JP2016154488A - リンゴの蜜様香気を表現する香料組成物および香気付与方法 - Google Patents

リンゴの蜜様香気を表現する香料組成物および香気付与方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016154488A
JP2016154488A JP2015034881A JP2015034881A JP2016154488A JP 2016154488 A JP2016154488 A JP 2016154488A JP 2015034881 A JP2015034881 A JP 2015034881A JP 2015034881 A JP2015034881 A JP 2015034881A JP 2016154488 A JP2016154488 A JP 2016154488A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
honey
apple
ethyl
weight
parts
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015034881A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6519855B2 (ja
Inventor
福代 田中
Fukuyo Tanaka
福代 田中
利男 宮澤
Toshio Miyazawa
利男 宮澤
靖隆 庄司
Yasutaka Shoji
靖隆 庄司
優 川▲崎▼
Masaru Kawasaki
優 川▲崎▼
友子 樫村
Tomoko Kashimura
友子 樫村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ogawa and Co Ltd
National Agriculture and Food Research Organization
Original Assignee
Ogawa and Co Ltd
National Agriculture and Food Research Organization
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ogawa and Co Ltd, National Agriculture and Food Research Organization filed Critical Ogawa and Co Ltd
Priority to JP2015034881A priority Critical patent/JP6519855B2/ja
Publication of JP2016154488A publication Critical patent/JP2016154488A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6519855B2 publication Critical patent/JP6519855B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Bakery Products And Manufacturing Methods Therefor (AREA)
  • Fats And Perfumes (AREA)
  • Confectionery (AREA)
  • Seasonings (AREA)
  • Alcoholic Beverages (AREA)
  • Non-Alcoholic Beverages (AREA)
  • Jellies, Jams, And Syrups (AREA)

Abstract

【課題】 リンゴ蜜果に特有の蜜香を付与できる蜜感付与組成物を提供することである。
【解決手段】 有機酸エチルエステルを含有することを特徴とする、リンゴの蜜香を付与することのできる蜜感付与組成物である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、特定の香気成分が、好ましくは特定の比率で配合されているリンゴの蜜入り果(蜜果)が持つ特徴ある蜜香を付与できる組成物、並びに、果実風味の飲食品にリンゴ蜜果様の蜜香を付与する方法、並びに、リンゴ蜜果様の風味が増強された飲食品に関する。
リンゴは世界中で最も多く消費されている果物の一つであり、食味、収量、病害抵抗性、加工適正などを考慮し数多くの品種が開発されている。
リンゴは生食されるのみならず、ケーキや焼き菓子などの材料としても好まれるほか、りんごジュース・ネクター、りんごサイダーやりんご酒等の飲料、りんごジャム、アップルソース、りんご酢、りんごシラップ漬け缶詰・瓶詰、焼きりんご缶詰、りんごソリッドパック等の加工食品においても汎用性と嗜好性の高い風味である。
リンゴの栽培過程では花摘み、摘果、玉回し、果実への袋がけの有無といった技術があり、気候や土壌の条件と併せ、果実の風味や外観および生産性に影響を与えることが知られている。貯蔵温度、雰囲気などのポストハーベスト要因も重要であることが分かっており、同様に数多くの研究例が見られる。
果実の中心部が半透明状態となったいわゆる蜜入りのリンゴ(蜜果)に関しては欧米では生理障害とみなされているだけでなく、貯蔵中の褐変のしやすさから敬遠される傾向にあるが、日本国内においては一般に非蜜果に比べ甘いイメージを想起させることから極めて高い人気がある。品種間の香味差よりも蜜入りであることが重視されていることは、国内のリンゴ生産量のうち、蜜が入りやすい「ふじ」が過半数を占めることからも類推できる(非特許文献1)。
一方、蜜果における蜜部は、樹上での果実の成熟に伴ってソルビトールを含む水が果実の細胞間隙に蓄積することにより形成され、早期に収穫した果実を後熟させても発生しない。
蜜果と非蜜果の甘味成分およびリンゴの品種間の香気成分と香気特性の関連性について官能評価を用いて研究した事例はあるが、蜜果の香気成分の特徴を香気特性や官能評価と関連付けて明らかにした例はない。また蜜果は、生食用としての人気は高いものの、褐変のしやすさや傷みやすさから加工や流通面での適性は低いという問題があった。
リンゴ蜜感の再現に関しては、特許文献1においてクロロゲン酸による熟れたリンゴの特有の甘い味わい(熟れた蜜様の味わい)の発明が開示されているが、当該発明は味わいに限定され、蜜香の付与や再現に関する言及はない。
また、特許文献2においては、(Z)−3−ヘキセン−1−オール、リナロール、β−シトロネロール、ネロール、β−イオノン、イソブチルイソブチラートおよびシス−リナロールオキシドの7種の成分を所定の含有量添加することにより熟したリンゴ様、ハーブおよび洋ナシ様のフルーツ香が感じられるビールテイスト飲料の発明が開示されている。しかし、ホップを使ったビールテイスト飲料に限定され、また、付与される香りは熟したリンゴ一般の香りであり、リンゴ蜜香に特定されるものではない。
要するに、リンゴの蜜様香気を再現する方法に関する具体的な発明はこれまで提案されていなかった。
一方、リンゴ蜜果の蜜感物質を生リンゴから抽出することは、樹上で果実の完熟を待ってから収穫する必要があるため、栽培上の手間やコストのため現実的な方法ではない。
そこで、消費者に人気がありリンゴ加工品の商品価値を高めることができる、リンゴ蜜果の蜜感を簡便に再現する方法が要望されている。
特開2009−195122号公報 特開2012−29632号公報
福田博之、「リンゴのミツ症状」、化学と生物、社団法人日本農芸化学会、1989年5月25日、第27巻、第5号、第340〜344頁
本発明の目的は、リンゴ蜜果に特有の蜜香を付与できる蜜感付与組成物、リンゴ風味の飲食品にリンゴの蜜果様の蜜感を付与する方法、およびリンゴの蜜果様の香気が増強されたリンゴまたは果実様風味の飲食品を提供することを目的とする。
リンゴの香気成分としては300種以上の成分が確認されているが、主要成分は30種程度と言われている。
本発明者は、リンゴ蜜果および非蜜果双方の代謝生成物についての網羅的なメタボローム解析やGC−MS分析による比較を行い、蜜果に特徴的に見られる有機酸(カルボン酸)のエチルエステル類が特にヒトの嗅覚に感受性が高く、フルーティ・スイートな特性を有することを見出した。さらに、本発明者らは、有機酸エチルエステル類をはじめとする各種香気成分のバランスが蜜感再現に重要であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)有機酸エチルエステルを含有することを特徴とする、リンゴの蜜香を付与することのできる蜜感付与組成物。
(2)リンゴの蜜香を付与することのできる蜜感付与組成物であって、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、2−メチルプロピオン酸エチル、酪酸エチル、2−メチル酪酸エチル、ヘキサン酸エチルおよびチグリン酸エチルを必須成分として含み、場合によりヘキサナール、2−メチルブチル酢酸、2−メチルブタノールおよび(E)−2−ヘキセノールから選ばれる成分が含まれることを特徴とする蜜感付与組成物。
(3)リンゴの蜜香を付与することのできる蜜感付与組成物であって、酢酸エチル1重量部に対し、プロピオン酸エチルが2〜60重量部、2−メチルプロピオン酸エチルが0.01〜0.3重量部、酪酸エチルが6〜180重量部、2−メチル酪酸エチルが2〜60重量部、ヘキサン酸エチルが0.8〜24重量部、チグリン酸エチルが0.01〜0.3重量部、ヘキサナールが0〜4重量部、2−メチルブチル酢酸が0〜60重量部、2−メチルブタノールが0〜50重量部、(E)−2−ヘキセノールが0〜4重量部の比率で配合されており、組成物中の酢酸エチルの含有率が0.01〜10%であることを特徴とする蜜感付与組成物。
(4)上記の蜜感付与組成物を飲食品中に0.001〜10質量%の含有量で用いることを特徴とするリンゴの蜜香の付与方法。
(5)上記の蜜感付与組成物を添加することを特徴とするリンゴの蜜香が付与された飲食品。
本発明の蜜感付与組成物は、リンゴ蜜果が有する特有の香気である蜜香を飲食品に付与することができる。すなわち、消費者の間で人気が高いリンゴの蜜様香気を簡便に再現する方法を提供し、リンゴ加工飲食品、無果汁又は果汁入りのリンゴ飲料、あるいはリンゴ風味の飲食品の商品価値を高めることができる。
また、本発明の組成物は、従来から食品用香料として使用されている酢酸エチル、プロピオン酸エチル、2−メチルプロピオン酸エチル、酪酸エチル、2−メチル酪酸エチル、ヘキサン酸エチル、チグリン酸エチル、ヘキサナール、2−メチルブチル酢酸、2−メチルブタノール、(E)−2−ヘキセノールを原材料としているので安全性が高い。また、当該原材料はいずれも市販品であるため入手も容易でありそのため製品の製造コストも低く安価に提供できる。
リンゴ品種「ふじ」の香気成分を分析したクロマトグラム リンゴ品種「こうとく」の香気成分を分析したクロマトグラム
以下、本発明を詳述する。
〔1〕蜜感付与組成物
本発明の蜜感付与組成物は、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、2−メチルプロピオン酸エチル、酪酸エチル、2−メチル酪酸エチル、ヘキサン酸エチル、チグリン酸エチル(別名:(E)−2−メチル−2−ブテン酸エチル)の7種の化合物を必須成分として含有する。
さらに、よりみずみずしい蜜感を表現するため、ヘキサナール、2−メチルブチル酢酸、2−メチルブタノールおよび(E)−2−ヘキセノールの4種の化合物から選ばれる1種以上を付加的成分として含有させることが好ましい。
上記各成分の配合量は、酢酸エチル1重量部に対し、プロピオン酸エチルが2〜60重量部、2−メチルプロピオン酸エチルが0.01〜0.3重量部、酪酸エチルが6〜180重量部、2−メチル酪酸エチルが2〜60重量部、ヘキサン酸エチルが0.8〜24重量部、チグリン酸エチルが0.01〜0.3重量部であり、また、ヘキサナールが0〜4重量部、2−メチルブチル酢酸が0〜60重量部、2−メチルブタノールが0〜50重量部、(E)−2−ヘキセノールが0〜4重量部の比率である。これらの成分が、それぞれの下限値未満であれば蜜様の風味が感じられなくなり、上限値を超えると嗜好性が低下する。
好ましくは、酢酸エチル1重量部に対し、プロピオン酸エチルが3〜30重量部、2−メチルプロピオン酸エチルが0.02〜0.2重量部、酪酸エチルが7〜70重量部、2−メチル酪酸エチルが3〜30重量部、ヘキサン酸エチルが1〜10重量部、チグリン酸エチルが0.02〜0.2重量部であり、また、ヘキサナールが0〜2重量部、2−メチルブチル酢酸が0〜50重量部、2−メチルブタノールが0〜30重量部、(E)−2−ヘキセノールが0〜2重量部の比率で配合される。
また、蜜感付与組成物中に含有される酢酸エチルは、0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜1質量%である。酢酸エチルの含有率が0.01質量%未満では蜜感付与の力価が弱くなり、一方、10質量%を超えると他の成分の配合量の制約上、表現できる風味の自由度が下がる。
上述した、酢酸エチル等の必須成分、並びにヘキサナール等の付加的成分は、試薬等として市販されている製品を購入して使用することができる。
また、上記の蜜感付与組成物の製造方法は、個々の化合物を混合することで製造でき、目的に応じて溶媒に希釈してもよい。溶媒は、水、エタノール、プロピレングリコール、食用油脂などがあげられる。
〔2〕蜜感付与組成物の適用
飲食品中に、上記の蜜感付与組成物を0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%の含有量で用いることにより、各種飲食品にリンゴ蜜香を付与することができる。
適用の対象となる飲食品は、リンゴ加工飲食品、無果汁又は果汁入りのリンゴ飲料、あるいはリンゴ風味の飲食品である。具体的には、りんごジュースやネクター、りんごサイダー、りんご酒、アップル風味飲料、アップル風味アルコール等の飲料、りんごジャム、アップルピューレ、アップルペースト、アップルソース、りんご酢、りんごシラップ漬け缶詰・瓶詰、焼きりんご缶詰、りんごソリッドパック、リンゴ風味の菓子(グミ、ビスケット、キャンディー、ガム等)等の加工食品である。
本発明を以下の実施例を用いてさらに詳細に説明するが、以下の実施例は例示の目的にのみ用いられ、本発明はこれによって限定されるものではない。
〔試験例1〕
リンゴ果汁に含まれる揮発性成分の解析手法について示す。
(1)果汁の調製
リンゴ果実の可食部を3cm角大に角切りにし、重量に対して20%の塩化ナトリウムを加えた後、ハンドミキサー(商品名:バーミックス)を用いてホモジナイズした。得られたスラリーを不織布でろ過し、成分分析用の果汁を得た。
(2)揮発性成分の分析
調製した果汁を10ml容のバイアルに4ml入れ、捕集剤(MonoTrap RGPS ―TD,ジーエルサイエンス社)を室温で30分浸漬した。これを水洗し,水分を除去したのち,加熱脱着ユニットとクールドインジェクションシステムにより揮発性成分をGC−MSシステムに導入した。クロマトグラム上の各ピークについて、トータルイオンクロマトグラムより特徴的なイオンを選択し、そのピーク面積を算出した。装置の条件を以下に示す。
加熱脱着
脱着温度・時間・モード:240℃・5分、スプリットレス、冷却トラップ温度・時間:−40℃(TenaxTA充填ライナー使用)・5分、加熱導入温度・時間:240℃・5分、GC注入口モード:ソルベントベント、キャリアガス:ヘリウム
GC
カラム:DB−WAX 60m、温度40℃〜240℃ (4℃/min)
〔試験例2〕
岩手県盛岡市内で栽培されたリンゴ「ふじ」(品種名)の蜜果および非蜜果について、試験例1の方法に従い、揮発性成分の分析を行った。結果を図1に示す。
図1に示されるように、蜜果と非蜜果には揮発性成分に差が見られた。特にエチルエステルの含量に有意な差が認められ、蜜果の風味を特徴づけているのはこれらのエステル類であることが分かった。
〔試験例3〕
青森県弘前市内で栽培されたリンゴ「高徳(こうとく)」(品種名)の蜜果(商品名「こみつ」)および非蜜果について、試験例1の方法に従い、揮発性成分の分析を行った。ただし、捕集剤の浸漬時間は20分とした。結果を図2に示す。
図2より、蜜果と非蜜果には揮発性成分に差が見られた。特にエチルエステル含量に有意な差が認められ、「ふじ」と同様に蜜果の風味を特徴づけているのはこれらのエステル類であることが分かった。従って、これらのエステル類は、リンゴの品種を問わず、リンゴの蜜に由来する成分であると考えられる。
〔実施例1〕(蜜感付与組成物の調製)
下記の処方1の配合で本発明の蜜感付与組成物を調製した。
なお、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、2−メチルプロピオン酸エチル、酪酸エチル、2−メチル酪酸エチル、ヘキサン酸エチル、チグリン酸エチルについては、SIGMA-ALDRICH社製の試薬を使用した。
Figure 2016154488
〔実施例2〕(蜜感付与組成物の調製)
下記の処方2の配合で本発明の蜜感付与組成物を調製した。
なお、ヘキサナール、2-メチルブチル酢酸、2-メチルブタノール、(E)−2−ヘキセノールについては、SIGMA-ALDRICH社製の試薬を使用した。
Figure 2016154488
〔実施例3、4〕(リンゴ果汁飲料)
(1)サンプルの調製
リンゴの非蜜果(岩手県産のふじ)をグラインダーミルで破砕し得られたスラリーを遠心分離することにより果汁からパルプ分を除去した。
得られた果汁をプレート式殺菌機により96℃で15秒間殺菌し、10℃に急冷し、リンゴ混濁果汁を得た。このリンゴ混濁果汁に実施例1および実施例2の蜜感付与組成物を0.1%添加し、それぞれ本発明のリンゴ果汁飲料(実施例3、4)を調製した。
上記における蜜感付与組成物が無添加のリンゴ混濁果汁を比較例1とした。また、リンゴ蜜果(岩手県産の蜜入りふじ)より同様に調製した蜜果リンゴ果汁を比較例2とし、比較試験を行った。
(2)サンプルの評価
評価は、比較例1をコントロールとし、習熟した10名のパネルにより表3の評価基準で官能評価を行った。その結果を表4に示した。
Figure 2016154488
Figure 2016154488
表4に示す通り、実施例1の蜜感付与組成物を添加することにより、有意に蜜感が強くなり、嗜好性も上昇した。実施例2の蜜感付与組成物を添加することにより、更に蜜感と嗜好性が上昇した。また蜜果由来の果汁は、嗜好性は高いものの褐変による着色が顕著であった。一方、本発明の蜜感付与組成物を用いれば、着色が少ないにも関わらず蜜感のあるリンゴ果汁飲料の作成が可能であることが分かった。
〔実施例5、6〕(リンゴピューレ)
(1)サンプルの調製
非蜜果リンゴ(岩手県盛岡市産のふじ)の皮を剥き、薄切りにした後、蓋付の鍋の底に敷き詰め、柔らかくなるまで蒸し煮した。その後、ハンドミキサーですり潰してから裏ごしして、リンゴピューレを得た。
得られたリンゴピューレに対し、実施例1および実施例2で調製した蜜感付与組成物を1重量%添加して混和し、本発明のリンゴピューレ(実施例5、6)を得た。
蜜感付与組成物無添加の非蜜果リンゴピューレを比較例3とした。
また、リンゴ蜜果(岩手県盛岡市産の蜜入りふじ)より同様に調製したリンゴピューレを比較例4とし、比較試験を行った。
(2)サンプルの評価
習熟した10名のパネルにより表3の基準で官能評価を行った。
その結果を表5に示した。
Figure 2016154488
表5に示す通り、蜜果由来のピューレは、嗜好性が高いものの、褐変が顕著であった。一方、着色しにくい非蜜果由来のピューレに実施例1の蜜感付与組成物を添加することにより、蜜感を付与し嗜好性を高められることが分かった。実施例2の蜜感付与組成物を添加することにより、更に蜜感と嗜好性が上昇した。
次に本発明の蜜感付与組成物の加工食品への適用例を示す。
〔実施例7〕アップル風味飲料
市販のアップル風味飲料に、実施例1の蜜感付与組成物を0.1%添加し、本発明のアップル風味飲料(実施例7)を調製した。
また、蜜感付与組成物が無添加のアップル風味飲料を比較例5として比較試験を行った。評価は比較例5をコントロールとし、習熟した10名のパネルにより表3の基準で官能評価を行った。
その結果、本発明の蜜感付与組成物を添加することにより、有意に蜜様の香りが強くなり、嗜好性も上がることが示された。
〔実施例8〕アップル果汁含有のアルコール飲料
表6に示す処方3のアップル果汁含有のアルコール飲料に、実施例1の蜜感付与組成物を0.1%添加し、本発明のアップル果汁含有のアルコール飲料(実施例8)を調製した。
また、蜜感付与組成物が無添加のアップル果汁含有のアルコール飲料を比較例6として調製し比較試験を行った。
評価は比較例6をコントロールとし、習熟した10名のパネルにより表3の基準で官能評価を行った。
その結果、本発明の蜜感付与組成物を添加することにより、有意に蜜様の香りが強くなり、嗜好性も上がることが示された。
Figure 2016154488
〔実施例9〕リンゴ風味グミ
グラニュー糖25g、水飴40g、ソルビトール10g、水10gを計り取り、Bx80まで炊き上げた。これに、別の容器で水12gに溶解させておいたゼラチン8gを加えた。ここにクエン酸50%水溶液2gと実施例1の蜜感付与組成物1gとアップルフレーバー(小川香料(株)製)1gを手早く加え均一にした後、スターチモールドに流し込み一晩静置し本発明の蜜様香味を有するグミ(実施例9)を得た。
比較対象として、蜜感付与組成物を加えないグミを用いた。その結果、本発明の蜜感付与組成物を添加することにより、有意に蜜様の香りが強くなり、嗜好性も上がることが示された。
〔実施例10〕アップルペースト
水あめ50g、市販のリンゴ混濁果汁25gを仕込み50〜60℃に加温し、均一になるまで攪拌した。上白糖13gを加え80〜90℃で完全に溶解させた後、90℃まで昇温し殺菌した。液温を70℃以下にしたうえで実施例1の蜜感付与組成物を0.1g添加し本発明のアップルペースト(実施例10)を作成した。
その結果、本発明の蜜感付与組成物を添加することにより、有意に蜜様の香りが強くなり、嗜好性も上がることが示された。
〔実施例11〕リンゴ風味ビスケット
常温に戻したバター8gをホイッパーで白っぽくなるまで撹拌し、実施例1の蜜感付与組成物を0.2g加え均一に混ぜ合わせた。上白糖30g、三温糖30gを加えふわふわになるまで混ぜ、卵黄を加え撹拌した。
リンゴ濃縮果汁(Bx:65)2.5g、食塩1g、クエン酸1gを混ぜ均一化した後、薄力粉100gとベーキングパウダー5gを混ぜ合わせ、篩掛けしたものを加えて、ヘラを使って混和した。
適当な大きさに成形したものを上火150℃、下火140℃で18分焼き、本発明のリンゴ風味ビスケット(実施例11)を調製した。
蜜感付与組成物を添加しないものに比べて、本発明の蜜感付与組成物を添加することにより、有意に蜜様の香りが強くなり、嗜好性も上がることが示された。
〔実施例12〕リンゴ風味キャンディー
三井製糖社製の「パラチニット(商品名)」180g、還元澱粉糖化物120g、水30gを鍋で、170℃まで炊き上げたあと、140℃まで冷却しアセスルファムK0.2gを添加した。
130℃まで冷却したら実施例1の蜜感付与組成物3gおよびアップルフレーバー(小川香料(株)製)3gを添加し、スタンピング成形して本発明の蜜様リンゴ風味キャンディー(実施例12)を得た。
蜜感付与組成物を添加しないものに比べて、本発明の蜜感付与組成物を添加することにより、有意に蜜様の香りが強くなり、嗜好性も上がることが示された。
本発明の蜜感付与組成物を飲食品に使用することにより、リンゴ蜜果が有する特有の香気である蜜香を飲食品に付与することができる。その結果、消費者の間で人気が高いリンゴの蜜様香気が再現され、リンゴ加工飲食品、無果汁又は果汁入りのリンゴ飲料、あるいはリンゴ風味の飲食品の商品価値を高めることができ、需要の拡大を図ることができる。

Claims (5)

  1. 有機酸エチルエステルを含有することを特徴とする、リンゴの蜜香を付与することのできる蜜感付与組成物。
  2. リンゴの蜜香を付与することのできる蜜感付与組成物であって、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、2−メチルプロピオン酸エチル、酪酸エチル、2−メチル酪酸エチル、ヘキサン酸エチル、およびチグリン酸エチルを必須成分として含み、場合によりヘキサナール、2−メチルブチル酢酸、2−メチルブタノールおよび(E)−2−ヘキセノールから選ばれる成分が含まれることを特徴とする蜜感付与組成物。
  3. リンゴの蜜香を付与することのできる蜜感付与組成物であって、酢酸エチル1重量部に対し、プロピオン酸エチルが2〜60重量部、2−メチルプロピオン酸エチルが0.01〜0.3重量部、酪酸エチルが6〜180重量部、2−メチル酪酸エチルが2〜60重量部、ヘキサン酸エチルが0.8〜24重量部、チグリン酸エチルが0.01〜0.3重量部、ヘキサナールが0〜4重量部、2−メチルブチル酢酸が0〜60重量部、2−メチルブタノールが0〜50重量部、(E)−2−ヘキセノールが0〜4重量部の比率で配合されており、組成物中の酢酸エチルの含有率が0.01〜10%であることを特徴とする蜜感付与組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の蜜感付与組成物を飲食品中に0.001〜10質量%の含有量で用いることを特徴とするリンゴの蜜香の付与方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項記載の蜜感付与組成物を添加することを特徴とするリンゴの蜜香が付与された飲食品。
JP2015034881A 2015-02-25 2015-02-25 リンゴの蜜様香気を表現する香料組成物および香気付与方法 Active JP6519855B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015034881A JP6519855B2 (ja) 2015-02-25 2015-02-25 リンゴの蜜様香気を表現する香料組成物および香気付与方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015034881A JP6519855B2 (ja) 2015-02-25 2015-02-25 リンゴの蜜様香気を表現する香料組成物および香気付与方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016154488A true JP2016154488A (ja) 2016-09-01
JP6519855B2 JP6519855B2 (ja) 2019-05-29

Family

ID=56824213

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015034881A Active JP6519855B2 (ja) 2015-02-25 2015-02-25 リンゴの蜜様香気を表現する香料組成物および香気付与方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6519855B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018130086A (ja) * 2017-02-17 2018-08-23 小川香料株式会社 甘味増強剤および甘味増強用香料組成物
JP2018191601A (ja) * 2017-05-19 2018-12-06 アサヒ飲料株式会社 果汁含有飲料
WO2021256401A1 (ja) * 2020-06-18 2021-12-23 株式会社Mizkan Holdings 酢酸含有飲食品

Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5470208A (en) * 1977-11-11 1979-06-05 T Hasegawa Co Ltd Geometrical isomers 5-octene-1-ols, thir preparation, and utilization
JPS56138109A (en) * 1980-12-05 1981-10-28 T Hasegawa Co Ltd Perfume composition
JPS5711936A (en) * 1980-06-25 1982-01-21 T Hasegawa Co Ltd 5-octenals of geometrical isomerism, its preparation and its use
JPS591461A (ja) * 1982-06-28 1984-01-06 T Hasegawa Co Ltd シクロヘキセン類
JPS591462A (ja) * 1982-06-28 1984-01-06 T Hasegawa Co Ltd シクロヘキセン誘導体
JPS60145066A (ja) * 1983-12-17 1985-07-31 ハーマン・ウント・ライマー・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング 芳香剤及び風味料
JP2002155068A (ja) * 2000-11-20 2002-05-28 Shiono Koryo Kk 5−(3z−ヘキセニル)−3−メチル−4,5−ジヒドロ−2(3h)−フラノン、およびそれを含有する香料組成物
JP2005015686A (ja) * 2003-06-27 2005-01-20 Kiyomitsu Kawasaki フルーツ様香料組成物
JP2006034177A (ja) * 2004-07-27 2006-02-09 Hirose Yukihiro 安眠を促進する作用を有する飲料
WO2009104660A1 (ja) * 2008-02-19 2009-08-27 サントリーホールディングス株式会社 果汁含有アルコール飲料
JP2009195122A (ja) * 2008-02-19 2009-09-03 Suntory Holdings Ltd リンゴ果汁含有アルコール飲料
JP2014060956A (ja) * 2012-09-21 2014-04-10 Ito En Ltd 容器詰炭酸飲料及びその製造方法、並びに容器詰炭酸飲料の果実感向上方法

Patent Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5470208A (en) * 1977-11-11 1979-06-05 T Hasegawa Co Ltd Geometrical isomers 5-octene-1-ols, thir preparation, and utilization
JPS5711936A (en) * 1980-06-25 1982-01-21 T Hasegawa Co Ltd 5-octenals of geometrical isomerism, its preparation and its use
JPS56138109A (en) * 1980-12-05 1981-10-28 T Hasegawa Co Ltd Perfume composition
JPS591461A (ja) * 1982-06-28 1984-01-06 T Hasegawa Co Ltd シクロヘキセン類
JPS591462A (ja) * 1982-06-28 1984-01-06 T Hasegawa Co Ltd シクロヘキセン誘導体
JPS60145066A (ja) * 1983-12-17 1985-07-31 ハーマン・ウント・ライマー・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング 芳香剤及び風味料
JP2002155068A (ja) * 2000-11-20 2002-05-28 Shiono Koryo Kk 5−(3z−ヘキセニル)−3−メチル−4,5−ジヒドロ−2(3h)−フラノン、およびそれを含有する香料組成物
JP2005015686A (ja) * 2003-06-27 2005-01-20 Kiyomitsu Kawasaki フルーツ様香料組成物
JP2006034177A (ja) * 2004-07-27 2006-02-09 Hirose Yukihiro 安眠を促進する作用を有する飲料
WO2009104660A1 (ja) * 2008-02-19 2009-08-27 サントリーホールディングス株式会社 果汁含有アルコール飲料
JP2009195122A (ja) * 2008-02-19 2009-09-03 Suntory Holdings Ltd リンゴ果汁含有アルコール飲料
JP2014060956A (ja) * 2012-09-21 2014-04-10 Ito En Ltd 容器詰炭酸飲料及びその製造方法、並びに容器詰炭酸飲料の果実感向上方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018130086A (ja) * 2017-02-17 2018-08-23 小川香料株式会社 甘味増強剤および甘味増強用香料組成物
WO2018150729A1 (ja) * 2017-02-17 2018-08-23 小川香料株式会社 甘味増強剤および甘味増強用香料組成物
JP2018191601A (ja) * 2017-05-19 2018-12-06 アサヒ飲料株式会社 果汁含有飲料
WO2021256401A1 (ja) * 2020-06-18 2021-12-23 株式会社Mizkan Holdings 酢酸含有飲食品

Also Published As

Publication number Publication date
JP6519855B2 (ja) 2019-05-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
This Molecular gastronomy: exploring the science of flavor
Bhardwaj et al. Effect of storage temperature on physico-chemical and sensory evaluation of Kinnow Mandarin juice blends.
KR20190041999A (ko) 맛이 가미된 감미제의 제조방법 및 이의 용도
CN108771201B (zh) 一种清香松露酱及其制备方法
JP6192150B2 (ja) 食品固形物の製造方法、及びこの食品固形物を添加する食品の製造方法
JP6519855B2 (ja) リンゴの蜜様香気を表現する香料組成物および香気付与方法
CN112841596A (zh) 一种芒果香精及其制备方法
JP2018072210A (ja) 飲食品特有の残り香成分の探索方法
CN110713874A (zh) 一种果蔬香型健康养生白酒及其酿造方法
Besada et al. Volatile metabolite profiling reveals the changes in the volatile compounds of new spontaneously generated loquat cultivars
JP2020178664A (ja) 麦汁及び/又は麦芽エキス由来臭マスキング剤
JP2007295825A (ja) 柿酢の製造方法
KR101773519B1 (ko) 건과를 포함하는 잼
TWI735190B (zh) 含有食用植物之粉末狀食品、及含有其之飲食品
KR20160099201A (ko) 블루베리 시럽 고추장의 제조방법
JP6788700B2 (ja) 果汁含有製品の熱劣化臭マスキング剤
JP3730626B2 (ja) トマトジュースの製造方法
US8377488B2 (en) Method for treating olives to be utilized for olive oil production
JP6659334B2 (ja) 焼菓子の製造方法
CN109463710A (zh) 一种香蕉香精及其制备方法
JP7334967B2 (ja) 新規梅酒の製造方法
JP6864367B2 (ja) 酵母発酵の方法、及び食品、又は調味料の製造方法、酵母発酵液の製造方法
CN106072316A (zh) 护血管的芝麻油葵花籽及其制备方法
Tiwari et al. Jackfruit jam: preparation nutritive values and storage stability
Sherzad et al. Valorization of strawberry (Fragaria ananassa) based blended ready to serve beverage with muskmelon, grape, ginger and lime during storage

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171215

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20171215

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181030

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181031

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20181214

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190220

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190402

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190411

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6519855

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250