JP2016147398A - オンデマンド印刷用塗工紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、安価でありながら高速インクジェット印刷適性を有するとともに、一般的な商業印刷であるオフセット印刷適性及び凸版印刷適性を有するオンデマンド印刷用塗工紙を提供することである。【解決手段】本発明に係るオンデマンド印刷用塗工紙は、基紙の少なくとも片面にインク受理層を設け、カレンダー処理してなる印刷用塗工紙であって、前記基紙が内添サイズ剤及び外添サイズ剤を含有せず、かつ、内添紙力増強剤を含有し、前記インク受理層が、顔料とスチレンブタジエンラテックスと潤滑剤とを含有し、前記顔料の40質量%以上が炭酸カルシウムであり、枚葉紙では14.85m/分以上、ロール紙では20m/分以上の水性インクを用いた高速インクジェット印刷用である。【選択図】なし

Description

本発明は、オンデマンド印刷用塗工紙に関し、更に詳しくはインクジェット印刷適性を有するオンデマンド印刷用塗工紙に関する。
商業印刷の主体は、キャスト紙、アート紙、コート紙、微塗工紙、非塗工の普通紙、塗工板紙などを用いたオフセット印刷であるが、近年は多品種小ロット印刷に対応するため、乾式電子写真方式、湿式電子写真方式、インクジェット方式といった可変情報を扱えるオンデマンド印刷方式が開発されている。これらの印刷方式の中でも、インクジェット方式は、幅広の印刷に対応可能、高速印刷に対応可能であることから、オフセット印刷機の中にインクジェットプリントヘッドを搭載し、固定情報はオフセット印刷で行い、可変情報はインクジェット印刷で行う方式が伸びてきている。
近年、インクジェットプリンターは、ラインヘッドを採用することによって高速化が進み、印刷速度は巻取印刷では20m/分以上、速いものでは120m/分以上に達している。印刷速度が20m/分以上であるような高速水性インクジェットプリンターは、水性インクを乾燥させるために機内にドライヤーを有している。最近は、オフセット印刷代替として、インクジェット印刷方式だけでカラー印刷を行う要望が高まっている。商業印刷分野でインクジェット印刷方式が今後成長するためには、オフセット印刷並みの印刷上がりとインク乾燥不良による汚れを発生させない高速水性インクジェット印刷に適応したインク吸収性とを有し、かつ、安価で入手し易く、一般商業印刷で多量に使用されているキャスト紙、アート紙、コート紙、微塗工紙などの汎用塗工紙や塗工板紙の外観を有し、オフセット印刷や凸版印刷などの一般商業印刷適性も有する印刷用紙の出現が重要となる。
インクジェット印刷方式は、ノズルから染料インクや顔料インクを記録用紙の表面へ吐出させ、画像を形成させて印刷する方式である。インクジェット印刷方式ではランニングコスト面から、溶剤インクやUVインクに比較して安価な水性インクを使用する傾向が強くなってきている。
一般的な商業印刷で使用される塗工紙や塗工板紙は、高速インクジェット方式で印刷した場合、特にカラー印刷の場合はインクの吸収速度が著しく遅いため、画像の滲み、紙面上で吸収できないインクが集まることによる濃度ムラ(ビーディング)の発生、乾燥不良による紙面汚れの発生などの問題が生じる。高速水性インクジェットプリンターは、ドライヤーを有しているが、一般的な商業印刷で使用される塗工紙や塗工板紙を用いると、インクの乾燥が間に合わないのが現状である。この理由は、一般的な商業印刷で使用される塗工紙や塗工板紙の塗工層が炭酸カルシウムやカオリンなどのインク吸収性に比較的乏しい顔料を主成分とすることもあるが、塗工層中に潤滑剤を含むことも大きな要因であると考えられる。即ち、このような塗工紙や塗工板紙では光沢感や平滑性を付与するためにカレンダー処理を行うが、カレンダー処理ではダスティング(ロール汚れ)が発生しやすいため、ダスティング抑制のために塗工層に潤滑剤を使用する。しかし、一般的に使用される潤滑剤は撥水性を有するため、潤滑剤の撥水作用によってインクジェット用インクの吸収性が低下し、結果的にインクの乾燥が間に合わなくなるのである。
一方、塗工紙タイプのインクジェット専用紙は、非晶質シリカ、アルミナなどの比表面積の大きな顔料とPVAなどの水溶性接着剤とを主成分とするインク吸収性に富んだインク受容層を有している。故に、高速インクジェットプリンターで印刷してもインク吸収性は良好であり、滲み、濃度ムラ、乾燥不良による紙面汚れの問題は発生しない。しかしながら、インク受容層強度が弱いためオフセット印刷が出来ず、外観が一般の塗工紙と異なり、また高価であるため汎用印刷用紙としては使用に適さないのが現状である。
一般的な商業印刷で使用される塗工紙や塗工板紙の水性インクジェット方式の吸収性を改善する方法として、いくつか提案がなされている。塗工層に使用する顔料としてカオリンの粒子径と配合量及びバインダー成分を適正の範囲に限定した印刷用塗工紙(例えば、特許文献1を参照。)、塗工層に使用する顔料として炭酸カルシウムの吸油量を適正の範囲に限定した印刷用塗工紙(例えば、特許文献2を参照。)が提案されている。
特開2009−233925号公報 特開2004−82464号公報
しかしながら、前述の特許文献1及び特許文献2で開示された印刷用塗工紙は、実用上十分なインク吸収性を有しているものではなかった。このため、印刷速度が例えば枚葉紙で14.85m/分以上又はロール紙で20m/分以上の水性インクを用いた高速インクジェット印刷用としては適さなかった。
本発明はこのような問題を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、安価でありながら高速インクジェット印刷適性を有するとともに、一般的な商業印刷であるオフセット印刷適性及び凸版印刷適性を有するオンデマンド印刷用塗工紙を提供することである。
本発明者らは、水性インクを用いた高速インクジェット印刷(以下、「高速水性インクジェット印刷」ということがある)における用紙適性について鋭意検討を重ねた結果、顔料と接着剤と潤滑剤とを含有するインク受理層を塗布する基紙の吸液性を高めることによって課題を達成できることを見出した。
すなわち、本発明に係るオンデマンド印刷用塗工紙は、基紙の少なくとも片面にインク受理層を設け、カレンダー処理してなる印刷用塗工紙であって、前記基紙が内添サイズ剤及び外添サイズ剤を含有せず、かつ、内添紙力増強剤を含有し、前記インク受理層が、顔料とスチレンブタジエンラテックスと潤滑剤とを含有し、前記顔料の40質量%以上が炭酸カルシウムであり、印刷速度が枚葉紙では14.85m/分以上、ロール紙では20m/分以上の水性インクを用いた高速インクジェット印刷用であることを特徴とする。
本発明に係るオンデマンド印刷用塗工紙では、前記基紙が、その表面に表面紙力増強剤が塗布されていないか、又は前記基紙の表面への表面紙力増強剤の塗布量が固形分換算で両面当たり2.5g/m以下であることが好ましい。高速水性インクジェット印刷におけるインク吸収性を良好とすることができる。
本発明に係るオンデマンド印刷用塗工紙では、前記炭酸カルシウムが軽質炭酸カルシウムであることが好ましい。高速水性インクジェット印刷におけるインク吸収性を良好とすることができる。また、インク乾燥性を良好とすることができる。
本発明に係るオンデマンド印刷用塗工紙では、前記炭酸カルシウムとして軽質炭酸カルシウムと重質炭酸カルシウムとの両方を含有することが好ましい。コストをより抑えながら、高速水性インクジェット印刷におけるインク吸収性を良好とすることができる。
本発明に係るオンデマンド印刷用塗工紙では、前記潤滑剤が高級脂肪酸塩を1種以上含有することが好ましい。高速水性インクジェット印刷におけるインクの吸収性を阻害しにくい。
本発明に係るオンデマンド印刷用塗工紙では、前記インク受理層が、澱粉を更に含むことが好ましい。インク受理層の表面強度をより高めることができる。また、コストをより抑制することができる。
本発明は、安価でありながら高速インクジェット印刷適性を有するとともに、一般的な商業印刷であるオフセット印刷適性及び凸版印刷適性を有するオンデマンド印刷用塗工紙を提供することができる。
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
本実施形態に係るオンデマンド印刷用塗工紙は、基紙の少なくとも片面にインク受理層を設け、カレンダー処理してなる印刷用塗工紙であって、前記基紙が内添サイズ剤及び外添サイズ剤を含有せず、かつ、内添紙力増強剤を含有し、前記インク受理層が、顔料とスチレンブタジエンラテックスと潤滑剤とを含有し、前記顔料の40質量%以上が炭酸カルシウムであり、印刷速度が枚葉紙では14.85m/分以上、ロール紙では20m/分以上の水性インクを用いた高速インクジェット印刷用である。このような構成とすることで、インク受理層の表面に着弾したインクジェットインクが、インク受理層内部及び基紙へ速やかに吸収され、滲みや乾燥不良による印刷後の搬送時の汚れを抑えることができる。また、内添紙力増強剤を使用することによって一般商業印刷での紙剥けを防止することができる。
本実施形態に係るオンデマンド印刷用塗工紙の基紙としては、主として原料パルプと内添紙力増強剤と填料とから構成される紙を用いる。原料パルプとしては、例えば、木材パルプ又は非木材パルプを使用できる。木材パルプは、例えば、LBKP(広葉樹さらしクラフトパルプ)、NBKP(針葉樹さらしクラフトパルプ)などの化学パルプ、GP(砕木パルプ)、PGW(加圧式砕木パルプ)、RMP(リファイナーメカニカルパルプ)、TMP(サーモメカニカルパルプ)、CTMP(ケミサーモメカニカルパルプ)、CMP(ケミメカニカルパルプ)、CGP(ケミグランドパルプ)などの機械パルプ、DIP(脱インキパルプ)である。非木材パルプは、例えば、ケナフ、バガス、竹、コットンである。これらの原料パルプは、単独又は任意の割合で混合して使用することが可能である。合成繊維も本発明の目的とする効果を損なわない範囲において使用できる。環境保全の観点から、ECF(Elemental Chlorine Free)パルプ、TCF(Totally Chlorine Free)パルプ、DIP、植林木から得られるパルプが好ましい。
原料パルプは、離解機及び叩解機を使用して適切な叩解度(フリーネス)を有するパルプスラリーとする。フリーネスは、350〜580mlが好ましく、380〜550mlがより好ましい。350ml未満では透気性が悪化し、高速インクジェットプリンターインクの吸収性が妨げられ、滲み、ビーディング、乾燥不良となる場合がある。580mlを超えると基紙の強度が不足し、一般商業印刷時に紙剥け、粉落ち、紙加工時の用紙表層剥離などの問題が発生する場合がある。パルプスラリーには、填料と内添紙力増強剤とを配合して紙料を調製する。
前記内添紙力増強剤としては、従来公知の紙力増強剤を使用することが可能である。内添紙力増強剤として、澱粉系紙力増強剤、ポリアクリルアミド系紙力増強剤、ポリビニルアルコール系紙力増強剤、湿潤紙力増強剤などが例示でき、単独又は併用して用いられる。本発明においては、澱粉系紙力増強剤が好ましい。澱粉系紙力増強剤は、基紙の透気性を妨げにくいため、高速水性インクジェット印刷におけるインクジェットインクの吸収性が良好となり、且つ安価である。澱粉系紙力増強剤は、例えば、カチオン化澱粉、両性澱粉、グラフト化澱粉、α化澱粉である。
内添紙力増強剤の配合量は、パルプの乾燥質量100質量部に対して、0.2〜2.0質量部であることが好ましい。より好ましくは、0.3〜1.7質量部である。さらに好ましくは0.4〜1.5質量部である。0.2質量部未満では基紙の強度が不足し、一般商業印刷時に紙剥け、粉落ち、紙加工時の用紙表層剥離などの問題が発生する場合がある。2.0質量部を超えると、抄紙工程に汚れが発生し、紙面に夾雑物、穴などの欠点が発生する場合がある。
前記填料としては、従来公知の填料を使用することが可能である。填料として炭酸カルシウム、タルク、カオリン、焼成カオリン、酸化チタン、水酸化アルミニウム、ホワイトカーボンなどが例示でき、単独または併用して用いられる。本発明においては、炭酸カルシウム、焼成カオリン、ホワイトカーボンが好ましい。これらの填料は、基紙のインク吸収性を高めるため、高速インクジェットプリンターインクの吸収性が良好となる。紙中の填料含有量は、パルプの乾燥質量100質量部に対して、2〜20質量部であることが好ましい。より好ましくは、3〜17質量部である。2質量部未満ではインク吸収性が不足し、かつ白色度向上、不透明度向上の効果が得られにくい。20質量部を超えると基紙の強度が不足し、一般商業印刷時に紙剥け、粉落ち、紙加工時の用紙の表層が剥離するなどの問題が発生する場合がある。
本実施形態に係るオンデマンド印刷用塗工紙は、基紙に内添サイズ剤及び外添サイズ剤を含有しない構成とする。この理由は、高速水性インクジェット印刷におけるインクジェット用インクの塗工紙への吸収性を高めるためである。詳細は後述するが、本実施形態に係るオンデマンド印刷用塗工紙に設けるインク受理層にはカレンダー処理時のダスティングを抑制するために潤滑剤を含有させる。潤滑剤はその撥水性によって塗工紙へのインクジェット用インクの吸収を阻害するため、インクの乾燥不良が起こりやすくなる。しかし、基紙に内添サイズ剤及び外添サイズ剤を含有しない構成とすると、潤滑剤に起因するインクの乾燥不良を改善することができる。この理由は定かではないが、基紙がサイズ剤を含有しないことで基紙自体のインク吸収性が高くなり、潤滑剤によるインク受理層のインク吸収性の低下をカバーするのではないかと考えられる。また、基紙にサイズ剤を含有させないことによって、インクジェット用インクの基紙への吸収速度は速まるが、インク受理層表面に着弾したインクがインクドットとして適度に広がらず、白筋状の欠点となる問題が発生するおそれがある。しかし、インク受理層に潤滑剤を含有させることで、インク受理層表面でのインクの過度の吸収が抑制され、インクドットが適度に広がることによって、結果的に印字品質を保つことができるものとも考えられる。何れにしても、基紙に内添サイズ剤及び外添サイズ剤を含有しないこと及びインク受理層が潤滑剤を含有することの2つの構成が絶妙なバランスをとり、高速水性インクジェット印刷におけるインク乾燥性と印字品質とを良好な水準とすることができる。本明細書において、内添サイズ剤は、例えば、中性ロジンサイズ剤、強化ロジンサイズ剤、鹸化ロジンサイズ剤、酸性ロジンサイズ剤、弱酸性ロジンサイズ剤、アルケニル無水コハク酸、アルキルケテンダイマー、スチレン−アクリル系サイズ剤、スチレン−マレイン酸系サイズ剤、高級脂肪酸アミド系サイズ剤、オレフィン系サイズ剤、アクリレート系サイズ剤、ワックス系サイズ剤である。外添サイズ剤は、例えば、スチレン‐アクリル系サイズ剤、スチレン−マレイン酸系サイズ剤、オレフィン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー、ワックス系サイズ剤である。
また、紙料には、嵩高剤、歩留り向上剤、濾水性向上剤、硫酸バンド、カチオン化剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、蛍光消色剤などの公知の添加剤を、本発明の目的とする効果を損なわない範囲で適宜用いることが可能である。
基紙は、例えば、紙料を抄紙機で抄紙して得ることができる。抄紙機は、特に限定されるものではなく、長網抄紙機、長網多層抄紙機、円網抄紙機、円網多層抄紙機、長網円網コンビ多層抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などの各種装置を用いることができる。抄紙方式は、特に限定されず、酸性抄紙又は中性抄紙のいずれかを選択できる。ただし、填料として炭酸カルシウムを高配合とする場合は、中性抄紙が好ましい。
基紙の坪量は、特に限定されないが、40〜500g/mであることが好ましく、より好ましくは、50〜450g/mである。
本実施形態に係るオンデマンド印刷用塗工紙においては、基紙の表面に表面紙力増強剤を塗布しないか、又は基紙の表面に表面紙力増強剤を塗布してもよい。基紙の表面に表面紙力増強剤を塗布しないことによって、高速水性インクジェット印刷におけるインクの吸収性を良好とし、滲みを抑制し、乾燥性を向上させることができる。また、表面紙力増強剤を塗布することによって、各種印刷時の強度面での適性が向上する他、ダスティングの発生を抑制することができる。但し、表面紙力増強剤の塗布量を多くしすぎるとオンデマンド印刷用塗工紙の透気性が悪化し、高速水性インクジェット印刷におけるインクの吸収性が妨げられ、滲み、乾燥不良の問題が発生する場合があるので、その塗布量は低く抑えることが好ましい。基紙の表面に表面紙力増強剤を塗布する場合は、基紙の表面への表面紙力増強剤の塗布量は固形分換算で両面当たり2.5g/m以下であることが好ましい。基紙への表面紙力増強剤の塗布量としては、固形分換算で、基紙の両面あたり、0.1〜2.5g/mであることが好ましい。より好ましくは0.2〜1.0g/mであり、更に好ましくは0.3〜0.5g/mである。
基紙の表面に塗布する表面紙力増強剤としては、従来公知の紙力増強剤を使用することが可能である。表面紙力増強剤は、例えば、澱粉系表面紙力増強剤、ポリビニルアルコール系表面紙力増強剤、ポリアクリルアミド系表面紙力増強剤、ポリアミドエポキシ系表面紙力増強剤などが例示でき、単独または併用して用いられる。本発明では、澱粉系表面紙力増強剤、ポリアクリルアミド系表面紙力増強剤が好ましい。澱粉系表面紙力増強剤は、例えば、酸化澱粉、カチオン化澱粉、両性澱粉、グラフト化澱粉、燐酸エステル化澱粉、自家変性澱粉である。自家変性は、例えば、酵素又は熱化学的作用による変性である。ポリアクリルアミド系表面紙力増強剤は、例えば、アニオン性ポリアクリルアミド、ノニオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリアクリルアミドである。
上記方法で得られた基紙の片面又は両面には顔料とバインダーとを主体とした塗工液を塗工後、乾燥してインク受理層を設ける。インク受理層は単層であっても2層以上を積層させてもよい。
インク受理層中に含まれる顔料としては、従来公知の一般の印刷塗工紙に使用される白色顔料使用することが可能である。白色顔料は、例えば、炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム)、カオリン、焼成クレー、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、プラスチックピグメントなどが例示でき、単独又は併用して用いられる。これらの中でも安価でありながら比較的インク吸収性の高い炭酸カルシウムを含有させることが好ましいため、本発明においては、全顔料の40質量%以上を炭酸カルシウムとする。好ましくは60質量%以上を炭酸カルシウムとする。より好ましくは75質量%以上を炭酸カルシウムとする。さらに好ましくは85質量%以上を炭酸カルシウムとする。全顔料の40質量%以上を炭酸カルシウムとすることによって、安価で入手し易く、一般商業印刷にも適用可能なオンデマンド印刷用塗工紙とすることができる。また、炭酸カルシウムとしては、軽質炭酸カルシウムが好ましい。インク受理層に軽質炭酸カルシウムを配合することで、高速水性インクジェット印刷におけるインクの吸収性が良好となり、特にインク乾燥性が良好となる。インク受理層中に含有させる炭酸カルシウムの全量を軽質炭酸カルシウムとすることが好ましいが、軽質炭酸カルシウムと重質炭酸カルシウムとを併用してもよい。軽質炭酸カルシウムと重質炭酸カルシウムとを併用することで、コストをより抑えながら、高速水性インクジェット印刷におけるインク吸収性を良好とすることができる。
インク受理層は、バインダーとして、スチレンブタジエンラテックスを含有する。スチレンブタジエンテックスを用いることによって、インク受理層の強度を向上させることができる。また、本発明においては、インク受理層に用いるバインダーとして、スチレンブタジエンラテックスに加えて、従来公知の一般の印刷用塗工紙に使用されるバインダーを使用することも可能である。スチレンブタジエンラテックスと併用できるバインダーは、例えば、アクリロニトリルブタジエンラテックス、酸化澱粉、酵素変性澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、カチオン化澱粉、両性澱粉などの澱粉類、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール又はその変性物、ゼラチン、カゼイン、大豆タンパク、酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースが例示でき、単独又は併用して用いられる。スチレンブタジエンラテックスと澱粉との組み合わせがより好ましい。スチレンブタジエンラテックスと澱粉とを組み合わせることで、インク受理層強度をより高めることができる。また、コストをより抑制することができる。スチレンブタジエンラテックスと、その他のバインダーとを併用する場合、その配合比率については特に限定するものではないが、バインダー全質量中、スチレンブタジエンラテックスの比率を60質量%以上とすることが好ましく、70質量%以上とすることが更に好ましい。
インク受理層へのバインダーの配合量は特に限定されないが、インク受理層中の顔料100質量部に対し、3〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは、5〜20質量部である。3質量部未満では、インク受理層の強度が不足し、一般商業印刷時にインク受理層がピックされるなどの問題が発生する場合がある。30質量部を超えると、高速インクジェットプリンターインクの吸収性が妨げられ、滲み、乾燥不良の問題が発生する場合がある。
また、本実施形態に係るオンデマンド印刷用塗工紙においては、インク受理層中に潤滑剤を含有させる。インク受理層中に潤滑剤を含有させることで、前述したインク乾燥性と印字品質とを良好な水準とする効果に加え、カレンダー処理時のカレンダーロールのダスティングを抑制することができる。インク受理層中への潤滑剤の配合量は、インク受理層中の顔料100質量部に対し0.05〜3質量部であることが好ましく、より好ましくは、0.05〜2.5質量部である。0.05質量部未満では、ダスティング防止効果が劣ることによりカレンダーロールが汚れ、光沢度低下等の問題が発生するおそれがある。2.5質量部を超えると、高速水性インクジェット印刷におけるインクの吸収性が妨げられ、滲み、乾燥不良の問題が発生するおそれがある。尚、基紙にインク受理層を2層以上積層させる場合は、最表層となるインク受理層にのみ潤滑剤を含有させてもよい。
ここで用いる潤滑剤としては、例えば、水性潤滑剤、エマルション潤滑剤などが挙げられる。具体的には高級脂肪酸塩、ポリエチレンエマルジョンなどを使用することが可能である。これらの中でも特に、潤滑剤が高級脂肪酸塩を1種以上含有することが好ましい。高級脂肪酸塩を含有することで、高速水性インクジェット印刷におけるインクの吸収性を阻害し難い。高級脂肪酸塩は、例えば、ステアリン酸塩、パルミチン酸塩、オレイン酸塩である。これらは単独で使用するか又は二種以上を併用してもよい。
また、インク受理層には、必要に応じて各種助剤、例えば、消泡剤、分散剤、蛍光増白剤、着色染料、着色顔料、粘度調整剤、防腐剤、耐水化剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、保水剤、架橋剤、pH調整剤、導電処理剤、内部ゲル化剤、光沢付与剤などを適宜配合してもよい。
インク受理層は基紙の表面にインク受理層用の塗工液を塗工し、乾燥することによって設けることができる。インク受理層用の塗工液の塗布方法としては、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター、ショートドェルコーター、カーテンコーター、コンマコーター、ブレードコーター、スプレーコーター、グラビアコーター、ダイスコーター、チャンプレックスコーター、メータリングブレード式のサイズプレスコーター、ゲートロールコーター、シムサイザーなど公知の塗工機の中から適宜選択して、オンマシン又はオフマシンで使用して行うことが出来る。インク受理層は、基紙の片面に設けるか、又は両面に設けてもよい。
インク受理層の塗工量は、基紙の片面当たり、固形分換算で3〜40g/mであることが好ましく、より好ましくは5〜30g/mであることが好ましい。3g/m未満では基紙表面を十分に覆うことができない場合があり、塗工紙としての一般商業印刷及び高速水性インクジェット印刷での印刷網点再現性、印刷濃度を満足できないおそれがある。40g/mを超える場合はコスト的に不利となる。
本発明のオンデマンド印刷用塗工紙は、基紙にインク受理層を設けた後、カレンダー処理を行う。カレンダー処理によって、紙厚プロファイルを平坦にでき、且つ塗工紙表面の光沢度を制御することが可能となる。また、カレンダー処理を行うことで、一般的な商業印刷で使用される塗工紙と同等の外観を得ることができる。カレンダー処理装置としては、ハードニップカレンダー、ソフトカレンダー、スーパーカレンダー、メタルベルトカレンダー、ラスタープレスなどが用いられる。光沢度を高めるためにはソフトカレンダー、スーパーカレンダーなどが好ましく、加圧圧力、加圧ニップ数、温度条件によって光沢度を制御する。
本実施形態に係るオンデマンド印刷用塗工紙は、インクジェット適性を有し、水性インクを用いた高速インクジェット印刷用として適している。本明細書において、高速インクジェット印刷とは、枚葉紙では14.85m/分以上、ロール紙では20m/分以上の水性インクを用いたインクジェット印刷をいう。枚葉紙で14.85m/分以上は、例えばA4サイズ縦目搬送50枚/分以上に相当する。また、本実施形態に係るオンデマンド印刷用塗工紙は、高速インクジェット印刷用紙及び一般商業印刷用紙としての使用に留まらず、乾式電子写真方式の複写機・プリンターの記録用紙、湿式電子写真方式の複写機・プリンターの記録用紙として使用することができる。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」、「%」は、特に断らない限りそれぞれ「質量部」、「質量%」を示す。なお、添加部数は、固形分換算の値である。
(実施例1)
(基紙Aの作製)
パルプとしてECF漂白したLBKP100部をフリーネス550mlに叩解してパルプスラリーとし、このパルプスラリーに、内添紙力増強剤としてカチオン化澱粉(ネオタック30T:日本食品加工社製)1.5部と、填料として軽質炭酸カルシウム(TP121:奥多摩工業社製)15部と、硫酸バンド1部とを添加し、紙料を調製した。この紙料をオントップ型ツインワイヤー式抄紙機で抄紙して坪量60g/mの原紙を作製した。次いで、ゲートロール装置にて、表面紙力増強剤として酸化澱粉(エースA:王子コーンスターチ社製)12%濃度の塗布液を、原紙の両面に、両面あたりの塗布量が固形分で2.4g/mとなるように塗布し、乾燥し、坪量62.4g/mの基紙Aを作製した。
(インク受理層用の塗工液Aの調製)
顔料として軽質炭酸カルシウム(TP123CS:奥多摩工業社製)40部、カオリン(ウルトラホワイト90、エンゲルハード社製)60部、分散剤(アロンT‐50、東亜合成社製)0.1部を水中に添加しコーレス分散機を用いて水分散し、顔料スラリーを作製した。この顔料スラリーに、バインダーとして澱粉(MS4600、日本食品加工社製)2部及びスチレンブタジエンラテックス(PA0372、日本エイアンドエル株式会社)10部、潤滑剤として高級脂肪酸塩(DEF−963TF、日新化学研究所社製)0.2部を加え、更に水を加えて固形分濃度が60%のインク受理層用の塗工液Aを調製した。
(オンデマンド印刷用塗工紙の作製)
基紙Aの両面に、塗工液Aを、オンマシンブレードコーターを用いて基紙Aの片面当たりの塗工量が固形分換算で10g/mになるように基紙Aの両面に塗工、乾燥した。その後、カレンダー処理としてハードニップカレンダー処理を行い、坪量が82.4g/mのオンデマンド印刷用塗工紙を作製した。
(実施例2)
実施例1において、基紙AのLBKPのフリーネスを380mlに変更し、内添紙力増強剤としてカチオン化澱粉(ネオタック30T:日本食品加工社製)の配合量を0.2部に変更した以外は、実施例1と同様にしてオンデマンド印刷用塗工紙を作製した。
(実施例3)
実施例1において、塗工液Aにおける軽質炭酸カルシウム(TP123CS:奥多摩工業社製)40部を、重質炭酸カルシウム(カービタル75:イメリスミネラルス社製)40部に変更した以外は、実施例1と同様にしてオンデマンド印刷用塗工紙を作製した。
(実施例4)
実施例1において、塗工液Aにおける軽質炭酸カルシウム(TP123CS:奥多摩工業社製)の配合量を75部に変更し、カオリン(ウルトラホワイト90、エンゲルハード社製)の配合量を25部に変更した以外は、実施例1と同様にしてオンデマンド印刷用塗工紙を作製した。
(実施例5)
実施例1において、塗工液Aにおける軽質炭酸カルシウム(TP123CS:奥多摩工業社製)の配合量を85部に変更し、カオリン(ウルトラホワイト90、エンゲルハード社製)の配合量を15部に変更した以外は、実施例1と同様にしてオンデマンド印刷用塗工紙を作製した。
(実施例6)
実施例1において、塗工液Aにおける顔料の配合を、軽質炭酸カルシウム(TP123CS:奥多摩工業社製)60部、重質炭酸カルシウム(カービタル75:イメリスミネラルス社製)25部、カオリン(ウルトラホワイト90、エンゲルハード社製)15部に変更した以外は、実施例1と同様にしてオンデマンド印刷用塗工紙を作製した。
(実施例7)
実施例1において、ゲートロール装置を用いて原紙に塗布する塗布液を、表面紙力増強剤として酸化澱粉(エースA:王子コーンスターチ社製)6%濃度の塗布液に変更し、原紙の両面に、両面あたりの塗布量が固形分で1.0g/mとなるように塗布した以外は、実施例1と同様にしてオンデマンド印刷用塗工紙を作製した。基紙の坪量は61.0g/mであった。
(実施例8)
(基紙Bの作製)
パルプとしてECF漂白したLBKP100部をフリーネス550mlに叩解してパルプスラリーとし、このパルプスラリーに、内添紙力増強剤としてカチオン化澱粉(ネオタック30T:日本食品加工社製)1.5部と、填料として軽質炭酸カルシウム(TP121:奥多摩工業社製)15部と、硫酸バンド1部とを添加し、紙料を調製した。この紙料をオントップ型ツインワイヤー式抄紙機で抄紙して坪量60g/mの基紙Bを作製した。
(オンデマンド印刷用塗工紙の作製)
基紙Bの両面に、実施例1の塗工液Aを、オンマシンブレードコーターを用いて基紙の片面当たりの塗工量が固形分換算で10g/mになるように基紙の両面に塗工し、乾燥した。その後、カレンダー処理としてハードニップカレンダー処理を行い、坪量が80.0g/mのオンデマンド印刷用塗工紙を作製した。
(実施例9)
実施例8おいて、基紙BのLBKPのフリーネスを380mlに変更し、内添紙力増強剤をカチオン化澱粉(ネオタック30T:日本食品加工社製)1.5部から両性澱粉(CATO308:日本NSC社製)0.4部に変更した以外は、実施例8と同様にしてオンデマンド印刷用塗工紙を作製した。
(実施例10)
実施例8において、塗工液Aの軽質炭酸カルシウム(TP123CS:奥多摩工業社製)40部を重質炭酸カルシウム(カービタル75:イメリスミネラルス社製)40部に変更した以外は、実施例8と同様にしてオンデマンド印刷用塗工紙を作製した。
(実施例11)
実施例8において、軽質炭酸カルシウム(TP123CS:奥多摩工業社製)40部を、軽質炭酸カルシウム(TP221GS:奥多摩工業社製)40部に変更した以外は、実施例8と同様にしてオンデマンド印刷用塗工紙を作製した。
(実施例12)
実施例8において、塗工液Aにおける軽質炭酸カルシウム(TP123CS:奥多摩工業社製)の配合量を75部に変更し、カオリン(ウルトラホワイト90、エンゲルハード社製)の配合量を25部に変更した以外は、実施例8と同様にしてオンデマンド印刷用塗工紙を作製した。
(実施例13)
実施例8において、塗工液Aにおける軽質炭酸カルシウム(TP123CS:奥多摩工業社製)の配合量を85部に変更し、カオリン(ウルトラホワイト90、エンゲルハード社製)の配合量を15部に変更した以外は、実施例8と同様にしてオンデマンド印刷用塗工紙を作製した。
(実施例14)
実施例8において、塗工液Aにおける顔料の配合を、軽質炭酸カルシウム(TP123CS:奥多摩工業社製)60部、重質炭酸カルシウム(カービタル75:イメリスミネラルス社製)25部、カオリン(ウルトラホワイト90、エンゲルハード社製)15部に変更した以外は、実施例8と同様にしてオンデマンド印刷用塗工紙を作製した。
(実施例15)
実施例8において、カレンダー処理をハードニップカレンダー処理からスーパーカレンダー処理に変更した以外は、実施例8と同様にしてオンデマンド印刷用塗工紙を作製した。作製したオンデマンド印刷用紙は光沢紙の外観を有するものであった。
(実施例16)
(インク受理層用の塗工液Bの調製)
重質炭酸カルシウム(カービタル75:イメリスミネラルス社製)90部、カオリン(ウルトラホワイト90、エンゲルハード社製)10部、分散剤(アロンT‐50、東亜合成社製)0.1部を水中に添加しコーレス分散機を用いて水分散し、顔料スラリーを作製した。この顔料スラリーに、バインダーとして澱粉(MS4600、日本食品加工社製)2部及びスチレンブタジエンラテックス(PA0372、日本エイアンドエル株式会社)8部を加え、更に水を加えて固形分濃度が60%のインク受理層用の塗工液Bを調製した。
(インク受理層用塗工液Cの調製)
軽質炭酸カルシウム(TP123CS:奥多摩工業社製)60部、カオリン(ウルトラホワイト90、エンゲルハード社製)40部、分散剤(アロンT‐50、東亜合成社製)0.1部を水中に添加しコーレス分散機を用いて水分散し、顔料スラリーを作製した。この顔料スラリーに、バインダーとして澱粉(MS4600、日本食品加工社製)2部及びスチレンブタジエンラテックス(PA0372、日本エイアンドエル株式会社)6部、潤滑剤として高級脂肪酸塩(DEF−783TF、日新化学研究所社製)0.5部を加え、更に水を加えて固形分濃度65%のインクインク受理層用の塗工液Cを調製した。
実施例8における基紙Bの坪量を120g/mに変更し、その基紙の両面に塗工液Bを、オンマシンゲートロールコーターを用いて、片面当たりの乾燥塗工質量が8g/mになるように塗工、乾燥した。その塗工層上の両面に、塗工液Cを、オンマシンブレードコーターを用いて、片面当たりの乾燥塗工質量が8g/mになるように塗工、乾燥した。その後、カレンダー処理としてハードニップカレンダー処理を行い、坪量が152g/mのオンデマンド印刷用塗工紙を作製した。
(実施例17)
実施例16において、カレンダー処理をハードニップカレンダー処理からスーパーカレンダー処理に変更した以外は、実施例16と同様にしてオンデマンド印刷用塗工紙を作製した。
(比較例1)
実施例1において、基紙Aに内添サイズ剤として中性ロジンサイズ剤(CC1401:星光PMC社製)0.2部添加した以外は、実施例1と同様にしてオンデマンド印刷用塗工紙を作製した。
(比較例2)
実施例1において、ゲートロール装置を用いて原紙に塗布する塗布液を、表面紙力増強剤として酸化澱粉(エースA:王子コーンスターチ社製)12%、外添サイズ剤としてスチレン‐アクリル系サイズ剤(ポリマロン1308S:荒川化学工業社製)0.4%の濃度の塗布液に変更し、該塗布液を、基紙の両面に、両面あたりの塗布量が固形質量2.4g/mとなるように塗布した以外は、実施例1と同様にしてオンデマンド印刷用塗工紙を作製した。
(比較例3)
実施例1において、基紙Aに内添サイズ剤として中性ロジンサイズ剤(CC1401:星光PMC社製)0.2部添加し、ゲートロール装置を用いて原紙に塗布する塗布液を、表面紙力増強剤として酸化澱粉(エースA:王子コーンスターチ社製)12%、外添サイズ剤としてスチレン‐アクリル系サイズ剤(ポリマロン1308S:荒川化学工業社製)0.4%の濃度の塗布液に変更し、該塗布液を、基紙の両面に、両面あたりの塗布量が固形質量2.4g/mとなるように塗布した以外は、実施例1と同様にしてオンデマンド印刷用塗工紙を作製した。
(比較例4)
実施例8において、基紙Bに内添サイズ剤として中性ロジンサイズ剤(CC1401:星光PMC社製)0.2部を添加した以外は、実施例8と同様にしてオンデマンド印刷用塗工紙を作製した。
(比較例5)
実施例1において、塗工液Aにおける軽質炭酸カルシウム(TP123CS:奥多摩工業社製)の配合量を30部に変更し、カオリン(ウルトラホワイト90、エンゲルハード社製)の配合量を70部に変更した以外は、実施例1と同様にしてオンデマンド印刷用塗工紙を作製した。
(比較例6)
実施例8において、塗工液Aにおける軽質炭酸カルシウム(TP123CS:奥多摩工業社製)の配合量を30部に変更し、カオリン(ウルトラホワイト90、エンゲルハード社製)の配合量を70部に変更した以外は、実施例8と同様にしてオンデマンド印刷用塗工紙を作製した。
(比較例7)
実施例8において、基紙Bに内添サイズ剤として中性ロジンサイズ剤(CC1401:星光PMC社製)0.2部を添加し、且つ基紙Bの内添紙力増強剤を添加しなかった以外は、実施例8と同様にしてオンデマンド印刷用塗工紙を作製した。
(比較例8)
実施例8において、基紙Bに内添サイズ剤として中性ロジンサイズ剤(CC1401:星光PMC社製)0.2部を添加し、且つ塗工液Aに潤滑剤を添加しなかった以外は、実施例8と同様にしてオンデマンド印刷用塗工紙を作製した。
各実施例及び比較例で得られたオンデマンド印刷用塗工紙について、次に示す評価法に基づいて試験を行った。結果を表1、表2及び表3に示す。
(1)インクの滲み評価
以下の2機種のインクジェットプリンターを用いて白抜き文字の印字を行い、水性顔料インクの滲み具合を目視で以下のように評価した。
プリンターA:CM8060ColorMFP(ヒューレットパッカード社製)
ボンディングエージェント+水性染料4色(C,M,Y,K)、
印刷速度50枚/分 A4サイズ。
プリンターB:TruepressJet520(大日本スクリーン製造社製)
印刷速度64m/分。
◎:滲みが全くなく、良好である(実用レベル)。
○:滲みが僅かに発生するが、良好である(実用レベル)。
△:滲みが多少発生する(実用上下限レベル)。
×:滲みが著しく発生する(実用上不可レベル)。
(2)インクの乾燥性評価
以下のインクジェットプリンターCを用いてブラック、シアン、マゼンタ、イエロー各水性顔料インク単色のベタ印字を行い、印刷物紙面のインク乾燥不良によるインク取られ跡を目視で以下のように評価した。
プリンターC:TruepressJet520(大日本スクリーン製造社製)
印刷速度64m/分。
乾燥80℃
◎:インク取られ跡が全くなく、良好である(実用レベル)。
○:インク取られ跡が僅かに発生する(実用上下限レベル)。
△:インク取られ跡が多少発生する(実用上不可レベル)。
×:インク取られ跡が著しく発生する(実用上不可レベル)。
(3)耐刷力
オフセット印刷機として、小森社製「リスロン40(L−40)」を使用し、墨、藍、紅及び黄インキにて4色印刷を8500枚/時の印刷速度で印刷し、耐刷力を評価した。
◎:ブランケットの汚れがほとんど無く、良好である(実用レベル)。
○:ブランケットの汚れが多少あるが、画線部の抜けがほとんど無く、良好である(実用レベル)。
△:ブランケットの汚れが多く、画線部の抜けが有る(実用上不可レベル)。
×:ブランケットの汚れが酷く、画線部の抜けも多い(実用上不可レベル)。
(4)カレンダーロール汚れ
カレンダーロール汚れを以下のように目視で評価した。
◎:カレンダーロール表面に汚れが全くなく、非常に良好である。(実用レベル)
○:カレンダーロール表面に僅かに汚れが発生するが、良好である。(実用レベル)
△:カレンダーロール表面の汚れが多く、劣る。(実用上不可レベル)
×:カレンダーロール表面の汚れがかなり多く、著しく劣る。(実用上不可レベル)
Figure 2016147398
Figure 2016147398
Figure 2016147398
表1、2、3から明らかなように、実施例1〜17は、比較例1〜8に比べて一般的な商業印刷用紙の適性を有しつつ、インクジェットの印字に優れている。
実施例1〜17と比較例1〜4を比較することで、内添サイズ剤、外添サイズ剤を添加することは滲み、乾燥性が劣ることを確認できた。実施例1〜17と比較例5、6を比較することで、インク受容層中に炭酸カルシウムを60部以上配合することによって、滲み、乾燥性が良好になることを確認できた。実施例8と比較例7を比較することで、内添紙力増強剤を添加しないことによって耐刷力が劣ることを確認できた。実施例8と比較例8を比較することで、潤滑剤を配合しないことによってキャレンダーロール汚れが劣ることを確認できた。
追加評価として水性インクを用いた低速インクジェット印刷適性を確認した。
(インク滲み評価)
実施例1及び比較例1について、プリンターDを用いて、プリンターA,Bを用いたときと同様の評価法及び評価基準でインクの滲み評価を行った。その結果、実施例1は○であり、比較例1は△であった。
プリンターD:PX−G930(エプソン社製)
印刷速度3枚/分 A4サイズ。
(インクの乾燥性評価)
実施例1及び比較例1について、プリンターDを用いて、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの各水性顔料インク単色ベタ片面印字を行い、排紙トレイ上で印刷した紙を積層し、印刷物紙面のインク乾燥性不良によるインク転移を目視で以下の様に評価した。その結果、実施例1は◎であり、比較例1は○であった。
プリンターD:PX−G930(エプソン社製)
印刷速度3枚/分 A4サイズ
◎:インク転移が全くなく、良好である(実用レベル)。
○:インク転移が僅かに発生する(実用上下限レベル)。
△:インク転移が多少発生する(実用上不可レベル)。
×:インク転移が著しく発生する(実用上不可レベル)。
以上より、実施例1は、低速インクジェット印刷及び高速インクジェット印刷のいずれであっても滲み・乾燥性が良好であった。これに対して、比較例1は、低速インクジェット印刷適性においては滲み・乾燥性が実用レベルであったが、高速インクジェット印刷においては滲み・乾燥性が劣ることが確認できた。

Claims (6)

  1. 基紙の少なくとも片面にインク受理層を設け、カレンダー処理してなる印刷用塗工紙であって、
    前記基紙が内添サイズ剤及び外添サイズ剤を含有せず、かつ、内添紙力増強剤を含有し、
    前記インク受理層が、顔料とスチレンブタジエンラテックスと潤滑剤とを含有し、
    前記顔料の40質量%以上が炭酸カルシウムであり、
    印刷速度が枚葉紙では14.85m/分以上、ロール紙では20m/分以上の水性インクを用いた高速インクジェット印刷用であることを特徴とするオンデマンド印刷用塗工紙。
  2. 前記基紙が、その表面に表面紙力増強剤が塗布されていないか、又は前記基紙の表面への表面紙力増強剤の塗布量が固形分換算で両面当たり2.5g/m以下であることを特徴とする請求項1に記載のオンデマンド印刷用塗工紙。
  3. 前記炭酸カルシウムが軽質炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項1又は2に記載のオンデマンド印刷用塗工紙。
  4. 前記炭酸カルシウムとして軽質炭酸カルシウムと重質炭酸カルシウムとの両方を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のオンデマンド印刷用塗工紙。
  5. 前記潤滑剤が高級脂肪酸塩を1種以上含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のオンデマンド印刷用塗工紙。
  6. 前記インク受理層が、澱粉を更に含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のオンデマンド印刷用塗工紙。
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