、青色、黄色、赤色のゴム層を積層したものである。
これら試験タイヤについて、下記の評価方法により、摩耗度確認までの所要時間、摩耗度確認の正確性、偏摩耗確認の正確性、耐偏摩耗性を評価し、その結果を表1に併せて示した。
摩耗度確認までの所要時間:
各試験タイヤをリムサイズ18×13Jのホイールに組み付けて空気圧を180kPaとして排気量3800ccのレーシングカーに装着し、サーキット走行後にタイヤが車両に装着された状態で摩耗度表示手段に基づいてトレッド部の摩耗度を確認し、その際に要した時間を計測した。この計測は10人の作業者が行い、その計測時間の平均値を求めた。
摩耗度確認の正確性:
上述した摩耗度確認作業において推定された摩耗度(%)と実際の摩耗度(%)との差を求め、10人の作業者の差の総和を求めた。評価結果は、差の総和の逆数を用い、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど摩耗度確認の正確性が高いことを意味する。
偏摩耗確認の正確性:
上述した摩耗度確認作業において推定されたショルダー部とセンター部との間の偏摩耗量(mm)と実際の偏摩耗量(mm)との差を求め、10人の作業者の差の総和を求めた。評価結果は、差の総和の逆数を用い、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど偏摩耗確認の正確性が高いことを意味する。
耐偏摩耗性:
上述したサーキット走行後に、摩耗度表示手段の周囲に生じた偏摩耗量(mm)を測定した。評価結果は、測定値の逆数を用い、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど耐偏摩耗性が優れていることを意味する。
Figure 2016159827
表1から明らかなように、実施例1〜5の場合、いずれも、従来例との対比において、摩耗度確認までの所要時間が短いにも拘らず、摩耗度確認の正確性や偏摩耗確認の正確性が高く、しかも耐偏摩耗性が良好であった。一方、比較例1の場合、摩耗度表示溝の長さ変化を利用して摩耗の度合いを評価することができないため、従来例と同等レベルの結果となった。比較例2の場合、摩耗度確認の正確性や偏摩耗確認の正確性が低いだけでなく、摩耗度表示手段の周囲に偏摩耗が生じていた。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
11 一方の摩耗度表示溝
12 他方の摩耗度表示溝

Claims (9)

  1. トレッド部に並列に延在する一対の摩耗度表示溝を設け、一方の摩耗度表示溝は深さが一定となるように形成し、他方の摩耗度表示溝は深さが長手方向に沿って徐々に変化するように形成したことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記トレッド部の踏面を真上から見たときに前記一対の摩耗度表示溝が同一形状かつ同一長さを有することを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記一対の摩耗度表示溝の相互間隔Gが2mm≦G≦10mmの範囲にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記一対の摩耗度表示溝をタイヤ周方向の複数箇所に配設したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記一対の摩耗度表示溝をタイヤ周方向の少なくとも6箇所に配設したことを特徴とする請求項4に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記一対の摩耗度表示溝をタイヤ幅方向の複数箇所に配設したことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記一対の摩耗度表示溝をタイヤ幅方向の少なくとも3箇所に配設したことを特徴とする請求項6に記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記他方の摩耗度表示溝の最大深さに対する摩耗量の比率と前記他方の摩耗度表示溝の全長に対する消失量の比率とが比例関係を持つように前記他方の摩耗度表示溝の深さをその長手方向に沿って変化させたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記一対の摩耗度表示溝の各々の太さWが0.5mm≦W≦2.0mmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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