JP2016153635A - エンジン制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ノッキングの抑制に伴う燃費の悪化をより確実に抑えることのできるエンジン制御装置を提供する。【解決手段】下限水温更新処理は、ノック学習量が規定値未満となるまで下限水温EWTTLを下限として目標水温を徐々に低下させる目標水温低下処理の実行中に周期的に実行される。下限水温更新処理では、燃料消費率SFCの現在値を算出し(S400)、その現在値から定数δを減算した値を目標燃料消費率TSFCに設定する(S401)。そして、現在のエンジン回転数NEおよびエンジン負荷KLにおいて最適点火時期の燃料消費率が目標燃料消費率TSFCとなる水温を下限水温EWTTLとして算出する(S402)。【選択図】図7
Description
本発明は、エンジン制御装置に関し、より詳しくはノッキングの抑制にかかるエンジンの制御構造の改良に関する。
周知のように、車載等のエンジンの多くでは、ノッキングの有無を検出してノッキングが検出されるまで点火時期を徐々に進角するKCS(Knock Control System)点火補正処理を実施することでノッキングを抑制している。しかしながら、KCS点火補正処理を実施すれば、ノッキングが発生しやすい条件では、トルク発生効率が最大となる最適点火時期(MBT:Minimum advance for the Best Torque)から点火時期が乖離して、燃料消費率が悪化する。
そこで従来、特許文献1に記載のエンジン制御装置では、上記KCS点火遅角処理と併せて、ノッキングの検出に応じてウォータポンプの吐出流量を増大してエンジンの冷却能力を高めるノック抑制冷却制御を実行するようにしている。エンジンの冷却能力を高めてシリンダ壁面温度を下げればノッキングが発生し難くなる。そのため、ノック抑制冷却制御を実施すれば、点火時期の更なる進角が許容されて、KCS点火補正処理の実施に伴う燃料消費率の悪化が抑えられる。
しかしながら、ノック抑制冷却制御によるシリンダ壁面温度の低下によっても、冷却損失の増加によりエンジンの燃料消費率が悪化する。そのため、エンジンの運転状況によっては、点火時期の進角による改善よりも冷却損失の増加による悪化の方が優ってしまい、ノック抑制冷却制御を実行することで燃料消費率が却って悪化してしまう虞がある。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、ノッキングの抑制に伴う燃料消費率の悪化をより確実に抑えることのできるエンジン制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するエンジン制御装置は、ノッキングの有無を検出してノッキングが検出されるまで点火時期を徐々に進角するKCS点火補正処理と、同KCS点火補正処理での点火時期の進角量に近づくようにノック学習量を徐々に更新するKCS学習処理とを実行する点火制御部と、エンジン冷却水の水温を目標水温に制御する水温制御部と、を備える。また、同エンジン制御装置の水温制御部は、ノック学習量が規定値未満となるまで、下限水温を下限として目標水温を徐々に低下させる目標水温低下処理を行う。
エンジン冷却水の水温を低くすると、シリンダ壁面温度が低下して、ノッキングの発生頻度が減少する。そのため、上記エンジン制御装置では、目標水温低下処理により目標水温を徐々に低下することで、KCS点火補正処理において点火時期がより進角されるようになる。しかしながら、エンジン冷却水の水温が限度を超えて低下されると、点火時期の進角による改善よりも冷却損失の増加による悪化の方が優ってしまい、燃料消費率が却って悪化してしまう。
ここで、KCS点火補正処理における点火時期の進角は、最大でも、点火時期が最適点火時期となるまでとなる。よって、現在のエンジン回転数およびエンジン負荷において点火時期が最適点火時期に設定された場合の燃料消費率が燃料消費率の現在の値よりも小さくなるエンジン冷却水の水温が現在の目標水温よりも低温側に存在しなければ、目標水温を低下しても燃料消費率の改善は見込めないことになる。
そこで、上記エンジン制御装置の水温制御部は、現在のエンジン回転数およびエンジン負荷において点火時期が最適点火時期に設定された場合の燃料消費率が燃料消費率の現在の値よりも小さくなるエンジン冷却水の水温を演算してその演算した水温に前記下限水温の値を更新する下限水温更新処理を、上記目標水温低下処理の実行中に周期的に実行するようにしている。そのため、その低下に応じた燃料消費率の変化が減少から増加に転じる水温を超えない範囲で目標水温が低下されるようになる。したがって、上記エンジン制御装置によれば、ノッキングの抑制に伴う燃料消費率の悪化をより確実に抑えることができるようになる。
以下、エンジン制御装置の一実施形態を、図1〜図10を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態のエンジン制御装置が適用されるエンジン10のシリンダブロック11には、複数の気筒12が設けられ、各気筒12の内部には、ピストン13が往復動可能にそれぞれ設けられている。また、エンジン10のシリンダヘッド14には、気筒12に吸気を導入するための吸気ポート15と、気筒12から排気を排出するための排気ポート16とが設けられている。そして、気筒12と吸気ポート15との接続部には吸気バルブ17が、気筒12と排気ポート16との接続部には排気バルブ18が、それぞれ設けられている。
図1に示すように、本実施形態のエンジン制御装置が適用されるエンジン10のシリンダブロック11には、複数の気筒12が設けられ、各気筒12の内部には、ピストン13が往復動可能にそれぞれ設けられている。また、エンジン10のシリンダヘッド14には、気筒12に吸気を導入するための吸気ポート15と、気筒12から排気を排出するための排気ポート16とが設けられている。そして、気筒12と吸気ポート15との接続部には吸気バルブ17が、気筒12と排気ポート16との接続部には排気バルブ18が、それぞれ設けられている。
吸気ポート15には、その内部に燃料を噴射するポートインジェクタ19が設けられている。また、気筒12には、その内部に燃料を噴射する筒内インジェクタ20が設けられている。さらに、気筒12には、その内部に導入された吸気と燃料との混合気を点火する点火プラグ21が設けられている。
こうしたエンジン10のシリンダブロック11およびシリンダヘッド14の内部には、冷却水を流すためのウォータジャケット22が形成されている。さらに、エンジン10のシリンダブロック11には、気筒12内で発生したノッキングの強度に応じた信号を出力するノックセンサ23が設置されている。
図2に示すように、エンジン10は、ウォータジャケット22を通って冷却水を循環させるための冷却水回路24を備える。なお、同図には、冷却水回路24における冷却水の流れの方向が、点線矢印により示されている。
冷却水回路24におけるウォータジャケット22よりも上流側の部分には、冷却水を加圧吐出する電動ウォータポンプ25が設置されている。また、冷却水回路24におけるウォータジャケット22よりも下流側の部分には、ウォータジャケット22から流出した冷却水の温度(以下、水温THWと記載する)を検出する水温センサ26が設置されている。さらに、冷却水回路24は、水温センサ26よりも下流側の部分において、バイパス水路27およびラジエタ水路28の2つの水路に分岐されている。ラジエタ水路28には、空気との熱交換を通じて冷却水を冷却するラジエタ29が設置されている。バイパス水路27およびラジエタ水路28は、冷却水回路24における電動ウォータポンプ25よりも上流側の部分において合流されている。バイパス水路27およびラジエタ水路28の合流部分には、ヒータ内蔵式の電子サーモスタット30が設置されている。電子サーモスタット30は、内蔵するサーモエレメントの温度に応じて開閉する感温式のバルブであり、閉弁時にはラジエタ水路28の冷却水の流通を遮断し、開弁時にはラジエタ水路28に冷却水を流す。さらに、電子サーモスタット30の開弁時におけるバイパス水路27およびラジエタ水路28の冷却水の流量比は、同電子サーモスタット30のバルブ開度に応じて変化するようになっている。なお、電子サーモスタット30は、内蔵するヒータへの通電に応じてバルブ開度を制御可能に構成されている。
エンジン10は、電子制御ユニット31により制御されている。電子制御ユニット31は、エンジン制御に係る各種演算処理を行う中央演算処理装置、エンジン制御用のプログラムやデータが記録された読込専用メモリ、中央演算処理装置の演算結果やセンサの検出結果などを一時的に記憶する読書可能メモリを備える。電子制御ユニット31には、上述のノックセンサ23、水温センサ26に加え、エンジン回転数を検出するNEセンサ32、吸入空気量を検出するエアフロメータ33などの各種センサの検出信号が入力されている。また、電子制御ユニット31には、ポートインジェクタ19、筒内インジェクタ20、点火プラグ21、電動ウォータポンプ25、電子サーモスタット30などの各種アクチュエータの駆動回路が接続されている。
電子制御ユニット31は、エンジン制御の一環として、ノッキングを抑制するための点火時期、水温および噴射比率の制御を行う。以下、これら制御の詳細を説明する。
(KCS点火補正処理)
まず、ノッキング抑制のための点火時期の制御について説明する。本制御は、ノッキングの発生が検出されていないときには徐々に点火時期を進角し、検出されているときには徐々に点火時期を遅角するKCS点火補正処理を実行することで、ノッキングの発生限界の直前まで点火時期を進角させるために行われる。なお、本制御では、ノッキングの発生限界となる点火時期を学習するためのKCS学習処理が併せ実行されている。
(KCS点火補正処理)
まず、ノッキング抑制のための点火時期の制御について説明する。本制御は、ノッキングの発生が検出されていないときには徐々に点火時期を進角し、検出されているときには徐々に点火時期を遅角するKCS点火補正処理を実行することで、ノッキングの発生限界の直前まで点火時期を進角させるために行われる。なお、本制御では、ノッキングの発生限界となる点火時期を学習するためのKCS学習処理が併せ実行されている。
図3に、KCS点火補正処理のフローチャートを示す。本処理は、エンジン10の運転中に電子制御ユニット31により、規定の制御周期毎に繰り返し実行される。なお、以下の説明では、遅角方向を正方向、進角方向を負方向として点火時期を表している。
本処理が開始されると、まずステップS100において、エンジン回転数NEおよびエンジン負荷KLに基づき、ベース点火時期ABSEおよび限界遅角点火時期AKMFが算出される。なお、エンジン負荷KLは、エアフロメータ33による吸入空気量の検出結果などから求められる。
ベース点火時期ABSEは、エンジン10のトルク発生効率が最大となる最適点火時期、点火時期の進角限界であるノック限界点火時期のうち、いずれか遅角側の時期となっている。なお、ノック限界点火時期は、ノッキングが確実に発生することが確認された点火時期の範囲の進角側の限界値である。また、限界遅角点火時期AKMFは、ノッキングが確実に発生しないことが確認された点火時期の範囲の遅角側の限界値である。
なお、燃料消費率の改善の点では、最終的に設定される点火時期(目標点火時期AOP)は、可能な限りベース点火時期ABSEに近い時期に設定することが有利である。一方、限界遅角点火時期AKMFよりも遅い時期に目標点火時期AOPを設定しても、ノッキングの抑制の点では無意味である。そのため、KCS点火補正処理において目標点火時期AOPは、ベース点火時期ABSEから限界遅角点火時期AKMFまでの範囲内で制御される。
次に、ステップS101において、限界遅角点火時期AKMFからベース点火時期ABSEを引いた値が限界遅角量AKMAXの値に設定される。この限界遅角量AKMAXは、KCS点火補正処理におけるベース点火時期ABSEに対する目標点火時期AOPの遅角量の上限値となっている。
続いて、ステップS102において、ノックセンサ23の検出結果に基づき、ノッキングの発生の有無が確認される。ここで、ノッキングの発生が確認されていれば(YES)、ステップS103において、ノック制御量AKCSの値が増加される。このときのノック制御量AKCSの増加量は、検出されたノッキングの強度や発生頻度に応じて設定される。そして、ノッキングの強度が大きいほど、あるいはその発生頻度が高いほど、このときのノック制御量AKCSの増加量は大きくされる。一方、ノッキングの発生が確認されていなければ(NO)、ステップS104において、ノック制御量AKCSの値が減少される。このときのノック制御量AKCSの減少量は、定数とされている。
これらステップS102、S103におけるノック制御量AKCSの増減後には、ステップS105に処理が進められる。そして、そのステップS105において、ノック遅角量AKNKが算出される。ノック遅角量AKNKの算出は、限界遅角量AKMAXに、ノック制御量AKCSを加算、ノック学習量AGKNKを減算することで行われる(AKNK←AKMAX+AKCS−AGKNK)。なお、ノック学習量AGKNKの値は、後述のKCS学習処理において設定される。
そして、続くステップS106において、ベース点火時期ABSEをノック遅角量AKNKの分だけ遅角側に補正した時期が目標点火時期AOPに設定された後(AOP←ABSE−AKNK)、今回の本処理が終了される。その後、電子制御ユニット31は、ここで設定された目標点火時期AOPに点火が行われるように、点火プラグ21の駆動回路を制御する。
図4に、KCS学習処理のフローチャートを示す。本処理は、上記KCS点火補正処理に引き続き、電子制御ユニット31により実行される。
本ルーチンの処理が開始されると、まずステップS200において、ノック制御量AKCSの徐変値が規定の正の値「α」よりも大きいか否かが判定される。ノック制御量AKCSの徐変値とは、ノック制御量AKCSに対してその増減速度を鈍化させる処理を施した値、いわゆるなまし値である。ここで、ノック制御量AKCSの徐変値が「α」よりも大きければ(YES)、ステップS201において、ノック学習量AGKNKの値が規定の量だけ減少された後、今回の本処理が終了される。なお、このときのノック学習量AGKNKの減少量は、「α」よりも小さい値とされている。
本ルーチンの処理が開始されると、まずステップS200において、ノック制御量AKCSの徐変値が規定の正の値「α」よりも大きいか否かが判定される。ノック制御量AKCSの徐変値とは、ノック制御量AKCSに対してその増減速度を鈍化させる処理を施した値、いわゆるなまし値である。ここで、ノック制御量AKCSの徐変値が「α」よりも大きければ(YES)、ステップS201において、ノック学習量AGKNKの値が規定の量だけ減少された後、今回の本処理が終了される。なお、このときのノック学習量AGKNKの減少量は、「α」よりも小さい値とされている。
一方、ノック制御量AKCSの徐変値が「α」以下であれば(S200:YES)、ステップS202において、ノック制御量AKCSの徐変値が規定の負の値「−α」よりも小さいか否かが判定される。なお、ここでは、規定の負の値として、上記ステップS200での判定に用いる正の値「α」の符号反転値が設定されている。ここで、ノック制御量AKCSの徐変値が「−α」よりも小さければ(YES)、ステップS203において、ノック学習量AGKNKの値が規定の量だけ増加された後、今回の本処理が終了される。なお、このときのノック学習量AGKNKの増加量は、「α」よりも小さい値とされている。また、ノック制御量AKCSの徐変値が「−α」以上、かつ「α」以下のときには、ノック学習量AGKNKの値の操作は行われず、そのまま今回の本処理が終了される。
図5に示すように、KCS点火補正処理、およびKCS学習処理によれば、目標点火時期AOP(ノック遅角量AKNK)は、限界遅角量AKMAXを、ノック学習量AGKNKの値の分だけ進角側に、ノック制御量AKCSの値の分だけ遅角側にそれぞれ補正した時期に設定される。ここで、上述のように、ノック制御量AKCSの値は、ノッキングの発生が確認されているときには増加され、確認されていないときには減少される。よって、目標点火時期AOPは、ノッキングの発生が確認されるようになるまで、徐々に進角されていき、やがてその値は、ノッキングが発生する/しないの境界となる点火時期(ノック発生点火時期)に落ち着くようになる。一方、ノック学習量AGKNKの値は、ノック制御量AKCSの絶対値が小さくなるように徐々に更新される。すなわち、ノック学習量AGKNKの値は、KCS点火補正処理での限界遅角点火時期AKMFに対する目標点火時期AOPの進角量に近づくように徐々に更新される。なお、こうしたノック学習量AGKNKの値は、イグニッションスイッチのオフ後も記憶保持される。
(目標水温低下処理)
続いて、ノッキング抑制のための水温THWの制御について説明する。本制御は、ノッキングが発生しやすい状況にあるときに水温THWを低下させることで、シリンダ壁面温度を下げてノッキングの抑制を図るようにしている。そして、それにより、KCS点火補正処理における点火時期の更なる進角を許容して、燃料消費率の更なる改善を図るようにしている。本制御は、下記の目標水温低下処理による目標水温EWTTの更新を通じて実施される。なお、電子制御ユニット31は、本処理にて設定される目標水温EWTTに、水温センサ26の水温THWの検出値が近づくように、電動ウォータポンプ25の冷却水吐出量、電子サーモスタット30のヒータ通電量のフィードバック制御を行う。
続いて、ノッキング抑制のための水温THWの制御について説明する。本制御は、ノッキングが発生しやすい状況にあるときに水温THWを低下させることで、シリンダ壁面温度を下げてノッキングの抑制を図るようにしている。そして、それにより、KCS点火補正処理における点火時期の更なる進角を許容して、燃料消費率の更なる改善を図るようにしている。本制御は、下記の目標水温低下処理による目標水温EWTTの更新を通じて実施される。なお、電子制御ユニット31は、本処理にて設定される目標水温EWTTに、水温センサ26の水温THWの検出値が近づくように、電動ウォータポンプ25の冷却水吐出量、電子サーモスタット30のヒータ通電量のフィードバック制御を行う。
図6に、目標水温低下処理のフローチャートを示す。本処理は、エンジン10の運転中に電子制御ユニット31により、規定の制御周期毎に繰り返し実行される。そして、電子制御ユニット31は、水温センサ26の検出する水温THWが、本処理において設定される目標水温EWTTに近づくように電動ウォータポンプ25および電子サーモスタット30を制御する。
本処理が開始されると、まずステップS300において、カウンタEWTCの値が「0」となっているか否かが判定される。このとき、カウンタEWTCの値が「0」となっていなければ(NO)、ステップS301において、カウンタEWTCの値が「1」だけ減算される。なお、カウンタEWTCには、「0」が下限値として設定されており、このときのカウンタEWTCの値が既に「0」となっていた場合、その値は「0」に保持される。
一方、カウンタEWTCの値が「0」となっていれば(S300:YES)、ステップS302において、エンジン負荷KLがノック限界負荷KLKNKよりも大きいか否かが判定される。そして、エンジン負荷KLがノック限界負荷KLKNKよりも大きければ(YES)、ステップS303に処理が進められ、エンジン負荷KLがノック限界負荷KLKNK以下であれば(NO)、そのまま今回の処理が終了される。なお、ノック限界負荷KLKNKは、予め実験等でノッキングが殆ど発生しないことが確認されているエンジン負荷KLの範囲の上限値として設定されている。
ステップS303に処理が進められると、そのステップS303において、ノック学習量AGKNKが規定の判定値β1未満であるか否かが判定される。なお、上述のようにノック学習量AGKNKの値は、ノッキングが発生しやすい状態にあるほどその値は小さくなる。よって、ここでは、ノッキングが発生しやすい状態にあるか否かが判定されている。
ここで、ノック学習量AGKNKが判定値β1未満であれば(S303:YES)、ステップS304において、目標水温EWTTの値が規定の低下量γ1分減算されるとともに、カウンタEWTCの値が初期値にリセットされた後、今回の本ルーチンの処理が終了される。なお、目標水温EWTTには、下限水温EWTTLが下限値として設定されており、このステップS304での減算の結果に依らず、その値は下限水温EWTTL以上に保持される。下限水温EWTTLの値は、後述する下限水温更新処理にて更新される。
一方、ノック学習量AGKNKが判定値β1以上であれば(S303:NO)、ステップS305において、ノック学習量AGKNKが、判定値β1に規定のヒステリシス値HYS1を加算した値(β1+HYS1)以上であるか否かが判定される。ここで、ノック学習量AGKNKが「β1+HYS1」以上であれば(YES)、ステップS306に処理が進められ、ノック学習量AGKNKが「β1+HYS1」未満であれば(NO)、そのまま今回の本処理が終了される。
ステップS306に処理が進められると、そのステップS306において、目標水温EWTTの値が規定の上昇量γ2分増加されるとともに、カウンタEWTCの値が初期値にリセットされた後、今回の本ルーチンの処理が終了される。目標水温EWTTには、上限水温EWTTHが上限値として設定されており、このステップS306での増加の結果に依らず、その値は上限水温EWTTH以下に保持される。上限水温EWTTHの値は、定数とされている。
なお、カウンタEWTCの初期値や低下量γ1、上昇量γ2の値は、目標水温EWTTの変更に対する水温THWの追従性や水温THWの変化がノッキングの発生状況に与える影響の度合(感度)などに鑑み、適宜に調整された値が設定されている。
(下限水温更新処理)
図7に、上述の下限水温EWTTLの値を更新するための下限水温更新処理のフローチャートを示す。本処理は、エンジン10の運転中に電子制御ユニット31により、規定の制御周期毎に繰り返し実行される。
図7に、上述の下限水温EWTTLの値を更新するための下限水温更新処理のフローチャートを示す。本処理は、エンジン10の運転中に電子制御ユニット31により、規定の制御周期毎に繰り返し実行される。
本処理が開始されると、まずステップS400において、現在のエンジン回転数NE、エンジン負荷KL、目標点火時期AOP、水温THWに基づき、エンジン10の現在の燃料消費率SFCの値が算出される。ここでの燃料消費率SFCの現在値の算出は、電子制御ユニット31の読込専用メモリに記憶された燃料消費率の演算マップを用いて行われる。同演算マップは、エンジン回転数NE、エンジン負荷KL、目標点火時期AOP、水温THWを引数とし、燃料消費率SFCを戻り値とするマップであり、実験やシミュレーションなどにより予め求められたエンジン回転数NE、エンジン負荷KL、目標点火時期AOP、水温THWと燃料消費率SFCとの関係に基づいて作成されている。
続いてステップS401において、現在の燃料消費率SFCの値から規定の定数δを減算した値(SFC−δ)が目標燃料消費率TSFCの値に設定される。そして、ステップS402において、現在のエンジン回転数NEおよびエンジン負荷KLにおいて点火時期が最適点火時期に設定された場合の燃料消費率が目標燃料消費率TSFCとなる水温が下限水温EWTTLに設定された後、今回の本処理が終了される。
ここで更新する下限水温EWTTLの値の演算は、電子制御ユニット31の読込専用メモリに記憶された燃料消費率の演算マップを用いて行われる。この演算マップは、上記エンジン回転数NE、エンジン負荷KL、目標点火時期AOP、水温THWと燃料消費率との関係に基づいて作成されている。ちなみに、最適点火時期における燃料消費率は、エンジン回転数NE、エンジン負荷KL、及び水温THWから一義的に定まるため、この演算マップは、エンジン回転数NE、エンジン負荷KLおよび目標燃料消費率TSFCを引数とし、下限水温EWTTLを戻り値とするものとなっている。
すなわち、本処理では、現在のエンジン回転数NEおよびエンジン負荷KLにおいて点火時期が最適点火時期に設定された場合の燃料消費率SFCが同燃料消費率SFCの現在の値よりも小さくなるエンジン冷却水の水温を演算している。そして、その演算した水温に、下限水温EWTTLの値を更新している。
(噴射比率変更処理)
続いて、ノッキング抑制のための噴射比率の変更制御について説明する。上述のように、本実施形態の適用されるエンジン10は、ポートインジェクタ19および筒内インジェクタ20の2種のインジェクタを備え、吸気ポート噴射および筒内噴射の噴き分けが可能となっている。こうしたエンジン10では、筒内噴射の噴射比率を高めることで、噴射した燃料の気化潜熱によりシリンダ壁面温度を低下してノッキングを抑制することができる。そこで、本制御では、下記の噴射比率変更処理により、ノッキングが発生しやすい状況にあるときに筒内噴射の噴射比率を高めることで、KCS点火補正処理での点火時期の更なる進角を許容して、燃料消費率の更なる改善を図るようにしている。
続いて、ノッキング抑制のための噴射比率の変更制御について説明する。上述のように、本実施形態の適用されるエンジン10は、ポートインジェクタ19および筒内インジェクタ20の2種のインジェクタを備え、吸気ポート噴射および筒内噴射の噴き分けが可能となっている。こうしたエンジン10では、筒内噴射の噴射比率を高めることで、噴射した燃料の気化潜熱によりシリンダ壁面温度を低下してノッキングを抑制することができる。そこで、本制御では、下記の噴射比率変更処理により、ノッキングが発生しやすい状況にあるときに筒内噴射の噴射比率を高めることで、KCS点火補正処理での点火時期の更なる進角を許容して、燃料消費率の更なる改善を図るようにしている。
なお、噴射比率の変更に対するノッキング発生状況の感度は、水温THWの変化に対するものよりも小さいため、噴射比率変更処理による筒内噴射の噴射比率の増加よりも、上述の目標水温低下処理による目標水温EWTTの低下を優先して行うようにしている。すなわち、噴射比率変更処理での筒内噴射の噴射比率の増加は、目標水温EWTTが下限水温EWTTLに張り付き、それ以上低下できないときに行われるようになっている。
図8に、目標水温EWTTが下限水温EWTTLに張り付きの有無を判定するための目標水温下限判定処理のフローチャートを示す。本処理は、エンジン10の運転中に電子制御ユニット31により、規定の制御周期毎に繰り返し実行される。
本処理が開始されると、まずステップS500において、目標水温EWTTが下限水温EWTTL以下であるか否かが判定される。ここで、目標水温EWTTが下限水温EWTTL以下であれば(YES)、ステップS501に処理が進められ、そのステップS501において、下限張付フラグFLAGがセットされた後、今回の本処理が終了される。
一方、目標水温EWTTが下限水温EWTTLを超えていれば(S500:NO)、ステップS502に処理が進められる。ステップS502に処理が進められると、そのステップS502において、目標水温EWTTが、下限水温EWTTLに規定のヒステリシス値HYS2を加算した値(EWTTL+HYS2)以上であるか否かが判定される。ここで、目標水温EWTTが「EWTTL+HYS2」未満であれば(NO)、下限張付フラグFLAGの操作は行われず、そのまま今回の本処理が終了される。一方、目標水温EWTTが「EWTTL+HYS2」以上であれば(YES)、ステップS503において、下限張付フラグFLAGがクリアされた後、今回の本処理が終了される。なお、下限張付フラグFLAGが元よりクリアされていた場合には、このときの下限張付フラグFLAGは、クリアされた状態のまま維持される。
図9に、噴射比率変更処理のフローチャートを示す。本処理は、エンジン10の運転中に電子制御ユニット31により、規定の制御周期毎に繰り返し実行される。
本処理が開始されると、まずステップS600において、カウンタEKPFICの値が「0」となっているか否かが判定される。そして、カウンタEKPFICの値が「0」となっていれば(YES)、ステップS602に処理が進められる。一方、カウンタEKPFICの値が「0」となっていなければ(NO)、ステップS601においてカウンタEKPFICの値が「1」だけ減算された後、今回の本処理が終了される。なお、カウンタEKPFICの値には、「0」が下限値として設定されており、このときのカウンタEKPFICの値が既に「0」となっていた場合、その値は「0」に保持される。
本処理が開始されると、まずステップS600において、カウンタEKPFICの値が「0」となっているか否かが判定される。そして、カウンタEKPFICの値が「0」となっていれば(YES)、ステップS602に処理が進められる。一方、カウンタEKPFICの値が「0」となっていなければ(NO)、ステップS601においてカウンタEKPFICの値が「1」だけ減算された後、今回の本処理が終了される。なお、カウンタEKPFICの値には、「0」が下限値として設定されており、このときのカウンタEKPFICの値が既に「0」となっていた場合、その値は「0」に保持される。
カウンタEKPFICの値が「0」となっていてステップS602に処理が進められると、そのステップS602において、下限張付フラグFLAGがセットされているか否かが判定される。ここで、下限張付フラグFLAGがセットされていなければ(NO)、そのまま今回の本処理が終了される。一方、下限張付フラグFLAGがセットされていれば(YES)、ステップS603に処理が進められる。
ステップS603に処理が進められると、そのステップS603において、ノック学習量AGKNKが規定の判定値β2未満であるか否かが判定される。すなわち、ノッキングが発生し易い状態にあるか否かが判定される。
ここで、ノック学習量AGKNKが判定値β2未満であれば(S603:YES)、ステップS604に処理が進められる。そして、そのステップS604において、ポート噴射比率EKPFIが規定の減少量ε1分減算され、カウンタEKPFICの値が初期値にリセットされた後、今回の本ルーチンの処理が終了される。なお、ポート噴射比率EKPFIは、燃料噴射量の全体に占める、ポート噴射の燃料噴射量の比率であり、その下限値は「0」となっている。
一方、ノック学習量AGKNKが判定値β2以上であれば(S603:NO)、ステップS605において、ノック学習量AGKNKが、判定値β2に規定のヒステリシス値HYS3を加算した値(β2+HYS3)以上であるか否かが判定される。ここで、ノック学習量AGKNKが「β2+HYS3」以上であれば(YES)、ステップS606に処理が進められ、ノック学習量AGKNKが「β1+HYS1」未満であれば(NO)、そのまま今回の本処理が終了される。
ステップS606に処理が進められると、そのステップS606において、ポート噴射比率EKPFIが規定の増加量ε2分増加され、カウンタEKPFICの値が初期値にリセットされた後、今回の本ルーチンの処理が終了される。このときのポート噴射比率EKPFIの増加には、エンジン回転数NEおよびエンジン負荷KLに基づき算出される基本ポート噴射比率EKPFIBを上限として行われる。基本ポート噴射比率EKPFIBは、現在のエンジン回転数NEおよびエンジン負荷KLにおいて、ノッキングが発生していない場合のポート噴射比率EKPFIの最適値となっている。
なお、カウンタEKPFICの初期値や減少量ε1、増加量ε2の値は、ポート噴射比率EKPFIの変化がノッキングの発生状況に与える影響の度合(感度)などに鑑み、適宜に調整された値が設定されている。
ちなみに、本実施形態では、KCS点火補正処理、およびKCS学習処理が電子制御ユニット31により実行されており、この電子制御ユニット31が点火制御部に相当する構成となっている。また、目標水温低下処理、および下限水温更新処理も電子制御ユニット31により実行されており、電子制御ユニット31は水温制御部にも相当する構成となっている。
(作用)
次に、以上のように構成された本実施形態のエンジン制御装置の作用を説明する。
本実施形態のエンジン制御装置では、KCS点火補正処理によって点火時期が、ノックセンサ23がノッキングの発生を検出するまで徐々に進角される。その結果、点火時期は、ノッキングを抑制可能な点火時期の進角限界であるノック発生点火時期の近傍まで進角される。
次に、以上のように構成された本実施形態のエンジン制御装置の作用を説明する。
本実施形態のエンジン制御装置では、KCS点火補正処理によって点火時期が、ノックセンサ23がノッキングの発生を検出するまで徐々に進角される。その結果、点火時期は、ノッキングを抑制可能な点火時期の進角限界であるノック発生点火時期の近傍まで進角される。
一方、ノッキングが発生しやすい状態にあって、KCS点火補正処理による点火時期の進角量が小さくなり、ノック学習量AGKNKの値も小さくなると、目標水温低下処理により目標水温EWTTが徐々に低下される。目標水温EWTTが低下され、それにより水温THWが低下されると、シリンダ壁面温度が下がってノッキングが発生し難くなる。その結果、KCS点火補正処理による点火時期の進角量が大きくなって、燃料消費率が改善されるようになる。ただし、シリンダ壁面温度が下がると、エンジン10の冷却損失が増加して、それによる分の燃料消費率の悪化が生じる。そのため、目標水温EWTTを下げ過ぎると、点火時期の進角による改善よりも冷却損失の増加による悪化の方が優ってしまい、却って燃料消費率が悪化する虞がある。
そこで、本実施形態では、目標水温低下処理による目標水温EWTTの低下に、下限水温EWTTLよる下限を設けるようにしている。そして、その下限水温EWTTLを下限水温更新処理により更新していくことで、ノッキングの抑制に伴う燃料消費率の悪化をより確実に抑えるようにしている。
図10に、エンジン回転数NEおよびエンジン負荷KLが一定の状態でエンジン10が運転されているときの点火時期および水温と、燃料消費率との関係を示す。同図の曲線L1〜L3はそれぞれ、水温THWが「T1」、「T2」、「T3」のときの点火時期に対する燃料消費率の変化曲線を示している(T1>T2>T3)。
同図に示すように、同一水温における燃料消費率は、点火時期が最適点火時期にあるときに最小となり、点火時期が最適点火時期から離れるほど大きくなる。一方、同一点火時期における燃料消費率は、水温が低いほど、大きくなる。
上記のようなKCS点火補正処理によれば、現在の水温におけるノック発生点火時期まで点火時期が進角される。また、ノック発生点火時期は、水温の低下に応じて進角側に変化する。ただし、実際に水温を低下させなければ、そのときのノック発生点火時期が何処まで進角するかを確認する術はない。
一方、水温が一定であれば、燃料消費率は、点火時期が最適点火時期に設定されたときに最小となる。よって、水温をある温度「Tx」まで低下させたときに、次の場合には、燃料消費率の改善は殆ど期待できないことになる。すなわち、水温を「Tx」としたときの最適点火時期での燃料消費率が、現在の燃料消費率と同程度、あるいは現在の燃料消費率よりも大きい場合である。
例えば、図10において現在の水温が「T1」、現在の点火時期が「A1」となっていたとする。水温が「T3」のときの最適点火時期(A3)における燃料消費率(S3)は、現在の燃料消費率(S1)とあまり変わらない。そのため、水温を「T3」まで低下させ、点火時期を進角させたところで、燃料消費率の改善は殆ど期待できない。すなわち、水温の低下により燃料消費率の改善が期待できるのは、低下した水温における最適点火時期の燃料消費率が現在の燃料消費率に対して十分に小さい場合となる。
本実施形態では、下限水温更新処理により、現在のエンジン回転数NEおよびエンジン負荷KLにおいて点火時期が最適点火時期に設定された場合の燃料消費率が現在の燃料消費率SFCよりも定数δ分小さくなる水温が下限水温EWTTLに設定される。上記図10の例では、水温が「T2」のときの最適点火時期(A2)における燃料消費率(S2)が現在の燃料消費率(S1)よりも「δ」分小さい値となっているため、下限水温EWTTLは「T2」に設定される。この「T2」までの範囲であれば、水温の低下により燃料消費率の改善が十分に期待できる。そのため、燃料消費率が却って悪化してしまうまで、水温が低下されてしまうことが抑制される。
ちなみに、目標水温EWTTの値が下限水温EWTTLに達してもなお、点火時期の進角量(ノック学習量AGKNK)が十分増加していないときには、噴射比率変更処理により筒内噴射の噴射比率が増加され、それにより、点火時期の進角が図られるようになる。
以上説明した本実施形態のエンジン制御装置によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、現在のエンジン回転数NEおよびエンジン負荷KLにおいて点火時期が最適点火時期に設定された場合の燃料消費率が燃料消費率の現在の値よりも規定の定数δ分小さくなるエンジン冷却水の水温を演算してその演算した水温に下限水温EWTTLの値を更新する下限水温更新処理を行うようにしている。そして、ノック学習量AGKNKが規定の判定値β1値未満となるまで、その下限水温EWTTLを下限として、目標水温EWTTを徐々に低下させる目標水温低下処理を行うようにしている。そのため、低下に応じた燃料消費率の変化が減少から増加に転じる水温を超えない範囲で目標水温EWTTが低下されるようになる。したがって、ノッキングの抑制に伴う燃料消費率の悪化をより確実に抑えることができるようになる。
(1)本実施形態では、現在のエンジン回転数NEおよびエンジン負荷KLにおいて点火時期が最適点火時期に設定された場合の燃料消費率が燃料消費率の現在の値よりも規定の定数δ分小さくなるエンジン冷却水の水温を演算してその演算した水温に下限水温EWTTLの値を更新する下限水温更新処理を行うようにしている。そして、ノック学習量AGKNKが規定の判定値β1値未満となるまで、その下限水温EWTTLを下限として、目標水温EWTTを徐々に低下させる目標水温低下処理を行うようにしている。そのため、低下に応じた燃料消費率の変化が減少から増加に転じる水温を超えない範囲で目標水温EWTTが低下されるようになる。したがって、ノッキングの抑制に伴う燃料消費率の悪化をより確実に抑えることができるようになる。
(2)目標水温EWTTが下限水温EWTTLに張り付き、それ以上低下できない状態となってもなお、ノック学習量AGKNKの値が大きくならないときには、ポート噴射比率EKPFIを小さく(全噴射に占める筒内噴射の比率を大きく)している。そのため、水温低下による燃料消費率の改善が限界に達しても、その限界を超える燃料消費率の改善が可能となる。
(3)同時に操作するパラメータが多いほど、制御性は悪化しやすくなる。例えば、点火時期、目標水温EWTTおよびポート噴射比率EKPFIの3つのパラメータを同時に操作すると制御性の悪化を招きやすくなる。その点、本実施形態では、下限水温EWTTLに達して目標水温EWTTをそれ以上操作できなくなったときに限りポート噴射比率EKPFIを操作している。しかも、ノッキングに対する感度がより高い目標水温EWTTを、同感度がより低いポート噴射比率EKPFIに優先して操作している。そのため、制御性の悪化を招きにくい。
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・上記実施形態では、目標水温EWTTの値が下限水温EWTTLに達しているときに限り、ポート噴射比率EKPFIを増大させていたが、目標水温EWTTの低下と並行してポート噴射比率EKPFIを増大させるようにしてもよい。この場合、図9に示した噴射比率変更処理は、ステップS602の判定をスキップして実施することになる。また、この場合には、図8に示した目標水温下限判定処理は、割愛することが可能である。
・上記実施形態では、目標水温EWTTの値が下限水温EWTTLに達しているときに限り、ポート噴射比率EKPFIを増大させていたが、目標水温EWTTの低下と並行してポート噴射比率EKPFIを増大させるようにしてもよい。この場合、図9に示した噴射比率変更処理は、ステップS602の判定をスキップして実施することになる。また、この場合には、図8に示した目標水温下限判定処理は、割愛することが可能である。
・噴射比率の変更は行わず、点火時期および水温のフィードバック制御のみでノッキングの抑制を図るようにしてもよい。この場合、図9に示した噴射比率変更処理は割愛することになる。また、この場合、図8に示した目標水温下限判定処理も割愛することが可能である。なお、そうした場合には、ポート噴射、筒内噴射のいずれかのみを行うエンジンにも適用可能である。
・上記実施形態では、電動ウォータポンプ25の冷却水吐出量および電子サーモスタット30のヒータ通電量のフィードバック制御制御を通じて水温THWをコントロールしていたが、他の態様で水温THWのコントロールを行うようにしてもよい。例えばラジエタ29に風を送る電動ファンの送風量の制御により、あるいはそれに加え、電動ウォータポンプ25の冷却水吐出量および電子サーモスタット30のヒータ通電量のいずれか一方又は双方の制御により水温THWをコントロールするようにしてもよい。
10…エンジン、11…シリンダブロック、12…気筒、13…ピストン、14…シリンダヘッド、15…吸気ポート、16…排気ポート、17…吸気バルブ、18…排気バルブ、19…ポートインジェクタ、20…筒内インジェクタ、21…点火プラグ、22…ウォータジャケット、23…ノックセンサ、24…冷却水回路、25…電動ウォータポンプ、26…水温センサ、27…バイパス水路、28…ラジエタ水路、29…ラジエタ、30…電子サーモスタット、31…電子制御ユニット(点火制御部、水温制御部)、32…NEセンサ、33…エアフロメータ。
Claims (1)
- ノッキングの有無を検出してノッキングが検出されるまで点火時期を徐々に進角するKCS点火補正処理と、同KCS点火補正処理での点火時期の進角量に近づくようにノック学習量を徐々に更新するKCS学習処理とを実行する点火制御部と、エンジン冷却水の水温を目標水温に制御する水温制御部と、を備えるエンジン制御装置において、
前記水温制御部は、前記ノック学習量が規定値未満となるまで、下限水温を下限として目標水温を徐々に低下させる目標水温低下処理を行うとともに、現在のエンジン回転数およびエンジン負荷において点火時期が最適点火時期に設定された場合の燃料消費率が燃料消費率の現在の値よりも小さくなるエンジン冷却水の水温を演算してその演算した水温に前記下限水温の値を更新する下限水温更新処理を前記目標水温低下処理の実行中に周期的に実行する、
ことを特徴とするエンジン制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015032303A JP2016153635A (ja) | 2015-02-20 | 2015-02-20 | エンジン制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015032303A JP2016153635A (ja) | 2015-02-20 | 2015-02-20 | エンジン制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2016153635A true JP2016153635A (ja) | 2016-08-25 |
Family
ID=56761141
Family Applications (1)
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JP2015032303A Pending JP2016153635A (ja) | 2015-02-20 | 2015-02-20 | エンジン制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2016153635A (ja) |
-
2015
- 2015-02-20 JP JP2015032303A patent/JP2016153635A/ja active Pending
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