JP2016138192A - ガスバリア性成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ガスバリア性と耐熱老化性に優れたガスバリア性成形体を提供する。
【解決手段】 ポリアミド樹脂100質量部に下記一般組成式(1)の金属シアン化物塩を0.5〜20質量部含有し、23℃及び150℃での酸素透過係数が2.5×10−2cm・cm/(m・day・atm)以下であるポリアミド樹脂組成物を成形してなることを特徴とするガスバリア性成形体。
一般組成式(1) ・・・ A[M(CN)
(一般組成式(1)中、Mは、周期表の第5〜10族かつ第4〜6周期の遷移金属元素のうちの少なくとも1種、Aは、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のうちの少なくとも1種、yは、3〜6の整数、xは、(y−m)/aで求められる数である。ここで、mはMの価数、aはAの価数である。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、ガスバリア性と耐熱老化性に優れたガスバリア性成形体、及びこのガスバリア性成形体を構成成分として含む多層構造体、並びに多層構造体からなる包装容器に関する。
ポリアミド樹脂は、機械的特性を始めとして、耐薬品性及び成形加工性などに優れた特性を有し、比較的耐熱老化性に優れるため、従来より自動車部品、電気電子部品、工業機械部品などの各種部品に広く利用され、さらには、比較的ガスバリア性に優れるため、食品、飲料、薬品、電子部品等の包装用成形体としても広く利用されている。
近年、ポリアミド樹脂のこれらの特性をより高める要求があり、特に自動車部品等の分野において、その要求が高い。このような要求に応えるべく、いくつかのポリアミド樹脂の利用が検討されている(特許文献1、2)。
しかしながら、特許文献1、2の方法では、低温環境下でのガスバリア性は向上するものの、高温環境下でのガスバリア性は十分とは言えず、また耐熱老化性は不充分であり、これら特性のレベルアップが望まれていた。
国際公開第2010/143638号 国際公開第2010/143668号
ガスバリア性と耐熱老化性に優れたガスバリア性成形体、ガスバリア性成形体を構成成分として含む多層構造体、および多層構造体からなる包装容器を提供する。
即ち本発明は、以下の通りである。
[1] ポリアミド樹脂100質量部に下記一般組成式(1)の金属シアン化物塩を0.5〜20質量部含有し、23℃及び150℃での酸素透過係数が2.5×10−2cm・cm/(m・day・atm)以下であるポリアミド樹脂組成物を成形してなることを特徴とするガスバリア性成形体。
一般組成式(1) ・・・ A[M(CN)
(一般組成式(1)中、Mは、周期表の第5〜10族かつ第4〜6周期の遷移金属元素のうちの少なくとも1種、Aは、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のうちの少なくとも1種、yは、3〜6の整数、xは、(y−m)/aで求められる数である。ここで、mはMの価数、aはAの価数である。)
[2] 前記一般組成式(1)のMが鉄である[1]に記載のガスバリア性成形体。
[3] 前記一般組成式(1)の金属シアン化物塩が、ヘキサシアノ鉄(II)酸アルカリ金属塩、及びヘキサシアノ鉄(III)酸アルカリ金属塩から選ばれる1種以上である[1]または[2]に記載のガスバリア性成形体。
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載のガスバリア性成形体を、多層構造体の少なくとも一層として含む多層構造体。
[5] [4]に記載の多層構造体からなる包装容器。
本発明のガスバリア性成形体は、ガスバリア性のみならず、優れた耐熱老化性を有する。
以下に本発明を具体的に説明する。
本発明におけるポリアミド樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、環状ラクタムの開環重合物、アミノカルボン酸の重縮合物、二塩基酸とジアミンとの重縮合物などが挙げられ、具体的にはポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリ−ラウリルラクタム(ポリアミド12)、ポリ−11−アミノウンデカン酸(ポリアミド11)等の脂肪族ポリアミド、ポリ(メタキシレンアジパミド)(以下MXD・6と略す)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)(以下6Tと略す)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)(以下6Iと略す)、ポリ(ノナメチレンテレフタルアミド)(以下9Tと略す)、ポリ(テトラメチレンイソフタルアミド)(以下4Iと略す)などの脂肪族−芳香族ポリアミド、およびこれらの共重合体や混合物を挙げることができる。特に本発明に好適なポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド6/66共重合体、ポリアミド66/6T共重合体、ポリアミド6T/12共重合体、ポリアミド6T/11共重合体、ポリアミド6T/6I共重合体、ポリアミド6T/6I/12共重合体、ポリアミド6T/610共重合体、ポリアミド6T/6I/6共重合体を挙げることができる。
このようなポリアミド樹脂の分子量は特に制限はないが、98%(98質量%)硫酸中、濃度1質量%、25℃で測定する相対粘度が、1.7〜4.5のポリアミド樹脂を使用することが好ましい。ポリアミド樹脂の相対粘度は、より好ましくは、2.0〜4.0、さらに好ましくは2.0〜3.5である。
本発明における金属シアン化物塩とは、下記一般組成式(1)で示されるものである。
一般組成式(1) ・・・ A[M(CN)
(一般組成式(1)中、Mは、周期表の第5〜10族かつ第4〜6周期の遷移金属元素のうちの少なくとも1種、Aは、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のうちの少なくとも1種、yは、3〜6の整数、xは、(y−m)/aで求められる数である。ここで、mはMの価数、aはAの価数である。)
金属シアン化物塩は、水和物であっても構わない。
上記一般組成式(1)におけるMは、周期表の第5〜10族かつ第4〜6周期の遷移金属元素のうちの少なくとも1種であり、好ましい金属元素として、Fe、Co、Cr、Mn、Ir、Rh、Ru、V、Niが挙げられる。金属元素の価数も考慮すると、Fe(II)、Fe(III)、Co(III)、Cr(III)、Mn(II)、Mn(III)、Ir(III)、Rh(III)、Ru(II)、V(IV)、V(V)、Co(II)、Ni(II)、Cr(II)が好ましく、より好ましくはCo(II)、Co(III)、Fe(II)、Fe(III)、Cr(III)、Ir(III)、Ni(II)であり、特に好ましくは、Fe(II)、Fe(III)である。2種以上の金属が、金属シアン化物塩に存在してよい(例えば、ヘキサシアノコバルト(II)鉄(II)酸カリウム)。Aは、アルカリ金属(例えば、Li、Na、K)及びアルカリ土類金属(例えば、Ca、Ba)のうちの少なくとも1種である。yは、3〜6の整数で、xは、金属シアン化物塩が全体的に電気的な中性になるように選択される。つまり、xは、(y−m)/aで求められる数(ここで、mはMの価数、aはAの価数)となる。特に、yは、Mの配位数に対応し、4〜6が好ましく、6であることが特に好ましい。
本発明で使用できる金属シアン化物塩の例は、限定されないが、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム、ヘキサシアノ鉄(II)酸ナトリウム、ヘキサシアノ鉄(III)酸ナトリウム、ヘキサシアノコバルト(III)酸カリウム、ヘキサシアノコバルト(III)酸ナトリウム、ヘキサシアノルテニウム(II)酸カリウム、ヘキサシアノコバルト(III)酸カルシウム、テトラシアノニッケル(II)酸カリウム、ヘキサシアノクロム(III)酸カリウム、ヘキサシアノイリジウム(III)酸カリウム、ヘキサシアノ鉄(II)酸カルシウム、ヘキサシアノコバルト(II)酸カリウム、およびヘキサシアノコバルト(III)酸リチウムが好ましく、より好ましくは取り扱い性、安全性の点で、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム、ヘキサシアノ鉄(II)酸ナトリウム、ヘキサシアノ鉄(III)酸ナトリウムである。
本発明において、前記金属シアン化物塩の配合量は、ポリアミド樹脂100質量部に対して、0.5〜20質量部である。金属シアン化物塩の配合量は、好ましくは0.5〜15質量部、より好ましくは1〜13質量部、さらに好ましくは1〜12質量部、特に好ましくは1〜10質量部である。
0.5質量未満では、耐熱老化性及びガスバリア性の発現効果がほとんどなく、20質量部を超えても、耐熱老化性及びガスバリア性の発現効果がさらに増大することはない。前記金属シアン化物塩は、20質量部以下であれば、金属粒子や金属酸化物粒子などとは異なり機械的特性への悪影響は少なく、特にガラス繊維強化組成物においてもガラス繊維の破損を抑制できるため、機械的特性を低下させることはほとんどない。
金属シアン化物塩が水和物の場合、この配合量は、水和水も含めた化合物としての質量で考える。
本発明における前記金属シアン化物塩の耐熱老化性向上、及びガスバリア性向上効果が発現する理由については明確ではないが、ポリアミド樹脂と相互作用することにより酸素の透過を抑制しているのではないかと考えられる。
また、本発明で用いる金属シアン化物塩は、従来用いられてきた耐熱老化性化合物である酸化鉄のような鉄化合物に比べて、配合後のポリアミド樹脂組成物の機械物性の低下を抑制できる。酸化鉄は鉱物の中でも金属酸化物であり、モース硬度が6と非常に固く、ガラス繊維を含むポリアミド樹脂組成物では、ガラス繊維を破損するために機械物性が低下する。一方、金属シアン化物塩は鉱物では無いため、ガラス繊維を含むポリアミド樹脂組成物では、ガラス繊維を破損しないため機械物性に優れる。
本発明においては、前記の金属シアン化物塩以外に、公知の熱安定剤も併用して使用することができる。
本発明で用いることができる銅化合物としては、酢酸銅、沃化銅、臭化銅、塩化銅、フッ化銅、ラウリン酸銅、ステアリン酸銅等を挙げることができる。これらの銅化合物は単独で用いても良く、また併用しても良い。酢酸銅、沃化銅、臭化銅が好ましく、臭化第二銅が特に好ましく使用される。銅化合物の添加量は、ポリアミド樹脂100質量部に対して銅化合物中の銅として0.0001〜1質量部である。0.0001質量部未満では、高温雰囲気かつ紫外線照射下のより厳しい環境下における変色防止効果が不十分であり、1質量部より多いと、前記の厳しい環境下における変色防止の効果が頭打ちになり、さらには金型や押出し機や成形機のスクリュー、シリンダー等を腐蝕する等の問題を発生する懸念がある。より好ましい添加量は、0.0005〜0.03質量部であり、さらに好ましい添加量は、0.0005〜0.02質量部である。
また、銅化合物を添加する場合には、沃化カリウム、臭化カリウム等のハロゲン化アルカリ金属化合物を併用することが好ましい。併用により、銅の析出を防止することができる。銅化合物の添加方法としては、ポリアミド樹脂の製造の任意の段階において添加しても良く、その添加方法は限定されない。例えば、ポリアミドの原料塩水溶液に添加する方法、溶融重合の途中で溶融ポリアミド中に注入添加する方法、重合を終了して造粒したポリアミドペレットと該銅化合物の粉体またはマスターバッチをブレンドした後に押出し機や成形機等を用いて溶融混練する方法等のいずれであっても良い。
さらに、本発明においてには、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤などの酸化防止剤、光安定剤といった補助安定剤を配合することができる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、公知の化合物が使用可能である。これらの化合物は単独で、あるいは組み合わせて使用することができる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の配合量は、ポリアミド樹脂100質量部に対して、0.05〜3質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜2質量部である。0.05質量部未満では、熱変色防止効果が不十分であり、一方、3質量部を超えると、効果が飽和に達したり、成形品表面へのブルーミングが生じることがある。
リン系酸化防止剤としては、無機系及び有機系のリン系酸化防止剤から選ばれる少なくとも一種である。無機リン系安定剤としては、次亜リン酸ナトリウムなどの次亜リン酸塩、亜リン酸塩などが挙げられる。
有機リン系安定剤としては、ホスファイト系の市販されている有機リン系酸化防止剤を用いることができるが、熱分解でリン酸を生成しない有機系リン含有化合物が好ましい。かかる有機系リン含有化合物としては、公知の化合物が使用可能である。
リン系酸化防止剤の配合量は、ポリアミド樹脂100質量部に対して、0.05〜3質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜2質量部である。0.05質量部未満では、熱変色防止効果が不十分であり、一方、3質量部を超えると、成形品にフラッシュが生じることがある。
本発明では、無機系及び有機系のリン系酸化防止剤を併用すると、酸化防止剤の配合量を少なくすることができて好ましい。
本発明で用いることができるアミン系酸化防止剤としては、公知の化合物が使用可能である。また、第2級アリールアミンもアミン系酸化防止剤として挙げることができる。第2級アリールアミンとは、窒素原子に化学結合した炭素ラジカル2個を含有するアミン化合物であって、少なくとも1つ、好ましくは両方の炭素ラジカルが芳香族である、アミン化合物を意味する。
アミン系酸化防止剤の配合量は、ポリアミド樹脂100質量部に対して、0.05〜3質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜2質量部である。0.05質量部未満では、熱変色防止効果が不十分であり、一方、3質量部を超えると、効果が飽和に達したり、成形品表面へのブルーミングが生じることがある。
本発明において用いることができる硫黄系酸化防止剤としては、公知の化合物が使用可能である。
硫黄系酸化防止剤の配合量は、ポリアミド樹脂100質量部に対して、0.05〜3質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜2質量部である。0.05質量部未満では、熱変色防止効果が不十分であり、一方、3質量部を超えると、効果が飽和に達したり、成形品表面へのブルーミングが生じることがある。
本発明において用いることができる光安定剤は、1種または複数種のヒンダードアミン型光安定剤(HALS)であることが好ましい。
HALSは、以下の一般式の化合物およびその組み合わせである。
これらの式中、R1〜R5は、独立した置換基である。適切な置換基の例は、水素、エーテル基、エステル基、アミン基、アミド基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、シクロアルキル基およびアリール基であり、その置換基は官能基を含有し得る。官能基の例は、アルコール、ケトン、無水物、イミン、シロキサン、エーテル、カルボキシル基、アルデヒド、エステル、アミド、イミド、アミン、ニトリル、エーテル、ウレタンおよびそのいずれかの組み合わせである。ヒンダードアミン型光安定剤は、ポリマーまたはオリゴマーの一部も形成し得る。
好ましくは、HALSは、置換ピペリジン化合物から誘導される化合物、特にアルキル置換ピペリジル、ピペリジニルまたはピペラジノン化合物、および置換アルコキシピペリジニル化合物から誘導される化合物である。かかる化合物の例としては、公知の化合物が使用可能である。
本発明においては、第2級アリールアミンとHALSとの混合物を使用することができる。好ましい実施形態は、少なくとも1つが第2級アリールアミンから選択され、少なくとも1つがHALSの群から選択される、少なくとも2種類の補助安定剤を含む。補助安定剤混合物の全配合量は、ポリアミド樹脂100質量部に対して、0.5〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜3質量部である。0.5質量部未満では、熱老化性を向上する効果が不足し、一方、10質量部を超えると効果が飽和したり、成形品表面へブルーミングすることがある。
本発明においては、さらに、充填材を添加することにより強度、剛性、耐熱性などを大幅に向上させることができる。このような充填材としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、アスベスト、チタン酸カリウムウィスカ、ワラストナイト、ガラスフレーク、ガラスビーズ、タルク、マイカ、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタンおよび酸化アルミニウムなどが挙げられ、なかでもチョップドストランドタイプのガラス繊維が好ましく用いられる。
また、本発明にかかるポリアミド樹脂組成物に対して、本発明の目的を損なわない範囲で紫外線吸収剤(例えばレゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンなど)、滑剤および離型剤、核剤、可塑剤、帯電防止剤、および染料・顔料を含む着色剤などの通常の添加剤の1種以上をポリアミド樹脂100質量部に対して5質量部程度まで添加することができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、上記で説明した各成分を含有することが可能であるが、上記充填成形体を除いた組成物において、ポリアミド樹脂と金属シアン化物塩の合計で90質量%以上を占めることが好ましく、95質量%以上を占めることがより好ましい。
本発明における前記金属シアン化物塩及び他の添加剤をポリアミド樹脂に含有させる方法は、特に制限されるものではなく、任意の方法で行われる。例えば全成分を予備混合した後、押出機やニーダ中で混練する方法や、予め任意の数成分を押出機やニーダ中で混練して得たペレットに、更に他の成分を混練配合する方法などが挙げられる。
本発明のガスバリア性成形体は、23℃及び150℃での酸素透過係数が、2.5×10−2cm・cm/(m・day・atm)以下であるポリアミド樹脂組成物を成形して得られる。かかるポリアミド樹脂組成物は、上記の構成とすることで得られる。酸素透過係数は、後記するようにJIS K7126−1:2006(差圧法)に準じて測定され、23℃環境下、150℃環境下の両方で、酸素透過係数が、2.5×10−2cm・cm/(m・day・atm)以下であることを意味する。
本発明に係るポリアミド樹脂組成物は、一般的なポリアミド材料と異なり、23℃環境下より、150℃環境下の酸素透過係数が小さくなる(酸素バリア性が高くなる)傾向がある。明確な理由は不明であるが、150℃のような高温下では、樹脂組成物中で、何らかの作用(反応・炭化・相互作用)が起こっていると推定している。
ポリアミド樹脂組成物中に、充填材が大量に存在する場合、成形体とした際に、ボイドが発生する傾向があるため、ガスバリア性を達成する観点からは、充填材の添加量は、ポリアミド樹脂100質量部に対して、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、3質量部以下がさらに好ましい。
本発明におけるガスバリア性成形体とは、前記の金属シアン化物塩を含有するポリアミド樹脂組成物を一般的な押出成形、射出成形、プレス成形などの成形方法で成形することによって得られる成形体である。
成形体の形状は特に限定されないが、フィルム状、シート状、パイプ状、チューブ状、筒状、皿状、ボトル状のいずれかの形状であることが好ましい。
本発明のガスバリア性成形体を、多層構造体の少なくとも一層として含む多層構造体であることも好ましい。さらに、該多層構造体からなる包装容器も好ましい態様である。
以下に実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例に記載された測定値は、以下の方法によった。
(1)使用原料
・ポリアミド66:相対粘度RV=2.7、ローディア社製 Stabamid27AE1K
・ポリアミド6T/12:相対粘度RV=2.5、東洋紡社試作品(6T/12=65/35(モル比))
・ポリアミドMXD・6:相対粘度RV=2.1 東洋紡社製 T−600
・フェロシアン化カリウム・3水和物(ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム・3水和物):和光純薬社製 純度99%
・フェリシアン化カリウム(ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム):和光純薬社製 純度99%
・酸化鉄(II):和光純薬社製
・フェノール系安定剤:BASF社製 イルガノックス245
・臭化第二銅:和光純薬社製 純度99.9%
(2)試験方法
・引張強度、引張破断伸度:東芝機械社IS−100を用い、シリンダー280℃に設定し、金型温度90℃の条件で成形品を得た後に、ISO527−1,2に従って測定した。
・熱老化試験(200℃×500時間熱処理):ISO2578に詳述される手順に従って、再循環エアオーブン(ナガノ科学機械製作所製 熱風循環式乾燥機 NH−401S)において試験片を熱処理した。200℃環境下で所定の試験時間(500時間)で、試験片をオーブンから取り出し、室温に冷却し、試験の準備ができるまで、アルミニウム裏張りバッグ内に密閉した。次いで、ISO527−1,2に従って、引張強度、引張破断伸度を測定した。3つの試験片から得られた平均値を採用した。
引張強度および引張破断伸度の保持率は、熱処理なしの初期の値を100%としたときの500時間熱処理した後の保持率である。
・酸素透過係数測定:JIS K7126−1:2006(差圧法)に準じた差圧式ガス・蒸気透過率測定装置ガス測定装置(装置:GTRテック・ヤナコテクニカルサイエンス社製 GTR−30XAD2,G2700T・F,検出器:ガスクロマトグラフ〔熱伝導度検出器〕)にて、温度条件:23℃±2℃、及び150℃±2℃、気圧:1atm、ガス:酸素ガス(乾燥状態)、透過面積:15.2×10−4(φ4.4×10−2m)にて試験を実施した。
試験サンプルは、次のようにして作製した。東芝機械社IS−100を用い、シリンダー280℃に設定し、金型温度90℃の条件で100mm×100mm×2mm厚みの成形品を得た。そのサンプルを、油圧式ヒートプレス機(神藤金属工業所社製 型式WIC)にて、温度条件280℃で1分間、プレスすることで厚み150μm〜400μmのフィルムを作製した。さらに、フィルムを打ち抜くことで試験片を得た後に、酸素透過係数測定に供した。
実施例及び比較例として記載した樹脂組成物は、上記の原材料を、それぞれ二軸押出機(コペリオン社製STS35)を用いて、表1、表2に記載の割合(質量割合)で配合し、溶融混練してペレット(直径約2.5mm×長さ約2.5mm)を得た。得られたペレットは、熱風循環式乾燥機にて100℃で4時間以上乾燥した後に使用した。評価結果を表1、表2に示す。参考例は、ポリアミドのペレットから直接、油圧式ヒートプレス機で厚み200〜300μmのフィルムを作製し、酸素透過係数の測定を行った。
実施例1〜4は、酸素透過係数の値から、非常に高い酸素バリア性を示しており、初期(熱処理前)の引張強度も高く、200℃で500時間後の引張強度も高い値を示している。
実施例5、6は、ポリアミド6T/12での例であるが、非常に高い酸素バリア性を示しており、初期(熱処理前)の引張強度も高く、200℃で500時間後の引張強度保持率も高い値を示している。
実施例7は、銅系安定剤無しの例であるが、非常に高い酸素バリア性を示しており、初期(熱処理前)の引張強度、200℃で500時間後の引張強度保持率も高い値を示している。
いずれの実施例も、23℃環境下より、150℃環境下での酸素バリア性が高い。
比較例1は、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムの添加量が少ない例であるが、酸素バリア性は低く、200℃で500時間後の引張強度保持率が大幅に低下している。
比較例2は、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムの添加量が過剰な例であるが、成形性が非常に悪く、酸素バリア性・熱老化の試験が不可能となった。
比較例3は、酸化鉄(II)を添加した例であるが、酸素バリア性が低く、200℃で500時間後の引張強度保持率も大幅に低下している。
比較4は、ポリアミド66でフェノール系安定剤と臭化第二銅のみを添加した例であるが、酸素バリア性が低く、200℃で500時間後の引張強度保持率が大幅に低下している。
比較例5は、ポリアミド6T/12でフェノール系安定剤及び臭化第二銅のみを添加した例であるが、200℃で500時間後の引張強度保持率が大幅に低下している。
比較例6は、ポリアミド66でフェノール系安定剤のみを添加した例であるが、酸素バリア性が低く、200℃で500時間後の引張強度保持率が大幅に低下している。
参考例1は、一般的に酸素バリア性が高いと言われているポリアミドMXD・6を用いた例である。各比較例の酸素透過係数の値と比べると、高い酸素バリア性を示していると言え、また、各実施例の23℃環境下の酸素透過係数の値と比べても、同等の高い酸素バリア性を示している。しかし、各実施例の150℃環境下の酸素透過係数の値と比べると、酸素バリア性は大きく劣っている。
本発明によれば、ポリアミド樹脂でガスバリア性と耐熱老化性に優れたガスバリア性成形体、及びこのガスバリア性成形体を構成成分として含む多層構造体、並びに多層構造体からなる包装容器を提供することが可能となる。

Claims (5)

  1. ポリアミド樹脂100質量部に下記一般組成式(1)の金属シアン化物塩を0.5〜20質量部含有し、23℃及び150℃での酸素透過係数が2.5×10−2cm・cm/(m・day・atm)以下であるポリアミド樹脂組成物を成形してなることを特徴とするガスバリア性成形体。
    一般組成式(1) ・・・ A[M(CN)
    (一般組成式(1)中、Mは、周期表の第5〜10族かつ第4〜6周期の遷移金属元素のうちの少なくとも1種、Aは、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のうちの少なくとも1種、yは、3〜6の整数、xは、(y−m)/aで求められる数である。ここで、mはMの価数、aはAの価数である。)
  2. 前記一般組成式(1)のMが鉄である請求項1に記載のガスバリア性成形体。
  3. 前記一般組成式(1)の金属シアン化物塩が、ヘキサシアノ鉄(II)酸アルカリ金属塩、及びヘキサシアノ鉄(III)酸アルカリ金属塩から選ばれる1種以上である請求項1または2に記載のガスバリア性成形体。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリア性成形体を、多層構造体の少なくとも一層として含む多層構造体。
  5. 請求項4に記載の多層構造体からなる包装容器。
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